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ローゼンメイデンの話「彼岸の花は秋に咲く」

***
2008/03/28(金)
1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/26(水) 18:12:21.66 ID:yufxJ9X30
――――水銀燈、ねえ、こんな話知ってる?

――――何よ、めぐ

――――猫ってね、死期が近づくと、誰もいない所に行っちゃうんですって

――――猫?

――――そうよ、猫はね、自分が死んだりするのを、誰にも見られないようにするの

――――たとえ、何年も一緒にいた人であっても、誰にもね

――――ふうん


――――私も、いつか死ぬ時は、親になんて見られたくないなぁ

――――好きにすればいいじゃない

――――ええ、でもね、水銀燈……


※前作
ローゼンメイデン適当話「あれ…桜田君が出てこない…………」
真紅「あら…?私のくんくんセットがない……………」
ローゼンメイデンの話「ねえ、何を探しているの……?」



7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/26(水) 18:22:11.35 ID:yufxJ9X30
 病院に咲いていた桜のピンク色が、いつしかくすんだ茶色になり、
落ち葉が舞う。

 時おり、肌寒い風が、ヒュウっと吹き抜けていく。



「………?」

 その日、水銀燈はいつものように、有栖川病院の316号室へと、
飛んできていた。
「めぐ……?」
 カララと窓を開け、ベッドの上のめぐに話しかける。
「………」
「寝てるのかしら……」
 首をかしげる水銀燈。
 その水銀燈のミーディアムである柿崎めぐが、室内のベッドに
寝かされている。
 いつもは目を閉じているだけで、窓を開ける音で目覚めるのが慣例である。
『水銀燈…また来てくれたの…』
 口元だけ笑う、めぐの笑顔。
「ふう……」
 水銀燈はため息をつく。
 そして、もう一度めぐを見やる。
「………」
 起きない事。そして今日は、もう一つ違う事がある。

 めぐの顔に、白い布が掛けられている事だった。
 




8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/26(水) 18:24:02.78 ID:4yAyc1Fp0
うわあああああああああああああああああああああああああああ




11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/26(水) 18:27:11.27 ID:ixQLfj+a0
いきなりこれか
重めぇなww




14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/26(水) 18:30:00.77 ID:yufxJ9X30
 水銀燈がその意味を理解するまでに、ほんの数分も掛からなかった。

 だらんと力の抜けた右手。蒼白いそれは、一向に動く気配がない。
「…?」
 ようやくおかしい事に気づく。
「めぐ」
 呼びかけるのと同時に、ドアノブがガチャリと音を立てる。

「いけない」
 窓の外に、そっと隠れる。
「この度は……」
「ええ、今朝方……」
 鼻をすする音。
 何人か部屋に入ってきたようだ。
「めぐ、すまなかった……」
 いつかに聞いた事のある、男の声。
「(……まさか)」
 水銀燈の目が見開かれる。
「先生、今まで本当にご迷惑をお掛けしました。
 あの子も、幸せだったでしょう」
 その言葉が、推測を裏付けた。




16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/26(水) 18:30:45.02 ID:kg0nrENm0
嫌ああああああああ!




18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/26(水) 18:33:16.85 ID:JPtZoGw2O
俺涙目




19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/26(水) 18:40:35.88 ID:yufxJ9X30
「………」
 両肘をぎゅっと抱え、カタカタと震え続ける。
 いつかは来る事。それは水銀燈も、よく分かっていたつもりだった。
「めぐ……」
 部屋に誰もいなくなったのを確認し、めぐに近づく。
「………」
 そっと右手に触れる。冷たい。
 温もりを失ってしまったその手を取ろうとする水銀燈。
「あ………」
 腕も、指も動かない。
「……」
 布を取り、めぐの顔を覗きこむ。
 唇は紫色に変色し、乾いてしまっている。閉じられているその両の眼は、
何だか死んでしまったようには見えなかった。
「めぐ」
 声に出してみる。反応はない。
「めぐ……」
 『めぐだった』右手を、そっと両手で包みこむ。
 脳裏に浮かぶ、めぐの微笑。
「………」
 いつの間にか、水銀燈は自分が泣いているのに気がついた。




20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/26(水) 18:42:11.33 ID:4yAyc1Fp0
ザオリク!ザオリク!




21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/26(水) 18:43:06.22 ID:a0XjqSyk0
あぁ・・・めぐ・・・




22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/26(水) 18:48:34.60 ID:84BHIBu7O
メガザル!メガザル!




23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/26(水) 18:55:56.22 ID:yufxJ9X30
「………」
 鼻をすする水銀燈。
「行ってしまったのね……」
 悲しいのか、淋しいのか。自分でもよくわからない。ただ、めぐの
死に顔を見ていると、涙が滲み出てくる。
「……めぐぅ……」
 手を握ったまま、水銀燈はしばらく泣き続けた。





「ああ、あれがめぐかしらぁ…」
 二日ほど経った日、水銀燈は火葬場の屋根から、天に昇ってゆく煙を見つめていた。
 めぐが病室から出されてゆく様子は、実に迅速かつ事務的で、呆気ないものだった。
皆、そんなに深く悲しんでいる風はなく、通夜や葬式の段取りの方が
大事みたいだった。
「……」
 震えながら、深く息を吐く。
 ここで『めぐだった』肉体が焼かれているのだろう。長く美しい、漆黒の髪も、
指輪をしていた左手の薬指も、彼女の歌声も、めぐを成していたものは、
全てが焼かれ、カルシウムの塊になってゆく。
「……さようなら、めぐ…」
 空高く消えてゆく煙を見つめ、水銀燈は呟いた。






28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/26(水) 19:04:24.02 ID:d2U/96JB0
鬱エンド以外を期待しても大丈夫かい・・・?




29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/26(水) 19:06:41.74 ID:yufxJ9X30
「ああ、これからめぐは、ずっとここにいるようになるのねぇ…」
 有栖川病院から少し離れた小高い山。
 石段を登り終え、一面に、真紅の彼岸花が咲き誇る。その少し先に立ち並ぶ、
御影石たち。
 水銀燈は日本のお墓を知っていたわけではないが、めぐの両親が話している内容から、
おおよそは推測出来た。
 母親が大事そうに抱えている四角い箱。あれは何なのだろう。
 あれがめぐだろうか?
 水銀燈の倍以上の身長があっためぐが、あんなに小さくなってしまったのだろうか?
「……」
 うつむき、そして真っ赤な絨毯のように広がる彼岸花を見渡す。
「真紅と同じ色ねぇ……」
 脳裏に、美しく、そして優しかった妹が浮かぶ。




30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/26(水) 19:08:07.25 ID:a0XjqSyk0
えっ・・・
まさか銀一人なんていう・・・




31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/26(水) 19:09:52.86 ID:6q4Huulc0
そしてだれもいなくなるのか?




32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/26(水) 19:10:01.15 ID:d2U/96JB0
水銀燈が暖かく暮らせる終わり方じゃないと泣くからな・・・





36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/26(水) 19:20:32.90 ID:i3JIV24nO
水銀燈・・・




37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/26(水) 19:22:47.18 ID:yufxJ9X30
「ねえ雛苺」
 ジーコ、ジーコ、とネジを捲きながら、巴が話しかける。
「なぁに、トモエ」
 前を向いたまま、時おり、ッギ、と鈍い音を立てながら、雛苺が口を開く。
「やっぱりいいわ、何でもない」
 そう言って頭を撫でる。
 雛苺は何も返さず、目を閉じる。

 柏葉巴が雛苺と再契約してから、半年が過ぎた。
「巴といたい」その願い出は雛苺からあった事で、巴もそれを了承した。
だが、必ずしもそれが良い方に向かう事でないのは分かっていた。
「もう力を使ったりしないの」
 雛苺は、その誓いを固く守ってきた。
 その結果、薔薇乙女としての能力は使えず、そして今、
ネジを巻く間隔が、少しずつ、短くなってきているのを、巴は実感していた。
「……どうしたの、トモエ…?」
 手が止まっていた。雛苺が不安そうに尋ねる。
「ううん、何でもないよ」
 ふふっと笑い、巴はそこから何度かゼンマイを回した。




40 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/26(水) 19:24:25.75 ID:+PCItl/30
なんという鬱なすべり出し




41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/26(水) 19:24:29.71 ID:MXslyjHE0
え・・・雛苺まで・・・




42 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/26(水) 19:25:24.30 ID:4yAyc1Fp0
誰かローゼン呼んでこいよ




48 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/26(水) 19:40:13.49 ID:yufxJ9X30
「こんにちはーかしらー」
 ピンポーン、と呼び鈴を押し、元気に叫ぶ金糸雀。
 しばらく経って、カラカラと玄関が開く。
「……うるせぇですぅ……」
 虚ろな目をして呟くのは、その妹である翠星石。
 金糸雀は、ちょっと困ったように笑う。
「上がるです…」
 そう言って、奥へと消える翠星石。
「………」
 金糸雀はため息をつく。

 真紅の命が失われてから、半年が過ぎた。
 残された水銀燈、金糸雀、翠星石、蒼星石、雛苺。
 原因を作った者、引き金を引いた者、影響を受けた者。
 あの出来事が、5体全員に、暗い影を落としている。まだ、その中でも
金糸雀は立ち直れた方である。
「行かせなければよかった」
 その思いが、金糸雀を苦しめた。だが、それ以上に苦しんでいるドールが
何体もいるのが現実だった。
 そして、その中に、自ら旅立ってしまった者がいる。
 蒼星石だった。




49 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/26(水) 19:41:33.89 ID:R9XnL5Q4O
蒼星石…




50 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/26(水) 19:41:53.58 ID:a0XjqSyk0
お前もかよおおおおおorz




56 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/26(水) 19:57:10.19 ID:yufxJ9X30
「………」
 暗い部屋の中。放り捨てられたままの頭巾。
 横になり、虚空を見つめたままの翠星石を優しく撫でている金糸雀。
「…いつもごめんなさいですぅ…」
「えっ?」
 金糸雀の手が止まる。
「翠星石がこんなにダメな奴で……」
 言いながら、翠星石の左手が金糸雀の左手を握ってくる。
「………」
「元はと言えば……」
 ぎゅっと握りしめる。
「翠星石のせいで……」
「そんな事ないかしら」
 ぎゅっと握り返す金糸雀。
「そんな事ないのよ…翠星石……そんな事……」
「………」
 翠星石の目から、涙がこぼれ落ちる。

「すう……」
 翠星石が眠りに落ちた後、金糸雀は部屋の隅を見やる。
「……」
 2つの鞄。その一方では、今も蒼星石が眠り続けている。
 事故の後、一番初めに限界が来たのは彼女だった。
 ごく普通に振る舞っていたかと思うと、突然行方不明になり、
大泣きしながら翠星石が探しにきたのを憶えている。
「…」
 結局それから一週間後、あの菜の花の土手で倒れている蒼星石が見つかった。
ローザミスティカが失われたわけではなく、単にゼンマイが切れただけだったが、
その後何度ネジを捲いても、蒼星石が起き上がる事はなかった。




57 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/26(水) 19:57:14.63 ID:ayh379gNO
悲しいよう




58 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/26(水) 19:58:13.84 ID:a0XjqSyk0
金糸雀いい子・・・




61 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/26(水) 20:02:58.33 ID:yufxJ9X30
「蒼星石……」
 はっと視線を移す金糸雀。
 翠星石の目から、再び涙がこぼれ落ちている。
「………」
 雛苺があまり動けない中、翠星石を助けられるのは自分だけだ、
そう金糸雀は感じていた。
 だからこうして、週一回は訪問するのが常になっていた。
「…」
 胸を押さえる金糸雀。
 少しずつ心が壊れていく薔薇乙女たち。そしてそれは、自分も例外ではない。
「まだ……」
 まだ、自分が動けるうちに。
 翠星石の涙をそっと拭き、金糸雀は家を出た。




62 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/26(水) 20:03:08.44 ID:3tu9375a0
翠星石。・゚・(ノД`)・゚・。




68 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/26(水) 20:26:15.24 ID:yufxJ9X30
 時計屋を出た金糸雀は、塀に寄りかかって思考を巡らせていた。
「何からすべきかしら…」
 目を閉じ、腕組みをする。
 自分一人で妙案など出ない。誰かに頼りたいのが本音である。
 今、動ける人物。
 それは誰か。
「………」
 金糸雀は目を開くと、飛びあがって自分のマンションに向かった。


 ガラスの容器に水が注がれている。
「よいしょ」
 そこにゆっくりと、彼岸花が突き立てられてゆく。
「これでいいわぁ」
 三輪ほど刺したところで、その花瓶を両手で大事そうに抱える水銀燈。
 薔薇ではなかったが、何となく、水銀燈はそれを持って帰ってしまったのだ。
「ふふ」
 和室に飾り、眺めて微笑を浮かべる。
 その紅色を見ていると、なんだか心が洗われるようだった。
 薔薇とは違い、そんなに魅力を感じるわけではなかったが、その独特の
刺々しさは、逆に水銀燈の心を惹きつけた。
 まるで、だんだんとその花に力を吸い取られているような錯覚に陥る。以前なら、
足げにしていた所だろう。
「水銀燈」
 ふと声がして、水銀燈は振り返る。
 金糸雀が立っていた。




74 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/26(水) 20:40:10.05 ID:yufxJ9X30
「金糸雀…」
 かすれた声で、水銀燈が呟く。
「水銀燈…?どうしたのかしら」
 目を丸くして金糸雀が尋ねる。
「え…」
「泣いていたの?」
 思わず顔に指を這わせる水銀燈。ざらざらという音で、
涙のあとが残っている事に気がついた。
「ごめんなさいねぇ」
 ふふっと笑って、再び花瓶を見やる。
「みっともないでしょう?私…」
 頬杖をつく水銀燈。
「何かあったのかしら…?」
「……」
 水銀燈は答えない。
「…」
 金糸雀はため息をつく。
「邪魔なら消えるわ」
 そう言って踵を返す。
「待って」
 振り返る金糸雀。
「何か用事があるんでしょう?」
「……ええ」
「別に邪魔じゃないわぁ、貴女の事」
 振り返らずに、水銀燈は続ける。




75 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/26(水) 20:47:37.48 ID:yufxJ9X30
「別に、用事ってわけじゃないのよ」
 ちょっと困ったようにぽりぽりと頬をかく。
「ただ……」
「………」
「…カナは、皆に元気になってほしいの」
「……」
「蒼星石は眠りに落ちてしまった…」
「……」
 花瓶の彼岸花をつつく水銀燈。
「翠星石は塞ぎこんでしまった…」
「…」
「ヒナは…だんだんネジを捲く間隔が短くなってきた…」
「……」
「ジュン君も……」
 つつく手が止まる。
「…」
「それに……」
 水銀燈は動かない。
「真紅の事も…」
「ねえ」
 水銀燈が口を開いた。




82 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/26(水) 20:59:55.47 ID:uyctigfgO
ドールズはみんな幸せになってほしいよな…
このお話でも
再開される原作でも




89 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/26(水) 21:06:47.55 ID:yufxJ9X30
「…何?」
「ねえ…金糸雀」
 花瓶を見やったまま続ける。
「私たちって…」
「うん?」
「何のために生まれてきたのかしら…」
「えっ」
 予想外の問いに、少し驚く金糸雀。
「アリスになって、お父様に逢うため?」
「……ええ、そう…なるのかしら…」
「そうよねぇ……そうだった…はず、なのよねぇ…」
「水銀燈…?」
「おかしいでしょう、金糸雀」
「…」
「私が、こんな質問するなんて」
「べ、別に…」
 再び彼岸花をつつく。
「簡単に言うわ。今の私は、アリスなんてどうでもいいと思ってるの」
 金糸雀は目を丸くする。
「それってどういう…」
「勿論、お父様には逢いたいわぁ」
「…」
「でも…」
「……」
「それは、今の私にとっては、幸せじゃない」
 ぎゅっと拳を握る金糸雀。




