ローゼンメイデンの話「ねえ、何を探しているの……?」

***
2008/03/18(火)
1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/12(水) 10:24:19.74 ID:3tp4h3Ou0
「ねえ、何を探しているの……?」

 交差点で信号待ちをしている子ども。
「ねえ…」
 その子どもの目に留まったのは、道路脇にしゃがみこみ、
何かを探している、自分よりも背の少し低い人影。
 声に気づき、その人影がこちらを向く。
「……」
 子どもは目を丸くする。
「…私?」
 『それ』は口を開いた。
 子どもは目を丸くしたまま、つられてこくんと頷く。
 『それ』は少しうつむき、また子どもを向いて、微笑む。
「私はね……」
「……」
「落としものを探しているの」
 人形だった。






4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/12(水) 10:30:17.74 ID:3tp4h3Ou0
「ちょっとジュン」
 本をぱたんと閉じ、真紅が口を開く。
「ん……」
 パソコンに向かいながら、ジュンはちらりと真紅を見やる。
「紅茶を淹れてきて頂戴」
「おう」
 ジュンは立ち上がり、頭をかきながらドアの向こうに消える。
「ふうっ」
 ため息をつく真紅。
「………」
 本を傍らに置き、真紅は天井を仰いだ。
 ふと、真紅はある事に気がついた。
「そういえば……」





5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/12(水) 10:37:32.26 ID:3tp4h3Ou0
「入ったぞー」
 紅茶をお盆に乗せ、ジュンが部屋に入ってくる。
「美味しいわ」
 カップを持ったまま、真紅がつぶやく。
「…ねえ、ジュン」
「ん」
「私、これからちょっと出掛けてくるから」
「……ん、わかった」
 紅茶を飲み終える真紅。
「よいしょっと」
「あ、待って」
 立ち上がろうとしたジュンを制止する。
「私が片付けるわ」
 ひょいっとお盆を持つ真紅。
「えっ」
「ドアだけ開けて頂戴」
 カチャカチャと音を立てながら歩く。
「お、おう」
 真紅がドアの向こうに消えたのを確認し、ジュンはパソコンに向き直る。
「何かあったのかな…」
 頬杖をつき、ジュンは首をかしげた。





7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/12(水) 10:47:04.69 ID:3tp4h3Ou0

「うるさい!!!出てけ!!!」
 部屋の中から聞こえる怒鳴り声。
「…うるさいのは貴女よぉ…めぐ…」
 窓の外で、水銀燈がため息をついた。
 時おり、ガチャンと何かが割れる音が響く。
「…………あら?静かになったわ……」
 水銀燈がおそるおそる中を覗きみる。
「ぶっ」
 瞬間、視界が真っ暗になり、鼻がぐしゃっと潰れたような衝撃を覚える
「あっ」
 めぐが叫んだ。
 放り投げた花瓶が、水銀燈の顔面を直撃したのだ。
 思わず窓に走り寄る。
「〜〜〜〜」
 映像が逆さまに落下していく。
 べしゃっと音を立てて、水銀燈は頭から地面にぶつかった。
 めぐが窓から顔を出すのと、それは殆ど同時だった。





9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/12(水) 10:55:24.18 ID:3tp4h3Ou0
 じんじんと鼻が熱い。
「………」
「水銀燈!!??」
 ぼんやりと、こちらを見下ろし、叫んでいるめぐが視界に入る。
「うぅ………」
 鼻を押さえながら、涙をにじませる水銀燈。
「ごっ、ごめんなさい!」
 頭を打ったせいか、うまく身体を起こせない。
 起きあがろうとした水銀燈は、何度もがくん、がくんと悶えていた。

「何するのよぉ!!」
 ふらふらと2階まで飛んでくるまでに数分かかった。
「ご…ごめんなさい……」
 ようやく鼻を押さえる手をどける水銀燈。
「あっ」
 めぐの表情が固まる。
「な、何よぉ……」
「ご…ごめんな…さい…」
 震え始めるめぐ。
「な…何???何なのよ…答えなさい!」

 鏡を見た水銀燈は、そのまま卒倒しそうになった。
「は…鼻がない…」





11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/12(水) 11:02:17.45 ID:3tp4h3Ou0
「ごめんなさい、ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
 泣きながら何度も謝るめぐ。
 水銀燈は鏡を見つめたまま動かない。
「………」
 自分の顔の真ん中に、ひびが入っている。しかも、てっぺんにあるはずの
 鼻がひしゃげてしまっている。
「………」
 自分の美しい顔が。お父様に作っていただいた顔が。鼻が。
「……う…」
 カタカタと震える。
「うああぁぁぁぁあああぁぁぁぁああぁあああぁぁぁっっっっっ!!!!」
 絶叫した水銀燈は、振り返り、窓から飛び出した。
「水銀燈!!水銀燈ぉっ!!」
 追いかけるめぐ。
 だが、水銀燈の後ろ姿は遠く小さくなっていく。
「うわぁぁん、ごめんなさい水銀燈っ……!!」
 めぐは鼻水を垂れ流しながら泣き続けた。





12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/12(水) 11:07:06.30 ID:7dHzYa3i0
銀さまいじめちゃダメ




13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/12(水) 11:09:18.09 ID:3tp4h3Ou0
「いいわよ」
 頷く巴。
「ありがとう。悪いわね、付き合わせてしまって」
 鞄に乗ったまま、真紅はお礼を言った。
「いいのよ、桜田君のためだものね」
 巴はにっこりと笑う。

「でも、どうして急に?」
 歩きながら巴が尋ねる。
「もうすぐ」
 横に並び、鞄に乗って飛びながら真紅が口を開く。
「もうすぐ、私がジュンの家に来て1年なのよ」
「へえ」
「だから、何かお礼をしたくて」
「そう…」
 ふふっと小さく笑う。
「桜田君は幸せね」
「えっ?」
「貴女みたいなドールと一緒に過ごせて」
「えっ、い、いや、別に特別な事ではないと思うけど…」
 真紅は少し頬を赤らめる。





16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/12(水) 11:18:31.05 ID:3tp4h3Ou0
「それで、何を?」
「私はお金がないわ」
 ふうっと息を吐く真紅。
「だから、どこかで花でも摘んで、花束でもあげようかと思っているの」
「花束」
 こくこくと巴が頷く。
「本当は薔薇がいいんだけど…そんなものこんな都会に
 そうそう咲いてるとは思えないし……」
「まあねぇ……」
 困ったように巴は笑う。
「だから、まあ春だし、公園とかにありがちな菜の花でもいいかなぁって
 思ってるのよ。どこかそういう公園あるかしら」
「………」
 巴は少し考える。
「ありそう?」
 真紅が不安そうに尋ねる。
「……確か、この先の土手に……」





18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/12(水) 11:32:02.66 ID:3tp4h3Ou0
「わぁぁぁ……」
 信号を渡った先の土手。一面に広がる菜の花。
 真紅が感嘆の声をあげる。
「驚いた?」
「ええ…素晴らしいわ……ジュンにも見せてあげたいわ……」
 ヒューンと土手の坂に沿って低空飛行を続ける真紅。
 巴はその後を、歩きながらゆっくりとついていく。

「うん……いいにおいなのだわ……」
 土手を飛び続ける真紅。
「………あら??」
 真紅は、座りこむ人影に気がついた。
「うぅ…えっ…えっく…ひっく……」
 咲き乱れる菜の花の黄色に混じり、しゃがみこんだ黒い影。
 泣いているのがわかる。
「水銀燈!!」
 真紅が声を上げた。





19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/12(水) 11:41:59.32 ID:3tp4h3Ou0
 突如自分の名前を呼ばれ、びくっとして水銀燈は顔を上げる。
左を向いた時には、既に真紅が数メートルのところまで接近していた。
「!!」
 真紅は目を見開いた。
 涙で化粧が落ちているだけではない、水銀燈の顔の異変。
「水銀燈!?あなた……」
 ヒュッと何かが頬をかすめる。
「何勝手に人の顔見てんのよ!殺されたいの!!」
 怒鳴り声と共に、漆黒の矢が真紅に襲いかかった。
「あっ」
 思わず顔をガードする真紅。
「痛っ…!」
 羽根が両腕と胴体に突き刺さる。
「くっ……!!」
 真紅はスピードを緩めず、そのまま水銀燈に覆いかぶさった。
「きゃっ」
 体勢が崩れ、二人はそのまま土手をぐるぐると転がり落ちる。
「真紅!」
 巴が駆け付けた時、二人は既に気絶してしまっていた。





21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/12(水) 11:51:37.05 ID:3tp4h3Ou0
 次に水銀燈が目覚めた時には、真紅とそのミーディアムである、ジュンの顔が
真っ先に目に入っていた。
「……!」
 思わず鼻を押さえる水銀燈。やわらかい感触。
 大きな絆創膏が貼ってあるのだ、と気づいた。
「水銀燈」
 下着姿の真紅が話しかける。
 その両腕には無数の穴が開いている。
「……っ!!」
「ジュンには事情を話してあるわ」
 腕など気にしていない様子で真紅が言った。
「じゃあ、ジュン、あとお願いね」
「えっ」
 ジュンが思わず真紅を見やる。
「水銀燈は、私の事が嫌いだから」
 それだけ言うと、真紅はドアを開け、階段を下りていった。
「真紅、お、おい…」
 しばらくして、ジュンは諦めたようにため息をついた。





23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/12(水) 12:00:26.32 ID:3tp4h3Ou0
「……」
「なあ、水銀燈」
 一部始終をぼーっと見ていた水銀燈に、ジュンが話しかける。
「答えたくないならそれでいいから」
 ぽりぽりと頭をかく。
「その鼻、どうしてそうなったんだ?」
「…!」
 水銀燈の表情が険しくなる。
「何だっていいでしょぉ。貴女には関係ないわぁ」
 ぷいっと横を向く。
「実はな」
 予想していたように、そのまま流すジュン。
「土手で、ひしゃげてた鼻の先端部分が、どっかにいっちゃったみたいなんだ」
「えっ」
 思わず鼻をさする。先ほどまではまだあった、ひしゃげた部分の感触が、
丸ごとなくなっていた。
「いいか、怒らずに聴いてくれよ、頼むから」
 呆然とする水銀燈。
「真紅が責任感じて、直してほしいと言ってきたんだ」





25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/12(水) 12:07:45.65 ID:3tp4h3Ou0
「え…」
「だから今日だけ、ここにいるのを我慢してくれ。今日だけだから」
「そ、そんな…い、嫌よ!!どうして私が…」
 声を上げる。
「あのさ」
「何よ」
「勿体ないんだ」
「は?」
 眉をひそめる水銀燈。 
「せっかく…」
 ジュンは少し言い淀んだ。
「せっかく…美人なのに……」
「え」
 思わぬ言葉に表情が固まる水銀燈。
「勿体ないんだよ…いつまでもそんなままじゃ」
「あ、あの…」
「だから、僕に直させてくれ。真紅だけじゃなく、僕からもお願いだ」
 頭を下げるジュン。
 水銀燈は何も言えなかった。





28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/12(水) 12:23:04.78 ID:3tp4h3Ou0
「なあ」
 ジュンの声で、水銀燈はふと我に返った。
「とりあえずさ、その泥だらけのドレス」
 言われて初めて、土があちこちについている事に気づく。
「何とかしないと」
「……」
 沈黙が流れる。
「……ったわよ…」
「え?」
「脱げばいいんでしょ、脱げば!」
 投げやり気味に言い放つと、ドレスに手をかける。
 イライラしているせいか、上手く脱げない。
 舌打ちする水銀燈。





29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/12(水) 12:23:25.74 ID:3tp4h3Ou0
ちょっとごはん食べてきます





30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/12(水) 12:27:39.69 ID:j/cW6+hA0
全力をかけてでもおとさせないぞ
いてら。はやめに帰ってきてね




36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/12(水) 12:43:56.56 ID:uRj+9EmLO
ビスクドールをどう治すのか……
1の手腕に期待
……というか時のゼンマ(ry




42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/12(水) 13:15:28.79 ID:3tp4h3Ou0
「ああっ、もうっ」
 リボンを上手くほどけず、壁に寄りかかってどんどんと蹴る。
 しばらくその様子を見つめていたジュンが立ち上がった。
「な、何よ」
 ゆっくりと水銀燈に近づくジュン。そのまましゃがみこむ。
 と、腕が伸び、水銀燈の頭のリボンに手をかけた。
「ちょっ…」
 その腕を、両手でぐいっと押しのけようとする水銀燈。
「やっ……」
「いいから、じっとしてろ」





43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/12(水) 13:16:18.91 ID:lcKKL3Qj0
JUMてめえええええええ




44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/12(水) 13:25:26.08 ID:7n/KYf7t0
俺の嫁に!!




45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/12(水) 13:29:16.81 ID:3tp4h3Ou0
 ぶるっと身震いし、肩をすくめる。
「………」
 しゅるっと左のリボンがほどかれる。
 ぎゅっと目を瞑る水銀燈。
「……」
 目を閉じているうちに、右のリボンもほどかれていた。
「よし」
 おそるおそる目を開ける。
 ジュンは向こうを向いている。
「…ドレスは」
「じっ、自分で脱ぐわよ!!自分で……」
「そうか」
 後ろ姿を睨む水銀燈。

「どうぞ」
 声に反応してジュンが振り向くと、既に下着姿の水銀燈がいた。
「さっさと洗って頂戴」
 ぷいっと横を向く。





46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/12(水) 13:31:18.94 ID:lcKKL3Qj0
萌え心だ




47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/12(水) 13:33:54.15 ID:3tp4h3Ou0
「ん、わかったよ」
 ドレスを受け取るジュン。
 水銀燈は、相変わらず横を向いたままだ。
「………」
 ため息。
「なあ」
 水銀燈の前でしゃがみ込む。
「そんなに怒ってちゃ、美人が台無しだぞ」
「………」
 むくれたまま、こちらを向こうともしない。
「じゃあ」
 ジュンは立ち上がり、ドアを開けた。

 ジュンが階段を下りていく音。
「……何よ……」
 水銀燈が忌々しげに呟いた。





48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/12(水) 13:38:00.65 ID:HelOdUUK0
プレイボーイJUM




49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/12(水) 13:39:54.50 ID:lcKKL3Qj0
このJUMは真紅より銀ちゃんなの?




50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/12(水) 13:41:22.15 ID:TQREBhE6O
綺麗なジュン




51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/12(水) 13:49:19.10 ID:3tp4h3Ou0
「面白いのー」
 ゴウン、ゴウンと回る洗濯機を、雛苺が見つめている。
「こんなところにいたの」
 下着姿の真紅が声をかける。
「あっ、真紅」
「巴が来てるわよ」
「えっ、巴が!?」
 たたたっと駆け出す雛苺。
 後ろ姿を見送った後、真紅がつぶやく。
「…1日くらいなら……」





52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/12(水) 13:51:45.12 ID:lcKKL3Qj0
なんだなんだ?




