2011/07/26(火)
232 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/04/20(水) 19:15:50.12 ID:EGe8ZIAa0
その2です。
その2です。
232 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/04/20(水) 19:15:50.12 ID:EGe8ZIAa0
結局、学校を出ても、上条の答えはでていなかった。
小萌という女性の立場からの貴重なアドバイスをもらったのは良かったが、自分の気持ちなどと言われても良く分からない、というのが本音だ。
基本的に困っている人がいれば迷わず助けに行くし、そうでなくとも厄介事には巻き込まれる。
上条(悩みは家計くらいなもんだったもんな……)
そんな彼に、いきなり色恋沙汰の問題を押してけられても、即断できるはずもないだろう。
そもそも、神裂が自分に対して好意を抱いているのかさえ、未だに半信半疑である。
上条「あ……。もう着いちまった……」
ふと気付けば見慣れたトビラの前に立ってしまっていた。
どうやって帰ってきたかも、誰かと会ったかもよく覚えていない。
むしろ、そんな状態で無事に帰宅できたあたり、今日の彼は幸運なのかもしれない。
それとも、考える時間が短くなった分、これは不幸なのだろうか?
上条(この先に神裂がいるんだよな……。き、緊張してきた)
結局のところ、まだ考えはまとまっていない。
しかし、このままでは、明日の朝になっても答えは出ない気がした。
確証なんてないものはない。だが、グダグダ悩んでいても仕方が無い。
もう知るか、ともらし、上条はドアノブに手を掛けた。
上条「た、ただいま~」ガチャ
神裂「お、おかえりなさい」
覚悟を決めて、玄関を開けると、すぐ目の前には神裂がいた。
というか、朝、見送られたときとほぼ同じ位置にいる。
上条「ええと……」
神裂「その……」
思わず目が泳いでしまう。彼女を直視できない。
てっきり、リビングでくつろいでいるだろうと思っていた上条は、とっさに次の言葉を紡ぎ出せない。
その上、廊下を塞ぐように神裂がいるため部屋に入ることもできない。
結果として、玄関に立ち尽くす形となってしまっていた。
一方の、待ち構えていた神裂に心の準備ができていたか、といえば答えは『NO』だ。
彼女は、ずっと固まっていた訳ではないにしろ、一日のほとんどを玄関をウロウロして過ごしていた。
「どうしよう」だとか、「嫌われなかっただろうか」などといったことが、頭の中をぐるぐる回っていた訳である。
そんな心の準備ができていなかった二人を、しばしの沈黙が包んだ。
233 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/04/20(水) 19:16:18.71 ID:EGe8ZIAa0
【上条side】
―――そうしたまま五分ほど経過した時だろうか。
このままでは埒が明かないので、先に話を切り出すことにした。
上条「今朝のことなんだけど……」
神裂「す、すみませんでした!」
と、今朝のことを訊こうとした瞬間、見事なカウンターを喰らってしまった。
神裂の頭が大きく下がり、彼女のトレードマークであるポニーテールが揺れる。
上条「え?」
神裂「で、できれば、忘れていただけるとありがたいのですが……」
申し訳なさそうに、下を向きながら、口早に言葉を繋ぐ。
上条「それは……」
願ってもない提案ではないか?
そうすれば、頭を悩ませる種もなくなるし、変に意識しなくて済む。
いや、それはもう手遅れか?
神裂「不意打ちのようなマネをしてしまってすみませんでした」
ボソボソと呟くように謝罪の言葉を紡いでいる。
いつもの神裂に比べて、明らかに覇気がない。
ということは、今朝のは弱気からくる一時の気の迷いだったのだろう。
それならば、キスくらいは役得だ。むしろこちらが申し訳なくなるくらいじゃないか。
上条「もういいって―――」
気にするな、と言おうとして、彼女に視線を向けたところで、唐突に思考が停止する。
頭を上げた神裂の顔が真っ赤に染まっていたのだ。
上条「え?」
今までの自分なら、顔が赤いなと思う程度で、その先を考えなかったかもしれない。
―――だが、今日は違った。
234 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/04/20(水) 19:18:30.97 ID:EGe8ZIAa0
小萌先生の言葉が頭をよぎる。
小萌『現に上条ちゃんはキスまでされても、その好意に気づいていないじゃないですか』
そうだ……。 ・ ・ ・ ・
神裂は、あのキスを『なかったことにしてくれ』とは言わなかった。
俺に『忘れてくれ』と言ったのだ。
もちろん、そんなの些細な言い回しの違いかもしれない。
だが、そのあとの言葉はどうだろう?
神裂『不意打ちのようなマネをしてしまってすみませんでした』
これは、不意打ちという行為をしてしまったことへの後悔なのではないだろうか?
上条「なあ、神裂」
神裂「はい……」
恐る恐るといった感じで言葉を待つ神裂。
その顔は未だに赤く染まったままである。
もう、こうなってしまっては、先を訊かずにはいられない。
上条「神裂は……その……俺のこと好きなのか?」
神裂「え?」
訊いた。
驚いた顔をしているが、それも当然だろう。
上条「その……、自意識過剰だったらすまない」
こんな訊き方は落第点なのは分かっている。
しかし、こればかりは訊かないと先に進めそうにない。
なにせ、未だに自分の気持ちもはっきりしていないのだから。
上条「違ったら、笑ってくれ」
軽口のように言ってみるが、我ながら緊張しているのが分かる。
若干、声が上ずっていたかもしれない。
神裂はそんなことにも気づかず、視線を泳がせ、「ええと…」とか「その…」と呟いている。
彼女にも余裕がないのだろう。
神裂「――――ッ」
そのうち、何かを決心したのか、彼女は胸の前で十字架を切ると、顔を真っ赤にしたまま、分かるか分からないか程度にコクリと頷いた。
その不安げな姿は、いつもの彼女からは想像もできないほどかわいらしいものだった。
235 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/04/20(水) 19:19:03.52 ID:EGe8ZIAa0
【神裂side】
上条「神裂は……その……俺のこと好きなのか?」
神裂「え?」
なぜ今日に限って、そんな思考が頭の中をぐるぐる回る。
正直に言えば、彼はあまりにも鈍感で、キスをしても意識してもらえないんじゃないか、とすら思っていた。
万が一の場合も、『忘れてください』と言えば、『なんだ勘違いだったのか』なんていかにも彼の言いそうなことだろう。
上条「その……、自意識過剰だったらすまない」
だが、今日の彼は違った。
茶化している様子もないし、これは本当に私の気持ちに気づいているのかもしれない。
だが、そう思うと怖かった。
この気持ちが拒絶されるかもしれないという恐怖が全身を包む。
上条「違ったら、笑ってくれ」
直感的に気づく。ここが分岐点だ。
進めば、この気持ちに決着がつくだろう。戻れば、引き伸ばし。曖昧に誤魔化して、それで終わり。
たしかに、決着を付けるのは怖い。だが、ここで戻ることはできない気がする。
ここで戻ってしまたら、二度と決着がつくことはない。
なぜなら、そのときは心が折れるから。
ここで諦めた私が再び立ち上がることは、きっとない。
それでは、結局、断られてしまったのと同義だ。
それならば、結局、前に進むしか活路は見えない。
神裂(このド素人が! 私は一体何を悩んでいるのでしょうか)
そう頭で分かっているのに、口が動かない。
先日のスキルアウトに襲われたときよりも今の方がよっぽど怖い。
こんな恐怖を感じたのは生まれてだった。一言をいう勇気すらない。
…………あれ? 『勇気』?
―――今朝、自分は何をした?
神裂(……そうだ。勇気なら分けてもらったじゃないですか)
胸の前で十字架を切ると、ほんの少しだけ頷いた。それが今の自分に残っていた全ての勇気だった。
236 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/04/20(水) 19:20:08.81 ID:EGe8ZIAa0
上条「そうか……」
彼は、ポツリとそれだけ呟く。
それだけなのに、心臓がドクンドクンと早鐘を打っている。
先ほどから、足元ばかり見て、まともに彼の顔を見ることもできない。
上条「神裂」
神裂「―――――ッ!!」
緩やかな口調で名前を呼ばれる。
はっきり言って、それは死刑宣告に近いものがあった。
全身が強張る。
このまま受け入れてもらえるのだろうか?
それとも拒絶されてしまう?
どちらにしろもう以前の関係に戻ることはできない。
私にできることといえば、いい結果に転ぶことを祈ることしかない。
上条「その―――」
そして、彼は変わらない口調でこう続けた。
上条「悪い。神裂」
神裂「え?」
その瞬間、沸騰しかけていた体中の血液が、みるみる凍っていくような錯覚を受けた。
『拒絶された』
それだけで、死んでしまいそうだった。すべての音は消え、世界は歪んでいく。
これで、彼との関係は終わってしまったのだ。
237 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/04/20(水) 19:21:39.45 ID:EGe8ZIAa0
【上条side】
―――だが、上条の答えはそういう意味ではなかった。
神裂の気持ちを訊けば、何か分かるかもしれないと思ったが、結局、何も分からなかった。
『好き』という気持ちは分かる。
自分にとって、それは家族に向けられているものであり、インデックスに対する『好き』はそちらの分類になるだろう。
上条「神裂の気持ちはすごく嬉しい。けど、自分の気持ちが分からないんだよ」
だが、異性に対しての『好き』となると話は変わる。
もちろん、言葉にした気持ちは本心で、ウソ偽りはない。
ただ単に、誰かを好きになったという経験をしたことがないのだ。
―――何しろ、自分は記憶をリセットされているのだから。
記憶を失う前の上条当麻は、普通に恋したり、もしかしたら、誰かと付き合っていたこともあったかもしれない。
少なくとも、それがどういう気持ちかは知っていたと思う。
しかし、今の俺は、そんなことすら分からない。
この神裂に持っている気持ちの正体が分からない。
神裂「自分の気持ちが分からない……ですか?」
上条「ああ。誰かを好きになったことなんてないんだ。だから、神裂に対する気持ちもよく分からない」
素直に告白する。土御門たちに話せば、爆笑間違いなしだろう。
だが、何やら神裂はホッとしている気がする。
神裂「……それならば、仕方ありませんね」
神裂はとくに追求もせず、笑顔を浮かべると、スタスタとリビングへと向かっていった。
この話はここまでにしよう、という彼女の意思表示。
だが、俺はこの中途半端な結末のまま終わる気はなかった。
だから―――
上条「神裂」
その呼びかけに彼女は振り向く。
上条「もう一度キスしよう」
―――そう提案した。
238 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/04/20(水) 19:22:27.17 ID:EGe8ZIAa0
【神裂side】
上条「もう一度キスしよう」
話が終わったと思ったら、そんなことを言われた。
確かに、返事が聞けなかったことは残念だが、それ以上に安堵の気持ちが大きかった。
しかし、そんな気持ちも今の一言で消し飛んだ。
神裂「…………はい?」
何を言われたか、耳には届いているが、頭で理解できない。
キス?
誰と?
誰が?
上条「そうすれば、俺の気持ちが分かる気がするんだ」
理解の追いついていない頭に、さらに追撃をかけられる。
……マズイ。
冷静にならなければ。
神裂「……………………」
上条「神裂?」
…………よし。言葉の意味は理解できた。
つまり、彼は、自分の気持ちが分からないから、キスしようということを提案してきたのだ。
なるほど、なるほど。
神裂「ええっ!?」
もちろん、キスをしたくない訳ではない。
今朝、唇が重なった瞬間は心臓が飛び出るかと思ったし、あの後、2時間はドキドキが止まらなかった。
さきほど当麻と顔をあわせたときは、全身から火が出るかとも思った。
……それをもう一度?
そんなの耐えられるだろうか?
239 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/04/20(水) 19:23:20.93 ID:EGe8ZIAa0
【上条side】
上条「このままで終わりたくないんだ」
もちろん、俺だって緊張していない訳じゃない。
しかし、このままでは一方的に気持ちを伝えられただけで、返事もできなかったヘタレになってしまう。
しかも、その原因が『自分の気持ちが分からなかったから』などという小学生でも見ないような理由で、である。
自分だけの現実(パーソナルリアリティ)を確立すれば、きっとこんな気持ちも分かるのだろうが、あいにくと、私、上条当麻はレベル0。
残念ながら、自分だけの現実なんでものは確立できていない。
神裂「その……」
神裂は玄関にいたときよりも目が泳いでいる。
そんな姿を見ているだけで、体中を熱い血液が巡る。
こんな感覚は初めてかもしれない。
上条「神裂はこのままでもいいのか?」
顔を真っ赤にした神裂に問う。
こんな風にしている彼女を見るのは好きかもしれない。
これが恋愛感情? 良くわからない。
神裂「え、ええと……」
その問いにしばし葛藤していたようだが、気持ちが決まったのだろう。
神裂「よ、よろしくお願いします」
彼女は消え入りそうな声で、そう答えてくれた。
240 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/04/20(水) 19:25:21.11 ID:EGe8ZIAa0
【神裂side】
神裂「そ、それでは……」
もう、決心はついた。
だが、自分からする度胸はもうない。
だから、リビングのクッションの上に正座し、目を閉じた。
こうしていれば、言い出した手前、彼からしてこなければいけないことになる。
上条「お、おう……」
しかし、目をつぶっていても、彼がどの程度の距離にいるのかが分かる。いや、分かってしまう。
これは、普段の訓練のたまものだろう。
戦闘時には重宝するが、今はそんなものはない方がいい。明確に彼を感じてしまう。
それに見えない方が怖い。彼がどんな顔をしているのかも分からない。
神裂(ううう……)
目をつぶったことで、自分がどれほど緊張しているのかも分かってしまった。
それはもうガチガチである。
天使と相対したときでさえここまで緊張はしなかった。
上条「行くぞ……?」
神裂「は、はい!」
その言葉を引き金に、さらに体が強張る。
彼の近寄ってくる感覚。
距離はもうほとんどない。
見えていないだけで、目の前にいるのが分かってしまう。
あと、10cm……。5cm……。
神裂(と、当麻……)
そして、2人は近づいていき、それぞれの心臓の音をBGMに距離が0になった。
241 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/04/20(水) 19:27:37.43 ID:EGe8ZIAa0
【上条side】
どのくらいそうしていただろうか?
10秒くらいかもしれないし、1時間かもしれない。
時間の感覚は吹き飛んでいた。
上条「………………」
神裂「ど、どうですか?」
触れた唇をゆっくりと離すと、神裂が不安げな顔で尋ねてくる。
……どうだっただろう?
今ので何が分かったのだろうか?
上条「そうだな……」
すごく柔らかかった。
すごく温かかった。
すごくやさしかった。
すごく心地よかった。
そして、すごくドキドキした。
上条「その……」
相変わらず、自分の気持ちなんて分からない。
けれど、これからもこういう時間を神裂と過ごしたい、そう感じた。
つまりは、そういうことじゃないか?
上条「これからも『勇気』が足りなくなったら言ってくれ」
顔を逸らしながら、照れ隠しにそう言った。
彼女は一瞬、ポカンとした顔をしたが、俺の言いたいことを理解したのだろう。
神裂「はい」
という肯定の言葉とともに今までで一番の笑顔を向けてくれた。
245 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道):2011/04/20(水) 19:33:31.06 ID:M3ZkrMAc0
何だァ?この甘甘な展開はァ?
265 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/04/25(月) 18:41:01.88 ID:u5WmYXiU0
上条(と、いい感じになったのは良かったんですが……)
神裂「…………………」モジモジ
上条(気まずい……)
神裂「…………………」チラチラ
上条(さっきまでとは違った空気の重圧があるというかなんというか……)
神裂「…………………」
上条(どうすればいいんだ? コレ?)
神裂「あ、あの!」
上条「な、なんでしょうか!?」ビクッ
神裂「その……」ボソボソ
上条「なんだよ? 言いたいことがあれば言っていいぞ」
神裂「え、ええと……ゆ……」
上条「ゆ?」
神裂「夕食にしませんか?」
上条「え?」
神裂「ええと、ほら! もう8時ですし!」
上条「ええっ!?」
上条(ウソだろ? 帰ってきたの5時くらいだから、もう3時間もこうしてたって言うのか!?)
266 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/04/25(月) 18:41:28.92 ID:u5WmYXiU0
上条「もうこんな時間だったのか」
神裂「そのようですね」
上条「そのようですね、って神裂が夕食にしようっていったんじゃないか」
神裂「え? あ。そうでした」
上条「? なんだそれ」
神裂「まだ少し緊張しているのかもしれません」
上条「まあ確かに、俺も硬くなってた気がする」
神裂「そうですか? そうは見えませんでしたが」
上条「そ、そんな訳ないだろ! こんなに緊張したの初めてだよ」///
神裂「うっ…。私もです……」///
上条(きっと俺も、神裂くらい顔赤くしてるんだろうな)
神裂「しかし……」
上条「ん?」
神裂「なぜ、今日に限って、その……気持ちに気が付いてくれたんですか?」
上条「いや、まあそれは……」
上条(小萌先生にアドバイスもらったからなんだけど)
上条「ええと……。さ、さすがに、あそこまでされれば、誰でも気づくだろ!」
神裂「ぁぅ……」///
上条(しかし、良く考えてみれば、『キス』じゃなくても良かったよな。俺も神裂もテンパっててそれに気づかなかったけどさ)
神裂「で、では、夕食の準備をしますね」
上条「ああ、頼む」
268 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/04/25(月) 18:42:09.48 ID:u5WmYXiU0
夕食中
上条「相変わらず美味いな」
神裂「ありがとうございます」
上条(段々緊張が解けてきたぞ)
神裂「それで……その……」
上条「さっきからどうしたんだよ? 言いたいことがあれば、遠慮なくいってくれ」
神裂「あの子や土御門になんと説明すればいいものかと思いまして」
上条「あ、そうか……」
神裂「どうかしましたか?」
上条「ええと、その……俺たちって『恋人』ってことになるのか?」
神裂「え!? いや、その……」/// モゴモゴ
上条「ほら、少し曖昧になってる気がするからさ」
神裂「こ、恋人でいいのではないでしょうか?」/// モジモジ
上条「うっ……」///
上条(そんな反応されると、こっちまで恥ずかしくなってしまいますよ!)
上条「そ、そうなると、最初に土御門対策が必要だよな」
神裂「まずは土御門からですか」
上条「ああ」
上条(というか今、この状況を見てたりしないよな?)※見てます
269 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/04/25(月) 18:42:41.76 ID:u5WmYXiU0
神裂「対策といっても、あの男に話すか、話さないかくらいではないですか?」
上条「土御門だから、話したら爆発的に広がっちまうだろ」
神裂「……そうですね。あの男が知った次の日には、世界中に知られている可能性すらありそうです」
上条「となると、基本方針は知られないようにするってことで」
神裂「知られた場合はどうしますか?」
上条「その場合は、いっそ開き直るっていうのはどうだ?」
神裂「開き直る……ですか?」
上条「別にやましい事してる訳じゃないし、絶対に秘密ってほどのことでもないだろ」
神裂「そ、それもそうですね」///
上条「でも、秘密にできるなら秘密にしておこうぜ。色々とからかわれそうだし」
神裂「分かりました」
上条「……あとは、インデックスか」
神裂「あの子に秘密にしておくのは、少し気が引けますが……」
上条「あいつは、腹いっぱい食べさせとけば問題ないような気もするけど」
神裂(そうでしょうか?)
神裂「そういえば、何か手がかりは掴めたのでしょうか?」
上条「連絡がないってことはまだなんじゃないか?」
神裂「そ、そうですよね」ホッ
上条「ん? なんでホッとしてるんだよ」
神裂「あの子には悪いですが、もうしばらくはこのままでもいいかもしれないと思いまして」///
上条「そ、そういう訳にもいかないだろ」///
上条(急にそんなこと言うのは反則だ……)
270 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/04/25(月) 18:43:13.03 ID:u5WmYXiU0
上条「話し合うのはこれくらいか?」
神裂「そうですね。差し当たっては」
上条「何にしろ、これからもよろしく頼むな、神裂」
神裂「こ、こちらこそよろしくお願いします」
上条(ところで、俺は神裂に釣り合ってるのだろうか? ……考えないようにしよう。悲しくなってくるから)
~~~
神裂「ごちそうさまでした」
上条「ごちそうさん」
神裂「それでは、後片付けをしてしまいますので、お先にお風呂に入ってください」
上条「たまには俺がやるから、先に入っとけよ」
神裂「え?」
上条「後片付けは俺がやっておくって」
神裂「いや、しかし……」
上条「何から何まで頼ってたら、勘が鈍るだろ? たまには、俺も家事もこなさないと」
神裂「そうでしょうか?」
上条「ああ。サボり癖がついても仕方ないしな」
神裂「そうですか。では、お言葉に甘えさせていただきますね」ニコ
上条「おう」
271 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/04/25(月) 18:43:39.45 ID:u5WmYXiU0
~~~
上条(とここまではよかったんだけど……)
上条「また緊張してきた」ソワソワ
上条(なんだかこの状況はマズイ気がする。なんていうの? 初めて彼女が泊まりに来たみたいな感覚?)
上条「くそ……。昨日まではそこまで意識してなかったのに……」
上条(いや、意識してなかったんじゃなくて、意識しないようにしてただけなんですけどね!)
上条「あくまで、俺に気がないと思ってたから、意識しないようにしてただけだしな」
上条(好きあってるってことは、手を出しても合法?)
上条「な、何を考えているんだ!」ブンブン
上条(でも、年頃の男女が一つ屋根の下ですることといえば……)
上条「いやいや、落ち着け……。落ち着くんだ……」
神裂「上がりました。お次どうぞ」
上条「!!」ビクッ
神裂「どうかしましたか?」
上条「い、いや!? なんでもないですよ!?」
上条(湯上りの神裂さんなんか妙に色っぽいんですけど!?)
神裂「?」
上条「は、入ってくる」
神裂「あ、はい。ごゆっくりどうぞ」
272 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/04/25(月) 18:44:06.94 ID:u5WmYXiU0
~~~
上条「ふぅ……。落ち着いたぞ……」
神裂「ずいぶん長湯でしたね」
上条「ああ。ちょっと精神鍛錬をしてたからな」
神裂「精神鍛錬ですか?」
上条「気にしないでくれ」
神裂「はぁ、そうですか」
上条「それで、神裂は何しようとしてるんだ?」
神裂「これですか? 髪をすこうかと思いまして」
上条「神裂は髪長いから手入れとか大変そうだよな」
神裂「いえ、髪を軽くすくくらいで、大して手入れはしていませんよ」
上条「マジですか……」
神裂「よければ、やってみますか?」クスッ
上条「え?」
神裂「当麻が触りたそうに見ていましたので」
上条「ええと……、うん。じゃあ遠慮なく」
神裂「では、お願いしますね」
上条「お、おう」
273 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/04/25(月) 18:45:13.22 ID:u5WmYXiU0
上条(やばい。すごいサラサラだ……)
神裂「誰かにすいてもらうというのもいいものですね」
上条「そ、そうか? それならよかった」
上条(それになんかいい匂いするし! ここ数日は同じシャンプー使ってるはずなのになんで!?)
神裂「? どうかしましたか?」
上条「手入れしてないって割には、すごく手触りがいいなと思ってさ」
神裂「そうでしょうか? あまり気にしたことはありませんが」
上条「むしろ、手入れしてなくてこのレベル? って聞きたくなるよ」
神裂「はは、ありがとうございます」
上条「サラサラで気持ちいいな」
神裂「私も気持ちいいです」
上条「何が?」
神裂「あ、そ、その……当麻に梳かしてもらえてです……」///
上条(ぐわーっ!? ナニコレ、かわいい!)
上条「そ、そりゃ良かった。気に入ったなら、またやってやるよ」
神裂「はい。よろしくお願いします」
274 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/04/25(月) 18:45:42.24 ID:u5WmYXiU0
~~~
上条「よし。そろそろ寝るか」
上条(今日は時間の進み方がおかしい。もう12時かよ)
神裂「そ、そうですね」
上条「じゃあ、上条さんは風呂場で……」
神裂「え?」
上条「いやいや、さすがにこういう関係になったら一緒に寝るのはマズイんじゃない?」
上条(主に上条さんの理性がですけども!)
神裂「い、いえ……。できれば、今まで通りの方が私はうれしいのですが……」
上条「うっ……」
神裂「ダメでしょうか?」
上条「はぁ……。そんな顔されたらダメなんて言えないだろ……」
神裂「あ、ありがとうございます」
上条「その代わり、一緒に寝るのはなしだからな」
神裂「あぅ……」///
上条(そうしたかったのか!? そんな拷問に耐え切れるほど上条さんはできた人間ではありませんことよ?)
神裂「では手を……」
上条「ん。まあ、それくらいなら」ギュッ
神裂「あ、いえ、こうではなくて……」
上条「え?」
神裂「せ、せっかくですから」ギュッ
上条(こ、これは『恋人つなぎ』!?)
275 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/04/25(月) 18:46:11.26 ID:u5WmYXiU0
上条「か、神裂さん?」
神裂「は、はい」
上条「これは、その……」
神裂「嫌でしたか?」
上条「そ、そんなことない! そんなことないけどさ!」///
上条(こんな手の繋ぎ方したまま寝られるだろうか?)
神裂「ふふっ。これだと、当麻がすごくドキドキしてるのが伝わってきますよ」///
上条「神裂も人のこと言えないだろ」
神裂「はい。今、すごく幸せですから」ニコ
上条(ぬぁぁぁっ!? ズキューンと来たァ!? くっ、このままやられっぱなしで終わってたまるか!)
上条「そ、それじゃ寝るか」
神裂「あ、はい」
上条「オヤスミ、神裂」チュッ
神裂「えっ!?」
上条「はは……。照れるもんだな」///
神裂「///」
上条「で、電気切るぞ」
神裂「ぁ、はい。お休みなさい、当麻」
上条「ああ、オヤスミ」
292 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/04/26(火) 12:39:47.25 ID:AJuwOR9/0
共同生活7日目 朝
―――
上条「ふぁ……」
神裂「眠そうですね」
上条「寝れる訳ないって……」ボソ
神裂「はい?」
上条「いや、なんでも……」
上条(繋いでる手が汗ばんでたり、いい匂いがしたり、かすかに吐息が聞こえたりしてもうダメになりそうでしたよ……)
神裂「大丈夫ですか? 顔色も悪いようですけど」
上条「ああ。体の方は大丈夫だ」
神裂「それならいいのですが」
上条(むしろキツイのは精神だよ。今日もこんな天国での苦行をしなくちゃいけないのか)
上条「おっと、そろそろ行かないと」
神裂「そうですね。お気をつけて」
上条「あれ?」
神裂「どうかしましたか?」
上条「いや、今日は『勇気』は足りてるのかと思ってさ」/// ポリポリ
神裂「うぅっ!? その……それは……」///
上条「昨日の夜、補給したしな。大丈夫ならいいんだ。じゃ、行ってきます」
神裂「ま、待ってください!」
上条「ん?」
神裂「あれくらいで足りるわけないじゃないですか……」
293 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/04/26(火) 12:40:19.31 ID:AJuwOR9/0
―学校―
上条「♪~」
青ピ「あれ? 今日はカミやん随分とご機嫌やね」
土御門「そうみたいだにゃー」プププ
青ピ「何や? 原因しってるんかいな?」
土御門「いやいや、俺は何も知らないぜい?」
上条「なんだよ。2人してコソコソと」
土御門「いや~、今日のカミやんは上機嫌だからにゃ~」
青ピ「昨日とは打って変わって何があったん?」
上条「え? いや、それは……」
土御門「ねーちんと何か進展があったのかにゃー?」ククク
上条「え!?」ギクッ
上条(土御門のやつ全部知ってるとかじゃねえよな?)
青ピ「オイオイ。その反応はどういうことや? まさか抜け駆けとかしてへんよな?」
上条「ま、まさか~」
姫神「怪しい」
上条「うわっ!? 姫神いたのか!?」
姫神「うん。ずっと」
土御門「きっと昨晩はよろしくやってたに違いないぜい」
青ピ「カミやん、貴様……」
上条「だーっ!! 土御門は余計なこと吹き込むな!」
姫神「よろしくやってた?」
294 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/04/26(火) 12:40:59.39 ID:AJuwOR9/0
吹寄「また、貴様たちは何を騒いでる!」
上条「ふ、吹寄か」
土御門「またカミやんが女の子に手を出したって話だにゃー」
上条「オイ、土御門。『また』ってどういうことだ!」
吹寄「上条……。貴様、また?」
上条「吹寄まで!?」
青ピ「また……やね」
姫神「うん。また。これで何人目?」
上条「人聞き悪いこと言うな! 何人目もなにも、まだ1人目だよ!」
吹寄・姫神「え?」
青ピ「へえ~、カミやん。『1人目』ってことは、その『ねーちん』には手を出したんやね?」
上条「はっ!? し、しまった!?」
土御門「墓穴掘ってるにゃー」
吹寄「上条……。貴様……」
青ピ「裏切り者には―――」
クラス男子「「「「死の鉄槌を」」」」
上条「く、くそーっ!! またこの展開かーっ!!」
小萌「皆さ~ん。ホームルームの時間……ってなんですか、この騒ぎは!」
青ピ「チッ! 命拾いしたな、カミやん」
上条(た、助かった……)
295 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/04/26(火) 12:41:43.62 ID:AJuwOR9/0
放課後 帰宅中
上条「ひ、酷い目に遭った……」
土御門「抜け駆けしたんだから、自業自得ですたい」
上条(それに、秘密にするとか言ってて即バレ……)
上条「神裂になんて説明すればいいかな」
土御門「しかし、まさかねーちんがカミやんを落とすとは思わなかったぜい」
上条「神裂が俺を? 逆じゃねーのか?」
土御門「だからカミやんは鈍感って言われるんだぜい?」
上条「鈍感かな?」
土御門「前々から、興味は持たれてたんだぞ? それに気づいてないんだから鈍感だろうよ」
上条「小萌先生に相談したときにも似たようなこと言われたよ」
土御門(なるほど。昨日、カミやんが妙に鋭かったのはそのせいか)
上条「それで、インデックスの方は何かわかったのか?」
土御門「あ」
上条「なんだよ? 何か不吉な予感がするのですが……」
土御門「いやいや、なんでもないぜい?」ニヤニヤ
上条「お前がそうやって笑うときには、大抵悪いことが起きるんだけどな」
土御門「相変わらず進展なし。カミやんにとっても、ねーちんにとってもしばらくはその方がいいんじゃないかにゃー?」
上条「ううっ!?」
土御門「おー、熱い、熱い。今日は部屋にいるから、何かあれば呼んでくれよ」
上条「だれが呼ぶか!」
296 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/04/26(火) 12:42:25.47 ID:AJuwOR9/0
―上条の部屋―
上条「ただいまー」
神裂「おかえりなさい」
上条「何してるんだ?」
神裂「ここのところ家事ができませんでしたからね。掃除やら洗濯を一気に片付けていました」
上条「それにしちゃ時間かけすぎじゃないか? もう朝からだいぶ経つけど」
神裂「そ、そうですね。少しのんびりしすぎたかもしれません」
神裂(午前中いっぱいボーっとしてたとはいえません……)
神裂「それより、学校の方はお変わりありませんでしたか?」
上条「あ、それなんだけどさ」
神裂「はい?」
上条「すまん! 土御門に早速バレた」
神裂「ハハハ……。仕方ありませんね。あの男は鼻だけは利きますから」
上条「怒らないのか?」
神裂「昨日、あなたがいったではないですか。『やましいことをしている訳ではない』と」
上条「そ、そうだよな」ホッ
神裂「でも……」
上条「ん?」
神裂「昨日の今日でバレるにはちょっと早すぎると思います」
上条「ですよねー」
297 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/04/26(火) 12:42:51.53 ID:AJuwOR9/0
神裂「それでは、どうしましょうか?」
上条「あ、家事がまだあるなら手伝うぞ」
神裂「いえ、ちょうど終わったところなんですよ」
上条「そうなると……夕飯にはまだ早いし……」
神裂「ちょっとした時間ができてしまいましたね」
上条「そうなるな」
神裂「…………………」
上条「…………………」
上条(な、なんか空気が……)
神裂「そ、それではお茶でも淹れましょうか」
上条「そうだな! うん、それがいい」
神裂「すぐ用意しますので、そちらでお待ちください」
上条「分かった」
上条(あ、危なかった! 神裂の機転がなかったら、変な方向に行きそうだったぞ!)
298 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/04/26(火) 12:44:10.16 ID:AJuwOR9/0
~~~
神裂「お待たせしました」
上条「悪いな」
神裂「いえいえ」
上条「やっぱり、神裂は緑茶が好きなのか?」ズズズ
神裂「そうですねえ。緑茶ももちろん好きですが、紅茶も好きですよ」
上条「ああ、そうだよな。職場が本場だしな」
神裂「ええ。今度はそちらを用意しましょうか?」
上条「紅茶の違いが分かるほど上条さんの舌が利口とも思えませんけど」
神裂「こちらのものとは大違いですよ。別物といってもいいかもしれません」
上条「そういえば、ステイルがそれについてブツブツ言ってたことがあったかもしれない」
神裂「でしょう?」
上条(なんかこういうゆったりとした空気はいいな。癒される……)
神裂「あ、そうだ。お茶菓子があるんでした」
上条(インデックスといると備え置きのお茶菓子があるってのは信じられないよな……)
上条「俺の方が近いし、神裂は座っててくれ」
神裂「どこにあるか分かります?」
上条「戸棚の奥じゃないのか?」
神裂「あ、はい。では、お願いします」
上条「神裂もだいぶこの家に慣れてきたな。もう俺より詳しいんじゃないか?」
神裂「ふふっ。そうかもしれませんね」
299 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/04/26(火) 12:45:13.64 ID:AJuwOR9/0
上条「え~と……。ん? せんべいか、渋いな……」ゴソゴソ
神裂「緑茶には、餡子系が好みなのですが、そちらの方が日持ちしますからね」
上条「しかも、鉄缶のやつって……。いつの間に買ったんだか」ヒョイ
神裂「お手数をかけます」
上条「なにこのくらい」
神裂「足元気をつけてくださいね」
上条「言われなくとも……。うぉっ!?」グラ
神裂「危ない!」サッ
ゴガァァァン!! ←せんべいの鉄缶が落ちる音
上条「あいたたた……」
神裂「だ、大丈夫ですか?」
上条「……っあれ?」
上条(な、なんか押し倒したみたいな体勢に!? 前にもこんなことあったよな!?)