92 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/26(水) 21:19:00.86 ID:yufxJ9X30
「真紅の命を消してしまったのは、私」
 つつく手を止め、うつむく水銀燈。
「めぐの微笑みを、煙にして天に昇らせてしまったのも、きっと私」
「めぐ…?」
 金糸雀が尋ねる。
「私のミーディアム、だった人間の名前よぉ」
 再び天を仰ぐ。
「だった…?」
「死んじゃったわ」
 目を見開く金糸雀。
「あの子は私よりも小さくなって、もうじき、土の下で永遠の眠りにつくの」
「……」
 鼻をすする水銀燈。
「この花はねぇ」
「…」
「あの子がこれから眠る場所で、綺麗に咲いてたのよぉ」
「……」
 うつむく金糸雀。
「もう、めぐは戻ってこない。二度と笑ってくれないし、歌も歌ってくれない」
「……」
「でも……」




95 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/26(水) 21:31:40.25 ID:yufxJ9X30
「それでも…前に進まないと…」
 再び鼻をすする水銀燈。
「だから、金糸雀、私は決めたわぁ」
「……」
「私は、真紅を呼び戻す事に全力を注ぐ」
 水銀燈が振り向いた。
 再び鼻をすすった彼女は、目に大粒の涙を浮かべている。
「水銀燈…」
「そうすれば、きっと、皆……」
 ごしごしと涙を拭く水銀燈。
「……」
 




102 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/26(水) 21:39:29.27 ID:yufxJ9X30
「…どうすれば?」
 座り込んだ金糸雀が口を開く。
「わからないわ」
 その横で、肩に身を預けながら水銀燈が呟く。
「そう……」
「でも」
「?」
 金糸雀が水銀燈を見やる。
「破片は集めたわ」
「破片?」
「ええ」
 そう言って立ち上がり、窓辺に置いてあるビニール袋を手に取る。
中には、大小様々なピンク色の破片が入っている。
「それは?」
「真紅のローザミスティカよ」
 水銀燈が袋を見つめたまま、答えた。
「でも…全て集められたわけじゃない…風で、どこかへ行ってしまった、
小さな小さな破片もあるでしょう…だから……」
 うつむく水銀燈。
「………」
 金糸雀は、何も答えられなかった。




105 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/26(水) 21:40:17.62 ID:a0XjqSyk0
破片あるのか
・・・ジュンは!?




106 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/26(水) 21:42:11.75 ID:eFgGAK7f0
ジュンは廃人になってしまったのか…?




112 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/26(水) 21:57:29.47 ID:yufxJ9X30
「な、泣いてばかりじゃ駄目かしら!水銀燈!さっそく行動するかしら!」
 立ち上がる金糸雀。
 その様子を見て、水銀燈が小さく笑う。
「ええ、頑張りましょう」
 袋を握りしめ、水銀燈が答えた。




「駄目だ!」
 もう何度目になるかわからない叫び声。
「やっぱり……僕じゃ無理なのか……?」
 机の上、ひび割れた球体関節を前に、ジュンは頭を抱える。

 半年前、散り散りになった真紅の肢体を拾い集め、ジュンは部屋に保管
していた。ドレスは直せたものの、髪や身体に関しては、ジュンは全くの
無知で、なす術のない自分に、イライラしていた。
 何しろ、四肢がバラバラになっただけではない。原型を留めないほど、
破壊された部分もある。
「真紅っ…」
 頭を抱えるジュン。机の上の球体関節の隣にある、真紅の首を見つめる。
右半分は完全に潰され、右の眼球は粉々になってしまっている。
残っている左目が閉じられ、安らかに眠っているように見えるだけで、
まだ救いがあったと言えよう。




117 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/26(水) 22:11:51.40 ID:yufxJ9X30
「真紅…」
 真紅はあの時、何を想っていたのだろう。自分の事を、
どう想ってくれていたのだろう。
「……」
 椅子にもたれかかり、しばらくジュンはうつむいていた。



「ジュン君の家に?」
 花瓶の菜の花を整えながら、巴が驚いたように言う。
「ええ、今から行くのよ」
 金糸雀が答える。
「でも……直せるの…?」
「無理でしょうね」
 水銀燈がうつむく。
「ちょ、ちょっと水銀燈!ネガティブ禁止かしらー」
「そうなの、絶対助けるの!」
 金糸雀と雛苺が、交互に叫ぶ。
「貴女たち…」
 そんな二人を見て、水銀燈は困ったように笑う。
「ね、トモエ、ジュンなら何とかしてくれるの」
 頬を膨らませながら雛苺が見上げる。
「え、ええ…」
 うつむく巴。
「ちょっとちょっとぉー、頑張るって決めたんだからー」
 金糸雀が腕をぶんぶんさせる。
「そうね…」
 巴は、ちょっと困ったように笑う。




121 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/26(水) 22:24:52.71 ID:yufxJ9X30
「でも」
 腕組みをする水銀燈。
「全員で行ってもしょうがないわ。破片を持っていくだけだし…」
「確かに…」
 ちらっと破片を見やる巴。
「そうだわ」
 金糸雀がぽんっと手を叩いた。


「二手に?」
「ええ。その方がいいでしょう、金糸雀」
 水銀燈が答える。
「そうね…あのまま翠星石たちを放っておいても危険だし…」
 頷く金糸雀。
「わかったなの、ヒナと金糸雀で、翠星石たちを元気づけてくるなの!」
 ふんっと鼻を鳴らす雛苺。それを見て、自然と微笑む巴。
「そうかしら、皆元気になってほしいかしら!」
 こちらは右手を突き上げる。
「…貴女たちは、まるで菜の花ね…」
 巴が呟く。
「菜の花って、どゆう事なの?」
 尋ねる雛苺。
「あのね…菜の花の花言葉は、『快活』なのよ」
「カイカツ?」
 首をかしげる二人。
「そう…明るくて、周りを心地よくさせられる事」
「?」
 ますます首をひねる二人。
「ふふ、貴女たちは、今のままでいてほしいっていう事よ」
 雛苺を抱きしめ、巴は頭を撫でた。




144 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/26(水) 23:43:36.76 ID:yufxJ9X30
「とっ、巴……雛苺……まで…どうしたです?」
 泣き腫らした目で翠星石が尋ねる。
「遊びにきたのよ」
 満面の笑みで、雛苺が答える。
「……邪魔ですぅ。帰れですぅ」
 うつむき、戸を閉めようとする翠星石。
「あっ、ちょっ、待つかしら翠星石」
 金糸雀が慌ててそれを押さえる。
「何ですかぁ、金糸雀」
 低い声。
「たまには、皆で来ても、いいでしょう?」
 精一杯笑いながら、金糸雀が答えた。


「えっ、水銀燈が?」
 翠星石が驚く。
「ええ、ついこないだ亡くなったそうよ」
 金糸雀が答える。
「………」
「だからね、水銀燈は、真紅を呼び戻すのに、全力を尽くすって」
「………」
 翠星石は黙っている。
「でも…今更……」
 うつむき、ぽつりと呟く。
「下向いちゃ駄目なの!頑張って皆で幸せになるの!」
 巴の腕から飛び降りる雛苺。
「チビ苺ごときが、何を言ってるです……」
 壁にもたれかかる翠星石。




162 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/26(水) 23:56:23.81 ID:yufxJ9X30
「チビって言わないでなの!翠星石だって、トモエから見たらずっとチビなの!」
「はぁ…?何言ってるです?人形的には、翠星石は背が高い方なのです。
 チビ苺とは違うのです」
 やれやれと云った風にため息をつく翠星石。
「ちょっと二人とも…大人げないかしら…」
「うるさいです。さっさと帰ってほしいですぅ」
 ぷいっと横を向く。
「う~……」
 唸る雛苺。





163 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/26(水) 23:58:31.10 ID:3tu9375a0
巴の活躍に期待




165 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/27(木) 00:04:41.34 ID:nZ5FOn/p0
「あたっ」
 同時にぺしっと音がした。
「何するですか!」
 頭を押さえ、雛苺を見る。
「ヒナはチビじゃないもん!」
「はぁ?」
「チビだったとしても、今みたいな翠星石に、そんな事云われたくないの!」
 同時にげしっと翠星石を蹴りつける雛苺。
「いだっ!な、何するですかぁ!!」
 立ち上がる翠星石。そのまま雛苺の胸ぐらをつかむ。
「今の翠星石なんて、怖くもなんともないもん!」
 ふんっと横を向く。
「言ったですねぇ…??今日は泣かしてやるですぅ!!」
 ぱしっと叩く翠星石。それにぱしっと叩き返す雛苺。
「またこれか……」
 巴が諦めたように呟いた。
 



168 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 00:14:13.34 ID:tsS3Gi7nO
雛つえーww




177 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/27(木) 00:51:07.70 ID:nZ5FOn/p0
「や、やめるかしら二人ともー」
 金糸雀が間に割って入る。
「入ってくんなですぅ」
「金糸雀には関係ないなの」
 二人が同時に答える。
「んなっ、ちょっ、ちょっと聞き捨てならないかしら!どうしてカナをいちいちハブに…」
 ぐぐぐ…と二人を引き離そうとする。
 少し離れたところで、巴がそれを見つめている。
 ごん、とげんこつを御見舞する翠星石。
 げしげし、と足で何度も蹴る雛苺。
「やりやがったなーですぅ!許せんですぅ!!」
「痛いなの!酷いのー」





245 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/27(木) 08:47:12.18 ID:nZ5FOn/p0


 ぱしっと引っぱたく翠星石。
「大体……」
「痛いのー」
 ぐいっと胸ぐらをつかんで引き寄せる。
「お前なんかに翠星石の気持ちがわかるとでも言うのですか」
「……」
 睨む雛苺。
「翠星石が…」
 うつむく翠星石。
「感情に任せて突っ走らなければ……」
 雛苺の服から手を放す。
「うっ……」
 そのままへたり込む。
「翠星石……」
「私なんか……」
 すん、と鼻をすする。
「翠星石」
 巴が口を開いた。






249 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/27(木) 09:07:46.02 ID:nZ5FOn/p0
「………」
「ねえ、金糸雀、ちょっと雛苺と一緒に向こうに行っててもらえる?」
 金糸雀が顔を上げる。
「…分かったかしら」
 立ち尽くす雛苺を促し、隣の部屋へと消える。
「………」
「翠星石、正直に言うわ」
 かがみ込む巴。
「雛苺はもうじき動かなくなる」
 翠星石が顔を上げる。
「あの子が私と一緒にいたいと言った。私はそれを受け入れたわ」
「……」
「でも、現実は、そう上手くはいかないものね。だんだん、ネジを巻く間隔が」
「………」
「短くなってきているの」
 うつむく巴。
「残された時間はそんなにないわ。あの子だけじゃない」
「………」
「金糸雀も、水銀燈も……そして翠星石、貴女も」
「………」
「ダメになってしまう」
「……」
「もしかしたら、あの子は理解しているかもしれないわ。残された時間を」
 翠星石は視線をそらす。
「でもね、あの子は今日、純粋に」
「………」
「貴女に元気になってほしいから、ここへ来たの」




250 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/27(木) 09:11:19.88 ID:nZ5FOn/p0
「………」
「ね、翠星石」
「………」
「でも私は安心したわ。まだ」
「………」
「雛苺と喧嘩出来る、貴女がいたから」
 そう言って、巴は笑った。
「ね、きっと………」
 少し言葉が止まる。
「………」
「蒼星石も、貴女の事を、どこかで待ってると思うわ」
 翠星石が巴を見つめる。
「だから、頑張りましょう。翠星石」
「………」
 答えない。巴は少し悲しそうな顔をすると、隣の部屋へと消えていった。
「………」
 その後ろ姿が消えたふすまを、翠星石は見つめていた。




251 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/27(木) 09:26:19.97 ID:nZ5FOn/p0
「あ……」
 振り向いた雛苺の顔が、安堵の表情に変わる。
「トモエ」
 立ち上がり、巴に抱きつく。巴が雛苺を抱きしめ、何度も頭を撫でる。
「………」
 聞こえていたのだろうか。小さな肩が、小さく震えているのに、巴は気づく。
「ごめんなさいね、雛苺」
 その言葉に顔を上げる雛苺。すがるようなその瞳に、巴の推測が確信に変わる。
「いいの、ヒナが選んだ事だから…」
 そう言って胸元に頬をすり寄せ、雛苺は目を閉じた。

 スー…と音がして、後ろのふすまが開く。
 巴が振り向く。
「翠星石」
 ふすまを開けた翠星石はうつむいたままだ。
「………」
 そのまま前に歩き出し、部屋の隅、鏡の前で立ち止まる。
「翠星石?」
「チビ苺に気遣われるなんて、翠星石のプライドが許さんのですぅ」
 鏡に手をやる翠星石。
「翠星石…」
「蒼星石を探しにいくです」
 振り向いた翠星石の両の瞳に、光が戻っていた。




253 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/27(木) 09:42:23.76 ID:nZ5FOn/p0
「………」
 ジュンは悩んでいた。

 
 本 当 に 直 せ る の か ?

