TV 「ねことあひるが力を合わせて」 その1

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2010/05/02(日)
1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 01:11:07.96 ID:829sObV50
これらの続きです。

ぷん太
TV 「ねことあひるが力を合わせて」


前にもスレ立てたのですが落ちました。
需要ないんだなー、としょげたのですが、
何となくしこしこ書いていたら書き上がってしまったので、
どうせなら、ということで投下します。
基本的に完成してますので一気に行こうと思います。
よろしければお付き合いください。

ただ、前作よりも長いです……
長いの嫌いな人ごめんなさい。
それだけご注意を。




※オリジナルキャラがでてますのでうんたらかんたら。

3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 01:13:08.80 ID:829sObV50
初春 「……白井さん。終わりました?」 カタカタカタカタカタカタ

白井 「……終わるはずがないでしょう……まだ半分以上も残ってますの」 カタカタカタカタ

初春 「うぅ……始末書五十枚、ちょっと多過ぎじゃありません?」 カタカタカタ

白井 「わたくしに言わないでくださいな」 カタカタ

固法 「………………」 ジロッ

白&初 「「……!」」ビグッ

白井 「……も、文句を言う暇があったら書きましょう、ですわ」 ktktktkt

初春 「そ、そうですねー」 ktttttttt




4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 01:14:10.55 ID:829sObV50
初春 「……あのー、白井さん」 カタカタヒソヒソ

白井 「何ですの?」 カタカタヒソヒソ

初春 「これって、やっぱりちょっと厳し過ぎじゃありません?」 カタタタタタ

初春 「固法先輩も厳しいですが、ここまでやらせるとは思えないです……」

白井 「何でも、アンチスキルの方からの要望もあったそうですのよ」 カタタカタカタ

白井 「『無茶したガキ共にはそれ相応の報いを与えるじゃん』……とか何とか」

初春 「うぁー……やっぱりですか」

固法 「………………」 ギロッ

白&初 「「……!!」」 ビグウッ

初春 「さ、さあ白井さん! ちゃっちゃと書いてしまいましょう!」

白井 「そうですわね! ああ、わたくしたちはなんてイケないことをしてしまったのでしょう!」




5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 01:15:33.38 ID:829sObV50
固法 「………………」

白&初 「「………………」」 ゲンナリ

固法 「……はぁ。あのね、」

白井 「……?」

固法 「何でも、アンチスキルの人達も大変みたいよ」

固法 「先日の大々的なテロリズムもあったことだし……」

固法 「黄泉川っていう先生が大人のふがいなさに怒って、『鍛え直すじゃん』とかなんとか」

固法 「……反省文ひとり二百枚。加えて休日もなく毎日訓練ですって」

固法 「教員っていう本業をやりながらそれって……結構な地獄だと思わない?」

白井 「……その通り、ですの」 カタカタカタ

初春 「……私たちも反省します」 カタタタタタ




6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 01:17:00.63 ID:829sObV50
黄泉川 「鉄装!! お前やる気あるのかッ!!!」

鉄装 「はいぃぃぃいいい……!! すみません!!」


白井 「………………」 カタカタカタ

初春 「………………」 カタタ……タタ

固法 「……はい、コーヒー」 コトッ

初春 「あ、どうもありがとうございます」

白井 「ありがとうございます、ですの」

固法 「あんまり無理はしないようにね。明日までに提出してくれればいいんだから」

白井 「はい、ですの。お気遣い感謝いたしますの」

初春 「……ま、この鬼のような分量の始末書を出せって言ったのは固法先輩ですけどね」 ボソッ

固法 「あーそうそう。ローリングソバットってどうやるんだったかしら……?」

固法 「試してみていい? 初春さん」

初春 「か、勘弁してくださいぃ……! 私が悪かったですから……」




7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 01:17:49.28 ID:829sObV50
白井 「………………」 カタカタカタ

初春 「……そういえば、」 カタカタ

白井 「何ですの?」

初春 「男さん来ませんね」

白井 「ぶっ……! な、何をいきなり……!」

初春 「……あのー、私、同僚の話を振っただけなんですけど……」

白井 「…………」 カーッ

初春 「…………」 ニヤニヤ

白井 「……あ、あの方なら、今日は研究所での実験ですので、休みですの」

初春 「ああ、そうなんですか。さすがは白井さん、よくご存じで」

白井 「……よく考えたら皆の前で言っていらしたのですから、貴女も知っているはずですわよね、初春」

初春 「あれー? そうでしったけー?」 ニヤニヤ

固法 「……ねえ、二人とも」 ニコニコ

固法 「早く始末書仕上げろ、コラ」 ドン!




8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 01:18:52.15 ID:829sObV50
白井 「…………(初春のせいですのよ)」 ヒソヒソ

初春 「……(そんなの知りませんよ)」 ヒソヒソ

固法 「………………」 ペラ……ペラ……

白井 「あれ……? 固法先輩」

固法 「何かしら?」

白井 「その紙束は、もしやとは思いますが……」

固法 「ああ、これ?」 パンパン 「もちろん、男くんの提出した始末書よ」

初春 「えっ……? 一日だけとはいえ入院してたのに、男さん、もう始末書出したんですか?」

固法 「ええ。しかもそれなりの内容を書いてあるわよ」

白井 「へぇ……」 ニヘラ 「さ、さすがは男さん、ですの」

固法 「事務処理能力はそれなりのものみたいね、彼」

初春 「………………」

初春 (なるほど、これがテコ入れですか……)




9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 01:20:11.09 ID:829sObV50
ESP研究所

男 「……ックシュ」 ズズ……

男 「ウワサをされている気がする……」

所長 「どうしたんだい、男くん? 風邪か?」

男 「いえ、ただクシャミが出ただけですのでご心配なく」

所長 「風邪なら温めねばならんな……どれ、私の白衣の中ならいつでも空いているぞ」

男 「だから風邪じゃないって言ってるでしょうが。っていうか白衣を広げるな変態!」

所長 「……クスン。五年くらい前までの男くんなら何のためらいもなく『わーい、所長の白衣だぁ』
    とか言いながら私の胸の中に飛び込んできただろうに……」 ズイズイ

男 「変な話をねつ造するな変態! それからさり気なくにじり寄るな!」




10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 01:21:22.98 ID:829sObV50
ネムサス 『こら! そこまでよ変態!』

デイジィ 『おとなしくしなさい、変態!』

男 「ね、ネム! ディズ! 助けて!」

所長 「むっ……変態とは心外だな、ネムサスくん。デイジィくん」

所長 「私はこう見えてもこのESP研の所長だよ? それを変態などと呼ばわるとは……言語道断」

所長 「敬意と情愛を籠めて、変態紳士と呼びたまえ」 グッ キリッ

ネム&ディズ 『………………』 ダッ 『……滅びなさい! この変態!』

ネム 『ネコパンチ!』 シャーッッッバリバリバリ

ディズ 『アヒルキック!』グァーッッッゲシゲシゲシ

所長 「うぼぉぉぉぉおおおおッ……!! ちょっ、待っ……本当に痛い!」

男 「た、助かった……」

?? 「……実験を開始しないのですか? とミサカは目の前の御仁に尋ねます」

男 「えっ……?」





11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 01:22:18.27 ID:829sObV50
男 「にゃっ!!?」

ミサカ1 「しかしこのまま喋るネコとアヒルの大立ち回りを見学するのも悪くはないですね、とミサカは提案します」

ミサカ2 「たしかに……おお、あのご老人、ネコちゃんのパンチを避けましたよ、とミサカは実況してみます」

ミサカ3 「しかしながらその場合、この研究に協力する見返りはしっかりと頂けるのでしょうか? とまともなミサカは憂慮します」

ミサカ4 「そもそも、あのような愉快な方が所長職に就いていらっしゃる研究所からして不安では? とミサカはマイナス思考に移行します」

ミサカ5 「ともあれこんにちは、と最も常識人であるこのミサカがなぁなぁに挨拶をします」

男 「あ、ど、どうも、こんにちは……」

男 (五つ子……? っていうか、『超電磁砲』にそっくりだけど……違う人たちだよね?)