神裂「ええと、その……」
上条「ああ、大丈夫! 怪我とかはしてないぞ! 神裂は大丈夫か?」
神裂「い、いえ、それよりも……」
上条「ん? あ! す、すまん! すぐ退くから!」
神裂「あ……」
上条「え?」
神裂「あの……もう少しこのままでも……」///
上条(うっ!? か、かわいいぞ!)///
300 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/04/26(火) 12:45:47.25 ID:AJuwOR9/0
上条「えっと……」
上条(こういうときはどうすればいいんだ!? だ、誰か助けてくれ!)
神裂「///」
上条(だ、抱きしめたりすればいいのか? そ、それともキスとか?)
神裂「と、当麻……」
上条(ぬぉぉぉっ!? そんな切なげな声を出さないでください!)
神裂「その……ギュッとしてくれますか?」///
上条(も、もうダメかもしれない)
上条「よ、喜んで」///
神裂「ありがとうございます」///
上条(だ、抱きしめるってことはあのデカイ胸を受け止めるってことだよな? 正気を保てるだろうか?)
上条「そ、それでは失礼して……」
ガチャッ
インデックス「ただいまー」
五和「お、お邪魔します!」
上条・神裂「え?」
303 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/04/26(火) 12:55:50.99 ID:2kcvS+r1o
汚いなさすが土御門きたない
304 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都):2011/04/26(火) 13:20:45.02 ID:KOGN8RKC0
ああああああああああああああ
つゥゥゥゥゥちみかどくゥゥゥゥゥゥゥゥン!!!!!
305 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/04/26(火) 14:38:02.99 ID:bKKObS1No
土御門てめえええええええええええ!!!
317 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/04/28(木) 18:07:36.62 ID:9mxLIa/b0
イン「あれ? とうま、そんなところで何を―――」
上条「イ、インデックス?」
五和「か、上条さんの下にいるのは……女の人ですか?」
神裂「その声は五和!?」
五和「女教皇様!?」
上条(この状況は非常にマズイ。なんと説明すれば……)
イン「……………かおりと何してるのかな、とうま」
上条「え、えーっとですね」アセアセ
神裂「こ、これは……」
イン「分かってるんだよ。また、いつものなんだよね?」ニコリ
上条「『また』っていうところにツッコミたいが、理解してくれたならそれで……」
イン「理解するのと、納得するのは違うんだよ!!」グワ
上条「や、やめろ! 噛み付くのは―――」
イン「問答無用!!」ガブリ
上条「ぎゃああああああああっ!!」
318 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/04/28(木) 18:09:05.22 ID:9mxLIa/b0
五和「な、なぜ女教皇様がここにいらっしゃるんですか?」
神裂「あなたこそ、なぜこの子と?」
上条「そ、そうだよ! なんでインデックスがここにいるんだ!?」
イン「帰ってきただけで、その言い方は酷いかも!」
上条「ってことは、何か手がかりが掴めたのか?」
イン「手がかり……? なんのこと?」
上条「神裂が正体不明の術式を受けたから、その調査に行ったんだろ?」
五和「正体不明の術式……ですか?」
神裂「ええ。聖人としての力が失われてしまって」
五和「ええっ!?」
神裂「あ、あの……それで、あなたは今までどちらに?」
イン「イギリスを旅行してきたんだよ」
上条「りょ、旅行!?」
五和「私は帰路の護衛として同行しました」
上条(なんだか話が良く分からなくなってきた)
神裂「も、もしや……」
イン「もとはるがとうまに説明するって言ってたんだけど」
上条「つ、土御門ォォォォォォ!!!」
319 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/04/28(木) 18:09:52.40 ID:9mxLIa/b0
土御門「呼んだかにゃー?」ガチャ
上条「お、お前なぁ……」ピクピク
神裂「こ、これは一体どういう……」
土御門「今から説明してやるぜい」
上条「納得のいく説明をしてもらえるんだろうな?」
土御門「そう怒るなよ、カミやん。いままでのぜーんぶウソってだけの話なんだから」
神裂「う、嘘?」
上条「ウソって何が?」
土御門「ねーちんが聖人の力を失ったこととか、魔術師に狙われてるってことかかにゃー」
上条・神裂「え?」
土御門「別にねーちんは聖人としての力を失ってないし、魔術師にも狙われてないんだぜい」
神裂「し、しかし、実際に……」
イン「かおりはすぐに力は取り戻せるんだよ」
上条「インデックスはこの術式を知ってるのか!?」
イン「うん。だって、調整したのは私なんだもん」
神裂「ええっ!?」
イン「こんな風にするとは聞いてなかったんだけどね」ジロ
土御門「にゃはははー」
五和「ど、どういうことですか?」
上条「いや、俺にもわからん」
320 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/04/28(木) 18:10:47.67 ID:9mxLIa/b0
土御門「分かりやすいように、順を追って説明してやるにゃー」
五和「あ、はい」
土御門「まず、禁書目録と共同して、天草式の『聖人崩し』を改良したのが、まず最初」
上条「聖人崩し?」
五和「ええと、簡単に言えば、聖人の特徴を失わせる術式ですね」
上条(偶像の理論とかいうのを乱すって言ってたやつか)
神裂「い、いつの間にそんなものを……」
五和「女教皇様がいなくなってから、色々と研究したんです」ハハハ
イン「改良したのは、持続時間の延長と、発動のタイミングの遅延の2つ。代わりに事前の準備にすごく時間がかかるようになっちゃったけど」
神裂「そ、それでは―――」
土御門「そう。ねーちんが喰らったのは、ただの起動術式だったんだぜい」
上条「うん、分からん」
土御門「要するに、リモコン爆弾をセットしておいて、後からスイッチを入れたってことだにゃー」
上条「リモコン爆弾って……。敵が長い間近くにいたのに、気が付かなかったのか?」
神裂「いえ、その術式を放ったのは、敵ではなく……」
五和「教皇代理……ですか?」
土御門「ピンポーン。大正解だにゃー!」
上条「た、建宮!?」
土御門「天草式が散り散りになってるって、ねーちんに話したのも、建宮斎字ですたい」
神裂「お、おのれ、建宮斎字……」
321 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/04/28(木) 18:12:19.96 ID:9mxLIa/b0
土御門「そこまで下準備ができたら、そこからは俺の出番だったんだぜい」
五和「どういう意味ですか?」
土御門「ここから先はちょっと回想で説明するにゃー」
――――
一日目 上条が帰宅する前
イン「うーん。ヒマかもー」
土御門「ちーっす。お邪魔するぜい」ガチャ
イン「はーい。あれ? もとはる? とうまならまだ帰ってきてないよ?」
土御門「今日はカミやんに用事じゃないぜい」
イン「ってことは私?」
土御門「そうだ。もうすぐねーちんが来るから、例の術式が成功したかどうか見て欲しいんだにゃー」
イン「例のって、『聖人崩し』のことかな?」
土御門「ああ。力が出せないみたいだから多分成功してるとは思うがな」
イン「分かったんだよ」
土御門「そしたら、報酬のイギリス旅行を楽しんでくるといいにゃー」
イン「とうまは行かないの?」
土御門「カミやんは補習があるからな。説明しておくから、楽しんでくるといいぜい」
イン「うん! それで、誰が連れて行ってくれるのかな?」
土御門「ねーちんにステイルが同行してくる。ステイルと同行してもらうぜい。ただ……」チラ
イン「ん?」
土御門「時間が思ったより遅れている。確認したらすぐ出発になっちまうだろうにゃー」
イン「分かったんだよ」
322 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/04/28(木) 18:13:08.89 ID:9mxLIa/b0
~~~~
イン「まだかなー」
<ぴんぽーん
土御門「きたきた。はいはーいっと」ガチャ
神裂「あ、土御門ですか。あの子は―――」
土御門「奥にいるぜい。説明はしてあるから、見てもらうといい」
神裂「分かりました」
ステイル「やあ、土御門。僕はどうすればいいかな」
土御門「確認が終わったら、インデックスを連れてイギリスに引き返してもらうことになる」
ステイル「了解した」
神裂(やはり、この場での解決は厳しいですか……)
土御門「嬉しそうだにゃー」
ステイル「そ、そんなことはないよ?」
神裂「こちらはそれどころではないというのに……」
イン「いらっしゃい、かおり、ステイル」
ステイル「お邪魔してるよ。もっとも、僕はすぐ引き返すけどね」
神裂「お邪魔しています。それで、どうでしょうか?」
イン「…………うん。身体の構造が歪められてるんだよ。これじゃ偶像崇拝の恩恵は受けられないかも」
土御門「やっぱりかにゃー」
イン「魔術の痕跡も残ってないし、完璧なんだよ」
神裂「そ、そうですか……」
323 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/04/28(木) 18:14:41.60 ID:9mxLIa/b0
ステイル「それじゃ、時間もないし行こうか」
イン「うん! じゃあ、またね。かおり」
神裂「え? あ、はい」
土御門「ステイル、しっかり頼むにゃー」
ステイル「言われなくても大丈夫さ」バタン
神裂「あの……彼らは一体どこへ?」
土御門「あれ~? ステイルのやつはねーちんに説明してなかったのか?」
神裂「説明ですか?」
土御門「この場で解決できる可能性が低いのは分かってただろ? 元々、現場に行って情報を収集する予定だったんですたい」
神裂「ああ、それで……」
土御門「まったく。ねーちんがぼやぼやしてるから、こんな面倒くさいことになったんだにゃー」
神裂「面目ない……」
土御門「それじゃ、準備を……」カチャカチャ
神裂「それで、あなたは何をしてるんですか?」
土御門「これか? 部屋に結界を張ってるんですたい」
神裂「結界ですか?」
土御門「カミやんの右手も厳しいだろうからな。そうなったら、ねーちんにはしばらくここに匿ってもらうことになる」
神裂「ええっ!?」
土御門「この結界は、防音の効果がある。部屋自体を儀式場化するから魔力もいらない」
神裂「そ、それより匿ってもらうというのは―――」
―――
土御門「ってことが、カミやんの来る前にあったんですたい」
上条「」
324 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/04/28(木) 18:16:05.47 ID:9mxLIa/b0
上条「それにしちゃ、随分危ないイタズラだな」
土御門「危険なんて全然なかったぜい?」
上条「何言ってるんだよ! 神裂がスキルアウトに襲われたじゃねえか!」
五和「そ、そうなんですか?」
神裂「はい。そこを当麻に助けていただいて……」
イン「とうまは相変わらずかも」
五和(上条さんと下の名前で呼ぶ関係に!?)
土御門「あー、あれも余興だぜい」
上条「は?」
土御門「実は、あいつらは俺の所属してるグループのパシリだったんだにゃー」
神裂「なんっ!?」
土御門「名演技だったから、バイト代も弾んでやんだんだぜい」
上条「つ、土御門……」
五和「も、もしかして、女教皇様はここで寝泊りを?」
神裂「そ、そうです」
土御門「おかげで、カミやんといい関係になれたんだよにゃー?」ニヤニヤ
神裂「ううっ……」///
五和「」
イン「とうま?」ギロ
上条「な、なんでこっち睨むんだよ!? 手は出してないぞ!」
325 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/04/28(木) 18:17:08.93 ID:9mxLIa/b0
土御門「いやー、禁書目録が今日帰ってくるのすっかり忘れてたぜい」
上条「オイ……」
土御門「もうちょっと楽しめそうだったのににゃー」
上条「しかし、結界なんて張ってたのか」
イン「この結界なら、外からの音も内からの音も完全に遮断されるね。でも……」
神裂「でも、なんでしょうか?」
イン「良く分からない部分があるんだよ。天井の4隅に違和感があるかも」
上条「4隅って……。オイ、土御門」
土御門「なんだ、カミやん」
上条「良く見るとカメラ見たいのがあるんですが」
五和「か、カメラ!?」
土御門「良く気づいたにゃー。背景に同化するメタルギア的な試作機なんだぜい?」
上条「な、なんでそんなもんが!!」
土御門「学園都市は監視カメラが多いからにゃー。景観を壊さないように導入しようと―――」
上条「そういう意味じゃねえ!! なんで家に監視カメラなんて仕込んでるんだよ!!」
土御門「そんなの決まってるじゃないか」
神裂「お聞きしましょう」プルプル
土御門「面白そうだったから」
上条「土御門、テメェェェ!!」
326 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/04/28(木) 18:17:37.12 ID:9mxLIa/b0
土御門「だから、カミやんとねーちんがイチャイチャしてたのも知ってるんだぜい」
イン・五和「!?」
上条「お、落ち着け、インデックス!」
イン「覚悟はいいかな、とうま?」
上条「できてないから!」
イン「カミクダク!!」ゴシャァ
上条「ぎゃあああああああああっ!! 2回目ェェェ!?」ゴロゴロ
五和「教皇代理まで加担してたんですね……」ブツブツ
土御門「さっき、五和が来てると知ってもの凄い勢いで逃げたぜい」
五和「!! へえ、学園都市に来てたんですか……」ユラ
神裂「い、五和?」
五和「少し用事を思い出しましたので、行ってきますね」
神裂「あ、はい」
土御門(この子も意外に怖いにゃー)
五和「フフフ。逃げ切れると思ってるんでしょうかね」バタン
327 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/04/28(木) 18:18:23.71 ID:9mxLIa/b0
神裂「そ、それで、力を取り戻すにはどうすればいいんですか!」
土御門「はっはっは。そう簡単に教えると思って―――」
イン「魔術を使うか、術士、つまりさいじが解呪すればすぐなんだよ」
神裂「なるほど。これで土御門と建宮斎字にオシオキができますね」
土御門「ちょ、ちょっと待て、ねーちん!」
神裂「遺言をお聞きしましょう」
土御門「まだ、聖人の力を解放するべきじゃない」
上条「それはどういうことだ?」
神裂「時間稼ぎのつもりでしたら、お生憎ですが……」
土御門「今回のドッキリは、ねーちんの休暇ってことで最大主教から許可をもらってる」
神裂「勝手に人の休暇を……」
上条「それが何か関係あるのか?」
土御門「ああ。ねーちんに聖人の力が戻ったら休暇は終了だ」
神裂「え?」
土御門「それまではこの学園都市で過ごせる」
イン「効果の持続時間は10日前後だから、魔術を使わなければ、あと2~3日は普通の人なんだよ」
神裂「2~3日……」
土御門「その間はカミやんとイチャイチャできるにゃー」
神裂「つ、土御門!!」///
328 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/04/28(木) 18:19:46.59 ID:9mxLIa/b0
土御門「それで、ねーちんはどうするかにゃー?」
上条「神裂……」
土御門「選択肢は2つ。1つは、力を取り戻してイギリスに戻る。2つ目は、そのまま2~3日休暇を続ける」
神裂「そんなの決まってます!」
土御門「ま、そうだろうにゃー」
神裂「ううっ……」///
イン「私はどうすればいいかな?」
土御門「禁書目録は、2~3日の間、五和と過ごしてもらうことになる」
イン「はぁ……。まあ、そうだと思ったんだよ」
上条「あ、あれ? 意外に素直に言うこと聞くんだな」
土御門「だにゃー。てっきり、カミやんがアン○ンマンみたいに顔が欠けると思ったのに残念だぜい」
上条「おい……」
イン「私はここで駄々をこねるほど無粋じゃないんだよ!」プンプン
神裂「すみません……」
イン「謝ることじゃないよ? 2~3日だけなんだもん」
神裂「……はい」
上条(なんで神裂が謝ったんだろ?)
土御門「禁書目録は大人だにゃー。それじゃ五和を探しに行くぜい」
イン「うん! かおり、ゆっくりしていってね」
神裂「ありがとうございました」ペコ
上条「?」
336 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/04/30(土) 18:08:58.57 ID:tD6tDf5T0
神裂「行ってしまいましたね」
上条「ったく土御門のやつは……」
神裂(また2人きり。緊張してきました……)
上条「神裂」
神裂「は、はいっ!」
上条「どうかしたのか?」
神裂「い、いえ! 別になんでも!」
上条「そうか?」
神裂「はい! お気になさらず!」
上条「なら、まず、カメラ取り外そうぜ」
神裂「あ、そうですね」
~~~
上条「5つも取り付けてやがったのか……」
神裂「始めから気づいていればよかったのですが……」
上条「気にすんなって。むしろ、土御門のイタズラでよかったじゃねえか」
神裂「え? あ、そ、そうですね」
上条「命の心配もなさそうだし」
神裂「あなたとこんな関係になれましたし……」/// ボソ
上条「う……」///
337 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/04/30(土) 18:10:06.64 ID:tD6tDf5T0
神裂「あ、その……」
上条「ええと……」
神裂「………………」
上条「………………」
神裂(また、沈黙の状態になってしまいました。き、気まずい……)
上条「……ははは」
神裂「どうしました?」
上条「いや、前はもっと自然に会話できてたような気がするのにな、と思ってさ」
神裂「そ、そうですね。今は、少し緊張してしまってますが」
上条「だったら、もっと楽にしてくれよ」
神裂「そ、そうは言われましても」ギクシャク
上条「まだ慣れてないから仕方ないのかね」
神裂「そんなこと言ってる割に、あなたは平気そうですよね」
上条「そ、そんなことないぞ! 今だって、すごく緊張してますし!」
神裂「そうみたいですね」
上条「もう2、3日しかいられないってのに、このままギクシャクして終わったらもったいない気がするんだよ」
神裂「それには同感ですが、こればかりはすぐに慣れるようなものでは……」
上条「そうだよなぁ……」
338 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/04/30(土) 18:11:01.02 ID:tD6tDf5T0
神裂「うーん……」
上条「何かいい案あるか?」
神裂「いえ、特には……」
上条「そうなると……そうだな。もう開き直るくらいしかないか?」
神裂「開き直る……ですか?」
上条「う……。つまり、必要以上にくっついてれば、そのうち慣れるんじゃないだろうかとかそういう……」
神裂「そ、それはそうかもしれませんが」
上条「他にいい方法があればいいんだけどさ」
神裂「いえ、その……」
上条「その?」
神裂「いい案なんじゃないかと思います」ボソボソ
上条「そ、そうかな?」
神裂「ただ、そんなことを考えただけでドキドキするのに、実際にやられて耐えられるのかな、と……」
上条「ぐはっ!」
上条(そのセリフはクリティカルですよ……)
神裂「ど、どうかしましたか?」
上条「神裂はかわいいなぁと思ってさ」
神裂「か、かわっ!?」
上条(うろたえてるのもいい……。狙ってるわけじゃないよな?)
339 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/04/30(土) 18:12:05.38 ID:tD6tDf5T0
神裂「それで、くっつくというのはどうやって?」
上条「え? ど、どうしようか……」
神裂「そこは考えてなかったのですね」
上条「し、仕方ないだろ! いっぱいいっぱいなんだから!」
神裂「そ、それでしたら……」
上条「お、何だ?」
神裂「さきほどの続きを……」
上条「続き?」
上条(続きって何だ? 何かしてたっけ? ええと―――)
上条「って続き!? だ、抱きしめるってやつか!?」
神裂「ダメでしょうか?」
上条「いやいやいやいや、ダメじゃない! ダメじゃないけどさ!」
上条(それはそれでレベルが高いですよ! かといってここで引き下がる訳には)
上条「えと……」
神裂「ど、どうぞ」
上条(ぐっ!? お、男は度胸!)
上条「こ、これでいいか?」ギュッ
神裂「ふぁ……」
340 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/04/30(土) 18:12:53.45 ID:tD6tDf5T0
上条(や、柔らかい! それにいい匂い! 身長差がちょっとばっか気になるけど!)
神裂(温かい……。それに力強い抱擁です)
上条「か、神裂さん?」
神裂「なんでしょうか?」ホワホワ
上条「これでよろしいでせうか?」
神裂「いえ、まだです……」ギュッ
上条「!?」
上条(神裂も腕を!? や、やばい。クラクラしてきた)ドキドキ
神裂「当麻の心臓の音が聞こえます」ドキドキ
上条「俺も聞こえるぞ。神裂の心臓の音」
神裂「ふふっ。どっちの方が早いでしょうかね?」
上条「さ、さあ? 同じくらいじゃないか?」
神裂「きっと私の方が早いと思いますよ」
上条「そうかな?」
神裂「もっと良く聞いてください」ギュッ
上条「うぁ……」
上条(もう、どっちの音だか分からなくなってきた……)
上条「そ、そろそろいいかな?」
神裂「ダメです」
上条「さいですか……」
341 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/04/30(土) 18:13:59.46 ID:tD6tDf5T0
上条(くっ! 神裂が急に落ち着いてきてる。こ、これが年上の余裕ってやつか!!)
神裂(もう、頭の中がぐるぐる回ってしまって良く分かりません。……今、何をしてたんでしたっけ?)
神裂「ふぁっ……」
上条「ぬぉぉぉ……」ゾクゾク
上条(耳元に吐息がッ!! すごく色っぽい!! そして、上条さんはいろいろとマズイ!!)
上条「か、神裂。離れてくれ!」グイ
神裂「嫌です」ギュ
上条「さっきから胸が!!」
神裂「構いません」
上条(だぁーっ!! どうすればいいんだーッ!!)
神裂「当麻……」ボソ
上条「は、はいっ!」
上条(耳元での囁きボイスの破壊力はものすごい! り、理性がぁぁぁ!!)
神裂「もっと……、もっと当麻の音を聞かせて下さい」ギュッ
上条(し、死ぬ!)
342 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/04/30(土) 18:14:40.87 ID:tD6tDf5T0
上条「こ、これで良く聞こえるか?」ギュッ
神裂「はい」
上条(こんなに力入れて大丈夫か?)
上条「痛くない?」
神裂「大丈夫です」ホワホワ
上条(顔が見えないから表情が見えない……。本当に無理してないだろうな?)
上条「…………………」ドキドキ
神裂「…………………」ドキドキ
上条(すごく汗かいてきた。つーか体が熱い)
上条「神裂。暑くない?」
神裂「はい。問題ありません」
上条「そうか」
神裂「当麻こそ大丈夫ですか?」
上条「え?」
神裂「少しフラフラしてるようですが」
上条「あ、ああ。頭に血が行き過ぎて」
神裂「それでは少し横になりましょうか」
上条「そ、そうだな」ホッ
上条(よ、よし。一旦離れて、落ち着こう……)
神裂「えい」グイッ
上条「え?」ドサッ
上条(そのままベットに押し倒されただとォォォ!?)
343 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/04/30(土) 18:15:38.86 ID:tD6tDf5T0
上条「か、神裂さん?」
神裂「はい?」
上条「離れてはいただけないのでせうか?」
神裂「それはダメです」ギュー
上条(これじゃ状況が悪化しただけ!?)
神裂「まったく。当麻は私と離れたいのですか?」
上条「そ、そうじゃないけどさ!」
上条(この神裂は酔ってるのか!? さっきからおかしいぞ!?)
上条「ええっと……、神裂の顔が見たいなーとか?」
神裂「はい? 顔ですか?」スッ
上条「うぉっ!? すげえ真っ赤!!」
神裂「そうですか? 自分では良く分かりませんが」
上条(これは熱で暴走してるのか? 風邪とかじゃないよな?)
上条「とりあえず神裂は寝とけ」グイ
神裂「そうやって離れようという気ですね? そうはいきません」ガシッ
上条(ああ、もう! うれしいんだけどさ!)
344 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/04/30(土) 18:17:07.29 ID:tD6tDf5T0
神裂「当麻も顔赤いじゃないですか」
上条「そりゃそうだろ! こんだけくっつかれてりゃ!」
神裂「でしたら、大人しく2人で横になってればいいんですよ」
上条「そうじゃなくてさ!」
神裂「いいんです」ギュッ
上条「そういう訳にも……」
神裂「……そうですね。でしたら、言うこと1つ聞いてくれたら離してあげます」
上条「本当か?」
神裂「はい」ニコ
上条(笑顔が近いっ!!)
上条「そ、それで何をすれば!」
神裂「簡単です。私を満足させてください」
上条「はいっ!? これで、まだ満足してないんですか!?」
神裂「まだ足りません」
上条「ひ、ヒントは?」
神裂「ありません。自力で頑張ってください」
上条(ど、どうしろって言うんだぁぁぁ!!)
345 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/04/30(土) 18:19:11.40 ID:tD6tDf5T0
上条「ええと……」
神裂「ギブアップですか?」
上条(考えろ! 神裂が満足しそうなものを……)
上条「神裂!」
神裂「はい?」
チュッ
神裂「!?」
上条「こ、これでどうだ……?」
神裂「」
上条「か、神裂……?」
神裂「ふぁ……」ドサ
上条「ええっ!? 神裂!?」グイ
上条(力が入ってない!?)
神裂「すぅ……、すぅ……」
上条「あ。な、なんだ……。気絶しただけか」
上条(今のうちに離れよう……)
神裂「んぅっ……」zzz
上条「起き……てないな」
上条(しかし、ちょっとやりすぎた……というかやられすぎたな。こんな調子で残り2、3日もつか?)ポリポリ
神裂「すぅ……、すぅ……」
上条「はは。でも、神裂と一緒ならそういうのも悪くないかもな」
347 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方):2011/04/30(土) 18:27:58.14 ID:jtoAJW+C0
ちょっと騎士団長呼んでくる
354 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/08(日) 18:06:40.55 ID:evbuF7fz0
共同生活8日目 早朝
―――
上条「ふぁ……」
上条(ん? また大分早い時間に目が覚めたなぁ……)
上条「神裂はまだ起きてないか」
神裂「……」
上条(昨日の神裂は熱で暴走してたんだよな。うん。きっとそうに違いない)
上条「風邪引いたって訳じゃないよな?」ピト
神裂「……」ピクッ
上条「ん? やっぱり熱あるか?」
神裂「zzz」
上条「いや、気のせいだな」
神裂「……」ホッ
上条「……」
上条「しかし、こうやって改めて神裂見ると美人だよな」
神裂「!?」
上条「顔だけじゃなくてスタイルもいいし、その辺のモデルなんか比べ物にならないだろ」
神裂「///」
上条「そんな外見なのに中身は意外と初心っぽくてかわいいしな」
神裂(お、起きるタイミングを失ってしまいました)
355 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/08(日) 18:07:18.56 ID:evbuF7fz0
上条「正直、上条さんにはもったいないくらいですよ」
神裂(そ、そんなことはありません! むしろ私の方が……)モジモジ
上条「家事も気配りもできるし」ウンウン
神裂(ぜ、全身がむずがゆい……)///
上条「それに……」チラ
神裂(ううう、まだあるんですか? う、うれしいですけれど)///
上条「寝たフリなんかしちゃって、こっそり聞いてるところなんかもかわいいしな」
神裂「う。気づいていたんですか?」
上条「そりゃまあ、あんだけモジモジしたり、顔真っ赤にしたりしてたら分かるって」ハハハ
神裂「そ、そうですか」シュン
上条「ん?」
神裂「からかっていただけなのですか?」
上条「い、いや……その……」
神裂(当麻があんなこと言うのは何かおかしいとは思いましたが―――)
上条「反応を見て楽しんでたのは謝るけど、口にした言葉は本当のことだけだから!」
神裂「―――ッ!」/// ボン
上条「あ」
356 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/08(日) 18:07:44.69 ID:evbuF7fz0
神裂「そ、それはつまり……」
上条「ははは……。ウソはついてないけどさ」
神裂「///」
上条「そ、それはそうと、良く眠れたか?」
神裂「えっ!?」
神裂(そ、そういえば昨日……)
上条(ああっ!! し、しまったっ!? また墓穴を掘っちまった!?)
神裂「お、おかげさまで」///
上条「それはよかった」///
神裂「……」
上条「……」
神裂「い、いえ! あれは違うんです!」///
上条「な、なんだよ急に?」ビクッ
神裂「昨日のアレは、熱に浮かされておかしくなっていただけですから!」///
上条「な、なんだ。やっぱりそうだったのか」
神裂「……え? やっぱり?」
上条「明らかに様子がおかしかったから、そんなことなんじゃないかと思ってたんですよ」
神裂「そ、その通りですが……」
神裂(あっさり納得されるのも腑に落ちません)
357 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/08(日) 18:08:12.20 ID:evbuF7fz0
上条「特に風邪引いてる訳でもなさそうだし、安心したよ」
神裂「し、しかし……」
上条「ん?」
神裂「すごく気持ちよかったのは本当です」///
上条「んなっ!?」///
神裂「そ、それに、こうやって少し緊張も解けてきた気がしますし!」
上条「そりゃそうかもしれないけどさ!」
上条(またあんなことされたら、冷静に対処できる自信がありませんよ!?)
神裂「で、ですから」
上条「う、うん」
神裂「また少しずつスキンシップを取るのもいいと思います」
上条「そ、それも……そうなのか?」
神裂「そうなんです」///
上条「でも、昨日のはレベル高すぎたからもうちょっと軽くな」ハハハ
神裂「そ、それもそうですね」
上条「じゃあ、そうだな……」
神裂「その前に……ゆ、『勇気』を分けてもらえませんか?」///
上条「ええっ!?」
上条(この流れでそれはレベル高くありませんかね!?)
358 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/08(日) 18:08:39.11 ID:evbuF7fz0
神裂「だ、ダメでしょうか?」///
上条「だ、ダメじゃありません!」
上条(神裂さん的には、『キス<ハグ』なんでしょうかーっ!?)
神裂「そ、それでは……お、お願いします」ドキドキ
上条「うっ。い、いくぞ?」ドキドキ
神裂「ど、どうぞ」
上条(すごく緊張する……)
神裂「んっ……」チュッ
上条「……これでいいか?」
神裂「はい」ポーッ
上条「―――ッ!!」サッ
上条(ぐぉぉぉっ! 高校生男子に、その顔は破壊力が高すぎますって!!)
神裂「どうかしましたか?」ホワホワ
上条「なんでもないです!」///
神裂「顔赤いですよ?」///
上条「いやいやいや! 神裂ほどじゃないと思うぞ!」
神裂「え?」ハッ
上条「気づいてなかったのか……」
359 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/08(日) 18:09:09.72 ID:evbuF7fz0
神裂「す、すみません。またボーっとしてしまったみたいで」
上条「気にすんなって。すごくかわいいかったし」///
神裂「か、かわいい……ですか?」///
上条「正直、グラッときました」
神裂「そ、そうですか」///
上条「なんかこういうの照れるな」
神裂「そうですね」///
上条「俺は神裂のそういう顔も好きだけどな」
神裂「えっ?」
上条「だって、すごくいい顔してるからさ」
神裂「そ、そうではなく……」
上条「ん?」
神裂「今、初めて私のことを、その……『好き』と……」///
上条「―――ッ!!」
上条(今日の神裂さんの反応はイチイチ反則級だぞ、チクショォォォ!!)
360 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/08(日) 18:09:37.13 ID:evbuF7fz0
神裂「一昨日は、結局誤魔化されてしまいましたし」
上条「そ、そういえばそうだったな」
神裂「で、ですので、もう一度言ってもらえると嬉しいというかなんというか……」モゴモゴ
上条「そういうことなら……ゴホン」
神裂「と、当麻?」
上条「好きだぞ、神裂」
神裂「―――!」キュン
上条「か、神裂さん?」
神裂「は、はいっ!」
上条「大丈夫でせうか?」
神裂「だ、大丈夫です!」
上条「それならいいんですが……」
神裂「あ、あの!」
上条「な、なんだ?」
神裂「わ、私も大好きです!」///
上条「」
上条(じ、直に言われるのがこんなにヤバイとはーっ!! く、くそぅ。すごくかわいいじゃないか……)
369 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/10(火) 18:20:23.18 ID:To3iUT740
上条「直接言われるのは初めてだったよな」
神裂「そ、そうですね」モジモジ
上条「なんていうか……すげーうれしいかも」
神裂「私もです」///
上条「そりゃ良かった」ハハハ
神裂「そ、そういえば、そろそろ学校へ行く時間ではないですか?」
上条「え? 一緒にいられる時間少ないし、今日は休もうと思ってたんだけど……」
神裂「いえ! それはいけません! いつも通りの生活を心がけてくださらないと!」
上条「んー、でもさ」
神裂「お気持ちはうれしいですが、これからずっと会えなくなる訳ではありませんし!」
上条「そりゃそうだけど」
神裂「そのせいで留年されてしまっては、私もどうしていいか分からなくなってしまいます」シュン
上条「う……」
神裂「それに、その分明日構ってもらいますから」ニコ
上条「あ、明日は土曜か」
神裂「はい。ですから、今日は我慢します」
上条「そうか。神裂がそう言うなら、学校に行くとするよ」
神裂「そうしてください」ホッ
上条「?」
370 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/10(火) 18:20:54.16 ID:To3iUT740
―学校―
上条(なんで、神裂はホッとしてたんだろ? 緊張しっぱなしだったとか?)