58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/12(水) 14:12:30.13 ID:3tp4h3Ou0
「じゃあ、私は、今日はこれで」
「また来てなのー」
 雛苺が満面の笑みを浮かべる。
「巴、ちょっと待ってて。雛苺」
「なぁに?」
「ちょっと」
 真紅に手招きされ、廊下の奥へゆく二人。
「どしたの、真紅?」
「貴女、もうすぐ巴と出会って1年くらいになるのかしら?」
 振り返って真紅が聞き返す。
「えっ、…う〜ん、多分それくらいなの」
「じゃあね」
 ポケットからぜんまいを取りだす真紅。
「今日1日は、巴と過ごしなさい」
「えっ?」
「貴女も、ネジを捲いてもらった以上、感謝を表さなくてはならないのよ。
 このぜんまいを預けるから、止まりそうになったら捲いてもらいなさい」
「いいの、真紅?」
「いいのよ、私もジュンにはお礼をするつもりだから」
 ふふっと笑う。
「わかったの、ありがとうなの、真紅!!」
 たたたっと玄関に走っていく雛苺を見て、真紅は優しく微笑んだ。





92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/12(水) 15:33:28.63 ID:3tp4h3Ou0
 巴と雛苺を見送り、一息つく真紅たち。
「ジュン」
「ん?」
「水銀燈は?」
 ソファに座りながら真紅が尋ねる。
「ああ、ふてくされてるよ」
 はあ、とため息をつくジュン。
「ふてくされてるの?」
 繰り返す真紅。
「? ああ」
「そう…」
「…」
「なら良かったわ」
 ほうっと息を吐く真紅。
「お前も、その腕補修しないと。パテで埋めるなり…」
「いいわよ私は。これからまた出掛けるし」
 言いながらソファを降り、玄関に向かう。
「出掛けるって…お前、その格好で?」
「そうよ、悪い?」

 



94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/12(水) 15:41:01.83 ID:3tp4h3Ou0
「やれやれ」
 真紅が出掛けた後、再びリビングに戻る。
「どこ行ったです?」
 ダイニングの椅子から、翠星石が声をかける。
「知らないよ。『夕方には戻るから』とだけ言われた」
「下着姿で…?」
「うん」
「はぁ……」
 よくわからない、といった風に首をかしげる翠星石。
「あのさ、時間あるなら、ついて行ってやれないか」
「んん、いいですよ別に」
 たっと椅子から飛び降りる翠星石。
「ありがとな。まだ近くにいると思うから…」
「了解ですぅ」





99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/12(水) 15:54:12.55 ID:3tp4h3Ou0
「さて…」
 翠星石を見送り、一息ついた後、ジュンはおもむろに2階へと上った。

 壁を背にしゃがみ込んだまま、水銀燈は部屋の中で視線を
ぼんやりと泳がせていた。
 下着姿で体育座りをし、足を包み込む両手に、時おりぎゅっと力を込める。
 ジュンが下りていってから、もう20分近く経っている。
 窓から逃げ出そうかとも思ったが、ドレスの事や、補修の事を考えると、
それは意味のないプライドであり、じっとしている方が良いと水銀燈は判断した。
「………」
 誰かに接触され、何かをされるという行為。
 自分は今まで、その類の事を忌み嫌ってきた。それはプライドなのか、
単純な嫌悪だったのか、よくわからない。 
 しかし、先ほどジュンにリボンをほどいてもらった時、なんだか
そんなに悪い感じはしなかった。
 鼓動が早まった感覚が残っているだけで、妙なイライラは逆に消え失せていたのだ。
「……」
 ゴン、と壁に後頭部をぶつけ、天井を見上げる。
 めぐの顔が思い浮かぶ。反省しているだろうか。
 抱える膝に頭を沈ませ、目を閉じる水銀燈。





109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/12(水) 16:30:16.62 ID:3tp4h3Ou0
 コンコン、と音がする。水銀燈は顔を上げる。
「入るよ」
 ドアを開けたジュンを、水銀燈はじいっと見つめた。ジュンがこちらをちらっと見る。
やがてジュンの方が視線をそらした。
「落ち着いた?」
 視線をそらしたまま、ジュンが話しかける。
「………」
 水銀燈は答えない。代わりに、ジュンの横顔をじいっと見つめ続ける。
 ジュンがまた、こちらを見やった。
「……」
 ずっと見られている事に気づいたようだ。ジュンは手に持っていたものを
ベッドに置き、水銀燈の前で、しゃがみ込んだ。
「僕の顔に何かついてるのか?」
 少し肩をすぼめる水銀燈。あごを引き、若干上目づかい気味に、それでも
ジュンを見つめ続ける。
「………」
「………」

 



114 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/12(水) 16:38:45.85 ID:3tp4h3Ou0
「ぷっ」
 唇が歪み、水銀燈が噴き出す。
「あははははは」
 口に手をあてて笑いが止まらない水銀燈。
「な、何だよ……」
 目を丸くするジュン。
「ごめんなさい、ちょっとおかしくなって」
 笑いをこらえながら水銀燈が答える。
「な、何がだよ」
「ぷっ、別に何にもないわよぉ、ごめんなさいね」
 手で髪をいじる水銀燈。
 ジュンは困惑の表情を浮かべる。
「ふぅ……」
 髪を触りながら、水銀燈の表情が徐々に落ち着いてきた。
 うつむき気味の水銀燈。
「それで…?」
「うん?」
「これから私をどうするつもり?」





115 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/12(水) 16:40:15.77 ID:lcKKL3Qj0
JUM「球体間接を舐めさせてくれ」




120 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/12(水) 16:53:29.21 ID:3tp4h3Ou0
「真紅、どこ行くです?」
「……」
 横に並んで飛びながら、翠星石が口を開く。
 真紅は答えず、前を見据えて飛び続ける。
 翠星石は諦めて前を向いた。「ついて来ないで」と言われないという事は、
『ついて行っても構わない』の裏返しである。
 多分、そのうち目的地に着くだろう。翠星石は、そう考えた。

 信号を過ぎ、その先には土手がどこまでも続いていた。
 真紅は土手に沿って飛び続ける。菜の花のにおいがふんわりと風に乗ってくる。
 土手の一角から、真紅は川に向かって下りていく。翠星石もそれに続く。
「ついたわ」
 黒い羽根が、草に混じって転々としている坂。その羽根の終点で、
真紅は地面へと降りた。
「何ですぅ?」
「探しものよ」
 真紅は言った。





122 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/12(水) 16:57:42.72 ID:l/Q9Mx0DO
銀様かわいそう(´;ω;`)モワッ
鼻が無くたって銀様は俺の嫁




123 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/12(水) 17:06:51.12 ID:3tp4h3Ou0
 ぺりぺり、と音を立て、鼻の絆創膏を慎重に剥いでいくジュン。
 水銀燈は目を瞑り、ジュンの行為に身を任せている。
「終わったよ」
 思わず鼻を押さえるが、今更隠してもしょうがないのは分かっていた。
「………」
 水銀燈は、ジュンの顔を見ないように、床を見つめる。
 ジュンは何も言わず、視線を下に向ける。水銀燈が、両手を
ぎゅっと強く握りしめているのがわかった。
 屈辱なのだろう、とジュンは思った。
「水銀燈」
「……なぁに」
「ちょっと失礼するよ」
「え」
 背中に手を回し、ゆっくりと水銀燈を抱きあげるジュン。
「あっ……ちょっと…」
 思わず目を瞑り、ジュンの肩をぎゅっとつかむ。
 急速に鼓動が早まるのがわかった。
「よっ…と」
 椅子に静かに座らせるジュン。肩をつかんだまま、水銀燈はなかなか放さない。
「もう大丈夫だぞ」
「……っ」

 



132 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/12(水) 17:45:48.68 ID:3tp4h3Ou0
「ふう……」
 背もたれに寄りかかり、水銀燈は肩の力を抜く。ジュンは目の前で何やら作業をしている。
今はあまり、鼻の事は気にならなくなっていた。
「ねぇ」
 ジュンの背中に声をかける。
「ん」
 背中が答える。
「何て呼べばいいかしらぁ?」
「ん?」
「貴方の事」
 ジュンが振り向く。水銀燈は、その眼差しをじっと見つめる。
「ジュンでいいよ。桜田ジュン」
「そう」
 また向こうを向いて作業を続ける。
「ねぇ、ジュン」
「何?」
 水銀燈は、背中を見つめ続ける。
「何でもないわ」
「そうか」
 沈黙が流れる。





133 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/12(水) 17:46:11.74 ID:3tp4h3Ou0
「よし」
 ジュンがこちらを向く。
「今から鼻を直すから、退屈だったら、何か別の事考えてろよ」
 そう言って、水銀燈の姿勢を真っすぐに整える。
 肩に触れられ、不覚にもどきっとする水銀燈。
「………」
 下を向いて何かを取りだすジュン。
「…ねぇ」
 ジュンが顔を上げる。
「また」
「何?」
「貴方が美人だって」
「えっ?」
「胸を張って言えるようにして頂戴」
 水銀燈は小さく笑った。
 ジュンはしばらく水銀燈を見つめ、やがて笑いながら頷いた。





138 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/12(水) 18:04:40.07 ID:3tp4h3Ou0
「あ〜しんどいですぅ」
 天を仰ぎ、腰をトントンと叩く翠星石。
「真紅〜いつまで探す気ですぅ?もうだいぶ暗くなってきたですのに……」
「いいわよ、先に帰ってて頂戴。私はもう少し探すから」
 ドロワースには泥だけでなく、草の緑色までが染みつき始めていたが、
真紅は気にも留めていないようだった。
「……」
 何が彼女をここまで駆り立てるのだろう、と翠星石は思った。
「あの事ですかぁ?」
 真紅が顔を上げる。
「…あの子には借りがあるから」
 それだけ言うと、再び這いつくばって、小さな白い塊を探し続ける。

 二か月ほど前、真紅は家出をした。
 理由は、今思えば些細な事だったし、もっと言えば感情的になった結果の事
である。だが、その感情的になった事自体が、孤独と共に真紅を苦しめた。
 皆に突き放されたわけではない。孤独は、自分自身が招いた事だった。
 結果から言うと、その真紅を助けたのは水銀燈である。そしてそれにより、
真紅は精神的に大きく変わった。成長した。

 泥と草にまみれて、恩返しをしようとする妹。姉として、
翠星石は誇らしく思えた。
「しょーがねぇですぅ」
 草を分けながら、翠星石は真紅の横で這いつくばる。
「お礼は明日のお菓子でいいです」
 そう言って、手で泥や草を分け始める。
「翠星石…」
 小さく笑う真紅。
「ありがとう…」  





149 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/12(水) 18:54:12.26 ID:3tp4h3Ou0
「へー、じゃあ、巴ちゃんはヒナちゃんと契約してたんだぁ」
「ええ、色々あって、今は桜田君と」
 あははは、と、時おり笑い声が響きわたる。
「楽しそうかしら〜」
「あっ、金糸雀、そのクレヨンちびてるの。
 こっち使うといいの」
 6帖ほどの和室。壁に、竹刀が入った細長いバッグがかけてある。
 部屋の中心で、金糸雀と雛苺が、寝そべって絵を描いている。






150 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/12(水) 18:54:36.01 ID:3tp4h3Ou0
「向こうは静かねえ」
「そうですね」
 巴が頷く。
「でも、あんな所で会うとは…」
「ねーっ、私もびっくりしちゃったぁ」
 巴と話しているのは、金糸雀のミーディアム、草笛みつである。
「いつもあの土手通られてるんですか?」
 巴がお茶を飲みながら尋ねる。
「ええ、この時期はね、毎年二人で来るの。菜の花が綺麗だから」
 眼鏡を拭きながらみっちゃんが答える。
「なんだか、カナの雰囲気に近いかなぁって感じがして、
 実際見せたらカナも喜んじゃって」
 あはは、と笑う。
「だから、休みの時はいつもピクニックに行くし、つらい事があった時も、
 たまにあそこに行っちゃうの。
 だから、何か一人で沈んでるOLがいたら、99パーセント私だから、
 見かけたら声かけてねっ☆」
「い、いやいやー」
 みっちゃんの笑いにつられて、巴も苦笑する。
「そう言えば、さっき『毎年二人で』って仰られてましたけど、
 もうカナちゃんとは付き合い長いんですか?」
 巴が尋ねる。
「そうねぇ、もう今年で4年目かな」
「へえーっ」
 巴は思わず声を上げた。





153 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/12(水) 19:03:38.85 ID:3tp4h3Ou0
 あははは、と再びドア越しに笑いが聞こえる。
「盛り上がってるかしら」
「巴笑ってるのー」
 雛苺がクレヨンで塗りながらドアを見やる。
「ヒナ何描いてるの?」
「んっとねぇ」
 ふと手を止め、クレヨンを傍らに置く。
「これがトモエでぇ、こっちがヒナ!
これはジュンに抱っこされて笑ってる真紅!
それと水銀燈にぃ、金糸雀」
「ちょっと、みっちゃんも描いてほしいかしらぁ」
 ぶーっとむくれる金糸雀。
「わかったのー、描くなのー、んでぇ、となりは翠星石と蒼星石!なのー」
「へえー、すごいかしら」
「いひひひ」
 雛苺が嬉しそうに笑う。
「そう言えば、今日は蒼星石にも会ったかしらー」
「へー、どこで会ったの?」
「なんかジュン君ちに行くって言ってたかしら。なんか今日は
色んな人に色んなとこで会う日ねぇ」
「描けたのー」
「どれどれ…
 …………これ、みっちゃんかしら…?」
「そうなのー」
「……(メガネ怪人かしら……)」
 金糸雀は引きつった笑いを見せた。





160 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/12(水) 19:23:49.32 ID:3tp4h3Ou0
 水銀燈は身体を背もたれに預け、静かに目を閉じていた。

 鼻がひやっとしたり、何かを塗る感覚がずうっと続いたりしている。
きっと、暗闇の向こうでは、あまり想像したくもない光景が広がっている事だろう。
「………」
 だが、不思議と嫌な気分ではなかった。
 椅子に敷いてあるクッションはふかふかで座り心地が良かったし、
背もたれには頭まで預ける事が出来て、なんだかそのまま眠ってしまっても
いいな、と思ってしまうほどだった。
 鼻先のひやりとした感覚も、何かを塗られている感触も、何か
一定のリズムで奏でられる、音楽のように感じられ始めた。
「気持ちいいわぁ……」
 思わず呟いてしまう。
 塗る感覚が一瞬止まる。きっと、ジュンは何言ってるんだ、と思ったのだろう。
だが、恥ずかしくはなかった。むしろ、その声が届いてほしい、と、
水銀燈には思えたのかもしれない。





162 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/12(水) 19:32:15.83 ID:3tp4h3Ou0
 お父様に作っていただいた鼻を失くし、どこの馬の骨とも知れない
子どもが、ましてライバルである真紅のミーディアムが、
新しくその鼻を作っている。
 その事に対して、罪悪感は多少あった。
 正直、始めはとても恥ずかしかったし、醜悪な外見を姉妹たちに
見られてしまった事は、水銀燈のプライドを傷つけた。
 ただ、それはあくまでその時の事で、今はプライドや羞恥の心などは
実感として残っていない。
 鼻が見つかればいいな、と思う反面、なんだかそれはそれで、少し
勿体ないような、そんな感じさえした。

「よし」
 日が暮れた頃、ジュンがようやく声を上げる。
「…終わったの?」
 目を閉じたまま、水銀燈が尋ねる。
「ああ、後は乾かして、やすりでこすって形を整えて…」
「そう」
「乾くまで時間がかかるから、僕は下に行って休んでるよ。
あんまり見られたくないだろうし」
「えっ…」
 水銀燈が、少し残念そうに呟いた。





164 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/12(水) 19:38:48.17 ID:3tp4h3Ou0
「待って」
 立ち上がろうとしたジュンのシャツを、水銀燈がつかむ。
 目は相変わらず閉じたまま。
「な、何…?」
 突如の出来事に、ジュンは少し驚く。
「…ここに、いてもらえないかしら」
 言葉は優しい口調。だが、その手はシャツを、ぎゅっと握りしめている。
「水銀燈…」
「お願い」
「………」
「ここにいてほしいの」
 ジュンは困惑したが、悲しそうな声に言い淀んだ。
「わかった。ここにいるよ」
 シャツをつかむ左手に、ジュンはそっと自分の手を重ねた。





167 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/12(水) 19:39:21.41 ID:N/degsTM0
どんだけ魔法の指だよ・・・もうアレだな、JUMはドール専門のエステサロンでも作ればいいさ




168 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/12(水) 19:40:47.26 ID:7n/KYf7t0
ゴットフィンガーJUNだな




177 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/12(水) 20:03:37.23 ID:3tp4h3Ou0
「ねぇ、ジュン」
 水銀燈が口を開く。
「…ん?」
「変な質問しちゃってもいい?」
「…ああ、別に何でもいいよ」
「そう」
 残っていた右手を、ジュンの左手に重ねる水銀燈。
「…いつもこんな事してるのぉ?」
「は?」
 怪訝そうに聞こえたのか、水銀燈は一瞬肩をすくめる。
「え、えっとぉ、例えばぁ、物を直したりとか、作ったりとか…そんな感じの…」
「………」
「ご、ごめんなさい…忘れて頂戴…」
「いつもじゃないけど、作ってると面白い、て感じかな…今は……」
「…今は?」
「ああ………」
 再びの沈黙。
「…もう一つ、いいかしらぁ?」
「何?」
 ジュンの左手を、慈しむようになでる水銀燈。ジュンはその仕草と
くすぐったさに、ドキッとする。
「……好きなものって…何かあるかしらぁ?」
 ジュンの指を一本一本反らせ、自分の指と絡ませてゆく水銀燈。
「あっ、べ、別に変な意味じゃないのよぉ」
 意図的なのか、本能的にそうしてしまっているのか。
そんな事はどうでもよいほどに、ジュンはいつになく鼓動が高鳴っているのを実感する。

 



184 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/12(水) 20:16:14.71 ID:QhzyGRUf0
JUM・・・・貴様・・・・・夜道には気をつけるんだな




199 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/12(水) 20:23:46.69 ID:3tp4h3Ou0
「ほら、例えばこんなお菓子が好きとかぁ、
この街のこの場所で日なたぼっこするのが好きとかぁ、
このアニメの主人公が好きだとかぁ」
「………」
「何でもいいのよぉ」
「…う〜ん……」
 ジュンはちらっと、自分の左手を見やる。水銀燈の右手と絡み合い、優しく
包み込まれている。
「特に、ないかなぁ。そういうのは……」
「そう……」
 悲しそうな声で呟く水銀燈。
「水銀燈は?」
「えっ?」
「お前は、そういうのはないの?」
「わっ、私…?」
 しばらく沈黙が流れる。
「(私が…今の私が…好きな…もの…)」
 鼓動が激しくなる。そしてその鼓動は、手からジュンにも伝わっていた。





200 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/12(水) 20:26:23.19 ID:N/degsTM0
>この街のこの場所で日なたぼっこするのが好き
その発想自体がかわええww
鼓動してるのはローザミスティカだよな!?