12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 01:23:25.86 ID:829sObV50
所長 「……ああ、来てくれていたのか」 ボロボロ

所長 「君たちが『シスターズ』……ということでいいのかね?」

ミサカ5 「その通りです、とミサカは同意を示します」

所長 「なるほど、たしかに皆そっくりだ。これは実験の精度も期待できそうだな」

所長 「男くん、紹介しようか。こちらは私の知り合いの紹介で今回の実験に協力してもらう、」

所長 「……五つ子さんだ」

男 「はぁ……五つ子、ですか……」

ネム 『ちょっと待ちなさいよ変態!』

ディズ 『何で『超電磁砲』が五人もいるのよ!』

ミサカ5 「おや、お姉様のことをご存じですか……では、六つ子ということでどうでしょう?」

男 「……そこら辺アバウトでいいんです?」

ミサカ5 「ではお姉様……御坂美琴だけは同い年の姉、という設定で」

男 「設定て……。まぁいいや。お母さん大変だっただろうね」


美鈴 「……ヘックシュ」 ズズ…… 「……?」




13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 01:24:58.30 ID:829sObV50
………………

所長 『それでは諸君、準備はよろしいかな?』

男 「僕は大丈夫です」

ネム 『私もオッケーね』ニャーッ

ディズ 『同じく』グァーッ

ミサカ1~5 『ミサカも万事オッケーであります、と親指を立てて見せます』グッ×5

男 (一面真っ白の大部屋。その中心に僕とネムとディズ……それから、)

タマオ 『ふぁー……ネムちゃんは今日も綺麗ッスねぇ……惚れ惚れするッス』

ブチ 『あ、旦那ぁー』 ノシ 『なんかあのオッサンにスカウトされちまいやした。ヘチクリーチャムゲットでさぁ!』

ミケタ 『どうも、三日ぶりくらいです、兄貴』

アヒル1・2・3 『あ、男さーん!』『なんか餌に釣られて来たらあのオジサンに捕まえられちゃった』 『……怖いよぅ』

男 (それを取り囲むようにネコとアヒルを配置する……)

男 (そして、僕から二メートルごとに五段階の距離で配置される、脳波計を付けたミサカ姉妹……)

男 「……所長、実験を始めましょう。動物たちも大丈夫だと言っています」

男 (さて……成功するのかなぁ……)




14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 01:26:22.71 ID:829sObV50
所長 『計器の最終チェックも完了だ。……では、始めてくれたまえ』

男 「分かりました」

男 「……ネム、ディズ」

ネム 『はいはい……っと。じゃ、やりましょうか』

ディズ 『全員、いくわよー。しっかり歌いなさいよーっ!』

男 「………………」


――――……ネコと

――――……アヒルが
キィ
――――……力を合わせて
キィィィィィ
――――……みんなの幸せを
キィィィィィィィィィィィィィィ……

男 「……まねきねこだっく」 ボソッ

ミサカ1 「おうっ……」  ミサカ2 「ふわっ……」  ミサカ3 「おおうっ……」
ミサカ4 「ふむん……!」  ミサカ5 「おお……これはなかなか……」


所長 『……ふむ』




15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 01:27:51.18 ID:829sObV50
――パシュッ

所長 「ご苦労様。『猫鶩ネットワーク』の構築に関してはもはや何もいうことはないな」

所長 「さすがはネムサスくんとデイジィくんだよ」

ネム 『ふん、当たり前でしょ』 ニャッ!

ディズ 『私たちを誰だと思ってるのかしらね』

男 「僕としましては、そのまんま過ぎるそのネーミングについて物申したいところですけどね」

所長 「ネットワークの名については仮称だよ。いま研究所内で公募しているから安心したまえ」

所長 「ともあれ、男くんもお疲れ様。ミサカくんたちもご苦労だった」

ミサカ1 「ふふっ……謝礼の方はいつものスイス銀行で……と、ミサカはお茶目に殺し屋を気取ってみます」

ミサカ2 「あ、実際は多摩信金にお願いしますね、とミサカは不出来な姉妹のフォローをします」

男 「………………(本当にそっくりだなぁ)」

ミサカ3 「………………」 ジッ

男 「……? な、何か?」

ミサカ4 「……ミサカに惚れると電気的な火傷ができるぜ、とミサカはちょっとポーズを取ってみます」

男 「………………(変な子たちだなぁ)




16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 01:29:20.99 ID:829sObV50
所長 「さて……男くんたちの一番遠くにいたミサカくん」

ミサカ1 「はい。氏から十メートル離れた位置に立っていたミサカです、とミサカは事実を述べます」

所長 「唄が聞こえたね? その時にどう感じた?」

ミサカ1 「ほわほわしました」

所長 「……? ほわほわ?」

ミサカ1 「ほわほわです。そのままだらけて寝てしまいそうになりました」 ニヘラ

所長 「な、なるほど……ありがとう。では、次のミサカくんはどうだった?」

ミサカ2 「わふわふしました。愛しのあの方に告白する妄想が頭の中を駆けめぐりました」

ミサカ3 「むふむふしました。愛しのあの方と二人っきりで出かける妄想をしていました」」

ミサカ4 「もふもふしました。愛しのあの方と接吻を……キャッ……///」

ミサカ5 「わっふるわっふる。愛しのあの方とわっふるわっふる……///」

所長 「………………」

所長 「……研究材料にはならなそうだ。おとなしく君たちの脳波を見てみることにしよう」




17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 01:30:38.20 ID:829sObV50
所長 「言葉面から察するに、やはり男くんに近い位置にいたミサカくんの方が得られた幸福度は高いようだが……」

所長 (同時性を大事にしたかったから、遺伝子レベルでの同位体であるミサカくんたちを呼んだのだが……)

所長 (冥土帰しめ……まさか私への嫌がらせではあるまいな?)

所長 (ふん……ナースと分娩台などを愛さねば、お前もそこまで下卑た人間にならずとも済んだだろうに……)

所長 (幼稚園男児! 小学生男子! 中学生男子! そして男くんこそ……! 至高!) グッ!

男 「……ッ」 ブルッ

男 (何だろう? 寒気が……)


冥土帰し 「……ふむ、君には分からないだろうね? 所長」

冥土帰し 「同性の、それも年少の者しか愛せないとはね……」

冥土帰し 「おとなしく分娩台のエロティシズムを理解していれば、そんな修羅の道を行く必要もなかっただろうに……」

冥土帰し 「まったく……悲しいよ」

芳川 「仕事しろ変態」




18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 01:32:02.91 ID:829sObV50
男 「違う人間では感じる幸福度にも変化が出てしまう……」

男 「だから五つ子のミサカさんたちを呼んだ……つまりはそういうことですよね?」

ミケタ 『ああ、なるほど』 ニャーッ 『それで、どうだったんですか?』

男 「……ミケタ。君だけはまともでいてくれて僕は嬉しいよ」

所長 「脳波を見る限りでも……同様の結果が得られている」

所長 「ミサカ1くんからミサカ5くんまでを比べると……ふむ、幸福感にそれなりの差があるようだ」

男 (っていうか愛しのあの方って誰だろう? ……まさか、ね)


上条 「……? クシャミが出そうで出ない……若干の不幸だ……」


所長 「男くんの至近、二メートルの位置にいたミサカ5くんは相当の幸福度を味わったはずだ」

ミサカ5 「…………/////」 ポッ

ミサカ2 「……まぁ、わっふるわっふるしていたくらいですからね、とミサカは冷たい目を姉妹に向けます」 ジッ×4




19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 01:33:19.28 ID:829sObV50
所長 「……と、いうわけで、『極小領域下における一般ネコ3匹と一般アヒル3羽での 『猫鶩ネット』 構築についての実験』」

所長 「および、『『猫鶩ネット』 構築者との相対距離に見られる幸福度の変化についての実験』 は成功だ」

所長 「みんな、ご苦労様だった。ネコくんとアヒルくんたちも、帰ってもらって結構だ」

ブチ 『ちょっと待ったー! そうは問屋が卸さないぜ!』 ニャーーーッ!!