 

 塞ぎこみ、そこから立ち直り、知識を詰め込み、そうして修理を
ようやく試みたのはつい一週間前の事。
 付け焼き刃もいいところで、幼稚な自分のこだわりが、
逆に可能性を潰してしまうのではないだろうか。そんな思いが
うずまき始めていた。
 ビスクドールの修理など、無理ではないだろうか。潰れた右目の代わりに、
市販のガラス玉を買ってきてはめ込めば済む問題ではない。
「………」
 頭を抱えるジュン。


『貴方が全力を尽くした事に対して、私は後悔なんてしちゃいけないと思うの』


 かつて彼女が自分を励ましてくれた言葉。
 だが、今の自分の全力とは、一体何だろうか。
「…畜生」
 ジュンは顔を伏せる。

 コンコン、と音がして、ジュンは顔を上げる。
 黒翼の天使が、窓の外で手を振っていた。




257 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/27(木) 09:58:33.47 ID:nZ5FOn/p0
「こんにちはぁ」
 部屋に舞い降りる水銀燈。
「ん」
 窓を閉めるジュン。
 水銀燈は机の上をちらっと見やる。一瞬うつむくが、ぶんぶんと首を横に振る。
「これ」
 袋を差し出す。
「これは…」
 キラキラと輝くピンク色の破片。
「真紅の」
「そうよ」
 袋を渡し、水銀燈は壁に寄りかかる。
「私、も、頑張る事にしたから」
 そう言って顔を上げる。
「水銀燈……でも…」
 袋を見つめるジュン。
「難しいの…?」
 ジュンはそれには答えず、項垂れる。
「ねえ、誰か詳しい人とかいないの…?」
「詳しい人…?」
 ちらっと水銀燈を見やるジュン。こちらを心配そうに見ている。
「………」
 しばらく考え込むジュン。
「……あ」
 




259 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/27(木) 10:11:31.70 ID:nZ5FOn/p0
「どこ行くの?」
「ん、ちょっとな」
 信号を横断し、坂道を下る。

「…ねえ、ジュン」
「ん」
 再び信号で立ち止まる二人。
「猫って、知ってるぅ?」
「猫?ああ」
 言いながら水銀燈を見つめる。
「猫ってね、死期が近づくと、何年も一緒にいた人であっても、
その人の前から姿を消すんですって」
「へえ」
 何を言いだすのだろう、とジュンは思った。
「本で読んだの?」
「まさか」
 車がゴオーッと通り過ぎる。




260 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 10:13:55.25 ID:DgLLx/AL0
スレタイに繋がってきたな
そろそろ佳境かwktk




261 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/27(木) 10:20:43.45 ID:nZ5FOn/p0
「私のミーディアムが云ってたのよぉ」
 水銀燈が少しうつむいた。
「ミーディアム?」
「ふふ、驚いた?」
 再び車が通り過ぎる。
「いや、ちょっと意外だったというか…」
「だと思ったわ」
「………」
 ジュンを見上げる水銀燈。しばらく見つめ合う二人。
「ふふ、こうやって見つめ合うのはいつ以来かしらね…」
 嬉しそうに笑う水銀燈。ジュンの胸が高鳴る。
「どんな人なの?」
「うん?」
「お前のミーディアムってさ」
「もういないわ」
 横の信号が、点滅を始める。
「いない?」
「死んじゃった」
 青い点滅が、赤に変わる。
「………ごめん」
「いいのよぉ、別に」
「………」
「その子はね、自分を猫にたとえて、死ぬ時は親に見られたくないって云ってたわ」
「………」
 自動車用信号が黄色に変わる。
「きっと、一人で死んじゃったのねぇ、あの子は…これからも…」
 うつむく水銀燈。





262 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/27(木) 10:32:02.80 ID:nZ5FOn/p0
「でもね、それでも大切な人と一緒にいたいって言う子もいるわ」
「…誰?」
「雛苺は、巴と一緒にいる事を選んだわ」
「………」
 向かいの信号が青に変わる。
「貴方も知ってるでしょう、あの子はもう、ドールを媒介にしないと生きられないって事を」
「……」
「いつまで動けるのか、わからないけど、あの子ももう先は長くない」
「………」
 歩き始める水銀燈。ジュンもそれに続く。
「私もね」
「うん?」
「最後は笑って、幸せに過ごしたいの」
「……水銀燈」
「だから………」
 そこで言葉が止まった。
 うつむいたまま歩き続ける水銀燈。ジュンは横に並び、ちらちらと
水銀燈を見やる。
「………」
 交差点を渡り終えたところで、水銀燈が立ち止まる。
「どうした?」
「……」
 顔を上げる水銀燈。
「ね、いつかみたいに、手、繋いでくれない?」
 おもむろに右手を上げる。
「あ、ああ……」
「ありがと」
 ジュンがその手を握ると、水銀燈は嬉しそうに微笑んだ。




265 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/27(木) 10:40:33.91 ID:nZ5FOn/p0
「ごめん下さい」
 チリン、チリン、と音を立て、ドアを開ける。
「いらっしゃい」
 奥から、白崎が出てくる。
「やあ、桜田君。…おや、その子は……」
 水銀燈を見つめる白崎。
「あ、この子は…えっと…」
「何やってるのよぉ、貴方」
 先に口を開いたのは水銀燈だった。
「………何の事かな?」
 笑顔を絶やさない白崎。水銀燈は、それを忌々しげに見つめる。
「知り合い?」
「…別に何でもないわぁ。それよりジュン、こんな所に何しに来たのよぉ」
 水銀燈が口を尖らせる。
「ああ―――すいません、槐先生いらっしゃいます?」
「うん、いるよ。ちょっと待っててね」
 そう言って、奥へと消える白崎。


「…こんな部屋に通してもらって、何だか悪いなぁ……」
 ソファに腰掛け、ジュンが口を開く。
「………」
 何か先ほどから機嫌が悪いようだ。水銀燈はジュンのシャツを掴んだまま、
ソファの綿を延々とちぎり続けている。
 キィ、とドアが開いた。
 二人は揃ってそっちを見やる。





269 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/27(木) 11:09:51.07 ID:nZ5FOn/p0
「悪いね、待たせてしまって」
 現れたのはエンジュだった。
「いえ、こちらこそすみません、お仕事中に」
 向かいのソファに腰掛けるエンジュ。
「で、話というのは……」

「…………」
 二人が事情を話し終え、そこからしばらくエンジュは黙っていた。
「結論から言おう」
 腕組みをしたままエンジュが呟いた。
「身体は直せても、魂までは復元できない」
 それを聞いて、ジュンはうつむく。
「そうですか……」
「たとえ、ローゼンとやらが、魂の錬成の手段を知っていたとしても」
 じっとジュンを見据えるエンジュ。
「これは自然界のルールであり、絶対の法則だ」
「………」

「同じものは、二度と作れない」

 目を閉じ、少し眉間にしわを寄せ、エンジュが呟いた。




271 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/27(木) 11:16:20.51 ID:nZ5FOn/p0
「あの」
 水銀燈が口を開く。
「身体だけでも、復元してもらえないかしら」
 身を乗り出す。
「出来るんでしょう?」
「水銀燈……」
「………」
 エンジュは黙っている。
「お願い」
 そう言ったかと思うと、水銀燈は机の上に乗り、
土下座をする。
「水銀燈…!」
「……!!」
 ジュンとエンジュは、同時に目を見開いた。
「私に出来る事なら、何でもするわ、だから」
「………」
「お願い、真紅を元に戻して」
 その姿勢から、水銀燈は少しも動かなかった。




273 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/27(木) 11:22:33.53 ID:nZ5FOn/p0
「分かった」
 腕組みを解き、エンジュは水銀燈の頭を撫でる。
「君の大切な、妹なんだろう?」
「……ええ」
 顔を少しも上げず、水銀燈は答える。
「やってみよう。桜田君」
 ジュンを見やるエンジュ。
「は、はい」
「その子のパーツを、いつでもいいから持ってきてくれ」
「は、はい、ありがとうございます!!」
 ジュンは立ち上がり、深々とお辞儀をした。

 その様子を、物陰からそっと見つめる、薔薇水晶。
「………」
 頭を垂れる二人を見つめ、少しうつむいた。





278 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/27(木) 12:06:06.87 ID:nZ5FOn/p0
「お父様」
 ジュンから渡された真紅の肢体を観察するエンジュに、
薔薇水晶が話しかける。
「どうして…?」
「うん…?」
 エンジュが手を止める。
「真紅は……」
「納得いかないのかい?薔薇水晶」
「………」
 ギッと椅子を回転させ、薔薇水晶に向き直るエンジュ。
「理由は簡単なんだよ、意外と」
「簡単?」
「ああ」
 見上げる薔薇水晶。
「僕の仕事だからさ」
「仕事……」
「僕は師に負けない人形師になりたい。その一心で、君のような
美しいドールを作る事が出来た」
 抱きあげ、頬を撫でる。
 その感触に、しばし目を閉じる薔薇水晶。
「………」
「だけど」
「?」
 薔薇水晶が目を開ける。





279 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 12:06:50.08 ID:QTTnEdIy0





280 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 12:08:50.91 ID:iCXJ9DwO0
仕事・・・ね




281 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/27(木) 12:13:41.00 ID:nZ5FOn/p0
「彼女たち薔薇乙女までを否定してしまうのは、人形師がやる事じゃない」
「……否定…?」
「そう」
 頭を撫でるエンジュ。
「彼女たちも素晴らしい。今日の水銀燈のように、妹のために
プライドを捨てられる子だっている」
「………」
「それは事実だ。対抗心を、彼女たちのような弱い者たちへの圧迫に変えて
しまうと、もうそれは人形師の対抗心ではない、単なる僻みに過ぎない」
「…よく…分からない……」
「ああ、すまなかったね…」
「………」
 薔薇水晶を降ろすエンジュ。
「僕は人形師でありたい。そして、人形師とは、人形を大切にする生き物だ」
「………」
「君はそれだけ分かってくれてたらいいよ、薔薇水晶」
 ニコっと笑う。
「……はい、お父様」
 薔薇水晶も、つられてニコっと笑った。




282 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/27(木) 12:21:37.98 ID:nZ5FOn/p0
「どうやって探すの?」
 金糸雀が尋ねる。
「…知らんですぅ。知ってたら、とっくに蒼星石は捜しあててるですぅ」
 前を向いたまま。翠星石が答える。

 nのフィールドを飛び続ける二人。雛苺は能力を使えないため、
巴と一緒に部屋で留守番をしている。
「昨日はこっち一帯を探したから、今日はこっちに行ってみるですぅ」
「じゃあ、私はあっち方面に行くかしら」




285 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/27(木) 12:33:11.23 ID:nZ5FOn/p0
 金糸雀と別れた後、翠星石は飛行しながら考え事をしていた。
「ジュン………」
 桜田家を飛びだしてから、翠星石は一度もジュンに会っていない。
「………」
 彼の笑顔が脳裏に浮かぶ。それを振り払うかのように、翠星石はいやいやと首を振る。
だが、一度考え始めると、それは後から後から、翠星石の思考を支配しようと湧き出てくる。
「ううっ……」
 半ば決別した状態。なのに、どこからこんなに映像が浮かんでくるのか、翠星石にはよくわからなかった。
「今は、蒼星石を探さなくてはならないですのに…」
 頬をつねる翠星石。
 しばらく飛んでいくと、真正面に何か光が見える。
「あれは……?」
 扉だった。一枚の扉が、全体をチカチカと輝かせているのが目に入った。
 ちょうど彼女が飛んでいく方向そのままで、このまま行くと飛び込めそうである。

 何かある、翠星石は、そう直感した。




289 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/27(木) 12:57:50.10 ID:nZ5FOn/p0
 立ち止まり、ドアに触れる翠星石。
「…………」
 キィ…とゆっくりドアを開ける。
「あっ」
 半身を覗かせた翠星石は声を上げる。

 見えたのは6帖ほどの部屋。
 その室内に座っていた二人もこちらを振り向く。
「あっ」
 同時に声を上げる。

 ジュンと、水銀燈だった。




291 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/27(木) 13:11:54.19 ID:nZ5FOn/p0
 突然現れた翠星石に、ジュンは目を丸くしたまま、動けなかった。
「翠星石」
「……」
 翠星石も動けない。
 水銀燈が翠星石を見やる。それに気づいた翠星石が水銀燈に視線を移す。
それを受け、水銀燈はつい目をそらしてしまう。
「………」
 しばらく沈黙が続く。
「……ふ」
 沈黙を破ったのは翠星石。
「お邪魔だったですかぁ?悪かったですぅ」
 うつむき、そのままドアを閉めようとする。
「お、おい、翠星石」
「……」
 ドアが閉まってゆく。
「待ってくれ」
 ノブをつかみ、開け直すジュン。
 全身を現した翠星石は、そんなジュンをじっと見上げる。





296 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/27(木) 13:32:08.77 ID:nZ5FOn/p0
「翠星石」
 ジュンが一歩近づく。
「………」
 翠星石は視線をそらし、一歩退く。
 ジュンはため息をつく。
「いいよ、そのままでいいから聞いてくれ、翠星石」
「………」
「今日さ」
 お互いの間合いは1メートル。だが、それが、果てしなく遠く感じられた。
「知り合いの人形師さんの所に行ってきたんだ」
「………」
「真紅を」
「…」
「直してもらうために」
 一旦言葉を切る。翠星石は視線を逸らしたまま、指一本動かそうとしない。
「でも、身体は直せるけど」
「…」
「魂までは、同じものは作れないって」
「……」
「だから、ローザミスティカの破片は、今もここにある」
 そう言って、床を指さす。
 翠星石はちらっと見やる。袋の中、ピンク色の破片が目に入った。
「何ヶ月も掛かって」
「……」
「服も擦り切れて」
「…」
「びしょ濡れになりながら」
「……」
「水銀燈が、集めてくれたんだ」
 翠星石の視線が、再び下を向く。





297 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 13:33:59.65 ID:QTTnEdIy0
。・゚・(ノД`)・゚・。




298 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/27(木) 13:42:00.20 ID:nZ5FOn/p0
「でも、そこまでだったんだ」
 ジュンがうつむく。
「もう、ここから先は、僕にはどうする事も出来ない」
「………」
「真紅の魂を、僕の勝手で、これ以上傷つけるわけにはいかないんだ」
 声が震える。
 翠星石の視線は下を向いたままである。
「だから、一つだけ答えてほしい」
「………」
「翠星石」
 両の拳をぎゅっと握る。
「僕は、どうしたらいい?」
 またしばらく、沈黙が流れる。




299 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 13:51:25.66 ID:uAXKxVpP0
メガザル!メガザル!




300 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/27(木) 13:55:06.23 ID:nZ5FOn/p0
「………」
 二人を見つめ続ける水銀燈。
「ねぇ」
 ジュンが振り向く。
「私も訊きたいわ」
「………」
 うつむいたままの翠星石。
「貴女がどうしてここに来たのかは、私は知らない」
「……」
「でも、蒼星石の話は金糸雀から聞いたわ」
 翠星石が顔を上げる。
「きっと、翠星石。貴女は貴女で、きっと今までつらい思いをしてきたのでしょう」
「………」
「だからこそ尋ねたいわ」
「…」
「どうすれば、皆がまた元通り幸せに暮らせるか」
「…」
 沈黙。
 うつむく水銀燈。
「お前は」
 顔を上げる。
「水銀燈はどうしたいのです?」
 こちらを見据え、翠星石が口を開いた。




301 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 13:55:42.31 ID:To7a/VDSO
メガネザル!メガネザル!