土御門「今日は学校来るとは思わなかったですたい」
上条「土御門、テメェ……」
土御門「おおっと。カミやんに怒られる謂れはないと思うんだけどにゃー?」
上条「何ぃ?」
土御門「俺は恋のキューピッドってやつですよ? ねーちんがカミやんのことを気にしてるって言うから手助けしてやっただけですたい」
上条「そ、それはそうかもしれねーけどさ……」
土御門「それとも何か~? カミやんはねーちんじゃ満足できないって言うんですかい?」
上条「バッ!? そ、そんな訳ないだろ!!」
土御門「だったら、怒る理由なんてないよな? 全員幸せでハッピーエンドだにゃー」
上条「そうは言うけどよ……。あのスキルアウトなんかはマジでやりすぎなんじゃねえのか?」
土御門「あー……。ほら、そこは演出ということで」
上条「納得できるかっ!!」
土御門「まあまあ。あれがあったから一気に距離が近づいたんじゃないのかにゃー?」
上条「それは……」
土御門「それにカミやん。こんな大声で話してたら、クラスの連中が……」
上条「あ」
青ピ「ブ・チ・コ・ロ・シ・カ・ク・テ・イやね」
上条「ふ、不幸だーっ!!」
青ピ「どこがやねん、チクショウ!!」バキィ
上条「あべし」
371 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/10(火) 18:21:24.53 ID:To3iUT740
~~~
上条「く、くそ。授業中だけが俺の安息の時間ってのはどうなんですかーっ!」ダダダ
クラス男子A「死ね、上条!」ブン
上条「っぶねえ!!」サッ
青ピ「カミやんもなかなかタフやね。昼休みになるまでに片が付かんとは思わんかったわ」
上条「この程度で死ねるんだったら、今まで生きてねえよ!」
土御門(そのセリフはちょっと笑えないにゃー……)
小萌「コラーッ! 何を騒いでるんですか!」
上条「あっ! 小萌先生! 助けて!」サッ
小萌「ええっ!?」
クラス男子B「おのれ、上条。小萌先生を人質にするとは卑怯な」
小萌「いいから静かにするです! もうそろそろ5限の授業が始まるんですから!」
クラス男子C「チッ! 続きはまた後でだ、上条……」ギリギリ
クラス男子D「生きて学校を出られると思うなよ?」
上条(こ、怖ええ……)
土御門「ねーちんの写真を連中に見せてから、殺気がマジもんになってるぜい」
上条「余計なことしやがって……」
372 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/10(火) 18:21:50.31 ID:To3iUT740
小萌「それはそうと、上条ちゃん」
上条「あ、はい。なんですか?」
小萌「どうして、結果がどうなったかの報告には来てくれなかったんです?」
上条「あ」
小萌「てっきり、昨日のうちに来てくれると思ってたんですけど……」
上条「す、すみません! 今日の放課後にでも!」
小萌「まあ、いいですケドねー」
上条「ははは……」
~~~
姫神「上条くんに彼女……」ブツブツ
吹寄「姫神さん? 大丈夫?」
姫神「大丈夫、問題ない」
吹寄「そう? ちょっと顔色悪い気がするけど」
姫神「平気」
吹寄「ならいいけど……」
姫神「吹寄さんこそ大丈夫?」
吹寄「え? 私はなんともないわよ?」
姫神「ちょっと声が上ずってるかも」
吹寄「う」
姫神「今日は。一緒に遊びに行こうか」
吹寄「……ま、たまにはね」
373 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/10(火) 18:22:18.83 ID:To3iUT740
放課後
―職員室―
上条「やったよ……。俺生きてるよ……」ヨロヨロ
小萌「ど、どうしたんです? そんなにボロボロになっちゃって」
上条「ちょっといろいろありまして……」
小萌「あんまりはしゃぎすぎちゃダメですからね~?」
上条「それは周りの連中に言ってください」
小萌「元凶は上条ちゃんじゃないんです? 何が理由だったんですか?」
上条「ああ、そうだ。小萌先生のアドバイスのお陰でうまくいったことを報告に来たんでした」
小萌「……原因はそれです?」
上条「らしいです」
小萌「まだまだ若いですねー」
上条(小萌先生の外見で言われたくはないなー……)
小萌「ともかく、うまくいったなら、特別に今週の補習はなしにしてあげます」
上条「え?」
小萌「どうせ、そっちが気になっちゃって勉強にも身が入らないと思いますです」
上条「う、それは……」
小萌「それに学生なんですから、節度あるお付き合いをしないとダメですよ?」
上条「も、モチロン分かってますって~」
小萌「本当ですか~?」ジト
上条「や、やだな~」ハハハ
小萌「それじゃあ、気を付けて帰ってくださいね。上条ちゃん」
上条「はい。ありがとうございました」
374 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/10(火) 18:22:46.62 ID:To3iUT740
~~~
上条(節度あるって言われてもなぁ。このごろは神裂が妙にスキンシップを取ってくるし、俺の理性はどこまで持つだろうか……)
上条(そ、それに明日は一日中2人っきり……)
上条「……」
上条(い、いかん! あんまり考えないようにしよう!)
上条(落ち着け……落ち着け……。よし!)
上条「ただいまー」
神裂「お、おかえりなさいませ。ご主人様」///
上条「……………………は?」
神裂「ど、どうかしましたか?」モジモジ
上条「いやいや、これはこっちのセリフなんですけど!?」
上条(すごいオッパイでフトモモでエロいメイドさん!!?)
神裂「な、何かおかしいでしょうか?」ワタワタ
上条「おかしいところしかないだろ! な、なぜに堕天使エロメイド!?」
神裂「先日、押入れで発見したもので……。こういうのが好きなのかと」///
上条「嫌いじゃないですよ? いや、むしろ好きですけれども!」
神裂「そ、そうですか」パァ
上条「うっ……」
上条(こんな攻撃もくらって俺の理性は持つのでしょうかーっ!?)グラグラ
375 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/10(火) 18:23:14.58 ID:To3iUT740
神裂「と、とりあえず上がってはどうでしょうか?」///
上条「そ、そうだな!」
上条(しかし……)チラ
神裂「?」
上条(ヤバイ、ヤバイとは思っていたが、ここまでヤバイ服だとは思ってなかったぜ……)
神裂「どうかしましたか?」モジモジ
上条「なんでもありませんのことよ!?」
神裂「そうですか?」
上条「イエス! 上条さんは至って平常運転です!」
神裂「それならいいのですが」
上条(な、なんとか誤魔化せたか)
神裂「…………」///
上条「…………」ジー
上条(それにしても、すごいおっぱいだな。おっぱいすごい)
神裂「…………」///
上条「…………」ジー
上条(半分くらい飛び出してるんじゃないか? スカートも短いし……)
神裂「あ、あの! そんなに見つめられると……」///
上条「はっ!? す、すまん!!」サッ
神裂「い、いえ……」
376 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/10(火) 18:23:56.70 ID:To3iUT740
上条「…………」
神裂「…………」
上条(ど、どうすれば……)オロオロ
神裂「あ。そうでした」
上条「ん?」
神裂「今の私はメイドです!」///
上条「そ、そうだな。どこから見てもメイドさんだな」
神裂「で、ですから、して欲しいことがありましたら、なんでもお申し付けくださいっ!」///
上条「ええっ!?」
上条(なんでも!? なんでもって言ったのか!?)
神裂「できるだけ頑張りますので!」
上条「ええっと……」
神裂「なんでしょうか?」///
上条「ど、どうして、急にそんなことを?」
神裂「それは、その……」
上条「?」
神裂「この服が入っていた箱の底に、こ、こんなものが……」///
上条「ん?」
『メイド in ヘブン』(※R-18)
上条「ベゴブゥッ!?」
上条(つ、土御門ォォォ!!)
377 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/10(火) 18:24:23.61 ID:To3iUT740
上条「そ、それはだな!」アセアセ
神裂「いえ! 分かってます! あなたも年頃の男性ですから!」
上条「そうじゃなくて!」
上条(このままでは、上条さんまでメイドさんバンザイの人間にされてしまう! 間違いではありませんけど!)
神裂「で、ですから、なんでも申し付けてください!」
上条「な、なん……だと……?」
上条(その本を中身を見たんだろ? それで尚且つ『なんでも』だと……?)ゴクリ
神裂「か、覚悟はできています」///
上条「―――ッ!!」
上条(おおおおおおお、落ち着け! 落ち着くんだ、上条当麻! これは罠に違いない!)
神裂「…………」/// モジモジ
上条(なんかもう罠でもいい気がしてきた……)
上条「そ、それじゃあ……」///
神裂「は、はいっ!」ビクッ
小萌『学生なんですから、節度あるお付き合いをしないとダメですよ?』
上条(あ……)
上条「ゆ、夕飯でも作ってもらおうかな」
神裂「……………………………はい?」
386 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/11(水) 18:39:46.65 ID:5/eQL9zl0
神裂「夕食……ですか?」
上条「おう。ちょっと腹減っちまってさ」
神裂「そ、そうですか。では、すぐ準備しましょう」
上条「ああ、頼む」
神裂「少々お待ちください」スッ
上条「…………ふぅ」
上条(危ねえええええっ!! 危うく大人の階段を登ってしまうところでしたよ!!)
上条「でも、少し勿体無かったかも」
神裂「何かいいましたか?」
上条「いえっ! 何にも!」
神裂「? そうですか」
上条「そ、それより、夕食は何にするんだ?!」
神裂「ええと、カレイの煮付けにでもしようと思っているのですが」
上条(メイドさんの格好で、魚の煮物ってのもシュールな気がする)
神裂「別のものにしましょうか?」
上条「いや、大丈夫! ちょうど魚食べたいなーって思ってたし!」
神裂「そうですか。それなら良かったです」ニコ
上条(しかし、覚悟って一体なんの覚悟だったんだろうか……。いや、あんまり考えるのはやめよう)
387 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/11(水) 18:40:20.95 ID:5/eQL9zl0
~~~
上条(よし。少しずつ落ち着いてきたぞ……)
神裂「準備ができましたよ、当麻」
上条「あ、サンキュー。うまそうだ」
神裂「ありがとうございます」
上条「配膳くらいは手伝えばよかったな?」
神裂「いいえ。今日はそう言うわけにも行きません」
上条「なにもそこまで徹底してなくてもいいんじゃないか?」
神裂「いいんです。やりたくてやっていることですから」
上条「そ、そうか」
上条(健気に尽くしてくれるっていうのもポイント高いです! しかも、エロいメイド服とかもう!)
上条「ってあれ? 箸がないんだけど?」
神裂「そ、それはですね……」///
上条「うん?」
神裂「こうするためです!」
上条「はい?」
神裂「あ、あ~ん♪」/// スッ
上条(な、なんだと!?)
388 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/11(水) 18:41:04.57 ID:5/eQL9zl0
神裂「ど、どうぞ」
上条(何が起こっているんだ? メイドさんに『あ~ん』をしてもらっているだと!?)
神裂「と、当麻?」
上条「あ、すまん。ちょっと意識が飛んでた」
神裂「大丈夫ですか?」
上条「大丈夫だ。多分」
神裂「で、では続きを」
上条(くっ。この羞恥プレイを続けるっていうのか?)
神裂「あ、あ~ん♪」///
上条(ぐぅっ!? 神裂のおっぱいが寄せられて大変なことにっ!!)
上条「あ~ん?」/// パク
上条(やばい。うまいんだろうけど、味が分からない)
神裂「ど、どうですか?」
上条「ああ、うまいよ」ニコ
神裂「そうですか」ホッ
上条(ええい! もう吹っ切れるぞ! それにこのままやられっぱなしで終わるってのも良くない!)
上条「やってもらってばっかりってのも悪いよな!」
神裂「いえ、そんなことは―――」
上条「だから、今度は上条さんが食べさせてあげますよ」
神裂「え?」
389 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/11(水) 18:41:36.98 ID:5/eQL9zl0
神裂「それはどういう……」
神裂(当麻の目が妙に据わってる気がします)
上条「だから、今度は上条さんが『あーん』を神裂にしてあげるって話だよ」
神裂「ええっ!?」///
上条「嫌なのか?」
神裂「そんなことありません! ですけど……」
上条「ですけど?」
神裂「してもらうのは恥ずかしいというかなんというか」ゴニョゴニョ
上条「こっちだって恥ずかしかったんだぞ」
神裂「う……。分かりました」
上条「よろしい」
神裂「そ、それではお願いします」///
上条「お、おう!」ゴクリ
上条(と、勢いでここまで来たのはいいんだけど、すごく恥ずかしいな、これ!!)
上条「あ、あーん」/// スッ
神裂「あむ」パク
上条「どうだ?」
神裂「と、当麻の味がしておいしいです」///
上条「!?」
上条(それってどういう意味ですかーっ!?)
390 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/11(水) 18:42:04.67 ID:5/eQL9zl0
上条「お、俺の味?」
神裂「ええと、その……。当麻と同じお箸でしたので……」
上条(間接キッスって話ですか!? ち、チクショウ! なんだこのかわいさは!?)
上条「ぐぐぐ……」///
上条(くぅぅぅっ。落ち着けっ! 今更、間接キスくらいで動揺するんじゃない! これは神裂の罠だっ!)
神裂「そんなに顔を真っ赤にしないでください!! こっちだって恥ずかしいんですから!!」カァァ
上条「そ、そうか。すまん」
神裂「い、今のは忘れてください」モジモジ
上条「そういう訳にも……」
神裂「ううう……」///
上条「だって、かわいかったしさ」
神裂「―――ッ!!」/// ボン
上条「忘れるにはもったいないかわいさでしたよ」
神裂「と―――」
上条「ん?」
神裂「とうまのいじわる」ボソ
上条「ガハッ!!」
上条(くそっ! これ狙ってる訳じゃないんだよな? 上条さんの精神はもう壊れそうですよ!)
391 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/11(水) 18:42:42.86 ID:5/eQL9zl0
~~~
上条「ごちそうさまでした」///
神裂「ごちそうさまでした」ポー
上条(や、やっと夕飯が終わった……。顔がすごく熱くなってる気がする)
神裂「それでは次は……」
上条「ちょ! ちょっと待ったーっ!」
神裂「はい、なんでしょうか?」
上条「いつまで、これ続くんでせうか?」
神裂「ええと、とりあえず就寝するまでは続けようかと」
上条「なん……だと……?」
上条(この天国の拷問みたいな時間がまだ続くっていうのか? 上条さんの限界はもう突破してるっていうのに!?)
神裂「ご迷惑でしょうか?」シュン
上条「そんなことないぞ!」アセアセ
神裂「本当ですか?」
上条「ああ! 夕飯だってすごくうまかったし!」
神裂「それは良かったです」ホッ
上条(こういうところが上条さんのダメなところなんでしょうかね?)
神裂「そ、それでは、次は……」スッ
上条(何か取り出した?)
上条「って、それは……」
神裂「はい。耳掻きです」///
392 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/11(水) 18:43:20.17 ID:5/eQL9zl0
上条(耳掻き? それをこの服装のまま? それなんてプレイ?)
神裂「そ、その……。以前、病室でそんなことを言っていましたよね?」 ※7巻参照
上条「はっ!?」
神裂「それで、こういうのがお望みなのではないかと思いまして……」///
上条「いや、あれを言ったのは土御門ですから! もちろん、上条さんもこういうの好きですけれども!!」
神裂「で、では、どうぞ」///
上条「ま、マジで?」
神裂「決心が揺らぐ前にお願いします!」カァァ
上条「はいっ! スミマセン!」トサ
上条(うゎ……。スカート一枚だからフトモモの温かさが……。うん、これ以上考えたらマズイ)
神裂「それでは、始めます」
上条「お、お願いします」
神裂「で、では……」スッ
上条(すごく緊張してるみたいだけど大丈夫か? すごく不安なんですけど)
神裂「………………」
上条(お? 意外と大丈夫そうだな。手馴れてはいなさそうだけど、そこまで不器用じゃないみたいだ)
上条「うまいもんだな、神裂」
神裂「静かに!」
上条「え?」
神裂「て、手元が狂ってしまいます」
上条「スミマセン……」
393 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/11(水) 18:43:55.35 ID:5/eQL9zl0
~~~
神裂「ふぅ……。やっと片方終わりました」
上条(すごい集中してたな。おかげであんまり甘い空気じゃなかったような気がしますけれど)
神裂「それでは、反対側をしますので、こちらを向いてもらえますか?」
上条「はいはいっと」クルッ
神裂「ありがとうございます」
上条「っな!?」
神裂「? どうかしましたか?」
上条「なんでもないです! はい!」
上条(し、視界の片隅に巨大建造物が2つ!!)
神裂「動かないでくださいね」プルン
上条(こいつ動くぞ!?)
神裂「行きます」スッ
上条(さっきは気にしていなかったが、もしやこれは、おっぱいとふとももにサンドされた状態なのかっ!?)
神裂「……………………」
上条「そうか。天国ってここにあったのか」
神裂「はい? いきなりどうしたんですか?」
上条「いや、なんでも……」ガリッ
神裂「……あ」
上条「ってええええええええ!!!」
上条(こ、これで良かったんだっ! なぜなら、ここままでは上条さんが正気を保っていられなかったからぁぁぁ!!)ジタバタ
394 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/11(水) 18:44:33.29 ID:5/eQL9zl0
神裂「す、すみません!」アワアワ
上条「だ、ダイジョウブデス」
神裂「良く見せてください! 傷になっていたりしたら大変ですから」グイ
上条「ぬぉっ!?」ムニュン
上条(ほっぺたに柔らかい感触がぁ!?)
神裂「どうやら傷にはなっていないようですね」ホッ
上条「ソ、ソウデスカ」カチコチ
神裂「先ほどから妙なカタコト言葉ですが、本当に大丈夫ですか?」ムニュムニュ
上条「ええと、その……」
神裂「?」
上条「さっきから、その……。胸が……」
神裂「………………」
神裂「!?」バッ
神裂「は、早く言ってください!」///
上条「ご、ごめんなさいっ!!」
神裂「まったく、当麻は……」
上条「いやいや! そんな服装なんだから、もうちょっと意識してるもんだろ、普通!」
神裂「そ、それはそうかもしれませんけど」
395 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/11(水) 18:44:59.57 ID:5/eQL9zl0
上条「まあ、俺も黙ってたのは悪かったけどさ」
神裂「そうですよ」
上条「………………」
神裂「………………」
上条(く、空気が……)
神裂「そ、それで」
上条「ん?」
神裂「気持ちよかったですか?」
上条「それはもう」
神裂「う……」///
上条「あ」
上条(しまった! はっきりいいすぎたか?!)
神裂「とうまのえっち」///
上条「」
神裂「当麻?」
上条「神裂」
神裂「は、はい!」
上条「ちょっと俺、今から風呂入ってくるから」
神裂「え? あ、はい。ごゆっくり」
396 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/11(水) 18:45:43.45 ID:5/eQL9zl0
~~~
上条「ふぅ……」
神裂「あ、上がりましたか。だいぶ長湯でしたね」
上条「ああ。気にしないでくれ。なかなか疲れが取れなくてな」
上条(落ち着こうとして、なかなか落ち着けなかっただけなんですけどね……)
神裂「そういうことでしたら、マッサージでもしましょうか?」
上条「マッサージ?」
神裂「ええ。ここに横になってください」ポンポン
上条(やっと落ち着いたと思ったら、またイベントですかーっ!? いや、すごくうれしいんですけど!!)
神裂「さあ、遠慮なさらずに」
上条「ええと、それでは」ドサ
神裂「マッサージをするのは初めてですので、いろいろと指摘していただけると助かります」
上条「素人のマッサージなんて大差ないんじゃないか?」
神裂「そうなのですか?」
上条「良くは分からないけどな」
神裂「それで、どの辺でしょうか?」
上条「んー……。肩の辺りとか?」
上条(今更デマカセとはいえない……)
神裂「分かりました。それでは、お任せください」
上条「ああ、頼むよ」
397 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/11(水) 18:46:31.53 ID:5/eQL9zl0
神裂「っしょっと」グリグリ
上条(お。結構、気持ちいいな)
神裂「んふっ……、ふぅっ……」グリグリ
上条「…………」
神裂「はぁっ……、んぅっ……」グリグリ
上条(なんだかすごく色っぽく聞こえるのは気のせいでしょうか?)
神裂「気持ちいいですかっ?」グリグリ
上条「え? ああ! もちろんですよ!」
神裂「では、もっと頑張りますね!」グニグニ
上条(気持ちいい……。気持ちいいが、さっきから神裂にばっかり主導権を握られてるのがモヤモヤする)
神裂「っしょ……、っく……」グリグリ
上条(あれ? 待てよ? もし、今、聖人の力が戻ったら……)
上条「か、神裂さん!」
神裂「はい? なんでしょうか?」
上条「マッサージはそのくらいで大丈夫です!」
神裂「あ、分かりました」スッ
上条(危ない……。最悪の事態は避けられたぞ……)
神裂「それでは……」
上条「神裂も風呂入っちゃえよ! 今日はもう寝ようぜ?!」
神裂「あ、それもそうですね。明日は一日ありますし」
上条「そうでした」
398 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/11(水) 18:47:14.26 ID:5/eQL9zl0
~~~
上条「しかし、この調子で明日一日もつのか……?」
上条(結局、神裂に色々やられて、上条さんは内なる戦いに身を投じなければならなくなるような気がする……)
上条「そ、それじゃダメだ! 年上の人が相手とはいえ、女の子なんだから、男の俺がリードしてやらないと」
上条「し、しかし、このままでは主導権が……」ブツブツ
上条(今からでも、立場を逆転できる手段はないものか……)
上条(いや、待てよ? 一方的にされるがままになってるけど、今日はまだ、メイドとご主人って立ち位置だよな?)
上条(ということは……)
上条「今なら、まだ逆転は可能……」
神裂「何のですか?」
上条「」ビクッ
上条「あ、神裂。上がったのか」
神裂「はい。いいお湯でした」
上条「そうか」
上条(何かするなら今か?)
上条「ゴホン。神裂」
神裂「はい。なんでしょうか?」
上条「えーと、今日一日メイドさんとしていろいろしてくれたよな?」
神裂「え? はい。そうですけど?」
上条「それじゃあ、ご褒美をあげないといけないよな」
神裂「はい?」
399 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/11(水) 18:48:17.04 ID:5/eQL9zl0
上条「まあ、つまりお礼だよ。お礼」
神裂「い、いえ! そんなつもりで、色々していた訳では……」
上条「ええと、その……」
神裂「?」
上条「お礼に『勇気』を分けてあげようかなーと」/// ポリポリ
神裂「―――ッ!! と、当麻!!」///
上条「いいかな?」
神裂「そのご褒美でしたら、謹んでお受けします」///
上条「ええと……では」
神裂「んっ」チュ
神裂(びっくりしましたが、これはうれしいですね)ホワホワ
上条(神裂のやつ油断してるな?)
上条「んっ」クチュ
神裂「んんっ!?」
神裂(し、舌が!?)
神裂「んむっ、んぁっ、くちゅっ、ちゅくっ、れろっ、ぴちゅっ」
上条「ぷぁ…。……満足してもらえたかな?」///
神裂「は、はいっ……」///
上条「それじゃ、おやすみっ!」
神裂「お、おやすみなさい。当麻」///
411 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/13(金) 18:40:17.39 ID:GIjw+wmj0
共同生活9日目
―――
上条「今日はデートをします」
神裂「はい?」
上条「デートだよ。デート」
上条(昨日、あれから色々考えた結果、一日中家に2人きりってのは無謀だという結論に至った訳ですよ)
神裂「デートですか?」
上条「ああ。天気もいいし、外歩いて回ろうぜ」
神裂「それもそうですね。何かプランでもあるんですか?」
上条「いや、特には。ただ、神裂とならただぶらぶら歩いても楽しいかなーと思って」
神裂「そ、そうですか?」///
上条「もちろん。それとも、何かしたいことある?」
神裂「当麻と一緒でしたら、なんでも構いません」
上条「そ、そうか」///
神裂「は、はい」///
上条「それじゃあ、早速出かけようぜ。時間は限られてるんだし」
神裂「あ。その……いろいろと準備をしたいので、どこかで待ち合わせにしてもらってもいいですか?」
上条「え? 別にいいけど」
神裂「そうですね……。では、10時に駅前ではいかがでしょうか?」
上条「ん、分かった。10時に駅前な。じゃあ先に行ってるぞ」ガチャ
神裂「はい。それではまた後ほど」
バタン
上条(って10時? まだ2時間近くあるじゃん……)
412 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/13(金) 18:41:18.39 ID:GIjw+wmj0
~~~
―駅前―
上条(コンビニなんかで立ち読みして時間潰したけど、神裂は何をそんなに手間取ってるんだろうか?)
ざわ・・ ざわ・・
神裂「お、お待たせしました」
上条「お、やっと来……た?」
神裂「お、おかしくないでしょうか?」
上条(そ、それは神裂が来て2日目に買ってた女の子っぽい服!!)
神裂「やはり、おかしいですか?」シュン
上条「そ、そんなことないぞ! すごく似合ってる! ちょっと見とれてただけです! はい!」
神裂「そ、そうですか。ありがとうございます」///
上条(しかし、その服は妙に胸元が強調されてる気がする。あと、心なしかスカートの丈も短い)ジー
上条「ん? その手さげ袋はなんだ?」
神裂「これですか? ふふっ。まだ秘密です」
上条(それの準備に時間がかかったのかな? まあ、そのうちなんだか分かるだろ)
神裂「それではどこから行きましょうか」
上条「それなんだけどさ……」
神裂「はい?」
上条「その服似合ってるんだけど、靴がブーツってのがどうもな」
神裂「あ。そういわれてみれば、そうかもしれません」
上条「ってことで、合いそうな靴でも見に行こうか」
神裂「はい」ニコ
413 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/13(金) 18:41:51.49 ID:GIjw+wmj0
―セブンスミスト―
上条「と、まあ、服をここで買ったから、靴もここでそろえるのがいいんじゃないかと」
神裂「しかし、このような服には、どのような靴が合うのでしょうか?」
上条「んー……。俺も分かんないし、とりあえず色々見てみようぜ」
神裂「それもそうですね」
~~~
神裂「…………」ジー
上条「どう? 気に入ったのあった?」
神裂「い、いえ。特には」
上条「まったく?」
神裂「その……当麻が選んでもらえませんか?」
上条「俺が選んじゃっていいのか? あんまりセンスには自信ないんですけど」
神裂「構いません。当麻に選んでいただいたものなら気に入るはずですから」
上条「うーん、そうだな……。やっぱり、ヒールとか?」
神裂「え?」ビクッ
上条「ど、どうした?」
神裂「あ、ヒールは、その……ちょっと……」
上条「何か理由でもあるのか?」
神裂「い、いえ……」ゴニョゴニョ
上条「?」
414 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/13(金) 18:42:29.09 ID:GIjw+wmj0
上条「似合うと思うんだけどな」
神裂「ええと、その……」
上条(あんまり聞いちゃいけないことなのかな? 前に嫌な思いをしたとか)
神裂「わ、私のようなものにヒールはちょっと……」
上条「は? どういう意味?」
上条(そりゃ戦闘には向かないかもしれないけど、今日はそんなこと起こらないだろうし……)
神裂「わ、私の身長がですね……」ゴニョゴニョ
上条「あー」
上条(そうか。神裂は170後半はあるもんな。ヒール履いたら180超えるかもしれない)
神裂「ううう……」
上条(でも、ブーツも大差なくね? 気にし過ぎな気もするけど)
上条「特に気にしなくていいんじゃないのか?」
神裂「え?」
上条「どうせだったら、神裂に似合うもの履いたほうが俺もうれしいし」
神裂「あぅ」///
上条「どうする?」
神裂「で、では、当麻にお任せします」チラチラ
上条「ははっ。神裂さんは素直じゃないなー」
神裂「そ、そんなんじゃありません!」///
415 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/13(金) 18:42:56.91 ID:GIjw+wmj0
上条「よし。これなんかどうだ?」
上条(一応、そんなに踵が高くないものを選びましたよ)
神裂「あ、いいかもしれません」
上条「お、そうか?」
神裂「はい。かわいいです」ニコ
上条「そうか! よし、それじゃ会計を……。あれ、サイフはどこ行ったかな?」ゴソゴソ
神裂「あの……何をしているんですか?」
上条「これ上条さんがプレゼントして差し上げますのことよ」
神裂「ええっ!? い、いえ、それは……」
上条「飯作ってもらってるお礼だと思ってさ。神裂はもうちょっと上条さんに甘えてもいいんですよ?」
神裂「そうですか? すでに相当甘えている気もしますが……」
上条「遠慮するなよ」
神裂「そ、それではお言葉に甘えさせていただきます」ペコリ
上条「おう」
店員「いらっしゃいませー。彼女さんへのプレゼントですか?」
上条「あ、はい」
神裂「///」
店員「仲がお宜しいですねー。こちら6300円になります」
上条「え?」
上条(なん……だと……?)
416 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/13(金) 18:43:27.91 ID:GIjw+wmj0
上条(け、結構するんだな。値札を見てませんでしたよ?)ダラダラ
神裂「当麻?」
上条(っといけない! ここで、神裂を不安な顔にさせるわけには!)
上条「な、なんでもないぞ!」
上条(ここのところ食費が抑えられてたし、それを思えば……) つ万札
店員「1万円からお預かりします。こちらお包みいたしましょうか?」
上条「あ、いえ。すぐ履くんで」
店員「分かりました。こちらお釣りとお品物になります」
上条「どうも。ほい、神裂」
神裂「あ、ありがとうございます!」///
上条(神裂のこの顔を見られただけでも、プレゼントした甲斐があったな)
上条「よし、行こうか」
店員「あ、お客様」
上条「ん?」
店員「現在、当店10周年記念の福引を行っております。お帰りの際には、ぜひお立ち寄りください」
上条「へー。そんなのやってたのか」
店員「2000円のお買い上げごとに1回抽選ができます。正面入り口にて行っておりますので、よろしければ」
上条「ふーん。じゃあ、帰りに寄ってみるか」
神裂「そうですね」
店員「ありがとうございましたー」
417 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/13(金) 18:43:53.38 ID:GIjw+wmj0
上条「っと、もうお昼か。昼飯はどうする?」
神裂「あ、それなのですが」
上条「ん?」
神裂「実は、作ってきました」
上条「え?」
神裂「用意に少し時間がかかってしまいましたが」
上条(今朝、待ち合わせにしたのはそれが理由だったのか。わざわざ手作りのお弁当を……)
上条「ってことは、その手提げ袋は……」
神裂「は、はい。ご想像の通りです」モジモジ
上条「うぉぉぉ。マジですか!?」
神裂「喜んでいただけると、私もうれしいです」///
上条(こういうのなんか青春っぽいよなー。上条さんが実際に体験できるとは思いませんでしたよ……)
神裂「そういうことなのですが、どこか食べられる場所に心当たりはありますか?」
上条「んーと……。ここの屋上にテラスがあるみたいだから、そこで食べよう」
神裂「はい。分かりました」
上条「神裂の料理はうまいから楽しみだな」
神裂「ふふっ。靴を履き替えてから行きますので、場所を取っておいてもらえますか?」
上条「了解」
神裂「それでは、また後ほど」
418 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/13(金) 18:44:25.70 ID:GIjw+wmj0
―セブンスミスト 屋上―
上条「んーっ。いい天気だなー」
上条(これから寒くなるなんて信じられないような陽気だ)
神裂「お待たせしました」カツ
上条「お、やっぱり、ブーツよりそっち方が似合うな」
神裂「あ、ありがとうございます」///
上条「それじゃ、飯にしようぜ」
神裂「あ、はい。今用意しますね」ガサゴソ
上条「へえ。今日はオニギリか」
神裂「具は梅干と鮭の2種類ありますけど、どちらにしますか?」
上条「いくつあんの?」
神裂「ええと、それぞれ4つずつあります」
上条「それじゃ、2つずつにしよう」
神裂「分かりました。どうぞ」スッ
上条「サンキュー」
上条(意外に小さいオニギリだし、4つくらいは楽勝、楽勝)
神裂「それにしても、いい天気ですね」
上条「そうだなー」
上条(うーん。こういうゆるい空気もいいもんだなー。ここのところ緊張しっぱなしだったし)
419 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/13(金) 18:45:32.62 ID:GIjw+wmj0
~~~
上条「ごちそうさんでした」
神裂「はい」ニコ
上条「ふぁ……。満腹になったら、眠くなってきた」
神裂「それでは、もう少し休んでいきますか?」
上条「だなー」
神裂「そうですね……。ええと……」キョロキョロ
上条「ん? 何か探し物か?」
神裂「あ! あちらのベンチに移動しませんか?」
上条「ベンチ? ああ、あれか。別にいいぞ」
神裂「では、行きましょうか」
上条「おう」
~~~
上条(それにしても、屋上は人が少ないもんだな。休日の昼間だってのに)ドス
神裂「………………」トス
上条(ここ最近の慌しさが嘘のようだ…・・・)
上条「ふぁ……」
神裂「眠そうですね?」
上条「まあ、少しな」
神裂「で、では、どうぞ」トントン
上条「え?」
上条(フトモモを指差して……。って、こんなところで膝枕!?)
420 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/13(金) 18:46:04.85 ID:GIjw+wmj0
上条「ええと……」
神裂「///」
上条(そ、そうか! そのためにベンチに移動したのか!)
上条「で、では、失礼しまして」ポス ///
神裂「は、はい」
上条(温かい……。それにいい匂いもする……)
神裂「ど、どうでしょうか?」
上条「ああ。良く眠れそうですよ」
上条(緊張さえしてなければですけどね)
神裂「そうですか」ニコ
上条「ははは。でも、ちょっと恥ずかしいな」///
神裂「そ、そうですね」///
上条「じゃあ、適当な時間になったら起こしてくれ」
神裂「はい。分かりました」
上条(はたして寝れるだろうか?)
神裂「オヤスミなさい。当麻」
429 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/16(月) 18:38:17.70 ID:M0/ed90V0
神裂「―――い。そうですか。分かりました」
上条「んっ……。神裂?」
神裂「おや、起きてしまわれましたか」
上条「誰かと電話してたのか?」
神裂「ええ。土御門と」
上条「土御門?」
神裂「はい。実は、さきほど力が戻りまして……」
上条「え?」
上条(ってことは、神裂と一緒にいられるのは―――)
神裂「明日のお昼の便でロンドンに戻ることになりました」
上条「そうか」
神裂「はい……」
上条「……それなら、今日の残りは思いっきり楽しもうぜ」
神裂「そうですね……。そうしましょう」
上条(次に会えるのがいつになるか分からないしな)
430 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/16(月) 18:38:47.60 ID:M0/ed90V0
神裂「それで、これからどうしますか?」
上条「今何時?」
神裂「現在は……4時ちょっとですね」
上条「ええっ!? 俺、3時間近く寝てたのか!?」
上条(あんなに緊張してたくせに、ぐっすり寝すぎじゃないですか!?)
神裂「それはもうスヤスヤと」
上条「あー、悪いな。そんなにヒマにさせちまって」
神裂「いえ。当麻の寝顔がかわいかったですから、そんなにヒマという訳でもありませんでしたよ?」クスクス
上条「う……」///
上条(こう面と向かって言われると、すごく恥ずかしい)
上条「そ、それはそうと、これからどうする?」
神裂「もう少し見て回りますか?」
上条「んー……。それもいいけど、時間もあんまりないし、夕飯の算段でも立てておかないか?」
神裂「あ、それもそうですね」
上条「とりあえず買出しだな。それとも、どこかで食べていく?」
神裂「お任せします」
上条「そうだなぁ……」
神裂「ブラブラしながら考えましょうか」
上条「おう」
431 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/16(月) 18:39:20.42 ID:M0/ed90V0
―セブンスミスト 正面入り口―
カランカラーン 2トウオオアタリー
神裂「おや? 何かやっていますね」
上条「何か?」
上条(そういえば福引やってるんだったっけ?)