202 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/12(水) 20:27:47.41 ID:QhzyGRUf0
ここらへんでJUM殺しとくか

                   ,'⌒,ー、           _ ,,..  X
                 〈∨⌒ /\__,,..  -‐ '' " _,,. ‐''´
          〈\   _,,r'" 〉 // //     . ‐''"
           ,ゝ `く/ /  〉 /  ∧_,. r ''"
- - - -_,,.. ‐''" _,.〉 / /  . {'⌒) ∠二二> -  - - - - - -
  _,.. ‐''"  _,,,.. -{(⌒)、  r'`ー''‐‐^‐'ヾ{} +
 '-‐ '' "  _,,. ‐''"`ー‐ヘj^‐'   ;;    ‐ -‐   _-
 - ‐_+      ;'"  ,;'' ,''   ,;゙ ‐-  ー_- ‐
______,''___,;;"_;;__,,___________
///////////////////////




203 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/12(水) 20:33:29.75 ID:7n/KYf7t0
>>202いや帰って来い

それは俺がやる




204 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/12(水) 20:34:26.74 ID:3tp4h3Ou0
「………」
 水銀燈は頬を赤らめる。
「(私…は…)」
 ぎゅっと手に力がこもる。
「私はねぇ……」
 一旦深呼吸をする水銀燈。
「くんくんのアニメが好きなのよぉ…」
「真紅と同じだな」
 その名前に、一瞬息を詰まらせる水銀燈。
「それと…川沿いの土手で、一人で日なたぼっこするのが好き…
今日みたいな春先の午前11時頃限定よ。菜の花の香りが最高なのよぉ…」
「………」
「あとはねぇ、50階建てのビルの屋上の、貯水槽から下を眺めるのも好きよぉ…
有栖川病院の屋上とかも好きよぉ…夕日がキレイなのよぉ……」
 楽しそうに微笑みながら話す水銀燈。
「お菓子はビターチョコが好きねぇ…マカダミアナッツ入りのとかは
よく食べるわぁ……」
 ジュンはじっと、その眠っているような顔を見つめ続ける。
 鼻が乾いてきた頃だろうか。
「でもねぇ………」
 そこで言葉が止まる。
「今、一番好きなのはぁ……」
 唇をしばらく噛む。





206 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/12(水) 20:35:25.23 ID:j/cW6+hA0
JUMを射殺してくる
これは俺の役目だ




207 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/12(水) 20:35:25.55 ID:pJKM8f+BO
Jumの住所教えろ




209 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/12(水) 20:35:51.09 ID:3tp4h3Ou0
お前ら自重しろw




216 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/12(水) 20:40:36.48 ID:3tp4h3Ou0
「………」
「ねぇ…ジュン……」
「ん?」
「一つ質問しとくわぁ」
「………」
「もし…ここで私が…」
 うっすらと目を開ける水銀燈。
「な、何…」
「貴方の事を好きって云ったら、どうするぅ?」
 水銀燈は微笑んでいる。
 が、その顔は真っ赤に染まり、鼓動は今にも破裂しそうに高鳴っている。
 それは、ジュンも同様だった。

 しばらく二人は、お互いから目をそらさなかった。





217 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/12(水) 20:40:59.81 ID:QhzyGRUf0
 ババ        バババ  ババババ
    バババ ∧_,∧  ババ ∧_∧ バババ
  ∧_∧バ( ´・ω・∧_∧ (・ω・` ) ∧_∧
 (´・ω・)=つ≡つ);;)ω(;;(⊂≡⊂=(・ω・`)
 (っ ≡つ=つ  (っJUM⊂)  ⊂=⊂≡ ⊂)
 /   ) バ∧_∧| x |∧_∧ バ (   \
 ( / ̄∪バ (  ´・) ∪ ̄∪(・`  )ババ ∪ ̄\ )
  ババババ/    )  バババ (   \ ババババ
 バババ  `u-u'. バババ ババ `u




219 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/12(水) 20:42:38.29 ID:QhzyGRUf0

      ,.=-''' ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄` -、
    /               \
   ./                 .\
   {                   }
   .|   / ̄""''-=,,,,_,,,,,,==-'''"\  |
   .l,  .(  ,. - ' .、     ,. - ,  .} |
   l   > ,=ニ\ ゛ | ''゛_,=ヘ、 r' {_
  /~''i //_\_..`7| l、{''″/__`>> |r`i
  l .{`|./ ヽ二・ニゝチ、 ! .ゝrニ・二r  } ! i l  ターゲットは「桜田ジュン」だな
  { {(l {      ノ | | ヽ   ::  }| ソ/  把握した
  ヽヽ|.{    /  | |  \    i.|//
   \|.i   /  ,,.. | l._,, . \  i !/
    乂i  /    - (__,)-゛   ' {丿
    .l .!、.      ,. !.,  .,   / |
    人 \   .!''''" ̄~ ̄`''!  / 人
   ./ | .\ ,\  '-"" ゛-'  / / | .ヽ
  ノ  .{  \ .ヽ,.,   .:   ,イ /  }  ヽ
-'″  l    `' 、`.───″    .}    ヽ





224 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/12(水) 20:48:08.92 ID:3tp4h3Ou0
「ふうーっ」
 やがて水銀燈が深く息を吐いた。
「冗談よぉ。忘れて頂戴」
 ふふっと小さく笑う。
「鼻、もう乾いた頃じゃないのぉ」
「……ん…?ああ……」
 言われて、紙やすりを取りだすジュン。
「一つ確認しておくけど」
「何?」
 水銀燈は目をゆっくり閉じる。
「ちゃんと綺麗にしてねぇ。貴方が私に惚れてしまうくらいに、ね」
 もう一度、水銀燈はふふっと笑った。








 そしてその一部始終を、窓の外から、蒼星石が見ていた。
「………」
 蒼星石はしばらくうつむいた後、呼びかける事もせず、
桜田家をあとにした。





225 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/12(水) 20:48:19.54 ID:N/degsTM0
なんてこった・・・ここが今日の『耳をすませば』スレだったとは・・・・・




230 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/12(水) 20:52:18.86 ID:3tp4h3Ou0
>>225まあ待てよ。お前が死んだら銀ちゃんが悲しむぜ




236 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/12(水) 21:01:51.52 ID:3tp4h3Ou0
「ただいまーですぅ!!」
 鼻を最終整えている頃、玄関から声が聞こえた。
「あっ、戻ってきた。ちょっと待ってろよ水銀燈」
「ええ、早く戻ってきてねぇ」
 ジュンがドアを閉めるのを確認し、水銀燈は胸を押さえる。
「はぁ…ふぅ…」
 呼吸を整える。鼓動は収まった。だが、胸が熱いのは続いている。
「ジュン…
 桜田ジュン…… 真紅のミーディアム、か……」
 自分がにやけている事に水銀燈は気づいたが、それはそれで、
別にいいや、と思った。

「うっわ……何でお前ら泥だらけなんだよ!!」
 ジュンは思わず後ずさる。
「うっさいですぅ!努力のあとですぅ!!」
 草のにおいが染みつき、泥だらけの翠星石。
「ジュン、何とかしてほしいのだわ」
 こちらは一層ひどい。ドロワースは草色と土色に変色し、
美しかった金髪は、泥まみれでぐちゃぐちゃになっている。
「お前ら二人とも風呂場に来い!僕が洗ってやるから……
 大体こんな時間まで何してたんだ?」
 腰に手をあて、二人を見下ろすジュン。





238 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/12(水) 21:06:06.65 ID:j/cW6+hA0
決めた
JUMは早めに始末しておかなければ




239 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/12(水) 21:07:20.02 ID:QhzyGRUf0
党員一同「ジュン殺してくる」



                   ,'⌒,ー、           _ ,,..  X
                 〈∨⌒ /\__,,..  -‐ '' " _,,. ‐''´
          〈\   _,,r'" 〉 // //     . ‐''"
           ,ゝ `く/ /  〉 /  ∧_,. r ''"
- - - -_,,.. ‐''" _,.〉 / /  . {'⌒) ∠二二> -  - - - - - -
  _,.. ‐''"  _,,,.. -{(⌒)、  r'`ー''‐‐^‐'ヾ{} +
 '-‐ '' "  _,,. ‐''"`ー‐ヘj^‐'   ;;    ‐ -‐   _-
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______,''___,;;"_;;__,,___________
///////////////////////






240 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/12(水) 21:07:38.61 ID:3cma/Waq0
JUMは敵を作りすぎた・・・




244 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/12(水) 21:10:28.07 ID:3tp4h3Ou0
「ちょっと探しものをしてたんですぅ」
「大丈夫よ、見つかったから」
 右手を差し出す真紅。
「え…これは………

  ………何?」

「水銀燈の鼻よ。土手でもげた」
「汚れてなくて良かったですぅ。早く水銀燈に知らせてやるですぅ」
「あ……」
 決まり悪そうにジュンが頭をかく。
「ごめん、もう水銀燈の鼻、つけちゃったんだ…
 今、最後の調整してるとこで……」
「んなっ、何ですって!翠星石たちの苦労は何だったのですか!!?」
 翠星石が突っかかる。
「いや、まさか原型をとどめて残ってるとは思ってなくて……」
 真紅がふふっと笑う。
「いいわよ別に」
「えっ…真紅、いいのですかぁ?」
「ええ、私は別に、誰かに探してと頼まれたわけじゃないし、
それよりもジュン、偉いわ。水銀燈も、綺麗な鼻をつけてもらえて、
きっと喜んでるでしょう?」
 嬉しそうに真紅は笑った。





245 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/12(水) 21:14:58.64 ID:N/degsTM0
JUM「じゃあ・・・もったいないから、それもつけておくか・・・」




248 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/12(水) 21:17:30.07 ID:3tp4h3Ou0
「真紅……」
 正直、ジュンは真紅が怒ると思っていた。
「ほら、今最終の調整なのでしょう?早く仕上げてあげないと、
水銀燈もイライラしてしまうわよ」
 上に行くように促す真紅。
「そうか…ありがとうな、真紅、翠星石。ちょっとだけ待っててくれ」
「あ、待って、この鼻を渡してあげて。お父様に作っていただいたものだから」
「ん」

 ジュンが2階に上がり、翠星石はぶーっとむくれる。
「まーったく、真紅はジュンに甘すぎですぅ。少しは怒ってもいいですのに…」
「それは違うわ、翠星石」
「…何がですかぁ?」
 不服そうに真紅の顔を覗きこむ翠星石。
「一所懸命、誰かのために尽くす行為は、全てが大切で、かけがえのないものなのよ。
自分本位な所からだけの判断で、安易に批判してはいけないわ、ね?」
「……うーん…まぁそうですけどぉ……」
「まぁ、とりあえず待ちましょう」
「…はーいですぅ」
 翠星石はため息をついた。





275 名前: ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/12(水) 21:43:01.71 ID:3tp4h3Ou0
「えっ?これは…私の…?」
 ジュンはこくんと頷く。
「今、二人とも泥だらけになって玄関に突っ立ってるよ」
「そう……」
 水銀燈はうつむき、申し訳ない気持ちになる。
「大切にするわ」
「ああ」
 鼻を綺麗に整えるジュン。
「出来たぞ」
 水銀燈の前に鏡を持ってくる。
「まあ………」
 水銀燈は目を見張った。そこには、昨日までの自分と変わらない、端正な顔だちの
少女が座っていた。
「すごいわ…すごい……」
 目を輝かせて水銀燈は鏡に食い入る。
「ねえ!すごいわジュン!貴方すごい!」
 ジュンの肩をつかむ水銀燈。
「わ……」
「ありがとう!本当にありがとう!!」
 首に手を回し、しゃがんだジュンに抱きつく。そのままぎゅうっと
力をこめる。
「あ…ああ…ど…どういたし…まして…」
 ジュンの鼓動が鳴りやまない。





280 名前: ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/12(水) 21:51:31.88 ID:3tp4h3Ou0
「じゃあ、僕は真紅たちと風呂に行ってくるよ。お姉ちゃんも戻ってきてるから、
水銀燈も下に来ないか」
 道具を片づけてジュンが話しかける。
「…う〜ん……」
「真紅たちにお礼を云わないと」
「そうね、そうしようかしらぁ」
 ドアに手をかけるジュン。
「あっ、待って」
 水銀燈が呼び止める。
「何?」
 抱っこして、と言おうとしたが、それはさすがにやめた。
「ね、手、つないで頂戴」
 そう言って右手を上に向かって差し出す水銀燈。
「ん、ああ…」
 左手を同じ高さに下ろすと、水銀燈がぎゅっと握ってきた。
「行きましょう」





285 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/12(水) 22:01:28.67 ID:l/Q9Mx0DO
>>245はもっと評価されていい


みんな、逆に考えるんだ!JUM=俺だと、そう考えるんだ。

俺には見える
手をつなぎながら恥ずかしそうに見上げてくる銀様の姿が




287 名前: ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/12(水) 22:03:03.54 ID:3tp4h3Ou0
「あーっ、何手なんか繋いでやがるですか!調子に乗るなですぅ!!」
 二人がトントンと階段を下りてきた時、翠星石が声を上げた。
「えっ…あっ…ごっ、ごめんなさい翠星石…」
 ぱっと手を離す水銀燈。
 そこで水銀燈は目を見開いた。
 瞬間、じわっと身体が熱くなり、涙がぼろぼろと溢れ出てくる。
「ふ、二人とも…私のために……うっ…ひっく…ひっく…」
「泣かないで水銀燈」
 真紅が優しく話しかける。
「借りを返しただけなのだわ」
「えっく…うぅ…」
 相変わらず涙をこぼし続ける。
「ねぇ、良かったら、一緒にごはんを食べていかない?」





297 名前: ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/12(水) 22:17:09.33 ID:3tp4h3Ou0
「ふーっ、さっぱりしたですよぅ」
 翠星石が、下着姿で浴室から出てくる。
「真紅、次呼んでるです。行ってくるといいですぅ」
「わかったわ」
 真紅が浴室に消える。
「真紅ちゃんが上がったら、5人でごはんを食べましょうね」
 キッチンからのりが声をかける。
 それに反応して、リビングのソファから水銀燈が顔を覗かせ、
こくんと頷く。
 水銀燈もまだドレスが乾いていないため、下着姿のままなのだ。
「くんくん面白いわぁ…」
 ほうっとテレビに見とれる水銀燈。

 その様子からは、くんくん以外の異性に興味があるようには思えない。
 さっきのはただ、階段を下りるために、手を繋いでいただけ。

 じっと観察していた翠星石は、そう思いこむ事にした。





302 名前: ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/12(水) 22:22:42.69 ID:3tp4h3Ou0
「ほら、向こう向いててやるから、早く下着脱げ」
 ジュンがそう言ってそっぽを向く。
「いえ、面倒だからジュン、脱がせて頂戴」
「えっ……」
「いいのよ別に、貴方になら裸を見られたって」
「ななな……」
 慌てるジュン。
「何を慌てる必要があるの。巴が脱ぐわけじゃないのよ。
私は人形で、貴方は人間でしょう?」
 くすくすと笑う真紅。
「で、でも…」
「ほら、早くなさい」
 しゅるっとリボンをほどく真紅。長い金髪が、さらっと広がる。
「私に脱がせてると、床に泥が撒き散らされるわよ?ふふ」
 悪戯っぽく笑う。
「わ、わかったよ……」
 真っ赤になりながらジュンは頷いた。





314 名前: ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/12(水) 22:48:54.40 ID:3tp4h3Ou0
 真紅のドロワースを脱がし、洗面台でばしゃばしゃと洗う。泥をあらかた
落とした後、翠星石のドレスが入っている洗濯機に放り込み、
稼働させる。
「ジュン……」
 ゴウン、ゴウンと音がし始め、真紅が口を開いた。
「真紅……」
 ジュンは真紅を見やる。
 床に届きそうな長い金髪を、虚ろな目で撫でている少女。
人形とはいえ、その一糸纏わぬ姿に、ジュンはしばし魅入っていた。
 しゃがんでいるジュンに、真紅が近寄る。
「ジュン」
 腕をつかみ、頬をすり寄せる真紅。
「抱っこして頂戴」
 瞳を閉じ、真紅がささやいた。





325 名前: ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/12(水) 23:03:46.46 ID:3tp4h3Ou0
「水銀燈、嬉しそうだった?」
 髪を洗うジュンに、前を向いたまま真紅が問いかける。
「ん、ああ……」
「そう、良かったわ…」
 シャンプーをつけ、傷ませないように慎重に洗う。
「良かった?」
「ええ」
 少しずつ、髪が泡立ってくる。
「あの子は、薔薇乙女の姉妹たちの中で、誰よりも美しいの」
 ジュンはそれを聞いてどきっとする。
「そんな子が、何かの事故で鼻が潰れてしまったなんて、耐えられると思う?」
「それは……」
「私はね、ジュン」
「うん?」
 シャーと洗い流し始める。
「家出をした時、いつも綺麗だったドレスも何もかもダメになって、
正直、もうこのまま動かなくなってしまいたいと思ったの」
「………」
「それはね」
 リンスをつけるジュン。
「いつも心の依りどころにしていたものが、自らの撒いた種で、
崩れ去ってしまったから」
「………」