ブチ 『主にヘティクリーチャムを!』 キリッ

所長 「……? 男くん、翻訳を頼む」

男 「要約すれば、ヘティクリーチャム寄こせ、この童貞ショタコンオヤジ、とのことです」

所長 「な、何らかの悪意が見え隠れしている気がするのだが……」

男 「そんなわけないじゃないですか」 ニコッ

ネム 『……ねぇディズ、最近男が日に日にたくましくなってるわね』

ディズ 『ふふ……愛妾としては嬉しい限りだわ』




20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 01:34:41.30 ID:829sObV50
ニャーニャー!! ヘティクリーチャムウマーッ!!!

所長 「男くん、」

男 「? 何です?」

所長 「君の能力について、もうひとつ興味深いデータがあるから伝えておく」

男 「興味深いデータ?」

所長 「いや……研究所のメインコンピュータで君の能力の行く末について予測を立ててみたんだが、」

所長 「それによると、まだ未知数ではあるが、どうやら君は、本物のテレパシストになれるかもしれない」

男 「? 本物のテレパシスト、ですか?」

所長 「つまり、人間同士での念話……か、もしくはそれに準ずる何か、といったところかな」

男 「……? どういうことです?」




21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 01:36:31.37 ID:829sObV50
所長 「いや、君の脳波を付与した彼女ら、」 チラッ

ネム 『はむはむ……日頃から男もこのレベルのご飯を買ってくれればねぇ』 ニャー

ディズ 『本当ね。食生活の改善を訴えるために、出るトコ出ようかしら……』 ガツガツ

所長 「……ネムサスくんとデイジィくんは、君がいる状況でならあのように人に言葉を伝えられる」

所長 「そして、君がいなくとも、人間の言葉を聞き、それを理解することができる」

男 「はぁ……その通りですけど……」

所長 「つまり、あのふたりは限定的ではあるが、人間との脳波のネットワークが構築できるということだ」

所長 「彼女らにできて、君にできない道理はないだろう? ということらしい」




22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 01:38:25.10 ID:829sObV50
男 「なるほど……でも、僕はネコとアヒルについても、完全なテレパシストではありませんよ?」

男 「鳴き声を介さないと、僕はネコとアヒルと意思の疎通ができません」

男 「それを考えると、人間同士についても、完全な念話は望めないと思いますけど……」

所長 「なに、それはそれ、だよ」 ポン 「レベルが上がればどうにかなるさ」

男 「そうですかねぇ……」 (……まぁ、目下のところは、レベル向上を考えるかな)

男 (まずは、ネムとディズ以外のすべてのネコが、人間に意志を伝えられるようにしないと)

男 (……あの事件のとき、中央通りで多くの人がネコとアヒルが歌う唄を聞いた)

男 (あれに、何かのヒントがあるはず……なんだよなぁ……)

男 (……まぁ、頑張るか)

所長 「で、だ、男くん」

男 「?」

所長 「今夜、空いてるかい?」 グッ

男 「………………」 ゲシッ!!! 「死ね、変態」




24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 01:43:24.56 ID:829sObV50
研究所外

男 「……はぁ、まったく、所長は相変わらずだな」

男 「ともあれ、今日は実験への協力をどうもありがとう、ミサカさんたち」 ニコッ

ミサカ1 「いえいえ、一般市民の義務ですから」 キリッ 「――とミサカは刑事ドラマの真似をしてみます」

ミサカ2 「随分とアメリカナイズな刑事ドラマですね、とミサカは冷静に突っ込みます」

ミサカ3 「プリズンブレイクの再放送マダー? とミサカは明後日の方向へ叫びます」

ミサカ4 「それよりもCSIマダー? とミサカは明明後日の方角を探します」

ミサカ5 「とにかくごきげんよう、とミサカはお嬢様ぶってお別れを演出します」 ノシ ×5

男 「あ……送っていった方が良かったかなぁ。まぁ全員レベル2だって言うし、大丈夫だよね……」 ノシ

……ドン!!

男 「――ッ……!? そろそろ来ると思ってたよ腰へのアタック!!」

男 「しかし残念! 僕の腰は若さと名医のおかげでもう完治しているのです!」

男 「っていうか誰ですか!?」 クルッ

幼女 「えへー」 ニコニコ





23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 01:41:04.33 ID:829sObV50
男 (そっか……ミケタがいた時点で気づくべきだったかな)

幼女 「こんにちは! おにいちゃん」

男 「はいどうも、こんにちは、幼女ちゃん」

男 (ポニーテール カワイラシイオデコ オオキナオメメ ツルペタオムネ ミニスカート)

男 (相変わらずの幼女オブ幼女振りだ)

ミケタ 『幼女ちゃーん』 ニャーッ ヒシッ

幼女 「ミケタっ!」 ダキッ 「しっかりとおにいちゃんのお手伝いできた?」

ミケタ 『もちろんだよ! ね、兄貴?』 ニャニャニャッ?

ネム 『しっかりやったよ、って言ってるわよ』

幼女 「ほんと? 教えてくれてありがと、ネムちゃん」 ナデリナデリ

幼女 「……でも、ミケタのおはなしが聞けたら、もっとおもしろいんだろうな」

男 「………………」

ディズ 『……男』

男 「……はい。ネコとアヒルが自由に人間とお話しできるよう、能力レベルの向上に努めます」

男 (幼女ちゃんのように、ネコとお話ししたい人ってのは多いだろうしね)




25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 01:45:18.95 ID:829sObV50
アヒル1~3 『じゃあまたね、男さん』ワシ×3

男 「……あっ、うん。お前らも、また実験に協力してくれると嬉しいよ」

アヒル1~3 『うん! ヘティクリーチャム沢山くれたし、また呼んでくれたら嬉しいな』

男 「車道に飛び出るなよ? 気をつけて帰るんだよーっ!」 ノシ

タマオ 『やれやれ、あれじゃ危なっかしいんで、オレが送ってきますよ』

タマオ 『それじゃ、男さん、また会いましょう』 サッ 『ネムちゃん……また』 キリッ ダッ

ブチ 『それじゃ、オイラも商店街に帰りやす』 ヘティクリーチャムズルズル

男 「じゃあな、お前らも気をつけて帰るんだよ(っていうかヘティクリーチャム貰いすぎだろブチ……)」

ザワザワザワ……

男 「ん……?」

キャー ナニアノヒトー……

男 「………………」

モシカシテ ウワサノネコトアヒルノヒトジャナイ? エー、マジ? ヤダ、サインホシイ、ッテミサカハミサカハ――

男 「……あれ?」

幼女 「おにいちゃん……」 キラキラ 「有名人なんだねっ!」




26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 01:46:35.44 ID:829sObV50
男 「えっ……ああ、うん……どうなんだろ?」 カリカリ

男 (そういえば、あの事件の時、中央通りでネコとアヒルが行進してたんだっけ……?)

男 (動物に話しかける痛い人から、ハムの人よろしく 『ネコとアヒルの人』、か……)

男 (嬉しいような、悲しいような……複雑だ) ハァ

ネム 『それもこれも私たちのおかげね』

ディズ 『私たちにしっかりと感謝しなさいよ、男』

男 「…………はぁ」

男 「はいはい。ほら、さっさと肩に乗るんなら乗りな」 スッ ニャーガー

男 「……じゃ、幼女ちゃん、ミケタ。送っていくよ。帰ろうか」

幼女 「うん!」

ミケタ 『はい、兄貴!』




27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 01:48:16.10 ID:829sObV50
テクテクテクテク……

幼女 「………………」 ソワソワ チラッ

男 「………………」 テクテク……

幼女 「…………////」 ポッ

男 「…………? 幼女ちゃん、どこか具合悪い?」

幼女 「えっ……? そ、そんなことないよ!?」

男 「そ、そう? ならいいんだけど……」

幼女 「………………」 ソワソワ……

男 「……? 暗くなってきて怖い? 何なら手を繋ごうか?」

幼女 「え……ええっ! て、手、つ、つつつつなぐ、の!?」

男 「あ……いや、もちろん嫌だったらいいんだけど……」 ガーン

幼女 「い、いやじゃないよ! ぜんぜんいやじゃないよ! つ、つないで、おにいちゃん!」

男 「?」 スッ 「じゃあ、はい」

幼女 「う、うん……」 ギュッ 「…………////」

ミケタ (幼女ちゃん、分かりやすすぎだよ……) グッ (だがそこがいい!)