神裂「福引のようですね」
上条「だな。さっき買い物したから、3回できるぞ」
神裂「頑張ってくださいね」
上条「え? 上条さんがやるんですか!?」
神裂「当麻がやらなければ、だれがやるんですか?」
上条「自慢じゃありませんが、上条さんは当たる自信がこれっぽっちもありませんよ?」
神裂「それでもいいではありませんか」
上条「い、いや! せめて神裂さんも1回お願いします! 上条さんよりは期待できますし!」
神裂「はぁ……。まあ、いいですけれど」
上条「そうと決まれば、さっさと引こうぜ」グイ
神裂「は、はい」
上条(ええと……。残念賞はポケットティッシュか。って最初から残念賞を確認する癖をなんとかしたい……)
神裂(特等は学園都市制の電気自動車ですか)
432 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/16(月) 18:39:47.80 ID:M0/ed90V0
店員「いらっしゃいませー。レシートを拝見させていただきますねー」
上条「あ、はい」
店員「それでは、この中から3枚引いてくださーい」
上条「そ、それでは……」ゴソゴソ
神裂(1等、2等が商品券で……、3等は食事券ですか)
上条「よ、よし。この2枚に決めたぞ……」
店員「それでは、確認させていただきます」
上条「はい」
上条(結果は見えてますけどね……)
店員「こちら2枚とも6等になります」
上条「え?」
上条(ハズレじゃないだと!? 6等……6等ってなんだ?)キョロキョロ
店員「ええと、飴玉3つになります」
上条「ええっ!? ハズレの方がマシじゃないですか!?」
神裂「ははは……」
店員「小さいお子様向けの賞品ですので……」
上条「ふ、不幸だ……」
433 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/16(月) 18:40:26.47 ID:M0/ed90V0
店員「そ、それでは、あと1枚引いてもらえますか?」
上条「神裂さんお願いします……」orz
神裂「あ、当麻」
上条「なんでしょうか?」
神裂「落ち込んでいるところ悪いのですが、手を繋いでもらえますか?」
上条「はい?」
上条(手を繋ぐ? そんなことしたら、上条さんの不幸のせいで神裂まで残念な結果に……)
神裂「お願いします」
上条「まあ、神裂がそう言うなら……」ガシ
神裂「ありがとうございます」ニコ
上条(何を考えてるんだか……)
神裂「では」ガサゴソ
店員「はい。ありがとうございます。こちらでよろしいでしょうか?」
神裂「はい」
店員「ええと……。お、おめでとうございます! 3等です!」カランカラーン
上条「え?」
神裂「ふむ。ちょうど狙ったところですか」
上条(くっ。神裂の幸運は上条さんの幻想殺しでも打ち消せないっていうのか?)
434 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/16(月) 18:40:59.06 ID:M0/ed90V0
上条「それで、3等ってのは……」
店員「こちら、賞品の『お食事券』になります」
神裂「ありがとうございます」
上条「お食事券!?」
神裂「これで、夕食の心配はなくなりましたね」ピラピラ
上条「そ、それはそうかもしれないけど、こういうのって狙って出せるのか?」
神裂「普段は特等くらいしか当たらないんですけれどね」
上条「なん……だと……?」
上条(そんなうらやましスキルまで付いてるというのか……)
神裂「お恥ずかしい話ですが」ハハハ
上条「どこが恥ずかしいんだよ……」
神裂「……おや?」
上条「どうした?」
神裂「有効期限が来週からのようです」
上条「ははは……。変なオチがついたな」
神裂「そうですね。残念ですが」
上条「ま、そんなもんだろ。行こうぜ、神裂」
神裂「あ、はい」
店員「ありがとうございましたー。またのご来店お待ちしております」
435 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/16(月) 18:41:26.86 ID:M0/ed90V0
―セブンスミスト前―
神裂「当麻」
上条「ん? どうした?」
神裂「結局、夕飯はどうしましょうか?」
上条「あー。それなんだけどさ」
神裂「はい」
上条「うちで食べないか? 次、いつ神裂の手料理食べられるか分からないからさ」
神裂「いいのですか?」
上条「え? 何が?」
神裂「その……私の手料理などで……」
上条「当たり前だろ? むしろ、神裂さんの手料理の方が外食よりも何倍もいいですよ」
神裂「そ、そうですか?」
上条「まあ、神裂の手間を考えれば、外食の方が楽なんだろうけどな」
神裂「い、いえ! 当麻に食べていただけるなら、手間など惜しくはありません!」
上条「そ、そっか」///
神裂「は、はい」///
上条「なんつーか……うれしいな」
神裂「私もです。当麻」
上条「うん。それじゃ、買出ししていこうぜ」
神裂「はい。そうですね」
436 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/16(月) 18:41:52.87 ID:M0/ed90V0
~~~
上条「………………」
神裂「………………」
上条(ううう。もう、あんまり時間ないってのに、会話が……)
神裂「………………」
上条(よ、よし! ここは、俺から話を振って……)
上条「神裂」
神裂「当麻」
上条「!?」
神裂「!!」
上条「な、なんだ? 先に言っていいぞ」
神裂「いえ! 当麻こそ先にどうぞ!」
上条「ええと、じゃあ」
神裂「は、はい。なんでしょうか?」
上条「手でも繋ぐ?」
神裂「そ、そうですね! そうしましょう」ギュッ
上条「う」///
上条(い、今更手を繋ぐくらいでテンパるってのもおかしいよな。平静を保たないと……)ドキドキ
437 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/16(月) 18:42:21.68 ID:M0/ed90V0
上条「そ、それで、そっちはなんの話だ?」
神裂「ええとですね……」
上条「ん?」
神裂「そ、そろそろ、私のことも、その……名前で……」
上条「え?」
神裂「で、ですから『火織』と呼んでくれてもいいのではないでしょうか?」
上条「あ」
上条(そういえば、名前で呼んだことなかったな)
神裂「呼びにくければ、『神裂』でも構いませんが……」
上条「ん、別に構わないぞ。『火織』」
神裂「あ……」///
上条「どうかしたか?」
神裂「なんでもありません!」
上条「そうか? 今、一瞬すごく顔が赤くならなかった?」
神裂「そ、そんなことありませんよ?」
上条「火織」
神裂「―――ッ!!」カァァ
上条「ほら、やっぱりー」
神裂「と、当麻のいじわる!」ギューッ
上条「ぎゃぁぁああっ!? て、手がー!!」
447 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/17(火) 18:38:01.45 ID:1uGFgPXS0
―上条の部屋―
上条(さて、腹もいっぱいになったし、どうするかな……)
夕食後、上条は残り少ない時間をいかに有効活用するかを考えていた。
ちなみに、夕食は肉じゃが。最後の晩餐のメニューとしてはいかがなものか、と思う人もいるかもしれないが、神裂の作る料理では珍しい肉料理でもある。
ここ9日間で、魚が6割。煮物が5割。その他諸々といった具合だ。(魚と煮物が一緒に出てくる時もあった)
上条(おいしいから、魚ばかりでも全然いいけど、やっぱり学生としてはお肉が食べたい訳なんです)
何せ、牛丼の並み盛りは“おやつ”と公言するほどの食い盛りなのだ。
まあ、インデックスがいるときには、そのおやつにすらありつけないという事実があるのだが。
上条「いやいや、そんなことよりも、これからどうするかを考えないと」
神裂「どうかしましたか?」
口に出ていたらしい。洗い物をしていた神裂が反応する。
視線はこちらに向けてくるが、手を止めている様子はない。家事スキルが高いことがここからも窺える。
上条「もう明日には帰っちゃうんだし、最後に何か思い出を作れないかなと思ってさ」
自分だったら、絶対に皿を割るだろうなーと思いつつ、上条はさらりと答えた。
現在の時刻は午後7時。明日のお昼と言っていたから、残り時間は15時間程度しかない。
睡眠不足のまま神裂を帰す訳にもいかないので、実質的には今から寝るまで、つまり5~6時間で思い出を作ろうと考えている訳だ。
ああ、エロいことはしないよ? 多分。
神裂「思い出ですか……」
手を止めずに神裂は「う~ん」とかわいい声を出した。
そんななんでもない仕草にもドキッとしてしまう上条当麻(高1)であった。
448 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/17(火) 18:38:31.28 ID:1uGFgPXS0
上条(あれを……。いや、でもな……)
今までの行動を見てみると、手を繋いだまま寝たり、抱き枕にされたり、メイドプレイをさせたりと結構ハードなことをしてきている。
モチロン、健全な高校生男子にとって、それ以上のことを想像するのは容易い。
しかし、それを超えることをして、狼にならないとも限らない。それに、もし断られたらダメージが大きすぎる。
神裂「別に、当麻と一緒でしたら、特別なことはしなくてもいいと思いますけど」
上条「そうは言ってもさー、神ざ……火織」
神裂「///」
名前を呼ぶくらいで、いちいちこんな顔をしてくれるなら、名前を連呼してあげるのも悪くないかなーという思想が上条の脳裏によぎるが、それではまだインパクトが弱い。
……というか、メイドプレイのインパクトが少し強すぎる。その上、それ以上の何かをしようとすると非常にマズイことになる。お互いに。
神裂はオーバーヒートすると、何をしてくるか分からないので、常に上条が注意をしていなければならないのだ。
教習所で助手席に座る教官ってこんな気分なんだろうか? とも考えたが、助手席にもアクセルが付いていることに気が付いて苦笑する。
上条「とりあえず、風呂に入ってくる」
神裂「あ、はい。ごゆっくり」
ゆっくり湯にでもつかりながら考えれば何か思いつくだろ、と席を立つ。
実際、これが良いほうに転がった。脱衣所でズボンを脱ぐときに、ポケットの中に何か入っているのに気が付いたのだ。
上条(ん? なんだこれ?)
最初は携帯でも取り忘れたかとも思ったが、もっと小さい。しかも、1つだけではないようだ。
そして、中身を確認するため手を入れた瞬間、上条当麻に電流が走った。
449 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/17(火) 18:39:02.98 ID:1uGFgPXS0
風呂から上がると、神裂はテレビを見ていた。
結局、掃除機の使い方は覚えられなかったが、テレビの使い方は理解できてもらえた。テレビくらいはないと家に居ても暇なのだろう。
まだ、風呂から上がってきた上条には気づいていないようである。
上条「火織」
神裂「おや? もう上がったんですか? 今日はまた随分と早いですね」
声をかけると、神裂にそう反応された。確かに、ここ数日、30分とか1時間近く風呂に入っていた。こう思われても仕方がないかもしれない。
精神鍛錬をする場所といったら、1人になれる風呂場か、トイレしかないのだ。1人じゃないとできないしね。
いや、今はそんな話はいい。ポケットに入っていた例のブツを使うために、今日は10分で上がった訳だし。
上条「それより、火織も1つどうだ? ポケットに入ってたんだけど」
神裂「あ、それって……」
ポケットに入っていたのは、『アメ』だった。今日、出かけた際に福引で当てたものである。
手のひらの上には、イチゴ、レモン、グレープといった学園都市では珍しいオーソドックスな種類が計6つ並んでいる。
神裂「そうですね。お1つ頂きましょう」
なんの警戒心もなく、上条の言葉に素直に言葉に頷く神裂。
これで何をしようとしているのか、彼女はまだ気が付いていない。
上条「じゃあ、何味がいい?」
神裂「ええと……。では、イチゴを」
スッと、アメを取ろうと神裂は手を伸ばすが、上条はひらりとその手を避ける。
神裂「あ、あの……当麻?」
上条「ダメ、ダメ。普通にあげたんじゃつまらないだろ?」
つまりはそういうこと。
450 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/17(火) 18:39:32.05 ID:1uGFgPXS0
神裂「そ、それはどういう意味ですか?」
神裂がそう尋ねてくるのも尤もだろう。客観的に見れば、小学生のいじわるのようにしか見えない。
上条には、女の子をイジメて楽しむような趣味はない。多少しか。
上条「こいつで思い出を作ろうかと思うんだけど」
神裂「アメで、ですか?」
上条「ああ」
アメで思い出を作るなどといわれても、神裂にはピンとこない。
神裂「一体、何をするつもりなんですか?」
上条「こうするんだよ」
そう言って、上条はイチゴ味の飴を包み紙から取り出すと、ポイと自分の口の中に放り込む。
神裂「え? んんっ!?」
そして、そのまま神裂に唇を重ねた。
451 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/17(火) 18:40:14.22 ID:1uGFgPXS0
完全に不意打ちを喰らったのは神裂だ。聖人の力を取り戻しているというのに、まったく反応できなかった。
何が起こったのかを把握するのに2秒ほどかかった。これほどまで見事に何もできなかったのは、神裂の人生で初といえるだろう。
一方、不意打ちを成功させた上条にも、予想していなかったハプニングがあった。
押し倒してしまったのである。
あまりにも、神裂が無抵抗だったので、2人して倒れ込んでしまったのだ。
オマケに、頭を打ってはマズイと反射的に右手を差し込んだのだが、そのせいで熱烈なキスをしているようにしか見えない。
その上、とっさに手をつこうと伸ばした左手が、神裂の胸を鷲づかみにしているのは事故だろう。
上条「―――って、ゴメンなさいっ!!」
条件反射で、即土下座。
神裂の上から飛び退いて、土下座に移行するまでに1秒もかかっていない。
まさに熟練された職人(プロ)の業だ。
ただ、こんなことをしても、危険を回避できたケースは非常に稀な訳だが。
神裂「か、顔を上げてください」
しかし、今回はその稀なケースに該当するようだ。いまだ倒れたままの神裂がそう声をかけてきた。
声に怒気はなく、その顔ははっきりと分かるほど真っ赤になっている。
神裂「お、驚きはしましたが、嫌という訳ではありませんでしたから」
上条「え? そ、そうか。ならいいんだけど」
どうやら、不意打ちをしたことに対して謝っていると思われているようである。
おっぱいの方は気にしていないのだろうか?
452 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/17(火) 18:41:19.01 ID:1uGFgPXS0
上条「…………」
神裂「…………」
気まずい沈黙が流れる。早まったことをしてしまったのではないか、と上条は今更ながら思う。どう考えても手遅れ意外の何ものでもないが。
そんな中、先に沈黙を破ったのは神裂だった。
神裂「当麻!」
上条「お、おう! なんだ?」
どう話しかけたものかと思案していた上条が、ビクッと反応する。
神裂の目が妙に据わっている気がする。怒っていないような気がしたのは気のせいだったのか?
神裂「―――か?」
……?
確かに聞こえたはずなのに、頭の中で靄がかかったようになってしまった。
やれやれ、まだ頭が混乱しているのか。
上条「火織さん?」
確認の意味を込めて、倒れたままこちらを向いている神裂に聞き返す。
やはり、今のは聞き間違い―――
神裂「で、ですから、もう1つアメをいただけないでしょうか?」
上条「え、えっと……」
神裂「///」
つまり、そういうことらしい。
神様はまだ上条のことを見捨てていた訳ではなかったらしい。
453 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/17(火) 18:41:57.08 ID:1uGFgPXS0
【上条side】
上条「そ、それじゃ、何味がいい?」
鼓動が早くなってきた。
さきほどは、心の準備をする時間があったので、そこまでドキドキはしなかったんだ。
いや、見栄を張りました。ゴメンなさい。すごくドキドキしました。
でも、今回はそれ以上なんですよ。だって、火織がそのままの体勢なものだから、必然的に上からのしかかる形になる訳で。
神裂「で、では、レモン味で」
上条(あれ? そういえば、さっきの飴はどこにいった?)
確か、押し倒した瞬間、ゴクリという音が神裂の喉元から聞こえたような気がする。
あれは、唾を飲み込んだ音ではなく、飴玉を飲み込んでしまった音だったのか?
どこにもないなら、きっとそうなのだろう。悪いことをしたな、と思いつつ、アメを手に取った。
上条「そ、それじゃいきますよ?」
神裂「は、はい!」
緊張した面持ちで、再びアメを口の中に放り込む。
その瞬間、口の中に甘酸っぱい味が広がった。
上条(それでは……)
ゆっくりと顔を近づけていくと、火織は恐る恐る目を閉じた。
そこに自分の唇を重ねるのに、そう時間はかからなかった。
454 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/17(火) 18:43:48.59 ID:1uGFgPXS0
【神裂side】
神裂「んっ……」
当麻から飴玉を受け取る時に、思わずそんな声が口から漏れてしまった。
心臓は相変わらず、ドキドキと一定のリズムを刻んでいる。
神裂(甘いですね……)
イチゴ味のアメは舐める暇もなく飲み込んでしまったので、実質的にはこれが1つ目。
甘酸っぱいレモンの味が口の中に広がっていく。
神裂「?」
それにしても、当麻は離れる様子を中々見せない。
離れて欲しい訳ではないが、ずっとこのままだと、また暴走してしまうかもしれない。
彼もわかっているはずだし、そろそろ離れてくれるかな? と思ったとき、ニュルンと彼の舌が口の中をかき回してきた。
神裂「んぅっ!?」
正直なところ、これにはかなり驚いてしまった。
いきなり舌が入ってきたこともそうだが、口の中を舌で擦られたときにゾクゾクとしたものが背中に走ったのだ。
これは気持ちいい。頭の中が白くなっていく気がする。
神裂「んっ、くちゅっ、んむっ」
未だに、彼の舌は私の口の中で動いている。
どうやら、当麻はアメを舐めようとしているみたいだ。
455 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/17(火) 18:44:17.26 ID:1uGFgPXS0
【上条side】
それはもうすごかった。
昨日、勢いもあって、ディープキスをした訳だが、これはそんなレベルではなかった。
なんというか、溶ける。
舌と舌で1つのアメを溶かしていくのと同じくらいのスピードで、自分の頭が溶けて行くのを感じていた。
神裂「はむっ、ちゅっ、れるっ」
そんな溶解のスピードに拍車をかけるのが、この火織の喘ぎ声にも似た声だ。
こんなの高校生男子に耐えられるレベルじゃないだろ?
オマケに、アメを舐めているせいで、唾液が出る。出る。
それが、下にいる神裂の口の中に流れていくものだから、たまったものではない。重力って偉大だよ。
神裂「んくっ、ちゅぱっ、こくっ」
飲まれてる。そう思うだけで、こう……込み上げてくるモノがあった。
この感覚分かってもらえるかな?
……ちなみに、アメはすぐに溶けてなくなったが、俺たちはしばらくそうしていた。
できれば離れたくはなかったので、ちゅっ、ちゅっと口周りを舐めあった。お陰で、口周りがベタベタする。まあ、不快な感じはしないが。
上条「どうだった?」
少ししてから口を離すと、最初にそう聞いてみた。
火織の顔を見れば一目瞭然なのだが、ここは敢えて口にしてもらおう。だって、その方がおもしろいだろうし。
神裂「…………足りません」
ん? あれ? なんか予想外の返答がきたんですけど。
456 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/17(火) 18:45:28.39 ID:1uGFgPXS0
【神裂side】
神裂「足りません」
そう言ってからの行動は、まさに電光石火。聖人パワーを使って、逆に当麻を押し倒す。
「ちょ」とか「待って」とか言っていた気もするが、無視。
神裂「次は私の番です」
上条「はい?」
そう言い切るや否や、その辺に落ちていたアメを1つ取ると、すばやく口に放り込み、当麻にプレゼントした。
この間、わずか1秒。聖人の力の無駄遣いといわれても仕方ない。
上条「んごっ!?」
あはっ。もの凄く驚いた顔をしている当麻がかわいい。
もしかしたら、まだ何が起こっているのか分かっていないのかもしれない。そこに、遠慮なく舌を絡ませ、唾液を流し込んでいく。
すると、頭の中がだんだんと白くなっていき、それと連動して、気持ち良さも増して行く。
神裂(当麻っ。当麻っ。当麻ぁ)
もうそれしか考えられない。
頭がさらに白んでいくのを感じた。
457 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/17(火) 18:45:56.99 ID:1uGFgPXS0
【上条side】
簡単に言えば、火織が暴走した。
上条「さすがにこれはひどい……」
気が付くと、6つもあったはずのアメはなくなっていて、自分の上には気絶した火織が覆いかぶさっていた。
火織に押し倒されてからの記憶が曖昧なのがちょっぴり怖い。着衣に乱れがないのが救いだろうか?
いや、その内何か対策を打たないと、こっちが押し倒される。そんな危機感しかない。
上条「まあ、強烈な思い出はできたな」
苦笑しながら、そんなことを呟く。実際、カルピス原液の5倍くらいの濃度はあった気がする。
とにかく、あまり上出来とは言えないまでも、そんな濃密な時間を過ごせたことに悔いはない。
火織の暴走さえなければ、とも思わなくもないが。
上条(っと。今、何時だ?)
現在時刻は、午前1時。
上条(残り時間は約10時間か)
―――2人の別れの時は近い。
469 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/18(水) 18:05:58.15 ID:L4OwI/Sb0
共同生活10日目
―――
―上条の部屋―
神裂「おはようございます」
上条「んっ。おはよう」
神裂「昨日はまた暴走してしまったみたいですね」ハハハ
上条「実は、あんまり覚えてないんだよな」
神裂「それは残念です。とてもかわいかったのに」
上条「え? 上条さんが!?」
神裂「はい。とっても」ニコ
上条「あんまり聞きたくないな……」
上条(今更なんだが、火織って実はS?)
神裂「しかし、おかげさまでいい思い出ができました」
上条「別にこれ以降会えなくなるって訳でもないだろ?」
神裂「あ、それもそうですね」
上条「まったく……」
神裂「それに、当麻のことですから、きっとまたすぐ会えると思います」
上条「それは、上条さんがまた何か事件に巻き込まれるってことですよね?」
神裂「そういうことです」
上条「それも素直に喜べませんよー……」
神裂「ふふっ、冗談です」
上条「冗談で済めばいいんですけどね……」
470 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/18(水) 18:06:40.49 ID:L4OwI/Sb0
上条「そういえば、何時の飛行機なんだ?」
神裂「12時ちょうどの便ですね」
上条(というと後4時間くらいか)
神裂「といっても、2時間程度前には空港に行ってないとマズイですね」
上条「あれ? そうなのか?」
神裂「色々と手続きがありますから、その程度前に行くのは当たり前ではないですか」
上条「え? イタリアに行ったとき、30分前に空港に着いた上条さんって……」
神裂「能力者が外に出る場合、いろいろ手続きがあって時間がかかるんですよね? よく間に合いましたね」
上条「そ、そこは気合で」
上条(たしかに、インデックスの服の件もあってかなりギリギリだった気がする……)
上条「よし。それじゃ、飯食って、荷物まとめようぜ」
神裂「そうですね。そうしましょう」
上条(と言っても、大した荷物持ってきてなかったよな?)
上条「あ」
神裂「どうかしましたか?」
上条「堕天使エロメイド服はどうすんだ?」
神裂「お、置いていくに決まってるじゃないですか! あんなもの持って行けませんよ!」
上条「それもそうか」
上条(って、うちに置いていかれても困るんですが)
471 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/18(水) 18:07:09.09 ID:L4OwI/Sb0
~~~
上条「本当に荷物少ないな」
神裂「ええ。こちらで購入したものがほとんどですし」
上条「それじゃ、遅れても仕方ないし行こうか」
神裂「え? 見送りに来てくれるんですか?」
上条「そりゃそうだろ。上条さんはそこまで彼女に冷たくありませんよ?」
神裂「あ、ありがとうございます」
上条(そもそも行かないって選択肢がある訳ないだろ)
上条「本当に忘れ物はないよな?」
神裂「…………」
上条「神裂?」
神裂「あ、すみません」
上条「何か見てたみたいだけど、どうしたんだ?」
神裂「いえ、またここに来れるのは先になりそうなので、少しでも目に焼き付けておこうかと」
上条「そっか」
神裂「すみません。なんだかしんみりさせてしまって」
上条「ん、いいって。そんなに思ってくれてうれしいし」
神裂「そうですか……」
上条「それじゃ、そろそろ行こうか」
神裂「はい、当麻」
472 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/18(水) 18:07:41.14 ID:L4OwI/Sb0
バスで移動中
―――
上条「なあ、火織」
神裂「なんでしょうか?」
上条「……この10日間は楽しかったか?」
神裂「はい?」
上条「土御門にからかわれたり、ちょっと怖い思いもしただろ? だから、うちに居る間楽しんでもらえたのかなーってさ」
神裂「もちろん楽しかったですよ? 楽しさ以外にもいろいろありましたけど」
上条「そっか。……それならまた来いよ」
神裂「え?」
上条「デカイ事件が起きれば、また会うこともあるだろうけどさ。別に用事がなくても、いつでも歓迎するから」
神裂「当麻……」
上条「なんか火織は、そう言っておかないと、いきなり押しかけて迷惑なんじゃないかーとか考えそうじゃない?」
神裂「そ、それは……」
上条「はは。本当はこっちから会いにいければいいんだろうけど」
神裂「いえ……。ぜひそうさせていただきます」
上条「ああ。遠慮なんていらないからな」
神裂「分かりました」ニコ
473 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/18(水) 18:08:12.64 ID:L4OwI/Sb0
―第23学区 空港―
上条「もう空港か」
神裂「そうですね」
上条「なんだか、この10日間はかなり短かった気がするよ」
神裂「私もですよ」
上条「あ。そういえば、五和とか建宮も来てるんじゃないんだっけ? 一緒に帰るのか?」
神裂「昨日の土御門の話では、建宮斎字は先に帰ったと聞きました」
上条「五和がすごい顔して追いかけていったみたいだけど大丈夫だったのか?」
神裂「はぁ……。命に別状はないと言っていましたが」
上条(怖っ!? 建宮に一体何したんですか、イツワさん!?)
神裂「まあ、自業自得でしょう。アレは昔から少々遊びすぎるところがありましたから」
上条「そうなのか?」
神裂「今回の件にも一枚噛んでいたようですし」
上条「土御門と建宮のコンビか……」
神裂「私にとっては、特に扱い辛い2人ですからね……」
上条(2人ともノリいいし、気が合いそうだよな。ただ、そのせいでとばっちりを喰うのはゴメンですけどねー)
<12時発ロンドン行きの搭乗手続きを開始しました。ご搭乗のお客様は、お早めに手続きをお願いします。
神裂「おや、もうそんな時間ですか」
上条「みたいだな」
上条(もうお別れか……)
474 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/18(水) 18:08:53.29 ID:L4OwI/Sb0
神裂「…………」
上条「…………」
神裂「当麻」
上条「なに?」
神裂「大変お世話になりました」ペコ
上条「おう」
神裂「このご恩は、必ず後日返しますので」
上条「オイオイ、今更なんだよ? 気にしなくていいのにさ」
神裂「いえ、これは私のケジメですから」
上条「ケジメって……」
神裂「今回のことで、また借りを大きくしてしまいましたからね」
上条(ここ数日、そういうこと言わなくなったと思ったら……)
神裂「……ですが、ここまで大きくなってしまうと、どれだけかかっても返せそうにありません」
上条「ん?」
上条(このフレーズは初めて聞くぞ?)
神裂「で、ですから、これから一生をかけて返させてくださいっ!!」
上条「はい?」
475 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/18(水) 18:09:21.09 ID:L4OwI/Sb0
上条「ええと、それはどういう……」
神裂「///」
上条(一生をかけて返す? それじゃまるで……)
上条「プロポーズ?」
神裂「!!」ビクッ
上条「えーと……」
神裂「ち、違います! そう言う意味は、込めていませんから!」アタフタ
上条「そうなのか?」
神裂「と、とにかく、そういうことで」ビシッ
上条「え? あ、うん」
神裂「こほん。それでは、また会いましょう」
上条「あ。そうだ」
神裂「どうかしましたか?」
上条「最後に、離れてても頑張れる『勇気』をあげましょうか?」
神裂「…………はい。それではお願いします」
上条「それじゃ」
「」チュッ
神裂「ありがとうございます」
上条「それじゃ、気をつけてな」
神裂「はい」
476 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/18(水) 18:09:48.46 ID:L4OwI/Sb0
神裂「愛していますよ。当麻」
上条「俺もだよ。火織」
完
478 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/18(水) 18:47:29.38 ID:L4OwI/Sb0
その日の夜
―上条の部屋―
上条「やっぱり、火織がいないとちょっと寂しいもんだな……」
上条(あ。そういえば、インデックスはどこにいるんだ?)
上条「土御門なら知ってるか?」
<ピンポーン
上条「っと。そう言った傍からご帰宅ですか」
上条(腹空かせてて、会った途端に噛み付くのとかは、さすがにないよな?)
上条「はいはい。今、行きますよー」
ガチャッ
上条「お帰りー」
神裂「あ。ただいま帰りました」
上条「…………え?」
神裂「ははは……」
479 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/18(水) 18:47:59.84 ID:L4OwI/Sb0
上条「ちょっと待った。なんで火織さんがココにいるんでせう? お昼にロンドンに帰ったのでは?」
神裂「ええと、やはり説明が必要ですよね?」
上条「考えられる理由としては、飛行機に乗り遅れた……とか?」
神裂「さすがに、あれだけ時間があって乗り遅れることはないと思いますよ」
上条「ってことは、ロンドンに帰りたくなくて乗らなかったのか!?」
神裂「そうしようと少しは考えましたが、そうではありません」
上条「じゃあ、何故ここに?」
神裂「簡単なことです」
上条「簡単?」
神裂「仕事ですよ」
上条「…………はい?」
480 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/18(水) 18:48:25.56 ID:L4OwI/Sb0
神裂「実は、神の右席の後方のアックアから果し状が届いたんです」
上条「え?」
神裂「内容は『上条当麻の右手を差し出せ』ということのようでして」
上条「ちょっと待て……」
神裂「休暇を取って日本にいた私と天草式の数名が今回の任務に当たります」
上条「マジですか……」
神裂「ええ。大マジです」
上条「前方、左方と来て、今度は後方さんですか……」
神裂「まさか、ノータイムで事件に巻き込まれるとは思ってもいませんでした」
上条「だーっ!! ローマ正教のやつらは上条さんに恨みでもあるんですかーっ!?」
神裂「その通りではないのですか? いろいろと潰してきていますし」
上条「聖人相手に生き残れるだろうか……?」
神裂「私の魔法名にかけてお守りします」
上条「salvare000、救われぬ者に救いの手を……か」
上条(確かに、火織がいれば心強いな)
神裂「そういう訳ですので、またお世話になります。当麻」
上条「ああ。こちらこそよろしくな。火織」
今度こそ終わり!
481 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/18(水) 18:49:14.23 ID:L4OwI/Sb0
なんとか無事完結!!
今回、この2人を書いてみて、鈍感な上条さんと奥ゆかしい神裂さんの組み合わせは動かしづらいことが判明。
どっちかキャラ崩さないと進展が難しいんですよ。マジで。
せっかくの設定を生かしきれなかったのも反省せねば……。
ただ、当初の目標だった『神裂さんを年相応に見せる』という狙いは達成できたかと。
今のところ、後日談を書く予定はありません。
ちなみに、この後、アックアは闇の波動に目覚めた五和さんが「聖人殺し」という新術式で木っ端微塵にしました。
484 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県):2011/05/18(水) 19:03:14.95 ID:KMUdePYIo
乙でした
485 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank):2011/05/18(水) 19:54:40.03 ID:3fqicnW6o
乙でしたぜ
聖人殺し・・・五和恐ろしい子
486 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2011/05/18(水) 19:55:34.62 ID:2S4zlxjQ0
最高でした
>>1乙。超乙。ウルトラ乙。
487 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区):2011/05/18(水) 19:57:56.15 ID:WsOEHr5B0
乙。ねーちん可愛かった!
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当ブログについて
※欄581さんありがとうです。
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結局、学校を出ても、上条の答えはでていなかった。
小萌という女性の立場からの貴重なアドバイスをもらったのは良かったが、自分の気持ちなどと言われても良く分からない、というのが本音だ。
基本的に困っている人がいれば迷わず助けに行くし、そうでなくとも厄介事には巻き込まれる。
上条(悩みは家計くらいなもんだったもんな……)
そんな彼に、いきなり色恋沙汰の問題を押してけられても、即断できるはずもないだろう。
そもそも、神裂が自分に対して好意を抱いているのかさえ、未だに半信半疑である。
上条「あ……。もう着いちまった……」
ふと気付けば見慣れたトビラの前に立ってしまっていた。
どうやって帰ってきたかも、誰かと会ったかもよく覚えていない。
むしろ、そんな状態で無事に帰宅できたあたり、今日の彼は幸運なのかもしれない。
それとも、考える時間が短くなった分、これは不幸なのだろうか?
上条(この先に神裂がいるんだよな……。き、緊張してきた)
結局のところ、まだ考えはまとまっていない。
しかし、このままでは、明日の朝になっても答えは出ない気がした。
確証なんてないものはない。だが、グダグダ悩んでいても仕方が無い。
もう知るか、ともらし、上条はドアノブに手を掛けた。
上条「た、ただいま~」ガチャ
神裂「お、おかえりなさい」
覚悟を決めて、玄関を開けると、すぐ目の前には神裂がいた。
というか、朝、見送られたときとほぼ同じ位置にいる。
上条「ええと……」
神裂「その……」
思わず目が泳いでしまう。彼女を直視できない。
てっきり、リビングでくつろいでいるだろうと思っていた上条は、とっさに次の言葉を紡ぎ出せない。
その上、廊下を塞ぐように神裂がいるため部屋に入ることもできない。
結果として、玄関に立ち尽くす形となってしまっていた。
一方の、待ち構えていた神裂に心の準備ができていたか、といえば答えは『NO』だ。
彼女は、ずっと固まっていた訳ではないにしろ、一日のほとんどを玄関をウロウロして過ごしていた。
「どうしよう」だとか、「嫌われなかっただろうか」などといったことが、頭の中をぐるぐる回っていた訳である。
そんな心の準備ができていなかった二人を、しばしの沈黙が包んだ。
233 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/04/20(水) 19:16:18.71 ID:EGe8ZIAa0
【上条side】
―――そうしたまま五分ほど経過した時だろうか。
このままでは埒が明かないので、先に話を切り出すことにした。
上条「今朝のことなんだけど……」
神裂「す、すみませんでした!」
と、今朝のことを訊こうとした瞬間、見事なカウンターを喰らってしまった。
神裂の頭が大きく下がり、彼女のトレードマークであるポニーテールが揺れる。
上条「え?」
神裂「で、できれば、忘れていただけるとありがたいのですが……」
申し訳なさそうに、下を向きながら、口早に言葉を繋ぐ。
上条「それは……」
願ってもない提案ではないか?