302 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 13:58:05.52 ID:uAXKxVpP0
             __
          ,.-'": : : : : ヽ-;
         r'"r''_`ヽ: : : : マノ
         ミ□□'彳ミ: : : : :ミ
         r', }ノ: : : : : : ミ
        r''〈-─ ミ: : : : : ミ: ミ
       ,'  ヘ、xxxミミミミ: : :ミ
       /;: : : : : : : ヾ、: : : : ミ: :ミ
      ./ノ: : : : : : : : : : : : : : : : : :i
     /,': : : : : /: : : : : : : : : : : : : l
    ,'/: : : : :/: : : : : : : : : : : : : : :l
    ,'j: : : : : : 〈: : : : : u: :u: : : : : : : l
    ll: : : : : : : :ヽ、: : : : : : : : : : : : : :r‐ 、
   彡: : : : : : : : : : `ヽ: : : : : i: : : : :l: : : i
  ,r'"¨`ヽ、: : : : : : : : : : ヽ: : : j: : : : ::l: : : ll
  l: ',: : : : : `ヽ、: : : : : : : : ヽ: j: : : : : ミ: : :j:l
  '',: ヽ: : : : : : : :`ヽ: : : : : : :ミj: : : : : ミ: : :j:l
  ヽ: :ヽ: : : : : : : : : :ヽ: : : : 〈: : : : :ミ: : : /j
__ヽ、: :`ヽ、: : : : : : : :ヽj: : j: : : : 〈: : ://
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 ̄ー//´ ̄¨ー、__ヽ,ヽヽヾタr'": : : :/: :イ   `i i
_¨´_      `¨´`¨´゙7:/:/:/:ノー''"、_  | |
     ¨ー── 、__ レ_/_/ノ_   ヽ、.| |




305 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/27(木) 14:17:03.19 ID:nZ5FOn/p0
「私は真紅を呼び戻したい」
 水銀燈は真っ直ぐ彼女を見据え、即答した。
「そのために、私はここにいるの」
 翠星石は視線をそらさない。
「誰もがお金持ちになれるわけじゃないわ」
「………」
「スーパースターなんて、ほんの一握りの人間しかなれない」
「………」
「生まれつきの運・不運もあれば、容姿で既に差がついている事なんてザラよ」
「………」
「でも」
 立ち上がる水銀燈。
「幸せになる権利は、誰にだってある」
「………」
「誰だって、幸せになれるわ。どれだけ先天的にめぐまれなかった人間だって」
「……」
「そうでしょう?そうじゃなきゃ、おかしいわ」
「……」
「だから、真紅も、蒼星石も、呼び戻してあげなきゃ」
「……」
「それは、今残されている、私たちのやるべき事」
「……」
「私はそう思うから」
 そのまま、翠星石に近づいていく水銀燈。





306 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 14:18:19.51 ID:iCXJ9DwO0
泣けるな・・・




307 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 14:18:34.54 ID:QTTnEdIy0
僕にもあるのでしょうか幸せになる権利




310 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/27(木) 14:22:56.72 ID:nZ5FOn/p0
 ジュンの前に立ち、翠星石を見つめる。
「……お、おい…」
 表情は変わらなかった。
「………」
 翠星石も同じで、水銀燈を見つめる目に、動揺は見られない。
「私は行くわ」
「…どこへ行く気ですぅ?」
 見つめ合ったままの二人。
「貴女の妹を、探しに行くのよぉ」
「………」
「どうする?ついてくる?」
「……」
 沈黙。
「ついてくるじゃねえです。『一緒に行く』つもりです」
 表情一つ変えず、翠星石は答えた。




311 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 14:24:18.87 ID:rpT7vWqQ0
>「生まれつきの運・不運もあれば、容姿で既に差がついている事なんてザラよ」


。・゚・(ノД`)・゚・。どう見ても俺のことです




317 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/27(木) 15:04:48.72 ID:nZ5FOn/p0
「ちょっと心細くなってきたかしら……」
 同じ頃、金糸雀はピチカートと共にnのフィールドを
駆け巡っていた。
「蒼星石…」
 金糸雀は、蒼星石とは実の所そんなに親しいわけではない。
初めて出会ったのはこの時代で、翠星石たちと違い、向こうからも
そんなに絡んでこないし、どこか他人行儀に振る舞われていた。
 ただ、翠星石の落ち込みようが凄まじかったという事だけが、
彼女を突き動かしていた。
「………」
 翠星石が前を向いた事で、金糸雀自身、大きく救われた。
そしてそれが、前は気づかなかった疑問を呼び起こしている。
「どうして…」
 ローザミスティカが体内に留まっているのか。
 誰かに倒されたのなら、必ずローザミスティカは身体から離れ、倒したドールの
ものとなる。
 あまり考えたくはないが、自刃した場合、本人が望むドールのもとへ向かうはずである。
「………」
 一つの仮説が浮かんでいた。
 蒼星石は、目覚められないのではなく…
「…何かの目的で、目覚めようとしていない…?」
 思わず口に出す金糸雀。




319 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 15:17:16.90 ID:rpT7vWqQ0
金糸雀ガチで頭脳派だなww




321 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 15:22:39.49 ID:HkEvHYgD0
金糸雀は思いやりのある子だよ
原作では翠にからまわりしてるって突っ込まれてたけど




323 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/27(木) 15:37:13.12 ID:nZ5FOn/p0
「………」
 鏡に手を当てたままの雛苺。
「ねえ」
 巴が後ろから話しかける。
「なぁに、トモエ」
「話があるの」
 雛苺が振り向く。その目には、不安が覗いている。
 巴は少し言葉をつぐむ。
「トモエ、元気出すなの」
 ギッ、と音を立て、ゆっくりと雛苺が近寄ってくる。ぽふっと音を立て、
巴の膝へと倒れ込む。
「………」
 雛苺を撫でる巴。
「あのね、雛苺」
「うん」
 目を閉じたまま。
「怒らないで聞いて頂戴ね」
「うん」
 ぎゅっと巴の腕を握る雛苺。




324 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 15:42:01.47 ID:QTTnEdIy0
何があったんだ…




325 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/27(木) 15:47:52.64 ID:nZ5FOn/p0
「………」
 巴の膝枕に、気持ちよさそうに笑っている雛苺。
「貴女はね、このままだと、もうじき止まっちゃうの」
「うん」
 巴はその即答に、思わず抱きしめる。
「だからね」
「うん」
「誰か他のドールと、真紅の時みたいに、契約し直したら、どうかなぁって」
「……うん」
 頭を撫でる巴。
「思ったんだけど…」
「………」
「貴女は…」
「ヒナ、分かってたの」
 うっすらと目を開ける。
「えっ」
「分かってて、ヒナは巴を選んだの。だけど……」
「………」
「おかしいのよ、ヒナね…」
「………」
「最近、遊んでても、とても眠いの…前みたいに、皆と遊んでて、楽しくないの。
何だか、身体が重たくて……」
「………」
「でも、それは、真紅との時から分かってた事なの。ヒナの生命のために、
真紅はあんなに厳しくしてくれたんだって……」
「………」
「真紅がいなくなって、ヒナの生命がまた、止まっちゃうのは分かってたわ」
「雛苺……」
「でも、ワガママ云っちゃったの…ヒナは皆に…トモエに………」
 ギギィ、と音が鳴る。




326 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 15:48:35.32 ID:iCXJ9DwO0
雛が・・・雛が・・・!




327 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/27(木) 15:54:55.00 ID:nZ5FOn/p0
「………」
 巴は、何を言っていいのか分からなくなっていた。
「でも、ワガママだけじゃ、ダメって気づいたの。トモエは人間で、
ヒナはお人形だから……」
「雛苺…」
「トモエ……」
 ギィ、と音がして、雛苺が巴を見上げる。
「ヒナに一つだけ質問させて…」
「…うん……」
 巴は、自分が涙ぐんでいるのに気づく。
「トモエは……ヒナがいなくなっちゃうと…悲しいの……?」
 雛苺は、ぎゅうっと巴の腕を握りしめた。




328 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 15:55:34.70 ID:QTTnEdIy0
うぅっ




329 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 15:55:52.91 ID:uzb5pPAlO
雛ー!




330 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 15:56:03.73 ID:HkEvHYgD0
そっか…真紅が居ないから雛まで…




332 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/27(木) 16:01:36.37 ID:nZ5FOn/p0
「悲しいわ。私はとても悲しい」
 何度も頭を撫でる巴。
「そう…なの」
「……」
 ギィ、ギィ、という音だけが響く。
「……トモエ、わかったの…ヒナは……」
 そう言うと、雛苺はおもむろに、巴の左手を取る。
「…雛苺?」
 その瞬間、彼女が何をしようとしているか、巴は理解した。
「ふふ…」
 手を取り、一度巴を見上げる雛苺。その顔は、いつもの優しい微笑みに
包まれている。
「ねえ、トモエ……ヒナ、成長したでしょ……」
 唇を指輪に近づけていく。
「ええ…貴女は、立派になったわ、雛苺」
 部屋が一瞬まばゆく光り、すぐに元に戻った。




333 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/27(木) 16:07:25.20 ID:nZ5FOn/p0
「まずは金糸雀を見つけるないと、ですぅ」
 飛びながら翠星石が口を開く。
「金糸雀も来てるのか?」
「ですぅ」
「………」
「スィドリーム」
「メイメイ」
 二人が同時に人工精霊を出す。
「金糸雀を見つけて、合流の合図を送るですぅ」
「こちらも同じよ、メイメイ」
 人工精霊が飛び立った後、二人は顔を見合わせる。
「考える事は同じなのかもね、案外」
「ですぅ」
 そして同時に、ふふっと笑った。




334 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/27(木) 16:08:10.13 ID:nZ5FOn/p0
誤字が多いがスマヌ




339 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/27(木) 16:32:44.54 ID:nZ5FOn/p0
「待ってーピチカート」
 突然動きを速めたピチカートに、金糸雀は少々焦っていた。
「何か見つけたのかしら……」
 向かう先で、ピチカートが留まっているのを発見する。
「なぁに?ピチカート」
 キィン、キィン、と煌く人工精霊。
「あっ」
 金糸雀は声を上げた。見憶えのある、シルクハット。
「蒼星石の帽子かしら!」
 思わずそれを手に取る。
「とすると……彼女はここの近くに…?」
 注意深く辺りを見回す。
「ピチカート」
 帽子を持ったまま、金糸雀が口を開く。
「この帽子と、同じ意識、なるべく近い意識を、探してほしいかしら。ただし」
 もう一度辺りを見回す金糸雀。
「気をつけて」
 その言葉を聞き終え、ピチカートが飛び立った。




341 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/27(木) 16:38:30.97 ID:nZ5FOn/p0
 それは意外にも簡単に見つかった。
帽子を発見した地点の斜め上。
「あのドア、光ってるかしら……」
 ピチカートがそこで光り続けている。
「……!!」
 ドアの前に立つ金糸雀。
「ピチカート」
 傘を閉じる。
「カナが行ってくるかしら。貴方は念のために、ここで待ってて」
 キィン、と光ったのを見届け、金糸雀はドアを開いた。


 そこで待機するピチカートを最初に見つけたのは、メイメイである。
ほどなくして、水銀燈たちが飛んできた。




343 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/27(木) 16:45:16.07 ID:nZ5FOn/p0
「ピチカート!」
 水銀燈がまず叫んだ。
「あのドア…?」
 水銀燈がピチカートに事情を聴いている。
 ジュンはふと、隣の翠星石に目をやる。
 見られている事に気づいたようだ。翠星石は一瞬こちらを見上げ、
恥ずかしそうに両手を遊ばせる。
「翠星石」
 ジュンが口を開く。
「な、何ですぅ…?」
「……ごめんな…あの時は……」
 翠星石がジュンを見上げる。
「……」
 怒っているのだろう、とジュンは思った。
「……別に、もう気にしてないですから」
 今度はうつむいて、翠星石は答えた。

「このドアの中よぉ」
 水銀燈が手招きしている。
「行くですぅ。ジュン」
「ん?」
 翠星石がぎゅっとジュンの右手を握る。それにどきっとするジュン。
 扉が開かれ、3人と3体は、その中に飛び込んでいった。




344 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 16:47:13.26 ID:QTTnEdIy0
JUM・・・




345 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 16:52:29.12 ID:rpT7vWqQ0
くそっ・・・JUMめ・・・・羨ましいやつだ




346 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/27(木) 17:03:30.53 ID:nZ5FOn/p0
 そこは、昔の子ども向けアニメに出てきそうな、洋館の廊下みたいな所だった。
「ここは……?」
 人工精霊を先に飛ばしながら、水銀燈がきょろきょろ見回す。
「何だか懐かしい感じがするですぅ」
 手を繋いだままの翠星石。ジュンは、それについては、
今は何も言わない事にした。今この手を切ってしまうと、もう二度と
繋げないような気がしたのだ。
 角を曲がると、二階へ続く階段がある。
「………」
 先頭を行く水銀燈は、そこで立ち止まる。
「ピチカート」
 上を見上げる。
「金糸雀はどこにいるか、わかる?」
 その言葉を受け、ピチカートがゆっくりと二階へ上ってゆく。
「………この上か」
「決まりね」
 水銀燈は後を追った。




348 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 17:13:01.60 ID:nZ5FOn/p0
「あっ」
「あっ」
「あっ」
「あっ」
「あっ」
 5人が同時に叫ぶ。
「金糸雀!それに……蒼星石!!」
 水銀燈が続けた。
「蒼星…石…!?」
 翠星石が立ち尽くす。
 階段を上がった先には、金糸雀と、他でもない、捜していた蒼星石が
立っていた。
「翠星石!それに……水銀燈!ジュン君!!」
 蒼星石が声を上げる。
「馬鹿ぁっ……!」
 翠星石が顔をくしゃくしゃにして走り寄り、抱きつく。
「何やってたですかぁっ…!翠星石を独りにして……!」
「ご、ごめんよ…翠星石…!」
「うぅ……淋しかったですよぅ…翠星石は…翠星石は…」
「………」
 泣きじゃくる姉の頭を、優しく撫でる蒼星石。




349 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 17:15:04.42 ID:QTTnEdIy0
酉なしで
「あっ」
「あっ」
「あっ」  とか言われたからびびったわ




350 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 17:16:13.92 ID:nZ5FOn/p0
「どうしてここに?」
 水銀燈が尋ねる。
「カナが説明するかしら」
 金糸雀が口を開く。
「結論から言うわ。お父様はこの扉の向こうにいるの」
「!?」
 水銀燈が目を見開く。
「何ですって!?」
 翠星石が顔を上げる。
「えっ」
 ジュンが驚く。




352 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 17:18:10.33 ID:auKJLNVY0
ローゼンキター!




353 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/27(木) 17:22:23.06 ID:nZ5FOn/p0
 二階のホールには大きな二枚扉のみ。
 その前に佇む5人。
「ほ…本当に…?本当なの金糸雀!」
 水銀燈が金糸雀の肩を掴む。
「いっ、痛いかしら水銀燈…」
「あれから、僕は一人でお父様を探し続けていたんだ」
 蒼星石が、姉の頭を撫でながら口を開く。
「あれから…?」
「そうだよ。僕が土手に倒れていた日から。何ヶ月も」
「………どうしてですぅ?一言くらい…」
 翠星石がまた泣き始める。
「ごめんね、翠星石。でも…真紅の事故の原因は、僕の狭量が招いた事だから…」
 そう言ってうつむく蒼星石。





354 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 17:23:24.38 ID:rpT7vWqQ0
なん・・だと・・?




355 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 17:33:12.39 ID:auKJLNVY0
たしかにそうだったな・・・




357 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/27(木) 17:46:41.49 ID:nZ5FOn/p0
「じゃあ、早速会いに行かないと」
「いや」
 蒼星石が咎める。
「お父様は、アリスが誕生しないと僕たちには会ってくれない」
 うつむく蒼星石。
「何度も開けようとしたけどダメだった」
「蒼星石……」
「じゃあ…思い切って」
「壁や扉を壊そうとしても無駄だよ」
 翠星石の頭を撫で、ため息をつく蒼星石。
「じゃあ……」
 水銀燈が口を開く。
「別に、『アリスが誕生しないと会わない』って言うのは、私たち、ドールだけに
当てはまる事でしょう?」
「えっ………あ」
 金糸雀が水銀燈の後ろを見やる。
「なるほど」
 蒼星石がこくんと頷く。
「その通りよ」
 振り返る水銀燈。
「ジュン」
 ごそごそと、懐から真紅のローザミスティカを取り出す水銀燈。
「もう貴方しかいないから」
 袋を渡す。
「頼んだわよぉ」
 ジュンの尻をポンと叩き、水銀燈は階段を下りていく。




359 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 17:50:18.88 ID:uAXKxVpP0
あれ・・・?槐用無し・・・?