326 名前: ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/12(水) 23:04:17.49 ID:3tp4h3Ou0
「どんな人でもそうなのよ。どんなに心の優しい人だって、自信家だって…
そうね、例えばアメリカの大統領だって、自由なフランス人だって。
絶望の中を耐え抜いてきた人間だって。どこかに心の支えがあるから、
自信がある。
そこから余裕が生まれる。
そうしてそのエネルギーを、行動力に変え、発想力に変え、慈愛の心に変え、
誰かを守ろうとする力に変える。
だから、どんな人でも自暴自棄になる。死にたくなる。
誰かを裏切る」
「真紅……」
「そんな可能性を秘めているものなのよ」
 リンスを、丁寧に髪になじませていく。
「土手で出会った時、あの子は泣いてたのよ。あの強い子が。…それはきっと」
「………」
「水銀燈の心の支えのひとつとして、美しい顔があったからなのでしょうね」
 再びシャワーで洗い流す。





327 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/12(水) 23:05:26.51 ID:j/cW6+hA0
真紅・・・




328 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/12(水) 23:05:49.67 ID:eLJgKbGM0
ジャム・・・・




332 名前: ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/12(水) 23:15:07.08 ID:3tp4h3Ou0
「私はもう、貴方や翠星石たちを裏切るような真似はしないと誓うわ」
 シャーという音と共に、真紅の美しい金髪が輝きを取り戻していく。
「だから…」
 シャワーを止める。
「貴方も、私を裏切ったり、しないでね」

 タオルで拭き終えると、真紅の髪からはとてもいいにおいがした。
「はあ……生き返ったのだわ」
「とりあえずさ、このシャツ着てろよ」
 ジュンが2階から小さなシャツを持ってくる。
「まあ…ありがとうジュン」
 頭からすっぽりかぶる真紅。
「僕は風呂場片づけてから行くから、お前先に行ってろよ」
「わかったのだわ。早く来てね。一緒に食べましょう」
 真紅はにっこりと微笑み、洗面所をあとにした。


『貴方も、私を裏切ったり、しないでね』

 その言葉は、何故かジュンの心に、深く突き刺さった。





345 名前: ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/12(水) 23:37:52.81 ID:3tp4h3Ou0
「真紅」
 ポテトサラダをつつきながらジュンが口を開く。
「…何?」
「あとで時間あるか?」
 手を止める真紅。
「ええ…あるけど…何?」
「いや……」
 ちらっと水銀燈を見やるジュン。水銀燈はそれに気づかぬフリをする。
「やっぱいいや、あとで話すよ」
 再び右手を動かし始めるジュン。
「そう」
 真紅は深くは突っ込まず、食事を続けた。


 今日は水銀燈は泊まる事となった。
「寝る鞄がないですよぅ」
 翠星石が、どうするのだ、という風にジュンを見やる。
「いや…えっと…う〜〜〜ん……」
「私は別にいいわよぉ。その辺で適当に寝るからぁ。
変に気を遣わないでも」
「ダメよそんなの。安眠が大切なのよ。それだったら泊まる意味がないじゃない」
 真紅が咎める。

 



349 名前: ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/12(水) 23:52:56.75 ID:3tp4h3Ou0
 水銀燈は、のりの部屋で一緒に寝る事になった。
「まぁまぁ、水銀燈ちゃん、今夜はよろしくねぇ〜」
「ええ、よろしくお願いするわぁ」
 二人の暢気な挨拶を見て、真紅はほっと胸をなで下ろす。
「これでいいわね…それより、ジュン」
「ん」
「さっきの、話って何かしら」

「2階に上がらないといけない事なの?」
 やや不機嫌そうに真紅が尋ねる。
「いや、ごめん。あんまり水銀燈には聞かれたくない話だから」
「水銀燈に?」
「ああ」
 そう云って、真紅が着ているシャツの腕をまくる。
「この傷の事だよ」
 両腕の無数の穴。それは確かに今日、水銀燈が真紅につけた傷だった。
「ああ、これね」
 時計をちらっと見る。8時40分を回っていた。
「いいわ、別に明日で」
「え、いいのか真紅?」
「ええ、今日はもう寝る時間だもの」
 腕をさすりながら、真紅は言った。





352 名前: ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/13(木) 00:02:14.69 ID:Va8BLKwJ0
「ふう……」
 12時を過ぎ、ジュンはパソコンの電源を落とした。
 既に真紅、翠星石は寝静まり、隣の部屋も消灯しているようだ。
「のどが渇いたな…」
 二人が起きないように、そっとドアを開け、1階へ下りていく。

「………寝れないわぁ」
 同じ頃、のりのベッドの中で、水銀燈も寝付けずにいた。
 やはり、鞄でなければ眠れない。
「……ジュン」
 振り返ってみれば、これも原因のひとつだったのだろう。
ベッドに入ってから、水銀燈はジュンの事ばかりを考えていた。
 今日の全てが、水銀燈にとっては悩ましく、心地よく、
忘れがたい感覚だった。
 もう一度、ああいう風にジュンに身を任せたい。そんな欲求が、
時間が経つほどに大きくなっていく。
「………?」
 キィ、と音を立てて、隣の部屋から誰かが出ていったのを感じた。
「誰かしら……」
 こっそりベッドを抜け出すと、水銀燈は階下へと向かった。





353 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/13(木) 00:03:21.44 ID:C+aelxHz0
JUM抜くなwwwwwwwwwwwwwwwwww




357 名前: ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/13(木) 00:17:19.01 ID:Va8BLKwJ0
 水を飲むと、ぼうっとしていた頭が、少し楽になった気がする。
 リビングのソファに座るジュン。
「今日は疲れたな……」
 水銀燈。
 真紅。
 なんだか今日は、二人が二人とも、とても艶っぽく感じられた。
 自分の左手には、水銀燈が絡ませてきた右手の感覚が、まだ残っている。
 目を閉じると、一糸まとわぬ真紅が怪しく微笑む姿が思い出される。
「あいつらは人形なのに……」
 いつの間にか高まっている鼓動。
 ジュンはぐいっと水を飲み干した。
「ジュン……?」
 キィ、とドアが開いて、水銀燈が入ってくるのが見えた。





362 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/13(木) 00:20:05.54 ID:74M3DJ0VO
>>357
Jun抜いたばっかなのに盛んだな




369 名前: ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/13(木) 00:25:59.62 ID:Va8BLKwJ0
「水銀燈…」
 コップを持ったまま、ジュンは固まる。
「何してんだ、こんな夜中に……」
 水銀燈は下着姿のまま、壁づたいにこちらに近寄ってくる。
「ちょっと……眠れなくて……」
 そういう水銀燈の足は、ふらふらと定まらない。
「眠いというか、疲れてるのは疲れてるんだけど…」
 ソファにたどり着くと、水銀燈はしゃがみ込み、目を瞑った。
「お、おい……」
「………ねぇ…」
 うっすらと目を開ける水銀燈。
「…ソファの上に行きたいわ……」
 その声はいつになく静かで、だが、何とも云えない妖しさがあった。
 言われるままに、水銀燈を抱きあげるジュン。
「…ありがと……」
 ソファに座り、そのままジュンの膝を枕に、横になる。
「ん……」
 ジュンは、動悸が収まらない自分に、冷静になるよう言い聞かせる。





373 名前: ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/13(木) 00:35:00.10 ID:Va8BLKwJ0
「…ごめんなさいね……」
 目を閉じたまま、水銀燈が呟く。
「え?」
「真紅の腕の事……」
「わかってたのか…」
「私のせいだから…」
 ごろんと仰向けになり、うっすらと目を開ける水銀燈。
「ねぇ……ジュン……」
 起き上がり、ジュンの太ももに手をつく。
「私…まだ答えてなかったわよねぇ……」
 耳まで真っ赤になっているジュン。
「私は貴方の事が好きよぉ。大好きぃ」
 とろんとした眼差し。水銀燈はそのまま、ジュンの胸にすりすりと顔を寄せる。
「あは……すごいどきどきしてる……」
 ジュンは何が何だかわからない。自分は今どうなっているのだろう。
そして、この第1ドールは何をしているのだろう。
「…キスさせて」
 言いながら、水銀燈はジュンの顔を包み込む。

 




374 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/13(木) 00:35:42.48 ID:XPqPYUig0
水銀燈かわいいっw




386 名前: ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/13(木) 00:50:20.36 ID:Va8BLKwJ0
 水銀燈はジュンの上に跨った。両の瞳をとろんとさせたまま。
「ジュン…好きよ…大好きよぉ……愛してるわぁ……」
 言いながら、水銀燈は自分の唇をジュンのそれに重ね合わせた。
「んっ…」
 水銀燈は何度も何度もそれを求めた。
 ちゅっ、ちゅっ、と、まるで小さな子どもが、母の乳房を求めるかのように。
「水銀……燈……」
 ジュンは、いつの間にか、水銀燈の背中に腕を回していた。





「……ごめんなさい…つい……」
 ジュンに身体を預けたまま、水銀燈がか細い声で謝る。
「………」
 ジュンはそれに答える事はせず、ただ、水銀燈の髪を優しく
なで続ける。
「ジュン……」
 ジュンの背中に腕を這わせる水銀燈。
 そのままぎゅっと抱きしめてくる。
「………」
 ジュンは遠くを見据えたまま、水銀燈の髪を、いつまでもなで続けた。





387 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/13(木) 00:51:05.11 ID:XPqPYUig0
キスしやがったwww




388 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/13(木) 00:52:09.25 ID:27WUhiNCO
\(^O^)/




389 名前: ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/13(木) 00:52:34.43 ID:Va8BLKwJ0
とりあえず今日はここまで。
前編もここまで。
また明日の早いうちに、投下開始しますー
保守してくれてた人乙でした。





399 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/13(木) 00:57:51.74 ID:KC17GUDHO
蒼い子はどうしたああああああああああああああああああ




400 名前: ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/13(木) 00:58:52.70 ID:Va8BLKwJ0
翠も蒼も後編に出てくるから待ってて下さいw





411 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/13(木) 01:41:54.13 ID:6j18pzplO

JUMのイケメン仕様に笑った




434 名前: ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/13(木) 09:24:49.70 ID:Va8BLKwJ0
おはようっす 





438 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/13(木) 09:46:05.91 ID:twsKI+ctO
>>434
おお!今日もがんばってくれ!




439 名前: ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/13(木) 09:48:36.04 ID:Va8BLKwJ0
「ん………」
 水銀燈は、うっすらと目を開ける。 東の窓から光が差し込み、朝が来たのだと気づく。
「…………」
 半身を起こし、辺りを見回す。
「ああ…」
 そう言えば、昨日は真紅の家に泊まったのだ、と、ようやく思い出す。
 自分の隣で寝ていたのりは、既に朝食の準備をしているようだ。ほんのりと
いいにおいが漂ってくる。
「………」
 唇に指を這わせる水銀燈。鼓動が早まる。
 自分は昨日、真紅のミーディアムとキスをした。自分がそれを、とても欲しくて
たまらなくなり、何度も、何度も求めたのだ。
「んぅ………」
 ぼふっとベッドに倒れ込む。枕を抱きしめ、目を閉じる水銀燈。
「ジュン………」
 枕を抱きしめたまま、水銀燈は、再び眠りの世界へと堕ちていった。

 



442 名前: ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/13(木) 10:01:56.20 ID:Va8BLKwJ0
「水銀燈の奴、遅いな……」
 2階を見ながらジュンが呟く。
「気になるの?」
 紅茶を飲みながら真紅が尋ねる。
「えっ、あっ、いや、別に…」
 慌てふためくジュン。
「ふふ、何照れてるのかしら?」
 にやにやと笑う真紅。
「でも遅いわね…ジュン、良かったら様子を見てきてくれない?
鼻の調子が悪いのかもしれないのだわ」
 カップを置く真紅。
「鼻か……いや、大丈夫だよ、きっと」
 真紅ががたんと立ち上がる。
「まぁ、ジュン。貴方、いつからそんな無責任な性格になったの。
貴方が直したものは、貴方がキチンと確認する。
常識でしょう。違う?」
 ドン、とテーブルを叩く真紅。
「わ、わかったよ…そんなに怒るなよ…」
 立ち上がり、ジュンは2階へと上っていく。
「あらぁ、きっと大丈夫よぅ。今朝起きた時も、特に
おかしくなかったみたいだから」
 配膳係ののりが、にこにこしながら答える。
「そうです、そんなに気を遣っても、意味がないですぅ」
 真紅の隣で翠星石が口を開く。
「そうね……だと……いいけれど……」
 頬杖をつき、真紅は、ジュンが出ていった、リビングのドアを見つめ続けた。

 



446 名前: ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/13(木) 10:13:43.35 ID:Va8BLKwJ0
 コンコン、という音に、水銀燈は目を覚ます。
「おーい、起きてるのか」
 水銀燈は飛び起きる。途端、胸がどくどくと高鳴り始める。
「お、おおお、お、起きてるわぁ」
 数秒ほど間があり、ドアがキィ、と開く。
「ジュン……」
 水銀燈は、名前を呼ぶ。
「お、おはよ、す、水銀燈…」
 目をそらしながら、頭をかくジュン。
「おはよぅ」
 そんなジュンに対し、水銀燈は優しく微笑む。
「起こしにきてくれたのねぇ」
 ふふっと笑う。
「あ、ああ、真紅が、行って、鼻が大丈夫か見てきてくれって」
「大丈夫よぉ。お陰さまでぇ」
 鼻をなぞる水銀燈。ジュンは安心したように小さく笑う。
「皆、もう下でごはん待ってるから、行こう」
「ええ……ねえ、ジュン」
「うん?」
 少し言葉が途切れる。
「抱っこしてくれない?」
「へっ?」
「ね、いつも真紅にしてるみたいに…」
 そう言って、両手をジュンの方に差し出す水銀燈。





448 名前: ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/13(木) 10:26:14.99 ID:Va8BLKwJ0
「よっ…」
 抱きあげると、水銀燈は自然と肩に手を回してくる。
「んっ……」
 ジュンの首筋に、頬をすり寄せる水銀燈。その仕草に、ジュンの鼓動は
否応なしに速くなる。
「ふふ」
 水銀燈が嬉しそうに笑う。

「じゃ、降ろすよ」
 リビングのドアの前。
「えっ…」
 水銀燈が悲しそうな声を上げる。
「いや、こんなの真紅や翠星石が見………っ」
 言い終わらないうちに、ジュンの唇と、水銀燈の唇が重なり合っていた。
「っぷ」
「これで我慢してあげるわぁ」
 唇を離し、水銀燈は悪戯っぽく笑う。
「水銀燈……」
 ひょいっとジュンの腕から飛び降りる水銀燈。ドアを開けるジュン。
「おはよー」
 食卓に走り寄る水銀燈とは対照的に、ジュンはしばらく立ち尽くしていた。





456 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/13(木) 10:50:17.21 ID:MiP2DOKHO
水銀燈がジャムに奪われたと知ってめぐ参戦、桜田家が修羅場から処刑場に変わるんですよね
わかります!




458 名前: ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/13(木) 10:50:57.35 ID:Va8BLKwJ0
「もう皆のドレスは乾いてると思うから、ジュン君、取り込んであげてねぇ」
 玄関口でのりが靴を履きながら云う。
「うん、わかった」
 こくりと頷くジュン。
「じゃあ、行ってきまーす」


「…さてと」
 のりが行ってしまうと、ジュンはおもむろに靴を履き始める。
「どこ行くですぅ?」
 ちょうど横で見送りしていた翠星石が尋ねる。
「庭」
 トントン、と履き終え、ジュンは答えた。
「あっ、待ってですぅ、翠星石も手伝うですぅ」
「いや、お前靴も洗っただろ…」
「別にいいですぅ。カゴくらいは持たせろです。も、もうちょっとだけ
待っててほしいですぅ」
 そう言って、洗面所から洗濯カゴを引っ張ってくる翠星石。
「ああ、もう」
 ため息をつく。
「さあ、行くで……ひょえっ!?」
「これでいいだろ。足も汚れないし」
 ひょいっと翠星石を抱きあげるジュン。
「そ、そそそそそそうですこれでいいのですぅ。ジュンが取って、
翠星石がカゴに入れればバッチリです」
 カゴをぶらんぶらんとさせる翠星石。それがいちいち肘に当たらなければ、
『可愛い奴だな』で済むのに、とジュンは思った。





462 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/13(木) 10:57:47.00 ID:ZGwOt72k0
これ修羅場フラグ立ちまくりだろ・・・




463 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/13(木) 11:00:20.99 ID:eud7dl4BO
JUMがイケメンすぎる件




464 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/13(木) 11:04:17.12 ID:MiP2DOKHO
イケメンというか、普通にいい人すぎると思う
家事とか普通にやってるしww




465 名前: ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/13(木) 11:08:20.84 ID:Va8BLKwJ0
「ジュン」
 真紅のドロワースをたたみながら翠星石が話しかける。
「ん?」
「水銀燈、明るくなったですねぇ」
「えっ?」
 カゴにドロワースを入れる翠星石。
「さっきの食事の時も、嬉しそうに食べてたし」
 真紅のヘッドドレスの洗濯バサミを取り外すジュン。
「そうか?」
「そうですぅ。昔は、というか、つい最近までは、いちいちおっかない
行動してたのですよ?ジュンも何かされた記憶ないですか?」
「記憶……」
 ジュンの手が止まる。
「ジュン、ちゃっちゃと取り込むですぅ」
「あ、ああ」
 真紅のドレスを翠星石に渡す。
「よっぽど、ジュンに作ってもらった鼻が嬉しいんですかねぇ」
 ドレスをたたむ。
「さあ、そ、そうかもな」
 パチンと音がして、洗濯バサミが地面に転げる。
「あっ」
「何どんくさい事やってるですか」
 呆れたようにつぶやく翠星石。
「昨日も仲良かったですねぇ」
「えっ」
 拾おうとして、更に弾いてしまうジュン。
 そしてその目が一瞬泳ぐのを、翠星石は見逃さなかった。