そうすれば、頭を悩ませる種もなくなるし、変に意識しなくて済む。
いや、それはもう手遅れか?
神裂「不意打ちのようなマネをしてしまってすみませんでした」
ボソボソと呟くように謝罪の言葉を紡いでいる。
いつもの神裂に比べて、明らかに覇気がない。
ということは、今朝のは弱気からくる一時の気の迷いだったのだろう。
それならば、キスくらいは役得だ。むしろこちらが申し訳なくなるくらいじゃないか。
上条「もういいって―――」
気にするな、と言おうとして、彼女に視線を向けたところで、唐突に思考が停止する。
頭を上げた神裂の顔が真っ赤に染まっていたのだ。
上条「え?」
今までの自分なら、顔が赤いなと思う程度で、その先を考えなかったかもしれない。
―――だが、今日は違った。
234 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/04/20(水) 19:18:30.97 ID:EGe8ZIAa0
小萌先生の言葉が頭をよぎる。
小萌『現に上条ちゃんはキスまでされても、その好意に気づいていないじゃないですか』
そうだ……。 ・ ・ ・ ・
神裂は、あのキスを『なかったことにしてくれ』とは言わなかった。
俺に『忘れてくれ』と言ったのだ。
もちろん、そんなの些細な言い回しの違いかもしれない。
だが、そのあとの言葉はどうだろう?
神裂『不意打ちのようなマネをしてしまってすみませんでした』
これは、不意打ちという行為をしてしまったことへの後悔なのではないだろうか?
上条「なあ、神裂」
神裂「はい……」
恐る恐るといった感じで言葉を待つ神裂。
その顔は未だに赤く染まったままである。
もう、こうなってしまっては、先を訊かずにはいられない。
上条「神裂は……その……俺のこと好きなのか?」
神裂「え?」
訊いた。
驚いた顔をしているが、それも当然だろう。
上条「その……、自意識過剰だったらすまない」
こんな訊き方は落第点なのは分かっている。
しかし、こればかりは訊かないと先に進めそうにない。
なにせ、未だに自分の気持ちもはっきりしていないのだから。
上条「違ったら、笑ってくれ」
軽口のように言ってみるが、我ながら緊張しているのが分かる。
若干、声が上ずっていたかもしれない。
神裂はそんなことにも気づかず、視線を泳がせ、「ええと…」とか「その…」と呟いている。
彼女にも余裕がないのだろう。
神裂「――――ッ」
そのうち、何かを決心したのか、彼女は胸の前で十字架を切ると、顔を真っ赤にしたまま、分かるか分からないか程度にコクリと頷いた。
その不安げな姿は、いつもの彼女からは想像もできないほどかわいらしいものだった。
235 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/04/20(水) 19:19:03.52 ID:EGe8ZIAa0
【神裂side】
上条「神裂は……その……俺のこと好きなのか?」
神裂「え?」
なぜ今日に限って、そんな思考が頭の中をぐるぐる回る。
正直に言えば、彼はあまりにも鈍感で、キスをしても意識してもらえないんじゃないか、とすら思っていた。
万が一の場合も、『忘れてください』と言えば、『なんだ勘違いだったのか』なんていかにも彼の言いそうなことだろう。
上条「その……、自意識過剰だったらすまない」
だが、今日の彼は違った。
茶化している様子もないし、これは本当に私の気持ちに気づいているのかもしれない。
だが、そう思うと怖かった。
この気持ちが拒絶されるかもしれないという恐怖が全身を包む。
上条「違ったら、笑ってくれ」
直感的に気づく。ここが分岐点だ。
進めば、この気持ちに決着がつくだろう。戻れば、引き伸ばし。曖昧に誤魔化して、それで終わり。
たしかに、決着を付けるのは怖い。だが、ここで戻ることはできない気がする。
ここで戻ってしまたら、二度と決着がつくことはない。
なぜなら、そのときは心が折れるから。
ここで諦めた私が再び立ち上がることは、きっとない。
それでは、結局、断られてしまったのと同義だ。
それならば、結局、前に進むしか活路は見えない。
神裂(このド素人が! 私は一体何を悩んでいるのでしょうか)
そう頭で分かっているのに、口が動かない。
先日のスキルアウトに襲われたときよりも今の方がよっぽど怖い。
こんな恐怖を感じたのは生まれてだった。一言をいう勇気すらない。
…………あれ? 『勇気』?
―――今朝、自分は何をした?
神裂(……そうだ。勇気なら分けてもらったじゃないですか)
胸の前で十字架を切ると、ほんの少しだけ頷いた。それが今の自分に残っていた全ての勇気だった。
236 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/04/20(水) 19:20:08.81 ID:EGe8ZIAa0
上条「そうか……」
彼は、ポツリとそれだけ呟く。
それだけなのに、心臓がドクンドクンと早鐘を打っている。
先ほどから、足元ばかり見て、まともに彼の顔を見ることもできない。
上条「神裂」
神裂「―――――ッ!!」
緩やかな口調で名前を呼ばれる。
はっきり言って、それは死刑宣告に近いものがあった。
全身が強張る。
このまま受け入れてもらえるのだろうか?
それとも拒絶されてしまう?
どちらにしろもう以前の関係に戻ることはできない。
私にできることといえば、いい結果に転ぶことを祈ることしかない。
上条「その―――」
そして、彼は変わらない口調でこう続けた。
上条「悪い。神裂」
神裂「え?」
その瞬間、沸騰しかけていた体中の血液が、みるみる凍っていくような錯覚を受けた。
『拒絶された』
それだけで、死んでしまいそうだった。すべての音は消え、世界は歪んでいく。
これで、彼との関係は終わってしまったのだ。
237 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/04/20(水) 19:21:39.45 ID:EGe8ZIAa0
【上条side】
―――だが、上条の答えはそういう意味ではなかった。
神裂の気持ちを訊けば、何か分かるかもしれないと思ったが、結局、何も分からなかった。
『好き』という気持ちは分かる。
自分にとって、それは家族に向けられているものであり、インデックスに対する『好き』はそちらの分類になるだろう。
上条「神裂の気持ちはすごく嬉しい。けど、自分の気持ちが分からないんだよ」
だが、異性に対しての『好き』となると話は変わる。
もちろん、言葉にした気持ちは本心で、ウソ偽りはない。
ただ単に、誰かを好きになったという経験をしたことがないのだ。
―――何しろ、自分は記憶をリセットされているのだから。
記憶を失う前の上条当麻は、普通に恋したり、もしかしたら、誰かと付き合っていたこともあったかもしれない。
少なくとも、それがどういう気持ちかは知っていたと思う。
しかし、今の俺は、そんなことすら分からない。
この神裂に持っている気持ちの正体が分からない。
神裂「自分の気持ちが分からない……ですか?」
上条「ああ。誰かを好きになったことなんてないんだ。だから、神裂に対する気持ちもよく分からない」
素直に告白する。土御門たちに話せば、爆笑間違いなしだろう。
だが、何やら神裂はホッとしている気がする。
神裂「……それならば、仕方ありませんね」
神裂はとくに追求もせず、笑顔を浮かべると、スタスタとリビングへと向かっていった。
この話はここまでにしよう、という彼女の意思表示。
だが、俺はこの中途半端な結末のまま終わる気はなかった。
だから―――
上条「神裂」
その呼びかけに彼女は振り向く。
上条「もう一度キスしよう」
―――そう提案した。
238 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/04/20(水) 19:22:27.17 ID:EGe8ZIAa0
【神裂side】
上条「もう一度キスしよう」
話が終わったと思ったら、そんなことを言われた。
確かに、返事が聞けなかったことは残念だが、それ以上に安堵の気持ちが大きかった。
しかし、そんな気持ちも今の一言で消し飛んだ。
神裂「…………はい?」
何を言われたか、耳には届いているが、頭で理解できない。
キス?
誰と?
誰が?
上条「そうすれば、俺の気持ちが分かる気がするんだ」
理解の追いついていない頭に、さらに追撃をかけられる。
……マズイ。
冷静にならなければ。
神裂「……………………」
上条「神裂?」
…………よし。言葉の意味は理解できた。
つまり、彼は、自分の気持ちが分からないから、キスしようということを提案してきたのだ。
なるほど、なるほど。
神裂「ええっ!?」
もちろん、キスをしたくない訳ではない。
今朝、唇が重なった瞬間は心臓が飛び出るかと思ったし、あの後、2時間はドキドキが止まらなかった。
さきほど当麻と顔をあわせたときは、全身から火が出るかとも思った。
……それをもう一度?
そんなの耐えられるだろうか?
239 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/04/20(水) 19:23:20.93 ID:EGe8ZIAa0
【上条side】
上条「このままで終わりたくないんだ」
もちろん、俺だって緊張していない訳じゃない。
しかし、このままでは一方的に気持ちを伝えられただけで、返事もできなかったヘタレになってしまう。
しかも、その原因が『自分の気持ちが分からなかったから』などという小学生でも見ないような理由で、である。
自分だけの現実(パーソナルリアリティ)を確立すれば、きっとこんな気持ちも分かるのだろうが、あいにくと、私、上条当麻はレベル0。
残念ながら、自分だけの現実なんでものは確立できていない。
神裂「その……」
神裂は玄関にいたときよりも目が泳いでいる。
そんな姿を見ているだけで、体中を熱い血液が巡る。
こんな感覚は初めてかもしれない。
上条「神裂はこのままでもいいのか?」
顔を真っ赤にした神裂に問う。
こんな風にしている彼女を見るのは好きかもしれない。
これが恋愛感情? 良くわからない。
神裂「え、ええと……」
その問いにしばし葛藤していたようだが、気持ちが決まったのだろう。
神裂「よ、よろしくお願いします」
彼女は消え入りそうな声で、そう答えてくれた。
240 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/04/20(水) 19:25:21.11 ID:EGe8ZIAa0
【神裂side】
神裂「そ、それでは……」
もう、決心はついた。
だが、自分からする度胸はもうない。
だから、リビングのクッションの上に正座し、目を閉じた。
こうしていれば、言い出した手前、彼からしてこなければいけないことになる。
上条「お、おう……」
しかし、目をつぶっていても、彼がどの程度の距離にいるのかが分かる。いや、分かってしまう。
これは、普段の訓練のたまものだろう。
戦闘時には重宝するが、今はそんなものはない方がいい。明確に彼を感じてしまう。
それに見えない方が怖い。彼がどんな顔をしているのかも分からない。
神裂(ううう……)
目をつぶったことで、自分がどれほど緊張しているのかも分かってしまった。
それはもうガチガチである。
天使と相対したときでさえここまで緊張はしなかった。
上条「行くぞ……?」
神裂「は、はい!」
その言葉を引き金に、さらに体が強張る。
彼の近寄ってくる感覚。
距離はもうほとんどない。
見えていないだけで、目の前にいるのが分かってしまう。
あと、10cm……。5cm……。
神裂(と、当麻……)
そして、2人は近づいていき、それぞれの心臓の音をBGMに距離が0になった。
241 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/04/20(水) 19:27:37.43 ID:EGe8ZIAa0
【上条side】
どのくらいそうしていただろうか?
10秒くらいかもしれないし、1時間かもしれない。
時間の感覚は吹き飛んでいた。
上条「………………」
神裂「ど、どうですか?」
触れた唇をゆっくりと離すと、神裂が不安げな顔で尋ねてくる。
……どうだっただろう?
今ので何が分かったのだろうか?
上条「そうだな……」
すごく柔らかかった。
すごく温かかった。
すごくやさしかった。
すごく心地よかった。
そして、すごくドキドキした。
上条「その……」
相変わらず、自分の気持ちなんて分からない。
けれど、これからもこういう時間を神裂と過ごしたい、そう感じた。
つまりは、そういうことじゃないか?
上条「これからも『勇気』が足りなくなったら言ってくれ」
顔を逸らしながら、照れ隠しにそう言った。
彼女は一瞬、ポカンとした顔をしたが、俺の言いたいことを理解したのだろう。
神裂「はい」
という肯定の言葉とともに今までで一番の笑顔を向けてくれた。
245 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道):2011/04/20(水) 19:33:31.06 ID:M3ZkrMAc0
何だァ?この甘甘な展開はァ?
265 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/04/25(月) 18:41:01.88 ID:u5WmYXiU0
上条(と、いい感じになったのは良かったんですが……)
神裂「…………………」モジモジ
上条(気まずい……)
神裂「…………………」チラチラ
上条(さっきまでとは違った空気の重圧があるというかなんというか……)
神裂「…………………」
上条(どうすればいいんだ? コレ?)
神裂「あ、あの!」
上条「な、なんでしょうか!?」ビクッ
神裂「その……」ボソボソ
上条「なんだよ? 言いたいことがあれば言っていいぞ」
神裂「え、ええと……ゆ……」
上条「ゆ?」
神裂「夕食にしませんか?」
上条「え?」
神裂「ええと、ほら! もう8時ですし!」
上条「ええっ!?」
上条(ウソだろ? 帰ってきたの5時くらいだから、もう3時間もこうしてたって言うのか!?)
266 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/04/25(月) 18:41:28.92 ID:u5WmYXiU0
上条「もうこんな時間だったのか」
神裂「そのようですね」
上条「そのようですね、って神裂が夕食にしようっていったんじゃないか」
神裂「え? あ。そうでした」
上条「? なんだそれ」
神裂「まだ少し緊張しているのかもしれません」
上条「まあ確かに、俺も硬くなってた気がする」
神裂「そうですか? そうは見えませんでしたが」
上条「そ、そんな訳ないだろ! こんなに緊張したの初めてだよ」///
神裂「うっ…。私もです……」///
上条(きっと俺も、神裂くらい顔赤くしてるんだろうな)
神裂「しかし……」
上条「ん?」
神裂「なぜ、今日に限って、その……気持ちに気が付いてくれたんですか?」
上条「いや、まあそれは……」
上条(小萌先生にアドバイスもらったからなんだけど)
上条「ええと……。さ、さすがに、あそこまでされれば、誰でも気づくだろ!」
神裂「ぁぅ……」///
上条(しかし、良く考えてみれば、『キス』じゃなくても良かったよな。俺も神裂もテンパっててそれに気づかなかったけどさ)
神裂「で、では、夕食の準備をしますね」
上条「ああ、頼む」
268 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/04/25(月) 18:42:09.48 ID:u5WmYXiU0
夕食中
上条「相変わらず美味いな」
神裂「ありがとうございます」
上条(段々緊張が解けてきたぞ)
神裂「それで……その……」
上条「さっきからどうしたんだよ? 言いたいことがあれば、遠慮なくいってくれ」
神裂「あの子や土御門になんと説明すればいいものかと思いまして」
上条「あ、そうか……」
神裂「どうかしましたか?」
上条「ええと、その……俺たちって『恋人』ってことになるのか?」
神裂「え!? いや、その……」/// モゴモゴ
上条「ほら、少し曖昧になってる気がするからさ」
神裂「こ、恋人でいいのではないでしょうか?」/// モジモジ
上条「うっ……」///
上条(そんな反応されると、こっちまで恥ずかしくなってしまいますよ!)
上条「そ、そうなると、最初に土御門対策が必要だよな」
神裂「まずは土御門からですか」
上条「ああ」
上条(というか今、この状況を見てたりしないよな?)※見てます
269 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/04/25(月) 18:42:41.76 ID:u5WmYXiU0
神裂「対策といっても、あの男に話すか、話さないかくらいではないですか?」
上条「土御門だから、話したら爆発的に広がっちまうだろ」
神裂「……そうですね。あの男が知った次の日には、世界中に知られている可能性すらありそうです」
上条「となると、基本方針は知られないようにするってことで」
神裂「知られた場合はどうしますか?」
上条「その場合は、いっそ開き直るっていうのはどうだ?」
神裂「開き直る……ですか?」
上条「別にやましい事してる訳じゃないし、絶対に秘密ってほどのことでもないだろ」
神裂「そ、それもそうですね」///
上条「でも、秘密にできるなら秘密にしておこうぜ。色々とからかわれそうだし」
神裂「分かりました」
上条「……あとは、インデックスか」
神裂「あの子に秘密にしておくのは、少し気が引けますが……」
上条「あいつは、腹いっぱい食べさせとけば問題ないような気もするけど」
神裂(そうでしょうか?)
神裂「そういえば、何か手がかりは掴めたのでしょうか?」
上条「連絡がないってことはまだなんじゃないか?」
神裂「そ、そうですよね」ホッ
上条「ん? なんでホッとしてるんだよ」
神裂「あの子には悪いですが、もうしばらくはこのままでもいいかもしれないと思いまして」///
上条「そ、そういう訳にもいかないだろ」///
上条(急にそんなこと言うのは反則だ……)
270 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/04/25(月) 18:43:13.03 ID:u5WmYXiU0
上条「話し合うのはこれくらいか?」
神裂「そうですね。差し当たっては」
上条「何にしろ、これからもよろしく頼むな、神裂」
神裂「こ、こちらこそよろしくお願いします」
上条(ところで、俺は神裂に釣り合ってるのだろうか? ……考えないようにしよう。悲しくなってくるから)
~~~
神裂「ごちそうさまでした」
上条「ごちそうさん」
神裂「それでは、後片付けをしてしまいますので、お先にお風呂に入ってください」
上条「たまには俺がやるから、先に入っとけよ」
神裂「え?」
上条「後片付けは俺がやっておくって」
神裂「いや、しかし……」
上条「何から何まで頼ってたら、勘が鈍るだろ? たまには、俺も家事もこなさないと」
神裂「そうでしょうか?」
上条「ああ。サボり癖がついても仕方ないしな」
神裂「そうですか。では、お言葉に甘えさせていただきますね」ニコ
上条「おう」
271 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/04/25(月) 18:43:39.45 ID:u5WmYXiU0
~~~
上条(とここまではよかったんだけど……)
上条「また緊張してきた」ソワソワ
上条(なんだかこの状況はマズイ気がする。なんていうの? 初めて彼女が泊まりに来たみたいな感覚?)
上条「くそ……。昨日まではそこまで意識してなかったのに……」
上条(いや、意識してなかったんじゃなくて、意識しないようにしてただけなんですけどね!)
上条「あくまで、俺に気がないと思ってたから、意識しないようにしてただけだしな」
上条(好きあってるってことは、手を出しても合法?)
上条「な、何を考えているんだ!」ブンブン
上条(でも、年頃の男女が一つ屋根の下ですることといえば……)
上条「いやいや、落ち着け……。落ち着くんだ……」
神裂「上がりました。お次どうぞ」
上条「!!」ビクッ
神裂「どうかしましたか?」
上条「い、いや!? なんでもないですよ!?」
上条(湯上りの神裂さんなんか妙に色っぽいんですけど!?)
神裂「?」
上条「は、入ってくる」
神裂「あ、はい。ごゆっくりどうぞ」
272 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/04/25(月) 18:44:06.94 ID:u5WmYXiU0
~~~
上条「ふぅ……。落ち着いたぞ……」
神裂「ずいぶん長湯でしたね」
上条「ああ。ちょっと精神鍛錬をしてたからな」
神裂「精神鍛錬ですか?」
上条「気にしないでくれ」
神裂「はぁ、そうですか」
上条「それで、神裂は何しようとしてるんだ?」
神裂「これですか? 髪をすこうかと思いまして」
上条「神裂は髪長いから手入れとか大変そうだよな」
神裂「いえ、髪を軽くすくくらいで、大して手入れはしていませんよ」
上条「マジですか……」
神裂「よければ、やってみますか?」クスッ
上条「え?」
神裂「当麻が触りたそうに見ていましたので」
上条「ええと……、うん。じゃあ遠慮なく」
神裂「では、お願いしますね」
上条「お、おう」
273 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/04/25(月) 18:45:13.22 ID:u5WmYXiU0
上条(やばい。すごいサラサラだ……)
神裂「誰かにすいてもらうというのもいいものですね」
上条「そ、そうか? それならよかった」
上条(それになんかいい匂いするし! ここ数日は同じシャンプー使ってるはずなのになんで!?)
神裂「? どうかしましたか?」
上条「手入れしてないって割には、すごく手触りがいいなと思ってさ」
神裂「そうでしょうか? あまり気にしたことはありませんが」
上条「むしろ、手入れしてなくてこのレベル? って聞きたくなるよ」
神裂「はは、ありがとうございます」
上条「サラサラで気持ちいいな」
神裂「私も気持ちいいです」
上条「何が?」
神裂「あ、そ、その……当麻に梳かしてもらえてです……」///
上条(ぐわーっ!? ナニコレ、かわいい!)
上条「そ、そりゃ良かった。気に入ったなら、またやってやるよ」
神裂「はい。よろしくお願いします」
274 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/04/25(月) 18:45:42.24 ID:u5WmYXiU0
~~~
上条「よし。そろそろ寝るか」
上条(今日は時間の進み方がおかしい。もう12時かよ)
神裂「そ、そうですね」
上条「じゃあ、上条さんは風呂場で……」
神裂「え?」
上条「いやいや、さすがにこういう関係になったら一緒に寝るのはマズイんじゃない?」
上条(主に上条さんの理性がですけども!)
神裂「い、いえ……。できれば、今まで通りの方が私はうれしいのですが……」
上条「うっ……」
神裂「ダメでしょうか?」
上条「はぁ……。そんな顔されたらダメなんて言えないだろ……」
神裂「あ、ありがとうございます」
上条「その代わり、一緒に寝るのはなしだからな」
神裂「あぅ……」///
上条(そうしたかったのか!? そんな拷問に耐え切れるほど上条さんはできた人間ではありませんことよ?)
神裂「では手を……」
上条「ん。まあ、それくらいなら」ギュッ
神裂「あ、いえ、こうではなくて……」
上条「え?」
神裂「せ、せっかくですから」ギュッ
上条(こ、これは『恋人つなぎ』!?)
275 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/04/25(月) 18:46:11.26 ID:u5WmYXiU0
上条「か、神裂さん?」
神裂「は、はい」
上条「これは、その……」
神裂「嫌でしたか?」
上条「そ、そんなことない! そんなことないけどさ!」///
上条(こんな手の繋ぎ方したまま寝られるだろうか?)
神裂「ふふっ。これだと、当麻がすごくドキドキしてるのが伝わってきますよ」///
上条「神裂も人のこと言えないだろ」
神裂「はい。今、すごく幸せですから」ニコ
上条(ぬぁぁぁっ!? ズキューンと来たァ!? くっ、このままやられっぱなしで終わってたまるか!)
上条「そ、それじゃ寝るか」
神裂「あ、はい」
上条「オヤスミ、神裂」チュッ
神裂「えっ!?」
上条「はは……。照れるもんだな」///
神裂「///」
上条「で、電気切るぞ」
神裂「ぁ、はい。お休みなさい、当麻」
上条「ああ、オヤスミ」
292 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/04/26(火) 12:39:47.25 ID:AJuwOR9/0
共同生活7日目 朝
―――
上条「ふぁ……」
神裂「眠そうですね」
上条「寝れる訳ないって……」ボソ
神裂「はい?」
上条「いや、なんでも……」
上条(繋いでる手が汗ばんでたり、いい匂いがしたり、かすかに吐息が聞こえたりしてもうダメになりそうでしたよ……)
神裂「大丈夫ですか? 顔色も悪いようですけど」
上条「ああ。体の方は大丈夫だ」
神裂「それならいいのですが」
上条(むしろキツイのは精神だよ。今日もこんな天国での苦行をしなくちゃいけないのか)
上条「おっと、そろそろ行かないと」
神裂「そうですね。お気をつけて」
上条「あれ?」
神裂「どうかしましたか?」
上条「いや、今日は『勇気』は足りてるのかと思ってさ」/// ポリポリ
神裂「うぅっ!? その……それは……」///
上条「昨日の夜、補給したしな。大丈夫ならいいんだ。じゃ、行ってきます」
神裂「ま、待ってください!」
上条「ん?」
神裂「あれくらいで足りるわけないじゃないですか……」
293 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/04/26(火) 12:40:19.31 ID:AJuwOR9/0
―学校―
上条「♪~」
青ピ「あれ? 今日はカミやん随分とご機嫌やね」
土御門「そうみたいだにゃー」プププ
青ピ「何や? 原因しってるんかいな?」
土御門「いやいや、俺は何も知らないぜい?」
上条「なんだよ。2人してコソコソと」
土御門「いや~、今日のカミやんは上機嫌だからにゃ~」
青ピ「昨日とは打って変わって何があったん?」
上条「え? いや、それは……」
土御門「ねーちんと何か進展があったのかにゃー?」ククク
上条「え!?」ギクッ
上条(土御門のやつ全部知ってるとかじゃねえよな?)
青ピ「オイオイ。その反応はどういうことや? まさか抜け駆けとかしてへんよな?」
上条「ま、まさか~」
姫神「怪しい」
上条「うわっ!? 姫神いたのか!?」
姫神「うん。ずっと」
土御門「きっと昨晩はよろしくやってたに違いないぜい」
青ピ「カミやん、貴様……」
上条「だーっ!! 土御門は余計なこと吹き込むな!」
姫神「よろしくやってた?」
294 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/04/26(火) 12:40:59.39 ID:AJuwOR9/0
吹寄「また、貴様たちは何を騒いでる!」
上条「ふ、吹寄か」
土御門「またカミやんが女の子に手を出したって話だにゃー」
上条「オイ、土御門。『また』ってどういうことだ!」
吹寄「上条……。貴様、また?」
上条「吹寄まで!?」
青ピ「また……やね」
姫神「うん。また。これで何人目?」
上条「人聞き悪いこと言うな! 何人目もなにも、まだ1人目だよ!」
吹寄・姫神「え?」
青ピ「へえ~、カミやん。『1人目』ってことは、その『ねーちん』には手を出したんやね?」
上条「はっ!? し、しまった!?」
土御門「墓穴掘ってるにゃー」
吹寄「上条……。貴様……」
青ピ「裏切り者には―――」
クラス男子「「「「死の鉄槌を」」」」
上条「く、くそーっ!! またこの展開かーっ!!」
小萌「皆さ~ん。ホームルームの時間……ってなんですか、この騒ぎは!」
青ピ「チッ! 命拾いしたな、カミやん」
上条(た、助かった……)
295 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/04/26(火) 12:41:43.62 ID:AJuwOR9/0
放課後 帰宅中
上条「ひ、酷い目に遭った……」
土御門「抜け駆けしたんだから、自業自得ですたい」
上条(それに、秘密にするとか言ってて即バレ……)
上条「神裂になんて説明すればいいかな」
土御門「しかし、まさかねーちんがカミやんを落とすとは思わなかったぜい」
上条「神裂が俺を? 逆じゃねーのか?」
土御門「だからカミやんは鈍感って言われるんだぜい?」
上条「鈍感かな?」
土御門「前々から、興味は持たれてたんだぞ? それに気づいてないんだから鈍感だろうよ」
上条「小萌先生に相談したときにも似たようなこと言われたよ」
土御門(なるほど。昨日、カミやんが妙に鋭かったのはそのせいか)
上条「それで、インデックスの方は何かわかったのか?」
土御門「あ」
上条「なんだよ? 何か不吉な予感がするのですが……」
土御門「いやいや、なんでもないぜい?」ニヤニヤ
上条「お前がそうやって笑うときには、大抵悪いことが起きるんだけどな」
土御門「相変わらず進展なし。カミやんにとっても、ねーちんにとってもしばらくはその方がいいんじゃないかにゃー?」
上条「ううっ!?」
土御門「おー、熱い、熱い。今日は部屋にいるから、何かあれば呼んでくれよ」
上条「だれが呼ぶか!」
296 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/04/26(火) 12:42:25.47 ID:AJuwOR9/0
―上条の部屋―
上条「ただいまー」
神裂「おかえりなさい」
上条「何してるんだ?」
神裂「ここのところ家事ができませんでしたからね。掃除やら洗濯を一気に片付けていました」
上条「それにしちゃ時間かけすぎじゃないか? もう朝からだいぶ経つけど」
神裂「そ、そうですね。少しのんびりしすぎたかもしれません」
神裂(午前中いっぱいボーっとしてたとはいえません……)
神裂「それより、学校の方はお変わりありませんでしたか?」
上条「あ、それなんだけどさ」
神裂「はい?」
上条「すまん! 土御門に早速バレた」
神裂「ハハハ……。仕方ありませんね。あの男は鼻だけは利きますから」
上条「怒らないのか?」
神裂「昨日、あなたがいったではないですか。『やましいことをしている訳ではない』と」
上条「そ、そうだよな」ホッ
神裂「でも……」
上条「ん?」
神裂「昨日の今日でバレるにはちょっと早すぎると思います」
上条「ですよねー」
297 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/04/26(火) 12:42:51.53 ID:AJuwOR9/0
神裂「それでは、どうしましょうか?」
上条「あ、家事がまだあるなら手伝うぞ」
神裂「いえ、ちょうど終わったところなんですよ」
上条「そうなると……夕飯にはまだ早いし……」
神裂「ちょっとした時間ができてしまいましたね」
上条「そうなるな」
神裂「…………………」
上条「…………………」
上条(な、なんか空気が……)
神裂「そ、それではお茶でも淹れましょうか」
上条「そうだな! うん、それがいい」
神裂「すぐ用意しますので、そちらでお待ちください」
上条「分かった」
上条(あ、危なかった! 神裂の機転がなかったら、変な方向に行きそうだったぞ!)
298 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/04/26(火) 12:44:10.16 ID:AJuwOR9/0
~~~
神裂「お待たせしました」
上条「悪いな」
神裂「いえいえ」
上条「やっぱり、神裂は緑茶が好きなのか?」ズズズ
神裂「そうですねえ。緑茶ももちろん好きですが、紅茶も好きですよ」
上条「ああ、そうだよな。職場が本場だしな」
神裂「ええ。今度はそちらを用意しましょうか?」
上条「紅茶の違いが分かるほど上条さんの舌が利口とも思えませんけど」
神裂「こちらのものとは大違いですよ。別物といってもいいかもしれません」
上条「そういえば、ステイルがそれについてブツブツ言ってたことがあったかもしれない」
神裂「でしょう?」
上条(なんかこういうゆったりとした空気はいいな。癒される……)
神裂「あ、そうだ。お茶菓子があるんでした」
上条(インデックスといると備え置きのお茶菓子があるってのは信じられないよな……)
上条「俺の方が近いし、神裂は座っててくれ」
神裂「どこにあるか分かります?」
上条「戸棚の奥じゃないのか?」
神裂「あ、はい。では、お願いします」
上条「神裂もだいぶこの家に慣れてきたな。もう俺より詳しいんじゃないか?」
神裂「ふふっ。そうかもしれませんね」
299 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/04/26(火) 12:45:13.64 ID:AJuwOR9/0
上条「え~と……。ん? せんべいか、渋いな……」ゴソゴソ
神裂「緑茶には、餡子系が好みなのですが、そちらの方が日持ちしますからね」
上条「しかも、鉄缶のやつって……。いつの間に買ったんだか」ヒョイ
神裂「お手数をかけます」
上条「なにこのくらい」
神裂「足元気をつけてくださいね」
上条「言われなくとも……。うぉっ!?」グラ
神裂「危ない!」サッ
ゴガァァァン!! ←せんべいの鉄缶が落ちる音
上条「あいたたた……」
神裂「だ、大丈夫ですか?」
上条「……っあれ?」
上条(な、なんか押し倒したみたいな体勢に!? 前にもこんなことあったよな!?)
神裂「ええと、その……」
上条「ああ、大丈夫! 怪我とかはしてないぞ! 神裂は大丈夫か?」
神裂「い、いえ、それよりも……」
上条「ん? あ! す、すまん! すぐ退くから!」
神裂「あ……」
上条「え?」
神裂「あの……もう少しこのままでも……」///
上条(うっ!? か、かわいいぞ!)///
300 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/04/26(火) 12:45:47.25 ID:AJuwOR9/0
上条「えっと……」
上条(こういうときはどうすればいいんだ!? だ、誰か助けてくれ!)
神裂「///」
上条(だ、抱きしめたりすればいいのか? そ、それともキスとか?)
神裂「と、当麻……」
上条(ぬぉぉぉっ!? そんな切なげな声を出さないでください!)
神裂「その……ギュッとしてくれますか?」///
上条(も、もうダメかもしれない)
上条「よ、喜んで」///
神裂「ありがとうございます」///
上条(だ、抱きしめるってことはあのデカイ胸を受け止めるってことだよな? 正気を保てるだろうか?)
上条「そ、それでは失礼して……」
ガチャッ
インデックス「ただいまー」
五和「お、お邪魔します!」
上条・神裂「え?」
303 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/04/26(火) 12:55:50.99 ID:2kcvS+r1o
汚いなさすが土御門きたない
304 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都):2011/04/26(火) 13:20:45.02 ID:KOGN8RKC0
ああああああああああああああ
つゥゥゥゥゥちみかどくゥゥゥゥゥゥゥゥン!!!!!
305 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/04/26(火) 14:38:02.99 ID:bKKObS1No
土御門てめえええええええええええ!!!