29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 01:49:17.54 ID:829sObV50
幼女 「………………」 ギュッ

幼女 「あ、あのね、おにいちゃん」

男 「ん? なんだい?」

幼女 「……アンチスキルのひとたちから聞いたよ? おにいちゃん、わたしのために頑張ってくれたって」

幼女 「まだちゃんとお礼言ってなかったから。おにいちゃん……ううん、風紀委員のおにいさん」

幼女 「ありがとうございました」 ペコリ

男 「あ……あ、うん。その……どういたしまして」

男 (……何度やってもこそばゆいな、お礼を言われるってのは)

幼女 「えへへ……こういうの、二回目だよね」

男 「そうだね……あ、そうそう。今回はミケタも大活躍だったんだよ。しっかりとお礼は言った?」

幼女 「うん! あのね、寮母さんがミケタのごはんの「ぐれーど」を上げてくれたんだって」

ミケタ 『……ま、今まではネコまんまでしたからね……』 フッ 『それが週に一回はキャットフードになっただけです』

男 「……君も苦労してるんだな、ミケタ」




30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 01:50:18.98 ID:829sObV50
幼女 「あ、それから、ネムちゃんとディズちゃんもありがとね」

幼女 「街中のネコちゃんとアヒルちゃんを集めてくれたって聞いたよ」

ネム 『……ふ、ふん。べつにアンタのためにやったわけじゃないんだから』

ディズ 『勘違いしないでよねっ! ふん!』

男 「……ネコとアヒルのツンデレに需要があるとは思えないんだが……」

幼女 「それからそれから……風紀委員のおねえちゃんも!」

男 「えっ……?」

幼女 「アンチスキルのひとのおはなしだと……長い髪をふたつにくくってて……」

幼女 「髪がフワフワで……思わずもふもふしたくなっちゃうような可愛いおねえさんだって……」

男 「……!!!」

男 (誰だ! そのアンチスキルは誰だ! 白井さんを変な目で見るようなグズは……!)


才郷 「……ックシ!! ……?」 ズズ……

黄泉川 「才郷!! クシャミする暇があったら始末書をさっさと書け!!」

才郷 「す、すみません! 黄泉川さん!」




31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 01:51:34.25 ID:829sObV50
男 「ま、まぁ……ともあれ、お礼はしっかりと白井さん……おねえさんに伝えておくね」

幼女 「うん! おねがいします、おにいちゃん」

男 「………………」

男 (とはいえ、白井さんが僕の話を聞いてくれるかどうか……)

ネム 『……またマイナス思考よ』 ヒソヒソ

ディズ 『進歩がないったらないわね』 ヒソヒソ

ミケタ 『……?』

男 「ちなみにしっかりと聞こえてるからね? ネム、ディズ」

ネム 『聞かせてるのよ、馬鹿男』

ディズ 『こんなガキとのフラグ立てる暇があったら、とっとと本命とのフラグを再構築してきなさいっての』

男 「なっ……!(幼女ちゃんが聞いてるだろ!)ヒソヒソ」

幼女 「……あれぇ? 急にネムちゃんとディズちゃんが何て言ってるのか分からなくなっちゃった」

男 「……………………」 フン 「……なるほど」

ネム&ディズ 『そういうこと。こういう器用なこともできるようになっちゃったのよねー』エッヘン




32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 01:52:47.46 ID:829sObV50
男 (……まぁ、今度のシステムスキャンに乞うご期待、ってとこかな)

男 (大方、能力値が少し上がっただけで、レベル1のまんまだろうけどね)

男 「……はぁ。『超電磁砲』 ……かぁ。遠いなぁ」

幼女 「……?」

――――……ッッッッッッドォォォオオオオンン……!!!

男 「ッ……!!? 地震!?」

幼女 「お、おにいちゃん!」 ヒシッ

男 「だ、大丈夫だよ……! 大丈夫だから……」 サッ

男 「……風紀委員は、常にその腕章を携帯すべし」 スチャッ

男 「よし……! ネムサス、デイジィ! 幼女ちゃんとミケタを頼――」

不良 「……………………――――――……ァァァアアアアア――ッッッ!!!」 ……ッッッッッドン!!!

男 「……!!?」

ミケタ 『わわっ!』 フニャッ!? 『裏路地からガラの悪そうな男が吹っ飛んできた!』

不良 「……………………」 プスプスプスプス




33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 01:54:54.34 ID:829sObV50
男 「ッ……!?」 (気を失ってる……これは、火傷の痕……?)

イ、イマノナニー? サ、サァー? ナンダロー?

男 「くっ…… (野次馬め……!) 風紀委員です! 危険ですのですぐに避難を!」

ザワザワザワ ナニナニナニー? イマノナニーッテミサカハミサカハ--

男 「くそっ……」 ギリッ

ネム&ディズ 『………………』 ブヂン

ネム 『オラァァァァアアアアアアア!! 早く避難しろって男が言ってるでしょうがぁぁあああ!!!』 フニャーッ バリバリバリ

ディズ 『さっさと避難しなさいよコラァァァァアアアアア!!! それからついでにアンチスキルに通報しろぉぉおお!』 グァー ゲシゲシゲシ

ワーキャータスケテーネコトアヒルガオソイクルー!! ミサカハミサカハ--

男 「よ、余計場を混乱させてる感もいなめないけど……とりあえずネムとディズ、グッジョブ! ……幼女ちゃん」

幼女 「ふふぇっ……? な、何、おにいちゃん」

男 「家はすぐそこだよね? ……悪いけど、ひとりで帰れるかな?」

幼女 「えっ……?」 ウルッ

男 「…………」 (そりゃあ小学校低学年だもん。こんな状況じゃ無理だよね……) 「ごめん、うそだよ」

男 (風紀委員のモチーフは 『盾』 ……逃げてでも、一般市民を守るべきだよね、白井さん……)




34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 01:57:10.84 ID:829sObV50
男 「ネム! ディズ! 僕は一旦幼女ちゃんを連れてこの場を脱するよ!」

ネム 『男! 私たちはこのままアンチスキルの詰め所まで行ってくるわ!』 ダッ

ディズ 『また無茶したりしたら承知しないからね!』 ヒューッ

男 「幼女ちゃん! ごめん!」 サッ

幼女 「ふぇっ……!? わ、わわっ……!! (お、お姫様抱っこだぁ……)」

ミケタ 『……なんていうか、背のあんまり高くない兄貴がすると、それほど様にはならないですねぇ』

男 「放っといてくれ! ミケタ、走るよ! 幼女ちゃんはしっかり掴まっててね!」 ダッ

幼女 「……//////……う、うん……!」

……ッッッッドオオオン……!!!

不良2 「……………ッッアアアアアアアアアアアッッッ!!!」 ……ッッッッッドォォォン!!!

