朝倉「ただ月が綺麗だったから…」 その2

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2010/06/15(火)
302 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/29(土) 18:42:51.90 ID:0BWwg4HNO

その2です。

302 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/29(土) 18:42:51.90 ID:0BWwg4HNO
1月1日 神社 古泉

彼との電話を終え…僕も待ち合わせの神社へ向かう

彼女の事であんなに感情的になったのは…これが初めてではない

口に出したのは初めてだけれども…

今までは、何か起こっても大抵の事は心の中にしまうことができた

でもさっきは、驚く程とても簡単に…自分の中の牙城が崩れてしまった

古泉(…最近、閉鎖空間で動き回ってもいませんからね…ストレス、たまってるんですかね…)




303 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/29(土) 18:54:57.73 ID:0BWwg4HNO
しばらく神社で待っていると…
艶やかな彼女達が、3人こちらに向かってくる

朝比奈「あ、古泉君。あけまして、おめでとうございます」

長門「…おめでとう」

ハルヒ「あけましておめでとう」

古泉「みなさん、おめでとうございます」

晴れ着…というわけでは無いが、新年に見る女性というのは、なんだかそれだけで神々しいような気がして…

朝比奈「古泉君…だけですか?」

古泉「ええ…彼は、ご家族の方に外出が禁止されているらしく…欠席です」

ハルヒ「……」

長門「……」

朝比奈「そうなんですか…」

チラリ、と涼宮さんを盗み見る

腕を組んで、難しそうな顔をして…機嫌の悪い時の彼女の雰囲気だ




304 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/29(土) 19:03:57.10 ID:0BWwg4HNO
ハルヒ「…とにかく、初詣に行きましょう。人も多いから、終わって落ち着いたらまた話しましょう」

スタスタと、彼女は歩いて行ってしまう

朝比奈「あ、涼宮さんまって下さい……」

朝比奈さんも、後を追いかける

長門「……」

古泉「…あれは、やっぱり気にしてると思いますか?」

思わず隣の彼女に訪ねてしまう…

長門「……」

彼女は何も答えず歩き出してしまう

古泉「やれやれ…」




306 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/29(土) 19:25:24.07 ID:0BWwg4HNO
人の波…お参りする本堂まで、かなりの人が並んでいる

スタートが遅れた僕と長門さんは、涼宮さん達と少し離れた場所で並んで待っていた

古泉「しかし、さすがにお正月。人がたくさんいますね」

長門「……」

古泉「何をお願いしましょうかね……」

長門「むしろ、気にしているのはあなた…」

ぽつりと…彼女は呟く

古泉「…先ほどの、続きですか。ずいぶん突拍子ですね」

長門「何か…あった?」

古泉「……」

彼女には、相変わらず何でもお見通しなようだ

周りの人間の、気持ちの変化も…敏感に感じ取っているんでしょう…

古泉「実はさっき……」




307 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/29(土) 19:44:24.23 ID:0BWwg4HNO
長門「……」

古泉「…そんなこんなでつい、怒鳴ってしまいましてね…」

長門「あなたらしくない…」

古泉「自分もそう思いますよ。彼が付き合っている事は知っている…クリスマスに、出掛けた事も…」


長門「それならば、なぜ?」

古泉「彼の事以上に…今の僕は、彼女…涼宮さんの事を知ってしまっています。プレゼントの事や、見え隠れしていた気持ちも…」

長門「……」

古泉「だから…ですかね。彼女の方に情が生まれてしまったようで」

長門「それがあなたの怒った理由?」

古泉「…おかしいですよね。彼には付き合ってる人がいて、涼宮さんのただの片思い…それだけの事なのに」

古泉「どうして…僕は彼に対して怒ったんでしょうかね…あんな理不尽な感じで…」




308 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/29(土) 20:00:00.61 ID:0BWwg4HNO
長門「理不尽…恋愛では、それが当たり前…」

古泉「…僕が、涼宮さんに恋をしていると?」

長門「それはわからない…私が言っているのは、彼……」

古泉「…?」

長門「恋人同士…好きあっている人間意外には理不尽になるもの…」

古泉「それは…」

長門「クリスマスの日…もし彼が受け止めるように、優しく接していたら…今度は好きあっている者同士が…理不尽にならなくてはならない……」

古泉「彼がプレゼントを受け取らなかった事は、結果的に正しかったと?」

長門「恋人同士にとっては、そう…なんだと思う」

思う…長門さんにも、本当の事はわからないんだろうか?




310 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/29(土) 20:31:38.17 ID:0BWwg4HNO
長門「でも、それは2人だけに限った話…周りの人間にとっては……」

古泉「……」

長門「プレゼントを渡せなかった彼女、彼を怒るあなた…人間関係は動くけれど、恋人の2人には干渉ができない…」

古泉「泥沼…ですね」

長門「特に…朝倉涼子には接触する機会が無い。彼が別れたがっているでもなければ…首を突っ込まない方が賢明だと、私は思う」

確かに、いくら涼宮さんが慕っても…彼の気持ちが本当に向かなければ…

古泉「…今日は、僕が少し迂闊でしたね」

長門「……」




311 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/29(土) 20:41:04.79 ID:0BWwg4HNO
会話の後、彼女はじっとした目でこちらを見つめてくる

古泉「…大丈夫、しばらくは僕も滅多な事は言いませんよ」

長門「そう……」

長門さんは、どこまで事情を知っているんでしょう…

彼の気持ち、彼女の気持ち…

何を考えながら、僕と話しているんでしょう…

…そろそろ、人の流れも落ち着いてきて…僕たちの番がまわってくる

長門「さ…お参り…」

古泉(何を…お願いしましょうかね)

手をあわせて…お祈りをする

古泉(……)


そうして、今年の初詣は終わりました

来年は…彼もこの輪にいるといいな、と…それだけをお願いして…




312 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/29(土) 20:46:34.15 ID:0BWwg4HNO
1月後半 キョン

新学期が始まり、またいつもと変わらない学校生活だ

年があけたとはいえ、特に環境が変わるわけでは無い

ハルヒの事を考えると、少し足取りが重い

キョン「…おはよう」

ハルヒ「あら、おはよう」

クリスマス以来の顔だ

普段とは何も変わっていない…ように見える

キョン「あのさ、ハルヒ…クリスマスの時の事なんだが…」

ハルヒ「…ああ、気にしないでいいわよ。どうせたいした物じゃなかったんだから」

キョン「……」




314 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/29(土) 20:52:42.90 ID:0BWwg4HNO
古泉から話を聞いて、事情は…知っていた

それでも、ハルヒのその言葉を嘘だと言って…本当の事を聞くことは、今の俺にはできなかった

キョン「ああ…そうか」

そのまま席に座り、朝はもう彼女とは話さなかった

…涼子からのメールを返すために、俺はまた携帯とにらめっこだ




316 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/29(土) 20:59:51.14 ID:0BWwg4HNO
1月後半 佐々木

少し強い風が吹く朝…

今日から私たちの学校が始まる
…年が変わると、それだけで少し空気もかわったように感じる

教室には…すでに到着していた友人の姿…朝倉さんがいる



朝倉「あ、おはよう佐々木さん」

彼女もこちらに気付いて…挨拶を交わしてくれる

佐々木「やあ、おはよう。朝倉さん」

寒い冬の始まりも、友人と話していれば楽しいものだ




317 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/29(土) 21:04:52.06 ID:0BWwg4HNO
朝倉「今日からまた学校ね。嫌になっちゃう…」

佐々木「くつくつ、学校が始まるとキョンに会えないからかい?」

朝倉「そ、そんな事…ちょっとあるかな…」

佐々木「くつ…素直だね。キョンといえば、クリスマスはどうだったんだい?」

朝倉「あ、そう言えば…よくも騙してくれたわね! 全くもう……」

佐々木「ふふっ、ちゃんと会えたてたもんね。彼も元気そうだったし…」

朝倉「え…見てたの?」

彼女の反応が、ドキッとしたように…体が揺れる

佐々木「ああ、駅前でだけ、ね。万一キョンが来なかったら…そのまま普通に遊ぶ予定だったしね」

朝倉「そ、そうなんだ…なんか恥ずかしいな……」

佐々木「くつくつ…その言い方だと、何か恥ずかしい事してたのかい?」




319 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/29(土) 21:10:50.25 ID:0BWwg4HNO
朝倉「ち、違うわよ…そんな事…! もしかして…見てたの?」

佐々木「くつくつ、駅前から移動した後は見てないよ。そんな野暮はしないよ」

朝倉「そ、そうよね…う、うん…そうね…」

彼女の顔が真っ赤になっている
佐々木(恥ずかしい事、したんだね……)

佐々木「…いい、クリスマスだったみたいだね」

朝倉「おかげさまでね、ありがとう」

佐々木「くつくつ…いいんだよ、恋人同士…お互いが幸せならそれだけで、ね」




321 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/29(土) 21:31:39.70 ID:0BWwg4HNO
今日は珍しく…朝倉さんを誘わず、一人で帰り道を歩いていた

佐々木「ふぅ……」

佐々木「彼女…嬉しそうな顔をしていた。よっぽど楽しい冬休みだったんだね」

佐々木「でも……」

佐々木「でもさ……」

朝倉『ありがとう…佐々木さん…』



佐々木「周りの…気持ちがとり残されてしまった人間は…どうすればいいの……」

佐々木「好きな人にぶつけられない気持ちを……誰に向ければいいの……」




323 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/29(土) 21:42:42.47 ID:0BWwg4HNO
佐々木「密かに想いを寄せるのも…楽じゃないみたいね…」

恋人同士が幸せならばそれでいい…確かに私はそう言った

その気持ちは嘘じゃない

でも、自分の中に生まれているこの気持ちも…嘘じゃない

佐々木「最近は…彼女の笑顔を見るのも、ちょっとつらいのかな……」


もう暗くなり始めた夕闇空は…何も答えてくれない

何を言っても、空ではただ雲が…静かに私を見つめているだけだ…

佐々木「残された人間には何もできない…そんな事は…無いでしょう?」




325 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/29(土) 21:48:48.96 ID:0BWwg4HNO
2月前半

夜中…朝倉宅

キョンと最後に会ってから2ヶ月近く…

もう2月に入るというのに、次に会える目処はたっていない


朝倉「…外出禁止って…何よ…」

帰りの電車に乗れず、朝帰り

年齢がもう少し上なら、まだ許されたんだろう

でも私たちはまだ高校生…

夜遊びも、宿泊も容認されるような年齢ではない…

朝倉「私のせいかな…」

浮かぶのは、自分の責任だけ…

彼と一緒に遊んでいた自分が…一番悪いような気がして…

朝倉「やっぱり…気になっちゃうわよね……」

ベッドの上でゴロゴロして…携帯を見つめながら考え事…

そろそろ、彼からの電話が来るはず……




327 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/29(土) 21:57:48.09 ID:0BWwg4HNO
―ピリリリリ

朝倉「…あ、きた」

ピッ

朝倉『もしもし、キョン』

キョン『ああ、悪かったな、時間の予定より、少し遅れちまった』

朝倉『ううん、大丈夫…あのさ、外出禁止…まだ許してもらえない?』

キョン『ああ…まだしばらくは無理みたいだな』

外出禁止を言い渡されてから、私たちはよく電話をするようになった

最近はほぼ毎晩毎晩…

朝倉『ごめんね、私が無理言って長い時間残ってもらったから…』

キョン『何度も言っているだろ? 涼子のせいじゃないよ。あまり気にするなよ』

朝倉『うん…ありがとう、キョン…』




328 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/29(土) 22:03:02.70 ID:0BWwg4HNO
朝倉『で…バイト先でさ…キョンの名字の名札があってね、最近それつけてるのよ』

キョン『なんだそりゃあ…いや、ちょっとは嬉しいが』

朝倉『えへへ…』


キョン『ん…もうこんな時間だか…』

彼との会話で…夜がふけていく

時計は夜の1時を過ぎている

朝倉『うん…そうね。明日は…私から電話するからね』

交代で電話をして、せめて少しでも電話代を減らす…

キョン『ああ、また明日、いつもの時間にな…』

朝倉『……』

キョン『涼子?』

朝倉『…グスッ…』

キョン『…』

私、また泣いている

この電話を切る瞬間が、なにより寂しい




329 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/29(土) 22:11:37.62 ID:0BWwg4HNO
さっきまで聞こえていた彼の声が途切れてしまって…

このまま無音の部屋に戻ったら…寂しさに潰されそうで…

キョン『…もう少し、話してよう』

朝倉『でも…迷惑…』

キョン『迷惑なものか。俺も話したいんだ。涼子と離れるのは、電話の上ででも、やっぱり嫌だ』

朝倉『キョン……』

いつも私達は、お互い離れるのが寂しくて…すぐに電話を切れた事は無かった


…結局、電話を終えた時は2時を越えていた

最近は、毎日がこんな様子だった

いくら交代で電話をするといっても、毎日この様子では電話代もバカにならない

朝倉「……寂しい」

少し長く話した、それでも…

寂しさだけは何も変わらなかった




330 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/29(土) 22:17:21.82 ID:0BWwg4HNO
次の日

朝倉「おはよう…」

眠い目をこすりながら、居間に顔を出す

眠れたのは4時近く…

寝不足と、泣いたせいで目は真っ赤だ

朝倉父「……」

朝倉母「あら、おはよう涼子…あのね、ちょっと話が」

朝倉「ん…」

朝倉母「あのね、携帯…電話代の事なんだけどね…」

朝倉父「電話をしすぎだ。高すぎる。もう電話するな」

朝倉「……」

父は相変わらず…言い方一つにしても厳しい

渋みのかかったこの声…朝からこの声は嫌になる

お説教なら、なおさらに…




331 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/29(土) 22:25:20.15 ID:0BWwg4HNO
朝倉母「…あなたが恋人と話したい気持ちはわかるわ…でも、ちょっとお金がかかりすぎててね…」

両親には恋人がいる事は話している

何度も会っている事も

だからこそ、たまにこういう話をする

朝倉「携帯は…ちゃんとバイト代から払ってるじゃないの…」
朝倉母「それはそうだけど…あんなにお金がかかってるのは親として…ね…」

朝倉「…ちょっと、我慢するわよ」

寝不足にお説教…早く切り上げたくて、私は返事半分に母との会話を終える




333 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/29(土) 22:34:33.01 ID:0BWwg4HNO
朝倉母「わかってくれたならよかったわ。確か…キョン君だったかしら? 付き合ってるのって」

朝倉「うん…」

朝倉母「涼子がそんなに大事にしてる人なら、一度会ってみたいわね」

朝倉父「所詮、高校生の恋愛だ…子供だよ」

朝倉母「あなたったら…」


朝倉「…いつか時間ができたら、会えるかもね。じゃあもう学校行くから」

朝倉母「あ、朝ご飯は?」


朝倉「いらない。あまり…食欲無いから」

父の言葉に苛立ちを覚え…いってきますも言わずに学校へ向かう

…相変わらず、外は肌寒い




334 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/29(土) 22:44:21.24 ID:0BWwg4HNO
学校 昼休み

佐々木「へえ…今朝そんな事があったんだ」

朝倉「もう、朝から怒られちゃってね。嫌になっちゃうわ…」

佐々木「会えない時は寂しいものだよね」

朝倉「うん…遠距離だから、余計にそう感じるわ…」

佐々木「うんうん…電話もできない、会えない…つらい事この上無いね」

自分にしては、珍しい恋愛の愚痴…

その言葉を、さき程から佐々木さんは…受け止めるように聞いてくれている

共感してくれるその様子を見て…私は…

朝倉「…佐々木さんも好きな人いるの?」


佐々木「くつくつ…朝倉さんの気持ちがわかるだけだよ。それとこれとは別」




335 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/29(土) 22:51:13.95 ID:0BWwg4HNO
朝倉「そう…なんだ」

私の思い違いかしら?

佐々木「ましてや、遠距離恋愛なんて…いや、ちょっとはわかる気はするかな。近付きたいけど、近付けないってのが…ね」

朝倉「そうなの?佐々木さんの話…少し興味あるわ」

佐々木さんも、全く何もない…というわけでは無いようだ

佐々木「ん……」




336 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/29(土) 22:56:24.11 ID:0BWwg4HNO
朝倉「佐々木さんの恋愛話とか、聞いてみたいな。参考にしたいわ」

佐々木「私の話なんて、参考にならないよ?」

朝倉「ええー…そんなこと無いわよ。迷惑じゃなければぜひ聞きたいわね」

佐々木「くつくつ…学校じゃ恥ずかしいよ」

朝倉「あ…じゃあ今日遊びに来ない?」

佐々木「ん…いいの?」

朝倉「うん。どうせ親は夜まで帰ってこないから、ゆっくりしてって大丈夫よ?」


佐々木「そう…じゃあお言葉に甘えて…ね」

朝倉「うん、楽しみだわ!」

佐々木「くつ…」

彼女は携帯を取り出して…メールをしている様子だ

朝倉(両親に…連絡でもしてるのかしら?)




337 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/29(土) 23:01:48.76 ID:0BWwg4HNO
同時刻 キョン

―ピリリリリ

携帯が震える

キョン(メール…佐々木か?珍しいな)

佐々木『今日彼女の家に呼ばれてしまってね。最近彼女は寂しがってるよ?』

キョン(寂しがってる…ね…)

キョン『まだ遠出ができない。仕方ないさ。寂しがってても…俺にはメールと電話しかできないからな』

多少ぶっきらぼうになりながら、返事をする

相手が佐々木だからだろうか?