360 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 17:51:52.18 ID:2cGdE5ssO
槐涙目wwwwww




361 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/27(木) 17:53:10.35 ID:nZ5FOn/p0
「えっ…あの…いや…」
 突然の事に驚くジュン。
「驚くのはしょうがないかしら。でも、ジュン君しかいないのよ」
 金糸雀も続いて階段を下りる。
「ジュン君」
 蒼星石が声をかける。
「君にしか出来ないんだ。これは」
 翠星石を促し、階段を下り始める。
「任せたよ」
 振り返るジュン。
「ジュン」
 泣き腫らした目の翠星石。
「真紅が待ってるですよ。私たちは下にいるですから」
 一度振り返り、そしてまた階段を下り始める。
「頑張るですぅ」
 全員が二階から消え、困惑したジュンの後ろで、カチャリと音がした。




362 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/27(木) 17:58:35.20 ID:nZ5FOn/p0
「!!」
 振り返るジュン。
「………」
 ドアがゆっくりと開いてゆき、中から眩しい光が溢れてくる。
「これは…」
 ジュンはその光を見つめ、やがて、ゆっくりと前に進み始めた。







363 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 17:58:36.02 ID:auKJLNVY0
待て待てwwwwww体を修復するのはあくまで槐だろwwwwwwww




364 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 17:59:21.26 ID:HkEvHYgD0
槐さらにローゼン恨むな…




366 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/27(木) 18:12:36.63 ID:nZ5FOn/p0
 10日後。


 チリン、チリン、と音がして、Enju堂の扉が開く。
「こんにちはー」
「こんにちはぁ」
 入ってきたのは、ジュンと水銀燈。
「いらっしゃいませー、おや、桜田君!電話の件ですね。どうぞどうぞ」
 出てきたのは白崎。前と同じ、応接室に通される。
「すぐ呼んでくるからね」
 白崎が消える。

「ねえ………」
「うん?」
 ソファに座り、水銀燈が口を開く。
「ジュン、一つお願いがあるんだけど、いいかしらぁ」
「何?」
 両手をぎゅっと握る水銀燈。
「どうした?」
 水銀燈がジュンを見上げる。
「ん?」
 ジュンは優しい顔でこちらを見つめる。
「ううん、やっぱり何でもないわぁ」
 そう言って、前に向き直る水銀燈。
「何だよ勿体ぶって」
「いいのよぉ。全てが終わってからで」
 もう一度、ジュンを見上げる。
「ふふ」
 水銀燈は、優しく微笑んだ。





367 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/27(木) 18:16:49.26 ID:nZ5FOn/p0
「そうか」
 ジュンは前を向き、少しうつむく。
「なあ、水銀燈」
「なぁに」
 ジュンの表情が曇る。
「ローザミスティカは復元出来た」
「?」
「でも」
「…どうしたの」
 怪訝そうな表情を浮かべる水銀燈。
「一つだけ、ローゼンに言われた事があるんだ…」
 ガチャリとドアが開き、そこからエンジュが現れた。

 そして。

 その腕に抱かれているのは、ジュンが夢にまで見た、真紅の少女。

「真紅」
 ガタッと、思わず立ち上がるジュン。




368 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 18:17:02.04 ID:rpT7vWqQ0
フラグかあああああああああああああああああ




369 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 18:21:46.48 ID:A8M/B7v60
土器土器




370 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/27(木) 18:25:24.67 ID:nZ5FOn/p0
「真紅」
 水銀燈も立ち上がる。
 エンジュはそんな二人に優しく微笑む。
「ドレスの素材は、同じものを選んでおいたよ。身体や眼球の破損部分も、
髪質も、以前と同じものをね」
 そう言って、抱いている真紅を、ジュンに渡す。
「あ、ありがとうございます!!本当に!!」
 何度も頭を下げる。

 ジュンは改めて、自分の腕の中の少女を見つめる。
真紅は、まるでただ、眠っているかのようだった。
 以前のまま。
 いや、いつもの真紅が、今こうして、自分のもとに戻ってきた。
「………っ!!」
 ジュンは涙をこらえきれなかった。
 水銀燈も鼻をすん、すんと鳴らし、涙を流している。
「真紅、私よ。水銀燈よぉ」
 まだ器だけなのは理解している。それでも、声を掛けずにはいられなかった。




371 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 18:26:11.45 ID:rpT7vWqQ0
(;_ ;)ウウ・・・




373 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 18:31:32.96 ID:zphNsMkd0
しんくうううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううう




374 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/27(木) 18:40:49.69 ID:nZ5FOn/p0
「ねえ」
 家路の途中、水銀燈が口を開く。
「さっき」
「ん」
「言いかけてた、お父様に言われた事って……何なの?」
 水銀燈が見上げる。
「それは……ああ、いや、家に帰ってから話すよ」
「そう」
 水銀燈は前を向く。
 カンカンカンカンという音。二人の目の前で、列車が通過していく。
 水銀燈の左手が、もじもじと動いている。
「……」
 ちらりと、ジュンを見上げる水銀燈。ジュンは、両手で大切そうに真紅を抱きかかえ、
何度も髪を撫でている。
 こちらの視線には気づいていない。
「………」
 水銀燈の左手が、ふっと上がろうとする。
「………」
 ぎゅっと拳を握り、唇を噛んで、水銀燈は腕を下げた。
 




378 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/27(木) 18:53:28.43 ID:nZ5FOn/p0
「ねえ、ジュン」
 山の麓。片側二車線の道路を通っている時、水銀燈が言葉を発した。
「何?」
「ちょっと寄りたい所があるんだけど、いいかしらぁ?」
「ああ、いいけど」

「はぁっ、はぁっ」
 山の石段を、一つ一つ登ってゆくジュン。
「お、おい、まだか水銀燈……」
「もう少しよぉ」
 飛びながら先導する。
 山の中腹まで来た頃、そこから先が、広場になっている事に気がついた。
「ここよぉ」
 そこから二、三段更に登り、その先一面に真っ赤な絨毯が広がっている。
「うわ………」
 ジュンは思わず声を上げる。
「綺麗でしょ?」
 振り返る水銀燈。
「あ、ああ………真紅の色だ……」
「ふふ」
 水銀燈が微笑む。
「彼岸花だな……」
「彼岸花?」
「ああ、ちなみに有毒だからな」
「えっ」 
 思わず飛び上がる水銀燈。
「大丈夫だよ、食べなきゃ」
 ははっとジュンが笑う。




379 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 18:58:09.89 ID:es/zP6b80
これは…!




380 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/27(木) 19:00:21.90 ID:nZ5FOn/p0
「う、うるさいわねぇ、何笑ってんのよぉ」
 顔を真っ赤にする水銀燈。
「でも、綺麗な色ねぇ……やっぱり」
「そうだな…」
 一度真紅の顔を覗きこむジュン。
「そう言えば」
「うん?」
 ひゅうっと舞い降りる水銀燈。
「どうして『彼岸花』って言うの?」
「うん………何だっけな…」
 眉間にしわを寄せるジュン。
「柏葉……雛苺のミーディアムの…柏葉が言ってたんだけど……うろ憶えだからな」
「ええ」
「彼岸ってのは、彼の岸、つまり、向こう、『あの世の岸』ってのを意味してるんだ」
「はあ…『あの世』って?」
 水銀燈が尋ねる。
「死んだ人が行くって言われてる世界だよ。僕らが生きてる世界は、この世」
「死んだ人……」
 めぐの顔を思い出す。
「昔からこの国には『お彼岸』っていう風習があって、春分…めんどいな、
春と秋のこの季節くらいに、死んだ人のお墓参りをするんだ」
「はあ」
「あんまりよくわかんないだろ、この国の風習なんか」
「ええ、ちっとも」
 あはは、と笑う水銀燈。





384 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/27(木) 19:06:18.02 ID:nZ5FOn/p0
「まあ、その『お彼岸』の季節に咲くから『彼岸花』って言うらしいけど…
わかんないぞ、僕も。宗教的なものとか、色々説があるらしいから、一概には」
 ふうっとため息をつくジュン。
「そうなの…でも、何だか儚いわねぇ…見つめていると…」
 こちらもふうっとため息をつく。
「そうそう…何か花言葉も教えてもらったな…何だっけな……」
「ハナコトバ??」
 首をかしげる水銀燈。
「ああ、なんか人に花を贈る時は、その花その花でメッセージがあるらしいんだ」
「何よそれ。花言葉なんて初めて聞いたわぁ」
 ぷっと吹き出す。
「まあ、あんまり日常では関係ないけどな」
「そうよぉ」
 そう言うと、水銀燈は奥へと歩を進める。
「ところで、何しにここへ?」
 ジュンが後をついていく。
「ここにね、私のミーディアムが、眠っているのよぉ」
 水銀燈は、ぽつりと呟いた。
 





385 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 19:07:15.14 ID:QTTnEdIy0
・・・




386 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/27(木) 19:13:52.84 ID:nZ5FOn/p0
「えっ……」
 ジュンは言葉を失った。
「前言ってた……」
「そうよぉ」
 更に石段を登り、御影石が立ち並ぶ場所へと出る。その内の一つのところに、
水銀燈はしゃがみ込む。
 ジュンが後を追い、同じようにしゃがみ込む。

『柿崎家之墓』

「柿崎めぐ。私のミーディアムだった人の名前よぉ」
 しゃがみ込んだまま動かず、水銀燈は呟いた。
「水銀燈……」
「ジュン、貴方も、私たちドールも、いつかはこうやって土に還るのねぇ」
「………」
 ジュンは黙っている。
「何故かしら?何となく、今日はここに来てしまったの」
 お墓を撫でる水銀燈。




418 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/27(木) 20:44:38.68 ID:nZ5FOn/p0
 山麓から、ヒュウウッと冷たい風が吹いてくる。
夏が終わり、本格的な秋に入ろうとしているのだ。

 しばらく水銀燈はお墓を見つめていた。
その背中を見つめるジュン。
 人間と人形。
 決して相容れない関係。

 半年という時間。
 雛苺。
 巴。
 金糸雀。
 翠星石。
 蒼星石。
 エンジュ。
 水銀燈。
 そして、ローゼン。

 絶望に晒されていた真紅は、様々な力を借りて、今、こうして
自分の腕の中で眠っている。
 彼女は人形だから、それが出来た。
 だが、今目の前の石の下に眠る、水銀燈のミーディアム。
彼女は二度と戻ってこない。
 その事実を、この第1ドールはどう受け止めているのだろうか。

 真紅を抱く腕に、力をこめる。





421 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/27(木) 20:52:31.50 ID:nZ5FOn/p0
「帰りましょう」
 日が西に傾きかけた頃、水銀燈がようやく立ち上がった。
 振り向いた彼女の目が、何だか赤く見えたのは、きっと気のせいでは
なかっただろう。
 リズムよく石段を下りていく水銀燈の背中は、かえって
淋しさを感じさせた。



「ねえ」
 玄関で靴を脱ぐジュンに、水銀燈が話しかける。
「何?」
「お父様は……何て」
 ジュンが振り返る。
「何て……言ったの?」
「ああ」
 会話が止まる。

「『同じものは、二度は作れない。その覚悟だけは、しておいてほしい』」

 ホールに上がるジュン。
「それだけ、言われた」
「……そう……」
 水銀燈はうつむき、両の肘を、ぎゅっと抱きしめた。





424 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/27(木) 21:02:30.08 ID:nZ5FOn/p0
 ドアをガチャリと開ける。

「遅いですぅ」
 翠星石がため息をつく。
「長かったね」
 蒼星石が労う。
「いよいよかしらー」
 金糸雀が笑う。
「あっ、真紅なのー」
 雛苺が指さす。
「目が覚めたら、真紅に『お帰り』って、言ってあげましょう」
 巴が雛苺の頭を撫でる。その手には、薔薇の指輪がない。

「よっ……と」
 真紅をベッドに寝かせるジュン。
「真紅……」
 ベッドの端で、水銀燈が心配そうに見つめる。
「スィドリーム」
「レンピカ」
 蒼星石と翠星石が人工精霊を呼びだし、その2体が飛び交う間に、
ピンク色の宝石が浮かんでいる。
「じゃあ、いくぞ……」
 ローザミスティカを手に取り、ジュンが真紅の身体へと近づけると、
それはゆっくりと、真紅の体内へ消えていった。




425 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 21:03:20.40 ID:9naaxMDG0
・・・ゴクリ




426 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 21:03:51.37 ID:HkEvHYgD0
おぉ…




427 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 21:04:02.21 ID:1q+cVPmQ0
ハッピーエンドの兆しが・・・




428 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 21:06:44.67 ID:QTTnEdIy0
真紅・・・




431 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/27(木) 21:08:35.50 ID:nZ5FOn/p0
 しばらく沈黙が流れ、やがて真紅の身体が光り輝き始めた。
 7人とも、固唾を飲んで見守っている。

 数秒の後、光が消える。


・・・・・・・・・・・


「……真紅」
 ジュンが呼ぶ。
「真紅」
 水銀燈が続ける。
「真紅、起きてなの」
 雛苺が声を上げる。


 ギ、ギィ、と、真紅の身体が動いた。
 しばらくの後、ブルーの2つの目が、半年ぶりに開かれた。




432 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 21:08:59.32 ID:Kvb0Krfj0
大団円で終わってくれよ…頼むから





433 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 21:09:30.41 ID:QTTnEdIy0
鬱エンド回避でよかった




436 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/27(木) 21:13:05.01 ID:nZ5FOn/p0
 真紅はゆっくりと顔を動かし、ジュンを見つめる。
「真紅…!僕だよ、分かるか?」
 ジュンが真紅の手を取る。
 真紅はこちらを認識しようとしているのか、その虚ろな瞳の照準をジュンに
合わせ、何事か口を動かした。
「真紅…!」
 ほっとした表情を見せるジュン。



――――だが、それまでだった。




438 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 21:13:55.77 ID:QTTnEdIy0
ナ、ナンダッテー




440 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 21:14:15.18 ID:9naaxMDG0
腐ってやがる・・・早すぎたんだ




441 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 21:15:15.84 ID:kDDS+ISp0
なん・・・だと・・・・?




444 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/27(木) 21:17:38.33 ID:nZ5FOn/p0
 真紅の動きはそこで停止した。
「……真紅?」
 様子がおかしい事にジュンが気づく。
 真紅はジュンをしばらく見つめたまま、やがて眼を再び閉じた。
「あ………」
 握った左手から力が抜けるのを感じたジュンは、小さく震え続けた。





 日がすっかり落ち、夜になり、金糸雀たちは帰ってしまった。
残されたのは眠ったままの真紅と、ジュン、水銀燈、蒼星石、翠星石である。

 4人とも、何も喋る気にならなかった。




451 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/27(木) 21:28:07.58 ID:nZ5FOn/p0
「真紅………」
 肩を落とし、とぼとぼと歩き続ける金糸雀。
「うゅ………」
 雛苺は目をこすりながら並んで歩き続ける。
「そ、そんなに肩を落とさないで、二人とも。きっと、きっと…大丈夫だから…」
 巴の言葉も、二人の耳には入っていなかった。

「じゃあね、また何かあったら呼んで」
 巴が二人に向かって手を振る。
「わかったかしら」
「バイバイなの」
 手を振る雛苺。その淋しそうな表情に、巴は胸を押さえる。
「雛苺」
 しゃがみ込み、肩を抱く巴。
「頑張って。新しいマスターさんにもよろしくね」
「う……」
 鼻をすすり始めたかと思うと、雛苺の目から涙が溢れ出てきた。
「と…も…え」
「雛苺…」
「うわああぁぁぁん!!トモエ!!トモエ!!トモエェェ!!」
 抱きつき、泣き叫ぶ雛苺。
 そんな彼女を抱きしめ、巴の目にも涙が溢れてくる。
「大丈夫よ、雛苺。悲しいのは、きっと今だけだから…」
 鼻をすする巴。
 金糸雀はそんな二人を見て、ごしごしと目をこすった。




452 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 21:29:30.11 ID:2cGdE5ssO
(´;ω;`)ウッ




454 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 21:31:19.10 ID:9naaxMDG0
金糸雀経由でみっちゃんをミーディアムにするのか




459 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/27(木) 21:59:47.69 ID:nZ5FOn/p0
なんか吐き気する
ちょっと休憩




460 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 22:00:04.61 ID:QTTnEdIy0
お大事に




461 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 22:02:13.19 ID:9naaxMDG0
だいじょぶか




472 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/27(木) 22:42:10.60 ID:nZ5FOn/p0
ごめ
盛大にゲロ吐いてました
死ぬかと思った
カーペットゲロだらけで俺涙目





473 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 22:42:20.03 ID:kDDS+ISp0
>>471
!!