男 「ッ……!?」 サッ 「……あ、危ねぇぇぇぇええええ……」

男 「あ、危うく、ぶち当たるところだった……」 ゼェゼェ 「よ、幼女ちゃん、大丈夫……?」

幼女 「/////// は、はい……////」

男 「……? ……また不良っぽいヤツが飛んできたのか……一体これは――」

? 「――ふん、不甲斐ない。この程度なら私に文句垂れるなっつーの」




35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 01:58:24.46 ID:829sObV50
男 「……――!!!?」

? 「ん……? あら、あんた……」

男 「ッ…… 『超電磁砲』 ……御坂美琴……ッ!」

御坂 「…………」 ムッ 「……初対面に近い相手に対して呼び捨て、それってちょっとおかしいんじゃない?」 キッ

男 「……!」 キッ 「……それを言うなら、年上相手にその言葉遣い……それもおかしいんじゃないかな?」

御坂 「………………」
バヂバヂバヂ
男 「………………」

幼女 「…………/////」

ミケタ 『幼女ちゃーん? ちょっとは空気読もうねー? それもできないくらいお花畑かなー?』

幼女 「……えへへ……お姫様……わたし、お姫様~……/////」

ミケタ 『ああくそっ、可愛いなぁもう!』




36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 01:59:19.24 ID:829sObV50
男 「………………」

御坂 「………………」

男 「なるほど、ね……さっきの地震まがいの揺れも、」 チラッ

不良×2 「「………………」」 プスプスプスプス……

男 「……この二人も、すべて君の仕業ってわけか」 ジッ

御坂 「……ふん。だったら何かしら?」 ギロッ

男 「だったら何、だって?」 ギリッ

御坂 「言わせてもらうけどね……先に暴力に訴えてきたのはそっち」

御坂 「私は自分に降りかかる火の粉を払っただけ」

御坂 「正当防衛って言葉はご存じかしら? 風紀委員さん?」

男 「なら問おうか? 過剰防衛って言葉を知らないのかな、レベル5さん」

御坂 「………………」 バヂバヂ

男 「……ッ……! そうやって力をちらつかせて楽しいのかい……?」

御坂 「えっ……? (あっ……イラついたら電気が髪から……)」




38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 02:00:51.07 ID:829sObV50
御坂 「だ、大体! 黒子にもいつも言ってるけど、コイツらみたいなのを守りたいんなら、」

御坂 「あんたたち風紀委員が早く来ればいいだけのことじゃない」

御坂 「……そもそもアンタ、現場に居合わせながら、いま逃げようとしてなかった?」 ジロッ

男 「………………」 ギリッ (全然ちがう……白井さんが常々自慢していたひととは、似ても似つかないじゃないか……!)

男 (僕はこんなひとに……こんなひとに、白井さんを奪われたのか……)

男 「……幼女ちゃん、ごめん。ちょっと降りてもらってもいいかな?」

幼女 「……//// ……ふぇっ? あ、うん……」 オリオリ

男 「……まさか、この子に電撃を撃ったりはしないだろうね?」

御坂 「なっ……! あ、アンタは私を何だと思ってるのよ!」

男 (……間違いなく危険人物だろうが) ギリッ

男 「……ごめん、幼女ちゃん。どうやら、悪い人たちを、」 チラッ

男 「あの 『格好良く』 て 『素敵』 なお姉さんがやっつけてくれたみたいなんだ」

幼女 「ふぇっ……? そうなの、おねえさん?」

御坂 「えっ……? ええっ……!?」




40 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 02:02:09.34 ID:829sObV50
男 「だからもう危ないことも怖いこともないよ。……ひとりでお家に帰れるかな?」

幼女 「あ……うん! ミケタと一緒なら、ひとりで帰れるよ!」

男 「幼女ちゃんはすごいなぁ……」 ナデナデ

幼女 「えへへへへへ……/////」

男 「……ミケタ、頼んだよ」

ミケタ 『はい。……何故かは分かりませんがが、あの女からは嫌な感じがピリピリします』

ミケタ 『兄貴……気をつけてくださいね』

男 「ああ……ありがとう」

幼女 「じゃーねっ! おにいちゃん、また今度! ヒーローのおねえさんも、またねー!」 ノシ

男 「うん。またね」 ノシ ギロリ

御坂 「っ……ま、またねー」 ノシ




41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 02:03:21.02 ID:829sObV50
男 「……最初に言っておくよ。たしかに学園都市の規則では、僕は君を拘束することはできない」

男 「今回の場合、悪いのは間違いなく、風紀委員であるにも関わらず問題を放棄して逃げようとした僕だ」

男 「……だけどね、僕が悪いことは悪いだろうけど、君が悪くないとは思えない」

御坂 「………………」

男 「せめて、アンチスキルの誰かに説教してもらうくらいの罪が君にはある。僕はそう考える」

御坂 「――ふん」 ギロッ 「気に入らない不良をのすことがそんなに悪いことなのかしら?」

男 「分からないかな……僕はいい。そう、僕はいいよ?」

御坂 「……?」

男 「けどね……幼女ちゃんは多少なりとも怖がっていたよ……!」

男 「二回目の不良が飛んできた時だって、幼女ちゃんを抱えてた僕にぶつかりそうだった……!」

男 「……あんなに小さな子を巻き込むことも、『そんなに悪いことなのか?』 って訊けるのか……?」

御坂 「………………」

男 「答えろ……! 『超電磁砲』 ……御坂美琴」




43 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 02:04:46.52 ID:829sObV50
御坂 「…………(なるほど、ね)」 フッ 「……あっ、そう」

男 「なっ……! 何が可笑しいんだ!」

御坂 「可笑しくも可笑しくないも……アンタが滑稽すぎてね」

男 「ッ……!!!」

御坂 「分かる? 私は常盤台のレベル5、学園都市第三位、『超電磁砲』 なのよ?」

御坂 「それに比べてアンタは何? 風紀委員? はっ、レベル1で?」

男 「…………!!」 (こんなひとに……こんなヤツに……!!)

御坂 「馬鹿みたい。レベル5に、たかだかレベル1が敵うとでも思ってるわけ?」 クスクス

御坂 「くっだらない……レベル・才能至上主義の学園都市にあって、そんなことができるって思うわけ?」

御坂 「無理よ」 バヂバヂ 「死にたくなかったら、その腕章捨ててさっさと消えなさい」

御坂 (さて……どう出るのかしら?)

男 「………………」

男 「……分かったよ。でも、僕にはアンチスキルへの報告義務がある。四時間後に、近くの河原でいいかい?」

御坂 「…………」 フッ 「……上等。逃げるんじゃないわよ?」




44 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 02:05:57.44 ID:829sObV50
御坂 『アンタが私に勝てたら、アンチスキルの説教でも何でも受けてやるわよ』

男 『……僕が負けたら、どうするんだい?』

御坂 『どうもしないわよ。くっだらない。アンタにそんなに価値があるとでも?』

男 『……そうだね。その通りだよ』

………………

御坂 「ふぅん……黒子が言ってた通りって感じかしら。あとは意志に実力が伴ってるかどうか、か……」 ニヤリ

………………

男 「……とりあえず、アンチスキルが到着するまでの現場保存、だよね」 チラッ

男 「……うわ、本当にひどいな…… 『発火能力』 ってわけでもないのに、壁一面が焦げてる」

男 「レベル5だってんならもう少し上手く、不良だけを撃退しろよな……って、あれ?」

男 「壁の一部分だけ焦げてない……? えっ……!?」

ニャー……




45 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 02:07:00.77 ID:829sObV50
………………

黄泉川 「へぇ……なるほどなるほど……つまり、お前が裏路地に駆けつけたときには、」 チラッ

黄泉川 「すでに何某かの能力者は逃亡していた、と」

男 「はい、その通りです」

黄泉川 「ふむ……そいつには長々と説教を聞かせて、反省文を書かせた後で……」

黄泉川 「手製の賞状と勲章を授与したいくらいなんだがな……残念じゃん」

男 「ええ……本当に……」

黄泉川 「? ……お前からしてみれば特にそうか」

男 「はい……そうですね」

ニャーニャーーー!!