338 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/29(土) 23:10:19.00 ID:0BWwg4HNO
返事はすぐに来た


佐々木『遠距離だからって、安堵してないかい?彼女は綺麗だから、誰かがを狙ってるかもよ?』

キョン『…涼子なら大丈夫だよ。それに女子高なら周りに男もいないしな』

なんだ、嫌に今日は佐々木がつっ掛かってくるな…

…しかし、このあとの返事がもう来ない

結局昼休みも終わり、もう放課後になってしまった

ハルヒ「今日の活動は絶対参加よ! わかったわね、キョン!」

ハルヒに声をかけられて、俺も忙しい放課後が始まる




339 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/29(土) 23:15:50.62 ID:0BWwg4HNO
キョン(…まあ、気にしても仕方ないか)

俺はそのまま…SOS団の待っている部室へと向かう



後で届いていたメールの時間を見ると、ハルヒに声をかけられてからすぐに来ていたようだが…

周りが騒がしく、俺は携帯を見る事ができなかった

結局メールを確認したのは家に帰ってからだ

…そこには、よくわからないメールが佐々木から届いていた



佐々木『くつくつ…僕が彼女を狙ってるんだよ』




342 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/29(土) 23:22:18.40 ID:0BWwg4HNO
放課後、朝倉宅 佐々木

朝倉「さあ、あがって」

佐々木「うん、お邪魔するよ」

初めてあがる彼女の家…綺麗なマンション…いい匂い…

そのまますぐに朝倉の部屋に通される

佐々木(ああ…ここが彼女の空間なんだね)

朝倉「あ、適当に座ってね。今お茶を持ってくるから」

佐々木「うん、ありがとう」




343 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/29(土) 23:32:09.54 ID:0BWwg4HNO
彼女が寝ているベッド…

思わず、枕に顔を埋める

佐々木(いい匂い…いい匂い…)

彼女の髪の匂いがして…何度も何度も深呼吸…

枕をそのまま、ギュッと抱きしめる…

佐々木(…でも、今はちょっと我慢)

―ガラッ

朝倉「お待たせ。はいどうぞ」

佐々木「…ありがとう」

姿勢よく床に座っている私…




345 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/29(土) 23:42:12.53 ID:0BWwg4HNO
この空間に入ってしまっては、彼女の前で自分を抑えるのがつらい

朝倉「じゃあ、佐々木さんのお話聞きたいわね」

彼女はちょこん、とベッドの上に座って…

一口紅茶をすする…

その姿もたまらなく可愛い…

佐々木「くつくつ…それで、何を聞きたいんだい?」

朝倉「んー…佐々木さんて、今好きな人いるの?」

佐々木「いきなりだね。うん…好きな人はいるよ」




346 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/29(土) 23:48:24.76 ID:0BWwg4HNO
朝倉「どんな…人? 近くにいるとは言ってたけど…普段会えないの?」

佐々木「近いけど…遠いんだよ。好きだけど、手が出せないのさ」


朝倉「へ、へぇ…そうなんだ。他に彼女がいるとか…?」

佐々木「まあ…そんな感じかな。何より、その人は私の事を見ていないんだよ」

朝倉「…その人は、佐々木さんの気持ちを知ってるの?」

佐々木「告白なんてした事ないからね。ひっそりと想ってるだけさ」


ここまで会話をして、彼女は少し黙り込んでしまう

…何かを考えている様子だ




347 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/29(土) 23:53:21.15 ID:0BWwg4HNO
朝倉「あのさ…間違ってたらごめんね?」

佐々木「ん…」

彼女はうつ向きながら語りかけてくる


朝倉「もしかして、佐々木さんが好きな人ってさ…」

…心臓がドキドキする

彼女が一言一言を話すたびに…なんだが気持ちを紐解かれてるようで…

朝倉「佐々木さんが好きな人って、キョン…なの?」

佐々木「え……」

…自分の言葉を思い返してみる

佐々木「ふふっ…あはははっ!」

朝倉「な、なんで笑うのよ…」




348 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 00:00:41.41 ID:CELa7gScO
佐々木「ははっ…ごめんごめん。確かに、さっきの言い方だとキョンになってしまうかもね」

朝倉「…って言うことは、違うの?」

佐々木「違うよ。私が好きな人はキョンなんかじゃないよ」

朝倉「そ、そう…よかったわ。変な事言っちゃってごめんね」

彼女はホッとした様子を見せる

佐々木「くつくつ…気にしてないよ。それにしても、朝倉さんは本当にキョンが好きなんだね」




352 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 00:07:50.81 ID:CELa7gScO
朝倉「え、ええ…今は会えなくてちょっと寂しいけどね。でもキョンの事を考えてればそれだけで…」

彼女の寂しそうなその横顔

原因を作っているのは…他でもない彼なんだ…

その姿を見るだけで私は…

佐々木「…なんだか、妬けちゃうね…」

言葉を発しながら、私は彼女の座っているベッドに歩み寄る

朝倉「…? 佐々木さん…?」

佐々木「くつくつ…」

彼女の隣に座り…スッと顔を近付ける

朝倉「ど、どうしたの…かな?」




355 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 00:16:18.89 ID:CELa7gScO
佐々木「…私の好きな人、教えてあげる」

スッと顔を近付け…瞳をじっと見つめる

ちょっと困ったような顔をしながら…彼女もこちらをじっと見つめている

朝倉「え…あ、あの……」

言葉を待たず、彼女の肩を掴む

少し怯えたように、ビクッと肩をすくめる彼女を…

そのままベッドに押し倒す

朝倉「あ…」

佐々木「私の好きな人は、ここにいるのよ」




356 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 00:24:44.09 ID:CELa7gScO
朝倉「さ…佐々木さん…」

佐々木「……」

朝倉「あの…私たち女の子同士…よ?」

何度もまばたきしながら、彼女は問いかけてくる

体勢は押し倒されたまま…

佐々木「そうだね…だからずっと言えなかったんだよ。朝倉さんには恋人もいるしね」

朝倉「……」

佐々木「くつくつ…なのになんで私は…こんな行動をとってるんだろうね?」




357 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 00:33:22.20 ID:CELa7gScO
肩にかけた手にギュッと力を入れる

…彼女が動かないのをいいことに、そのまま馬乗りの格好になる

朝倉「ま、待って……」

じたばたと、軽く肩を動かして抵抗はしているけれど…

それに構わず、彼女のお腹にちょこんと座る…もちろん、体重はかけていない

朝倉「こ、こんな事ダメよ佐々木さん…私にはキョンが……」

佐々木「…キョンと言えばさ、クリスマスの前に一度こっちに来ていたよね?」

朝倉「う…うん…バイト先に来ていたわね…?」

佐々木「…実はね、あの時見てしまったんだよ。2人がキスしてる瞬間をさ」

朝倉「え…見てたの?」




358 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 00:42:01.55 ID:CELa7gScO
佐々木「くつくつ…路上でキスするなんてなかなか大胆だね。そんな所も可愛いんだけど…」

朝倉「見られてたなんて、は、恥ずかしいわ…」

佐々木「…ベッドの上なら、恥ずかしくないよ」

朝倉「え…?」

唇…私の唇を、彼女に近付けていく

朝倉さんの肩が少し震えている…暴れないよう、また力を込める

朝倉「ま…待って…」

佐々木「…ごめんね我慢できないんだ」

そのまま唇を近付ける…目を閉じる

―チュ

佐々木「ん…」

朝倉「あ…」

数秒、唇を合わせる…




359 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 00:42:33.99 ID:CvJ6TJOQ0
寝取られたあああああああああああああああああああああああああ




360 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 00:52:31.07 ID:CELa7gScO
佐々木(朝倉さんの唇…美味しい…)

そう思った瞬間、私は口の中に舌を侵入させていた

朝倉「ふぁ……」

彼女の色っぽい吐息が漏れて…身体中がビクビク動いている

そんな彼女の反応につられて、私も夢中で舌を動かす

朝倉「ん…ふ…」

佐々木「ふ…はぁ…」

佐々木(…まるで発情した犬みたいね、私)

朝倉「はぁ…は…」

佐々木(好きな人をこんな風に襲っている…背徳の塊)

でもその刺激が今は心地よい

佐々木(舌…止まってくれない……)




361 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 00:54:53.55 ID:Q9RZpaUW0
キョン佐々が好きだが…これは…いいな




362 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 01:04:15.94 ID:CELa7gScO
佐々木「…ぷは」

朝倉「ん…」

長く深いキス…やっと唇を離す

朝倉「はぁ…はぁ…」

朝倉涼子の頬は真っ赤に染まっている

佐々木「可愛い…」

離した唇でそのまま…彼女の耳たぶに甘く噛みつく

朝倉「あっ…ん…」

佐々木(ん…はむ…)

朝倉「そ、そんなこと…ダメ…」

佐々木「…柔らかくて気持ちいい…」

彼女の優しい吐息を感じる……




363 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 01:08:29.31 ID:CWeOCKQuP
(*´д`*)ハァハァ




364 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 01:18:00.42 ID:CELa7gScO
朝倉「っ…あ…」

感じやすい体質なんだろう

唇を動かすたび、色っぽい声が出る

佐々木「そんな声出されたら、もっと襲っちゃうよ…」

朝倉「だ、だめだってば…」

佐々木「くつくつ…」

耳たぶから舌を這わせて…彼女の耳の外側をなぞる…

朝倉「んんっ……」

その途中、耳の中にも軽く舌を入れてみる

深すぎず…浅すぎず…穴の入り口で舌を遊ばせる

朝倉「ひゃっ…それ…くすぐったすぎてダメ……」

さっきより、彼女の一層声は大きくなっている…




366 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 01:34:26.56 ID:CELa7gScO
舌を動かすたびに…震える体の彼女…

佐々木(ああ…可愛い…)

彼女を襲っている、自分の感情…

女の子同士という事に何の疑問も持たず、唇で彼女の耳を噛み…

彼女の頭や首筋を…指で絡み付くような触り方をしている…


このまま、彼女の体をずっと触っていたかった…

でもその時…

―ガチャリ

と…玄関で扉の開く音がする




367 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 01:42:16.00 ID:CELa7gScO
「ただいまー」

…遠くで玄関の扉があく

どうやら親御さんが帰ってきたらしい


それと同時に、自分の理性が戻るのがわかる

…そっと彼女から離れ、ベッドを降りる

朝倉「あ…」

佐々木「さすがに人がいる所でキスはしないよ?」

朝倉「……」

ベッドで体勢を直し…うつむいたまま、彼女は黙り込んでしまう

…耳まで真っ赤にしながら、下を向いている

少し乱れた着衣が…余計に色っぽく感じてしまう




369 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 01:54:37.19 ID:CELa7gScO
朝倉「……」

佐々木「……」

彼女の同意なんてない、一方的な押し付け行為…

彼女は……何も話さない

佐々木「朝倉さん……怒った?」

あんな事の後だ…勢いのまま襲ってしまったとは言え、自分が悪いのは明白

どんな言葉でも…受け入れる覚悟はあった

朝倉「怒っては…ないわよ…」

下を向きながら…それでも、口調を荒くする事もなく…

いつもの、彼女の声で話してくれている

佐々木「そう……」

とりあえずは一息…安心する

朝倉「…私の事が好きならさ……」

彼女は言葉を続ける…少し、心臓のがペースが乱れるような言い回しだ…

朝倉「どうして…クリスマスの日に、私とキョンを会わせてくれたの……?」




370 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 02:08:17.63 ID:CELa7gScO
朝倉「その時は…私をまだ好きじゃなかったの?」

佐々木「…好きだったよ。朝倉さんが転校してきてからすぐね…自分の気持ちは奪われてしまったよ」

朝倉「そう…なの…」

佐々木「本当に、精神病みたいだよね。女の子を好きになるなんてさ…」

自分の言葉が、なんだか心に突き刺さる

朝倉「それじゃあ…どうして嘘をついてまで、私たちを会わせてくれたの? 理由…キョンをわざわざこっちに呼ばなくても…」

佐々木「好きな人には一番幸せな時間を過ごして欲しいからだよ…」

朝倉「…」

佐々木「好きな人が…会いたい人に会えない…そんなの、せっかくの日なのに…悲しすぎるから…」




371 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 02:16:22.72 ID:CELa7gScO
佐々木「そう思ったら、ちょっとだけお節介をしたくなったのよ…キョンも早いうちに返事をくれたから、変な期待も持たなかったし…ね」

朝倉「そうだったんだ……」

佐々木「今日は少しだけ、自分の気持ちを優先させ過ぎちゃった…ごめんなさいね」

朝倉「ううん…私こそ…気持ちに応えられなくて、ごめんね……」

佐々木「大丈夫だよ…まだ気持ちは消えないし…でも、今日みたいにいきなり襲うなんて事は…もうしないから、多分」

朝倉「多分……」

佐々木「くつ…冗談だよ。少し慌てた朝倉さんが見れただけで…今日の私は満足だよ」

朝倉「もう…みんなには絶対内緒だからね?」

佐々木「わかってるよ、2人だけの秘密……」




373 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 02:31:58.79 ID:CELa7gScO
佐々木「さて…そろそろ今日は帰るよ。また明日…学校でね」

朝倉「う、うん……」

部屋の扉を開けて…彼女の空間から解放されようとしたその時…

朝倉「ま、待って佐々木さん……」

彼女に呼び止められてしまう

佐々木「なに…? どうかした?」

朝倉「佐々木さんの…本当の気持ちはどうなの?」

佐々木「…」

朝倉「さっきの様子だと…一歩引いて、私たちを見守ってくれるような…そんな口調だったわよね…」

佐々木「好きな人が好きな人と笑ってくれる…それが私の願望だよ」

朝倉「願望…」




374 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 02:47:36.56 ID:CELa7gScO
さっきから、私は彼女に背を向けたまま…話を続けている

佐々木「くつくつ…でもあんな事した後じゃあ、言葉に説得力が無いからね…今日はもう、何も言えないよ」

朝倉「……」

この言葉も…扉に向かって話しているみたいだ

佐々木「じゃあ…さよなら、朝倉さん」

後ろは振り返らないで…外に出ようとする…

朝倉「いくら願望でも…それで自分が笑えなかったら不幸せよ……」

背中から…彼女の言葉が刺さってくる

佐々木「気持ちのどこかでは…不幸せなのかもしれないね。それは…今の私にはわからないよ…」

朝倉「それなら……」

佐々木「でもね、さっき言った…願望の事は本当だよ。そういう気持ちが…今の私の中にあるのよ」

朝倉「佐々木さん…」

佐々木「また…ね、朝倉さん」




375 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 02:56:24.09 ID:CELa7gScO
彼女と別れた後の…帰り道で思い出す

終始ずっと…朝倉涼子はなんだか寂しそうな目をしていた

最愛の人に会いたいんだろう…

彼と付き合ってると知った日から…彼女を見るたび、ずっとそんな事を考えている

寂しい目をしている彼女は…どんなに周りの友人と話しても、遊んでも…

その寂しさが消えている事は無かった

彼女の好きな人…その寂しさを消せる人…

どんなに望んでも、その人になることは出来ない

それがとても寂しかった

佐々木「ああ、これが不幸せという気持ちなのかなあ……」




377 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 03:15:57.29 ID:CELa7gScO
3月 キョン

日曜日


長い長い謹慎期間が終わり、今日…涼子に会いに行ける

キョン「はあ…長かったな」

クリスマスに会ってから3ヶ月…

会いたくても会えない…ずっとメールや電話で涼子の見えない姿を追いかけてきた

キョン「それが、今日やっと会える…」

嬉しさから、自然と移動の電車の中で独り言を言ってしまうのも、当然いうものだ

キョン(しかし、地元で会いたいなんて…一体どうしたんだ?)




378 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 03:22:14.18 ID:CELa7gScO


朝倉『ねえ、今回は私の地元に来てくれない?』

キョン『涼子の?』

朝倉『うん。次の土曜日は両親いないから…』

キョン『それって…涼子の家ってことか?』

朝倉『うん…ダメかな?』

キョン『いや、それは大丈夫だけど…本当にいいのか?』

朝倉『うん、大丈夫よ。じゃあ、早速部屋を掃除しなきゃ!』


『―次は…』

キョン「おっ、着いたか……」

これで3度目…俺はまた涼子のいる場所に戻ってきた




379 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 03:31:34.60 ID:CELa7gScO
キョン「お…」

朝倉「キョン…」

キョン「駅まで迎えに来てくれたんだな、ありがとうな」

朝倉「うん…キョンに早く会いたかったから…」

そう言う彼女の表情は、どこか暗いように見えた

キョン「涼子…?」

朝倉「…さ、行きましょう。時間が勿体ないわ」

彼女は、サッと俺の手を取り歩き出す

キョン(本当に、何かあったのか?)




380 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 03:43:08.67 ID:CELa7gScO
駅を出て…道を歩いていく

道の途中、涼子が勤めているコンビニを通る

キョン「ん…この道を通るのか?」

朝倉「ええ、ここから…あと10分くらいよ」

キョン「そうか…」

その言葉通り、10分も歩くと住宅街…涼子が住んでいるマンションに着く

キョン「…相変わらず、大きなマンションに住んでるんだな」

朝倉「そんな事ないわよ。さ、あがって?」

俺はそのまま、涼子の家にあがって行く




381 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 03:57:54.59 ID:CELa7gScO
キョン「おじゃまします」

朝倉「いらっしゃい。ゆっくりしてね」

初めて入った涼子の部屋…彼女の匂い…

キョン「いいなぁ、女の子の部屋…」

朝倉「なに、バカな事言ってるのよ」クスッ

整った勉強机、薄い青のカーテン、ピンクの布団…

キョン「いやあ、涼子の部屋にあがれるとは感動的だ」

朝倉「もう…バカ」

その言葉のまま、彼女は抱きついてくる

キョン「…何か、あったのか…」

朝倉「会いたかった…早くギューってしたかったの…安心…したかった…」




383 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 04:07:25.57 ID:CELa7gScO
そのまま身体を崩し…座り込む形になってしまった

抱き合って、また甘い時間を過ごす

この瞬間が、何よりも幸せを感じる…この気持ちは、時間が経っても、何も変わらない…



朝倉「…お腹すいたわね」

二時間ほど抱き合った後…彼女が呟いた

キョン「もう、1時過ぎだからな…昼飯の時間だな」

朝の6時に出発して、着いたのが11時辺り…

よく考えたら、朝食も食べてなかったな

朝倉「何か作るわよ。何か食べたいものある?」

キョン「お、作ってくれるのか?」




385 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 04:22:29.22 ID:CELa7gScO
朝倉「出掛けてまた帰ってくるのも大変だしね。さ、何が食べたいかしら?」

キョン「そうだな…卵焼きが食べたい、甘いやつ」

朝倉「わかったわ。他には?」

キョン「あとは…涼子に任せるよ。とりあえず卵焼きさえあれば」

朝倉「ふふっ…わかったわ。じゃあ待ってて。すぐに作ってくるわ」


涼子は部屋から出ていってしまう

俺は…テレビでも見て待ってるかな

キョン「いや…ちょっと待てよ」

部屋を出て、俺はキッチンに向かう




387 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 04:27:31.49 ID:CELa7gScO
涼子が包丁を握りながら料理をしている

彼女のエプロン姿…斬新だ

朝倉「あ、キョン。どうしたのよ?」

キョン「いや、料理してる所を見たくてな。なるほど新鮮だ…」

朝倉「ふふっ、変なキョン」

キョン「いやあ、料理してるのを見るのがなんか好きでな」

朝倉「そう…見てても何もないわよ?」

そう言いながら、彼女は包丁を置いて次の作業にうつる

刃物を離した瞬間を見計らって、俺は涼子に後ろから抱きついてみる

朝倉「あ…ちょっと…」

キョン「こうやって襲うのも、いいかなと思ってな」




388 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 04:35:41.17 ID:CELa7gScO
朝倉「もう…料理できないわよ…」

そう言いながらも彼女は手を動かして調理を続けている

朝倉「ほら、これから包丁と火使うから…これ以上は、めっ!」
子供のように怒られて、あしらわれてしまった…

キョン「そうだな…」

しぶしぶと俺は離れる

キョン「しかし、このまま部屋に戻るのもなんか寂しいもんだな」

朝倉「あ…じゃあ一緒に料理する?」

キョン「手伝いたいのもやまやまだが…足手まといじゃないか?」

朝倉「ふふっ、フライパンの中を混ぜてくれるだけで大丈夫よ」




389 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 04:46:16.33 ID:CELa7gScO
それくらいなら、俺も家庭科の調理実習でやったことがある



テーブルには2人で作ったチャーハンと、ボイルしたウインナー…そして、涼子が作った卵焼きが机に並んでいる

キョン「じゃあ…いただきます」

朝倉「はい、召し上がれ」

キョン「…ふむ…」

一口、二口…卵焼きを口に運ぶ

朝倉「…(じーっ)」

彼女の視線が突き刺さる

キョン「ああ…うまい…」

朝倉「本当に…?」

キョン「甘くてふんわりしていて最高だ」




391 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 05:12:00.50 ID:CELa7gScO
朝倉「えへへ…キョンにそう言ってもらえると嬉しいな」

彼女は満面の笑みを浮かべている

キョン(―ポンポン)

朝倉「あ…その癖…」

キョン「ん…ああ…美味いもの食べると、な」

朝倉「私の卵焼き、キョンがポンポンしてくれたら合格なのね」クスッ

キョン「もともと卵焼きが好きだからな。でも…涼子が作ってくれたから特別おいしい…」ポンポン

朝倉「もう…バカ…本当にキョンってバカよね…まったく…」

頭を軽く、ペシッと…バカという言葉と一緒に叩かれてしまう
…昼下がりのテレビを見ながら、ゆったりと過ごすこの空間だけ…

ゆるやかに、とても穏やかに時間が過ぎているのがわかる…

彼女に会ってから、俺は何度幸せを感じる事ができただろう…

新しいものを、たくさん…彼女からもらった気がする…




392 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 05:33:02.20 ID:CELa7gScO
キョン「ふぅ…ごちそうさま」