474 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 22:42:52.58 ID:rYqpmC2e0
>>472
いったい何が起こったのだ……




475 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 22:43:06.51 ID:kDDS+ISp0
>>472
ホントに大丈夫か




494 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/28(金) 00:05:22.58 ID:ZVa8uBu00
明日完結させます ごめんね皆




495 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/28(金) 00:05:47.60 ID:20a2lEK20
お疲れです




496 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/28(金) 00:06:33.79 ID:bDwgxTPU0
健康第一、命あってのももたね。ゆっくり休んでくれよ!




530 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/28(金) 05:00:15.10 ID:t42QWXsSO
    r '´ ̄ ̄ ̄ ̄`¨i
    |_, -――― - L.
  r'´            /
  ヽ._, -――――‐ -'、
   / / \\ \ \ ',
   イ / > ヽ `<ヽ\l l          ホシュー
    イ|  、_   | トレ'´{ー、_./ ̄l  
     |l> 、\__) ィ/} _」 | ||_フノ
     と.」_|{ {_」}_} |   }ー' ̄´
       \ヽ.」._ノ_/
       / ̄l凶/   \- 、
   _    ハ   -z. __ .ノ}  ヽ
  / ヽzく.厶_/     \_.ノ
  \     }
      ̄' ┘





560 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/28(金) 11:34:25.97 ID:ZVa8uBu00
おはよう
点滴から戻ってきた
今日は仕事を休みました
嘔吐下痢だそうです




563 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/28(金) 11:39:23.46 ID:zjOoDq+sO
無理はしないでね




564 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/28(金) 11:39:33.73 ID:R0JukXhi0
大丈夫かいの




565 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/28(金) 11:41:36.10 ID:ZVa8uBu00
大丈夫だとも 俺は書く




566 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/28(金) 11:51:07.34 ID:20a2lEK20
点滴だとおお
結構やばいじゃないか




567 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/28(金) 11:57:19.31 ID:ZVa8uBu00
 その晩、ジュンは一睡もしなかった。

 もう何度、ゼンマイを巻き直したか分からない。だが、何度巻いても、
真紅が起き上がる事はなかった。
「………」
 真紅を見守る4人。
「真紅……」
 手を取り、握りしめたままの水銀燈。時計は、午前2時を回っている。
「ジュン、少し休んできたら?」
 顔色を窺いながら、水銀燈が口を開く。
「ん、ああ……」
 おもむろに立ち上がる。
「ちょっと水飲んでくる。お前らも、今日はもう帰れよ」
 頭をぽりぽりとかきながら、ドアの向こうに消える。
「………」
 そのドアをしばらく見つめていた翠星石が立ち上がる。
「どこ行くの?」
 蒼星石が尋ねる。
「………」
 翠星石はそれには答えず、ドアの向こうに消えた。





570 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/28(金) 12:05:13.52 ID:ZVa8uBu00
「ふぅ……」
 リビングの明かりをつけ、ジュンはコップに水を汲む。
 ソファに座り、虚ろな目で床を見つめる。
 ふと、テレビの脇、くんくんのビデオが積んであるのが目に入る。
 埃をかぶったそれは、もう何ヶ月放置されているのだろうか。
「………」
 ぐいっと水を飲み干す。
 まずい。いつも通りの水道水。
「……」
 何が足りないのだろう。ローザミスティカが不完全だったのだろうか?
真紅の身体に、おかしいところは何もない。
 だが、逆に、これ以上何か試みる術があるのだろうか。
 やれる事はやった。
 だからこそ、ジュンの心に、じわじわと絶望が入り込んでくる。
「コンコン」
 ジュンはリビングのドアを見やる。
「入るですよ」
 一瞬、ジュンの心が身構えた。




572 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/28(金) 12:14:15.48 ID:ZVa8uBu00
「ねえ……」
 真紅の髪を撫で続ける水銀燈。
「……うん?」
 ベッドに寄りかかる蒼星石。
「何が、いけないのかしら」
 慈しむような仕草。こんな彼女を見るのは、蒼星石は初めてだった。
「何って?」
 蒼星石が尋ねる。
「遡れば、原因は幾らでも突き止められるけど」
 ふっとため息をつく水銀燈。
「こうして真紅は戻ってきた」
「……」
「でも……何かが足りない…」
「………」
「それは私には分からない」
 蒼星石の視線が下を向く。
「僕だって」
 水銀燈が横を向く。
「分からない事だらけさ」
 ため息をつく蒼星石。
「でも、これだけは言えるんだ」
「……」
「償いは、まだ終わっていないんだって」
「…」





573 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/28(金) 12:14:42.55 ID:ZVa8uBu00

「翠星石に迷惑を掛けて、ようやくお父様を探しあてました」
「……」
「ローザミスティカを復元してくれました」
「…」
「でも、僕の優しい妹は、戻ってきてくれませんでした」
 更にうつむく。
「それじゃ駄目なんだ」
「蒼星石…」
 真紅を撫でる手が止まる。




577 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/28(金) 12:21:51.36 ID:ZVa8uBu00
「でもさ」
「うん?」
「真紅はここにいる」
 真紅の手を取る蒼星石。
「ローザミスティカが体内にある以上、それは間違いないんだ」
「ええ」
「きっと、何かが足りないんじゃなくて」
「足りないんじゃなくて?」
「……」
 蒼星石はそこで言葉を切った。
「ごめん、変な推測してもしょうがないよね」
 ははっと小さく笑う。
「……」
「でも、正直僕は驚いてるんだよ」
「何が?」
 再び真紅の髪を撫で始める水銀燈。
「君って、こんなに優しかったんだなって」
「えっ」
 ピタリと手が止まる。驚く水銀燈を、優しく見つめる蒼星石。




579 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/28(金) 12:27:29.87 ID:ZVa8uBu00
「水銀燈」
「なぁに」
 少し言葉が止まる。
「君はやっぱり、僕らのお姉さんなんだね」
「へっ?」
「はは、何か恥ずかしいな、こんな事面と向かって言うの」
 頭をかく蒼星石。
「さっ、翠星石が戻ってきたら、僕も一旦帰ろうかな」
「…」
「また明日来るよ」
 そう言って、蒼星石は微笑んだ。




581 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/28(金) 12:34:49.61 ID:ZVa8uBu00
 ドアが開いた先には、翠色の少女。
「翠星石……」
「ジュン……」
 しばらくこちらを見つめた後、翠星石はソファに近づいてくる。
「何水なんか飲んでるですか」
「ん、あ、いや…」
 コップを置くジュン。
「人間なのだから、お前こそ早く寝るべきですぅ。うつらうつらしながら
真紅をいじってたら、壊しちゃうかもしれんのですよ?」
 ふんっと鼻を鳴らす翠星石。
「ん、ああ…そうだな」
 手をいじりながら、視線をそらすジュン。
 そんなジュンを、翠星石が見上げる。
「ねえ……ジュン」
「……うん?」
 うつむく翠星石。
「翠星石は、お前に酷い事をしたのですぅ」
「えっ」
 ジュンは驚く。
「いや、それは僕の方が……」
「違うです。勝手にあの時キレた、翠星石が悪いんですぅ」
 うつむいたまま続ける翠星石。





584 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/28(金) 12:42:16.45 ID:ZVa8uBu00
「そんな……」
「あんな事しなかったら、今頃真紅も……」
 鼻をすする翠星石。
「そんな事ないよ、翠星石」
 両の肩をつかみ、こちらを向かせるジュン。
 目が赤い。
「そんな事ないから…な、翠星石」
 涙を拭き、髪を撫でる。
「泣くなよ、もう泣くな」
「………」
 翠星石は目を閉じ、ジュンの手に頬をすり寄せる。
「ジュン…」
「ん」
「ありがとうですぅ……」
 再び涙を流す翠星石。
「い、いや、別に」
「でも…」
 うっすらと目を開ける翠星石。





585 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/28(金) 12:51:47.53 ID:ZVa8uBu00
「ジュン……」
 ジュンの右手に、自らの左手を重ねる。
「契約は破棄するですぅ」
「えっ?」
 一瞬、意味が分からない。
「翠星石は、ずっと悩んでいたです」
「……」
「家を飛び出して、真紅が事故に遭って……」
「……」
「こうして真紅は戻ってきたけど…」
 再び目を閉じる。
「もう、以前のようには、決して過ごせない」
「……」
「真紅が動き始めたとしても、どこかで遠慮がちになってしまう」
「そんな……」
 そんな事ない、とは言えなかった。
「別に、ジュンや真紅に気を遣ってるわけではないです」
「……」
「翠星石が、私が苦しいから…それだけですぅ…」
「………」
「翠星石は自分勝手な人形なのです」
「…」
「でも、翠星石は……」
 涙を流す。




586 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/28(金) 12:55:37.23 ID:ZVa8uBu00
「真紅の事も、水銀燈の事も……」
「……」
「大好きですぅ。それに」
 顔を上げ、ジュンを見つめる。
「ジュン、お前の事も大好きです」
 そう言って微笑む翠星石。
「えっ」
 胸が高鳴る。
「だからこそ……」
「……」
 そう言うと、ジュンの左手を持ち、ゆっくりと唇を近付けていく。
「翠星石」
「さよなら、ジュン」
 一瞬、まばゆい光に辺りは覆われ、そしてそれはすぐに止んだ。




588 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/28(金) 12:58:55.81 ID:1SBIxghX0
翠いいいいいいいいいいいいいいいい




590 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/28(金) 13:08:45.44 ID:ZVa8uBu00
「翠星石」
 人形が指輪にキスするのは、契約解除を意味する。
 しばらくその手を見つめていた翠星石が、ジュンを見上げる。
「ジュン」
「…………」
「もう翠星石は、帰るです」
「あ、ああ…」
「鞄は二階にあるので、今から二階に行かにゃならんのです」
「……」
「それで、一つだけお願いがあるです」
「お願い…?」
 翠星石は立ち上がり、ジュンの肩に手を置く。
「二階まで、抱っこして上がってほしいですぅ…」
 そう言うと、翠星石はゆっくりと、ジュンの首に手を回した。




593 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/28(金) 13:23:12.26 ID:ZVa8uBu00
「翠星石、泣いてたわねぇ」
 二人が帰った後、水銀燈が窓の外を見ながら呟く。
「ん、ああ……」
「ダメよ、女の子泣かしちゃ」
 そう言ってジュンを見上げる。
「………」
 ジュンはきまり悪そうに頭をかく。
「蒼星石が云ってたわ」
「ん?」
「『真紅はここにいる』って」
「ここにいる?」
「ええ」
 水銀燈が真紅に視線を移す。
「どういう意味?」
「ローザミスティカがここにあるから」
 ジュンも真紅を見やる。
「こうも言ってたわぁ」
「?」
 水銀燈に視線を移すジュン。
「『きっと、何かが足りないんじゃなくて』」
「??」
 首をかしげる。





594 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/28(金) 13:23:39.63 ID:ZVa8uBu00

「私はね、ジュン」
 水銀燈がジュンに向き直る。
「前にも言ったかしら」
「何?」
「貴方には、幸せになってほしいの」
「……」
 顔色一つ変えない水銀燈。
「貴方と真紅がまた逢えるよう、全力を尽くすから」
「……どうしたんだ?いきなり」
「ふふ」
 視線を落とす水銀燈。
「私は、貴方を好きになって良かったわ」
 再び見上げる。
「ね、ジュン」
 もう一度、ふふっと笑った。




595 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/28(金) 13:30:48.34 ID:ZVa8uBu00






 風が吹きすさぶ小高い丘。
 その風に煽られ、紅色の彼岸花が一斉になびく。

「………」
 その真っ赤な絨毯の上で、黒翼の天使が空を見上げていた。
 サアアア、という音が、風と共に自分を通り過ぎていくのは、
何とも心地が良かった。
「……」
 目を閉じ、風に身を任せる水銀燈。
「気持ちいいわねぇ…」
 しばらくの後、石段を上がり、めぐのお墓の前にしゃがみ込む。
「良かったわねぇ、めぐ。こんな気持ちのいい場所に眠らせてもらえて」
 ふふっと笑う。




596 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/28(金) 13:31:10.99 ID:1SBIxghX0
泣けてきた




598 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/28(金) 13:38:21.94 ID:ZVa8uBu00
「ねぇ、めぐ」
 御影石を見つめる。
「貴女は、ここに埋葬されて、幸せだったのぉ?それとも」
 石を撫でる。
「いつまでも生きて、あのまま苦しんでいた方が良かった?」
 目を伏せる水銀燈。
「少し語弊があったかしら。違うわよねぇ、貴女は少なくとも、私に対して、
笑っていてくれたものねぇ……」
 ふうっとため息をつく。
「私も、もっと貴女と一緒にいたかったわぁ…」
 立ち上がり、目を閉じる水銀燈。
「………」
 おもむろに背中に手をやり、羽根を一枚ちぎる。
「私からの手向けよぉ」
 そう言って、お墓の線香の灰に突き刺す。
「ねぇ、めぐ」
 少しうつむく。
「これからも、私を見守っていて頂戴」
 そう言って、少し天を仰いだ後、水銀燈は小さく笑った。




599 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/28(金) 13:41:45.31 ID:ZVa8uBu00



ベッドに寝かされている真紅。

秋晴れの光が、彼女の綺麗な肌を浮かび上がらせている。


突然、窓の外がまばゆく光り始める。

その光は、部屋の中を光で満たし、真紅を優しく包み込んだ。




604 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/28(金) 13:48:17.82 ID:ZVa8uBu00
――――暗い

――――暗いわ

――――どうしてここは、こんなに暗いのかしら

――――これじゃ、動けないじゃない

――――どこに進んだらいいの?

――――私は、どこに帰ればいいの?

――――ここが私の居場所なの?

――――そんなの嫌よ

――――そんなの…




606 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/28(金) 13:50:57.71 ID:ZVa8uBu00
――――足音?

――――誰?

――――誰か、いるの?

――――返事して頂戴

――――私はどうしてこんなところにいるの?

――――動きたくないわ

――――どこに何があるかわからないなんて

――――淋しいわ

――――寒いわ

――――こんな事なら、眠っていた方がましだわ




610 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/28(金) 13:54:02.03 ID:ZVa8uBu00
――――真紅

――――誰?どうして私の名前を知っているの?

――――答えて

――――私、もう無理なの

――――泣きたいの

――――3歳の子どもみたいに、もうわんわん泣いてしまいたいの

――――お願い、私を助けて

――――いるんでしょう?

――――貴女はダレ?




612 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/28(金) 13:57:50.93 ID:ZVa8uBu00
――私は、貴女の姉よ

――――姉?私に、姉がいるの?

――そうよ

――貴女は私の妹

――ローゼンメイデンの第5ドール

――真紅

――――貴女は誰なの

――――答えて

――それは言えないわ

――貴女の姉、とだけ、思ってて頂戴





615 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/28(金) 13:59:49.51 ID:ZVa8uBu00
――真紅

――――何?