317 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/04/28(木) 18:07:36.62 ID:9mxLIa/b0
イン「あれ? とうま、そんなところで何を―――」
上条「イ、インデックス?」
五和「か、上条さんの下にいるのは……女の人ですか?」
神裂「その声は五和!?」
五和「女教皇様!?」
上条(この状況は非常にマズイ。なんと説明すれば……)
イン「……………かおりと何してるのかな、とうま」
上条「え、えーっとですね」アセアセ
神裂「こ、これは……」
イン「分かってるんだよ。また、いつものなんだよね?」ニコリ
上条「『また』っていうところにツッコミたいが、理解してくれたならそれで……」
イン「理解するのと、納得するのは違うんだよ!!」グワ
上条「や、やめろ! 噛み付くのは―――」
イン「問答無用!!」ガブリ
上条「ぎゃああああああああっ!!」
318 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/04/28(木) 18:09:05.22 ID:9mxLIa/b0
五和「な、なぜ女教皇様がここにいらっしゃるんですか?」
神裂「あなたこそ、なぜこの子と?」
上条「そ、そうだよ! なんでインデックスがここにいるんだ!?」
イン「帰ってきただけで、その言い方は酷いかも!」
上条「ってことは、何か手がかりが掴めたのか?」
イン「手がかり……? なんのこと?」
上条「神裂が正体不明の術式を受けたから、その調査に行ったんだろ?」
五和「正体不明の術式……ですか?」
神裂「ええ。聖人としての力が失われてしまって」
五和「ええっ!?」
神裂「あ、あの……それで、あなたは今までどちらに?」
イン「イギリスを旅行してきたんだよ」
上条「りょ、旅行!?」
五和「私は帰路の護衛として同行しました」
上条(なんだか話が良く分からなくなってきた)
神裂「も、もしや……」
イン「もとはるがとうまに説明するって言ってたんだけど」
上条「つ、土御門ォォォォォォ!!!」
319 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/04/28(木) 18:09:52.40 ID:9mxLIa/b0
土御門「呼んだかにゃー?」ガチャ
上条「お、お前なぁ……」ピクピク
神裂「こ、これは一体どういう……」
土御門「今から説明してやるぜい」
上条「納得のいく説明をしてもらえるんだろうな?」
土御門「そう怒るなよ、カミやん。いままでのぜーんぶウソってだけの話なんだから」
神裂「う、嘘?」
上条「ウソって何が?」
土御門「ねーちんが聖人の力を失ったこととか、魔術師に狙われてるってことかかにゃー」
上条・神裂「え?」
土御門「別にねーちんは聖人としての力を失ってないし、魔術師にも狙われてないんだぜい」
神裂「し、しかし、実際に……」
イン「かおりはすぐに力は取り戻せるんだよ」
上条「インデックスはこの術式を知ってるのか!?」
イン「うん。だって、調整したのは私なんだもん」
神裂「ええっ!?」
イン「こんな風にするとは聞いてなかったんだけどね」ジロ
土御門「にゃはははー」
五和「ど、どういうことですか?」
上条「いや、俺にもわからん」
320 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/04/28(木) 18:10:47.67 ID:9mxLIa/b0
土御門「分かりやすいように、順を追って説明してやるにゃー」
五和「あ、はい」
土御門「まず、禁書目録と共同して、天草式の『聖人崩し』を改良したのが、まず最初」
上条「聖人崩し?」
五和「ええと、簡単に言えば、聖人の特徴を失わせる術式ですね」
上条(偶像の理論とかいうのを乱すって言ってたやつか)
神裂「い、いつの間にそんなものを……」
五和「女教皇様がいなくなってから、色々と研究したんです」ハハハ
イン「改良したのは、持続時間の延長と、発動のタイミングの遅延の2つ。代わりに事前の準備にすごく時間がかかるようになっちゃったけど」
神裂「そ、それでは―――」
土御門「そう。ねーちんが喰らったのは、ただの起動術式だったんだぜい」
上条「うん、分からん」
土御門「要するに、リモコン爆弾をセットしておいて、後からスイッチを入れたってことだにゃー」
上条「リモコン爆弾って……。敵が長い間近くにいたのに、気が付かなかったのか?」
神裂「いえ、その術式を放ったのは、敵ではなく……」
五和「教皇代理……ですか?」
土御門「ピンポーン。大正解だにゃー!」
上条「た、建宮!?」
土御門「天草式が散り散りになってるって、ねーちんに話したのも、建宮斎字ですたい」
神裂「お、おのれ、建宮斎字……」
321 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/04/28(木) 18:12:19.96 ID:9mxLIa/b0
土御門「そこまで下準備ができたら、そこからは俺の出番だったんだぜい」
五和「どういう意味ですか?」
土御門「ここから先はちょっと回想で説明するにゃー」
――――
一日目 上条が帰宅する前
イン「うーん。ヒマかもー」
土御門「ちーっす。お邪魔するぜい」ガチャ
イン「はーい。あれ? もとはる? とうまならまだ帰ってきてないよ?」
土御門「今日はカミやんに用事じゃないぜい」
イン「ってことは私?」
土御門「そうだ。もうすぐねーちんが来るから、例の術式が成功したかどうか見て欲しいんだにゃー」
イン「例のって、『聖人崩し』のことかな?」
土御門「ああ。力が出せないみたいだから多分成功してるとは思うがな」
イン「分かったんだよ」
土御門「そしたら、報酬のイギリス旅行を楽しんでくるといいにゃー」
イン「とうまは行かないの?」
土御門「カミやんは補習があるからな。説明しておくから、楽しんでくるといいぜい」
イン「うん! それで、誰が連れて行ってくれるのかな?」
土御門「ねーちんにステイルが同行してくる。ステイルと同行してもらうぜい。ただ……」チラ
イン「ん?」
土御門「時間が思ったより遅れている。確認したらすぐ出発になっちまうだろうにゃー」
イン「分かったんだよ」
322 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/04/28(木) 18:13:08.89 ID:9mxLIa/b0
~~~~
イン「まだかなー」
<ぴんぽーん
土御門「きたきた。はいはーいっと」ガチャ
神裂「あ、土御門ですか。あの子は―――」
土御門「奥にいるぜい。説明はしてあるから、見てもらうといい」
神裂「分かりました」
ステイル「やあ、土御門。僕はどうすればいいかな」
土御門「確認が終わったら、インデックスを連れてイギリスに引き返してもらうことになる」
ステイル「了解した」
神裂(やはり、この場での解決は厳しいですか……)
土御門「嬉しそうだにゃー」
ステイル「そ、そんなことはないよ?」
神裂「こちらはそれどころではないというのに……」
イン「いらっしゃい、かおり、ステイル」
ステイル「お邪魔してるよ。もっとも、僕はすぐ引き返すけどね」
神裂「お邪魔しています。それで、どうでしょうか?」
イン「…………うん。身体の構造が歪められてるんだよ。これじゃ偶像崇拝の恩恵は受けられないかも」
土御門「やっぱりかにゃー」
イン「魔術の痕跡も残ってないし、完璧なんだよ」
神裂「そ、そうですか……」
323 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/04/28(木) 18:14:41.60 ID:9mxLIa/b0
ステイル「それじゃ、時間もないし行こうか」
イン「うん! じゃあ、またね。かおり」
神裂「え? あ、はい」
土御門「ステイル、しっかり頼むにゃー」
ステイル「言われなくても大丈夫さ」バタン
神裂「あの……彼らは一体どこへ?」
土御門「あれ~? ステイルのやつはねーちんに説明してなかったのか?」
神裂「説明ですか?」
土御門「この場で解決できる可能性が低いのは分かってただろ? 元々、現場に行って情報を収集する予定だったんですたい」
神裂「ああ、それで……」
土御門「まったく。ねーちんがぼやぼやしてるから、こんな面倒くさいことになったんだにゃー」
神裂「面目ない……」
土御門「それじゃ、準備を……」カチャカチャ
神裂「それで、あなたは何をしてるんですか?」
土御門「これか? 部屋に結界を張ってるんですたい」
神裂「結界ですか?」
土御門「カミやんの右手も厳しいだろうからな。そうなったら、ねーちんにはしばらくここに匿ってもらうことになる」
神裂「ええっ!?」
土御門「この結界は、防音の効果がある。部屋自体を儀式場化するから魔力もいらない」
神裂「そ、それより匿ってもらうというのは―――」
―――
土御門「ってことが、カミやんの来る前にあったんですたい」
上条「」
324 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/04/28(木) 18:16:05.47 ID:9mxLIa/b0
上条「それにしちゃ、随分危ないイタズラだな」
土御門「危険なんて全然なかったぜい?」
上条「何言ってるんだよ! 神裂がスキルアウトに襲われたじゃねえか!」
五和「そ、そうなんですか?」
神裂「はい。そこを当麻に助けていただいて……」
イン「とうまは相変わらずかも」
五和(上条さんと下の名前で呼ぶ関係に!?)
土御門「あー、あれも余興だぜい」
上条「は?」
土御門「実は、あいつらは俺の所属してるグループのパシリだったんだにゃー」
神裂「なんっ!?」
土御門「名演技だったから、バイト代も弾んでやんだんだぜい」
上条「つ、土御門……」
五和「も、もしかして、女教皇様はここで寝泊りを?」
神裂「そ、そうです」
土御門「おかげで、カミやんといい関係になれたんだよにゃー?」ニヤニヤ
神裂「ううっ……」///
五和「」
イン「とうま?」ギロ
上条「な、なんでこっち睨むんだよ!? 手は出してないぞ!」
325 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/04/28(木) 18:17:08.93 ID:9mxLIa/b0
土御門「いやー、禁書目録が今日帰ってくるのすっかり忘れてたぜい」
上条「オイ……」
土御門「もうちょっと楽しめそうだったのににゃー」
上条「しかし、結界なんて張ってたのか」
イン「この結界なら、外からの音も内からの音も完全に遮断されるね。でも……」
神裂「でも、なんでしょうか?」
イン「良く分からない部分があるんだよ。天井の4隅に違和感があるかも」
上条「4隅って……。オイ、土御門」
土御門「なんだ、カミやん」
上条「良く見るとカメラ見たいのがあるんですが」
五和「か、カメラ!?」
土御門「良く気づいたにゃー。背景に同化するメタルギア的な試作機なんだぜい?」
上条「な、なんでそんなもんが!!」
土御門「学園都市は監視カメラが多いからにゃー。景観を壊さないように導入しようと―――」
上条「そういう意味じゃねえ!! なんで家に監視カメラなんて仕込んでるんだよ!!」
土御門「そんなの決まってるじゃないか」
神裂「お聞きしましょう」プルプル
土御門「面白そうだったから」
上条「土御門、テメェェェ!!」
326 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/04/28(木) 18:17:37.12 ID:9mxLIa/b0
土御門「だから、カミやんとねーちんがイチャイチャしてたのも知ってるんだぜい」
イン・五和「!?」
上条「お、落ち着け、インデックス!」
イン「覚悟はいいかな、とうま?」
上条「できてないから!」
イン「カミクダク!!」ゴシャァ
上条「ぎゃあああああああああっ!! 2回目ェェェ!?」ゴロゴロ
五和「教皇代理まで加担してたんですね……」ブツブツ
土御門「さっき、五和が来てると知ってもの凄い勢いで逃げたぜい」
五和「!! へえ、学園都市に来てたんですか……」ユラ
神裂「い、五和?」
五和「少し用事を思い出しましたので、行ってきますね」
神裂「あ、はい」
土御門(この子も意外に怖いにゃー)
五和「フフフ。逃げ切れると思ってるんでしょうかね」バタン
327 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/04/28(木) 18:18:23.71 ID:9mxLIa/b0
神裂「そ、それで、力を取り戻すにはどうすればいいんですか!」
土御門「はっはっは。そう簡単に教えると思って―――」
イン「魔術を使うか、術士、つまりさいじが解呪すればすぐなんだよ」
神裂「なるほど。これで土御門と建宮斎字にオシオキができますね」
土御門「ちょ、ちょっと待て、ねーちん!」
神裂「遺言をお聞きしましょう」
土御門「まだ、聖人の力を解放するべきじゃない」
上条「それはどういうことだ?」
神裂「時間稼ぎのつもりでしたら、お生憎ですが……」
土御門「今回のドッキリは、ねーちんの休暇ってことで最大主教から許可をもらってる」
神裂「勝手に人の休暇を……」
上条「それが何か関係あるのか?」
土御門「ああ。ねーちんに聖人の力が戻ったら休暇は終了だ」
神裂「え?」
土御門「それまではこの学園都市で過ごせる」
イン「効果の持続時間は10日前後だから、魔術を使わなければ、あと2~3日は普通の人なんだよ」
神裂「2~3日……」
土御門「その間はカミやんとイチャイチャできるにゃー」
神裂「つ、土御門!!」///
328 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/04/28(木) 18:19:46.59 ID:9mxLIa/b0
土御門「それで、ねーちんはどうするかにゃー?」
上条「神裂……」
土御門「選択肢は2つ。1つは、力を取り戻してイギリスに戻る。2つ目は、そのまま2~3日休暇を続ける」
神裂「そんなの決まってます!」
土御門「ま、そうだろうにゃー」
神裂「ううっ……」///
イン「私はどうすればいいかな?」
土御門「禁書目録は、2~3日の間、五和と過ごしてもらうことになる」
イン「はぁ……。まあ、そうだと思ったんだよ」
上条「あ、あれ? 意外に素直に言うこと聞くんだな」
土御門「だにゃー。てっきり、カミやんがアン○ンマンみたいに顔が欠けると思ったのに残念だぜい」
上条「おい……」
イン「私はここで駄々をこねるほど無粋じゃないんだよ!」プンプン
神裂「すみません……」
イン「謝ることじゃないよ? 2~3日だけなんだもん」
神裂「……はい」
上条(なんで神裂が謝ったんだろ?)
土御門「禁書目録は大人だにゃー。それじゃ五和を探しに行くぜい」
イン「うん! かおり、ゆっくりしていってね」
神裂「ありがとうございました」ペコ
上条「?」
336 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/04/30(土) 18:08:58.57 ID:tD6tDf5T0
神裂「行ってしまいましたね」
上条「ったく土御門のやつは……」
神裂(また2人きり。緊張してきました……)
上条「神裂」
神裂「は、はいっ!」
上条「どうかしたのか?」
神裂「い、いえ! 別になんでも!」
上条「そうか?」
神裂「はい! お気になさらず!」
上条「なら、まず、カメラ取り外そうぜ」
神裂「あ、そうですね」
~~~
上条「5つも取り付けてやがったのか……」
神裂「始めから気づいていればよかったのですが……」
上条「気にすんなって。むしろ、土御門のイタズラでよかったじゃねえか」
神裂「え? あ、そ、そうですね」
上条「命の心配もなさそうだし」
神裂「あなたとこんな関係になれましたし……」/// ボソ
上条「う……」///
337 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/04/30(土) 18:10:06.64 ID:tD6tDf5T0
神裂「あ、その……」
上条「ええと……」
神裂「………………」
上条「………………」
神裂(また、沈黙の状態になってしまいました。き、気まずい……)
上条「……ははは」
神裂「どうしました?」
上条「いや、前はもっと自然に会話できてたような気がするのにな、と思ってさ」
神裂「そ、そうですね。今は、少し緊張してしまってますが」
上条「だったら、もっと楽にしてくれよ」
神裂「そ、そうは言われましても」ギクシャク
上条「まだ慣れてないから仕方ないのかね」
神裂「そんなこと言ってる割に、あなたは平気そうですよね」
上条「そ、そんなことないぞ! 今だって、すごく緊張してますし!」
神裂「そうみたいですね」
上条「もう2、3日しかいられないってのに、このままギクシャクして終わったらもったいない気がするんだよ」
神裂「それには同感ですが、こればかりはすぐに慣れるようなものでは……」
上条「そうだよなぁ……」
338 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/04/30(土) 18:11:01.02 ID:tD6tDf5T0
神裂「うーん……」
上条「何かいい案あるか?」
神裂「いえ、特には……」
上条「そうなると……そうだな。もう開き直るくらいしかないか?」
神裂「開き直る……ですか?」
上条「う……。つまり、必要以上にくっついてれば、そのうち慣れるんじゃないだろうかとかそういう……」
神裂「そ、それはそうかもしれませんが」
上条「他にいい方法があればいいんだけどさ」
神裂「いえ、その……」
上条「その?」
神裂「いい案なんじゃないかと思います」ボソボソ
上条「そ、そうかな?」
神裂「ただ、そんなことを考えただけでドキドキするのに、実際にやられて耐えられるのかな、と……」
上条「ぐはっ!」
上条(そのセリフはクリティカルですよ……)
神裂「ど、どうかしましたか?」
上条「神裂はかわいいなぁと思ってさ」
神裂「か、かわっ!?」
上条(うろたえてるのもいい……。狙ってるわけじゃないよな?)
339 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/04/30(土) 18:12:05.38 ID:tD6tDf5T0
神裂「それで、くっつくというのはどうやって?」
上条「え? ど、どうしようか……」
神裂「そこは考えてなかったのですね」
上条「し、仕方ないだろ! いっぱいいっぱいなんだから!」
神裂「そ、それでしたら……」
上条「お、何だ?」
神裂「さきほどの続きを……」
上条「続き?」
上条(続きって何だ? 何かしてたっけ? ええと―――)
上条「って続き!? だ、抱きしめるってやつか!?」
神裂「ダメでしょうか?」
上条「いやいやいやいや、ダメじゃない! ダメじゃないけどさ!」
上条(それはそれでレベルが高いですよ! かといってここで引き下がる訳には)
上条「えと……」
神裂「ど、どうぞ」
上条(ぐっ!? お、男は度胸!)
上条「こ、これでいいか?」ギュッ
神裂「ふぁ……」
340 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/04/30(土) 18:12:53.45 ID:tD6tDf5T0
上条(や、柔らかい! それにいい匂い! 身長差がちょっとばっか気になるけど!)
神裂(温かい……。それに力強い抱擁です)
上条「か、神裂さん?」
神裂「なんでしょうか?」ホワホワ
上条「これでよろしいでせうか?」
神裂「いえ、まだです……」ギュッ
上条「!?」
上条(神裂も腕を!? や、やばい。クラクラしてきた)ドキドキ
神裂「当麻の心臓の音が聞こえます」ドキドキ
上条「俺も聞こえるぞ。神裂の心臓の音」
神裂「ふふっ。どっちの方が早いでしょうかね?」
上条「さ、さあ? 同じくらいじゃないか?」
神裂「きっと私の方が早いと思いますよ」
上条「そうかな?」
神裂「もっと良く聞いてください」ギュッ
上条「うぁ……」
上条(もう、どっちの音だか分からなくなってきた……)
上条「そ、そろそろいいかな?」
神裂「ダメです」
上条「さいですか……」
341 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/04/30(土) 18:13:59.46 ID:tD6tDf5T0
上条(くっ! 神裂が急に落ち着いてきてる。こ、これが年上の余裕ってやつか!!)
神裂(もう、頭の中がぐるぐる回ってしまって良く分かりません。……今、何をしてたんでしたっけ?)
神裂「ふぁっ……」
上条「ぬぉぉぉ……」ゾクゾク
上条(耳元に吐息がッ!! すごく色っぽい!! そして、上条さんはいろいろとマズイ!!)
上条「か、神裂。離れてくれ!」グイ
神裂「嫌です」ギュ
上条「さっきから胸が!!」
神裂「構いません」
上条(だぁーっ!! どうすればいいんだーッ!!)
神裂「当麻……」ボソ
上条「は、はいっ!」
上条(耳元での囁きボイスの破壊力はものすごい! り、理性がぁぁぁ!!)
神裂「もっと……、もっと当麻の音を聞かせて下さい」ギュッ
上条(し、死ぬ!)
342 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/04/30(土) 18:14:40.87 ID:tD6tDf5T0
上条「こ、これで良く聞こえるか?」ギュッ
神裂「はい」
上条(こんなに力入れて大丈夫か?)
上条「痛くない?」
神裂「大丈夫です」ホワホワ
上条(顔が見えないから表情が見えない……。本当に無理してないだろうな?)
上条「…………………」ドキドキ
神裂「…………………」ドキドキ
上条(すごく汗かいてきた。つーか体が熱い)
上条「神裂。暑くない?」
神裂「はい。問題ありません」
上条「そうか」
神裂「当麻こそ大丈夫ですか?」
上条「え?」
神裂「少しフラフラしてるようですが」
上条「あ、ああ。頭に血が行き過ぎて」
神裂「それでは少し横になりましょうか」
上条「そ、そうだな」ホッ
上条(よ、よし。一旦離れて、落ち着こう……)
神裂「えい」グイッ
上条「え?」ドサッ
上条(そのままベットに押し倒されただとォォォ!?)
343 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/04/30(土) 18:15:38.86 ID:tD6tDf5T0
上条「か、神裂さん?」
神裂「はい?」
上条「離れてはいただけないのでせうか?」
神裂「それはダメです」ギュー
上条(これじゃ状況が悪化しただけ!?)
神裂「まったく。当麻は私と離れたいのですか?」
上条「そ、そうじゃないけどさ!」
上条(この神裂は酔ってるのか!? さっきからおかしいぞ!?)
上条「ええっと……、神裂の顔が見たいなーとか?」
神裂「はい? 顔ですか?」スッ
上条「うぉっ!? すげえ真っ赤!!」
神裂「そうですか? 自分では良く分かりませんが」
上条(これは熱で暴走してるのか? 風邪とかじゃないよな?)
上条「とりあえず神裂は寝とけ」グイ
神裂「そうやって離れようという気ですね? そうはいきません」ガシッ
上条(ああ、もう! うれしいんだけどさ!)
344 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/04/30(土) 18:17:07.29 ID:tD6tDf5T0
神裂「当麻も顔赤いじゃないですか」
上条「そりゃそうだろ! こんだけくっつかれてりゃ!」
神裂「でしたら、大人しく2人で横になってればいいんですよ」
上条「そうじゃなくてさ!」
神裂「いいんです」ギュッ
上条「そういう訳にも……」
神裂「……そうですね。でしたら、言うこと1つ聞いてくれたら離してあげます」
上条「本当か?」
神裂「はい」ニコ
上条(笑顔が近いっ!!)
上条「そ、それで何をすれば!」
神裂「簡単です。私を満足させてください」
上条「はいっ!? これで、まだ満足してないんですか!?」
神裂「まだ足りません」
上条「ひ、ヒントは?」
神裂「ありません。自力で頑張ってください」
上条(ど、どうしろって言うんだぁぁぁ!!)
345 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/04/30(土) 18:19:11.40 ID:tD6tDf5T0
上条「ええと……」
神裂「ギブアップですか?」
上条(考えろ! 神裂が満足しそうなものを……)
上条「神裂!」
神裂「はい?」
チュッ
神裂「!?」
上条「こ、これでどうだ……?」
神裂「」
上条「か、神裂……?」
神裂「ふぁ……」ドサ
上条「ええっ!? 神裂!?」グイ
上条(力が入ってない!?)
神裂「すぅ……、すぅ……」
上条「あ。な、なんだ……。気絶しただけか」
上条(今のうちに離れよう……)
神裂「んぅっ……」zzz
上条「起き……てないな」
上条(しかし、ちょっとやりすぎた……というかやられすぎたな。こんな調子で残り2、3日もつか?)ポリポリ
神裂「すぅ……、すぅ……」
上条「はは。でも、神裂と一緒ならそういうのも悪くないかもな」
347 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方):2011/04/30(土) 18:27:58.14 ID:jtoAJW+C0
ちょっと騎士団長呼んでくる
354 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/08(日) 18:06:40.55 ID:evbuF7fz0
共同生活8日目 早朝
―――
上条「ふぁ……」
上条(ん? また大分早い時間に目が覚めたなぁ……)
上条「神裂はまだ起きてないか」
神裂「……」
上条(昨日の神裂は熱で暴走してたんだよな。うん。きっとそうに違いない)
上条「風邪引いたって訳じゃないよな?」ピト
神裂「……」ピクッ
上条「ん? やっぱり熱あるか?」
神裂「zzz」
上条「いや、気のせいだな」
神裂「……」ホッ
上条「……」
上条「しかし、こうやって改めて神裂見ると美人だよな」
神裂「!?」
上条「顔だけじゃなくてスタイルもいいし、その辺のモデルなんか比べ物にならないだろ」
神裂「///」
上条「そんな外見なのに中身は意外と初心っぽくてかわいいしな」
神裂(お、起きるタイミングを失ってしまいました)
355 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/08(日) 18:07:18.56 ID:evbuF7fz0
上条「正直、上条さんにはもったいないくらいですよ」
神裂(そ、そんなことはありません! むしろ私の方が……)モジモジ
上条「家事も気配りもできるし」ウンウン
神裂(ぜ、全身がむずがゆい……)///
上条「それに……」チラ
神裂(ううう、まだあるんですか? う、うれしいですけれど)///
上条「寝たフリなんかしちゃって、こっそり聞いてるところなんかもかわいいしな」
神裂「う。気づいていたんですか?」
上条「そりゃまあ、あんだけモジモジしたり、顔真っ赤にしたりしてたら分かるって」ハハハ
神裂「そ、そうですか」シュン
上条「ん?」
神裂「からかっていただけなのですか?」
上条「い、いや……その……」
神裂(当麻があんなこと言うのは何かおかしいとは思いましたが―――)
上条「反応を見て楽しんでたのは謝るけど、口にした言葉は本当のことだけだから!」
神裂「―――ッ!」/// ボン
上条「あ」
356 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/08(日) 18:07:44.69 ID:evbuF7fz0
神裂「そ、それはつまり……」
上条「ははは……。ウソはついてないけどさ」
神裂「///」
上条「そ、それはそうと、良く眠れたか?」
神裂「えっ!?」
神裂(そ、そういえば昨日……)
上条(ああっ!! し、しまったっ!? また墓穴を掘っちまった!?)
神裂「お、おかげさまで」///
上条「それはよかった」///
神裂「……」
上条「……」
神裂「い、いえ! あれは違うんです!」///
上条「な、なんだよ急に?」ビクッ
神裂「昨日のアレは、熱に浮かされておかしくなっていただけですから!」///
上条「な、なんだ。やっぱりそうだったのか」
神裂「……え? やっぱり?」
上条「明らかに様子がおかしかったから、そんなことなんじゃないかと思ってたんですよ」
神裂「そ、その通りですが……」
神裂(あっさり納得されるのも腑に落ちません)
357 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/08(日) 18:08:12.20 ID:evbuF7fz0
上条「特に風邪引いてる訳でもなさそうだし、安心したよ」
神裂「し、しかし……」
上条「ん?」
神裂「すごく気持ちよかったのは本当です」///
上条「んなっ!?」///
神裂「そ、それに、こうやって少し緊張も解けてきた気がしますし!」
上条「そりゃそうかもしれないけどさ!」
上条(またあんなことされたら、冷静に対処できる自信がありませんよ!?)
神裂「で、ですから」
上条「う、うん」
神裂「また少しずつスキンシップを取るのもいいと思います」
上条「そ、それも……そうなのか?」
神裂「そうなんです」///
上条「でも、昨日のはレベル高すぎたからもうちょっと軽くな」ハハハ
神裂「そ、それもそうですね」
上条「じゃあ、そうだな……」
神裂「その前に……ゆ、『勇気』を分けてもらえませんか?」///
上条「ええっ!?」
上条(この流れでそれはレベル高くありませんかね!?)
358 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/08(日) 18:08:39.11 ID:evbuF7fz0
神裂「だ、ダメでしょうか?」///
上条「だ、ダメじゃありません!」
上条(神裂さん的には、『キス<ハグ』なんでしょうかーっ!?)
神裂「そ、それでは……お、お願いします」ドキドキ
上条「うっ。い、いくぞ?」ドキドキ
神裂「ど、どうぞ」
上条(すごく緊張する……)
神裂「んっ……」チュッ
上条「……これでいいか?」
神裂「はい」ポーッ
上条「―――ッ!!」サッ
上条(ぐぉぉぉっ! 高校生男子に、その顔は破壊力が高すぎますって!!)
神裂「どうかしましたか?」ホワホワ
上条「なんでもないです!」///
神裂「顔赤いですよ?」///
上条「いやいやいや! 神裂ほどじゃないと思うぞ!」
神裂「え?」ハッ
上条「気づいてなかったのか……」
359 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/08(日) 18:09:09.72 ID:evbuF7fz0
神裂「す、すみません。またボーっとしてしまったみたいで」
上条「気にすんなって。すごくかわいいかったし」///
神裂「か、かわいい……ですか?」///
上条「正直、グラッときました」
神裂「そ、そうですか」///
上条「なんかこういうの照れるな」
神裂「そうですね」///
上条「俺は神裂のそういう顔も好きだけどな」
神裂「えっ?」
上条「だって、すごくいい顔してるからさ」
神裂「そ、そうではなく……」
上条「ん?」
神裂「今、初めて私のことを、その……『好き』と……」///
上条「―――ッ!!」
上条(今日の神裂さんの反応はイチイチ反則級だぞ、チクショォォォ!!)
360 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/08(日) 18:09:37.13 ID:evbuF7fz0
神裂「一昨日は、結局誤魔化されてしまいましたし」
上条「そ、そういえばそうだったな」
神裂「で、ですので、もう一度言ってもらえると嬉しいというかなんというか……」モゴモゴ
上条「そういうことなら……ゴホン」
神裂「と、当麻?」
上条「好きだぞ、神裂」
神裂「―――!」キュン
上条「か、神裂さん?」
神裂「は、はいっ!」
上条「大丈夫でせうか?」
神裂「だ、大丈夫です!」
上条「それならいいんですが……」
神裂「あ、あの!」
上条「な、なんだ?」
神裂「わ、私も大好きです!」///
上条「」
上条(じ、直に言われるのがこんなにヤバイとはーっ!! く、くそぅ。すごくかわいいじゃないか……)
369 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/10(火) 18:20:23.18 ID:To3iUT740
上条「直接言われるのは初めてだったよな」
神裂「そ、そうですね」モジモジ
上条「なんていうか……すげーうれしいかも」
神裂「私もです」///
上条「そりゃ良かった」ハハハ
神裂「そ、そういえば、そろそろ学校へ行く時間ではないですか?」
上条「え? 一緒にいられる時間少ないし、今日は休もうと思ってたんだけど……」
神裂「いえ! それはいけません! いつも通りの生活を心がけてくださらないと!」
上条「んー、でもさ」
神裂「お気持ちはうれしいですが、これからずっと会えなくなる訳ではありませんし!」
上条「そりゃそうだけど」
神裂「そのせいで留年されてしまっては、私もどうしていいか分からなくなってしまいます」シュン
上条「う……」
神裂「それに、その分明日構ってもらいますから」ニコ
上条「あ、明日は土曜か」
神裂「はい。ですから、今日は我慢します」
上条「そうか。神裂がそう言うなら、学校に行くとするよ」
神裂「そうしてください」ホッ
上条「?」
370 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/10(火) 18:20:54.16 ID:To3iUT740
―学校―
上条(なんで、神裂はホッとしてたんだろ? 緊張しっぱなしだったとか?)
土御門「今日は学校来るとは思わなかったですたい」
上条「土御門、テメェ……」
土御門「おおっと。カミやんに怒られる謂れはないと思うんだけどにゃー?」
上条「何ぃ?」
土御門「俺は恋のキューピッドってやつですよ? ねーちんがカミやんのことを気にしてるって言うから手助けしてやっただけですたい」
上条「そ、それはそうかもしれねーけどさ……」
土御門「それとも何か~? カミやんはねーちんじゃ満足できないって言うんですかい?」
上条「バッ!? そ、そんな訳ないだろ!!」
土御門「だったら、怒る理由なんてないよな? 全員幸せでハッピーエンドだにゃー」
上条「そうは言うけどよ……。あのスキルアウトなんかはマジでやりすぎなんじゃねえのか?」
土御門「あー……。ほら、そこは演出ということで」
上条「納得できるかっ!!」
土御門「まあまあ。あれがあったから一気に距離が近づいたんじゃないのかにゃー?」
上条「それは……」
土御門「それにカミやん。こんな大声で話してたら、クラスの連中が……」
上条「あ」
青ピ「ブ・チ・コ・ロ・シ・カ・ク・テ・イやね」
上条「ふ、不幸だーっ!!」
青ピ「どこがやねん、チクショウ!!」バキィ
上条「あべし」
371 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/10(火) 18:21:24.53 ID:To3iUT740
~~~
上条「く、くそ。授業中だけが俺の安息の時間ってのはどうなんですかーっ!」ダダダ
クラス男子A「死ね、上条!」ブン
上条「っぶねえ!!」サッ
青ピ「カミやんもなかなかタフやね。昼休みになるまでに片が付かんとは思わんかったわ」
上条「この程度で死ねるんだったら、今まで生きてねえよ!」
土御門(そのセリフはちょっと笑えないにゃー……)
小萌「コラーッ! 何を騒いでるんですか!」
上条「あっ! 小萌先生! 助けて!」サッ
小萌「ええっ!?」
クラス男子B「おのれ、上条。小萌先生を人質にするとは卑怯な」
小萌「いいから静かにするです! もうそろそろ5限の授業が始まるんですから!」
クラス男子C「チッ! 続きはまた後でだ、上条……」ギリギリ
クラス男子D「生きて学校を出られると思うなよ?」
上条(こ、怖ええ……)
土御門「ねーちんの写真を連中に見せてから、殺気がマジもんになってるぜい」
上条「余計なことしやがって……」
372 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/10(火) 18:21:50.31 ID:To3iUT740
小萌「それはそうと、上条ちゃん」
上条「あ、はい。なんですか?」
小萌「どうして、結果がどうなったかの報告には来てくれなかったんです?」
上条「あ」
小萌「てっきり、昨日のうちに来てくれると思ってたんですけど……」
上条「す、すみません! 今日の放課後にでも!」
小萌「まあ、いいですケドねー」
上条「ははは……」
~~~
姫神「上条くんに彼女……」ブツブツ
吹寄「姫神さん? 大丈夫?」
姫神「大丈夫、問題ない」
吹寄「そう? ちょっと顔色悪い気がするけど」
姫神「平気」
吹寄「ならいいけど……」
姫神「吹寄さんこそ大丈夫?」
吹寄「え? 私はなんともないわよ?」
姫神「ちょっと声が上ずってるかも」
吹寄「う」
姫神「今日は。一緒に遊びに行こうか」
吹寄「……ま、たまにはね」
373 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/10(火) 18:22:18.83 ID:To3iUT740
放課後
―職員室―
上条「やったよ……。俺生きてるよ……」ヨロヨロ
小萌「ど、どうしたんです? そんなにボロボロになっちゃって」
上条「ちょっといろいろありまして……」
小萌「あんまりはしゃぎすぎちゃダメですからね~?」
上条「それは周りの連中に言ってください」
小萌「元凶は上条ちゃんじゃないんです? 何が理由だったんですか?」
上条「ああ、そうだ。小萌先生のアドバイスのお陰でうまくいったことを報告に来たんでした」
小萌「……原因はそれです?」
上条「らしいです」
小萌「まだまだ若いですねー」
上条(小萌先生の外見で言われたくはないなー……)
小萌「ともかく、うまくいったなら、特別に今週の補習はなしにしてあげます」
上条「え?」
小萌「どうせ、そっちが気になっちゃって勉強にも身が入らないと思いますです」
上条「う、それは……」
小萌「それに学生なんですから、節度あるお付き合いをしないとダメですよ?」
上条「も、モチロン分かってますって~」
小萌「本当ですか~?」ジト
上条「や、やだな~」ハハハ
小萌「それじゃあ、気を付けて帰ってくださいね。上条ちゃん」
上条「はい。ありがとうございました」
374 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/10(火) 18:22:46.62 ID:To3iUT740
~~~
上条(節度あるって言われてもなぁ。このごろは神裂が妙にスキンシップを取ってくるし、俺の理性はどこまで持つだろうか……)
上条(そ、それに明日は一日中2人っきり……)
上条「……」
上条(い、いかん! あんまり考えないようにしよう!)