朝倉「ふふっ、お粗末さまでした」

キョン「いやあ、本当に美味しかったよ。料理上手なんだな」

朝倉「これでも、高校では家庭科を専攻してるからね。料理する機会が多いのよ」

キョン「へえ…涼子の行ってる学校にはそういうがあるんだな」

朝倉「ええ、私料理とか好きだから。調理実習で作った料理も、いつもキョンにあげたいって思ってて…」

キョン「そうか…高校といえば、佐々木は元気か?」


朝倉「ん……」

涼子の表情が一瞬曇ったように見えた




393 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 05:57:33.56 ID:CELa7gScO
キョン「涼子?」

朝倉「あのね実は…」



キョン「佐々木が、言い寄ってきた?」

朝倉「うん…」

キョン「しかし、女性同士でなぁ…」

朝倉「私も驚いたけど…彼女も、悩んでいたみたいよ。それに…私たちの仲を壊すつもりもないって言ってたから…」

キョン「確かに…クリスマスの時は協力してくれてたもんな」

朝倉「性別はともかく…佐々木さんは本当に私の事を好きで、大切にしてくれている…そう感じるの」

それは確かに…

俺も今までの言動を見ていればわかる

好きだから大切

大切だから好き

佐々木も、本当の気持ち…恋心を抱いている…




396 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 06:28:12.23 ID:CELa7gScO
朝倉「…佐々木さんの事、怒った?」

少し…怯えたような目で彼女が聞いてくる

キョン「怒ってなんかないさ。佐々木のそういう気持ちも…何かわかるしな。それに、今こうして一緒にいられる…」

―ギュッ

朝倉「うん……」

限られた時間を少しでも彼女のあたたかさで埋められるように…

言葉のまま、彼女を抱きしめる

朝倉「今日…家まで呼んだのはね……」

キョン「ん……」




397 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 06:29:25.64 ID:CELa7gScO
朝倉「部屋で佐々木さんが抱きついた私の記憶を…キョンに上書きして欲しかったからなの…」

キョン「…」

朝倉「私にとっては…やっぱりキョンが一番大切だから、私…私……」

キョン「ああ…そうだな…」

それから、記憶を少しでも長く、鮮明に覚えていられるよう…

そこからずっと…彼女を抱きしめていた

少し疲れたら、ベッドの中で一緒に眠って…

その日は帰る時まで、お互いの腕が離れる事はなかった

長い時間…ずっと、涼子のあたたかさと…髪の毛の甘い匂いと、ぬくもりを感じていた




398 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 06:48:59.37 ID:CELa7gScO
帰りの電車には、涼子も一緒に着いてきてくれた

以前2人が会っていた駅まで、見送りをしてくれるのだと言う

朝倉「もうすぐ、二年生になるのよね」

キョン「…そうだな。付き合ってから今日まで、早いもんだな」

朝倉「普段会えないから、余計そう感じるのかもね。ホント…同じ街にいるなら会うのも楽なのにね」

キョン「こればっかりは…仕方ないよな」

もし電車で彼女のいる街まで1時間でいけたら、今以上に何度も何度も会いに行ってしまうんだろう




399 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 06:58:33.45 ID:CELa7gScO
朝倉「仕方ない、よね…」

彼女と話す帰路は、時間を猛烈に早くする…

流れる景色が、いつもより早く感じて…

気付いた時にはもう、いつもの駅に着いていた



朝倉「着いちゃったね…」

キョン「ああ…今回はすぐに乗り換えの電車も来ちまうしな」

朝倉「うん…」

彼女はまた泣いていた

駅のホーム、人目があるのも気にしない…

毎回その姿を見るたび、俺も泣きそうになる

そして、いつもの言葉を言う

キョン「また、すぐに会えるさ」

朝倉「うん…」

別れ際には、俺たちはこう言う事しかできない




402 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 07:08:13.19 ID:CELa7gScO
それ以外の言葉を探しても…すぐに会いたい、の感情以外が出てこない

キョン「じゃあ行くよ…またな」

俺はそのまま電車に乗り込む

…突然、電車が動かなくなって出発できなければいいのに

毎回そんな下らない事を考える

それでも、電車は動いてしまう
窓の外では、涼子が小さく手を振ってくれている

これも…何度か見ている、つらいビジョンだ

俺と彼女の距離が、また段々と遠くなる…

そして、すぐに彼女からメールが来る

朝倉『わがままなのはわかってる。でもキョンに会いたいよ…会いたい……』




403 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 07:17:56.21 ID:CELa7gScO
別れてから1分のメールでこんな事を言われても…正直困ってしまう

ただ、自分も会いたい気持ちだけが…無駄にぶり返されてしまうだけだ

キョン『ああ…俺も会いたい。でも今は離れるしか無いんだよ…』

―ピリリリリ

涼子『無理なのはわかってる…でも、会いたい…ごめんね、変な事言っちゃって…』

以前の謹慎命令が無ければ、俺は次の駅で乗り換え引き返していただろう




404 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 07:23:43.45 ID:CELa7gScO
でも今は…そのまま電車に乗って、元の街に帰っていくしかない…

キョン(ああ…遠距離ってつらいんだな……)

改めて…そんな事を考えてしまう

この頃からだろうか…

俺たちの気持ちの中に変な感情が生まれだしたのは

付き合い始めた頃とは絶対違う…

少し歪んだ気持ちの何かが…




431 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 15:31:05.79 ID:CELa7gScO
2年生4月

短い春休みが終わり…入学式の季節だ

俺も涼子も、学校が始まりほんの少しだけ寂しさが埋まった…ように思えた

ハルヒ「おはよう、キョン」

キョン「ん…よう、ハルヒか。久しぶりだな」

ハルヒ「…そうね、アンタが最近活動に来ないから、余計そう感じるわね」

最近、休日に運悪く予定が重なってしまう事が多く、よくSOS団の活動を休んでいた

キョン「こっちも、忙しいんだよ。平日の活動は参加してるだろ?」

ハルヒ「土日の活動が本番でしょ? おかげで不思議探索も、滞り中よ」




432 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 15:36:00.76 ID:CELa7gScO
キョン「…悪かったよ」

俺の中でも、優先順位がある

今は涼子が一番にいる…それだけだ

みんなにも、少しずつだが涼子の事は色々と話している

理解はしてくれているが…やはりたまに一人欠員が出るのは、微妙な心情なんだろう

特に目の前の団長にとっては

ハルヒ「…全く、あんたはいつも……」

キョン(ああ…涼子に会いたいな…今頃何をしているんだろうか…)

もうハルヒの言葉はあまり耳に入っていなかった




434 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 15:40:20.75 ID:CELa7gScO
4月 佐々木

久しぶりの学校…外の風はとても暖かい

佐々木「好きだな、この空気…」

太陽が眩しい…一人学校への道を歩く

その前を歩いている人の中に…朝倉さんの後ろ姿を見つける

佐々木「…や…」

朝倉「はぁ…キョンに会いたいな…」

佐々木「…相変わらず、キョン一筋みたいだね」

朝倉「あ…佐々木さん、お…おはよう…びっくりしたわよ」

佐々木「おはよう。驚かせてしまったかな、ごめんごめん」

朝倉「ううん、大丈夫。今日は暖かいわね…学校に行くのも楽しみだわ」

佐々木「そうだね…また同じクラスになれるといいね」

朝倉「そうね、休み時間でいちいち教室移動するのも面倒だもんね」

…以前にあんな事があっても、彼女は変わらずに接してくれる

もちろん、恋愛的な進展は何も無いけど…




435 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 15:44:26.14 ID:CELa7gScO
佐々木(諦めきれないけど…でも、彼女達の仲を壊す事はできないよね…)

これが以前からの正直な気持ちだった

今は…友達として彼女を見守っていられれば…

朝倉「でね…この前キョンに会って…料理作ってあげたのよ」

胸はずっと痛いけど…少なくとも、笑う彼女の姿を側で見られる

佐々木(これだけは…唯一キョンに勝っている事だから、ね)

言い聞かせるように、言葉を繰り返す

気持ちが彼女の近くにいられなければ、意味はないってわかっているのに

佐々木(…まったく、精神病だよ本当に)

そんな自分に少し苛立ちを覚えながらも、私は彼女の隣にいる

学校に着くと、私たちはまた同じクラスだった

佐々木(彼女と一緒に笑える日々が…また始まるのね)

それだけが、何だか虚しくて嬉しかった…




437 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 15:49:11.86 ID:CELa7gScO
4月後半 キョン

新しい…と言ってもあまり変わりの無いクラスにも慣れ、俺はまたいつもと変わらない日常を過ごしていた

今夜も涼子との電話…これだけが平日の楽しみだ

キョン『…そう言えばどうだ、そっちの新しいクラスは?』

朝倉『んー、あまり人が変わらなかったから特に何もないわね。あ、佐々木さんも一緒よ』

キョン『佐々木か…あれから何かあったか?』

朝倉『ううん…いつも通りよ。よく話してくれる、いいお友達』

キョン『お友達ねぇ…まあ、何もないならとりあえず安心だ』

朝倉『うん、何かあったらちゃんと言うわよ』

キョン『そうだな…』

いつもの彼女との会話…でも、今回はちょっと違った




438 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 15:52:32.21 ID:CELa7gScO
『―バタン』

?『…また電話してるのか!』

受話器越しに…扉の開く音と、男の怒鳴る声…

朝倉『…お父さん…勝手に部屋に入らないでよ!』

朝倉父『お前、最近の電話代がどれだけかわかってるのか!』
お互いの大きな声が電話から響いてくる…電話代の事は、俺も耳が痛い

朝倉『ちゃんと自分で払ってるじゃない! それで何が悪いのよ!』

朝倉父『そういう問題じゃないんだ…いい加減にしろ!』

…ブツッ

…ツー、ツー

そして、電話は一方的に切れてしまった

父親に切られた事は容易に想像ができた




439 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 15:59:16.32 ID:CELa7gScO
受話器の向こうでは、俺には何もする事ができず…

彼女に電話をもう一度する事も…やはり躊躇われた

時間はもう2時を過ぎた

高校生には、ちょっとした夜更かしの時間だ

そろそろ限界だ…おやすみメールだけしておくか

キョン『涼子大丈夫か…?俺はもう休むけど、平気になったらまた連絡してくれ。じゃあ、おやすみ。好きだよ涼子』

メールを送ったが、不安は残ったままだ…

…とりあえず眠る事にした

キョン(おやすみ、涼子…)




440 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 16:00:54.84 ID:CELa7gScO
その夜 朝倉

夜…といってももう深夜の3時だ…

朝倉「おかしいな…キョンからメールの返事が来ない…」

朝倉「なんでメールくれないのよ…バカ…バカ……」

朝倉「…変よね、こんなの…携帯取り上げられたんだから、連絡なんてわかるわけないのに…」

朝倉「寝れない…寝れないよキョン…キョン…不安だよ……寂しいよ……」

電話は、両親の寝室に電源が切られた状態で置かれている…

取りにいく事もできない…いつ返してもらえるかも解らない…

朝倉「キョン…キョン……駄目だよ、私耐えられないよ…助けてよ…キョン…」

…結局、あれからずっと朝まで泣いていた

眠れない…眠れるわけがない…




441 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 16:03:03.62 ID:CELa7gScO
窓…カーテンの隙間から光が漏れてくる

もう学校に行く準備を時間だ…
重い体をベッドから起こし、服を着替え出す…

居間には、もう両親が起きて朝食が並んでいた

朝倉母「あら、おはよう涼子、ご飯用意できてるわよ」

朝倉父「…」

朝倉「…今日は早く学校行かないとダメだから、もう出るわね」

朝倉母「早くって…まだ7時じゃない。それに何だか顔だって赤いし…」

朝倉「何でもないってば! いってきます…」

朝倉母「ちょっと、涼子…」

母の言葉も聞かず、私は家を飛び出す

…学校には、まだ誰もいなかった

朝倉「…学校に用事なんて、あるわけないのにね…」

時計は7時20分をさしている

始業まではまだ1時間以上ある…




444 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 16:05:00.74 ID:CELa7gScO
朝倉「でも…こういう雰囲気も悪くないわね…」

ひんやりとした空気…窓からは爽やかな風が私の髪を揺らす…

朝倉「…キョンに会いたいな…連絡、欲しいな」

頭は自然と、彼の事を考えてしまう

手元には彼と唯一繋がる携帯電話が無い…それだけで、涙が出そうになる

朝倉「考えても、仕方ないわね…」

そのまま、机に突っ伏して…何も考えない時間に入る事にした…

…そのうち、教室に何人か生徒が入ってくる

佐々木「おや…早いね、朝倉さん」

その中には、佐々木さんの姿もあったようだ




445 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 16:07:43.56 ID:CELa7gScO
声をかけられて、私は頭をあげる

朝倉「…おはよ」

佐々木「…どうしたんだい、その顔。目が真っ赤だし…クマもできてるじゃないか」

朝倉「ちょっと、ね……」

佐々木「訳あり、みたいだね…」

朝倉「うん…」

佐々木「よかったら、話聞かせてくれないかな?吐き出せば、楽になると思うよ」

朝倉「…あのね…」



佐々木「そう…電話を取り上げられちゃったんだ」

朝倉「うん…いつ返ってくるかもわからないし…何より連絡を取れないのがつらい…」

佐々木「自分が望んだならともかく…他人に好きな人と離されるのは泣いてしまうだろうね」

朝倉「昨日から、泣きっぱなしよ…」

佐々木「…もう、二度と会えないような気すら出てくるよね」

朝倉「うん…そんな感じね…」




447 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 16:09:46.25 ID:CELa7gScO
…佐々木さんも、少し困ったような表情で私の事を見ている

佐々木「ふぅ…携帯を返してもらうしか、元気になる方法は無いみたいだね、」

朝倉「…とりあえず、帰ったらまた話してみる。連絡が全くできないのは、嫌…」

佐々木「…何かあったら、遠慮なく相談してね?」

朝倉「うん…ありがとう、佐々木さん」

佐々木「…朝倉さんの、そんな悲しい顔、見たくないからね…」

朝倉「ありがとう…ね…」

そこまで話すと、始業のベルが鳴った

…はっきり言って、その日の授業は先生が何を喋ってたか全く覚えていない

ノートも一枚もとっていない

今日だけは、早く家に帰りたかった…キョンにどうしても…近付きたかった…




448 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 16:13:48.74 ID:CELa7gScO
朝倉「ただいま…」

と言っても、家には誰もいない…両親が帰ってくるのは夕方過ぎだ、しばらく時間がある

少し電話も探したが、やはり家には置いていないみたいだ

朝倉「なんだか疲れちゃった…」

昨晩は一睡もしていない…そして学校の後…疲れを感じる

朝倉「寝よ…」

そのままベッドに飛び込む



―コンコン

朝倉母「涼子、ご飯よ」

朝倉「寝てるの?大丈夫?」

朝倉「…んん…はぁい…」

部屋の外からの、母の声で目を覚ます

朝倉(あんま…食欲ないや…)

それでも、居間に向かって歩いていく




450 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 16:15:34.90 ID:CELa7gScO
朝倉「…いただきます」

朝倉父「…」

朝と変わらず、父は何も話さない

私も何かを話す気はなく…黙々と食事を過ごす

『それでね……ハハハハッ…』

テレビからは、乾燥したような笑いが響いている

…今は何を聞いても楽しいとは思えない

私は黙々と箸を動かしているだけだ

朝倉「…あのさ、お父さん。携帯いつになったら返してくれるの?」

朝倉父「…」

朝倉母「お父さん…今朝話した時は返してあげるって…」

朝倉父「…親が家にいる間だけな。それと、しばらく電話は禁止だ」

朝倉「何よそれ…電話くらい…いいじゃない!」

朝倉父「しばらくは…ダメだ」

朝倉「しばらくっていつまでよ…明日?明後日?!」




451 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 16:17:09.65 ID:CELa7gScO
朝倉父「しばらくだ…メールで我慢しなさい」

朝倉「…何でよ、電話代だって、ちゃんとバイトのお金で払ってるじゃない!」

朝倉父「深夜遅くまで電話、それがほぼ毎晩続く…そんな生活はダメだ許さん」

朝倉「学校だって…ちゃんと行ってるじゃない…!」

朝倉父「…でも、成績は少し落ちたな。勉強に支障が出ているんじゃあ、以前と同じというわけには行かないよ」

朝倉「…」

確かに、私の成績は以前と比べちょっとだけ悪くなっていた

でも今の私には…口撃する手段の一つにしか、聞こえない

朝倉父「…いいか涼子。何も携帯を解約しようってわけじゃない…ほんの少し使う時間を制限するだけなんだ」




452 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 16:21:29.05 ID:CELa7gScO
―解約

そっか…私の電話は親名義の携帯だ…

父親が店に行けば、すぐに電話は解約できる

…その言葉を聞いて、自分の中に新しい恐怖が浮かぶ

朝倉「解約は、嫌…」

朝倉父「時間で…使いすぎなければいいんだ。ほら…」

父はポン、と携帯をテーブルの上に置く

朝倉父「明日、学校に行く前には返すんだぞ」

朝倉「……」




453 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 16:23:26.16 ID:CELa7gScO
すぐに携帯を取り、私は部屋に戻っていく

電源を入れる、懐かしい重量感が手にフィットする…

メールをチェックすると…一通、二通、三通…

全てキョンからだ

返せなかったおやすみメール…

学校に行く前のいってきますメール…

夕方、私の身を心配してくれているメール…

朝倉「キョン…」

すぐに私は、返信のためにメールをうつ…




454 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 16:25:09.10 ID:CELa7gScO
同日 キョン

変だ…あれからメールが返ってこない

深夜のメールはともかく、朝と夕方…学校が始まる前と、終わった後でも返事が来ていない

思い当たる節は…父親との口論らしきやり取り

無理やり切られた電話…

そしてこれだけ時間が過ぎているという事は…携帯を没収された?

キョン「…涼子と連絡がとれないだけで、こんなに気持ちがザワザワするなんてな」

…それでも、いつか来ると思う連絡を信じて…俺は携帯を握りしめていた

―ピリリリリ

キョン「…!」

これは…メール、いや電話か?