476 名前: ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/13(木) 11:22:46.46 ID:Va8BLKwJ0
「早く拾うですよぅ」
 頭をぺしぺしと叩く翠星石。
「ああ、ごめんごめん…」
「………」
 しばらく沈黙が流れる。
「………」
 翠星石の頭巾を渡すジュン。
「な、仲良かったって」
 しびれを切らしたようにジュンが口を開く。それをじっと観察する翠星石。
「どこが?普通だろ」
 翠星石はわざと沈黙する。視線を落とし、頭巾をたたんでカゴに入れる。
「………」
 ぷっと吹き出す翠星石。
「なぁに慌ててるですかぁ?ウブな野郎ですぅ」
「なっ」
 翠星石のドレスを持ったまま、ジュンが真っ赤になる。
「何だとこの性悪人形!!……ふっふ〜。このドレスが地面に落ちても
いいのかぁ〜〜??」
 にやにやと笑うジュン。
「あっ、や、やめるですぅ!ジョーダンですからぁ!!」
「じゃあんまりからかうのはよせよな。あいつにも悪いし」
 ドレスを渡すジュン。
「わかったです。しょーがないですねぇ」
 たたみながら、ちらっと横目でジュンを見やる。
 そこには、水銀燈のドレスを手にとり、しばらく眺めているジュンがいた。
「さっさとしやがれです」
「あ、ああ」
 ドレスを渡すジュン。





477 名前: ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/13(木) 11:23:54.08 ID:Va8BLKwJ0
「さ、これで終わりですね」
 ふうっと翠星石が息を吐いた。
「ああ、ありがとう。僕が洗濯物2階に持って上がるから、カゴ返しといてくれないか?」
「りょーかいですぅ」
 ジュンが2階に上がってゆく後ろ姿。
 しばらく、その背中を見つめ、翠星石は洗面所に向かう。
「『あいつ』…って、言ったですぅ……」
 翠星石のカゴを握る手が、小さくカタカタと震えていた。





479 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/13(木) 11:25:39.05 ID:ZkmjOGRY0
おもしろくなりそうだ




481 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/13(木) 11:25:52.85 ID:lXdC5pL+0
昼じゃないのに昼ドラ




529 名前: ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/13(木) 14:18:08.85 ID:Va8BLKwJ0
「ジュン、もういいわよ」
 声と同時に、部屋のドアがカチャリと開く。廊下で立っているジュンを、
中から真紅が顔を出し、呼んでいる。
「ああ」
 部屋の中では、翠星石、水銀燈が、ドレスを身に纏っていた。
 ぱっと水銀燈と目が合った。
「なぁにじろじろ見てんのよぉ」
 忌々しげに言い放つ水銀燈。
「ご、ごめん」
 わざと振る舞ってくれたのだろうか。
「ジュン、それじゃあ、そろそろいいかしら」
 下着姿の真紅。
「ああ、―――翠星石、水銀燈。悪いんだけど、ちょっと下に行っててくれないか」

「ねぇ、ジュン」
 腕を伸ばしたまま、真紅が口を開く。
「うん?」
 丁寧にパテ盛りをしていくジュン。
「もうすぐ、私がここに来て、1年ね」
「そうだっけ」
「ええ」
「来週の火曜日」
「もうそんなになるのか…」
 左腕を、ゆっくりと机の上に置かせる。
「ん、じゃあ次は右腕上げて」
「わかったわ」
 真紅は言われた通りにする。





531 名前: ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/13(木) 14:22:49.05 ID:Va8BLKwJ0
「それでね、その来週の火曜日なんだけど」
「うん」
「朝から、一緒に出掛けたい場所があるの」
「一緒に?」
「大丈夫よ、そんなに遠くじゃないから」
「………」
「どう?」
「…構わないけど」
「そう」
 ジュンは視線を動かさずに答える。真紅は、少しうつむいた。
「…ねえ」
「うん、何だ?」
「私ね、時々怖くなるの」





537 名前: ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/13(木) 14:30:54.90 ID:Va8BLKwJ0
「きゃーっ、くんくーん!!」
 水銀燈が嬌声を上げる。
 翠星石と水銀燈は、並んでソファに座り、くんくんのアニメを観ていた。
「な…なんかキャラが違うですぅ……」
 若干引き気味に水銀燈を見つめる翠星石。
「あぁっ、ダメっ、ダメよぉくんくんっ!クマ吉がニャン美の下着を
盗った犯人なのにぃっ!!」
「………」
 翠星石はため息をつく。
「す、水銀燈」
「えっ?」
 水銀燈が翠星石を見やる。
「ちょっといいですかぁ?」
「ええ…何かしらぁ」
 ピッとテレビを切る翠星石。それを見た水銀燈は、乗り出していた身を戻し、
いつもの切れ長の目で、翠星石を見つめ直す。
「ジュンの事ですぅ」
 水銀燈は眉ひとつ動かさなかった。





538 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/13(木) 14:33:43.39 ID:xKMIHLUT0
翠やめおおおおおおお




539 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/13(木) 14:35:08.48 ID:Vwwd1+rXO
うぼぁあ




540 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/13(木) 14:39:45.98 ID:H/T9Ito40
なんだこのドロドロした展開wwwwwwwwwwwww




542 名前: ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/13(木) 14:41:56.37 ID:Va8BLKwJ0
「翠星石は、まどろっこしいのは嫌いです」
 リモコンを机に置く。
「だから、単刀直入に訊くですぅ」
 じっと水銀燈を見つめる。
「ジュンの事、どう思ってるです?」
 翠星石は、両の拳を、ぎゅっと握りしめる。
 しばらく沈黙が流れる。お互い、視線を動かさぬまま、相手を
見つめ続ける。
「…どうって?具体的に何を言えばいいの?」
 水銀燈が口を開く。
「そ、それは…たとえば…人としてこう思う、とか……好きとか、
嫌いとか……」
 しどろもどろの翠星石。目があちらこちらに泳いでいる。
「………そうね」
 視線を下に向ける水銀燈。
「………」
「感謝してるわぁ」
 鼻をなでながら、水銀燈は答えた。





551 名前: ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/13(木) 14:53:45.01 ID:Va8BLKwJ0
「鼻をこんなに綺麗に直してくれて」
 一通りなで終えると、再び翠星石に視線を移す。
「人として?そうねぇ……うふふ」
 下唇をかみ、水銀燈を負けじとにらむ翠星石。
「好き、って云ったら、貴女はどうするぅ?」
 ふふっと笑う。
「なっ…!」
「冗談よお……そんな怖い顔しないでよぉ。貴女が、あのミーディアムの
事を好きなのはわかってるから」
「うっ」
 頬を赤らめる翠星石。
「人としてねぇ…そうねぇ、尊敬はしてるわぁ……」
「そ…それじゃあ……」
 すがるような眼で見てくる。
「さぁ…少なくとも嫌いではないし、無関心でもないから……」
「ど…どういう意味ですぅ…?」
 ふっと小さく笑う。
「それくらい自分で考えなさい」
「………」
「私は、貴女のミーディアムはすごい人ね、っていう話をしただけよぉ」
 そう言うと、水銀燈は立ち上がり、リビングから出ていく。
「どこ行くです?」
「ちょっと家の中をうろつくだけよぉ…別に何か盗ったりするわけじゃ
ないから、気にしないで頂戴」
 キィ、と音がして、リビングのドアは閉められた。
「…………」
 翠星石はリモコンを取ろうともせず、座りこみ、胸を押さえた。





555 名前: ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/13(木) 14:58:57.00 ID:Va8BLKwJ0
 リビングを出た水銀燈は、冷や汗を感じずにいられなかった。
「(見抜かれてる……)」
 壁にもたれかかり、自分を落ち着けようと、何度も深呼吸をする。
 水銀燈はその場に座りこんだ。
「(私は……私は……)」
 ふと、ジュンの顔が浮かぶ。それと同時だった。身体の芯が熱くなり、
涙がぼろぼろと溢れ出てきた。
 両手で顔を押さえる水銀燈。
「うぅっ……」
 たまらなくなった水銀燈は、2階ののりの部屋へと駆け出していた。





556 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/13(木) 14:59:19.48 ID:xKMIHLUT0
GYAAAAAAAAAAA




557 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/13(木) 15:00:20.68 ID:lXdC5pL+0
ドロドロ




558 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/13(木) 15:02:28.90 ID:ZGwOt72k0
これは・・・




561 名前: ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/13(木) 15:04:15.61 ID:Va8BLKwJ0
 ドアを開け、ベッドに倒れ込む水銀燈。
「うっ……えっ……」
 どうして泣くのか、水銀燈はよくわからなかった。
 自分がジュンを好きになったのは事実で、何度もキスをしたのも、事実だ。
初めて抱いた、『一緒にいたい』という欲求。お父様であるローゼンに対する、
半ば幻想に近い思いとは違う、より現実的な、近しい者に対する、当たり前の感情。
「どうしてっ……!」
 だが、その当たり前の感情が露わになれば、何かを崩壊させてしまうという事が、
先ほどのやり取りで、水銀燈の胸に、重く突きつけられた。
「私は…ジュンと…一緒にいたい…だけなのにぃ…」
 水銀燈は、しばらく嗚咽を漏らし続けた。





567 名前: ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/13(木) 15:14:57.80 ID:Va8BLKwJ0
 腕にひんやりした感覚を覚えながら、真紅が呟いた。
「怖くなる?」
「ええ」
 伏し目がちになる真紅。
「例えば、明日、私が貴方と喧嘩して、また感情に任せて出ていったとしましょうか」
「………」
「私は、心の中では『ああ、またやってしまったわ。早く帰って謝らなきゃ』とか
思っているのよ」
「………」
「でもね、何かの拍子に、私はローザミスティカを誰かに奪われて、
二度とこっちの世界に戻って来られなくなっちゃうの」
「………」
「たまにあるでしょう」
「………」
「朝起きたら、十数年寄り添ってきた大切な人が、心臓発作で死んでいた」
「………」
「20代、一人暮らしの若者が、ある朝、冷たくなってしまっていた」
「………」
「海で、山で、火災で、地震で、昨日まで隣で笑っていた人が、遺体すら見つからない」
「………」
「ふふ…ちょっと大袈裟になっちゃったかしら」
「………」
「でも…私みたいなお人形は、何かあっても誰も助けてくれないし、
誰も私の戻るべき場所なんてわからない」
「………」
「そうしたら、もう貴方のもとへは帰って来れないの」
「………」
 ぎゅっと拳を握る真紅。





574 名前: ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/13(木) 15:21:04.90 ID:Va8BLKwJ0
「ごめんなさいね、私、こんな事言うの、とても恥ずかしいの」
 肩が小さく震えている。
「でも、何となく、貴方に云っておきたくて」
 真紅が顔を上げる。
「ねえ、ジュン」
「うん……?」
「お願いがあるの」
 真っすぐにジュンを見つめる真紅。
「もし、私がどこか、貴方も知らないところへ行ってしまって」
「………」
「もう何をどうやっても、自力で戻ってこれなくなってしまったら……」
「………」
「どれだけ掛かってもいいわ」
「………」
「また、私の事を見つけてほしい」
「真紅………」
「私は…今の私は……」
「………」

「貴方のそばに、いつまでもいたいから」
 真紅はジュンをじっと見つめたまま、そう言った。





580 名前: ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/13(木) 15:26:07.23 ID:Va8BLKwJ0
「真紅………」
 ジュンには、どう答えてよいか、わからなかった。
「………」
 真紅は、ちょっと悲しそうな顔をしたが、やがて微笑みを浮かべる。
「ごめんなさい、変な事言っちゃって」
「い、いや…」
「続けて頂戴、ジュン」
 そう言って視線を落とす真紅。
 ジュンは、そんな真紅の横顔を、しばらく見つめていた。




 その会話を、ドア越しに水銀燈も聞いていた。
「………」
 泣き腫らした目。
 水銀燈は、そのままゆっくりと、のりの部屋に戻った。





581 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/13(木) 15:27:46.91 ID:jfMSAqtmO
銀様ぁぁぁぁぁブワッ




582 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/13(木) 15:28:00.89 ID:ZGwOt72k0
ドロドロすぎる




583 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/13(木) 15:30:39.41 ID:MiP2DOKHO
銀様……(´;ω;`)ブワッ




585 名前: ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/13(木) 15:31:55.86 ID:Va8BLKwJ0
「じゃあ、私はこれで帰る事にするわぁ」
 水銀燈が、玄関口で頭を下げる。
「じゃあね、水銀燈。また、遊びにでも来て頂戴」
 真紅が優しく微笑む。
「…ま、まぁ、気が向いたら来てあげてもいいわよぉ」
 視線をそらしながら答える水銀燈。
「あれ、翠星石は?」
 ジュンが辺りを見回す。
「眠いから上で寝てるって言ってたわ」
「あ、そう。見送りくらい来てやりゃいいのに」
「ジュン」
「ん?」
 真紅の顔を覗きこむジュン。
「外まで見送りに行ってあげなさい」
「いいのよぉ、別にそんなに気を遣わなくてもぉ」
 悪いわ、という風に水銀燈が両手を振る。
「いいから。ほらジュン、さっさとなさい」
「ああ、わかったよ」
 靴を履き始めるジュン。





586 名前: ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/13(木) 15:38:07.78 ID:Va8BLKwJ0
「それじゃね」
 真紅が手を小さく振る。
「あ、真紅」
 水銀燈が懐からごそごそと箱を取りだす。
「何?」
「ありがとう…本当に…」
 中を見せる水銀燈。それは、お父様が作った鼻だった。
「大切にするわ」
 そう言うと、淋しげに水銀燈は手を振った。


「水銀燈…」
「ジュン」
 玄関を出て、家の窓から見えない位置で、水銀燈が口を開いた。
「色々と本当にありがとう。楽しかったわぁ」
 嬉しそうに微笑む。
「あ、ああ……」
「でも、もうあんな事はしないから」
 うつむく水銀燈。
「ね、迷惑だったでしょ?」
 足元の石を蹴る。





590 名前: ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/13(木) 15:51:25.11 ID:Va8BLKwJ0
「い、いや、別に…そんな事…」
「もうしないわ」
 そう続ける水銀燈の顔には、悲しみの色が浮かぶ。
「………」
「私は、貴方の事が大好きよ」
「水銀燈……」
「でも」
 再びうつむく。
「やっぱり、それはいけない事だったのよ」
「………」
「ね、貴方も、今日、それは何となく理解出来たでしょう?」
「聞いてたのか……」
「ええ、聞いちゃった」
 ふふっと笑う。
「もう」
 言葉をつぐんだ。
「もう、ここには来ないから」
「えっ」
「じゃあね、さよなら」
 水銀燈は振り返らずに飛び立った。
「水銀燈!!」
 ジュンの声は聞こえていた。だが、振り返るわけにはいかなかった。
 涙を流しながら、水銀燈はどこまでも飛び続けた。





591 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/13(木) 15:52:29.56 ID:ZGwOt72k0
せつない




595 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/13(木) 15:58:01.33 ID:XPqPYUig0
せつねぇ・・・




608 名前: ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/13(木) 16:05:46.07 ID:Va8BLKwJ0
 ジュンの部屋。
 真紅はベッドの上で、壁に寄りかかったまま、呆けたように虚空を見つめていた。
 何となく、何かをする気になれなかった。
「水銀燈……」
 真紅は薄々感づいていた。昨夜、手をつないで階段を下りてきた。
 それから、やけに明るくなっていた水銀燈。
 ジュンのぎこちない仕草や受け答え。
 
 間違いなく、水銀燈は、ジュンの事を好きになっている。ただ、ジュンの方はと言うと、
そこまでの思いというのはないのかもしれない。
 ただ、自分の話に対し、素気ない受け答えが続いているのは事実だった。
別にそれが、真紅からして悪い事だとは思っていない。
 人を好きになるのは素晴らしい事だし、別に自分はジュンと結婚しているわけではない。
ジュンは人間で、真紅は人形である。水銀燈とて、それは変わらない。
「………」
 ただ、真紅は、今までにない寂しさを感じていた。家出の時とは違う、空虚。
 ベッドはふかふかだと思えないし、春の暖かい日差しも、なんだか真紅には
寒々しく感じられた。
 何より、水銀燈が去ってから、ジュンはリビングでぼーっと座ったままで、
2階に上がってこないのである。
「………」
 真紅は自分の両肘をぎゅっと抱きかかえた。
 なんだか、とても虚しくて、淋しかった。





613 名前: ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/13(木) 16:18:37.20 ID:Va8BLKwJ0
「ジュン、ちょっとジュン」
 リビングでは先ほどから翠星石がジュンに話しかけようとしている。
だが、ジュンは、ああ、とか、うん、とか、生返事ばかりを繰り返す。
「………」
 ため息をつき、イライラを押さえられない翠星石。
「ジュン、いい加減にするですぅ!せっかく翠星石がこんなに
話しかけてやってるのに……」
「あー、もう、うるさいな」
 うざったそうに頭をかくジュン。その言葉が翠星石のスイッチを入れた。
「……ああ、そおですかぁ」
「……」
「じゃあ、うるさい翠星石はさっさとここから消えるです。
今までお世話になりました」
「…あ?」
 直後、目の前の机が吹っ飛び、ガラガッシャーンと音を立てて向いの
壁にぶつかった。
「うっわ、こら、お前、何すんだ!!直せよ!!」
 翠星石はそれを無視し、リビングをすたすたと出ていく。
「この性悪人形!!」
 追いかけ、腕をぐいっと引っ張り、こっちを向かせるジュン。
「……っ」
 振り向いた翠星石の目には、大粒の涙が浮かんでいた。
 ジュンの表情が固まる。
「知らんです、このくそ馬鹿」
 手を力いっぱい振りほどき、翠星石は階段を駆け上がった。
「……翠星石」
 バァンと音がしたが、ジュンはうつむいたまま、顔を上げようとはしなかった。

 



615 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/13(木) 16:20:52.59 ID:XPqPYUig0
JUM・・・お前・・・




616 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/13(木) 16:21:33.86 ID:S/fasphs0
久々にJUMらしさを見たwwwwwwwwwwwww




617 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/13(木) 16:22:23.29 ID:C+aelxHz0
これが・・・本当のJUM・・・・!!