上条(落ち着け……落ち着け……。よし!)
上条「ただいまー」
神裂「お、おかえりなさいませ。ご主人様」///
上条「……………………は?」
神裂「ど、どうかしましたか?」モジモジ
上条「いやいや、これはこっちのセリフなんですけど!?」
上条(すごいオッパイでフトモモでエロいメイドさん!!?)
神裂「な、何かおかしいでしょうか?」ワタワタ
上条「おかしいところしかないだろ! な、なぜに堕天使エロメイド!?」
神裂「先日、押入れで発見したもので……。こういうのが好きなのかと」///
上条「嫌いじゃないですよ? いや、むしろ好きですけれども!」
神裂「そ、そうですか」パァ
上条「うっ……」
上条(こんな攻撃もくらって俺の理性は持つのでしょうかーっ!?)グラグラ
375 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/10(火) 18:23:14.58 ID:To3iUT740
神裂「と、とりあえず上がってはどうでしょうか?」///
上条「そ、そうだな!」
上条(しかし……)チラ
神裂「?」
上条(ヤバイ、ヤバイとは思っていたが、ここまでヤバイ服だとは思ってなかったぜ……)
神裂「どうかしましたか?」モジモジ
上条「なんでもありませんのことよ!?」
神裂「そうですか?」
上条「イエス! 上条さんは至って平常運転です!」
神裂「それならいいのですが」
上条(な、なんとか誤魔化せたか)
神裂「…………」///
上条「…………」ジー
上条(それにしても、すごいおっぱいだな。おっぱいすごい)
神裂「…………」///
上条「…………」ジー
上条(半分くらい飛び出してるんじゃないか? スカートも短いし……)
神裂「あ、あの! そんなに見つめられると……」///
上条「はっ!? す、すまん!!」サッ
神裂「い、いえ……」
376 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/10(火) 18:23:56.70 ID:To3iUT740
上条「…………」
神裂「…………」
上条(ど、どうすれば……)オロオロ
神裂「あ。そうでした」
上条「ん?」
神裂「今の私はメイドです!」///
上条「そ、そうだな。どこから見てもメイドさんだな」
神裂「で、ですから、して欲しいことがありましたら、なんでもお申し付けくださいっ!」///
上条「ええっ!?」
上条(なんでも!? なんでもって言ったのか!?)
神裂「できるだけ頑張りますので!」
上条「ええっと……」
神裂「なんでしょうか?」///
上条「ど、どうして、急にそんなことを?」
神裂「それは、その……」
上条「?」
神裂「この服が入っていた箱の底に、こ、こんなものが……」///
上条「ん?」
『メイド in ヘブン』(※R-18)
上条「ベゴブゥッ!?」
上条(つ、土御門ォォォ!!)
377 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/10(火) 18:24:23.61 ID:To3iUT740
上条「そ、それはだな!」アセアセ
神裂「いえ! 分かってます! あなたも年頃の男性ですから!」
上条「そうじゃなくて!」
上条(このままでは、上条さんまでメイドさんバンザイの人間にされてしまう! 間違いではありませんけど!)
神裂「で、ですから、なんでも申し付けてください!」
上条「な、なん……だと……?」
上条(その本を中身を見たんだろ? それで尚且つ『なんでも』だと……?)ゴクリ
神裂「か、覚悟はできています」///
上条「―――ッ!!」
上条(おおおおおおお、落ち着け! 落ち着くんだ、上条当麻! これは罠に違いない!)
神裂「…………」/// モジモジ
上条(なんかもう罠でもいい気がしてきた……)
上条「そ、それじゃあ……」///
神裂「は、はいっ!」ビクッ
小萌『学生なんですから、節度あるお付き合いをしないとダメですよ?』
上条(あ……)
上条「ゆ、夕飯でも作ってもらおうかな」
神裂「……………………………はい?」
386 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/11(水) 18:39:46.65 ID:5/eQL9zl0
神裂「夕食……ですか?」
上条「おう。ちょっと腹減っちまってさ」
神裂「そ、そうですか。では、すぐ準備しましょう」
上条「ああ、頼む」
神裂「少々お待ちください」スッ
上条「…………ふぅ」
上条(危ねえええええっ!! 危うく大人の階段を登ってしまうところでしたよ!!)
上条「でも、少し勿体無かったかも」
神裂「何かいいましたか?」
上条「いえっ! 何にも!」
神裂「? そうですか」
上条「そ、それより、夕食は何にするんだ?!」
神裂「ええと、カレイの煮付けにでもしようと思っているのですが」
上条(メイドさんの格好で、魚の煮物ってのもシュールな気がする)
神裂「別のものにしましょうか?」
上条「いや、大丈夫! ちょうど魚食べたいなーって思ってたし!」
神裂「そうですか。それなら良かったです」ニコ
上条(しかし、覚悟って一体なんの覚悟だったんだろうか……。いや、あんまり考えるのはやめよう)
387 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/11(水) 18:40:20.95 ID:5/eQL9zl0
~~~
上条(よし。少しずつ落ち着いてきたぞ……)
神裂「準備ができましたよ、当麻」
上条「あ、サンキュー。うまそうだ」
神裂「ありがとうございます」
上条「配膳くらいは手伝えばよかったな?」
神裂「いいえ。今日はそう言うわけにも行きません」
上条「なにもそこまで徹底してなくてもいいんじゃないか?」
神裂「いいんです。やりたくてやっていることですから」
上条「そ、そうか」
上条(健気に尽くしてくれるっていうのもポイント高いです! しかも、エロいメイド服とかもう!)
上条「ってあれ? 箸がないんだけど?」
神裂「そ、それはですね……」///
上条「うん?」
神裂「こうするためです!」
上条「はい?」
神裂「あ、あ~ん♪」/// スッ
上条(な、なんだと!?)
388 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/11(水) 18:41:04.57 ID:5/eQL9zl0
神裂「ど、どうぞ」
上条(何が起こっているんだ? メイドさんに『あ~ん』をしてもらっているだと!?)
神裂「と、当麻?」
上条「あ、すまん。ちょっと意識が飛んでた」
神裂「大丈夫ですか?」
上条「大丈夫だ。多分」
神裂「で、では続きを」
上条(くっ。この羞恥プレイを続けるっていうのか?)
神裂「あ、あ~ん♪」///
上条(ぐぅっ!? 神裂のおっぱいが寄せられて大変なことにっ!!)
上条「あ~ん?」/// パク
上条(やばい。うまいんだろうけど、味が分からない)
神裂「ど、どうですか?」
上条「ああ、うまいよ」ニコ
神裂「そうですか」ホッ
上条(ええい! もう吹っ切れるぞ! それにこのままやられっぱなしで終わるってのも良くない!)
上条「やってもらってばっかりってのも悪いよな!」
神裂「いえ、そんなことは―――」
上条「だから、今度は上条さんが食べさせてあげますよ」
神裂「え?」
389 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/11(水) 18:41:36.98 ID:5/eQL9zl0
神裂「それはどういう……」
神裂(当麻の目が妙に据わってる気がします)
上条「だから、今度は上条さんが『あーん』を神裂にしてあげるって話だよ」
神裂「ええっ!?」///
上条「嫌なのか?」
神裂「そんなことありません! ですけど……」
上条「ですけど?」
神裂「してもらうのは恥ずかしいというかなんというか」ゴニョゴニョ
上条「こっちだって恥ずかしかったんだぞ」
神裂「う……。分かりました」
上条「よろしい」
神裂「そ、それではお願いします」///
上条「お、おう!」ゴクリ
上条(と、勢いでここまで来たのはいいんだけど、すごく恥ずかしいな、これ!!)
上条「あ、あーん」/// スッ
神裂「あむ」パク
上条「どうだ?」
神裂「と、当麻の味がしておいしいです」///
上条「!?」
上条(それってどういう意味ですかーっ!?)
390 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/11(水) 18:42:04.67 ID:5/eQL9zl0
上条「お、俺の味?」
神裂「ええと、その……。当麻と同じお箸でしたので……」
上条(間接キッスって話ですか!? ち、チクショウ! なんだこのかわいさは!?)
上条「ぐぐぐ……」///
上条(くぅぅぅっ。落ち着けっ! 今更、間接キスくらいで動揺するんじゃない! これは神裂の罠だっ!)
神裂「そんなに顔を真っ赤にしないでください!! こっちだって恥ずかしいんですから!!」カァァ
上条「そ、そうか。すまん」
神裂「い、今のは忘れてください」モジモジ
上条「そういう訳にも……」
神裂「ううう……」///
上条「だって、かわいかったしさ」
神裂「―――ッ!!」/// ボン
上条「忘れるにはもったいないかわいさでしたよ」
神裂「と―――」
上条「ん?」
神裂「とうまのいじわる」ボソ
上条「ガハッ!!」
上条(くそっ! これ狙ってる訳じゃないんだよな? 上条さんの精神はもう壊れそうですよ!)
391 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/11(水) 18:42:42.86 ID:5/eQL9zl0
~~~
上条「ごちそうさまでした」///
神裂「ごちそうさまでした」ポー
上条(や、やっと夕飯が終わった……。顔がすごく熱くなってる気がする)
神裂「それでは次は……」
上条「ちょ! ちょっと待ったーっ!」
神裂「はい、なんでしょうか?」
上条「いつまで、これ続くんでせうか?」
神裂「ええと、とりあえず就寝するまでは続けようかと」
上条「なん……だと……?」
上条(この天国の拷問みたいな時間がまだ続くっていうのか? 上条さんの限界はもう突破してるっていうのに!?)
神裂「ご迷惑でしょうか?」シュン
上条「そんなことないぞ!」アセアセ
神裂「本当ですか?」
上条「ああ! 夕飯だってすごくうまかったし!」
神裂「それは良かったです」ホッ
上条(こういうところが上条さんのダメなところなんでしょうかね?)
神裂「そ、それでは、次は……」スッ
上条(何か取り出した?)
上条「って、それは……」
神裂「はい。耳掻きです」///
392 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/11(水) 18:43:20.17 ID:5/eQL9zl0
上条(耳掻き? それをこの服装のまま? それなんてプレイ?)
神裂「そ、その……。以前、病室でそんなことを言っていましたよね?」 ※7巻参照
上条「はっ!?」
神裂「それで、こういうのがお望みなのではないかと思いまして……」///
上条「いや、あれを言ったのは土御門ですから! もちろん、上条さんもこういうの好きですけれども!!」
神裂「で、では、どうぞ」///
上条「ま、マジで?」
神裂「決心が揺らぐ前にお願いします!」カァァ
上条「はいっ! スミマセン!」トサ
上条(うゎ……。スカート一枚だからフトモモの温かさが……。うん、これ以上考えたらマズイ)
神裂「それでは、始めます」
上条「お、お願いします」
神裂「で、では……」スッ
上条(すごく緊張してるみたいだけど大丈夫か? すごく不安なんですけど)
神裂「………………」
上条(お? 意外と大丈夫そうだな。手馴れてはいなさそうだけど、そこまで不器用じゃないみたいだ)
上条「うまいもんだな、神裂」
神裂「静かに!」
上条「え?」
神裂「て、手元が狂ってしまいます」
上条「スミマセン……」
393 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/11(水) 18:43:55.35 ID:5/eQL9zl0
~~~
神裂「ふぅ……。やっと片方終わりました」
上条(すごい集中してたな。おかげであんまり甘い空気じゃなかったような気がしますけれど)
神裂「それでは、反対側をしますので、こちらを向いてもらえますか?」
上条「はいはいっと」クルッ
神裂「ありがとうございます」
上条「っな!?」
神裂「? どうかしましたか?」
上条「なんでもないです! はい!」
上条(し、視界の片隅に巨大建造物が2つ!!)
神裂「動かないでくださいね」プルン
上条(こいつ動くぞ!?)
神裂「行きます」スッ
上条(さっきは気にしていなかったが、もしやこれは、おっぱいとふとももにサンドされた状態なのかっ!?)
神裂「……………………」
上条「そうか。天国ってここにあったのか」
神裂「はい? いきなりどうしたんですか?」
上条「いや、なんでも……」ガリッ
神裂「……あ」
上条「ってええええええええ!!!」
上条(こ、これで良かったんだっ! なぜなら、ここままでは上条さんが正気を保っていられなかったからぁぁぁ!!)ジタバタ
394 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/11(水) 18:44:33.29 ID:5/eQL9zl0
神裂「す、すみません!」アワアワ
上条「だ、ダイジョウブデス」
神裂「良く見せてください! 傷になっていたりしたら大変ですから」グイ
上条「ぬぉっ!?」ムニュン
上条(ほっぺたに柔らかい感触がぁ!?)
神裂「どうやら傷にはなっていないようですね」ホッ
上条「ソ、ソウデスカ」カチコチ
神裂「先ほどから妙なカタコト言葉ですが、本当に大丈夫ですか?」ムニュムニュ
上条「ええと、その……」
神裂「?」
上条「さっきから、その……。胸が……」
神裂「………………」
神裂「!?」バッ
神裂「は、早く言ってください!」///
上条「ご、ごめんなさいっ!!」
神裂「まったく、当麻は……」
上条「いやいや! そんな服装なんだから、もうちょっと意識してるもんだろ、普通!」
神裂「そ、それはそうかもしれませんけど」
395 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/11(水) 18:44:59.57 ID:5/eQL9zl0
上条「まあ、俺も黙ってたのは悪かったけどさ」
神裂「そうですよ」
上条「………………」
神裂「………………」
上条(く、空気が……)
神裂「そ、それで」
上条「ん?」
神裂「気持ちよかったですか?」
上条「それはもう」
神裂「う……」///
上条「あ」
上条(しまった! はっきりいいすぎたか?!)
神裂「とうまのえっち」///
上条「」
神裂「当麻?」
上条「神裂」
神裂「は、はい!」
上条「ちょっと俺、今から風呂入ってくるから」
神裂「え? あ、はい。ごゆっくり」
396 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/11(水) 18:45:43.45 ID:5/eQL9zl0
~~~
上条「ふぅ……」
神裂「あ、上がりましたか。だいぶ長湯でしたね」
上条「ああ。気にしないでくれ。なかなか疲れが取れなくてな」
上条(落ち着こうとして、なかなか落ち着けなかっただけなんですけどね……)
神裂「そういうことでしたら、マッサージでもしましょうか?」
上条「マッサージ?」
神裂「ええ。ここに横になってください」ポンポン
上条(やっと落ち着いたと思ったら、またイベントですかーっ!? いや、すごくうれしいんですけど!!)
神裂「さあ、遠慮なさらずに」
上条「ええと、それでは」ドサ
神裂「マッサージをするのは初めてですので、いろいろと指摘していただけると助かります」
上条「素人のマッサージなんて大差ないんじゃないか?」
神裂「そうなのですか?」
上条「良くは分からないけどな」
神裂「それで、どの辺でしょうか?」
上条「んー……。肩の辺りとか?」
上条(今更デマカセとはいえない……)
神裂「分かりました。それでは、お任せください」
上条「ああ、頼むよ」
397 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/11(水) 18:46:31.53 ID:5/eQL9zl0
神裂「っしょっと」グリグリ
上条(お。結構、気持ちいいな)
神裂「んふっ……、ふぅっ……」グリグリ
上条「…………」
神裂「はぁっ……、んぅっ……」グリグリ
上条(なんだかすごく色っぽく聞こえるのは気のせいでしょうか?)
神裂「気持ちいいですかっ?」グリグリ
上条「え? ああ! もちろんですよ!」
神裂「では、もっと頑張りますね!」グニグニ
上条(気持ちいい……。気持ちいいが、さっきから神裂にばっかり主導権を握られてるのがモヤモヤする)
神裂「っしょ……、っく……」グリグリ
上条(あれ? 待てよ? もし、今、聖人の力が戻ったら……)
上条「か、神裂さん!」
神裂「はい? なんでしょうか?」
上条「マッサージはそのくらいで大丈夫です!」
神裂「あ、分かりました」スッ
上条(危ない……。最悪の事態は避けられたぞ……)
神裂「それでは……」
上条「神裂も風呂入っちゃえよ! 今日はもう寝ようぜ?!」
神裂「あ、それもそうですね。明日は一日ありますし」
上条「そうでした」
398 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/11(水) 18:47:14.26 ID:5/eQL9zl0
~~~
上条「しかし、この調子で明日一日もつのか……?」
上条(結局、神裂に色々やられて、上条さんは内なる戦いに身を投じなければならなくなるような気がする……)
上条「そ、それじゃダメだ! 年上の人が相手とはいえ、女の子なんだから、男の俺がリードしてやらないと」
上条「し、しかし、このままでは主導権が……」ブツブツ
上条(今からでも、立場を逆転できる手段はないものか……)
上条(いや、待てよ? 一方的にされるがままになってるけど、今日はまだ、メイドとご主人って立ち位置だよな?)
上条(ということは……)
上条「今なら、まだ逆転は可能……」
神裂「何のですか?」
上条「」ビクッ
上条「あ、神裂。上がったのか」
神裂「はい。いいお湯でした」
上条「そうか」
上条(何かするなら今か?)
上条「ゴホン。神裂」
神裂「はい。なんでしょうか?」
上条「えーと、今日一日メイドさんとしていろいろしてくれたよな?」
神裂「え? はい。そうですけど?」
上条「それじゃあ、ご褒美をあげないといけないよな」
神裂「はい?」
399 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/11(水) 18:48:17.04 ID:5/eQL9zl0
上条「まあ、つまりお礼だよ。お礼」
神裂「い、いえ! そんなつもりで、色々していた訳では……」
上条「ええと、その……」
神裂「?」
上条「お礼に『勇気』を分けてあげようかなーと」/// ポリポリ
神裂「―――ッ!! と、当麻!!」///
上条「いいかな?」
神裂「そのご褒美でしたら、謹んでお受けします」///
上条「ええと……では」
神裂「んっ」チュ
神裂(びっくりしましたが、これはうれしいですね)ホワホワ
上条(神裂のやつ油断してるな?)
上条「んっ」クチュ
神裂「んんっ!?」
神裂(し、舌が!?)
神裂「んむっ、んぁっ、くちゅっ、ちゅくっ、れろっ、ぴちゅっ」
上条「ぷぁ…。……満足してもらえたかな?」///
神裂「は、はいっ……」///
上条「それじゃ、おやすみっ!」
神裂「お、おやすみなさい。当麻」///
411 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/13(金) 18:40:17.39 ID:GIjw+wmj0
共同生活9日目
―――
上条「今日はデートをします」
神裂「はい?」
上条「デートだよ。デート」
上条(昨日、あれから色々考えた結果、一日中家に2人きりってのは無謀だという結論に至った訳ですよ)
神裂「デートですか?」
上条「ああ。天気もいいし、外歩いて回ろうぜ」
神裂「それもそうですね。何かプランでもあるんですか?」
上条「いや、特には。ただ、神裂とならただぶらぶら歩いても楽しいかなーと思って」
神裂「そ、そうですか?」///
上条「もちろん。それとも、何かしたいことある?」
神裂「当麻と一緒でしたら、なんでも構いません」
上条「そ、そうか」///
神裂「は、はい」///
上条「それじゃあ、早速出かけようぜ。時間は限られてるんだし」
神裂「あ。その……いろいろと準備をしたいので、どこかで待ち合わせにしてもらってもいいですか?」
上条「え? 別にいいけど」
神裂「そうですね……。では、10時に駅前ではいかがでしょうか?」
上条「ん、分かった。10時に駅前な。じゃあ先に行ってるぞ」ガチャ
神裂「はい。それではまた後ほど」
バタン
上条(って10時? まだ2時間近くあるじゃん……)
412 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/13(金) 18:41:18.39 ID:GIjw+wmj0
~~~
―駅前―
上条(コンビニなんかで立ち読みして時間潰したけど、神裂は何をそんなに手間取ってるんだろうか?)
ざわ・・ ざわ・・
神裂「お、お待たせしました」
上条「お、やっと来……た?」
神裂「お、おかしくないでしょうか?」
上条(そ、それは神裂が来て2日目に買ってた女の子っぽい服!!)
神裂「やはり、おかしいですか?」シュン
上条「そ、そんなことないぞ! すごく似合ってる! ちょっと見とれてただけです! はい!」
神裂「そ、そうですか。ありがとうございます」///
上条(しかし、その服は妙に胸元が強調されてる気がする。あと、心なしかスカートの丈も短い)ジー
上条「ん? その手さげ袋はなんだ?」
神裂「これですか? ふふっ。まだ秘密です」
上条(それの準備に時間がかかったのかな? まあ、そのうちなんだか分かるだろ)
神裂「それではどこから行きましょうか」
上条「それなんだけどさ……」
神裂「はい?」
上条「その服似合ってるんだけど、靴がブーツってのがどうもな」
神裂「あ。そういわれてみれば、そうかもしれません」
上条「ってことで、合いそうな靴でも見に行こうか」
神裂「はい」ニコ
413 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/13(金) 18:41:51.49 ID:GIjw+wmj0
―セブンスミスト―
上条「と、まあ、服をここで買ったから、靴もここでそろえるのがいいんじゃないかと」
神裂「しかし、このような服には、どのような靴が合うのでしょうか?」
上条「んー……。俺も分かんないし、とりあえず色々見てみようぜ」
神裂「それもそうですね」
~~~
神裂「…………」ジー
上条「どう? 気に入ったのあった?」
神裂「い、いえ。特には」
上条「まったく?」
神裂「その……当麻が選んでもらえませんか?」
上条「俺が選んじゃっていいのか? あんまりセンスには自信ないんですけど」
神裂「構いません。当麻に選んでいただいたものなら気に入るはずですから」
上条「うーん、そうだな……。やっぱり、ヒールとか?」
神裂「え?」ビクッ
上条「ど、どうした?」
神裂「あ、ヒールは、その……ちょっと……」
上条「何か理由でもあるのか?」
神裂「い、いえ……」ゴニョゴニョ
上条「?」
414 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/13(金) 18:42:29.09 ID:GIjw+wmj0
上条「似合うと思うんだけどな」
神裂「ええと、その……」
上条(あんまり聞いちゃいけないことなのかな? 前に嫌な思いをしたとか)
神裂「わ、私のようなものにヒールはちょっと……」
上条「は? どういう意味?」
上条(そりゃ戦闘には向かないかもしれないけど、今日はそんなこと起こらないだろうし……)
神裂「わ、私の身長がですね……」ゴニョゴニョ
上条「あー」
上条(そうか。神裂は170後半はあるもんな。ヒール履いたら180超えるかもしれない)
神裂「ううう……」
上条(でも、ブーツも大差なくね? 気にし過ぎな気もするけど)
上条「特に気にしなくていいんじゃないのか?」
神裂「え?」
上条「どうせだったら、神裂に似合うもの履いたほうが俺もうれしいし」
神裂「あぅ」///
上条「どうする?」
神裂「で、では、当麻にお任せします」チラチラ
上条「ははっ。神裂さんは素直じゃないなー」
神裂「そ、そんなんじゃありません!」///
415 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/13(金) 18:42:56.91 ID:GIjw+wmj0
上条「よし。これなんかどうだ?」
上条(一応、そんなに踵が高くないものを選びましたよ)
神裂「あ、いいかもしれません」
上条「お、そうか?」
神裂「はい。かわいいです」ニコ
上条「そうか! よし、それじゃ会計を……。あれ、サイフはどこ行ったかな?」ゴソゴソ
神裂「あの……何をしているんですか?」
上条「これ上条さんがプレゼントして差し上げますのことよ」
神裂「ええっ!? い、いえ、それは……」
上条「飯作ってもらってるお礼だと思ってさ。神裂はもうちょっと上条さんに甘えてもいいんですよ?」
神裂「そうですか? すでに相当甘えている気もしますが……」
上条「遠慮するなよ」
神裂「そ、それではお言葉に甘えさせていただきます」ペコリ
上条「おう」
店員「いらっしゃいませー。彼女さんへのプレゼントですか?」
上条「あ、はい」
神裂「///」
店員「仲がお宜しいですねー。こちら6300円になります」
上条「え?」
上条(なん……だと……?)
416 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/13(金) 18:43:27.91 ID:GIjw+wmj0
上条(け、結構するんだな。値札を見てませんでしたよ?)ダラダラ
神裂「当麻?」
上条(っといけない! ここで、神裂を不安な顔にさせるわけには!)
上条「な、なんでもないぞ!」
上条(ここのところ食費が抑えられてたし、それを思えば……) つ万札
店員「1万円からお預かりします。こちらお包みいたしましょうか?」
上条「あ、いえ。すぐ履くんで」
店員「分かりました。こちらお釣りとお品物になります」
上条「どうも。ほい、神裂」
神裂「あ、ありがとうございます!」///
上条(神裂のこの顔を見られただけでも、プレゼントした甲斐があったな)
上条「よし、行こうか」
店員「あ、お客様」
上条「ん?」
店員「現在、当店10周年記念の福引を行っております。お帰りの際には、ぜひお立ち寄りください」
上条「へー。そんなのやってたのか」
店員「2000円のお買い上げごとに1回抽選ができます。正面入り口にて行っておりますので、よろしければ」
上条「ふーん。じゃあ、帰りに寄ってみるか」
神裂「そうですね」
店員「ありがとうございましたー」
417 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/13(金) 18:43:53.38 ID:GIjw+wmj0
上条「っと、もうお昼か。昼飯はどうする?」
神裂「あ、それなのですが」
上条「ん?」
神裂「実は、作ってきました」
上条「え?」
神裂「用意に少し時間がかかってしまいましたが」
上条(今朝、待ち合わせにしたのはそれが理由だったのか。わざわざ手作りのお弁当を……)
上条「ってことは、その手提げ袋は……」
神裂「は、はい。ご想像の通りです」モジモジ
上条「うぉぉぉ。マジですか!?」
神裂「喜んでいただけると、私もうれしいです」///
上条(こういうのなんか青春っぽいよなー。上条さんが実際に体験できるとは思いませんでしたよ……)
神裂「そういうことなのですが、どこか食べられる場所に心当たりはありますか?」
上条「んーと……。ここの屋上にテラスがあるみたいだから、そこで食べよう」
神裂「はい。分かりました」
上条「神裂の料理はうまいから楽しみだな」
神裂「ふふっ。靴を履き替えてから行きますので、場所を取っておいてもらえますか?」
上条「了解」
神裂「それでは、また後ほど」
418 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/13(金) 18:44:25.70 ID:GIjw+wmj0
―セブンスミスト 屋上―
上条「んーっ。いい天気だなー」
上条(これから寒くなるなんて信じられないような陽気だ)
神裂「お待たせしました」カツ
上条「お、やっぱり、ブーツよりそっち方が似合うな」
神裂「あ、ありがとうございます」///
上条「それじゃ、飯にしようぜ」
神裂「あ、はい。今用意しますね」ガサゴソ
上条「へえ。今日はオニギリか」
神裂「具は梅干と鮭の2種類ありますけど、どちらにしますか?」
上条「いくつあんの?」
神裂「ええと、それぞれ4つずつあります」
上条「それじゃ、2つずつにしよう」
神裂「分かりました。どうぞ」スッ
上条「サンキュー」
上条(意外に小さいオニギリだし、4つくらいは楽勝、楽勝)
神裂「それにしても、いい天気ですね」
上条「そうだなー」
上条(うーん。こういうゆるい空気もいいもんだなー。ここのところ緊張しっぱなしだったし)
419 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/13(金) 18:45:32.62 ID:GIjw+wmj0
~~~
上条「ごちそうさんでした」
神裂「はい」ニコ
上条「ふぁ……。満腹になったら、眠くなってきた」
神裂「それでは、もう少し休んでいきますか?」
上条「だなー」
神裂「そうですね……。ええと……」キョロキョロ
上条「ん? 何か探し物か?」
神裂「あ! あちらのベンチに移動しませんか?」
上条「ベンチ? ああ、あれか。別にいいぞ」
神裂「では、行きましょうか」
上条「おう」
~~~
上条(それにしても、屋上は人が少ないもんだな。休日の昼間だってのに)ドス
神裂「………………」トス
上条(ここ最近の慌しさが嘘のようだ…・・・)
上条「ふぁ……」
神裂「眠そうですね?」
上条「まあ、少しな」
神裂「で、では、どうぞ」トントン
上条「え?」
上条(フトモモを指差して……。って、こんなところで膝枕!?)
420 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/13(金) 18:46:04.85 ID:GIjw+wmj0
上条「ええと……」
神裂「///」
上条(そ、そうか! そのためにベンチに移動したのか!)
上条「で、では、失礼しまして」ポス ///
神裂「は、はい」
上条(温かい……。それにいい匂いもする……)
神裂「ど、どうでしょうか?」
上条「ああ。良く眠れそうですよ」
上条(緊張さえしてなければですけどね)
神裂「そうですか」ニコ
上条「ははは。でも、ちょっと恥ずかしいな」///
神裂「そ、そうですね」///
上条「じゃあ、適当な時間になったら起こしてくれ」
神裂「はい。分かりました」
上条(はたして寝れるだろうか?)
神裂「オヤスミなさい。当麻」
429 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/16(月) 18:38:17.70 ID:M0/ed90V0
神裂「―――い。そうですか。分かりました」
上条「んっ……。神裂?」
神裂「おや、起きてしまわれましたか」
上条「誰かと電話してたのか?」
神裂「ええ。土御門と」
上条「土御門?」
神裂「はい。実は、さきほど力が戻りまして……」
上条「え?」
上条(ってことは、神裂と一緒にいられるのは―――)
神裂「明日のお昼の便でロンドンに戻ることになりました」
上条「そうか」
神裂「はい……」
上条「……それなら、今日の残りは思いっきり楽しもうぜ」
神裂「そうですね……。そうしましょう」
上条(次に会えるのがいつになるか分からないしな)
430 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/16(月) 18:38:47.60 ID:M0/ed90V0
神裂「それで、これからどうしますか?」
上条「今何時?」
神裂「現在は……4時ちょっとですね」
上条「ええっ!? 俺、3時間近く寝てたのか!?」
上条(あんなに緊張してたくせに、ぐっすり寝すぎじゃないですか!?)
神裂「それはもうスヤスヤと」
上条「あー、悪いな。そんなにヒマにさせちまって」
神裂「いえ。当麻の寝顔がかわいかったですから、そんなにヒマという訳でもありませんでしたよ?」クスクス
上条「う……」///
上条(こう面と向かって言われると、すごく恥ずかしい)
上条「そ、それはそうと、これからどうする?」
神裂「もう少し見て回りますか?」
上条「んー……。それもいいけど、時間もあんまりないし、夕飯の算段でも立てておかないか?」
神裂「あ、それもそうですね」
上条「とりあえず買出しだな。それとも、どこかで食べていく?」
神裂「お任せします」
上条「そうだなぁ……」
神裂「ブラブラしながら考えましょうか」
上条「おう」
431 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/16(月) 18:39:20.42 ID:M0/ed90V0
―セブンスミスト 正面入り口―
カランカラーン 2トウオオアタリー
神裂「おや? 何かやっていますね」
上条「何か?」
上条(そういえば福引やってるんだったっけ?)
神裂「福引のようですね」
上条「だな。さっき買い物したから、3回できるぞ」
神裂「頑張ってくださいね」
上条「え? 上条さんがやるんですか!?」
神裂「当麻がやらなければ、だれがやるんですか?」
上条「自慢じゃありませんが、上条さんは当たる自信がこれっぽっちもありませんよ?」
神裂「それでもいいではありませんか」
上条「い、いや! せめて神裂さんも1回お願いします! 上条さんよりは期待できますし!」
神裂「はぁ……。まあ、いいですけれど」
上条「そうと決まれば、さっさと引こうぜ」グイ
神裂「は、はい」
上条(ええと……。残念賞はポケットティッシュか。って最初から残念賞を確認する癖をなんとかしたい……)
神裂(特等は学園都市制の電気自動車ですか)
432 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/16(月) 18:39:47.80 ID:M0/ed90V0
店員「いらっしゃいませー。レシートを拝見させていただきますねー」
上条「あ、はい」
店員「それでは、この中から3枚引いてくださーい」
上条「そ、それでは……」ゴソゴソ
神裂(1等、2等が商品券で……、3等は食事券ですか)
上条「よ、よし。この2枚に決めたぞ……」
店員「それでは、確認させていただきます」
上条「はい」
上条(結果は見えてますけどね……)
店員「こちら2枚とも6等になります」
上条「え?」
上条(ハズレじゃないだと!? 6等……6等ってなんだ?)キョロキョロ
店員「ええと、飴玉3つになります」
上条「ええっ!? ハズレの方がマシじゃないですか!?」
神裂「ははは……」
店員「小さいお子様向けの賞品ですので……」
上条「ふ、不幸だ……」
433 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/16(月) 18:40:26.47 ID:M0/ed90V0
店員「そ、それでは、あと1枚引いてもらえますか?」
上条「神裂さんお願いします……」orz
神裂「あ、当麻」
上条「なんでしょうか?」
神裂「落ち込んでいるところ悪いのですが、手を繋いでもらえますか?」
上条「はい?」
上条(手を繋ぐ? そんなことしたら、上条さんの不幸のせいで神裂まで残念な結果に……)
神裂「お願いします」
上条「まあ、神裂がそう言うなら……」ガシ
神裂「ありがとうございます」ニコ
上条(何を考えてるんだか……)
神裂「では」ガサゴソ
店員「はい。ありがとうございます。こちらでよろしいでしょうか?」
神裂「はい」
店員「ええと……。お、おめでとうございます! 3等です!」カランカラーン
上条「え?」
神裂「ふむ。ちょうど狙ったところですか」
上条(くっ。神裂の幸運は上条さんの幻想殺しでも打ち消せないっていうのか?)