携帯の表示を見ると…ハルヒからだった

キョン「なんだ、ハルヒか…」

がっかりしたとは言え、電話に出ないわけにはいかない




455 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 16:27:16.56 ID:CELa7gScO
これが涼子だったらどんなに嬉しい事か…

―ピッ

キョン『…もしもし?』

ハルヒ『もしもしキョン?今大丈夫かしら?』

あまり大丈夫な気分ではない

キョン『ああ、どうしたんだ。いきなり電話なんて』

ハルヒ『連休…ゴールデンウィーク中の活動内容をちょっとね』

キョン『なんだよ…そんな事なら明日学校で話せばいいだろ?』

ハルヒ『本当は、今日話すつもりだったのよ。なのにキョンがさっさと帰っちゃうから…』

キョン『…ちょっと、居残りする余裕がなくてな。』

ハルヒ『ははぁ…また朝倉涼子ね』

キョン『…そうだよ、悪いかよ』




456 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 16:29:42.99 ID:CELa7gScO
ハルヒ『別に悪いなんて言ってないわよ。ただ、そのおかげで確認だって取れなかったんだからね』

こういう気分の時は、些細な小言を言われても、気持ちが焦り不安定になる

キョン『…わかってる、悪かったよ。それで、ゴールデンウィークがなんだって?』

ハルヒ『今年のゴールデンウィークは、火、水、木曜日が3連休になるじゃない?』

ペラッ、とカレンダーをめくり確認してみる

キョン『ああ…月曜日と金曜日が厄介な週だな。それで?』


ハルヒ『それでね…活動に都合がいい日を今みんなに聞いているのよ。とりあえず日曜日から……』

…結局、ハルヒとはニ時間くらい話していた

月曜日と金曜日に学校はあるものの、放課後も含めて一週間丸ごと活動しよう、という結論になった




457 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 16:32:03.59 ID:CELa7gScO
彼女に会いに行くには、その中で1日あればいい

一週間のうちに、1日くらいは活動を休んでも文句は言われないだろう

休みをもらうのは、いつもの事だ


キョン「ふぅ…なんだかんだで、話し込んじまったな」


改めて、メールを問い合わせする

…ピリリリリ

キョン「メールが…来ている?」

時間を見ると、電話をし出してから…10分ほど後


キョン「…涼子だ!」




458 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 16:34:07.28 ID:CELa7gScO
俺はすぐにメールをひらく

朝倉『長い時間メール返せなくてごめんね。携帯親にとられてたわ。学校行ってる間は親に電話預けないといけなくなっちゃった』

朝倉『電話も禁止されちたから…夜しかメールできないの。しばらくは我慢しないとね』

キョン「…」

考えた通りだった。やはり親に携帯を使わせてもらえなかったらしい…

キョン「…夜の間だけ、か」

キョン『こっちも、返事が遅れて悪かったな。親に止められたなら、仕方ないな…とにかく、できるだけメール返すからさ』

…送信




459 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 16:36:08.52 ID:CELa7gScO
メールはすぐに来た

朝倉『そうね。今は我慢するしかないわね…』

…短いメール。落ち込んでいる様子が手にとるようにわかる
キョン(よしてくれ…涼子がそんなに落ち込んでいたら…)

キョン『そうだな』

朝倉『うん…』

…お互い、1行のメール

朝倉『…今日はもう寝るね、おやすみなさい』



なんだろう、この気持ちは

電話が出来なくなったのは…どちらが悪いわけでもない

確かに、電話をし過ぎた自分たちのせい…自業自得なのかもしれない

俺はまだそれで納得はできる。多少の寂しさはあるが…

でも涼子は…親から電話を禁止され、携帯を持つ時間も制限されている

今日もすぐにメールを返せなかった…

気持ちが荒んでいくのは、なんとなくわかる




460 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 16:38:27.06 ID:CELa7gScO
キョン「…本当は、俺が優しい言葉をかけるて支えるべきなんだろうな」

それなのに、自分もつられて寂しげなメールをしてしまった

キョン「…俺も寝よう」

その日は、なぜだかよく眠れた

胸には突っかかってるものが沢山あるのに…




462 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 17:44:29.35 ID:CELa7gScO
起きて少しメールをして…

眠るまで少しメールをする…

涼子との連絡これだけになってから、数日…

そんなに日にちは過ぎてなかったと思う

相変わらず、どこか寂しい様子の涼子のメール

電子の文字が無表情のまま、画面に並んでいる

キョン『…連休中に会うなら、どこか遠出でもするか?』

朝倉『1日じゃあ厳しいわよ? 時間ができたら、ね』




463 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 17:46:43.15 ID:aVFBxGSEP
佐々木の一人称,二人称は"僕"、"君"なんだが、"私"と"あなた"になってるのは何か理由が?




464 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 17:51:11.38 ID:CELa7gScO
>>463
気持ち、女の子(乙女)っぽくするためです
まあ、イメージというか雰囲気というか…


なるべく元気に振る舞ってみても、彼女の反応はどこか寂しそうで…

朝倉『そろそろ…寝るね。おやすみなさい』

今日も…短い彼女との時間は終わった

何となく、言葉の裏に本音が隠れているのはお互いわかっている…

でも、本当に言いたい事を言えないような…そんなもどかしさがあった

歯切れの悪い生活…それが数日、続いてしまった




465 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 17:57:01.90 ID:CELa7gScO
翌日…朝

―ピリリリリ

目覚ましとは違う電子音で目が覚める

この音は…メールだ

キョン(多分…涼子かな…)

時計を見ると…朝の5時か

朝倉『寂しい。ここから逃げ出したいよ…キョンに会いたい…家出したい…』

キョン(…何を言ってるんだ涼子…)

家出…その考えは全く無かったわけじゃない

でも俺たちは高校生だ

身の回りの色んなものを捨てて、大好きな人の所へ逃げていく…

そんな大それた事は考えが浮かんでも、口には出せなかった

外に出した所で…相手にかかる負担、周りに言った所で、絶対に変わる事のない日常

そのアンバランスさと優先度の不等号が…いつも自分の考えと言葉を遮っていた




467 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 18:02:12.70 ID:CELa7gScO
それを…涼子今朝のメールで言葉に出してきた

少し意外なような…安心はしたような印象もある

でも…

キョン『おはよ。ちゃんと眠れたか? 連休中には会いに行くからさ』



朝倉『休みまで待てないよ…今日…すぐに会いたい…』

今日も明日も学校だ

…これは困った

キョン『…何かあったのか?』

朝倉『寂しい…会いたい…もう寂しい思いをするのは嫌だよ…』

キョン『家出したら、学校はどうするんだ?家族は?』

朝倉『もうなんでも…キョンがいればいい……』




468 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 18:03:31.14 ID:tCKxYjGn0
こ れ は う ざ い




469 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 18:14:30.48 ID:CELa7gScO
キョン『……』

自分も密かに持っていた願望

この環境から逃げたしたい欲望

止めるという考えより先に、会いたい気持ちが出てきてしまう

キョン『…それでいいのか?』

朝倉『いい…会いたい…私、あなたについて行きます…』



この時の俺たちは…学校とか、友達とか…

明日の事も何も考えないで…寂しさを我慢する事も全部忘れて…

ただ彼女に会いたかった…

周りから見たら、とても愚かな事なんだろう

今の俺たちには、周りの言葉なんて何の関係も無い事だった




470 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 18:18:12.06 ID:CELa7gScO
5月2日(月)

昼過ぎ 佐々木

学校

佐々木「朝倉さん、ご飯にしようか」

朝倉「そうね。食べましょう」

彼女は…心なしか軽い感じで昼食を机に広げる

その様子は、なんだが少し嬉しそうだ

佐々木「…何かいい事でもあったのかい? あ、携帯を返してもらったとか?」

朝倉「ふふっ…ちょっとね。携帯はまだだけど…もういいのよ」

もういい?

今まではあまり聞かなかった…彼女からは初めて聞くような言葉だ

佐々木「ふぅん? まあ、元気そうならよかったよ。明日から3連休だね」




471 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 18:19:47.33 ID:GyTUG6090
う ざ い け ど 気 持 ち は わ か る




472 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 18:22:04.56 ID:WGsQgAbhP
う ざ い け ど こ ん な 彼 女 ほ し い




474 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 18:28:33.72 ID:CELa7gScO
朝倉「そうね。今週はあと金曜日に学校があるだけだから楽よね」

佐々木「やっぱり、連休中はキョンに会いに行くの?」

朝倉「…」

佐々木「ん、都合が悪い…とか?」

朝倉「まだちょっと…わからない、かな。キョンも忙しいみたいだし…」

彼女が少ししょんぼりとしてしまった

佐々木「ああ…ごめんごめん。でも休みがたくさんあるんだから、1日くらいは時間を作ってくれるはずだよ」

慰めるように、言葉を投げ掛ける


朝倉「…ふふっ、ありがとう。佐々木さんにはなんか心配して貰いっぱなしね…」

彼女の笑顔につられて、自分も少し安堵をする

佐々木(心配は…いらなかったかな? 朝倉さんに対して…ちょっと敏感になりすぎ、かもね)




476 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 18:33:50.68 ID:CELa7gScO
不思議そうな顔を、自分もしていたんだろう

彼女も、ハッと私の方を見つめ直してくれる

朝倉「あ、ごめんね。なんだか変な話して…」

佐々木「…ううん、いいんだよ。人の話を聞くのは好きだからね」

朝倉「いつかちゃんとお礼もしないとね…」

佐々木「お礼なら…いつも朝倉さんが作った卵焼きを貰ってるから、それで十分だよ」

彼女の作る卵焼きは…おいしい

砂糖のきいた甘い卵焼き…それを一切れ食べるだけで幸せになれる




477 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 18:38:41.43 ID:CELa7gScO
朝倉「そう…じゃあ、今日はこれ全部あげるわよ」

佐々木「全部…? 食欲無いの?」

朝倉「ううん、そんなじゃないわよ。今日のは佐々木に食べて欲しいの」

佐々木「くつくつ…じゃあ、遠慮なく…いただきます」

彼女からもらった卵焼き…
相変わらず美味しい…けど、今日は少しだけ砂糖が抑えられていた気がした

微妙に砂糖の量が違ったのか

私の味覚がいつもと変わったのか

彼女に何か変化があったのか

さっき…考える事をやめた私には、食事中に微かに沈む彼女の顔を見つける事は…

私にはできなかった




478 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 18:43:25.28 ID:CELa7gScO
佐々木「じゃあ、よい休日をね」

朝倉「うん、さよなら佐々木さん」

彼女とは、いつものコンビニ…バイト先まで彼女を見送ってから別れた

明日から連休だ…何をして過ごそう

ちょっと遠出でもしようか、誰か友達と遊ぼうか…

朝倉さんと遊ぶのもいいかもしれない

そんな事を考えながら帰路につく



佐々木「ただいま」

家に帰ってきたものの…特別やる事があるわけでもない

カバンを置き、服を着替え…自分の勉強机に座る

佐々木(…ああ、そう言えば宿題も多目に出てるんだったな…)




480 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 18:50:56.77 ID:CELa7gScO
カバンから教科書を取りだし、ザッと目を通す

佐々木(…まあ、ちょっとだけ片付けておこうかな)

スラスラと、問題を説いていく

時間は…帰宅してから1時間が経っていた

佐々木「ふぅ…ちょっと休憩しようかな」

トタトタ、と台所の冷蔵庫に向かう

佐々木「あら…飲み物、何も無いじゃない…」

佐々木(買ってこなくちゃ…)

玄関を出て、彼女…朝倉涼子がいるコンビニに向かう

買い物のついでだ、少し話して行こう

私の舌は、彼女の卵焼きの味をまだ覚えていた

それくらい、今日食べた卵焼きはおいしくて、嬉しかった




481 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 18:54:31.44 ID:CELa7gScO
―ピンポーン

店内に入り、辺りを見回す

いつものレジには、いつもの彼女の姿が…無い

佐々木「あら…」

佐々木(裏の仕事をしてるのかしら? でもこの時間はいつも一人だったし…)

つい1時間前に、このバイト先で別れたばかりだ

彼女がいないはずがない…

佐々木「あの…すいません」

店員「はい?」

佐々木「今日朝倉さんて、来ていませんか?」

店員「あー、朝倉さんね。あの子辞めちゃったんだよね。ほんの数日前にさ」

佐々木「え…」

辞めた?

彼女からは一言もそんな事は聞いてない




482 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 19:04:31.49 ID:CELa7gScO
佐々木「あの…理由とかわかりますか?」

店員「んー…ちょっとわからないかな。特にトラブルも無かったから…」

佐々木「そうですか…」

とりあえずその場は、ジュースを2本だけ買ってお店を出た

佐々木(彼女に、連絡してみようか…)

しかし、携帯は持ってきていない

ここからだったら、家に帰るより朝倉さんの家に行く方が距離は近い

でもなんだか、今日は胸騒ぎがする

佐々木「…ちょっと行ってみよう」




483 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 19:12:13.91 ID:CELa7gScO
―ピンポーン

急ぎ足で向かった、朝倉涼子のマンション

ここに来るのは…彼女に手を出してしまった、いつかの日以来…

ちょっと嫌な記憶がよみがえる…

―ガチャリ

朝倉母「はい?」

中からは彼女の母親が出てきた

何度か顔を合わせた事もあるので、お互いに知己の仲だ

朝倉母「あら、佐々木さん、こんばんは」

佐々木「こんばんは。あの、涼子さんいらっしゃいますか?」

朝倉母「あら、涼子は今日はバイトの日なのよ。ほら、あの大通りのコンビニで……」

佐々木(……)





484 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 19:20:01.94 ID:CELa7gScO
朝倉母「なにか用事だった?」

佐々木「あ、いえ…ちょっと近くまで来たものですから」

朝倉母「そう、ごめんなさいね。来たこと伝えておくわね」

佐々木「…はい。連休が終わったら、学校で会えますしね」

朝倉母「そうね…じゃあ、体に気をつけて休日を過ごしてね」

佐々木「はい…お邪魔しました」



公園

ベンチに座って、さっきのジュースを一口…

佐々木「ふぅ……」

一息ついて、何もない空を見ている

辺りはすっかり暗い…

確証なんて無いけれど…多分、自分にはわかってしまったような気がする

佐々木「ああ…君はもうこの街にはいないんだね……」




486 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 19:26:29.52 ID:CELa7gScO
同時刻 駅 朝倉

―ガタン、ガタン

夜を走る電車の中に私はいる

手には…ちょっとした荷物と、胸にいっぱいの不安

朝倉(キョンに…会いたい…)

会いたいからこそ、私はこうやって電車に乗っている

家族も、友人も、学校も…

全てを捨てて、私はここにいる

朝倉(…早く着かないかな…)

ただ彼に会う時間だけが待ち遠しい

でも、この数時間を乗りきれば…あとはずっと、キョンと一緒にいられる

朝倉(キョン…キョン…)

今からでは、向こうに着くのは0時近くになってしまう

それでも、大好きな人に会えるなら…残りの時間なんて、どうでもいい事だった




489 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 19:35:24.96 ID:CELa7gScO
乗り換え駅

朝倉「あ…」

キョン「よう…おかえり」

彼がいる

ずっと会いたかった、大好きな彼が目の前にいる

朝倉「うん…うん…ただいま…」

キョン「…泣くなよ。ほら、とりあえず電車に乗るぞ」

グイッと彼は私の手をとる

朝倉「うん…」




490 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 19:40:54.69 ID:CELa7gScO
―電車

朝倉「迎えに来てくれて、ありがとう」

キョン「いいんだよ。いつもあの駅で待ち合わせしていたからな…思い出の駅みたいなもんだ」

朝倉「思い出…本当ね…」

キョン「…携帯も置いてきたんだろ?」

朝倉「持ってて、連絡くると嫌だから…あ、キョンとのメールはちゃんと別に保存してあるからね?」

キョン「ああ…ありがとうな。今日からは、ずっと一緒だ」

朝倉「うん…思い出…キョンといっぱい作りたいな…」

キョン「ああ、ああ…一緒にいるんだ。これから、たくさん作ればいい」

朝倉「キョン……」

自分のワガママ…全部を受け止めてくれる彼の横顔…

やっぱり私は…彼に恋していたんだと…そう思った




491 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 19:52:14.83 ID:CELa7gScO
地元駅 キョン

涼子と話していると、時間が過ぎるのがあっという間だ

もう、俺たちを最後の駅まで運んでくれた

キョン「着いたな…ほら、カバン持つぞ」

朝倉「あ…ありがとう」

時間はもう0時近く…人影は、あまり見当たらない

人目が少ない駅は…今の俺たちにはとても落ち着ける空間だった

…クリスマスの日の、駅を少し思い出してしまう




492 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 19:55:26.29 ID:CELa7gScO
朝倉「この時間なら、知り合いもいないわよね?」

キョン「さすがにこの時間じゃあな…誰か駅で待ち合わせでもしてれば、いるかもな」

朝倉「こんな時間に出歩く高校生も、なかなかいないわよね」

彼女はふふっ、と小さく笑う

…駅前で、待っていたハルヒの事が頭に浮かんだのは…涼子には秘密だ

キョン「…さ、いくか」

朝倉「うん!」

知っている道…家への帰り道を歩いていく

今日は涼子と一緒に、ゆっくりと…




493 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 19:59:42.50 ID:CELa7gScO
朝倉「住んでいた地元でも…久しぶりに来ると、ちょっと懐かしい感じがするわね」

キョン「そうか?」

朝倉「うん。それに深夜だから、ちょっと雰囲気も違うし…ね」

キョン「確かにな…」

そんな話しているうちに、もう家の側まで来てしまった

キョン「っと…もう家か…」

朝倉「そうね…ねえ、本当に大丈夫なの?」

家出をするにあたって、まず涼子をどこに泊めるか…それがまず問題だった

一人でホテルに泊めるわけにもいかず…結局、家で匿う形となったのだが…

キョン「見つからないようにするから、大丈夫さ。家族に見られたら…ヤバいからな」

当然、家族には内緒だ




494 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 20:07:33.98 ID:CELa7gScO
朝倉「うん…でもずっとキョンの部屋にいられるかなら…いいかな」

キョン「…ちょっと窮屈な思いさせちまうかもしれないけどな」

朝倉「キョンといられるなら…いい…」

キョン「涼子…」



キョン「ただいま…」

廊下には誰もいない…大丈夫…

言う間に涼子を部屋に走らせる

涼子が部屋に入った音が聞こえた

とりあえず…これで一安心だ

俺も部屋の扉を開け…中に入る




496 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 20:13:56.12 ID:CELa7gScO
朝倉「もう、寂しい思いしなくていいんだよね…?」

キョン「ああ…一緒だ。ずっと一緒にいよう…」

朝倉「うん…うん……」

キョン「…もう、寝るか?」

朝倉「そうだね…もう1時だもんね」

キョン「…布団1つしかないけど、いいよな?」

朝倉「うん…一緒がいい…」

―ドクン

2人布団に入って…隣に並んでいる

キョン「涼子、ほら…頭」

朝倉「ん……」

彼女は頭をスッと、俺の腕にのせてくる

そのまま…彼女を引き寄せ、また腕にギュッと抱きいれる

朝倉「あったかい……」

キョン「布団の中に涼子がいる…いい匂いだ…」




497 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 20:19:45.12 ID:CELa7gScO
心臓がドキドキ言っている

朝倉「本当に夢を見てるみたい…」

キョン「涼子……」

そのまま、彼女にキスをする

朝倉「ん…」

少し…肩がフルフルと、揺れている

キョン「涼子…緊張してるのか?」

朝倉「ほんのちょっと…」

キョン「それなら…心臓の音をきくといい。ほら」

もう一度、彼女を抱き寄せる

今度は胸の位置に彼女の顔が来るように

朝倉「んっ…」




499 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 20:27:00.44 ID:CELa7gScO
朝倉「ふ~ん…じゃあ、キョンちゃんも落ち着く?」

キョン「ん…」

朝倉「心臓の音…きく?」

キョン「あ、ああ…そうだな…」

朝倉「えへへっ、じゃあ…おいでおいで♪」

ピョコッ、と布団から頭を出した彼女が腕を広げる

その胸に吸い込まれるように…俺は頭を彼女の心臓にくっつけた

―トクン トクン

朝倉「きこえる…?」

キョン「ああ…落ち着く…」

確かに落ち着く…心地よい鼓動が俺の耳をとらえて離さない…

が…それ以上に…

心臓…つまり涼子の胸が俺の頬に当たっている状況が…俺の心臓をまた早くする

キョン「…柔らかい」




500 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 20:35:04.92 ID:CELa7gScO
朝倉「私の胸?」

キョン「ああ…なんか、柔らかい…」

朝倉「えっちだ…」

キョン「…心臓がちょっと早くなったぞ」

朝倉「そ、そういうのは、言わなくていいのよ…ばか…」

キョン「おっ…また少し…」

朝倉「…! もうダメ。胸に耳くっつけるの禁止!」

プイッと…彼女は反対側を向いてしまう

キョン「…そうか、涼子はそっちの方がいいのか」

朝倉「え…あ……」

彼女が向こうを向いたまま…俺は涼子を後ろから、覆うように抱きしめる




501 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 20:38:46.89 ID:CELa7gScO
キョン「涼子は後ろからくっつかれる方が好きなんだな」

朝倉「……」

彼女の首筋が熱くなるのがわかる…

朝倉「キョン…余裕で襲ってるフリしてるけどさ…」

キョン「ん……」

朝倉「心臓…すごい鳴ってるのがバレバレよ?」

…この言葉だけで、俺の余裕と優位な立場は崩されてしまった

…そのまましばらく、くっついて、抱きあって…今日が終わった

明日から涼子が一番近くにいる…

その日は、心が経験した事のないような幸せを抱えて眠った…

キョン「おやすみ、涼子…」

朝倉「おやすみ、キョン…」




503 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 21:05:20.32 ID:CELa7gScO
5月3日 朝倉宅