男 (……はぁ。どうやらまた間違っちゃったみたいだ、僕は)

男 「……本当に……情けないな」




46 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 02:08:21.15 ID:829sObV50
四時間後

男 「………………」

御坂 「……あら、怖じ気づかずによく来たわね」 ザッザッ……

男 「………………」

御坂 「実際に相対したら怖くなった? いいんじゃない? 今から逃げれば」 クスクス

男 「………………」

御坂 「……? 何よ? 何とか言ったらどう?」

男 「……ごめん」

御坂 「へっ……?」

男 「ごめんなさい! 御坂美琴さん!」 ペコリ

御坂 「…………はい?」

ニャー……

御坂 「……? って、この子ネコは……!」

男 「……そうだよ。君が助けてくれた子ネコだよ」

男 「『ありがとう』 って……そう言ってるよ。君に会いたいって言うから連れてきたんだ」




47 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 02:10:00.58 ID:829sObV50
御坂 「なっ……なっ……なっ……!!!」 ボボボボン……!!!

男 「……やっぱり、御坂さんは白井さんが言っていた通りのひとみたいだ」

男 「不良たちから、この子ネコを守ってくれたんだね」

ニャー……

男 「……君が喜ばないと思ったからアンチスキルには君のことを話してないけど」

男 「冗談で言ったつもりだったんだけど……ごめん、御坂さんは本当にヒーローだったんだね」

御坂 「そっ、そんなんじゃないわよっ! わ、私は泣く子も黙る 『超電磁砲』 よ!」 バヂバヂ!!

男 「…………」 クスッ 「……照れ隠しがヘタクソだね。白井さんの言ってた通りだ」

御坂 「なっ……!!(あの馬鹿……一体何を話してるのよ!)」

男 「……とにかく、僕の勘違いで、筋違いなことを言ってしまってごめん……本当にごめん」

御坂 「…………べつに……」

御坂 「こっちこそ……煽るために色々と酷いこと言って……ごめん」 プイッ




48 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 02:11:12.88 ID:829sObV50
………………

男 「……っていうか、もう夜も遅いのに呼び出したりしてごめんね」

男 「今さらだけど、こんな時間に、それも人気のない場所に女の子を呼び出すなんて無神経極まりなかった」

御坂 「……ふん、この私をただの 『女の子』 扱いなんて、随分と偉そうじゃない」

男 「まぁ……レベル云々は置いておくとして、御坂さんが中学二年生の女の子だってことに変わりはないからね」

御坂 「……ふーん」 ジロジロ

男 「?」

御坂 「……ねぇ、私と戦うつもりだったんだから、少しは時間あるんでしょ?」

男 「えっ?」

御坂 「少し、私と話してかない? 色々と聞きたいこともあるし」

男 「あ……うん。もちろん、喜んで」 ニコ




49 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 02:13:16.68 ID:829sObV50
男 「とはいえ……座る場所も何もないな。歓楽街に行ったら補導されそうだし……」

御坂 「? べつにここでいいじゃない」 ポフ

男 「………………」

御坂 「……? 何よ、その顔は」

男 「……いや、べつに」 ポフ 「雑草生え息す河原に土手に何の躊躇いもなく座り込むあたり、お嬢様らしくないなと思って」

御坂 「はっはーん」 ニヤリ 「くっだらなーい。お嬢様に幻想抱きすぎじゃない?」

男 「………………」

男 「……ま、返す言葉もないけどね (白井さんも……よく考えたらあんまりそういうの気にしなそうだもんな)」

男 「あ、そうそう……」 ガサゴソ

御坂 「?」

男 「はい、これ」 サッ 「夕方のお詫びの印として、色々と持ってきたんだ」

男 「水筒の中身はカフェオレとミルクティー。それからこの包みはクッキーだよ」

御坂 「…………」 フン 「気が利くじゃない。さすがは風紀委員ね」 ニヤリ

男 「その認識の仕方は風紀委員の尊厳やら何やらを色々と損ねそうだからやめてね?」




50 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 02:15:30.42 ID:829sObV50
男 「………………」 コクコクコク……プハァ

御坂 「…………」 コクリ 「……む、結構美味しいじゃない」

男 「あ、うん。寮の管理人さんに教わったんだ。飲料を水筒に入れて携帯するときの心得」

御坂 「それ如何に」

男 「簡単だよ? 普段の1.3倍くらい甘めに作れって」

御坂 「ふぅん」 ズズズ 「……ぷはぁ」

男 「………………」 (本当に……なんていうか、レベル5って感じがしないよなぁ……)

御坂 「? 何? 私の顔に何か付いてる?」

男 「べつに」 ズズズ 「……ぷはぁ」

御坂 「………………」 (なるほどねぇ……これが、黒子を落とした優男かぁ……)

男 「? なに? あ、もしかしてカフェオレでヒゲ出来てる?」 ゴシゴシ

御坂 「できてないわよ」




51 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 02:20:38.71 ID:829sObV50
男 「ところで、何で制服なの? この時間にその格好は色々と目立つよ」

御坂 「仕方ないじゃない。ウチの学校、外出時は制服の着用を義務づけられてるんだから」

男 「へぇー……あ、そういえば白井さんもいつも制服だなぁ」

御坂 「……ま、本当なら今の時間は寮にいなきゃいけないんだけどね」

男 「えっ……? だ、大丈夫なのそれ!?」

御坂 「ま、いつものことだしねー。黒子に適当に誤魔化しておくように頼んでおいたし、大丈夫でしょ」


寮監 「………………」

白井 「………………」 ガタガタブルブル

寮監 「……白井」

白井 「!!」 ビグゥ!!

寮監 「……御坂はどこだ」

白井 「し、知りませんの――ってち、ちちち違うんですの! 本当に知らないんですのぉぉおおお……!!!!!」 ガクッ

寮監 「……みぃぃぃぃさぁぁぁぁぁかぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああ!!!!」 ドカーン!!!




52 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 02:22:15.93 ID:829sObV50
御坂 「……!!」 ブルブル 「……な、何かしら、この悪寒……」

男 「? 大丈夫? 九月ももう終わりだし、少し冷えるかな」 サッ

御坂 「へっ……?」 ファサッ

男 「ごめん。安物の上着だけど、ないよりはマシかと思って」 ニコッ

御坂 「あ、ありがと……」 (なんか黒子に恨まれそうね、このシチュ)チラッ

御坂 (っても、これで隣にいるのがアイツだったら言うことないんだけどなー) 「はぁ……」

御坂 (――って、何考えてるの私!? アイツだからどうだって言うのよ!!) ブンブンブン

男 「?」

御坂 「………………」 コホン 「……ああ、そうそう……」

男 「?」

御坂 「……この前は本当にごめん」 ペコッ




53 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 02:24:32.02 ID:829sObV50
男 「この前……?」

御坂 「だから、あんたが入院してて、その……黒子と、病室で二人っきりだったときのこと」

御坂 「……せっかく良いところだったのに、乱入したりしてごめんなさい、ってこと」

男 「あ……ああ、あれ、ね……いや、べつにいいよ」 ハハハ…… 「言って恥をかかなかっただけマシだよ……」

御坂 「恥?」

男 「……だってさ、」 ジトッ 「白井さんって、御坂さんのことが好きなんでしょ?」

御坂 「――う゛ぇ?」

男 「だったらどうせ、あのときしっかりと気持ちを伝えていたって……断わられてただけだろうし」

男 「むしろ、あのとき上手い具合に消化不良にしてくれてありがとうって感じだよ」 ……ハァ

御坂 「えっ……ええっ!!?」

男 「? ……何を驚いてるの?」

御坂 「あ、あんたまさか……黒子のこと諦めたんじゃないでしょうね!?」




54 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 02:25:39.60 ID:829sObV50
男 「そ、そうじゃないよ! だって僕は白井さんのことが大好きだもん!」

男 「……って、あっ……。や、ヤバい。……これ恥ずかしい」 カァァァァ……

御坂 「……じゃあ」

男 「……うん。諦めないよ。だから御坂さん。君を超えて、白井さんを僕に振り向かせようと思ったんだけど、」

男 「でも、それも無理な気がしてきたよ。まさか子ネコ助けるためにあんな事件を起こすなんてさ」

男 「……僕が超える余地がないじゃん。もうさ、完敗って感じだよね」 ハァ

男 「そりゃ白井さんも好きになるよ。僕から見ても、御坂さんって魅力的だもん。諦めたくもなる」

御坂 「で、でもっ……黒子だってあんたのこと――ってわぁ!!」 モガッ

男 「? どうしたの? 自分の手で自分の口を塞いじゃって」

御坂 「……な、何でもないわよ」

御坂 (……さすがに、私から伝えちゃまずいわよね。こういうのは本人たちの問題だもん)

御坂 (ああもうっ! もどかしいったらないわね! 好きなくせにウダウダしちゃって!)