619 名前: ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/13(木) 16:23:56.52 ID:Va8BLKwJ0
 真紅は突然泣きながら飛び込んできた翠星石に、驚きを隠せなかった。
 バァンという音と共に、ドアが勢いよく閉まる。
「……っ!」
 思わず目を瞑る真紅。
「真紅、今まで世話になったです、たまには遊びに来るですから」
 泣きながら鞄に乗りこむ翠星石。
「ちょっと…どこに行くの」
「蒼星石のとこに戻るです。真紅もあんなくそ馬鹿のとこなんか、
さっさと去るべきですぅ」
「ちょっと待ちなさい…何があったの」
「もうどうでもいいです!どうせあいつは水銀燈の事で頭がいっぱいなんですぅ!
そんならさっさと水銀燈と契約でもしてしまえばいいんですぅ!!」
 言うや否や、パリィンと音がして、翠星石は飛び去った。





624 名前: ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/13(木) 16:30:14.99 ID:Va8BLKwJ0
「………」
 真紅はしばらく、割れた窓を見つめていた。
 なんだか、昨日までの思いが、一気に崩壊してしまったような、そんな感じが
していた。
 胸が苦しい。でも、それを、今、一体誰にどうしてもらえばいいのか、
真紅にはわからない。
「………」
 割れた窓を直す気力すら、今の真紅には起きなかった。
 コンコン、と音がして、真紅はドアをちらっと見る。
「…入るよ」
 ドアが開いて、ジュンが入ってきた。





625 名前: ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/13(木) 16:34:19.32 ID:Va8BLKwJ0
 割れた窓を見て、ジュンは一瞬驚いた顔をしたが、
すぐに事情を察したのか、無言でその場に座りこんだ。
「………」
 ジュンを見上げる気すら、真紅には起きない。
再び壁にもたれかかり、自分の腕を、ぎゅっと掴んでいる事しか、
今の真紅には出来なかった。
「…………」
「…………」

 どれだけの時間が過ぎただろうか。いつの間にか、日が西に
傾いていた。部屋が徐々に、暗くなってゆく。
「…………真紅」
 ジュンが口を開いた。





630 名前: ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/13(木) 16:50:37.20 ID:Va8BLKwJ0
「僕は……」
 真紅がジュンを見つめる。
「何なんだろうな……」
「………」
 真紅は黙っている。
「翠星石を傷つけてしまった……」
「………」
「いや、翠星石だけじゃない……」
 うつむくジュン。
「水銀燈も…」
「しょうがないじゃない」
 真紅が口を開いた。
「貴方は、自分に出来得る限りの事をしたのよ。その結果が、たまたま
今、悪い方向に出てしまっているだけ」
「………」





631 名前: ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/13(木) 16:51:01.21 ID:Va8BLKwJ0
「反省は必要よ。どうして彼女たちを傷つけてしまったか、それは何となく、
貴方自身が理解していると思うから、そこは敢えて何も言わないわ」
「………」
「でも、ジュン」
「………」
「貴方が全力を尽くした事に対して、私は、後悔なんてしちゃいけないと思うの」
「………」
「こう考えてみて」
「………」
「後悔するくらいなら、じゃあ、どこかで怠けていれば、その後悔は起きなかったのか。
最初に、『鼻なんて直せないから帰ってくれ』って言えば良かったの?」
「……それは」
「違うでしょう?そしたら、水銀燈は、きっとどこにも行き場所がなくなってしまってたと思うわ」
「………」
「あの子は土手で独りで泣き続けて、誰にも鼻を直してもらえず、
駄目になってしまっていたかもしれない」
「………」
「貴方は偉かったのよ。それだけは間違えないで」
 真紅は優しく微笑んだ。





632 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/13(木) 16:51:44.18 ID:XPqPYUig0
真紅・・・惚れた




633 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/13(木) 16:52:23.87 ID:C+aelxHz0
真紅がいい嫁すぎるだろ




635 名前: ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/13(木) 16:58:18.76 ID:Va8BLKwJ0
「真紅」
 ジュンは自分が泣いている事に気がついた。
「ごめんな……僕は……」
「泣かないで」
 真紅はベッドから降り、ジュンの涙をそっと拭く。
「私だって、本当は泣きたいのよ」
「真紅……」
「貴方が今、揺れ動いているのが分かるから」
 悲しみを浮かべる真紅。
 気づいていたのだ、と、ジュンは悟った。
「でもね」
「………」
「それでも私は貴方を必要としているの」
「………」
「ね、ここに、目の前に、貴方を必要としている人がいるのよ」
「真紅…」
「だから、もう泣かないで、ジュン」
 真紅も涙を浮かべていた。





639 名前: ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/13(木) 17:08:53.23 ID:Va8BLKwJ0
 しばらく、二人はお互いを見つめ合っていた。

「ジュン」
 涙が床に落ちる。
「ん……?」
「聞いてくれる?」
「どうした…?」
「私のワガママ」
 そう言うと、真紅はジュンの顔を両手で包みこむ。
「ふふ」
 胸が急激に熱くなる。
「キスさせて」





647 名前: ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/13(木) 17:14:00.09 ID:Va8BLKwJ0
「なななっ」
 頓狂な声を上げるジュン。
「ふふ、冗談よ、冗談。元気になったじゃないの」
 両手を離す真紅。
「落ち着いたら、二人で翠星石を迎えに行きましょう」
 そのまま、ジュンの膝の上へ乗る真紅。
「それと」
 もう一度、ジュンを見つめる真紅。
「今度の火曜日、私と一緒に、散歩に行きましょう」
「火曜日?…ああ、いいよ!」
 にこっと笑うジュン。
「それだけよ、私のワガママ」
 ふふっと笑う真紅。

 ピンポーン

「あら?」
「こんにちはー」
「あの声は…柏葉」





660 名前: ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/13(木) 17:26:03.91 ID:Va8BLKwJ0
「ただいまーなのー」
 雛苺が満面の笑みで飛び込んでくる。
「わっぷ」
 ジュンが倒れ込む。
「あらあら……真紅、桜田君、楽しかったわ。ありがとう」
 巴が微笑みを浮かべる。
「それは良かったわ。雛苺、キチンと出来たのでしょうね?」
「うんなの!楽しかったのー」
 いひひ、と笑う雛苺。
「ちょうど、金糸雀のマスターの、草笛さんとも会ったわ」
「金糸雀の?」
「ええ、土手を歩いていたら、ばったり会って。もう4年も一緒にいるんですって。
あの二人」
「4年も!?」
 真紅が驚いたように言う。
「へー、人に…いや、人形に歴史ありだなー」
 ジュンが感心したように呟いた。





662 名前: ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/13(木) 17:27:49.69 ID:Va8BLKwJ0
銀様のぽんぽんとか時計屋とか、アニメと原作が混じってるけど、
気にしないでね。設定的に書きやすいからさ、その方が





666 名前: ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/13(木) 17:40:52.30 ID:Va8BLKwJ0
「落ち着いた?」
 泣き腫らした目の姉に、蒼星石がタオルを持ってきて声をかける。
「…………」
 翠星石は答えない。
「タオル、ここに置いとくからね」
 タオルを乗せたお盆を、翠星石の前に、そっと置く。
「でも、酷いな。ジュン君は。よりによって、水銀燈なんかと………」
 ふうっとため息をつく蒼星石。
「知ってたのですか?」
 翠星石が口を開く。
「うん…ちょっとね………」
 膝を抱え、顔をそこにうずめる蒼星石。
「…そうです、ジュンは酷い奴なのですぅ。もう翠星石は、あそこには
二度と帰らんと決めたです」
 鼻をすすりながら吐き出す翠星石。
「…そだね。その方が、いいかもしれないよ…」
「ただ……」
 蒼星石が振り向く。
「ただ?」
「真紅が、可哀そうですぅ……」
 翠星石が呟いた。





667 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/13(木) 17:42:23.46 ID:XPqPYUig0
蒼い子キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!




668 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/13(木) 17:43:24.31 ID:yEerRLDX0
ちょ、蒼い子の助言やヴぁくね?




672 名前: ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/13(木) 17:48:11.20 ID:Va8BLKwJ0
「確かに……」
「真紅は雛苺との契約もあるから、そう簡単に
代わりのミーディアムを探すわけにはいかないのでしょうけど…それでも……」
「………」
 蒼星石はしばし考えこむ。
 候補がいないわけではない。
 たとえば、柏葉巴。彼女は雛苺に対して理解があるし、真紅や翠星石たちとも
仲良くやっている。
 ただ、彼女は、一度雛苺に消滅させかけられた存在で、こちらの考えで、
一方的に、そう仕向けるわけにはいかない。
「ならば……」
 蒼星石の目が、鋭い光を放っていた。





673 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/13(木) 17:49:16.16 ID:XPqPYUig0
>>鋭い光を放っていた
蒼い子こえぇw




674 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/13(木) 17:52:36.94 ID:MiP2DOKHO
蒼い子策士wwww




678 名前: ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/13(木) 17:57:22.01 ID:Va8BLKwJ0
 薄暗い教会の中。

 もう何時間、こうしているのだろうか。

「………」
 水銀燈は、祭壇を背にうずくまり、膝を抱えて、顔を伏せている。
 涙は既に渇いてしまっていた。
 真紅や翠星石を傷つけるわけにはいかない。懐の箱を取り出し、
二人の泥まみれの姿を思い浮かべる。
 そこまでしてくれる姉妹たちに、恩を仇で返してしまうような真似は、
水銀燈には出来なかった。
「………」
 ぎゅっと膝を抱える水銀燈。
 忘れられない。
 それでも、どうしても、あの感覚を忘れられない。
 ふとした瞬間に、ジュンに身を任せた時の陶酔が蘇り、それは
幾度も水銀燈の心を締め付けた。
「………逢いたい……」
 膝に頬をすり寄せ、水銀燈は呟き続けた。





681 名前: ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/13(木) 18:04:56.51 ID:Va8BLKwJ0

 次の日。

 ジュンが目を覚ましたのは朝の9時半。
「うっ……うっかり眠りこんじゃったなぁ……」
 床を見ると、鞄が二つ。真紅と雛苺のものだ。三つめがない事に、
ジュンは少し心が痛んだ。
「ふわぁ……あいつら、下にいるのかな…?」
 ジュンは起き上がり、階段を下りる。
 リビングの電気はついていない。テレビの音も聞こえなかった。
「どっかに出掛けたのか……ま、いいや…そのうち戻ってくるだろ……」
 ジュンはおもむろに2階へと戻り、パソコンをつける。

 今にして思えば、この日が、穏やかな日常の、最後だった。





684 名前: ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/13(木) 18:12:11.08 ID:Va8BLKwJ0
 次の日は土曜日で、のりは部活のために学校へ行ってしまっていた。

「あれ…」
 起き上がったジュンは、異変に気づいた。
 真紅と雛苺の鞄がない。
「おかしいな……」
 リビングに下りていくが、予想通り、二人はどこにもいなかった。
 そう言えば、もう2日も二人を見ていない。
 それどころか、他のドールとの接触もない。
「!!!!」
 ジュンは2階へと駆け上がり、ドアをバァンと開ける。
「ない……!!」
 真紅と雛苺の持ち物が、全て消え失せていた。
「ど…どういう事なんだ……!」
 ジュンは、鏡の部屋へと向かう。
「真紅!!雛苺!!」
 鏡に手を当てるが、ジュン一人ではどうにもならない。
「はっ…まさか!」
 ジュンは左手の薬指を見やる。

 今まで1年間ついていたはずの、指輪は、跡形もなくなっていた。





685 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/13(木) 18:16:37.28 ID:MiP2DOKHO
わくてかぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああ!!!!




686 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/13(木) 18:17:58.31 ID:XPqPYUig0
うわあああああああああ




690 名前: ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/13(木) 18:19:37.48 ID:Va8BLKwJ0
 ジュンはその場に崩れ落ちた。
「あ…あ…」
 頭を抱え、床に倒れ込む。
「う…嘘だ……嘘だ……嘘だあああっ!!」


 部屋に戻ったジュンは、力なくベッドに倒れ込んだ。
 何故、どうして指輪がない……?
 愛想をつかして、出ていったのか……?
 水銀燈の事があったから……?
 翠星石を、傷つけたから……?
 じゃあ、他のドールは、行方を知っているのかも……?
 でも、今の自分に、話してくれるドールがいるのか……?

 涙が止まらなかった。
 鼻をすすり、ぐいっと手で涙を拭く。だが、とめどなく溢れる涙を、
ジュンには止める事は出来なかった。















693 名前: ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/13(木) 18:23:29.70 ID:Va8BLKwJ0
「………」
 ちょうど、そのくらいの時間だった。ゆっくりと、ふらふらしながら、
それでもいつの間にか、桜田家に近づいていく。
 黒い翼。
 銀色の絹のような髪。
 そして、美しい顔。
「…ジュン……」
 水銀燈は、何かを秘めた表情で、桜田家に向かっていた。





694 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/13(木) 18:24:03.04 ID:XPqPYUig0
えっ・・・水銀燈?




695 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/13(木) 18:27:05.98 ID:MiP2DOKHO
うっは
展開が読めなくなってきたww




697 名前: ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/13(木) 18:32:10.40 ID:Va8BLKwJ0

 その二人が再会するまで、5分もかからなかった。

 窓の外、近づいてくる黒い影。
 涙でぼやけて、ジュンにはよく見えなかった。

 が、それが何であるか、ジュンはぼんやりと理解していたのだろう。
おもむろに起き上がり、窓の外を、目を凝らして見据える。

 向こうもこちらに気づいたようだ。驚いた表情の後、
その美しい顔をくしゃくしゃにしながら、彼女は一直線に
こちらに向かってきていた。






698 名前: ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/13(木) 18:32:33.96 ID:Va8BLKwJ0
 ガラッと窓を開ける。

「水銀燈!!」
「ジュン…!!」
 彼女は踊るように、ジュンの胸に飛び込んできた。軽い衝撃の後、
肩に手を回し、首筋に顔を何度もすり寄せる。
 ジュンは涙を流しながら、彼女の背中に手を回していた。
「ジュン!!逢いたかった……!!」
「水銀燈……!」
「ごめんなさい……!来てしまって…!でも…!」
 返事の代わりに、頭を抱きしめるジュン。






701 名前: ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/13(木) 18:40:14.86 ID:Va8BLKwJ0
 





 どれくらい抱き合っていただろうか。

 壁にもたれかかり、ベッドの上に座るジュン。そして、その膝の上には、
ジュンを背もたれにして、水銀燈が座っている。
「…どうして…」
 ジュンが、左手で水銀燈の髪を優しくなでながら尋ねる。
「……さぁ」
 気持ちよさそうに目を閉じている水銀燈。
「さぁって…」
「特に何も考えてなかったわぁ…」
 残った右手に、水銀燈が自分の右手を絡ませる。
「身体が動いたの」
 ジュンの左手が水銀燈の頬に触れると、嬉しそうに頬をすり寄せる。
「貴方に逢いたがってたのは、私のからだ」
「………」
 心臓がばくばくと音を立て始める。
「ふふふ、興奮してきたのぉ?」
 鼓動を感じ取りながら、水銀燈がジュンを見上げる。






702 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/13(木) 18:45:39.36 ID:9v3tHem6O
('A`)……




703 名前: ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/13(木) 18:46:23.31 ID:Va8BLKwJ0
「あ、ああ……」
 真っ赤になるジュン。
 ジュンに向き直る水銀燈。
 つーーーー…と、首筋から胸まで指を這わせる。
「ふふ…」
 ジュンの唇に手を当て、そのままゆっくりと唇を重ねる。
「んっ…」
 唇を離す。
「ジュン…私の可愛いジュン…大好きよぉ…」
 そう呟くと、水銀燈は、何度も何度も、その唇を求めた。