―お父さん、お母さんへ

私は家を出ます

捜索届けは不要です
今までありがとうございました

こんな娘でごめんなさい

朝倉涼子


リビングの机には、娘からの置き手紙

朝倉父「家出なんて…馬鹿げてる…携帯の事が原因なのか?」

朝倉母「でも、携帯はここに…」

手紙と一緒には、携帯も置いてある

何かヒントになる事は無いかと思い、携帯を調べてみたがデータは何も残ってなかった

メール、履歴、電話帳…全て消去されていて、ここからは何もわからなかった

朝倉母「…とりあえず、お昼になったら涼子の友人に連絡してみますよ」

朝倉父「ああ…」




504 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 21:13:30.72 ID:CELa7gScO
5月3日(火) 早朝

目が覚めて…隣に涼子がいる

キョン「夢じゃないんだな…」
朝倉「……」

腕の中で、彼女が寝息をたてている

もう一度、涼子を引き寄せ抱きしめる



次に俺に意識が戻ったのは、涼子に起こされて…だった

朝倉「あ…起きた?おはよう」

キョン「ああ…おはよ。もう…昼くらいか?」

朝倉「えへへ…寝顔見ちゃった…」

キョン「俺も一度起きたんだがな…涼子の寝顔を見るのを忘れてた」

朝倉「…見なくていいの。恥ずかしい…」

キョン「今度、意地でも見てやる…」

朝倉「もう…いいのよ、別に私の寝顔なんて」

2人笑い合いながら、目が覚めていく




506 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 21:21:51.49 ID:CELa7gScO
キョン「あ…」

朝倉「どうしたの?」

キョン「…今日からSOS団の活動があるんだ、そう言えば」

この3連休…結局毎日が活動、という予定になってしまった

彼女を迎えに行く事に一杯で…すっかり忘れていた

朝倉「そうなの…」


彼女は少し寂しそうな顔をする…

でも、俺の気持ちはもう決まっていた

キョン「…でも、涼子を一人にはできないからな。活動は休むよ」

朝倉「え…そんな…それは悪いわよ…」

キョン「いいんだよ。こっちは連絡一つでなんとかなる」

すぐに、俺は携帯で連絡をとる

…古泉にかわりに言って貰うのは、さすがに悪いか

ハルヒに電話をかける




508 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 21:26:09.06 ID:CELa7gScO
―ピリリリリ

―ピリリリリ

ハルヒ『もしもし、キョン?』

キョン『ああ…今大丈夫か?』

ハルヒ『ええ、どうしたのよ?』

キョン『ああ、実はな…どうやら活動に参加できそうに無いんだ』

ハルヒ『…理由は?』

キョン『ちょっと、病気でな』

ハルヒ『その割には、元気そうじゃない?』

キョン『いや…昼は体調がいいんだが夜になると一気に悪くなるんだ。典型的な風邪だよ』

ハルヒ『ふーん…また朝倉涼子に会いに行くの?』

キョン『…行かないよ。風邪だからな』

ハルヒ『…まあいいわ。3日のうちで、治ったら参加しなさいよね』

キョン『ああ…悪いな』




509 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 21:34:18.78 ID:CELa7gScO
ハルヒとの電話を終え、俺は携帯を置く

キョン「…ところで涼子」

朝倉「なにかしらキョンくん?」

キョン「電話の間、ずっと抱きついてるのはやめてくれないか?」

彼女は後ろからくっついたまま、俺を離さない

朝倉「昨日のお返しよ。それに…他の女の子と話しているのが悔しいんだもん…」

キョン「…くっついてるんだから、いいだろ。それに俺は涼子以外に興味は無い」

朝倉「…」

キョン「な?」

朝倉「うん……」

そのまま…また布団の中で抱き合っていた

…とは言っても、下に家族がいる以上、俺は部屋にこもりっぱなしというわけにも行かない




510 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 21:40:13.35 ID:CELa7gScO
時間も適度なところで、居間に向かい家族と顔を合わせる

この間も涼子は部屋にいるが…部屋から一人で出る事はない

妹にも、前日から部屋には入らないように言ったので…とりあえずは大丈夫だろう、多分…

キョン(あとはご飯とか、風呂のタイミングだな……)

まだ、涼子と一緒にいられる…連休は始まったばかりだ…




511 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 21:46:50.45 ID:CELa7gScO
同日 昼過ぎ 佐々木

―プルルルル

家の電話が鳴る

佐々木『はい、もしもし佐々木です』

朝倉母『あ…もしもし。朝倉涼子の母ですが…佐々木さん?』

電話は、朝倉さんの母親からだった

その様子は…慌てて疲弊している事が声から何となくわかる

いい予感はしない

佐々木『…はい。どうかしましたか?』

朝倉母『実はね…涼子が…家出、してしまってね……』

佐々木『家出ですか……』

朝倉母『そうなの…それで誰か友達の家に行ってないかと思って…』

佐々木『いえ…家には来てませんね』

朝倉母『そう…バイト先もね、少し前に辞めていたみたいなのよ…家出した日にはまだバイトしてたと思ったんだけど…』

佐々木『ああ…昨日私がお宅にお邪魔した時ですね』




512 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 21:50:47.07 ID:CELa7gScO
朝倉母『ええ…佐々木さんなら何か知ってると思ったんだけど…』

佐々木『私も、何も聞いてないですね…何かわかったら、連絡しますよ』

朝倉母『ありがとうね。涼子、携帯も家に置いたままでね…だから心当たりある人に聞くしかないのよ』

佐々木『…友達に聞いてみますよ』

朝倉母『ええ、お願いね佐々木さん…』

―ガチャン




513 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 21:58:18.38 ID:CELa7gScO
佐々木「ふう…」

何となく予想はしてた

でも、彼女はもうこの街にはいない

それが何だか、とても悲しかった

佐々木「何を考えてるんだろうね、私は…」

佐々木「彼女のいる場所が…何となくわかってしまうよ…」

でも…

佐々木「どういう風に行動すればいいか…わからないよ…」

素直な自分の気持ちを推すか…

彼女の気持ちを優先するか…私はまた悩み出してしまう

佐々木「近くにいないから、特に…ね」

悩ましいこの連休は…まだ始まったばかりだ




514 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 22:02:09.12 ID:CELa7gScO
同日深夜 キョン

もう日付も変わった頃…俺たちはそっと部屋を出た

涼子を風呂に入れるためだ

この時間なら妹はもちろん、親も寝静まっている

キョン「さ…なるべく早めにな」

朝倉「うん、ありがと」

キョン「俺は外で見張ってるからな」

朝倉「わかった。覗かないでね…?」

キョン「…気が向いたら、見ちゃうかもな」

朝倉「…えっち」

キョン「冗談だよ、ほら、向こうむいてるから」

俺は涼子に背を向ける

背中からは、衣服が擦れる音…彼女が服を脱いでいる音が聞こえる

なんだか余計に官能的だ




515 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 22:09:27.75 ID:CELa7gScO
朝倉「ふぅ…気持ちよかったわ」

キョン「ああ。よかった」

朝倉「ええ…あ、ドライヤーなんて使えないわよね…?」

キョン「ドライヤーか…下から持ってくるよ。音も響かないだろうし…大丈夫だろう」

朝倉「ありがと。ごめんねワガママ言っちゃって」

キョン「いやいや、女の子はそういうのが大事なんだろ。何となくわかるよ」

そう言って、洗面所からドライヤーを持ってくる

彼女が髪を乾かすその姿が…なんだか新鮮だ…

朝倉「ん…どうしたの、そんなに見ちゃって?」

キョン「女の子のそんな仕草見たこと無いからな。珍しいんだ」

朝倉「…変なキョン」




516 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 22:14:56.56 ID:CELa7gScO
キョン「なんか、俺はそういうのが好きみたいだ。女の子の日常って言うか…上手くは表現できないが」

朝倉「ふうん…」

彼女が少し顔に難色を示す

キョン「あ…いや、女の子というより、涼子の普段の姿が見れるのが嬉しいんだ。これは本当の気持ちだ」

朝倉「…そういう、ハッキリ言ってくれる所、好きよ」

キョン「ああ。本当だから、逆に恥ずかしくはないんだ」

朝倉「うん……」

彼女はもう髪を乾かし終えて…一息ついている

湯上がりの女性は、普段とはまた違った色っぽさがあるものだ

朝倉「…さ、もう寝ましょうか」

キョン「あ、ああ…」

2人…慣れた感じで布団に入る

まるでもうずっと前からここに一緒にいたように…




518 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 22:20:51.99 ID:CELa7gScO
朝倉「じゃあ…おやすみなさい」

キョン「ああ…おやすみ涼子」

朝倉「チュー…」

キョン「……」

朝倉「おやすみのチュー…して?」

腕枕をしながら、ゆっくりと唇を重ねる…

キョン(風呂上がりの唇って、冷たいんだな…)

冷たい唇、暖かい体…

また彼女の心臓の音を聴きながら、眠った…




519 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 22:32:23.69 ID:CELa7gScO
5月4日(水) ハルヒ

時間は午後1時

太陽がポカポカ暖かい

絶好の探索日和…なのだが…

自分の目線は、携帯の無機質な画面だけを見つめていた

もしかしたら、彼から連絡が来るかもしれない

でも…私の電話は一向に変化する様子が無い

ハルヒ「ふん…今日もあのバカは休みかしら」

古泉「そうみたいですね…」

朝比奈「心配ですね…」

長門「…軽度の風邪の場合、1日休めば症状は回復。完全回復には2~3日が必要」

ハルヒ(電話の様子じゃあ、平気そうだったのに…)

古泉「…さて。今日はどうしますかね。昨日に続いてまた隣町まで…」

ハルヒ「決めた…キョンのお見舞いに行きましょう!」

古泉「おや…」




520 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 22:35:03.43 ID:KJ7VvAgJ0
ハルヒェ・・・




521 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 22:42:45.04 ID:CELa7gScO
朝比奈「お見舞いですか、いいですねー」

長門「…私は賛成」

ハルヒ「じゃあ、ちゃっちゃと行きましょうか。あ…その前に、何か買っていきましょう」

古泉「そうですね。お邪魔するわけですし…では、僕が彼に連絡を入れておきますよ。いきなりも悪いですからね」

ハルヒ「わかったわ。買う物は…どうしましょうか、みくるちゃん」

朝比奈「そうですねぇ…食欲が無さそうならみかんの缶詰めとかですけど…」

ハルヒ「一応缶詰めと…お菓子でいいかしらね。すぐに食べなくても、お土産みたいな感じでね」

朝比奈「そうですね。では、早速買い物に行きましょう」

長門「……」

古泉「ふふっ、ではこちらも……」

―ピリリリリ




523 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 23:04:39.81 ID:CELa7gScO
―ピリリリリ

ピッ

谷口「もしもし? 珍しいな、どうしたんだ?」

古泉「おや……」

表示された電話番号を見返してみる

…そこには彼の番号では無く、以前クリスマス会の時に番号を交換した相手『谷口』の名前があった

古泉「これは…すいません、どうやら間違い電話をしてしまったようでして…」

谷口「お、そうなのか。おおかた、キョンとでも間違ったか?」

古泉「すいません。彼が体調が悪いという事でお見舞いをしようと…」

谷口「お見舞い…あいつ、具合悪いのか?」

彼に今日の事を説明する……

谷口「そうか…」

古泉「ええ、そういう事ですから……」

谷口「それなら、俺も参加していいか?」

古泉「あなたが?」




525 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 23:19:07.70 ID:CELa7gScO
谷口『ああ、暇なんだよ。あ、国木田も誘ってみていいか? あいつと連休中どこか出かけたいとも話してたんだよ』

古泉『ふむ…少々お待ち下さい』

友人間の事とはいえ、一応はSOS団の活動、団長の許可が必要…ですよね

ハルヒ「いいじゃない。その2人も呼びましょう」

古泉『…というわけです』

谷口『うっし。じゃあ国木田にも連絡して……』

古泉「…というわけで、2名追加になります」

ハルヒ「一気に賑やかになったわね。じゃあ、こっちも買い物をして……」

朝比奈「あ、あの涼宮さん…一つ提案が…」

ハルヒ「ん、何かしら?」

朝比奈「その2人が来るなら、鶴屋さんもお誘いしてもいいですか?」




530 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 23:35:35.07 ID:CELa7gScO
ハルヒ「…今さら、一人増えても変わらないわよね。よしっ、許可するわよ、みくるちゃん」

朝比奈「はい~。じゃあ私も連絡を……」



最終的には、以前行ったクリスマス会のメンバーが再び集まった

ハルヒ「今度は…キョンもいる…」

長門「……」

朝比奈「何か言いました?」

ハルヒ「な、何でもないわよ! さっさと行くわよ。時間がもったいないわ」

朝比奈「は、はいぃ……」

古泉「では、行きましょうか」
…他の人間に電話をした事によって、その時僕は…

肝心の彼に、連絡をとるのを忘れてしまっていたのでした


長門「……危険」




531 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 23:37:32.99 ID:5KfdN/j60
失敗の多い古泉である




532 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 23:47:45.72 ID:GyTUG6090
こりゃ修羅場だな




533 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 23:50:27.27 ID:CELa7gScO
キョン宅

少し遅い昼食を、一人で食べている

涼子は、食欲があまりないから、俺一人居間で食事をすませた

今日はどうしようか…と言っても、部屋に戻って涼子とくっつく。それだけだ

穏やかな気持ちで…食後のお茶をすすっている…

―ピンポーン

妹「はいはーい」

妹が、とてとて、と玄関に向かって行く

妹「キョンくん、はるにゃんたちがきたよー」

キョン「…ゲホッ、ゲフッ…! ハルヒ…なんでだ!」

緑茶が気管の嫌な部分に入る…熱さは感じない

ハルヒ「なによ、やっぱ元気そうじゃない」

古泉「すいません、お邪魔します」

朝比奈「こんにちは、キョン君」

長門「……」




538 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 23:58:52.17 ID:CELa7gScO
谷口「よ、お見舞いだ」

国木田「お邪魔するよ、キョン」

鶴屋「風邪だってね~、大丈夫かい?」

SOS団だけならまだしも、谷口や国木田…鶴屋さんまで…

ハルヒ「ほら、お見舞い品買ってきたから…あがって大丈夫よね?」

あがる? 部屋?

キョン「ま…待った! 部屋はダメだ! 断じてダメだ!」

ハルヒ「なによ…ははぁ、変な本でも広げっぱなしなのね、イヤらしい」

蔑んだような目でハルヒが見てくる…その怒りが変な本ですむのなら、今なら喜んで差し出そう

キョン「ち…散らかってるんだ! とにかく…ちょっと待ってろ、すぐ片付けるから!」

ハルヒ「別に気にしないわよ、みんなが座れれば……」




539 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 00:07:53.86 ID:VCzSJ9p1O
長門「……」ツンツン

話しているハルヒの裾を、長門が小さく突っついた

ハルヒ「なによ…待った方がいいっていうの?」

長門「……」コク

ハルヒ「はあ…有希が言うんじゃ仕方ないわね。待ってるから、さっさと片付けてきなさいよ」

キョン「すまないな…(ありがとう、長門)」

ダダダッ、と早足で部屋に戻り…涼子に知らせに行く

朝倉「…困ったわね…」

キョン「そうなんだよ…ベッドにずっと入ってるわけにもいかないし…見つかっちまう…」

朝倉「……」

キョン「…涼子。トイレは大丈夫か?」

朝倉「え…う、うん…」

キョン「水分は? 空腹は?」

朝倉「大丈夫…だけど……」

キョン「じゃあ…頼む……」




546 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 00:21:42.15 ID:VCzSJ9p1O
ハルヒ「お邪魔するわよ」

鶴屋「おじゃまっさ」

キョン「あ、ああ…適当に座ってくれ」

古泉「ふふっ、これだけの人数がいるとギリギリですね」

…とっさに、彼女と荷物を押し入れに隠したが…大丈夫だろうか

朝比奈「お見舞い品、たくさん買ってきたんですよ」

出された品は、スナック菓子にジュース…そして、桃缶とみかんの缶詰め等だ

キョン(本当に…お見舞いなんだな)




547 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 00:29:46.67 ID:VCzSJ9p1O
国木田「僕たち3人は緊急参戦だったんだけどね。涼宮さん達に無理行って連れてきてもらったんだよ」

谷口「いやぁ、古泉からの間違い電話でな…キョンと俺を間違えたんだとさ」

古泉「今から向かう連絡をあなたにしようと思ったんですがね…まったく、迂闊でしたよ」

キョン「肝心の、俺に連絡が来てないんだが」

古泉「…そう言えば、忘れてしまったようですね。すいません」

キョン(お前のせいか……)

…なんだかんだで、友人が集まれば話は盛り上がるもので…

いつも通りの、賑やかな空間が広がっている

押し入れに隠れている涼子にも、この会話は全部聞こえているので…少し気持ちはドキマギしていたが…




548 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 00:41:33.37 ID:VCzSJ9p1O
谷口「…そうだキョン!」

何かを思い出したかのように、いきなり谷口が叫び出す

キョン「な、なんだ谷口……」

谷口「お前…朝倉涼子とはどうなってるんだ。最近何にも聞いてないぞ!」

朝倉『……!』

キョン「な、な…何いってるんだい、谷口さんよ…」

国木田「ここに来るまで、ずっと言ってたんだよ。今日はいい機会だから、ってさ…」

鶴屋「…そう言えば、クリスマス会の時に尋問するって誰か言ってたねぇ」

キョン(クリスマス会…ああ、俺がいなかった時…)

谷口「そう! その辺りも全部含めて…白状したらどうだ、キョン?」

キョン「そんな事おおっぴらに言えるか!」

谷口「いいだろ別に! 何言っても、本人に聞かれるわけでもないんだぜ?」

キョン(聞かれるんだよ…いるんだよここに…)




553 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 00:56:17.78 ID:VCzSJ9p1O
鶴屋「いやぁ、実は鶴屋さんも、ちょこっと興味があるんだよ。遠距離恋愛って、どんなかなぁ、って」

キョン「鶴屋さん…」

朝比奈「わ…私も個人的に…聞いてみたいなあ…なんて…」

キョン「…はぁ…」

みんなの目は一斉に俺の方を向いている

俺だけは、涼子がいる押し入れの方向…

朝倉『……』

長門「……」

ちょうど、長門の後ろにいる、姿の見えない涼子の方を向いていた

キョン「やれやれ……」

観念して俺は…少しずつだが、涼子との恋愛模様を話す事にした

鶴屋「それでそれで…どんな恋愛なんだい!」

朝比奈「や、やっぱり大変なんですか? どうなんですか!」

…心なしか、鶴屋さんと朝比奈さんが興奮している




554 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 01:07:09.02 ID:VCzSJ9p1O
キョン「大変…確かに、大変かもしれませんね。あまり会えないですし…」

鶴屋「会う時は?」

キョン「お互い真ん中の距離の駅で…朝早くに出掛けて、夕方帰ってきますね」

ハルヒ「SOS団の活動も、それくらい熱心だと助かるんだけど?」

谷口「ままま、おさえて涼宮さん。で…クリスマスはお泊まりしたのか?」

キョン「は…何でお泊まりなんだよ」

古泉「…出掛けた時間を考えると、帰ってこられる可能性が見えなかったので…そういう会話になったんですよ」

キョン「勝手な事を…。その日は……」

ハルヒ「……」

ハルヒの事がチラッと頭をよぎってしまい…言葉につまる

鶴屋「や、やっぱりお泊まりだったのかい!」

朝比奈「大胆ですぅ…」




555 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 01:20:01.56 ID:VCzSJ9p1O
キョン「…ちゃんと、帰ってきましたよ。終電ギリギリでしたけど、ね」

国木田「ははっ、残念だったね谷口」

谷口「チッ…」

ハルヒ「……」

鶴屋「…その薬指のそれ。その時彼女からもらったプレゼントかい?」

鶴屋さんが、俺の左手を指差して言ってくる

キョン「ああ…これは俺があげたんですよ。その…ペアリングって…やつで……」

ハルヒ「……!」

谷口「学校でも、いつもつけてるもんな、それ」

キョン「…外す事に、段々抵抗が出てきてな」

古泉「体の一部、という感じですよね」

谷口「はぁ…俺もそんな大事な彼女が欲しいもんだぜ…」

国木田「まずは相手から探さないとね」

鶴屋「ふふっ…仲よくやってるみたいだね、キョン君」

ハルヒ「……」




556 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 01:31:19.72 ID:VCzSJ9p1O
そんなこんなで、時間は過ぎていく…涼子も、無音で押し入れに入ったまま…このまま平和に終わりそうだ

ハルヒ「そろそろ…帰る時間かしらね」


谷口「聞きたい事…まだあったのにな…」

国木田「また、次の機会でいいじゃないの?」

キョン(次があってたまるか……)

鶴屋「ふふっ、またこのメンバーで尋問っさね」

古泉「では…これで失礼しますよ?」

長門「……」

ぞろぞろと…みんな部屋を出ていく

キョン「…見送りするか。涼子、もう少しま……」

ハルヒ「…何、一人で喋ってるのよ」

キョン「うおっ!」

ハルヒだけが一人…部屋に戻ってきている

今のを聞かれただろうか…?