55 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 02:27:56.62 ID:829sObV50
男 「ってういか、その……」

御坂 「? 何よ」

男 「いや……あのさ、ぶっちゃけ、御坂さんはどうなの?」

御坂 「……? はっきりしないわね。何が言いたいのよ」

男 「……だから、御坂さんも白井さんのことが好きなの?」

御坂 「ぶっ!? ……い、いきなり何を言い出すのよアンタは!!」

男 「えっ? だ、だって――」

御坂 「私にはそんな趣味はないっつーの! あれは黒子が勝手に言ってるだけ!」

男 「あ……そうなんだ」 ホッ

男 「良かった……。つまり、白井さんを振り向かせれば何とかなるってことだね」




56 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 02:29:13.62 ID:829sObV50
男 「……そう。もう、決めたから」

御坂 「……?」

男 「僕の、たぶん初恋の人、だからさ。白井さんは、本当に大切なひとで、大好きなひとだから、」

男 「……たとえこの気持ちが届かなくとも、実らなくとも、それでも構わないよ」

男 「僕はまだ、白井さんを諦めない。やっぱり、諦めたくないんだ」

御坂 「………………」 (純粋な目つきしちゃってまぁ……)

御坂 (こういうトコロ、なのかしらねー。あの黒子を落としせしめたコイツの魅力っていうのは)

男 「……だから、御坂さん。僕はいつか、君から白井さんを奪い取るから」

男 「覚悟、しておいてね」 ニッ

御坂 (正直、さっさと引き受けてもらいたいトコなんだけど……)

御坂 「……あらそう? 楽しみにしてるわ。けど、黒子は私の大切な後輩なの。そう簡単に任せるわけにはいかないわね」

御坂 「時々無茶をするあの子を守れるくらいには、頼もしくなってもらわなきゃ」 ニッ

男 「ん、もちろん努力するよ」 ニコ




58 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 02:31:02.75 ID:829sObV50
男 「……とはいえ、僕の能力は、たとえレベルが上がったとしても強くなるような代物じゃないしなぁ」

御坂 「言ってるそばから弱気って……あんた、本当に黒子が言ってるとおりの奴ね」

男 「……普段白井さんが僕のことをどんな風に言ってるのか、怖いけど聞いてみたいな」

御坂 「普段はとことん頼りなくて、どうしようもなく惰弱な独り言野郎」

男 「………………」 ハァ 「ですよねー」

御坂 (……けど、いざとなったらとてつもなく頼りになる、優しくて勇敢な、わたくしの最愛の人、)

御坂 (こいつには悪いけど、そこは黙っておくべきよね)

御坂 「そうしょげないの。能力なんてなくったって、本当に強い奴は強いもんよ?」

御坂 「能力=チカラ、ってわけじゃないんだから」

男 「……まぁ、それはもちろん分かってるよ?」

男 「僕の知り合いなんて、レベル0のくせにしょっちゅう面倒事に首突っ込んで、病院送りにされてるんだから」

御坂 (……どっかで聞いたような話ね)

男 「とはいっても、僕は能力抜きにしても白井さんに勝てないんですけどねー」 ハハハ……




60 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 02:32:20.61 ID:829sObV50
男 「最近は風紀委員の訓練に精を出すようにしてるけど、いかんせん僕は身体が小さいし細いし」

御坂 「………………」 イラッ

男 「白井さんみたいに器用でもないしね」

御坂 「………………」 イライラ

男 「はは……考えれば考えるほど、僕は風紀委員向きの人間じゃないみたいだ」

御坂 「………………」 ブヂッ!!!

ガッ ポイポイポイッ バリバリ ムシャムシャ …… ゴッックン
グビグビグビグビ …… ドン! プハァ

男 「……?」

ガシッ

男 「ひっ……!!」

御坂 「クッキーとホットドリンク、ありがとう。美味しかったわ」 ギラギラ

男 「そっ、それは、どういたしまして……」

御坂 「お礼と言ってはなんだけど……その惰弱な根性、今から徹底的に強制してあげる」 バヂバヂ




61 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 02:33:16.18 ID:829sObV50
………………

男 「………………」 ボロボロ 「……うぅ……」

御坂 「………………」

御坂 (レベル2程度に抑えたつもりだったんだけど……)

御坂 (なにコイツ本当に弱い……)

御坂 「だ、大丈夫……?」

男 「……大丈夫なように見える?」

御坂 「……だ、だって、まさかアンタがこんなに弱いとは思わなかったから、」

男 「君は僕の心にまでダメージを与えたいのかい?」

御坂 「あーもうっ! だからごめんって言ってるでしょ!」

男 「逆ギレかよ! っていうか言ってないよね!?」

御坂 「あーはいはいごめんごめん」

男 「誠意がまるで感じられない!?」




62 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 02:35:48.07 ID:829sObV50
男 「……ったくもう」 ヒョコッ

男 「問答無用で電撃って……ちょっとハードすぎないかな」

御坂 「だから、ごめんってば。つい、アイツと同じ要領でやっちゃったのよ。つっても出力はダンチだけど」

男 「アイツ? アイツって、白井さんのこと?」

御坂 「え……? あ、いや、黒子っていうか……まぁ、黒子にもそうだけど……」

男 「……?」 (何だろ。こんなに歯切れが悪いって……)

御坂 「はぁ……アイツ相手なら、出力MAXの電撃撃っても大丈夫なのにな」

御坂 「ちょっと欲求不満だわー。暴れたいー」 (またあの変な兵隊でも現れないかなぁ)

御坂 (そうしたら全員もれなくぶっ飛ばしてやれるのに……)

男 「………………」

男 「……その微妙に危険な発言は風紀委員としては看過しがたいんだけどなぁ」




63 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 02:37:29.86 ID:829sObV50
………………翌日

男 「……ふぁあ……。眠い……」

男 「昨日はついつい話し込んじゃって……全然寝てないからなぁ……」

ヒュン! トン!

男 「脳天に激痛!?」 ガバッ

小萌 「男ちゃーん? 風紀委員に入ってから段々と不良化が始まりつつある男ちゃーん?」 ニコニコ

男 「つ、月詠先生、ってことは……やっぱりチョークか!」

小萌 「先生の授業中に堂々と机に突っ伏すとは良い度胸ですねー」 ゴゴゴゴゴゴ……

男 「そんな……僕の席は先生の上背では死角になる位置のはずなのに……!!」

小萌 「裏切り者さんの密告がありましたものでー」 ニコニコ

青髪 「ちなみに密告者は青髪ピアスことボクとー、」 グッ

土御門 「グラサンがクールな土御門元春だぜぃ」 グッ




66 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 03:04:28.61 ID:829sObV50
男 「あっ……こ、この裏切り者共!」 ヒュン! トン! 「だからチョークが痛い!!」

小萌 「ふふふのふー? 誰が立ち上がっていいと言いました? 男ちゃーん?」

男 (くそっ……こうなったら……!!)