710 名前: ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/13(木) 18:53:22.77 ID:Va8BLKwJ0
「鞄が?」
 怪訝そうな顔をして、水銀燈が聞き返す。
「ああ…朝起きたら…いつの間にか……」
 項垂れるジュン。
「………」
 事の顛末を話し終えたジュンの困惑とは対照的に、水銀燈は
考え込んでいた。
「…………」

「ねえ、ジュン」
 ベッドから立ち上がる水銀燈。
「ん?」
「最初に言っておく事があるわ」
 伏し目がちに話す。
「私は」
「……」
「貴方には」
「……」
「幸せになってもらいたいの」
「……」
「決して、真紅たちから、貴方を奪おうなんて思っていないわ」
「……」
「私にはミーディアムがいるし、その子を裏切るなんて出来ない」
「……」
「ただ、私は貴方に逢いたくてたまらなかった」
「…」
「悪い女でしょう?」
 うつむく水銀燈。





714 名前: ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/13(木) 18:59:45.89 ID:Va8BLKwJ0
 『そんな事ない』とは、ジュンには言えなかった。
周りを傷つけているのは、自分の意思の弱さに他ならない。
「真紅と、連絡を取る手段は?」
「…ないよ」
 目を伏せるジュン。
「そう………」
「じゃあ……いつも真紅はこの日のこの時間に、この場所に来る、とか、
そういうのは…?」
「えっ?」
「連絡が取れないのなら、待ち伏せよ。ないの?そういうの…」
「………」
「あったはずよ。さっき話した事が、全て真実なら」
「………」
 ジュンは、はっと目を見開く。
「火曜日の、土手」
「そう。真紅が本気でそう言ってて、貴方の言った事が嘘でないのなら」





716 名前: ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/13(木) 19:04:00.16 ID:Va8BLKwJ0
「ふふ、いい子ね、ジュン」
 下を向いて笑う。
「こうなったのは私のせいよ。私の…」
「そんな事ないよ」
 顔を上げる水銀燈。目が赤い。
「ありがとう、ジュン。でも、私のせいなのよ」
「……」
「だからね、私は、貴方がもう一度、真紅と逢えるように、全力を尽くすわ」
「全力…」
 真紅の言葉を思い出すジュン。
「それで、もし貴方が真紅と逢えたなら、私は笑って、祝福する。そして」
「………」
「もう、貴方の前には現れない」
「…水銀燈……」
「私は勝手な女。だから、最後まで勝手にさせて頂戴」
 水銀燈は、ジュンを見据えて、そう言った。





718 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/13(木) 19:04:57.83 ID:OterlDR3O
(´;ω;`)ウッ




719 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/13(木) 19:06:07.66 ID:a0YFBui+0
ハッピーエンドじゃねええええええええええええええええええええええええ




720 名前: ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/13(木) 19:07:06.56 ID:Va8BLKwJ0
ここから終盤





727 名前: ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/13(木) 19:12:22.26 ID:Va8BLKwJ0
「そんな…桜田君が…」
 愕然とする巴。
「ジュン、酷いなの!」
 雛苺が怒っている。
 鏡の向こうから、部屋の様子を窺っていた蒼星石が、そこで映像を
途切れさせた。
「真紅」
 振り返る。
「これでも、まだ、ジュン君の事を信じ続けるつもりかい?」
「どうせ、あの弱虫は、まーた水銀燈といちゃいちゃするに決まってるですぅ」
 翠星石が鼻をふんっと鳴らす。
「………」
 真紅は硬直したまま、動けなかった。代わりに、カタカタと小刻みに
震え続けている。
「だから、巴さんと再契約して正解なんだよ」
「早くしないと、雛苺が止まっちまうですぅ」
 けしかける二人。
 真紅はうつむいたまま動かない。





730 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/13(木) 19:15:05.05 ID:ZGwOt72k0
スネークされてたのかwww




731 名前: ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/13(木) 19:19:03.68 ID:Va8BLKwJ0
「どうしたですか真紅。もうそんなに時間はないのですよ」
 イライラしながら翠星石が詰め寄る。
「ちょ、ちょっと翠星石。そんな言い方はやめようよ…」
 蒼星石が制止する。
「…ちょっと、一人にさせて頂戴」
 真紅はそう言って立ち上がると、ふすまを開け、隣の部屋へ入っていった。

「…やれやれ」
 蒼星石はため息をつく。
「でも、ホントに桜田君は…」
「トーモーエ。これを観てまだ信じられないとはどーいう脳みそですかぁ?」
「トモエを悪く言わないでなの!怒るのよ」
 雛苺がむくれる。
「とーぜんの事を言っただけです。誰よりも脳みそツルツルのチビ苺が
何を偉そうに言いやがるですか」
 二人の間に火花が散る。
「何やってるんだよ。やめなよ二人とも」
「はあ………」
 蒼星石と巴が、同時にため息をついた。





738 名前: ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/13(木) 19:31:30.79 ID:Va8BLKwJ0
「…………」
 真紅は壁にもたれかかり、じっとうつむいていた。
 結論から言うと、真紅はそれでもジュンを信じ続けていた。蒼星石は、
盲目になっているだけ、と言うかもしれない。
 翠星石は、馬鹿の一言で済ませるかもしれない。
 でも、それなら、自分たちがいなくなって、号泣していたジュンの説明が
つかないし、その涙は何だったのだという事になる。
 ジュンはまだ、この世界に生を受けて14年しか経っていない。悠久を生きてきた、
自分たちとは、まだ精神構造が違うのだ。
 そもそも、何百年と生きている自分たちでさえ、達観しているわけではない。
 水銀燈は、誰かに甘えたくてしょうがない。顔が欠損すれば、独りで泣き続ける子だし、
金糸雀は、未だに雛苺と一緒になって、お絵描きをしたりする。
 翠星石は、すぐに嫉妬するし、いちいち素直に対応できない。蒼星石は、真面目で
優秀だけど、じゃあ何にでも柔軟に対応できるかと言えば、そうではない。
 雛苺は言うに及ばずで、自分自身だって、一人で全てを消化できるほど
経験を積んでいるわけではない。
 誰だって、突然孤独に放り出されたら、そこに来た誰かに依存するのは
当然の事なのだ。今回、それがたまたま水銀燈だっただけで、そこに自分や、
翠星石が来ていたら、ジュンは同じように泣きつくだろう。
 だって、まだジュンは14歳なのだ。それでも、彼は彼なりに優しいし、
思いやりを持って接してくれる。
「それに…私はジュンと一緒にいたいのだもの」
 声に出して言ってみる。
 何より、この想いに、蓋をしたくなかった。





740 名前: ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/13(木) 19:34:36.12 ID:Va8BLKwJ0
 真紅は立ち上がった。
 そっと、ふすまの向こうを覗き見る。
 雛苺と翠星石がギャーギャー言うのを、蒼星石と巴が止めている。

 今しかない。

 真紅はそう感じ、窓からそっと、脱出した。





743 名前: ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/13(木) 19:40:36.06 ID:Va8BLKwJ0
「これからどうしようかしら……」
 真紅は困惑の表情を浮かべる。
 今家に帰っても、水銀燈がいる。きっと、それでは、本質的な解決にならない。
「………」
 それでも、誰かに頼りたかった。
 もう、現時点で、頼れる存在となるのはそんなにいない。
「………そうだわ」
 真紅は、過去の記憶をたどっていっていた。その中の一つの情報が、
真紅の行き先を決めた。





748 名前: ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/13(木) 19:47:47.51 ID:Va8BLKwJ0
「今日は暇かしら〜」
 みっちゃんのマンションで、金糸雀が一人、つまらなそうに
呟いている。
「ん………」
 鏡が光り始める。
「な…何…?」
「こんにちは、金糸雀」
 真紅だった。

「………なるほど…かしら…」
 事の顛末を聞いた金糸雀は、じっと考え込んでいる。
「………」
 真紅は、ありのまま起きた事を伝えたわけではなかった。自分が、きっと
こうだと思うもの、信じているものを、金糸雀に伝えた。
 でなければ、何も前に進まない。
 そう、思ったのだ。





756 名前: ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/13(木) 19:55:09.76 ID:Va8BLKwJ0
「ねえ、真紅」
 金糸雀が覗きこむ。
「何かしら」
「真紅は、どうしたいの?」
 不思議そうに尋ねる金糸雀。
「私は」
 金糸雀は、じっと真紅を見つめる。
「誤解を解きたいの」
「誤解?」
「ええ、ただ……」
 うつむく真紅。
「それが誤解でなく、真実なのだとしたら……私は…どうする事も出来ない…」
「そう」
 金糸雀が腕組みをする。
「でも、真紅、一つ訊いていいかしら?」
「何?」
「貴女は、それが誤解だと思った、少なくとも、誤解の可能性が高いから、
ここに来たんじゃないのかしら」
「……ええ」
「私はジュン君とあんまり話した事がないから分からないけど」
「……」
「一番長く過ごしてきた貴女が、そう思うのなら、私も貴女を信じるかしら。
そういうものでしょう、信じるって。違うかしら」
 表情ひとつ変えずに、金糸雀は言った。





768 名前: ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/13(木) 20:04:27.90 ID:Va8BLKwJ0
「金糸雀……」
 ぽふっと、ベッドに座る金糸雀。
「カナは、みっちゃんとはもう4年も一緒にいるのよ」
「知ってるわ」
「あれだけローゼンメイデンを溺愛してるみっちゃんだけど、
4年の間には、喧嘩もしたわ」
「………」
「カナもみっちゃんの事が嫌になって、家出をした事もあるし」
「………」
「でも、結局、ここに戻って来ちゃう事が多かったかしら」
「………」
「そうそう、一人でピクニックに行って、帰りがわからなくなって、
玉子焼きと引き換えに、カラスに家まで連れてってもらった事もあったかしら」
「へっ」
 ぷっと真紅が吹き出す。





772 名前: ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/13(木) 20:07:02.92 ID:Va8BLKwJ0
「ふふふ〜、おかしいでしょ」
 苦笑しながら、頭をぽりぽりとかく金糸雀。
「でも、そういうものだと、カナは思うかしら」
「……」
「長くいれば、すれ違う時だってあるし、お互いが、信じられなくなる時だって
あるって事かしら」
「……」
「でもね、最後は、お互いがお互いを必要としてしまうから」
「……」
「お互いが頑張って、またもとに戻ろうとしちゃうのよ。
カナとみっちゃんはそうだったかしら」
「金糸雀……」
 金糸雀をじっと見つめる真紅。
「だから」
 ひょいっと飛び降りる金糸雀。
「真紅、貴女は、自分の感覚を信じて動きなさいよ。そうじゃないと、
本当にダメになってしまうから……」
「か……」
 真紅は、胸が熱くなるのを感じた。
「貴女は私より大人だし、頭もいいんだから、頑張りなさい」
 頭をなでる金糸雀。





773 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/13(木) 20:08:42.41 ID:LiPOgkWuO
なんて大人な金糸雀




774 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/13(木) 20:09:13.58 ID:ZGwOt72k0
お姉さんだな




782 名前: ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/13(木) 20:11:55.84 ID:Va8BLKwJ0
「金糸雀…ありがとう……」
 顔を両手で覆う真紅。
「火曜日は、土手に行ってあげるといいかしら」
 嗚咽が聞こえ始める。
「ね……きっと、ジュン君は待ってるわ……」
 真紅を抱きよせ、金糸雀は、しばらく彼女の頭をなでていた。





783 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/13(木) 20:11:59.50 ID:kfBItwEE0
初めて次女らしい金糸雀を見た気がするぜ




788 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/13(木) 20:14:35.26 ID:Mo53KCPp0
これが次女の底力なのか・・・




795 名前: ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/13(木) 20:25:16.06 ID:Va8BLKwJ0
 火曜日の朝。

 ジュンは、朝8時から出掛けた。
 住宅街を過ぎ、信号のある交差点で止まる。見通しの悪いこの交差点を
過ぎれば、その先には目の覚めるような菜の花畑が広がっている。
「………」
 ジュンは交差点から真っすぐ歩いたところにある、土手の階段に腰を下ろす。
「本当に来るんだろうか………」
 ふうっと息を吐く。まだ8時半だ。3月の半ばとはいえ、朝はまだ長袖で
なければ寒い。
「………真紅」
 ジュンは、幾度となく自分を救ってくれた、少女の名前をつぶやく。
 
 水銀燈の事は好きだし、実際ジュンを興奮させる何かが、彼女にはあった。
「………」
 だが、それはここ一週間の、官能的で、鮮やかな体験に過ぎない。
彼女には、戻るべき場所がある。それは彼女が言っていた事だし、
ジュンもそう、思っていた。
「逢いたい……」
 そうつぶやきながら、ジュンは、ぎゅっと自らの腕を握りしめる。

 そのジュンを、交差点の街灯の上で、水銀燈が見守っている。
彼女は、この場で、結末を見届けようと思ったのだ。
 そして、ジュンの喜ぶ顔が見れるのなら、それでいい、
そう、思っていた。





800 名前: ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/13(木) 20:31:40.75 ID:Va8BLKwJ0
「午前10時」
 懐中時計を開き、真紅は時間を確認する。
「金糸雀」
 ベッドに座っている金糸雀に声をかける。
「何かしら」
「ありがとう…」
 その言葉に、金糸雀は目を丸くする。が、すぐに安堵の表情に変わる。
「別にいいかしら。それより」
「?」
「また、皆でお茶会するの、楽しみにしてるかしら」
 そう言って、金糸雀は、満面の笑みを浮かべて手を振った。
「…ありがとう!」
 真紅は泣きそうな自分を抑えながら、マンションを出た。





806 名前: ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/13(木) 20:39:36.95 ID:Va8BLKwJ0
 住宅街を、真紅は走り続ける。最初に言う言葉は決まっていた。

 ごめんなさい。

 もう、どこにも行かないから。

 私は、貴方を必要としているから。

 だから、ずっと、一緒にいさせて。

 悲しみの涙は、もう、終わりにしましょう。

 私は何も、怒ってなんか、いないから。

 家に帰ったら、私が紅茶を淹れるわ。

 とびっきり、美味しい奴を。

 その紅茶を飲み終わったら、抱っこして。

 そして、二人で、目いっぱい、蒼星石たちを驚かせましょう。

 きっと、誤解だったって、皆平謝りかもしれないわ。

 それが終わったら………

 水銀燈に逢いに行くの。






811 名前: ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/13(木) 20:45:38.36 ID:Va8BLKwJ0
 水銀燈には、笑顔で逢いに行きましょう。

 びっくりするでしょうね。

 私は、そうね、後ろから捕まえて、

 くすぐりまくろうかしら。

 そうしたら、水銀燈も笑わざるを得ないじゃない。

 それから、菜の花の土手で、皆でお茶会をしましょうよ。

 金糸雀が言ってたわ。また、皆でお茶会しましょうって。

 菜の花の甘い香りの中で、

 金糸雀と雛苺がはしゃぎ回って、

 翠星石が美味しいクッキーを作ってくれて、

 蒼星石は美味しいほうじ茶を淹れてくれて、

 水銀燈は、なぁんにもないわよぉとか、

 きっと言うでしょうから、

 何か歌でも歌ってもらおうかしら。

 



815 名前: ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/13(木) 20:48:03.53 ID:Va8BLKwJ0
 ね、

 楽しいでしょう?

 楽しく過ごさないと、つまらないし、淋しいでしょう。

 だから、私は、もう泣かないわ。

 ジュン。

 


 交差点にたどり着いた真紅。
「…!!」
 土手の階段に座っている人影。
「ジュン!!ジュンンンン!!!!!」
 真紅は、ありったけの声で叫んだ。

 




827 名前: ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/13(木) 20:53:41.01 ID:Va8BLKwJ0
 涙が溢れ出てくる。
「ジュン!!私よ!!」
 人影がこちらを向いた。
「……!」
 何か聞こえた。こちらに走ってくる。
 ジュンだった。
 それは、紛れもなく、ジュンの姿だった。

 思わず、真紅は走りだした。



 そこから、真紅の世界はスローモーションになった。

 右から世界が歪むような衝撃を覚え、真紅の視界が上下反転する。

 右目が突如闇に覆われ、もう一度、

 今度は、頭にぐしゃっ、という感覚が起き、

 それが真紅の、最後の知覚になった。






830 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/13(木) 20:54:09.58 ID:or5cCyffO
ああ




831 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/13(木) 20:54:17.19 ID:XPqPYUig0
あああああああああああああ




834 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/13(木) 20:54:41.10 ID:l5q4oQ7D0







うわああああああああああああああああああああああああ




835 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/13(木) 20:55:02.77 ID:s9foMsoS0
うわあぁぁぁぁあぁぁぁ!!!!!!!111




844 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/13(木) 20:56:42.84 ID:0ff1DdiL0
. .: : : : : : : : :: :::: :: :: : :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
    . . : : : :: : : :: : ::: :: : :::: :: ::: ::: ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
   . . .... ..: : :: :: ::: :::::: :::::::::::: : :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
        Λ_Λ . . . .: : : ::: : :: ::::::::: :::::::::::::::::::::::::::::
       /:彡ミ゛ヽ;)ー、 . . .: : : :::::: :::::::::::::::::::::::::::::::::
      / :::/:: ヽ、ヽ、 ::i . .:: :.: ::: . :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
      / :::/;;:   ヽ ヽ ::l . :. :. .:: : :: :: :::::::: : ::::::::::::::::::
 ̄ ̄ ̄(_,ノ  ̄ ̄ ̄ヽ、_ノ ̄ ̄ ̄





847 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/13(木) 20:57:39.25 ID:KQEjCEKqO
20:53:41…このスレは阿鼻叫喚の渦につつまれた…




848 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/13(木) 20:57:47.76 ID:kfBItwEE0
落ち着け…『素数』を数えて落ち着くんだ…




850 名前: ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/13(木) 20:57:54.41 ID:Va8BLKwJ0




 ジュンの視界で、真紅の右手と右足が吹っ飛ぶのが見えた。

 目を見開き、真紅の名前を呼ぶも、真紅の身体は綺麗に一回転し、

 次の衝撃で四散した。


 水銀燈が絶叫する。

 四散した身体から、ピンク色の宝石が出現した。

 そしてそれは、3度目の衝撃で、粉々に飛び散った。

 




854 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/13(木) 20:58:42.13 ID:XPqPYUig0
えっ・・・真紅・・・?嘘・・・だよな・・・はは・・・




855 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/13(木) 20:58:49.52 ID:OterlDR3O
うそ・・・だろ・・・?