434 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/16(月) 18:40:59.06 ID:M0/ed90V0
上条「それで、3等ってのは……」
店員「こちら、賞品の『お食事券』になります」
神裂「ありがとうございます」
上条「お食事券!?」
神裂「これで、夕食の心配はなくなりましたね」ピラピラ
上条「そ、それはそうかもしれないけど、こういうのって狙って出せるのか?」
神裂「普段は特等くらいしか当たらないんですけれどね」
上条「なん……だと……?」
上条(そんなうらやましスキルまで付いてるというのか……)
神裂「お恥ずかしい話ですが」ハハハ
上条「どこが恥ずかしいんだよ……」
神裂「……おや?」
上条「どうした?」
神裂「有効期限が来週からのようです」
上条「ははは……。変なオチがついたな」
神裂「そうですね。残念ですが」
上条「ま、そんなもんだろ。行こうぜ、神裂」
神裂「あ、はい」
店員「ありがとうございましたー。またのご来店お待ちしております」
435 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/16(月) 18:41:26.86 ID:M0/ed90V0
―セブンスミスト前―
神裂「当麻」
上条「ん? どうした?」
神裂「結局、夕飯はどうしましょうか?」
上条「あー。それなんだけどさ」
神裂「はい」
上条「うちで食べないか? 次、いつ神裂の手料理食べられるか分からないからさ」
神裂「いいのですか?」
上条「え? 何が?」
神裂「その……私の手料理などで……」
上条「当たり前だろ? むしろ、神裂さんの手料理の方が外食よりも何倍もいいですよ」
神裂「そ、そうですか?」
上条「まあ、神裂の手間を考えれば、外食の方が楽なんだろうけどな」
神裂「い、いえ! 当麻に食べていただけるなら、手間など惜しくはありません!」
上条「そ、そっか」///
神裂「は、はい」///
上条「なんつーか……うれしいな」
神裂「私もです。当麻」
上条「うん。それじゃ、買出ししていこうぜ」
神裂「はい。そうですね」
436 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/16(月) 18:41:52.87 ID:M0/ed90V0
~~~
上条「………………」
神裂「………………」
上条(ううう。もう、あんまり時間ないってのに、会話が……)
神裂「………………」
上条(よ、よし! ここは、俺から話を振って……)
上条「神裂」
神裂「当麻」
上条「!?」
神裂「!!」
上条「な、なんだ? 先に言っていいぞ」
神裂「いえ! 当麻こそ先にどうぞ!」
上条「ええと、じゃあ」
神裂「は、はい。なんでしょうか?」
上条「手でも繋ぐ?」
神裂「そ、そうですね! そうしましょう」ギュッ
上条「う」///
上条(い、今更手を繋ぐくらいでテンパるってのもおかしいよな。平静を保たないと……)ドキドキ
437 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/16(月) 18:42:21.68 ID:M0/ed90V0
上条「そ、それで、そっちはなんの話だ?」
神裂「ええとですね……」
上条「ん?」
神裂「そ、そろそろ、私のことも、その……名前で……」
上条「え?」
神裂「で、ですから『火織』と呼んでくれてもいいのではないでしょうか?」
上条「あ」
上条(そういえば、名前で呼んだことなかったな)
神裂「呼びにくければ、『神裂』でも構いませんが……」
上条「ん、別に構わないぞ。『火織』」
神裂「あ……」///
上条「どうかしたか?」
神裂「なんでもありません!」
上条「そうか? 今、一瞬すごく顔が赤くならなかった?」
神裂「そ、そんなことありませんよ?」
上条「火織」
神裂「―――ッ!!」カァァ
上条「ほら、やっぱりー」
神裂「と、当麻のいじわる!」ギューッ
上条「ぎゃぁぁああっ!? て、手がー!!」
447 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/17(火) 18:38:01.45 ID:1uGFgPXS0
―上条の部屋―
上条(さて、腹もいっぱいになったし、どうするかな……)
夕食後、上条は残り少ない時間をいかに有効活用するかを考えていた。
ちなみに、夕食は肉じゃが。最後の晩餐のメニューとしてはいかがなものか、と思う人もいるかもしれないが、神裂の作る料理では珍しい肉料理でもある。
ここ9日間で、魚が6割。煮物が5割。その他諸々といった具合だ。(魚と煮物が一緒に出てくる時もあった)
上条(おいしいから、魚ばかりでも全然いいけど、やっぱり学生としてはお肉が食べたい訳なんです)
何せ、牛丼の並み盛りは“おやつ”と公言するほどの食い盛りなのだ。
まあ、インデックスがいるときには、そのおやつにすらありつけないという事実があるのだが。
上条「いやいや、そんなことよりも、これからどうするかを考えないと」
神裂「どうかしましたか?」
口に出ていたらしい。洗い物をしていた神裂が反応する。
視線はこちらに向けてくるが、手を止めている様子はない。家事スキルが高いことがここからも窺える。
上条「もう明日には帰っちゃうんだし、最後に何か思い出を作れないかなと思ってさ」
自分だったら、絶対に皿を割るだろうなーと思いつつ、上条はさらりと答えた。
現在の時刻は午後7時。明日のお昼と言っていたから、残り時間は15時間程度しかない。
睡眠不足のまま神裂を帰す訳にもいかないので、実質的には今から寝るまで、つまり5~6時間で思い出を作ろうと考えている訳だ。
ああ、エロいことはしないよ? 多分。
神裂「思い出ですか……」
手を止めずに神裂は「う~ん」とかわいい声を出した。
そんななんでもない仕草にもドキッとしてしまう上条当麻(高1)であった。
448 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/17(火) 18:38:31.28 ID:1uGFgPXS0
上条(あれを……。いや、でもな……)
今までの行動を見てみると、手を繋いだまま寝たり、抱き枕にされたり、メイドプレイをさせたりと結構ハードなことをしてきている。
モチロン、健全な高校生男子にとって、それ以上のことを想像するのは容易い。
しかし、それを超えることをして、狼にならないとも限らない。それに、もし断られたらダメージが大きすぎる。
神裂「別に、当麻と一緒でしたら、特別なことはしなくてもいいと思いますけど」
上条「そうは言ってもさー、神ざ……火織」
神裂「///」
名前を呼ぶくらいで、いちいちこんな顔をしてくれるなら、名前を連呼してあげるのも悪くないかなーという思想が上条の脳裏によぎるが、それではまだインパクトが弱い。
……というか、メイドプレイのインパクトが少し強すぎる。その上、それ以上の何かをしようとすると非常にマズイことになる。お互いに。
神裂はオーバーヒートすると、何をしてくるか分からないので、常に上条が注意をしていなければならないのだ。
教習所で助手席に座る教官ってこんな気分なんだろうか? とも考えたが、助手席にもアクセルが付いていることに気が付いて苦笑する。
上条「とりあえず、風呂に入ってくる」
神裂「あ、はい。ごゆっくり」
ゆっくり湯にでもつかりながら考えれば何か思いつくだろ、と席を立つ。
実際、これが良いほうに転がった。脱衣所でズボンを脱ぐときに、ポケットの中に何か入っているのに気が付いたのだ。
上条(ん? なんだこれ?)
最初は携帯でも取り忘れたかとも思ったが、もっと小さい。しかも、1つだけではないようだ。
そして、中身を確認するため手を入れた瞬間、上条当麻に電流が走った。
449 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/17(火) 18:39:02.98 ID:1uGFgPXS0
風呂から上がると、神裂はテレビを見ていた。
結局、掃除機の使い方は覚えられなかったが、テレビの使い方は理解できてもらえた。テレビくらいはないと家に居ても暇なのだろう。
まだ、風呂から上がってきた上条には気づいていないようである。
上条「火織」
神裂「おや? もう上がったんですか? 今日はまた随分と早いですね」
声をかけると、神裂にそう反応された。確かに、ここ数日、30分とか1時間近く風呂に入っていた。こう思われても仕方がないかもしれない。
精神鍛錬をする場所といったら、1人になれる風呂場か、トイレしかないのだ。1人じゃないとできないしね。
いや、今はそんな話はいい。ポケットに入っていた例のブツを使うために、今日は10分で上がった訳だし。
上条「それより、火織も1つどうだ? ポケットに入ってたんだけど」
神裂「あ、それって……」
ポケットに入っていたのは、『アメ』だった。今日、出かけた際に福引で当てたものである。
手のひらの上には、イチゴ、レモン、グレープといった学園都市では珍しいオーソドックスな種類が計6つ並んでいる。
神裂「そうですね。お1つ頂きましょう」
なんの警戒心もなく、上条の言葉に素直に言葉に頷く神裂。
これで何をしようとしているのか、彼女はまだ気が付いていない。
上条「じゃあ、何味がいい?」
神裂「ええと……。では、イチゴを」
スッと、アメを取ろうと神裂は手を伸ばすが、上条はひらりとその手を避ける。
神裂「あ、あの……当麻?」
上条「ダメ、ダメ。普通にあげたんじゃつまらないだろ?」
つまりはそういうこと。
450 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/17(火) 18:39:32.05 ID:1uGFgPXS0
神裂「そ、それはどういう意味ですか?」
神裂がそう尋ねてくるのも尤もだろう。客観的に見れば、小学生のいじわるのようにしか見えない。
上条には、女の子をイジメて楽しむような趣味はない。多少しか。
上条「こいつで思い出を作ろうかと思うんだけど」
神裂「アメで、ですか?」
上条「ああ」
アメで思い出を作るなどといわれても、神裂にはピンとこない。
神裂「一体、何をするつもりなんですか?」
上条「こうするんだよ」
そう言って、上条はイチゴ味の飴を包み紙から取り出すと、ポイと自分の口の中に放り込む。
神裂「え? んんっ!?」
そして、そのまま神裂に唇を重ねた。
451 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/17(火) 18:40:14.22 ID:1uGFgPXS0
完全に不意打ちを喰らったのは神裂だ。聖人の力を取り戻しているというのに、まったく反応できなかった。
何が起こったのかを把握するのに2秒ほどかかった。これほどまで見事に何もできなかったのは、神裂の人生で初といえるだろう。
一方、不意打ちを成功させた上条にも、予想していなかったハプニングがあった。
押し倒してしまったのである。
あまりにも、神裂が無抵抗だったので、2人して倒れ込んでしまったのだ。
オマケに、頭を打ってはマズイと反射的に右手を差し込んだのだが、そのせいで熱烈なキスをしているようにしか見えない。
その上、とっさに手をつこうと伸ばした左手が、神裂の胸を鷲づかみにしているのは事故だろう。
上条「―――って、ゴメンなさいっ!!」
条件反射で、即土下座。
神裂の上から飛び退いて、土下座に移行するまでに1秒もかかっていない。
まさに熟練された職人(プロ)の業だ。
ただ、こんなことをしても、危険を回避できたケースは非常に稀な訳だが。
神裂「か、顔を上げてください」
しかし、今回はその稀なケースに該当するようだ。いまだ倒れたままの神裂がそう声をかけてきた。
声に怒気はなく、その顔ははっきりと分かるほど真っ赤になっている。
神裂「お、驚きはしましたが、嫌という訳ではありませんでしたから」
上条「え? そ、そうか。ならいいんだけど」
どうやら、不意打ちをしたことに対して謝っていると思われているようである。
おっぱいの方は気にしていないのだろうか?
452 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/17(火) 18:41:19.01 ID:1uGFgPXS0
上条「…………」
神裂「…………」
気まずい沈黙が流れる。早まったことをしてしまったのではないか、と上条は今更ながら思う。どう考えても手遅れ意外の何ものでもないが。
そんな中、先に沈黙を破ったのは神裂だった。
神裂「当麻!」
上条「お、おう! なんだ?」
どう話しかけたものかと思案していた上条が、ビクッと反応する。
神裂の目が妙に据わっている気がする。怒っていないような気がしたのは気のせいだったのか?
神裂「―――か?」
……?
確かに聞こえたはずなのに、頭の中で靄がかかったようになってしまった。
やれやれ、まだ頭が混乱しているのか。
上条「火織さん?」
確認の意味を込めて、倒れたままこちらを向いている神裂に聞き返す。
やはり、今のは聞き間違い―――
神裂「で、ですから、もう1つアメをいただけないでしょうか?」
上条「え、えっと……」
神裂「///」
つまり、そういうことらしい。
神様はまだ上条のことを見捨てていた訳ではなかったらしい。
453 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/17(火) 18:41:57.08 ID:1uGFgPXS0
【上条side】
上条「そ、それじゃ、何味がいい?」
鼓動が早くなってきた。
さきほどは、心の準備をする時間があったので、そこまでドキドキはしなかったんだ。
いや、見栄を張りました。ゴメンなさい。すごくドキドキしました。
でも、今回はそれ以上なんですよ。だって、火織がそのままの体勢なものだから、必然的に上からのしかかる形になる訳で。
神裂「で、では、レモン味で」
上条(あれ? そういえば、さっきの飴はどこにいった?)
確か、押し倒した瞬間、ゴクリという音が神裂の喉元から聞こえたような気がする。
あれは、唾を飲み込んだ音ではなく、飴玉を飲み込んでしまった音だったのか?
どこにもないなら、きっとそうなのだろう。悪いことをしたな、と思いつつ、アメを手に取った。
上条「そ、それじゃいきますよ?」
神裂「は、はい!」
緊張した面持ちで、再びアメを口の中に放り込む。
その瞬間、口の中に甘酸っぱい味が広がった。
上条(それでは……)
ゆっくりと顔を近づけていくと、火織は恐る恐る目を閉じた。
そこに自分の唇を重ねるのに、そう時間はかからなかった。
454 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/17(火) 18:43:48.59 ID:1uGFgPXS0
【神裂side】
神裂「んっ……」
当麻から飴玉を受け取る時に、思わずそんな声が口から漏れてしまった。
心臓は相変わらず、ドキドキと一定のリズムを刻んでいる。
神裂(甘いですね……)
イチゴ味のアメは舐める暇もなく飲み込んでしまったので、実質的にはこれが1つ目。
甘酸っぱいレモンの味が口の中に広がっていく。
神裂「?」
それにしても、当麻は離れる様子を中々見せない。
離れて欲しい訳ではないが、ずっとこのままだと、また暴走してしまうかもしれない。
彼もわかっているはずだし、そろそろ離れてくれるかな? と思ったとき、ニュルンと彼の舌が口の中をかき回してきた。
神裂「んぅっ!?」
正直なところ、これにはかなり驚いてしまった。
いきなり舌が入ってきたこともそうだが、口の中を舌で擦られたときにゾクゾクとしたものが背中に走ったのだ。
これは気持ちいい。頭の中が白くなっていく気がする。
神裂「んっ、くちゅっ、んむっ」
未だに、彼の舌は私の口の中で動いている。
どうやら、当麻はアメを舐めようとしているみたいだ。
455 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/17(火) 18:44:17.26 ID:1uGFgPXS0
【上条side】
それはもうすごかった。
昨日、勢いもあって、ディープキスをした訳だが、これはそんなレベルではなかった。
なんというか、溶ける。
舌と舌で1つのアメを溶かしていくのと同じくらいのスピードで、自分の頭が溶けて行くのを感じていた。
神裂「はむっ、ちゅっ、れるっ」
そんな溶解のスピードに拍車をかけるのが、この火織の喘ぎ声にも似た声だ。
こんなの高校生男子に耐えられるレベルじゃないだろ?
オマケに、アメを舐めているせいで、唾液が出る。出る。
それが、下にいる神裂の口の中に流れていくものだから、たまったものではない。重力って偉大だよ。
神裂「んくっ、ちゅぱっ、こくっ」
飲まれてる。そう思うだけで、こう……込み上げてくるモノがあった。
この感覚分かってもらえるかな?
……ちなみに、アメはすぐに溶けてなくなったが、俺たちはしばらくそうしていた。
できれば離れたくはなかったので、ちゅっ、ちゅっと口周りを舐めあった。お陰で、口周りがベタベタする。まあ、不快な感じはしないが。
上条「どうだった?」
少ししてから口を離すと、最初にそう聞いてみた。
火織の顔を見れば一目瞭然なのだが、ここは敢えて口にしてもらおう。だって、その方がおもしろいだろうし。
神裂「…………足りません」
ん? あれ? なんか予想外の返答がきたんですけど。
456 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/17(火) 18:45:28.39 ID:1uGFgPXS0
【神裂side】
神裂「足りません」
そう言ってからの行動は、まさに電光石火。聖人パワーを使って、逆に当麻を押し倒す。
「ちょ」とか「待って」とか言っていた気もするが、無視。
神裂「次は私の番です」
上条「はい?」
そう言い切るや否や、その辺に落ちていたアメを1つ取ると、すばやく口に放り込み、当麻にプレゼントした。
この間、わずか1秒。聖人の力の無駄遣いといわれても仕方ない。
上条「んごっ!?」
あはっ。もの凄く驚いた顔をしている当麻がかわいい。
もしかしたら、まだ何が起こっているのか分かっていないのかもしれない。そこに、遠慮なく舌を絡ませ、唾液を流し込んでいく。
すると、頭の中がだんだんと白くなっていき、それと連動して、気持ち良さも増して行く。
神裂(当麻っ。当麻っ。当麻ぁ)
もうそれしか考えられない。
頭がさらに白んでいくのを感じた。
457 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/17(火) 18:45:56.99 ID:1uGFgPXS0
【上条side】
簡単に言えば、火織が暴走した。
上条「さすがにこれはひどい……」
気が付くと、6つもあったはずのアメはなくなっていて、自分の上には気絶した火織が覆いかぶさっていた。
火織に押し倒されてからの記憶が曖昧なのがちょっぴり怖い。着衣に乱れがないのが救いだろうか?
いや、その内何か対策を打たないと、こっちが押し倒される。そんな危機感しかない。
上条「まあ、強烈な思い出はできたな」
苦笑しながら、そんなことを呟く。実際、カルピス原液の5倍くらいの濃度はあった気がする。
とにかく、あまり上出来とは言えないまでも、そんな濃密な時間を過ごせたことに悔いはない。
火織の暴走さえなければ、とも思わなくもないが。
上条(っと。今、何時だ?)
現在時刻は、午前1時。
上条(残り時間は約10時間か)
―――2人の別れの時は近い。
469 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/18(水) 18:05:58.15 ID:L4OwI/Sb0
共同生活10日目
―――
―上条の部屋―
神裂「おはようございます」
上条「んっ。おはよう」
神裂「昨日はまた暴走してしまったみたいですね」ハハハ
上条「実は、あんまり覚えてないんだよな」
神裂「それは残念です。とてもかわいかったのに」
上条「え? 上条さんが!?」
神裂「はい。とっても」ニコ
上条「あんまり聞きたくないな……」
上条(今更なんだが、火織って実はS?)
神裂「しかし、おかげさまでいい思い出ができました」
上条「別にこれ以降会えなくなるって訳でもないだろ?」
神裂「あ、それもそうですね」
上条「まったく……」
神裂「それに、当麻のことですから、きっとまたすぐ会えると思います」
上条「それは、上条さんがまた何か事件に巻き込まれるってことですよね?」
神裂「そういうことです」
上条「それも素直に喜べませんよー……」
神裂「ふふっ、冗談です」
上条「冗談で済めばいいんですけどね……」
470 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/18(水) 18:06:40.49 ID:L4OwI/Sb0
上条「そういえば、何時の飛行機なんだ?」
神裂「12時ちょうどの便ですね」
上条(というと後4時間くらいか)
神裂「といっても、2時間程度前には空港に行ってないとマズイですね」
上条「あれ? そうなのか?」
神裂「色々と手続きがありますから、その程度前に行くのは当たり前ではないですか」
上条「え? イタリアに行ったとき、30分前に空港に着いた上条さんって……」
神裂「能力者が外に出る場合、いろいろ手続きがあって時間がかかるんですよね? よく間に合いましたね」
上条「そ、そこは気合で」
上条(たしかに、インデックスの服の件もあってかなりギリギリだった気がする……)
上条「よし。それじゃ、飯食って、荷物まとめようぜ」
神裂「そうですね。そうしましょう」
上条(と言っても、大した荷物持ってきてなかったよな?)
上条「あ」
神裂「どうかしましたか?」
上条「堕天使エロメイド服はどうすんだ?」
神裂「お、置いていくに決まってるじゃないですか! あんなもの持って行けませんよ!」
上条「それもそうか」
上条(って、うちに置いていかれても困るんですが)
471 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/18(水) 18:07:09.09 ID:L4OwI/Sb0
~~~
上条「本当に荷物少ないな」
神裂「ええ。こちらで購入したものがほとんどですし」
上条「それじゃ、遅れても仕方ないし行こうか」
神裂「え? 見送りに来てくれるんですか?」
上条「そりゃそうだろ。上条さんはそこまで彼女に冷たくありませんよ?」
神裂「あ、ありがとうございます」
上条(そもそも行かないって選択肢がある訳ないだろ)
上条「本当に忘れ物はないよな?」
神裂「…………」
上条「神裂?」
神裂「あ、すみません」
上条「何か見てたみたいだけど、どうしたんだ?」
神裂「いえ、またここに来れるのは先になりそうなので、少しでも目に焼き付けておこうかと」
上条「そっか」
神裂「すみません。なんだかしんみりさせてしまって」
上条「ん、いいって。そんなに思ってくれてうれしいし」
神裂「そうですか……」
上条「それじゃ、そろそろ行こうか」
神裂「はい、当麻」
472 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/18(水) 18:07:41.14 ID:L4OwI/Sb0
バスで移動中
―――
上条「なあ、火織」
神裂「なんでしょうか?」
上条「……この10日間は楽しかったか?」
神裂「はい?」
上条「土御門にからかわれたり、ちょっと怖い思いもしただろ? だから、うちに居る間楽しんでもらえたのかなーってさ」
神裂「もちろん楽しかったですよ? 楽しさ以外にもいろいろありましたけど」
上条「そっか。……それならまた来いよ」
神裂「え?」
上条「デカイ事件が起きれば、また会うこともあるだろうけどさ。別に用事がなくても、いつでも歓迎するから」
神裂「当麻……」
上条「なんか火織は、そう言っておかないと、いきなり押しかけて迷惑なんじゃないかーとか考えそうじゃない?」
神裂「そ、それは……」
上条「はは。本当はこっちから会いにいければいいんだろうけど」
神裂「いえ……。ぜひそうさせていただきます」
上条「ああ。遠慮なんていらないからな」
神裂「分かりました」ニコ
473 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/18(水) 18:08:12.64 ID:L4OwI/Sb0
―第23学区 空港―
上条「もう空港か」
神裂「そうですね」
上条「なんだか、この10日間はかなり短かった気がするよ」
神裂「私もですよ」
上条「あ。そういえば、五和とか建宮も来てるんじゃないんだっけ? 一緒に帰るのか?」
神裂「昨日の土御門の話では、建宮斎字は先に帰ったと聞きました」
上条「五和がすごい顔して追いかけていったみたいだけど大丈夫だったのか?」
神裂「はぁ……。命に別状はないと言っていましたが」
上条(怖っ!? 建宮に一体何したんですか、イツワさん!?)
神裂「まあ、自業自得でしょう。アレは昔から少々遊びすぎるところがありましたから」
上条「そうなのか?」
神裂「今回の件にも一枚噛んでいたようですし」
上条「土御門と建宮のコンビか……」
神裂「私にとっては、特に扱い辛い2人ですからね……」
上条(2人ともノリいいし、気が合いそうだよな。ただ、そのせいでとばっちりを喰うのはゴメンですけどねー)
<12時発ロンドン行きの搭乗手続きを開始しました。ご搭乗のお客様は、お早めに手続きをお願いします。
神裂「おや、もうそんな時間ですか」
上条「みたいだな」
上条(もうお別れか……)
474 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/18(水) 18:08:53.29 ID:L4OwI/Sb0
神裂「…………」
上条「…………」
神裂「当麻」
上条「なに?」
神裂「大変お世話になりました」ペコ
上条「おう」
神裂「このご恩は、必ず後日返しますので」
上条「オイオイ、今更なんだよ? 気にしなくていいのにさ」
神裂「いえ、これは私のケジメですから」
上条「ケジメって……」
神裂「今回のことで、また借りを大きくしてしまいましたからね」
上条(ここ数日、そういうこと言わなくなったと思ったら……)
神裂「……ですが、ここまで大きくなってしまうと、どれだけかかっても返せそうにありません」
上条「ん?」
上条(このフレーズは初めて聞くぞ?)
神裂「で、ですから、これから一生をかけて返させてくださいっ!!」
上条「はい?」
475 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/18(水) 18:09:21.09 ID:L4OwI/Sb0
上条「ええと、それはどういう……」
神裂「///」
上条(一生をかけて返す? それじゃまるで……)
上条「プロポーズ?」
神裂「!!」ビクッ
上条「えーと……」
神裂「ち、違います! そう言う意味は、込めていませんから!」アタフタ
上条「そうなのか?」
神裂「と、とにかく、そういうことで」ビシッ
上条「え? あ、うん」
神裂「こほん。それでは、また会いましょう」
上条「あ。そうだ」
神裂「どうかしましたか?」
上条「最後に、離れてても頑張れる『勇気』をあげましょうか?」
神裂「…………はい。それではお願いします」
上条「それじゃ」
「」チュッ
神裂「ありがとうございます」
上条「それじゃ、気をつけてな」
神裂「はい」
476 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/18(水) 18:09:48.46 ID:L4OwI/Sb0
神裂「愛していますよ。当麻」
上条「俺もだよ。火織」
完
478 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/18(水) 18:47:29.38 ID:L4OwI/Sb0
その日の夜
―上条の部屋―
上条「やっぱり、火織がいないとちょっと寂しいもんだな……」
上条(あ。そういえば、インデックスはどこにいるんだ?)
上条「土御門なら知ってるか?」
<ピンポーン
上条「っと。そう言った傍からご帰宅ですか」
上条(腹空かせてて、会った途端に噛み付くのとかは、さすがにないよな?)
上条「はいはい。今、行きますよー」
ガチャッ
上条「お帰りー」
神裂「あ。ただいま帰りました」
上条「…………え?」
神裂「ははは……」
479 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/18(水) 18:47:59.84 ID:L4OwI/Sb0
上条「ちょっと待った。なんで火織さんがココにいるんでせう? お昼にロンドンに帰ったのでは?」
神裂「ええと、やはり説明が必要ですよね?」
上条「考えられる理由としては、飛行機に乗り遅れた……とか?」
神裂「さすがに、あれだけ時間があって乗り遅れることはないと思いますよ」
上条「ってことは、ロンドンに帰りたくなくて乗らなかったのか!?」
神裂「そうしようと少しは考えましたが、そうではありません」
上条「じゃあ、何故ここに?」
神裂「簡単なことです」
上条「簡単?」
神裂「仕事ですよ」
上条「…………はい?」
480 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/18(水) 18:48:25.56 ID:L4OwI/Sb0
神裂「実は、神の右席の後方のアックアから果し状が届いたんです」
上条「え?」
神裂「内容は『上条当麻の右手を差し出せ』ということのようでして」
上条「ちょっと待て……」
神裂「休暇を取って日本にいた私と天草式の数名が今回の任務に当たります」
上条「マジですか……」
神裂「ええ。大マジです」
上条「前方、左方と来て、今度は後方さんですか……」
神裂「まさか、ノータイムで事件に巻き込まれるとは思ってもいませんでした」
上条「だーっ!! ローマ正教のやつらは上条さんに恨みでもあるんですかーっ!?」
神裂「その通りではないのですか? いろいろと潰してきていますし」
上条「聖人相手に生き残れるだろうか……?」
神裂「私の魔法名にかけてお守りします」
上条「salvare000、救われぬ者に救いの手を……か」
上条(確かに、火織がいれば心強いな)
神裂「そういう訳ですので、またお世話になります。当麻」
上条「ああ。こちらこそよろしくな。火織」
今度こそ終わり!
481 :SSS ◆KtxQQEeKzw:2011/05/18(水) 18:49:14.23 ID:L4OwI/Sb0
なんとか無事完結!!
今回、この2人を書いてみて、鈍感な上条さんと奥ゆかしい神裂さんの組み合わせは動かしづらいことが判明。
どっちかキャラ崩さないと進展が難しいんですよ。マジで。
せっかくの設定を生かしきれなかったのも反省せねば……。
ただ、当初の目標だった『神裂さんを年相応に見せる』という狙いは達成できたかと。
今のところ、後日談を書く予定はありません。
ちなみに、この後、アックアは闇の波動に目覚めた五和さんが「聖人殺し」という新術式で木っ端微塵にしました。
484 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県):2011/05/18(水) 19:03:14.95 ID:KMUdePYIo
乙でした
485 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank):2011/05/18(水) 19:54:40.03 ID:3fqicnW6o
乙でしたぜ
聖人殺し・・・五和恐ろしい子
486 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2011/05/18(水) 19:55:34.62 ID:2S4zlxjQ0
最高でした
>>1乙。超乙。ウルトラ乙。
487 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区):2011/05/18(水) 19:57:56.15 ID:WsOEHr5B0
乙。ねーちん可愛かった!
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この記事へのコメント
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名前: 通常のナナシ #-: 2011/07/26(火) 11:25: :edit1
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名前: 通常のナナシ #-: 2011/07/26(火) 12:38: :editにー
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名前: 通常のナナシ #-: 2011/07/26(火) 12:54: :editインキュベーターさん登場オメ
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名前: 通常のナナシ #-: 2011/07/26(火) 13:29: :edit神裂ねーちんのふとももにおにんにんはさみたいよぉ
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たぶん5
これ、後日談が必要だったなと思う -
名前: 通常のナナシ #-: 2011/07/26(火) 14:32: :editありがとう、本当にありがとう
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名前: 通常のナナシ #-: 2011/07/26(火) 15:07: :editどうしてコメ欄がここまで伸び悩んでいるのか
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名前: 名無しさん #-: 2011/07/26(火) 15:08: :edit語り部が変わる部分を除けば楽しめた
是非とも後日談を!!! -
名前: 通常のナナシ #-: 2011/07/26(火) 15:09: :edit008getだぜ!!
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名前: 通常のナナシ #-: 2011/07/26(火) 15:59: :edit禁書じゃもう伸びないよ
製速の内輪で細々続けてる感じ -
>10
まとめているのは管理人さんだし、好きなようにさせとけ。
文句があるんじゃ見るのをやめたほうがいい。 -
名前: 通常のナナシ #-: 2011/07/26(火) 16:08: :editなかなか面白かった よかったよ
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名前: チハリス #-: 2011/07/26(火) 16:12: :edit聖人殺しwwどストレートww
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名前: 通常のナナシ #-: 2011/07/26(火) 16:56: :editとりあえず3期までは伸び悩むだろうな
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名前: 夢見る乙女(笑) #-: 2011/07/26(火) 16:56: :editねーちんのふとももに~のくだりは最早コピペといってもいいと思うの
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名前: 通常のナナシ #-: 2011/07/26(火) 19:24: :editスレタイからして俺ホイホイだった
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名前: 通常のナナシ #-: 2011/07/26(火) 19:25: :editこのバカップルは良いバカップル
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名前: 通常のナナシ #-: 2011/07/26(火) 20:05: :editまさに俺得
ねーちんは正義!
そして五和恐ろしい子… -
名前: 通常のナナシ #-: 2011/07/26(火) 21:40: :edit良い感じで終わってよかった。
作者の人、乙 -
名前: にゃー #-: 2011/07/26(火) 22:05: :editフトモモとチチの間は、ほんとに天国でした。
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名前: 通常のナナシ #-: 2011/07/27(水) 01:25: :edit久しぶりの禁書SS
もっとあってもいいと思う -
名前: 通常のナナシ #-: 2011/07/27(水) 03:52: :editとりあえず露骨に本番突入をしなかったのを賛美したい
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名前: 通常のナナシ #-: 2011/07/27(水) 14:53: :editいやほぅ!!ねーちんいやほぅ!!
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名前: 通常のナナシ #-: 2011/07/27(水) 16:48: :editこういうのって経過が楽しくてついついイチャラブを飛ばしてしまう
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名前: 通常のナナシ #-: 2011/07/27(水) 22:40: :editねーちん人気は相変わらず凄ぇな
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見事な上神なのである。
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名前: 通常のナナシ #-: 2011/07/28(木) 21:44: :edit読んでてものすごく幸せでした
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名前: 名無し@まとめいと #-: 2011/07/31(日) 00:33: :edit※24
分かり過ぎて困る
つーかメイドinヘブンクッソフイタwwwwwww
テラプッチ神父wwww -
名前: 通常のナナシ #-: 2011/08/01(月) 18:23: :edit>>22
うむ、それだけが気がかりだったが
途中からは安心して楽しめた -
名前: 通常のナナシ #-: 2011/08/02(火) 14:24: :editめっちゃ良かった♪( ´▽`)
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名前: 通常のナナシ #-: 2011/08/06(土) 22:09: :edit2828しちゃったw
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名前: 通常のナナシ #-: 2011/08/08(月) 12:02: :edit俺もこんなんしたいなと思える良ssだった!
できればもっとみたかったな… -
名前: 通常のナナシ #-: 2011/08/08(月) 23:28: :editねーちん系は意外と少ないから、中々良作に出会えないが、今回は俺得だった
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名前: 名無しさんβ #-: 2011/08/28(日) 20:33: :editねーちん系でトップクラスの良作。
しかし最後の五和に持っていかれた感もあるww -
名前: 通常のナナシ #-: 2011/09/04(日) 08:59: :editこれは良作!なんという甘ラブカポー
エロいようでほのぼのしてるのがいい!! -
名前: mh3 #-: 2011/10/26(水) 21:59: :edit<1素敵。
次回作待ってます -
名前: #-: 2012/02/21(火) 16:42: :editよかった。同作者の佐天「ベクトルを操る能力?も良かったけどこれの後日談あったら是非とも読みたいところ……
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名前: 通常のナナシ #-: 2012/12/22(土) 15:51: :editよかった
上条×ねーちんスレがもっと増えて欲しい -
名前: MCC #-: 2013/02/09(土) 16:14: :editねーちんイイヨねーちん

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