559 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 01:47:09.26 ID:VCzSJ9p1O
キョン「なんだハルヒ…忘れ物でもしたか? ん?」

焦っている…早口で訪ねてしまう

ハルヒ「ちょっと…話したい事があっただけよ。みんなの前だと…ちょっとね」

キョン「…何だよ、話したい事って」

先ほどの会話は、気にしていない様子らしい

ハルヒ「キョンがあれだけ話してくれたから…私も、少しお話……」

キョン「……」

ハルヒ「えっとね…クリスマスの日に、会ったわよね。あの時…私すごい嬉しかったんだよ…」

キョン「……!」

朝倉『……』

ハルヒ「本当はクリスマス会なんて夜9時くらいに終わって…ずっと電車待ってて…でも、キョンが来なくて…」

ハルヒ「なんで自分で…もあんな時間まで駅にいたかなんてわからないのよ…! 会いたいって願ったら…キョンがタクシーからおりてきて…それで……」




564 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 02:03:56.69 ID:VCzSJ9p1O
ハルヒも、焦っているのか知らないが…言葉がとても多くなっている

ハルヒ「…その指輪だって、朝倉涼子から貰ったとばかり…思ってた…だから、見た瞬間…」
キョン「渡すのを…戸惑ったと…?」

ハルヒ「…なんか、悔しかった。わかってたのに…キョンには恋人がいるってわかってたのに…やっぱり…実際に付き合っている形を見ちゃうと…」

キョン「……」

ハルヒ「バカみたいよね…。プレゼントしたいって思ってたのに、結局…渡せなくて、そのまま…」

キョン「あのさ、ハルヒ……」

ハルヒ「でもね! いいのよ、もう…キョンの気持ちを聞けたから…私も…思ってる事今言えたから…」




568 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 02:14:32.98 ID:VCzSJ9p1O
クリスマスの彼女の独白…

多分、俺だけに伝えたかった事を…もう一人が聞いてしまっている…

ハルヒ「ねえ…もう一回だけ聞かせて? あなたは…朝倉涼子が好き?」

…それはとてもシンプルで…胸に響く質問だった

キョン「ああ…俺は朝倉涼子が好きだ…。今は…涼子しか見えないんだ…」

涼子『……』

ハルヒ「…うん、ありがとう…しっかり聞いたから…ね?」

キョン「ああ……」

ハルヒ「じゃあ…私も行くわ。みんなを待たせているしね…」

キョン「気をつけて帰れよ。今日はお見舞い、ありがとう…な」

ハルヒ「どういたしまして。元気になって学校来なさいよ」

彼女はしっかりした足取りで出口に向かっていく…

ハルヒ「あ、それと……」

キョン「まだ何かあるのか?」





569 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 02:24:15.93 ID:VCzSJ9p1O
ハルヒの足が…途中でピタッと止まる

ハルヒ「…彼女にも、ごめんなさいって、一応謝っておくわね」

キョン「彼女……?」

ハルヒ「押し入れの中の彼女よ? 古泉君がちゃんと連絡していれば、私たちがみんなで来る事はなかったんですもの」

押し入れ…ハルヒはピンポイントで場所を言い当てる…

キョン「…なんで、知ってるんだよ…?」

ハルヒ「部屋に入った瞬間…女の子の匂いがしたのよ。意外と部屋に残るのよ?」

キョン「そ、そんな…」

ハルヒ「それにアンタ…押し入れ見すぎ。そわそわした様子でさ…最初はあまり気にしなかったけど…朝倉涼子の話題が出るたびに…」

キョン「……」




570 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 02:32:40.34 ID:VCzSJ9p1O
ハルヒ「ふっ…アハハッ! 冗談よ!」

そう笑いながら…優しい笑顔でこっちを見つめてくる

ハルヒ「最初の匂いと押し入れも気になったけど…さっきの会話聞いちゃったのよ。それで確信になって、ね?」

キョン「…マジかよ…」

ハルヒ「ちょっと…フザケすぎたわね、ごめん。でもね…彼女にもちょっと聞いて欲しかったの、私の気持ち…」

朝倉『……』

ハルヒ「あなたがここにいる理由はわからないけど…よっぽどキョンに会いたいから、ここにいるのよね」

キョン「ハルヒ……」

ハルヒ「クリスマスの日にできなかった、お泊まりできてよかったじゃない。お幸せに…ね? 嫌みなんかじゃないわよ? これも本音…」




572 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 02:41:24.40 ID:VCzSJ9p1O
キョン「泊まりまで…わかるのか?」

ハルヒ「…机の上のドライヤーと、女の子用の髪櫛。櫛はカバンに大抵しまうもの…出しっぱなしなのは、日常的に使っている証拠よ」

キョン「片付け忘れた…俺も迂闊だったよ」

ハルヒ「ま…細かい事は聞かないわ。じゃあ…またね、キョン。さよなら、朝倉さん」



今度こそ、ハルヒは行ってしまった…

結局彼女には…涼子が見つかってしまった。話をして…気持ちも全部見せつけられてしまった…

キョン「りょ……」

押し入れの中の名前を途中まで呼んだ時……

長門「……」

キョン「…今度は長門か。何か、話し忘れたことか?」

長門「忘れ物……」

…長門はそう言って、座っていた近くに置いてあった携帯を拾い上げる




573 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 02:49:52.10 ID:VCzSJ9p1O
長門「この、携帯電話を…」

涼子『……』

キョン「…そうか。長門も…知っているんだろ?」

長門「……」コク

キョン「そうだよな…わざわざ押し入れの近くに座ってくれたんだ…」

長門「あなたたちの恋愛に口を挟む気は無い…本人同士の気持ちが何より大事……」

キョン「ああ…ありが…」

長門「でも…彼女は携帯電話と一緒に、大切な物を忘れてきた気がする…」

キョン「忘れ…物? なんだよ、それは…」

―バンッ

涼子「私が、何を忘れてきたって言うのよ?」

キョン「涼子…!」

彼女が、押し入れから出てくる…

冷たい…氷のような表情で、長門の事を見ている…




574 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 03:01:29.70 ID:VCzSJ9p1O
長門「……」

朝倉「…私には、その忘れてきた物がわからない。長門さんはそれを知っているの?」

長門「話を聞いただけだから…はっきりとはわからない…でもそれは…」

長門「多分、2人にとって…大切な忘れ物…」

キョン「俺たちに…?」

朝倉「……」

長門「それだけ…さよなら……」

キョン「ま、待てよ長門…」

彼女は振り返らずに…そのまま部屋を出てしまう

さっきまで大勢いた人間が、今はただの2人…

扉を閉めて…この部屋はまた、また2人だけの閉鎖された空間に戻っていった




576 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 03:13:26.75 ID:VCzSJ9p1O
深夜

布団でまた俺たちは眠っている

二人とも、同じ天井を見つめて…多分、同じ事を考えている

朝倉「ねえキョン…長門さんの言ったこと…」

キョン「ん……」

やっぱり、同じみたいだ

朝倉「忘れ物…何なんだろうね?」

キョン「俺も少し考えたんだ…でも、全くわからない…」

朝倉「そうよね…。携帯電話…あとは、両親…?」

キョン「親…そうなのかな…?」

忘れ物…抽象的すぎるその言葉は、俺たちの頭の中でずっとぐるぐると回っていた




577 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 03:14:18.91 ID:VCzSJ9p1O
考えてもわからない…哲学のような…

いや、多分答えはちゃんとあるんだ…

長門はそれをわかっているようだった…

自分で勝手に哲学にして、わからない答えを誤魔化しているだけだ…

朝倉「いつか…わかるのかな?」

キョン「わからない…でも、二人にとって大切な物なら…二人で考えていけば、いつか見つかるさ…多分な」

朝倉「キョン……」

ギュッと…彼女が暗闇の中で手を握ってくる

そろそろ眠気も襲ってくる…

見えない答えを探すのをやめて…俺たちは夢の中に旅立っていった…




578 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 03:16:27.29 ID:VCzSJ9p1O
5月5日(木) 佐々木

この3日間…ずっと胸がざわざわしている

不安定な気持ちは相変わらずだ

佐々木「ふぅ…」

やはりメールも電話も、返っては来ない

佐々木「…どうしようかな」

迷っている、自分は…何をどうするか

彼女のために何をすれば一番いいのか

自分の気持ちをどう行動にうつせばいいのか…わからない

佐々木「ああ…遠距離恋愛ってこんな気持ちなのかな」

歩いて行ける場所に彼女はいない


佐々木「それなら…手の届く距離まで…」

佐々木「私に…それができるの? 私がそれを…していいの?」




579 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 03:28:24.05 ID:VCzSJ9p1O
5月6日(金) キョン

3連休も終わり…今日から学校だ

布団の中にいる涼子を横目に、俺は学校へ向かう準備をする

キョン「…じゃあ、いってくるよ涼子」

朝倉「ん…いってらっしゃい…」

布団の中から、彼女は唇をんー、とつき出す

キョン「…ほら、いってきます」

―チュ

朝倉「うん…いってらっしゃい」

彼女は満足そうに、また布団の中へ潜っていった

キョン「ああ…いってきます」

あれから、俺と涼子でずっと忘れ物について考えていた…

キョン(2日でわかるはずもない…か)

ただ学校に行って、涼子の待っている部屋に帰る…俺の今の生活は、これだけだった




580 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 03:36:57.14 ID:VCzSJ9p1O
女子校 佐々木

始業時間前…3日ぶりの学校

私はまだこの街にいる

もしかしたら、彼女が帰ってきているのかもしれない

そんな期待を抱いていた

…私は、まだ気持ちのどこかで臆病だったんだろう

朝のホームルームで、彼女…朝倉涼子の名前が呼ばれる

しかしその席に彼女はいない

欠席理由は、軽い風邪と先生は言っていた

自分の隣に彼女がいない

恋愛的な意味合いとは違うけど、彼女がこの空間にいないのが堪らなく不安だった

佐々木「やっとわかったよ…私も、バカみたいだね」

ホームルームの途中…席を立ち上がり、発言する

佐々木「先生、大事な用ができたので早退させて下さい」




582 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 03:39:20.98 ID:VCzSJ9p1O
佐々木さんの事調べたら、確かに男性には僕で、女性には私と、女言葉で…とありましたね

色々曖昧でしたね、失礼しました



気が付くと、私は電車に乗っていた

今から、とてもとても遠い…自分にとっては懐かしいあの街に向かう電車に…

学校のある日に、こんな風に電車に乗って何処かへ行く

何かから解放された、まるで旅のような気分だった

彼女に会いに行く…小さな旅

佐々木(…ここからどれくらいで着くんだろうね)

まだ電車は走り出したばかり…

知らない駅を、私の鼓動は駆け抜けていく…




584 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 03:45:22.06 ID:VCzSJ9p1O
北高 キョン

キョン「…まだ昼、か」

ハルヒ「今日またいな日は、もうお昼休みって言うんじゃないの?」

今日は特別に、学校に流れる時間がゆっくりな気がする

それもこれも…部屋で涼子が待っている事が全ての原因だろう

キョン「ハルヒとは、時間のベクトルが違うんだ」

ハルヒ「え、何々? なんか不思議な話かしら?」

キョン「…わかって聞いてらっしゃいます? ハルヒさん」

ハルヒ「あら…何か身に覚えがあるのかしら? 朝倉さん」

キョン「ハ、ハハッ…」

ハルヒ「…クスッ」

気持ちをぶつけて話した彼女とは…なんだか、少し打ち解けた気がした

だから、今はこんな冗談も言える

ハルヒ「…クスッ」

この冷たい笑い…本当に冗談か?




585 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 03:48:03.15 ID:VCzSJ9p1O
16時過ぎ キョン宅 朝倉

―ペラ

家から持ってきた小説を1ページ…また1ページとめくっていく

部屋から出る事が出来ない生活…行動が制限されている…

でもそれは自分から望んだこと、何より…

キョンの部屋にずっといられる幸福

朝倉「キョン…」

思わず名前を呼ぶ…もうすぐで彼が帰ってくる…




587 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 03:52:50.20 ID:VCzSJ9p1O
―ガチャリ

遠くで…玄関の扉が開いた音が聞こえる

朝倉「あ…帰ってきたのかな…!」

胸が高鳴る

学校から帰って来るキョンの姿が待ち遠しくて…

思わず正座して待ってしまう

―ガチャリ

朝倉「おか…え……?」

佐々木「くつくつ…やっぱり此処にいたね」

そこにいるべき彼の姿では無く…いるはずの無い彼女の姿…


朝倉「佐々木…さん? どうしてここに……」

佐々木「君を連れ戻しに来たんだ」

彼女は力強く…凛と答える

その真っ直ぐな瞳を、私は直視する事ができない




588 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 03:57:32.78 ID:VCzSJ9p1O
朝倉「…嫌よ。私は帰らない」

佐々木「ふぅ…好きになったら、ってヤツなんだろうけどさ…」

スッと、彼女は目の前に座る

近すぎもなく、遠すぎもせず…そんな距離に…

朝倉「そうよ…私はキョンが好き。離れたくないのよ…もうつらい思いはしたくないの…」

佐々木「好きな人の側にいられれば、それで幸せかい?」

朝倉「ええ、幸せよ…!」

威圧感に負けないよう力強く答えたつもりだけど…自分の声は震えている

佐々木「こんな小さな部屋に一人で…ただ待ち続けるだけの生活でも?」

朝倉「キョンがいるもの…」

佐々木「……」

しばらく沈黙が続いた

―ガチャリ

「ただいまー」

また遠くから声がする…キョンの声…




589 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 04:02:13.78 ID:VCzSJ9p1O
同時刻 キョン

キョン「ただいまー」

…急ぎ足で家まで帰ってきた

早く部屋に戻りたい。そう思う気持ちを遮るよう、母親が声をかけてくる

キョン母「あら、おかえり。あのね、女の子が……」

キョン「!!」

キョン母「…何びっくりしてるのよ。女の子が部屋で待ってるわよ。会う約束してるなら、遅れちゃダメじゃない」

…約束? 女の子が待っている?

キョン「女の子って…誰が?」

キョン母「誰って…ショートカットの…何て言ったかしら、忘れちゃったけど」

キョン(ショートカット? 長門?)

この時点で、涼子の姿では無い事に気付く

キョン(会ってみればわかるか…)

母親との会話もそこそこに、俺は部屋に向かった




590 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 04:05:28.74 ID:VCzSJ9p1O
―ガチャリ

キョン「……!」

朝倉「キョン…」

佐々木「やあ……」

キョン「佐々木…か?」

久しぶりに会う彼女…雰囲気は少し大人びたような…綺麗になったような…

そして、女子高の制服を着ている彼女の姿…

佐々木「お邪魔しているよ」

キョン「待っている女の子って、佐々木だったのか」

佐々木「…待ち合わせの約束なんて、嘘は使っちゃったけどね」

キョン「それはどうでもいい。なんで佐々木がここにいるんだ?」

佐々木「僕が逆に聞きたいよ。どうして朝倉さんがキョンの部屋にいるんだい? 彼女は学校にも行かずに…」




591 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 04:12:33.61 ID:VCzSJ9p1O
キョン「家出…だから……」

佐々木「家出ね…確かに彼女は自宅を離れてこんな遠くにいる。でもこの様子はまるで…監禁だね…?」

キョン「……」

朝倉「私は自分の考えでここにいる…そんな言葉使わないで…」

俺たちに構わず、佐々木は言葉を続ける

佐々木「朝倉さんは…さっき言ったよね。キョンがいるからこんな生活でも幸せだ、と」

朝倉「幸せよ…だって一緒にいられるんですもの」

佐々木「じゃあ…キョンは幸せなのかい?」

キョン「…俺だって、近くにいられれば幸せだ」

佐々木「……」

ふうっ、と彼女はため息をついて…

もう一度、俺たちをじっと見つめてきた




592 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 04:19:34.53 ID:VCzSJ9p1O
佐々木「確かに…今は幸せかもしれないね。でも、この恋愛に未来はあるの…?」

「……!」

佐々木「…もし彼女が家族に見つかってしまったら? 見つからなくても、後1年もしたらキョンは卒業して…彼女はまだこの部屋にいるの?」

朝倉「……」

キョン「…俺も家出するつもりだ」

口から出任せではない…本当にそういう話はしていた

佐々木「へえ…愛し合う2人が家出…駆け落ちだね。そのお金は? 最低50…いや、100万は無いと無謀だと思うよ…」

ただ…

具体的な計画なんて何もたててはいないんだ…




594 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 04:25:27.07 ID:VCzSJ9p1O
佐々木「それに、僕たち未成年に住む場所を貸してくれる会社なんて…まず無いだろうね」

さっきから…佐々木の言う事は最もだ

確かに俺たちの幸せは、刹那的なものかもしれない

でも今は…その刹那が欲しいんだ…

キョン「俺たちは……」

でも、それを上手く言葉には出来ない

佐々木「ねえ…学校や家族、それこそ…全てを捨ててまで…君たちは一緒になりたいの?」

佐々木「そんなに、未来に絶望しているの?」

朝倉「未来…」

佐々木「そうだよ…このまま大人になっても、周りは誰も祝福してくれない。それならば…今は少し寂しくても…自分の場所で生きるしかないじゃない……」




596 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 04:46:57.12 ID:VCzSJ9p1O
キョン「……」

佐々木「二人が欲しいのは…明日だけの幸せじゃないでしょ?」

言われれば…思い知る

言われなくても、多分俺たちにはわかっていた…

この家出が、どういう形なら成功と言えるのか…

分かれ道が何百通りもあって…本当はそのうちのどれかが明るい未来の…はずなんだ

でも俺たちが歩く道は…どこに行っても暗い、そんな道…

キョン「……」

朝倉「キョン…3日間、ありがとう。短かったけど…楽しかった…」

涼子……?