856 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/13(木) 20:59:09.85 ID:l5q4oQ7D0
待て、うろたえるな、うろたえるんじゃあないッ!


嘘だろ、ローザミスティカまで・・・・・




859 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/13(木) 20:59:37.74 ID:eud7dl4BO
嘘………だ……ろ…?




860 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/13(木) 20:59:39.66 ID:aQaNMxXJ0
ローザミスティカがッッッ!!!!!!!!11




877 名前: ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/13(木) 21:05:12.08 ID:Va8BLKwJ0




―――ジュン


―――私ね、時々怖くなるの







883 名前: ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/13(木) 21:06:58.33 ID:Va8BLKwJ0


―――私みたいなお人形は、何かあっても誰も助けてくれないし、

―――誰も私の戻るべき場所なんてわからない

―――そうしたら、もう貴方のもとへは帰って来れないの


―――ごめんなさいね、私、こんな事言うの、とても恥ずかしいの

―――でも、何となく、貴方に云っておきたくて

―――ねえ、ジュン

―――お願いがあるの






897 名前: ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/13(木) 21:15:01.61 ID:Va8BLKwJ0
 菜の花の広がる土手。

「わぁ……」
「綺麗ですぅ………」
 蒼星石と翠星石が、それぞれ感嘆の声を上げる。
「いいにおいなのー」
「ええ、桜田君にも、摘んで帰ってあげましょう」
 雛苺を抱っこしたまま、巴が笑う。
「………」
 プチッと菜の花をちぎる翠星石。
「こんな綺麗な花も、私たちの気まぐれで、簡単に命が
終わっちゃうんですねぇ……」
「翠星石……」
「こんな時、この隣の菜の花はどう思ってるんですかねぇ。
『私が選ばれなくて良かった』とか、『もう少しだけ、咲いていられるわ』とか……」
 涙声になっている。
「………」
 肩に、そっと手をおく金糸雀。
「真紅っ……!!」
 わあわあと泣き叫ぶ翠星石。
 金糸雀は、ふと、後ろを振り返る。

 砕け散ったローザミスティカ。
 真紅は、今、どこで苦しんでいるのだろうか、と。





913 名前: ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/13(木) 21:21:29.52 ID:Va8BLKwJ0
交差点の脇道。

「あっ、これもだわぁ」
 水銀燈が、ピンセットで、ピンク色の破片を、這いつくばって探している。
 時おり、車に引かれそうになるも、上手にかわして探し続けていた。
「………」
 左手の袋の中には、大きいものから小さいものまで、
『真紅だった』破片がキラキラと輝いている。
 もうあれから何日経ったかわからない。
 全ての破片を見つけるなんて、不可能だろう。
 全て見つけたとして、それをどう錬成すればいい?
 どうやって、ローザミスティカを精製すればいい?
 精製したって、それが真紅だとは限らない?

 何より、あの優しかった真紅は、もう戻ってこない……

 分かっていても、涙は止まる事はなかった。
そして、水銀燈の手が止まる事も、ない。

「ねえ…」

 背後から声をかけられる。





926 名前: ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/13(木) 21:26:52.44 ID:Va8BLKwJ0
「何を探しているの……?」
 子どもだった。
 こちらが人形である事に、少し驚いたようだったが、
それは水銀燈にとっては、どうでも良い事であった。
「私はね……」
 涙を拭いて、水銀燈は答える。
「……」
「落としものを探しているの」
「落としもの?」
「そうよぉ」
「何を落としたの?」
「そうねぇ…なんて言えばいいかしらね……」
「……」
「とても優しくて……」
「……」
「思いやりがあって……」
「……」
「時には泣いて…」
「……」
「犬の探偵のアニメが好きで…」
「……」
「毎日のティータイムを欠かさない……」
「……」
「私の」
「……」





930 名前: ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/13(木) 21:28:03.34 ID:Va8BLKwJ0
「世界で一番大好きな…」
「……」

「妹よ」




 そう言って、水銀燈は優しく微笑んだ。






932 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/13(木) 21:29:10.91 ID:OterlDR3O
銀様・・・




934 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/13(木) 21:29:20.52 ID:7PJkTFCB0
俺も探してくる




936 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/13(木) 21:29:49.82 ID:VQvNhjGx0
>>930
ここで泣いた




920 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/13(木) 21:23:54.03 ID:VQvNhjGx0
こうして>>1に繋がるわけか




953 名前: ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/13(木) 21:36:11.17 ID:Va8BLKwJ0
 ジュンは真紅の写真を見ていた。
 澄まし顔が大半で、不器用な真紅を表わしている。
 寝顔を撮ったものもある。
 笑顔で写っているのは、大抵が引きつり笑いである。
「真紅……」
 だが、そんな真紅が、今のジュンにはたまらなく愛おしく感じられる。
 そういう真紅だったから、自分はいつの間にか、
前に歩き出せていたのだと。
 当たり障りのない言葉はどこからも出てこない。
 時には相手が怒り、悲しむ。だけど、それは、相手を
真に思っての事だった。

 あれから、ジュンは一度も出歩く事はない。
 たまに窓から呼ぶ水銀燈と、簡単に会話をして終わる程度で、
あとは巴が何かを届けてくれるくらいだった。

「真紅……」
 ジュンは涙を流す。
 真紅の写真の笑顔に、ぽたっと涙が落ちる。

 しばらく嗚咽を漏らしていたジュンは、ある言葉を思い出した。
真紅が、自分に、事故の直前に言った言葉。

 ジュンは拳を握りしめ、絞り出すように呟く。

「真紅……必ず…見つけてやるから…

 それまで…






963 名前: ◆JtU6Ps3/ps :2008/03/13(木) 21:39:45.77 ID:Va8BLKwJ0


―――もし、私がどこか、貴方も知らないところへ行ってしまって

―――もう何をどうやっても、自力で戻ってこれなくなってしまったら……

―――どれだけ掛かってもいいわ

―――また、私の事を見つけてほしい


―――私は…今の私は……




―――貴方のそばに、いつまでもいたいから


【完】









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ローゼンメイデンの話「彼岸の花は秋に咲く」
真紅「あら…?私のくんくんセットがない……………」
コメント
この記事へのコメント
  1. 名前: 通常のナナシ #-: 2008/03/18(火) 11:30: :edit
    1
  2. 名前: 名無しさん #-: 2008/03/18(火) 11:32: :edit
    めぐが見事に空気になってたなー
  3. 名前: 通常のナナシ #-: 2008/03/18(火) 12:06: :edit
    何というEND・・・重たいなぁ・・・
  4. 名前: 0120 #-: 2008/03/18(火) 12:29: :edit
    一瞬青い子が真紅を惨殺したのかと思った
  5. 名前: 通常のナナシ #-: 2008/03/18(火) 12:34: :edit
    昨日のとリンクしてるのか
  6. 名前: 通常のナナシ #-: 2008/03/18(火) 12:42: :edit
    続編なけりゃ俺吊ってくる
  7. 名前:    #-: 2008/03/18(火) 13:07: :edit
    工工工工工工エエエエエエ(´д`)エエエエエエ工工工工工工
  8. 名前: VIPPERな名無しさん #-: 2008/03/18(火) 13:18: :edit
    なんて所で終るんだ
  9. 名前: 通常のナナシ #-: 2008/03/18(火) 14:08: :edit
    鬱エンドはやめて・・・・
  10. 名前:   #-: 2008/03/18(火) 14:21: :edit
    どうでもいい話だけどローゼン連載再開するよな
    俺にとっちゃ赤飯炊くほどめでたい事だけど
  11. 名前: 通常のナナシ #-: 2008/03/18(火) 14:22: :edit
    途中で死亡フラグ立てすぎだろ・・・

    ま、でも面白かった!乙!!
  12. 名前:   #-: 2008/03/18(火) 15:00: :edit
    重すぎワロタww・・・。
    めぐ死ね
  13. 名前: 通常のナナシ #-: 2008/03/18(火) 15:05: :edit
    鬱鬱ではなく
    感動物っと言うべき
  14. 名前: 通常のナナシ #-: 2008/03/18(火) 15:07: :edit
    【完】まで読んだ
    これはJUNを射殺する前に>>1を射殺するべきだ
  15. 名前:    #-: 2008/03/18(火) 15:10: :edit
    ヤンジャンで連載再開?らしい
  16. 名前: 通常のナナシ #-: 2008/03/18(火) 15:35: :edit
    明日発売のヤンジャンらしいね
    連載かは不明っぽいけど
    まぁ楽しみだし
    SS読んで気持ちも盛り上がってきたわ
  17. 名前: 通常のナナシ #-: 2008/03/18(火) 15:38: :edit
    何故真紅はバラバラになったの?
  18. 名前: 通常のナナシ #-: 2008/03/18(火) 16:36: :edit
    てっきり銀様がローザミスティカ差し出して変わりに真紅が生きると思ったがここで終わりか
  19. 名前: 通常のナナシ #-: 2008/03/18(火) 16:46: :edit
    米17
    道路走って渡って車に撥ねられたんだろ常考。

    最後にちょろっとでいいから水銀が現れないせいで嘆き悲しむめぐが見たかったな。
  20. 名前: 通常のナナシ #-: 2008/03/18(火) 16:56: :edit
    雪華綺晶 と薔薇水晶というドールがいてだな…
    犯人はそいつら位しか考えられないな
  21. 名前: VIPPERな名無しさん #-: 2008/03/18(火) 16:59: :edit
    uaa
  22. 名前:    #-: 2008/03/18(火) 17:52: :edit
    ひさびさに【完】の文字に殺意。
    >>1は射殺されるべきだが続編という可能性までも同時に消してしまうことに・・・!orz

    しかし正統派なパロディSSだな。面白かった。
    というか真紅が良妻過ぎて泣けた。
  23. 名前:   #aIcUnOeo: 2008/03/18(火) 18:55: :edit
    こんちくしょう、俺からでよければ五つ星をくれてやる、もって行け!
    なんつーか、心象描写がすげえ気に入った
  24. 名前: しんく大好き #JalddpaA: 2008/03/18(火) 20:04: :edit
    泣いた
  25. 名前: 通常のナナシ #JalddpaA: 2008/03/18(火) 20:41: :edit
    続きはあるんだよな…続きはあるんだよなぁぁぁぁああああああうわぁぁぁぁあああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
    >>1の次作で真紅が蘇りハッピーエンドになることを期待しまくる!!!!!!!
  26. 名前: VIPPERな名無しさん #-: 2008/03/18(火) 21:03: :edit
    くそ・・・最後まで見て後悔した!

    でも悪くない。楽しめた。>>1もお疲れ。
  27. 名前: 通常のナナシ #-: 2008/03/18(火) 22:49: :edit
    携帯だから最後まで見れなかった。ってかローゼンほんとに再開か?
  28. 名前: 通常のナナシ #-: 2008/03/18(火) 23:19: :edit
    コメント少ないけど俺はこのサイト大好きだから
  29. 名前: 通常のナナシ #-: 2008/03/18(火) 23:24: :edit
    ヤングジャンプ

  30. 名前: 通常のナナシ #-: 2008/03/18(火) 23:44: :edit
    この話で怒ってる人がいるのが理解しがたいな。


    ハッピーエンドだけが良作ってわけでもないんだし。
  31. 名前: 通常のナナシ #-: 2008/03/19(水) 00:17: :edit
    普通に面白かった!ローゼン知らないけど原作もこんな切ない感じの話なんかな?だったら読んでみたいね
  32. 名前: 通常のナナシ #-: 2008/03/19(水) 01:41: :edit
    藍坊主の『テールランプ』聞きたくなってきた
  33. 名前: 通常のナナシ #x1SReuzc: 2008/03/19(水) 01:45: :edit
    うわあああああああああああああん!!!!

    ・・・ってか、俺はてっきりJUMが1からまた真紅を作るのかと思ったぜ

    どれだけ掛かってもいいわ
    また、私の事を見つけてほしい

    ってそういう意味じゃなくて?
  34. 名前: 通常のナナシ #-: 2008/03/19(水) 04:54: :edit
    JUMが人形師になって銀様が集めたローザミスティカが練成できて?

    ビスクドールを修理するとはな
  35. 名前: 通常のナナシ #-: 2008/03/22(土) 02:22: :edit
    すげぇ面白い。でも切なすぐる。
  36. 名前: 通常のナナシ #-: 2008/03/24(月) 02:08: :edit
    アニメ版しか見てない俺が通りますよ
    良作だと思うが水銀燈がJUMになびくの
    早過ぎないか?原作だとこんな感じにデレ入るようなキャラなのか?
  37. 名前: 通常のナナシ #mBDo7cYs: 2008/03/25(火) 03:50: :edit
    物語の誰かがいなくなる(死ぬ)ENDは、慣れないなぁ・・・。
    そう言う話は何度も読んだけど・・・。
    できれば、事故の部分がなければ今から安心して眠れたのに・・・
  38. 名前: 蒸発した名無し #-: 2008/03/26(水) 05:13: :edit
    相変わらずこの書き手さんのクオリティはすげえな…

    いや、最後には絶句したよ
  39. 名前: 通常のナナシ #-: 2008/03/29(土) 04:25: :edit
    「君を 造ろう」
    「美化もせず 風化もせず」
    何に出てきた台詞だったか・・・
    ラストでふと頭に浮かんだ。
  40. 名前: 通常のナナシ #ntbreMG6: 2008/03/29(土) 12:37: :edit
    米12

    本当に死ぬとはな…
  41. 名前: 通常のナナシ #g87R8HuQ: 2008/03/29(土) 13:46: :edit
    読んでる間殴って壊した椅子と力みすぎて壊したマウスのスクロールボタン返せよもう…JUM氏ねJUMになりてぇ…

    って思って見てたら鬱ENDで泣いた
    真紅…でもJUMになりてぇ
  42. 名前: VIPPERな名無しさん #-: 2008/05/05(月) 00:18: :edit
    ※41落ち着けwwwwwwwww




    俺もJUMになりてえ
  43. 名前: 通常のナナシ #-: 2008/05/09(金) 08:10: :edit
    なんという欝エンド・・
  44. 名前: 通常のナナシ #-: 2008/05/14(水) 15:21: :edit
    米39
    ネウロの春川教授だな

    構成がうまくて普通に楽しめた。
    いや普通じゃないな、かなり楽しんだ。
    何にしても作者乙
  45. 名前: 名無し閣下 #-: 2008/05/19(月) 03:36: :edit
    真紅とか水銀燈とかより、カナリアの好感度が上がりまくりなんだが。

    残念な点があるとすればノリの出番が少ないことだが、>>1&管理人乙
  46. 名前: 通常のナナシ #-: 2008/05/21(水) 04:18: :edit
    >>1お疲れ様です
    目から涙が出たよ。。。
    この真紅に幸ある事を願います
  47. 名前: VIPPERな名無しさん #-: 2008/05/21(水) 10:52: :edit
    プロの犯行と見た
  48. 名前: VIPPERな名無しさん #-: 2008/05/31(土) 19:26: :edit
    カナリアいいな〜
  49. 名前: 通常のナナシ #-: 2008/06/01(日) 23:03: :edit
    とりあえずまず殺しておくのは
    真紅をはねたドライバーだと思うんだ
  50. 名前: 通常のナナシ #-: 2008/08/13(水) 22:58: :edit
    こんな展開平常心で書けるとか
  51. 名前: 通常のナナシ #-: 2008/08/19(火) 23:31: :edit
    蒼はこんなことは目論まない

  52. 名前: 通常のナナシ #-: 2008/11/09(日) 15:14: :edit
    なんて名作
  53. 名前: 通常のナナシ #-: 2008/12/28(日) 02:04: :edit
    Dream theaterのバラードが妙に合って泣けた
  54. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/02/15(日) 23:20: :edit
    とりあえずセクロス描写と同じくらいキス描写にはエロスがあるということがわかった
  55. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/05/20(水) 22:12: :edit
    ローザミスティカ練成して真紅の体直せばいいんだよな?
    簡単な話だ、誰かエドワード・エルリック的な奴呼んで来いぃ!!
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