――暗いでしょう

――――ええ

――淋しいでしょう

――――…ええ

――怖いでしょう、ここは

――――ええ、怖くてたまらないわ

――じゃあ、私についてきて




616 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/28(金) 14:03:50.56 ID:ZVa8uBu00
――――貴女に?

――そうよ、私についてきて

――――そうすれば、もうこんな暗いところにいなくていいの?

――ええ、明るい場所に行くのよ

――――こんなに寒くなくて、暖かいのかしら

――そうよ、お日様の日差しが、逆に暑いくらいかもしれないわ

――――私は淋しい思いをしなくて済むの?

――保証するわ。

――4人の姉と、1人の妹と、何より貴女を大切に想ってくれてる人がいるのよ

――――大切に?でも、私そんな人知らないわ

――知らない?

――――ええ





619 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/28(金) 14:11:40.80 ID:ZVa8uBu00
――ねえ、真紅

――――何?

――貴女の記憶の糸は、どこからどこまで?

――――糸?

――思い出せる事を話してみて

――――ええ

――私は、お父様に作っていただいたの

――――でも、顔はよく思い出せないわ

――そう




622 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/28(金) 14:15:16.14 ID:ZVa8uBu00
――――でも、私は、それは別に淋しくなかったの

――――何だか、独りではなかった気がするもの

――良かったじゃない

――――ええ、いつも誰かに包まれていた気がするわ

――――でも、それは誰だか思い出せないの

――そう

――姉妹の事は?

――――姉妹?

――さっきも言ったけど、貴女には姉妹がいるのよ

――――やっぱり分からないわ

――名前を言ってくわ





623 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/28(金) 14:16:00.04 ID:ZVa8uBu00
――第1ドール、水銀燈


――第2ドール、金糸雀


――第3ドール、翠星石


――第4ドール、蒼星石


――第5ドールは貴女よ、真紅


――第6ドール、雛苺


――第7ドールは…ごめんなさい、私も知らないの




625 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/28(金) 14:18:22.23 ID:ZVa8uBu00
――――あ……

――どうしたの?

――――そうだったわ…私には姉妹が…

――思い出せた?

――――ええ…でも、その他の事は……

――ジュン

――――え?

――桜田ジュン

――貴女を大切に想ってくれている人の名前よ




627 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/28(金) 14:22:10.87 ID:ZVa8uBu00
――――ジュン…

――――ジュン…

――真紅?

――――何だか、懐かしいわ……

――そう、良かったじゃないの

――――あ…何だか暖かくなってきたわ

――あら、本当ねぇ

――――光が見えるわ。行きましょう

――そうね

――――どうしたの。一緒に行きましょう?

――――私、貴女がいないと、やっぱり怖いわ

――――ね、一緒に…





631 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/28(金) 14:24:32.58 ID:ZVa8uBu00
――大丈夫よ

――――大丈夫?

――これから、私は、ずっと貴女を見守っていてあげるから

――――嫌よ

――――一緒に行きましょうよ

――ごめんなさいね、それは出来ないわ

――――どうして

――私は、貴女を迎えに来たんじゃないの

――立ちあがらせるために来たの

――――私は立ち上がったわ。だから、もうここにいなくてもいいじゃない

――――ね、あそこに一緒に…

――ごめんなさい





632 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/28(金) 14:26:03.32 ID:ZVa8uBu00
――私はここにいなきゃいけないの

――――そう…

――――分かったわ。私一人で行くわ

――ええ、頑張ってね。つらくなったら、いつでもここに戻ってきて頂戴

――――ありがとう

――――ねえ

――なぁに





634 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/28(金) 14:26:51.62 ID:ZVa8uBu00
――――貴女の、名前は?

――私?

――――ええ、教えて頂戴

――私は……




637 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/28(金) 14:34:52.38 ID:ZVa8uBu00
「行かないで!!!」
「うわっ」
「きゃあっ」
 驚くジュン。のけぞる翠星石と蒼星石。
「え……あ…し…真紅…?」
 固まったまま、飛び起きた彼女の名前を呼ぶジュン。
「え…?ここ…は…?」
 辺りをきょろきょろ見回す。
「し、真紅」
 ジュンの顔がくしゃくしゃになる。
「真紅っ!!」
「きゃ…ちょ…ちょっと…」
「良かった」
 抱きしめるジュン。
「し……」
 視界の隅で、翠星石が涙をにじませる。
「真紅っ!!!うわああああん!!!良かったですぅ!!!」
 真紅に覆いかぶさる翠星石。
「す…翠星石…」
「私の事が分かるのですか?…うわああん!!!」
 再び泣きじゃくる。
「真紅」
 涙を流しながら、真紅に頬をすり寄せるジュン。
「ジュ…ジュン…?痛いわ」
 戸惑う真紅。





639 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/28(金) 14:37:51.34 ID:1SBIxghX0
よかったよおおおおおおおおおおおおおおおおお




640 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/28(金) 14:38:02.95 ID:20a2lEK20
良かった…




641 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/28(金) 14:38:48.82 ID:uq1tcabE0
よかったよかった・・・




646 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/28(金) 14:45:50.15 ID:ZVa8uBu00
「ね、ねえジュン」
 金糸雀と雛苺にまで抱きつかれ、困惑した表情を浮かべる。
「何?紅茶ならいくらでも淹れるぞ」
 涙を拭きながらジュンが答える。
「違うの。そうじゃなくて」
 困惑したままの真紅に、ジュンは少し首をかしげる。
「あの子は?」
「あの子?」
 もう一度、きょろきょろと辺りを見回し、真紅が言った。

「水銀燈は?」




653 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/28(金) 14:52:32.42 ID:ZVa8uBu00
「ああ、そう言えば、今日は見てないな」
 金糸雀と雛苺が落ち着くのを待って、真紅が胸を押さえる。
「私はあの子に助けられたの」
「えっ」
 ジュンが声を上げる。
「暗闇の中で、私はどう動いていいかも分からず、じっと座っていた」
「真紅…?」
「そこに足音が聞こえて、私はその足音の主と話したの」
「……」
「貴方の事も、姉妹の事も、その子が思い出させてくれた」
 うつむく真紅。
「そして、周りが暖かくなって、光が差してきた」
「……」
 ジュンは怪訝そうな顔つきになる。
「私は、その子に、一緒に行きましょうって、言ったの」
「でも」
 真紅の様子に、他の4人も笑顔が消える。
「その子は、一緒には行けないって」
「真紅……」
「これから、私は、貴女を、ずっと見守っていてあげるから」
「……」
「そう、言われた」
「その子って…?」

「それが、水銀燈だった」
 胸を押さえる手に、ぎゅっと力がこもる。





657 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/28(金) 14:55:49.04 ID:ZVa8uBu00
「ねえ、ジュン」
「……」
 真紅の顔が泣きそうになっている。
「水銀燈はどこにいるの?」
「……それは」
「どうして、水銀燈がここにいないの?」
「………」
 言うや否や、真紅は窓を開け、そこから飛び立った。
「真紅!!」
「追いかけよう!」
 蒼星石の言葉に、ジュンを除く4人が、窓から飛び出した。




660 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/28(金) 14:58:12.22 ID:bDwgxTPU0
JUMへの愛情より、姉としての愛情を優先させた水銀燈




664 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/28(金) 15:00:00.73 ID:ZVa8uBu00
「まさか……」
 ジュンはしばらく立ち尽くしていた後、ジャケットを羽織り、
家を飛び出した。


「nのフィールドにもいないです」
「教会にも!」
「水銀燈!どこなの!!」
 真紅は泣きそうになりながら、大切な姉の名前を叫び続ける。

 走り続けるジュンの脳裏に、ある場所が描かれていた。
「まさか…!」

 小高い山の麓、片側二車線の道路を渡り、そのまま一気に石段を登る。





672 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/28(金) 15:06:53.19 ID:ZVa8uBu00
 山の中腹、石段を登り終えた先、真っ赤な絨毯が広がる。
 息を切らせながら、ジュンはその絨毯に目を凝らした。


 同じ頃、5体のドールたちはそれぞれ分かれ、真紅は真っ直ぐ飛び続けていた。
「!!」
 街が広がる中に、小高い山が見える。
「ジュン!!」
 近づいたところで、その姿を視認した真紅は、そちらへと一直線に飛び続けた。

 100メートル。
 50メートル。
 30メートル。

 真っ赤な絨毯の中央で、自分のミーディアムが立ち尽くしている。

「ジュン!!」
 たっと舞い降り、真紅はジュンに駆け寄った。





680 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/28(金) 15:11:41.35 ID:ZVa8uBu00
「……!!」
 真紅の目から、涙が溢れ出てくる。
 ジュンは既に、鼻を何度もすすっている。
「水銀燈…」

 真っ赤な彼岸花の中で、剣を自らに突き立て、
水銀燈が静かに眠っていた。

「どうして…」
 ふらっと真紅が歩み寄る。
「貴女は………」
 閉じられた水銀燈の瞳。その頬に、雫が落ちた。




688 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/28(金) 15:14:20.28 ID:ZVa8uBu00
――――ええ、でもね、水銀燈……

――――何?

――――私たちは猫じゃないわ

――――そうね

――――だから私は、大切な人に看取られて、旅立ちたい

――――貴女にね

――――私にぃ?

――――それは私のワガママよ。

――――あっ…そう

――――水銀燈は?





696 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/28(金) 15:19:59.50 ID:ZVa8uBu00
――――私?

――――水銀燈は、もし自分が終わってしまうとしたら、どうしてたい?

――――そうねぇ

――――私も、大切な人の腕の中で、停止したいわねぇ

――――そう

――――そうね、私も、『ああ、幸せだったな』って、思いながら旅立ちたいわ

――――もう、この生命も、長くは持たないでしょうけど

――――辛気くさいわねぇ

――――ごめんなさい




697 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/28(金) 15:23:54.78 ID:ZVa8uBu00
――――めぐ

――――何?

――――もし貴女が先に行ってしまったとしたら

――――ええ

――――私は、貴女にはついていかないから

――――そう

――――私は、誰かを幸せにして

――――『良かった』と思いながら終わりたいから






698 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/28(金) 15:24:43.44 ID:ZVa8uBu00
――――そうね

――――でもね、めぐ

――――何?

――――私が行くまで

――――うん

――――天国の入口で、待ってて

――――えっ?

――――そうした方が、お互い楽しみが出来るし

――――淋しくないじゃない





699 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/28(金) 15:24:48.51 ID:w9WBpY3YO
エエェェェェ(´Д`)ェェェェエエ




704 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/28(金) 15:33:38.57 ID:AislcaFS0
uwaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaぎんさまあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ




705 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/28(金) 15:33:58.59 ID:4zuDWPf70
    )
\(=ω=.)/




706 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/28(金) 15:34:08.18 ID:ZVa8uBu00
 水銀燈を抱きしめ、しばらく真紅は泣き続けた。

「………」
 ジュンは膝をつき、その安らかな顔を見つめる。
「……ねえ、ジュン」
「うん?」
「今、私はわかったわ」
 何度も頬をすり寄せる。
「水銀燈は、今、私の中に、一緒にいるのよ」
「えっ?」
「………」
 左手で水銀燈を抱き、右手で自らの胸を押さえる真紅。
「この暖かさは……」
「……ローザミスティカが?」
「ええ、でも」
 ぎゅっと拳を握る。
「もう、このローザミスティカは切り離せないのよ」
「……」
「ようやく分かったわ。彼女は」
「……」
「私と、一つになる事を選んだ」
「それって、どういう?」
「私が不完全だったから」
 手を落とす真紅。
「あの子は、私のローザミスティカと融合したのよ」





707 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/28(金) 15:37:12.01 ID:ZVa8uBu00
「……」
「だから、私はこうして動いていられる」
「……」
「涙を流せる」
「………」
「姉妹の事も、貴方の事も、思い出せた」
「……」
「でも」
 肩を大きく震わせ、真紅が嗚咽を漏らし始める。

「貴女と笑って、抱き合いたかった……!!」
 わぁぁぁと泣き続ける真紅。


『貴方と真紅が出会えるよう、全力を尽くすわ』

『貴方には、幸せになってもらいたいの』


 水銀燈の言葉を思い出すジュン。
「………」
 にじみ出る涙を、しばらくジュンは拭っていた。





710 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/28(金) 15:40:51.87 ID:ZVa8uBu00
「真紅」
 歩み寄るジュン。
 ふと、水銀燈の手に、一輪の彼岸花を見つける。
「これは……」
 それを手に取るジュン。

 ジュンはしばらくそれを眺め、ようやく理解し、そして思い出した。

「彼岸花の花言葉は…

『想うはあなた一人』

『また逢う日を楽しみに』


そうだった…… そうだったな……」


水銀燈の想い。
「…………」
 ジュンはその花を見つめ、しばらくして立ち上がる。






713 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/28(金) 15:45:29.49 ID:mjFylOACO
水銀燈…




714 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/28(金) 15:46:37.81 ID:guPgZleI0
姉妹愛に泣いたわ…




715 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/28(金) 15:47:49.56 ID:ZVa8uBu00
 真紅が泣きやんだ頃には、太陽が高く高く、昇っていた。
「真紅」
 涙をそっと拭くジュン。
「水銀燈」
 その手に抱かれている水銀燈の髪を、優しく撫でる。

「もう、誰もどこにも行かないよ」
「……」
「雨の中で、独りで泣き続ける事もない」
「……」
「暗闇の中で、孤独にうずくまる事もない」
「……」
「だから……」

「真紅」
 ぼろぼろと涙を流し続ける真紅。
 もう二度と起き上がる事のない第1ドールを抱き上げ、ジュンは呟いた。


「帰ろう、僕らの居場所へ」





【完】





719 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/28(金) 15:49:29.37 ID:uq1tcabE0
乙!




720 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/28(金) 15:49:48.18 ID:mjFylOACO
乙だぜ
そして鬱だぜ




723 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/28(金) 15:51:21.48 ID:bDwgxTPU0
ふぅ~~乙でした。読むほうも、力がはいったぜ・・・
水銀燈は、自分を失う、という方法で、最後は与える愛に賭けたんだな・・・




725 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/28(金) 15:51:33.54 ID:8HJfzSMS0
>>715
乙!楽しませてもらったよ。
水銀燈…さすが長女だな。他のドールも、水銀燈のためにも幸せになってくれ。
水銀燈も、メグと一緒にお幸せにな




748 : ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/28(金) 16:16:40.10 ID:ZVa8uBu00
とりあえず解熱剤飲んで寝ます
皆本当に乙!!