朝倉「キョンと一緒に起きて、ご飯食べて…同じ布団で眠る…幸せだったわ…」

そんな言い方しないでくれ…

朝倉「今はまた離れちゃうけど…もう一度ここに帰って来るから……」

佐々木「朝倉さんは…決めたみたいだね…」




598 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 05:03:57.61 ID:VCzSJ9p1O
朝倉「キョン…ありがとうね…」

佐々木「…帰ろう。今ならまだ、帰りの電車があるから…」

彼女は荷物をまとめ始め…帰る支度をしている

洋服や美容品…彼女の形がどんどんカバンの中にしまわれていく

俺と佐々木は、ただその姿を見つめているだけだ…

悲しさを感じさせないような、テキパキとした動きの彼女を…

佐々木「キョンも…納得してくれるよね?」

キョン「……」

佐々木は俺に問いかけてくる

キョン「……」

口が一つの塊になったように、俺は喋れない

冗談でも何でもなく…話し方をこの瞬間だけ忘れてしまっている…

佐々木「キョン……?」

もう一度…佐々木が名前を繰り返す…




628 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 19:17:42.45 ID:VCzSJ9p1O
キョン「……だからな……」

佐々木「ん……」

キョン「俺は嫌だからな! このまま俺は…涼子と一緒に……」

朝倉「キョン…私だって一緒にいたいけど、でも……」

佐々木「本気で…言ってる? 違うね、キョンは意地になっているだけだよ…今は、その感情を出したらだめだよ…」

キョン「ぐっ……」

当たっているだけに、何も言い返せない

久しぶりに口を開いた第一声が…我ながら、わからない

佐々木「気持ちの中では、わかってるんでしょ…ここで一緒になっても何も無いって…帰らないといけないって…」

朝倉「キョン……」

俺も涼子も、ボロボロと涙をこぼしている




631 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 19:21:25.65 ID:VCzSJ9p1O
気持ちではわかっていても、体が…頭がそれを受け入れてくれない

それは…俺だけか…

ただこうやって駄々をこねる…まるで子供だ…

佐々木「朝倉さんは…今はここにいちゃいけないんだ…わかるだろ?」

キョン「今も早いもあるかっ! …涼子は今ここにいるんだ! ここから引き離して、何が幸せなんだ!」

佐々木「っ…いい加減目を覚ませ! バカキョン!!」

―バチイィィン!

キョン「……」

朝倉「……!」

佐々木の手が…俺の頬を力一杯に叩いた

一瞬、何が起きたかわからなくて…言葉を失った

頬がとてもビリビリする

佐々木「キョン…『私』だって本気なんだ。好きな人が遠くにいて、寂しいのはわかるよ。痛いほどにね」

キョン「…」




632 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 19:26:00.14 ID:VCzSJ9p1O
佐々木「でも、今は耐えるしか…ないじゃないか。僕たちには何も出来ない…色んな物が私たちを縛っている」

キョン(…だから俺たちは…それから逃げるために……)

佐々木「でも目の前の寂しさに負けて…全てを投げ出していいの?」

キョン(投げ出す…今回結果的には…先に涼子の方がそうなってしまった…俺は…まだ日常を変わらず生きている…)

キョン(俺は…まだ何も棄てていない…涼子にだけ…結果的にとは言え…俺はバカみたいだ…)

朝倉「キョン…私もう逃げないよ。ちょっとつらいけど…祝福の貰えない未来は、悲しすぎるから……」


佐々木「キョン…彼女は生きていく決意をしたよ。多分、心の中は…寂しさで満たされているだろうけど、ね」


キョン(俺だって…寂しい…涼子が帰るんだろ? いなくなるんだ)

キョン(でも……)




634 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 19:30:46.12 ID:VCzSJ9p1O
キョン「そう…だな。わかったよ…」

沈黙を破り…答えた

キョン「一緒に…帰ろう。いや、この言い方は変か…」

朝倉「ううん…キョンの言いたいこと、わかるから…帰りましょう。私たちの場所に」

佐々木「うん、それがいい…」

残りの荷物をまとめる彼女…

帰り支度をする姿を見ると、理由も無く悲しくなってしまう

それは、友達でも…恋人でも…
一人になっていく瞬間が、俺はたまらなく嫌だった

やりきれず、俺は窓の外に目をやる

外ではまだ夕陽が輝いている

…電車が無くなる心配は、大丈夫そうだ




635 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 19:36:13.36 ID:VCzSJ9p1O
朝倉「準備…できたわよ」

佐々木「じゃあ…帰ろう、朝倉さん」

涼子はこちらをジッと見つめてくる…

佐々木「…僕は、先に玄関に行ってるよ。朝倉さんは、お母さんに見つからないようにね」

そう言って、佐々木は部屋を出ていった

2人だけの時間…すぐに壊れてしまう空間だけれども

抱き合って…お互い力強く抱き合って…しばらくそのままでいた

朝倉「…」

キョン「…」

離れたくない。そう言ったら…ダメなんだろう

考えている事は…きっと同じなのに、俺たちは離れなければならない

朝倉「また…すぐ会えるわよね…」

キョン「ああ…すぐ会いに行くさ…」

朝倉「じゃあ、それまで…約束……」

涼子…俺に約束のキスをした…優しくて、痛い…




636 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 19:42:03.99 ID:VCzSJ9p1O
この先、もう会えないような…別れ際は、いつもそんな気がする

この手を離したら、もう二度と触れられないような…

でも今は…少しだけ違う…

朝倉「ほんの少しの我慢ね…」
一言一言が、名残惜しい

朝倉「…佐々木さんが待ってるから、そろそろ…」

キョン「ああ…そうだな」

俺は一緒に…外まで彼女達を見送る事にした

駅まで行ってしまったら、また悲しくなりそうだから

佐々木「じゃあ…またね」

朝倉「キョン…帰ったら連絡するから…ね」

キョン「ああ、2人とも気をつけてな」

彼女達は、駅に向かい歩き出す

その後ろ姿を、俺は見送らなかった

やっぱり…寂しいからだ




638 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 19:47:23.36 ID:VCzSJ9p1O
駅とは反対方向の道に、俺は歩き出した

このまま部屋に戻るのも…なんだか切なかった

…30分程、歩いただろうか

頭の中は真っ白で、歩いている間に何を考えていたか思い出せない

いや、何も考える事ができてなかったのかもしれない

フラフラと、俺はまた家に戻っていく

キョン「ただいま…」

キョン妹「あ、キョンくんおかえり~。もうごはんだよ~」

キョン「ああ…もうちょっとしたら行くよ」

返事も適当に、俺は部屋に戻る…

扉をゆっくりと開けると…彼女の甘い匂いがしてくる

女性の匂い…確かにわかる

部屋で涼子が待っている…涼子がいる…!




641 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 19:57:17.74 ID:VCzSJ9p1O
キョン「ただいま、涼子…!」

『おかえり、キョン…』

彼女の声は…返ってこない

ベッドにも彼女の姿は無い

…思わず布団に抱きつき、彼女の匂いを探す

さっきまで、彼女がここにいた…

でも…涼子はもういない

そう思うと…涙が止まらない

離れる事がつらいのは分かっていた

でも、この選択肢を選んだ俺は…もう、ただ泣くしかなくて…

涼子に会うために…ただ時間だけが過ぎてくれるのを待つしかない…

窓の外はもう、真っ暗になっている…




642 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 20:00:40.55 ID:8y7z6PX20
ハルヒ「恋なんて病気よ!精神病の一種よ!」
このセリフが重く思えるな




643 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 20:01:47.22 ID:VCzSJ9p1O
帰りの電車 朝倉

電車の揺れが、私たちの距離を確実に離していく

一駅、また一駅と…私は元いた場所へと帰っていく

数時間後には…私はまたあの街にいる

朝倉「……」

うつむきながら、持っているカバンを抱きしめる

隣には佐々木さんがいて…でも、私から何か話をする気分は起きない

佐々木「…そう言えばさ」

途中、佐々木さんが声をかけてくれる

佐々木「帰る前に…親御さんに連絡しておいた方がいいよ。今家に向かっている事だけさ」

朝倉「そう…ね。乗り換えの駅に着いたら連絡するわ」

佐々木「うん…」

それ以上彼女は会話をしなかった

落ち込んでいる私を気遣ってくれてるのだろう…

電車は相変わらず、揺れている




644 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 20:05:13.56 ID:VCzSJ9p1O
朝倉「じゃあ、ちょっと電話してくるから…」

佐々木「私はホームで待ってるよ」

緑色の…今では珍しい公衆電話に私は向かう

料金を入れて、自宅のダイヤルを押す…

―プルルルルル

朝倉母「もしもし…」

電話にはすぐに出た。懐かしい母親の声…

朝倉「……」

でも私は言葉が出ない

喉の奥がカラカラしてて…緊張のあまり呼吸も出来ていない

朝倉母「もしかして…涼子? 涼子なの…」

少し弱々しい声の母が…私の名前を呼ぶ

朝倉「うん……」

小さく…やっと出た言葉。その一言を返すだけで精一杯だった

朝倉母「ああ、涼子なのね……よかった、今どこにいるの…?」




645 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 20:11:08.13 ID:VCzSJ9p1O
朝倉「今…佐々木さんと駅にいる…今から帰る…」

朝倉母「佐々木さんも…そう。とにかく、早く帰って来なさい…心配かけて全く……」

朝倉「うん……」

電話を切り…私はホームに向かう

言葉通り、佐々木さんは待っていてくれていた

手には…ミルクココアが2つ握られている

佐々木「おかえり。はい、これ…落ち着くよ」

朝倉「……」

その言葉と温かさで……私は泣いてしまう…




646 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 20:16:50.78 ID:VCzSJ9p1O
夜の駅…人通りも多いのに、私は…

また、子供みたいに泣いていた
朝倉「…ヒッ……ヒック……!」

佐々木「…よしよし、よく頑張ったね…」

優しく頭を撫でてくれる彼女の手が…愛しい…あたたかい…

優しい…

―ガタンガタン

朝倉「…」

佐々木「…」

電車の中で、私は自然と彼女に寄り添っていた

彼女の肩に頭をのせて…そのぬくもりに揺られていた

佐々木「電話、大丈夫だった…?」

朝倉「…お母さん、泣いてた」

佐々木「心配だったんだよ…声聞けて安心したんだよ」

朝倉「……」




647 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 20:19:29.93 ID:VCzSJ9p1O
佐々木「…不安?」

朝倉「わからない…自分が今何を考えてるのか、わからないの。キョンの事でも…家族の事でも無いの」

佐々木「…一度に色々な事があったからね。時間をかけてゆっくり考えればいいと思うよ」

朝倉「うん…落ち着いたら…また佐々木さんとも話したいな…」

佐々木「うん…私はいつでも話相手になるよ。朝倉さんが不安に思ってる事…何でも聞くよ」

朝倉「うん…ありがとう…ね」

佐々木「…もう着くみたいだよ」

…荷物を抱え、私たちは電車を出る

キョンから遠く離れ…またこの街に帰ってきた…

何だか、目の前に見える景色が…少し違う気がした…

たった数日しか、この街を離れていないのに




648 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 20:22:38.20 ID:VCzSJ9p1O
―ピンポーン

朝倉母「…はい」

佐々木「夜分遅くにすいません。あの、涼子さんを送りに来ました」

…ガチャン

玄関の扉が勢いよく開く

…少し痩せた感じのお母さんが、私の目の前にいる

朝倉「あ、あの…」

佐々木「彼女が心配だったので…お家まで連れてきました」

言葉を繋いでくれるように、彼女がまず話をしてくれる

朝倉母「佐々木さん…本当にありがとう…涼子…」

朝倉「ん……ありがとう、佐々木さん…」

佐々木「いいんだよ。じゃあ私はこれでね…。お母さん、あまり彼女を…責めないであげて下さいね」

それだけ言い残し、佐々木さんは帰って行った

…残された私は、すぐにリビングに呼ばれた




649 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 20:26:49.20 ID:VCzSJ9p1O
そこには、とても落ち着いた様子の父親が座っていた

怒っているのか、何かを考えているのか…

朝倉父「…座りなさい」

私は言われるままに正座をする

母も一緒に座った

朝倉父「…どこに行ってた?」

朝倉母「涼子…」

朝倉「彼…キョンの所…」

朝倉父「…理由は?」

朝倉「…家出…のつもりだった」

朝倉父「…電話を制限したから?」

朝倉「ううん…とにかく近くに行きたかった……」

朝倉「今考えると…不満があったわけじゃないの…でも、会いたくて…待てなくて…」

朝倉父「そう…か。向こうの親御さんは?」

朝倉「事情は…知らない。こっそり会ってたから……」




650 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 20:30:24.85 ID:VCzSJ9p1O
淡々と…会話が続いていく

頭ごなしに叱られるかと思っていたが…雰囲気はとても静かで、口調も落ち着いていた

私は正直に…聞かれた事に答えていった

朝倉「…」

朝倉父「…あまり、唐突な事はするな。若いだけじゃ、認めて貰えない罪もある」

朝倉「…」

朝倉父「今日はもう遅いから…休みなさい」

その日は、それで部屋に帰された

あの怒りやすい父親から…思ったほど怒られる事が無かった…

それが私にとって一番の不思議だった

朝倉「あ…」




651 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 20:34:02.73 ID:VCzSJ9p1O
部屋に入り…机に目がいく…

置きっぱなしにした携帯電話の近くに…メモ書きが一枚

『あまり遅くまで使いすぎないように』

朝倉「…」

そのメモ書きがあって、携帯が没収されずにここにある理由が…わからなかった

私が理由を知ったのは…もう少し気持ちが落ち着いて、時間が経ってからだ…

今は…キョンに一通だけ…

『家に着いたよ。おやすみなさい…大好きなキョン…』

おやすみなさい…おやすみ…




653 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 20:49:00.48 ID:VCzSJ9p1O
―学校 キョン

あの家出から1週間

涼子が学校を休んだのも、連休の合間の1日だけだったので、周りで騒がれる事は無かったようだ

休みも終わり、俺は今まで通りの生活を送っている

ハルヒ「キョン」

ハルヒ「ねえってば…」

ハルヒ「…このバカ!」

キョン「…いてて…いきなり叩くなよ」

ハルヒ「なんで返事しないのよ。無視?」

キョン「…」

ハルヒ「…元気無いじゃない」

キョン「…ほっといてくれ」

以前の上の空に加え…人と話す元気も無くなっていた

誰と話しても楽しくない

ずっと涼子の事ばかり考えて…目の前の事など、いつも見えていなかった




655 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 21:06:17.22 ID:VCzSJ9p1O
そんな脱け殻のような姿の俺を見て…彼女は、ふぅとため息をつく

彼女には、多分理由も…わかっているんだろう

ハルヒ「…精神的な気休めだけど、教えてあげる」

キョン「ん……」

呆れたような表情で…彼女は会話を続ける

さっきまでの話題とは…違うんだろう…

ハルヒ「会いたい人がいたらね、心の中で会うの。何度も何度も…幸せな形を描くの…そうすると、現実で会えるのよ」

キョン「……」

ハルヒ「それだけよ……じゃあね」

プイッ、と彼女は教室を出ていってしまう

彼女なりの…慰めなんだろうか?

キョン「心の中で…ね……」




656 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 21:11:06.99 ID:VCzSJ9p1O
ある日の夕飯…いつもの食卓

キョン母「ねえ…」

キョン「ん…」

キョン母「今日の昼間に向こう…朝倉さんのお母さんとお話したのよ」

キョン「涼子…の…」

キョン母「ええ。事情を聞いて…一応謝罪もしたわ」

そうか…涼子、ちゃんと親に話したんだな

キョン「…ごめんなさい」

キョン母「…怒るつもりは無いのよ。ただ、他の家の人に問題を起こしちゃうと…ね」

キョン「反省…してます」

ふぅ、と母はため息をつき…何かを決めたように俺に話しかけてくる

キョン母「そんなに、彼女が好き?」




657 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 21:15:14.73 ID:VCzSJ9p1O
―コクン

俺は黙って頷く

キョン母「そう…。あのね、反省してるならって、向こうのご両親がね……」

キョン「え…休みの日……?」


妙な形ながらお互いの両親に関係を認めてもらい…

俺たちは、休日をまた新しい形で過ごせる事となった……

部屋に戻ると…外の空気を吸いたいために、窓を開ける……

もうすぐ…夏が来る…




658 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 21:19:24.48 ID:VCzSJ9p1O
何処かの道 何時かの日

佐々木「そうなんだ…休日に……」

朝倉「ええ…これから、色々……」

佐々木「くつ…それは忙しくなるかもね……」

朝倉「ふふっ…そうね……」

夕闇、景色が薄い藍色に染まる頃…私たちは一緒に街を歩いていた

行く場所も決めず…二人でただのんびりと……


佐々木「…いい、月だね」

朝倉「本当…綺麗な満月……」
空には大きなお月様…


月の光が彼女の瞳を照らしていて…私はその姿に心をまた奪われてしまう…

でも、今はいいんだ…

彼女と一緒に、お月様を見ている…この瞬間だけで……




659 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 21:24:20.37 ID:VCzSJ9p1O
朝倉「……」

月を見ている途中…彼女は携帯を取り出して…

佐々木「ん、電話?」

朝倉「うん…キョンから…」

佐々木「さっきの事じゃない?」

朝倉「そうかも……もしもし…?」

気を利かせて離れようとしたけれど…

電話はとても早く、15秒程で終わったので離れるまでいかなかった

佐々木「早いね?」

朝倉「う、うん……」

佐々木「そんなにすぐ終わる内容だったの?」

朝倉「えっと…その…言うの、恥ずかしいな……」

佐々木「くつくつ、いつもは聞かないけど…今日はちょっと聞いちゃおうかな?」




660 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 21:30:46.60 ID:VCzSJ9p1O
朝倉「イジワル…あ、あのね、実は……」

彼女と話しているこの一時が…ゆっくりと過ぎていく…

光を浴びた曇達を優しく運ぶ風のような…大切な時間…

これからも私たちは、そんな時間を…大切な人と過ごしていけたらいいな…

話の中で…彼女は言っていた

とても優しい目で…満月をみつめながら…

涼子「ただ月が綺麗だったから…私の声を聞きたいって……」






661 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 21:31:19.37 ID:ggcrtXE60
面白かった乙




662 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 21:32:13.17 ID:fsyrUnx40
激しく乙!
すごくよかった




665 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 21:34:14.36 ID:VCzSJ9p1O
これで、とりあえず終わりとなります

本当は、まだ半分程の地点なんですけど…家出編がクライマックスな感じになってしまったので、ここで……

読んでいただいた方、支援して下さった方本当にありがとうございました




666 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 21:36:14.51 ID:3apTiS6Y0
>>ただ月が綺麗だったから…君の声を聞きたい

全く、言ってみてえもんだな!乙!




668 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 21:36:28.56 ID:HRWAHruE0

一つ質問なんだけど
>俺たちは、休日をまた新しい形で過ごせる事となった……
て具体的にどういう事なの?




669 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 21:42:06.04 ID:VCzSJ9p1O
>>666
SSを投稿するまで、このラストもタイトルも決めてなかったんですよね

半分は思いつきですが、もう半分は「たったそれだけの事でも、恋人に伝えたい」
のような意味を含みました

>>668
残りの半分の中に書いてありますが、ここで終わりなんで引っ張る形に…
最後辺りの言葉も、あえてボカしてあります





677 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 21:52:21.39 ID:Nb4I2c0yO
乙でした

こんなにも互いを好きでいられるような関係に憧れます




678 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 21:58:28.70 ID:VCzSJ9p1O
キョン「じゃあ…いってきます」

土曜日の朝…俺は駅に向かう

手には普段なら持たないような量の荷物と、胸いっぱいの希望…

いつもの電車に乗って…彼女の街に向かう

涼子「キョン、こっちこっち!」

駅に着くと、涼子と…今日は…

朝倉母「あら…」

朝倉父「…」

キョン「あ、あの…はじめまして。キョンと言います…その…涼子さんとお付き合いさせて頂いております……」

深々と頭を下げて…一礼をする

朝倉母「ふふっ、あまり硬くならなくていいのよ? ね、父さん…」

朝倉父「う、む……」

涼子「えへへっ…じゃあ早速ご飯食べに行きましょ! キョン、一緒に後ろに…」

引っ張られるまま、車に連れ込まれる

朝倉母「あらあら……」




683 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 22:07:40.38 ID:VCzSJ9p1O
あれから…土日を利用して、俺は朝倉家に泊まり込みに来ている

朝倉家の親御さんが…来れる時は泊まりに来ていい、と話をしてくれた

俺はもちろんそれに甘える事にした…

まあ、今日が初顔合わせなんだが…

車内では、母親が運転をし、父親は助手席に座っている

朝倉父「……」

涼子「それで、お父さんてね……!」

朝倉母「ふふふっ」

キョン「は、ははっ…」

どうやら、緊張しているのは、男性側だけのようだった




684 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 22:16:23.15 ID:VCzSJ9p1O
朝倉母「はい…着いたわよ」

レストランでの食事を終えて、俺たちは涼子のマンション…第二の自宅に帰ってきた

望んでも、泊まる事のできなかった場所…

今日は…ここにいていいんだ…

朝倉母「あ、布団敷いておいたからね? 仲良く寝るのよ?」

キョン「……え?」

朝倉母「ウチって、部屋が少なくてね…私の部屋と涼子の部屋…それと居間しか寝るスペースが無いのよ」

キョン「そ、それなら僕は居間で……!」

朝倉母「あら、居間はお父さんが寝てるのよ。テレビを遅くまで見たりするから…そっちのがいい?」

キョン「いえ、お許し頂けるなら、そのままで結構です」

我ながら、初対面の親御さんを前にはっきりと言えたもんだ




685 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 22:21:27.80 ID:VCzSJ9p1O
朝倉母「ふふっ…涼子と、仲良くね? ……」ボソッ

一緒の部屋で寝る事は、両親公認らしい

少しは気持ちが楽だが…

俺は、じっと…涼子を見てみる…

涼子「?」

彼女は笑顔でこっちを見てくれている…俺も合わせて、引きつった笑いをする…

部屋に向かう前に…小さく呟かれた言葉を思い出しながら…

朝倉母『子供だけは作らないでね』

…はい




687 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 22:31:29.59 ID:VCzSJ9p1O
夕飯後…俺は率先して食器を片付け、皿を洗っていた

朝倉母「キョンちゃん、そんな事いいのに…」

キョン「いえ、お世話になるからには…何か手伝いませんと…」

これくらいはやらなければ…

ただ座って、涼子とお茶を飲んでばかりもいられない

涼子「ふふっ、お手伝い終わったら、このシートに書き込んでね」

見てみると、冷蔵庫に貼られた一枚の…シート

床掃除、洗濯、風呂、洗い物、猫の餌やり…家事全般と、涼子の印がついている

朝倉母「うちは共働きでね…平日は、どうしても家事が満足にできないのよ」

涼子「手伝ったらこれに印をつけるの。そうすると、お小遣いが増える仕組みなのよ」

キョン「そ、それはすごいシステムですね…」




689 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 22:42:40.93 ID:VCzSJ9p1O
風呂に入り…就寝だ

部屋の明かりは全部消えて…俺は涼子の隣にいる

布団とベッド…段差は違いがあるが、確かに隣に涼子が寝ている

こんな穏やかな気持ちで涼子と眠れる日が来るなんて…ちょっと、信じられなかった…

涼子「キョン……」

キョン「ん…起きてたのか?」

涼子「ちょっと…寒いかなぁ、って……」

キョン「寒い? じゃあ、俺の毛布やるよ。ほら、こっちの…」

涼子「…バカキョン!」

ヒソヒソ声の中で…涼子がちょっと大きな声を出す

キョン「な、なんだよ…」

涼子「…知らない」

プイッと…背中を向けて布団に顔を潜らせてしまう

その姿を見て…思い出した




690 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 22:48:49.72 ID:VCzSJ9p1O
キョン「……」

涼子「あ……」

後ろから、涼子を抱きしめて…ギュッとする…

キョン「これ…好きだったよな」

涼子「…うるさい、バカ…」

キョン「あのさ…涼子が良ければ…一緒の布団で眠りたいんだが……」

涼子「……」

キョン「ダメか…?」

涼子「腕まくらか…今みたいにギューってしてくれるなら…いいわよ……」

この日から、俺たちは…改めて、毎晩一緒の布団で眠るようになった

ベッドの中で、もう一度彼女を抱きしめて…

いつかのように、心臓に耳を当てながら…




691 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 22:54:48.97 ID:VCzSJ9p1O
涼子と過ごした時間も…もうすぐ終わってしまう

日曜日の昼過ぎ…今は、車で駅まで送ってもらう途中

別れる直前なのに、寂しさはそんなに生まれない…

心の余裕が、そうさせているんだろう

朝倉母「そろそろ駅だから、降りられる用意してね?」

キョン「は、はい」

涼子「気をつけて帰ってね?」

朝倉父「……」

この二日間、涼子の父親とは殆ど会話をしていない

テレビを見ていても、食事をしていても…涼子や母親とはよく喋ったが、父親とだけは話した記憶は無い




692 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 22:59:11.35 ID:VCzSJ9p1O
キョン(…嫌われてるのかな)

他人の家庭にお邪魔しているわけだ…人によっては、そういう感情が出るのが当たり前かもしれない

朝倉母「はいっ、到着よ」

そんな心配をよそに、もう駅まで着いてしまう

キョン「じゃあ…この二日間、お世話になりました…ありがとうございました」

朝倉母「どういたしまして…気をつけてね」

涼子「じゃあ…またね、キョン。落ち着いたら、メールしてね」

車を出て…助手席に座っている父親に、外から最後のお礼をする

キョン「あ、あの…色々ありがとうございました。本当に…ありがとうございます」

緊張で…ありがとう以外の言葉が出てこない…

朝倉父「…また、おいで。待ってるから」

キョン「は、はい…!」




693 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 23:06:37.14 ID:VCzSJ9p1O
彼女とは、これから会う時の話ばかりをするようになった

別れ際にずっと話していたような…まだ見えない未来の話じゃなくて…

周りが祝福してくれるような、そんな歩き方を…俺たちは始めていた…

父親とはまだ話がぎこちない…
母親は、もう俺を家族の一員だと言ってくれている…


猫は…少しずつ俺にもなついてくれている…

そして涼子とは…今も一緒の布団で眠っている…


このまま…いくつもの季節が流れて、俺の高校生活は終わって行くんだろう…

今日、俺は初めて夕方の電車に乗って…涼子のいる街に向かっている……






694 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 23:11:30.97 ID:VCzSJ9p1O
こんな感じの生活を…残り一年半、大学に行くまで繰り返す事になります

障害から安定に変わった2人は…幸せな高校時代を過ごしていきます

今回は、正直ここまでで…

ありがとうございました




695 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 23:12:33.57 ID:ggcrtXE60
超乙!









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関連
国木田「お互いに嘘を言いながら付き合って、幸せなのかな…」その1


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コメント
この記事へのコメント
  1. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/06/15(火) 14:31: :edit
    1ゲットktkr
  2. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/06/15(火) 14:33: :edit
    2ゲットッす
  3. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/06/15(火) 15:18: :edit
    03getだぜ!
  4. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/06/15(火) 15:22: :edit
    一桁?
  5. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/06/15(火) 15:23: :edit
    朝倉のふとももにおにんにんはさみたいよぉ
  6. 名前: 通常のナナシ #/3WEEAIQ: 2010/06/15(火) 15:31: :edit
    3getだぜ

    感動して泣きそうになりましたw
  7. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/06/15(火) 15:46: :edit
    げっと
  8. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/06/15(火) 15:48: :edit
    いやー読みやすく、そしてとてもいい話だった。

    ゲッターはなんか感想ぐらい書けよ
  9. 名前: 通常のナナシ #SFo5/nok: 2010/06/15(火) 16:24: :edit
    ごめん!
    じつはよんでないんだ!!
  10. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/06/15(火) 16:32: :edit
    前半は楽しく読んだが
    後半の『意外』で読む気無くしてすっとばした。
  11. 名前: ss中毒者 #-: 2010/06/15(火) 16:44: :edit
    ちょっと長くないか?

    まぁいいんだけど。
  12. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/06/15(火) 16:55: :edit
    これは生でよんだ
  13. 名前:   #-: 2010/06/15(火) 17:11: :edit
    もっとSFしようぜ・・・
  14. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/06/15(火) 17:35: :edit
    ぷん太信じてたよぷん太
  15. 名前:   #-: 2010/06/15(火) 17:36: :edit
    終始BADエンドのにおいがしてたから怖かった
  16. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/06/15(火) 17:36: :edit
    シナリオライターか!?
    なんか遠距離恋愛経験あるから
    せつなくなったよ
  17. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/06/15(火) 17:57: :edit
    国木田「お互いに嘘を言いながら付き合って、幸せなのかな…」に続くんだとしたら,切なく感じる.
  18. 名前: 通常のナナシ #CeIfeFHM: 2010/06/15(火) 18:34: :edit
    長いけどグダグダにならない作者様の文才に嫉妬ですw乙ww
  19. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/06/15(火) 19:28: :edit
    うむ。
    なかなか感動できるいい話だった。
    惜しむらくはハルヒSSである必然性が1ミリグラムもないことだな。
  20. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/06/15(火) 19:30: :edit
    マジハッピーエンドで良かった!
    作者&ぷん太乙!
  21. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/06/15(火) 19:31: :edit
    確かにハルヒである必要はないかもしれないけど、ええ話や。
  22. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/06/15(火) 19:31: :edit
    今の嫁と大学時代遠距離してたんだけど、
    当時嫁の親御さんに付き合うの反対されてたから、
    こっそり合ってた。
    その頃を思い出しながら一気に読ませてもらいました。
    職人さんありがとう
  23. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/06/15(火) 19:39: :edit
    キョン「あ、あの…はじめまして。キョンと言います…その…涼子さんとお付き合いさせて頂いております……」

    ↑伏字でも良いから本名名乗れよ・・・非常識過ぎるだろ
  24. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/06/15(火) 20:19: :edit
    作者絶対遠距離恋愛したことあるよなこれ
  25. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/06/15(火) 22:16: :edit
    遠恋どころか付き合った経験すらないだろ
  26. 名前: 古泉良いよね #-: 2010/06/15(火) 22:33: :edit
    古ハル伏線じゃなかったのか…
  27. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/06/15(火) 23:28: :edit
    イイハナシダナー( ;∀;)
  28. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/06/15(火) 23:44: :edit
    作者乙

    しかしこれ読んだ後に国木田「お互いに(ry」を読むと、朝倉が可哀想になるな
  29. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/06/15(火) 23:49: :edit
    ちょっと不快かな。
    朝倉と佐々木は好きなキャラだけど。
  30. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/06/15(火) 23:53: :edit
    俺×朝倉な感じがして不愉快
    キャラ崩壊もいいところ
  31. 名前: 通常のナナシ #ZnCl9.rg: 2010/06/16(水) 00:14: :edit
    ハルヒでやる必要なし
    朝倉父とか母とかも自己満足な俺設定に見えるし
    キョンがキョンに見えない
  32. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/06/16(水) 00:33: :edit
    せつないな…
    ハルヒでやる必要はないかもしれんが、ハルヒじゃないとこのせつなさは出ない気もする

    つうか、国木田との方と時系列ほんとに一緒か?
    さすがに朝倉がそっけないような…
  33. 名前: 通常のナナシ #VWFaYlLU: 2010/06/16(水) 02:19: :edit
    SSは一々原作の全設定活かさないと、必然性とか問われるということになってるのか
    ○○である必要がないって見るたびに、それはけなす口実としてまっとうなのかと考えてしまう

    この作品のダメポイントは、原作と明らかにかち合う重大な設定改変が無説明で、必要性以前にまともな「ハルヒ」二次といえないところじゃね

    なんていっても、楽しめればそいつの勝ち
    俺には引き分け程度
  34. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/06/16(水) 02:29: :edit
    なんだろう……心がキュッ、と締め付けられるような、でも暖かいいい話だった。
    前作も読んでみるか……。

    作者様、ぷん太ともに乙っした!
  35. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/06/16(水) 03:14: :edit
    涼子!涼子!涼子!涼子ぅぅうううわぁああああああああああああああああああああああん!!!
    あぁああああ…ああ…あっあっー!あぁああああああ!!!涼子涼子涼子ぅううぁわぁああああ!!!
    あぁクンカクンカ!クンカクンカ!スーハースーハー!スーハースーハー!いい匂いだなぁ…くんくん
    んはぁっ!朝倉涼子たんの青色の眉毛をクンカクンカしたいお!クンカクンカ!あぁあ!!
    間違えた!ペロペロしたいお!ペロペロ!ペロペロ!眉毛眉毛ペロペロ!むっちりふとももペロペロワサワサ…きゅんきゅんきゅい!!
    小説1巻の涼子たんかわいかったよぅ!!あぁぁああ…あああ…あっあぁああああ!!ふぁぁあああんんっ!!
    アニメ2期決まって良かったね涼子たん!あぁあああああ!かわいい!涼子たん!かわいい!あっああぁああ!
    コミック7巻も発売されて嬉し…いやぁああああああ!!!にゃああああああああん!!ぎゃああああああああ!!
    ぐあああああああああああ!!!コミックなんて現実じゃない!!!!あ…小説もアニメもよく考えたら…
    り ょ う こ ち ゃ ん は 現実 じ ゃ な い?にゃあああああああああああああん!!うぁああああああああああ!!
    そんなぁああああああ!!いやぁぁぁあああああああああ!!はぁああああああん!!北高ぁああああ!!
    この!ちきしょー!やめてやる!!現実なんかやめ…て…え!?見…てる?表紙絵の涼子ちゃんが僕を見てる?
    表紙絵の涼子ちゃんが僕を見てるぞ!涼子ちゃんが僕を見てるぞ!挿絵の涼子ちゃんが僕を見てるぞ!!
    アニメの涼子ちゃんが僕に話しかけてるぞ!!!よかった…世の中まだまだ捨てたモンじゃないんだねっ!
    いやっほぉおおおおおおお!!!僕には涼子ちゃんがいる!!やったよ長門!!ひとりでできるもん!!!
    あ、コミックの涼子ちゃああああああああああああああん!!いやぁあああああああああああああああ!!!!
    あっあんああっああんあアン様ぁあ!!セ、セイバー!!シャナぁああああああ!!!ヴィルヘルミナぁあああ!!
    ううっうぅうう!!俺の想いよ涼子へ届け!!対有機生命体コンタクト用ヒューマノイドインターフェースの涼子へ届け!
  36. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/06/16(水) 03:46: :edit
    続きの話読んでなかったから前半ちょろっと見てきたけど
    あれ、朝倉があっさりしすぎてとても繋がってると思えねぇんだが
    それとも最後まで読めば分かるん?
  37. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/06/16(水) 06:53: :edit
    良い話だがこれが大学編に繋がるのならなんとも言えない気持ちになるな・・・・
    まあリアルだと大抵こんなもんだが
  38. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/06/16(水) 09:52: :edit
    長門「サテライトキャノン、いっけぇぇぇぇぇッ!!」
  39. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/06/16(水) 10:59: :edit
    佐々木がちょっち可哀想かな
  40. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/06/16(水) 13:06: :edit
    なぜハルヒを使ったのかって辺りに計算高さとか功名心が見えてやだなぁ
    オリジナルの舞台だったら良い話だったと思う

    佐々木と朝倉のカラミシーン以外は
  41. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/06/16(水) 13:24: :edit
    同じ方が荒していたので過去300コメから削除と書き込み禁止にしましたので、コメント欄が少しおかしくなってるかもです。(※アンカー)
    巻き込みがあるかもですがすいません(´・ω・`)

                 ぷん太
  42. 名前: 通常のナナシ #TNMtb/9k: 2010/06/16(水) 14:40: :edit
    ※37
    そうだね。 このハッピーエンドからあのSSに繋がるってのが、何とも言えない気分。

    それにしても荒らしをやるヤツの気持ちが解らん。
    下らない事して自分の価値が下げて何が楽しいんだか…。
  43. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/06/16(水) 15:17: :edit
    朝倉佐々木はええなあ。
  44. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/06/16(水) 15:49: :edit
    とりあえず三点リーダは減らしたほうがいい
  45. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/06/16(水) 16:24: :edit
    まあ実際ならラストあんなに上手くいかないけどな、体験談から
    でも甘酸っぺーよー佐々木エロイよー
  46. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/06/16(水) 20:58: :edit
    俺的には良かった。



    以下ヒョウロンカキドリハンター続出
  47. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/06/16(水) 22:03: :edit
    最近、朝倉涼子が
    朝倉涼子(CV:喜多村英梨)になりつつある
  48. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/06/17(木) 03:23: :edit
    あしゃくらさんはじょーほーとーごーしねんたい。つまり朝倉父と母は、うわなにするやめqwせdrftgyふじこlp;
  49. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/06/17(木) 04:06: :edit
    行動起こさなきゃ変わらない事もあるよね。
    今回のが良い悪いじゃなくてね。
  50. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/06/17(木) 04:44: :edit
    面白かった。ただ、こういった真っ当な恋愛物を読むと、
    ふと現実に帰った時に襲い掛かってくる何ともいえない空しさで気持ちが沈むんだよなぁw
    ともあれ、乙でした。
  51. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/06/17(木) 12:41: :edit
    国木田「お互いに嘘を言いながら付き合って、幸せなのかな…」で二人がどうなろうともこの時の朝倉が幸せならそれで良いです。

    でも出来れば国木田「お互いに嘘を言いながら付き合って、幸せなのかな…」が平行世界の未来の内の一つでこの後も朝倉には幸せになって欲しい。
  52. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/06/18(金) 00:20: :edit
    すっきりした好みな終わり方でした 乙
  53. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/06/18(金) 12:12: :edit
    純粋に感動して胸が熱くなりました。乙です
  54. 名前: ふもっふ #aKyq3XXo: 2010/06/18(金) 23:57: :edit
    佐々木&朝倉父後半かっこよすぎ
    兎に角作者乙!
    じっくり読ませていただきました!
  55. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/06/19(土) 12:34: :edit
    佐々木×朝倉は斬新だった。
    細かい設定は抜きにして良かった。 作者乙。
    あと、ぷん太、信じてたよ! 

    朝倉さんは俺の嫁!
  56. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/06/20(日) 15:57: :edit
    ちょっと切ない感じとか良かった
  57. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/07/17(土) 12:20: :edit
    主人公二人が周囲を振り回しっぱなしで釈然としない。乙。
  58. 名前: 通常のナナシ #OARS9n6I: 2010/09/16(木) 15:40: :edit
    めっちゃハラハラした!
    面白かったw
  59. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/11/02(火) 07:37: :edit
    朝倉父が最初は憎く思えたのに後半になってくるとですねぇ・・・


    作者&ぷん太乙。こういうの永久保存版としてとっておけたらありがたいのに
  60. 名前: ただの名無し #-: 2011/01/06(木) 14:16: :edit
    泣いた。
    よかった。
    でも、ハルヒでやる必要ない。
  61. 名前: 通常のナナシ #-: 2011/03/28(月) 01:03: :edit
    米55 馬鹿言うな
    朝倉さんは俺の嫁だっ
    あ、佐々木さんも俺の嫁な
    俺この2人と重婚してんだよ(チョッ

    ハルヒでやる必要が性ってのがやっぱネックですかね
    でも、作者の文章力で最後まで読まされた

    あと朝倉&佐々木好きーな俺は2人の絡みにハァハァを禁じえなかったw

    作者&ぷん太乙!
  62. 名前: 通常のナナシ #-: 2011/10/04(火) 23:25: :edit
    超絶乙!

    畜生!キョン、俺と代わりやがれ!
  63. 名前: 通常のナナシ #-: 2013/02/26(火) 11:19: :edit
    乙!

    しっかし切ないねェ…
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俺の妹がこんなに可愛いわけがない 黒猫 白猫Ver.
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