751 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/28(金) 16:24:48.78 ID:1SBIxghX0
>>748
ほんと素晴らしい作品をありがとう。お大事に








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ローゼンメイデン適当話「あれ…桜田君が出てこない…………」
真紅「あら…?私のくんくんセットがない……………」
ローゼンメイデンの話「ねえ、何を探しているの……?」
コメント
この記事へのコメント
  1. 名前: 通常のナナシ #-: 2008/03/28(金) 17:09: :edit
    泣いた。この作者は間違いなく天才。
  2. 名前: VIPPERな名無しさん #-: 2008/03/28(金) 17:20: :edit
    ひとけた
  3. 名前:   #-: 2008/03/28(金) 17:28: :edit
    イイハナシダー
  4. 名前:   #-: 2008/03/28(金) 17:59: :edit
    さてと…銀様復活編を脳内で勝手に作るとしよう
  5. 名前: 通常のナナシ #FqbKdc8U: 2008/03/28(金) 19:35: :edit
    いつか忘れてたが自刃すれば望むドールのところにローザミスティカが行くってのは伏線だったんだろうな・・・
    この作者の作品は読んでると時間を忘れて大変なことになるなw
  6. 名前: 名無しクオリティ #-: 2008/03/28(金) 19:44: :edit
    よくもまぁこんな長編を・・・
    んまぁ>>1乙!!
  7. 名前: VIPPERな名無しさん #-: 2008/03/28(金) 19:49: :edit
    水銀燈…
  8. 名前: でもやっぱり名無し #-: 2008/03/28(金) 20:14: :edit
    泣いた…
    携帯で見てたら途中までしか見れなかったからPCで見たが
    久しぶりに泣いた希ガス
  9. 名前: 通常のナナシ #-: 2008/03/28(金) 20:24: :edit
    党員なせいかボロ泣きしてしまった
  10. 名前: 通常のナナシ #2Qwf./yA: 2008/03/28(金) 21:33: :edit
    ( ;∀;)イイハナシダナー
  11. 名前: 通常のナナシ #WY0cBKQY: 2008/03/28(金) 22:12: :edit
    いい話だなぁ~・・・
  12. 名前: 通常のナナシ #-: 2008/03/28(金) 22:25: :edit
    「私は、貴方を好きになって良かったわ」
    銀様にこんなこと言われた日には・・・
  13. 名前:   #-: 2008/03/28(金) 23:14: :edit
    お父様は死んでて
    ジュンは生まれ変わり
    だと思うよぉ、、、?
  14. 名前: 通常のナナシ #-: 2008/03/28(金) 23:44: :edit
    なんだこの駄作www
    涙で画面見えねぇよwwwwww
  15. 名前: 通常のナナシ #-: 2008/03/28(金) 23:58: :edit
    重い・・・重過ぎる・・・
    これはもう愛の最上級、親の愛レベルだな・・・
    まさか自刃した場合(というより奪われなかった場合)ローザミスティカは望むドールへ行くという原作設定をこう使うとは・・・
  16. 名前: 通常のナナシ #-: 2008/03/29(土) 00:13: :edit
    やっぱり俺にはこーゆう鬱EDは無理だ・・・

    切な過ぎる・・・
  17. 名前: ななしカナ? #-: 2008/03/29(土) 00:29: :edit
    すごかった
  18. 名前: VIPPERな名無しさん #-: 2008/03/29(土) 00:48: :edit
    夜中でも花粉症の影響はあるんだな。涙がとまらないぜ、…ちくしょお。


    とりあえず>>1は体に気をつけてな。乙!
  19. 名前: VIPPERな名無しさん #-: 2008/03/29(土) 01:15: :edit
    作者乙・・・良かったよ
    けど
    海苔が迷子になってしまった( ;∀;)
  20. 名前: 通常のナナシ #-: 2008/03/29(土) 01:30: :edit
    「くんくんセットが~」から見てたけど、
    まさかあの時はこんな良い問題作になるとはかけらも思ってなかったぜ。

    作者に届け、GJ!
  21. 名前: VIPPERな名無しさん #-: 2008/03/29(土) 01:44: :edit
    UOOOOOOOOOOOOOOOOO!!!!党員というか普通にローゼン好きなだけだが、良スレ(´;ω;`)

    原作を匂わせるオリジナル物・・やっぱローゼンはこうだよな・・・・水銀燈愛されてるな・・・
  22. 名前: 通常のナナシ #-: 2008/03/29(土) 01:58: :edit
    ボロ泣きの俺きもい・・・
    作者乙です、病院池・・・
  23. 名前: 通常のナナシ #qbIq4rIg: 2008/03/29(土) 02:17: :edit
    感動・・・・・
    いつの間にか涙が 

    >>1 天才か まるでプロ
  24. 名前: 通常のナナシ #-: 2008/03/29(土) 02:47: :edit
    この銀様は至高
    しかし切ない終わりかただ
  25. 名前: 通常のナナシ #-: 2008/03/29(土) 03:07: :edit
    感動したわぁ!

    ローゼン知らないけど作者の今まで書いてきた話全部みたらメチャメチャ読みたくなった♪
    けど原作に対する期待が高すぎてションボリする可能性大・・・
    ヤンンジャンで連載される前に一度読むべきだろうか
  26. 名前: VIPPERな名無しさん #-: 2008/03/29(土) 03:10: :edit
    この俺が……素人の小説で泣いているだと……!?
  27. 名前:   #-: 2008/03/29(土) 04:05: :edit
    ていうかこんな体調でこんなテキスト書けるとかすげえ仕事人だな1
  28. 名前: VIPPERな名無しさん #-: 2008/03/29(土) 08:57: :edit
    これは一冊の本にできるレベル
  29. 名前: 通常のナナシ #tSD0xzK.: 2008/03/29(土) 11:46: :edit
    ここで雪華綺晶登場
  30. 名前: 通常のナナシ #g87R8HuQ: 2008/03/29(土) 14:15: :edit
    。・゚・。・゚・。・゚・。・゚・。・゚・。・゚・。・゚・。・゚・。・゚・。・゚・。・゚・。・゚・(ノД`)・゚・。・゚・。・゚・。・゚・。・゚・。・゚・。・゚・。・゚・。
  31. 名前: 通常のナナシ #-: 2008/03/29(土) 14:35: :edit
    これが…素人の作品…?
  32. 名前: JAM #-: 2008/03/30(日) 03:11: :edit
    まだだ、まだ終わらんよ、
  33. 名前: VIPPERな名無しさん #-: 2008/03/30(日) 14:51: :edit
    視界が霞んで画面が見えない・・・
  34. 名前: 通常のナナシ #-: 2008/03/30(日) 17:06: :edit
    感涙物だぜグッジョォォォォブ!!!
  35. 名前: 通常のナナシ #-: 2008/03/31(月) 00:48: :edit
    素晴らしい文才ですね
  36. 名前: 通常のナナシ #-: 2008/03/31(月) 11:49: :edit
    駄作杉だろ。だって目の前霞んで見えないんだぜ?
  37. 名前: 通常のナナシ #jWeOCmHw: 2008/04/01(火) 10:26: :edit
    あれ?眼から汗が・・・


    帰ったら銀様の身体を拭いてあげよう!
  38. 名前:    #-: 2008/04/01(火) 15:14: :edit
    おもしろかった
  39. 名前: 通常のナナシ #-: 2008/04/01(火) 15:44: :edit
    小説で泣いたのは何年ぶりだろう……
    印刷してマイ製本にしておこう。
  40. 名前: 通常のナナシ #-: 2008/04/02(水) 17:11: :edit
    「あっ」
    「あっ」
    「あっ」
    「あっ」
    「あっ」

    ワロタwww
  41. 名前: 通常のナナシ #-: 2008/04/03(木) 04:51: :edit
    何と言う超大作!
    いつかこの作者様にハッピーエンドの話も書いて貰いたいです。
  42. 名前: 通常のナナシ #-: 2008/04/04(金) 15:44: :edit
    最高!

    作者 GJ!!
  43. 名前: 通常のナナシ #-: 2008/04/05(土) 00:16: :edit
    テーマ曲は中島美嘉の
    SAKURA~花霞~で
  44. 名前: 通常のナナシ #Xnq8k9Uo: 2008/04/05(土) 23:55: :edit
    悲しい結末だったけどこの作品読めて良かったよ…
  45. 名前: 通常のナナシ #-: 2008/04/06(日) 22:53: :edit
    よくもまあVIPでこんなまじめに書けたと思うよ、普通に読めるレベルで。

    オレはイエモンの楽園聞きながら見たよ。切なくも希望ある感じでいいぞ
  46. 名前: 通常のナナシ #-: 2008/04/18(金) 00:58: :edit
    リアルタイムで読んでたけど、途中でvipって事忘れてた
  47. 名前: 通常のナナシ #jWeOCmHw: 2008/05/09(金) 19:02: :edit
       。.:☆  
     ;*  ||  *;。  
     ゚*: (('A`);゚'  皆,幸せになーれ!
      ゚・* (.。.:'7
        < ヽ
  48. 名前: ☆ #-: 2008/05/10(土) 14:27: :edit
    テスト中に
    これ見て泣いたwwwwwww
  49. 名前: 通常のナナシ #-: 2008/05/13(火) 04:52: :edit
    VIPにこんな大作とは・・・。
  50. 名前: 通常のナナシ #-: 2008/05/17(土) 14:25: :edit
    なんという・・・哀しすぐる…。
    作者GJ
  51. 名前: 通常のナナシ #-: 2008/05/20(火) 22:29: :edit
    よかった。作者マジGJ!

    今日から俺も党員だ!!”!!
  52. 名前: 通常のナナシ #mQop/nM.: 2008/05/21(水) 03:26: :edit
    JUMがここまでモテるのはローゼンの(たぶん)生まれ変わりっていうのも含んでるわけだな。
    ないたわー
  53. 名前: 通常のナナシ #-: 2008/05/21(水) 05:25: :edit
    >>1氏お疲れ様です。
    前の作品から続けて読みました。
    最後水銀橙のやさしさに涙が止まりませんでした
    このお話の水銀橙に幸あることを願います。
  54. 名前: 通常のナナシ #-: 2008/05/23(金) 09:22: :edit
    米43 この作品に花霞は絶妙に合うな…泣ける…
  55. 名前: 通常のナナシ #-: 2008/05/31(土) 22:20: :edit
    水銀燈がいい姉すぎる・・・
    こんないい作品読めてよかたよ。
    作者&管理人サンクス!
  56. 名前: 通常のナナシ #-: 2008/06/01(日) 07:03: :edit
    体調が悪いのに
    ローゼンの話を書きつづける
    1に乾杯。
    感動した。
  57. 名前: 通常のナナシ #-: 2008/06/01(日) 10:02: :edit
    マジ泣きした自分キメェwwww
  58. 名前: 通常のナナシ #-: 2008/06/03(火) 23:57: :edit
    感動した…>>1よ、ありがとう
  59. 名前: 通常のナナシ #-: 2008/06/29(日) 23:53: :edit
    ローゼン知らなかったが…この作品見て読んでみたくなった

    さぁ、Amazonに行くぞ
  60. 名前: 通常のナナシ #-: 2008/07/21(月) 23:24: :edit
    おかしいな・・・
    ぼやけて表示されるぞ?
  61. 名前: 通常のナナシ #-: 2008/07/31(木) 19:06: :edit
    MOTHERのEight melodiesが
    真紅復活からラストまで流れた
  62. 名前: 名無し #-: 2008/08/01(金) 13:00: :edit
    きれいな作品でした。水銀燈…幸せになってくれればいいです。
  63. 名前: 通常のナナシ #-: 2008/08/11(月) 02:54: :edit
    この>>1の物語は、よく練られていて、悲しくて、暖かくて、なんか堪らん。
    GJ!
  64. 名前: 通常のナナシ #t4/033JA: 2008/08/30(土) 15:14: :edit
    全く駄作すぎて目から鼻水は出らぁ



    どう見ても金払えます、本当にありがとうございました(´;ω;`)
  65. 名前: 名無し #-: 2008/08/30(土) 20:01: :edit
    うわあぁあ
  66. 名前: KYな名無し #-: 2008/09/21(日) 18:29: :edit
    ――――天国の入口で、待ってて


    この一節でついに涙腺が崩壊した
  67. 名前: 蒸発した名無し #-: 2008/10/02(木) 11:11: :edit
    うん。いい
  68. 名前: VIPPERな名無しさん #-: 2008/10/11(土) 20:16: :edit
    目から水銀が
  69. 名前: 通常のナナシ #-: 2008/11/09(日) 02:34: :edit
    うう……目からローザミスティカが………(/Ц`)⌒*
  70. 名前: 通常のナナシ #-: 2008/11/16(日) 15:51: :edit
    もうあれから8ヶ月経つんだな・・・
  71. 名前: 通常のナナシ #-: 2008/11/24(月) 23:29: :edit
    なんだこの駄作wwww
    こんなもん俺でも書けるよwwww



    ・・・(´;ω;`)ブワッ
  72. 名前: ファン #-: 2008/12/17(水) 16:36: :edit
    感動して涙がでた。
    最高の感動しか言葉がでません。
  73. 名前:    #-: 2008/12/27(土) 00:49: :edit
    10ヶ月遅れだがGJ。
  74. 名前: 通常のナナシ #-: 2008/12/28(日) 03:02: :edit
    泣いた
    水銀燈…
  75. 名前: RM推進委員会 #M.PegzPw: 2008/12/28(日) 23:16: :edit
    ・・・やばい・・・マジで泣けてきた
  76. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/01/12(月) 23:13: :edit
    このSSは米欄で唯一ダメ出しみたいのがない作品ではないか?


    泣ける(ToT)
  77. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/01/13(火) 23:17: :edit
    ダメ出しなんて一杯出来るぞ
    まず画面がにじんで見えなくなって
  78. 名前: 通常のナナシ #TNMtb/9k: 2009/01/20(火) 18:03: :edit
    頭の中でバクチクのジュピターが何故か流れた。
  79. 名前: 死なない鶏 #-: 2009/01/29(木) 23:44: :edit
    切な過ぎて心に穴が開いたようだ。
    謝罪と賠償を(ry
  80. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/02/02(月) 12:17: :edit
    泣いた
    ただ、ありがとう。
  81. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/03/07(土) 08:47: :edit
    こんないい作品が埋もれてたんだな
    気がついてよかったぜ
  82. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/03/08(日) 10:09: :edit
    久しぶりにいい作品が見れた、そして泣いた
  83. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/03/14(土) 22:09: :edit
    いいものが見れた・・・・
  84. 名前: 。。。。。。。 #-: 2009/04/01(水) 13:38: :edit
    この>>1は間違いなく天才
    いいものを見せてもらった
  85. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/04/22(水) 16:04: :edit
    全然泣いてねぇ、ただアクビが出ただけだしマジで!
    はぁあ!眠い眠い!
  86. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/05/02(土) 21:45: :edit
    このSSの米伸び率は異常
  87. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/05/06(水) 01:14: :edit
    もう嫌だ・・頼むから
    お願いだから銀様を幸せにしてくれ・・
  88. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/28(水) 15:40: :edit
    ふぇ~ん(ToT)水銀燈~
  89. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/11/14(土) 16:31: :edit
    もの凄い切なくて堪らない。

    ドールには、みんな幸せになってほしい…。
  90. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/02/14(日) 23:58: :edit
    銀様あああああああああ!!!!!!!!!!
    泣いたぁぁぁぁぁ
  91. 名前: /// #YG9ONXHE: 2010/07/16(金) 20:04: :edit
    銀様ああああ!!
    なんて良い子なんだああああ!
    画面がかすれてるよおおおおおお
    うわあああああああああああああ
  92. 名前: 通常のナナシ #-: 2011/04/14(木) 20:47: :edit
    久しぶりに見たけどやっぱりいいな
  93. 名前: あ #-: 2012/10/30(火) 17:16: :edit
    いまいち話についていけないんだが
    俺がチェリーだからか?
  94. 名前: あ #-: 2012/10/30(火) 17:55: :edit
    いまいち話についていけないんだが
    俺がチェリーだからか?
  95. 名前: 通常のナナシ #-: 2013/02/10(日) 00:17: :edit
    本日の涙腺崩壊SSはコレですな。
  96. 名前: #: 2015/02/04(水) 02:56: :edit
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