男 「っていうか先生! あの二人さっきの休み時間にえっちな本を交換してました!」

男 「アイツらこそ取り締まるべきかと思います!」

青&土 「「なッ……!!!?」」

小萌 「へぇぇ……?」 スッ 「それはそれは、とても興味深いお話なのですよー」

男 「それから上条当麻については、夜な夜な不純異性交遊をしているというウワサもあります!」

上条 「ぶッ……!! お、おい男! 根も葉もないこと言ってんじゃねぇ! ってか俺を巻き込むな!」

小萌 「ほうほう……」 バキッ 「……おやおや、指し棒が折れてしまったのですよー」

小萌 「……青髪ちゃーん? 土御門ちゃーん? それから、」 バギッ 「上条ちゃーん?」

小萌 「先生、あとでたくさん聞きたいことがありますのでー、次の休み時間に職員室に来てくださいですー」

上条 「な……なぜ俺まで。不幸だ……」




67 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 03:06:37.43 ID:829sObV50
男 「………………」 (ほっ……これで何とか――)

小萌 「それから男ちゃーん?」

男 「は、はひっ!?」

小萌 「友達を売ったくらいで帳消しになったと思うなよ甘ったれー、ですぅ」 ニコッ

小萌 「三バカ全員を連れて次の休み時間に職員室に来なさいですー」

小萌 「ひとりでも逃したら承知しませんのでよろしくです」

男 「り、了解、しました……」 ジッ (風紀委員の腕章にかけて、絶対に逃がさないからな三バカども……!) ギラギラ

青髪 「………………」 (望むところや。かかってきぃ、男やん)

土御門 「………………」 (ふん、俺をそう簡単に捕まえられると思わん方がいいんだにゃー)

上条 「………………」 (………………)

上条 「……いや、そもそも俺、本当に何の関係もないだろ。不幸だー……」


吹寄 「……授業妨害しやがって……あの四バカども後で折檻ね……」 ビキビキ




68 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 03:08:12.36 ID:829sObV50
………………昼休み

上条 「……はぁ。さっきは酷い目に遭った。まさか先生に散々いびられた後に吹寄のデコアタックがあるとは……」

土御門 「まったくなんだぜぃ。至高の妹モノは奪われちまったしにゃー」

青髪 「ああ……ボクのおっぱい本……」

男 「まったく……君たちに関わるとろくなことがないよ」

上条 「お前が言うなよ?」

男 「不幸の源みたいな奴が何を……ふぁぁ」

青髪 「……? どうかしたん、男やん? ホンマに眠そうやん」

男 「いやまぁ……ちょっとね。昨日の夜は出かけてて」

土&青 「「……ほほぅ?」」

男 「……何? そのいやらしさ全開の顔は」




69 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 03:09:12.98 ID:829sObV50
土御門 「昨夜は一体どちらへお出かけで?」

男 「べつにどこへってわけじゃないよ。人と会う約束をしてただけ」

青髪 「女か!? 女なのか男やん!」

男 「………………」 フン 「……なるほどね?」 ニヤッ

男 「そ。女の子。それもとびきり可愛らしいJC」

青髪 「なっ……!? JCですと!?」 ムッハー

土御門 「このリア充野郎! 夜中にJCと会って何をやってやがったんだにゃー!!」

男 「えー? そんなヤボなこと聞くなよー」 ニヤニヤ

男 「常盤台のお嬢様に迷惑がかかるから、詳しくは言えないよー」

青髪 「しかも常盤台のお嬢様ですと!?」

男 (はっはっは……浮いた話なんて皆無だけど、せいぜい羨ましがらせてやる……!)

男 (実態がただボコられただけって分、話してて空虚な気分になってくるけど我慢!)




70 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 03:11:05.72 ID:829sObV50
青髪 「……ち、ちょい待ち! 男やん……マジ?」

男 「うん。嘘は何一つついてないよ?」

土御門 「こ、このヤロウ……風紀委員でありながら、常盤台のお嬢様に手を出しやがったのか……」

男 「おやおやー。土御門くん、それはひがみかな?」

青髪 「ち、ちなみに……どんなことを?」

男 「詳しくは言えないけど、そうだね……それはもう、熱かったよ」 (電気的に)

青髪 「なっ……!? それは、どういう――」

男 「僕に言えるのは……とにかく激しかったっていうことかな」 (電気的に)

土御門 「このヤロウ……ひとりだけJCを喰えるようなリア充になりやがったにゃー……」

男 「いやぁ……常盤台の女の子は可愛いよ?」 (電気的に)




71 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 03:13:10.65 ID:829sObV50
上条 「……ふーん、常盤台ねぇ。ビリビリ……なんつったけ、アイツを思い出すな」

男 「ビリビリ?」

上条 「えーっと……ああ、そうだそうだ。ビリビリ中学生、御坂美琴」

男 「えっ? 上条くん御坂さんを知ってるの?」

上条 「……えっ?」

青髪 「えっ?」

土御門 「えっ?」

男 「えっ?」

………………

男 「しまった!」

上条 「……おまえ実はバカだろ」




74 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 03:15:26.90 ID:829sObV50
………………

青髪 「……ふんふん。なるほど。つまり、男やんと御坂美琴嬢とは別になんでもないと」

土御門 「ただ俺たちを羨ましがらせたかったから紛らわしい言葉を使ったと」

男 「……はい。全面的にその通りでございます」

ニタリ

青髪 「何やぁ。やっぱり男やんは惰弱で脆弱で弱小で短小な奴やったんやなぁ」 バシバシ!!

土御門 「安心したんだぜぃ。男は男友達に見栄張っちゃうような短小野郎だったんだにゃー」 バンバン!!

男 「う、うるさいな! っていうか短小短小って連呼するなよ! 僕のは人並みより――って何を言わせるんだよ!」

上条 「男ー? どうでもいいけど、さっきから自爆しまくってるぞー?」

男 「うるさい不幸男! っていうか何で上条くんが御坂さんを知ってるんだよ!」

青髪 「何を今さらなことを言ってるん、男やん。カミジョー属性に死角なし、やん」

土御門 「カミやんは相手が幼稚園児だろうとお婆ちゃんだろうとお構いなしにフラグを構築するからにゃー」

上条 「お前らうるさい黙れ」




75 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 03:16:33.30 ID:829sObV50
上条 「……ま、色々あったんでな。アイツには何度か世話になったよ」

男 (んまっ、聞きました奥さん方。色々、ですって、色々。本当にイヤらしいったらないわ)

青髪 (まったく……世話になったって、一体どんなお世話をしてもらったのやら……)

土御門 (上条さん家の当麻君には本当に困ったものですにゃー)

上条 「……お前らなぁ……」

上条 「つーか男、結局御坂とは何をしてたのよ」

男 「……言っちゃっていいのかな。ま、いっか」

男 「彼女にお礼が言いたいって言うネコを連れて行ったってだけだよ」

男 「御坂さんって、本当に優しい女の子だね」

上条 「はぁ!? あのビリビリが優しいだぁ? お前、一度眼科に行った方がいいぞ」

上条 「人の顔を見れば電撃ぶっ放したり砂鉄の剣振り回したりレールガン撃ったりするような奴だぞ、あれは」

男 「………………」

男 「……言われてみれば、僕も昨日は散々ビリビリやられたなぁ」




76 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 03:17:40.48 ID:829sObV50
青髪 「……さっきからこの二人、サラリサラリととんでもないことを話してる気がするやけど、そこんとこどうなん?」

土御門 「学園都市第三位をアイツとか優しい女の子呼ばわりできるのなんて、この二人くらいのモンなんじゃねーの」

男 「……っていうか聞き流しちゃったけどレールガン!?」

男 「よく無事だったね上条くん……」

上条 「んあ……ああ、まぁな。運良く右手に当たったからな……」

上条 「……いま考えると、俺って結構綱渡りな人生歩んでるよな……」

土御門 「………………」 (何を今さらなことを言ってるんだかにゃー、この男は)

男 「……ん? じゃあ、御坂さんのレールガンを、上条くんの右手で打ち消せたってこと?」

上条 「? そうだけど、それがどうかしたか?」

男 「………………」

男 (……白井さんがいつだったか言ってたけど、御坂さんのレールガンはゲーセンのコインを飛ばしてるんだよな)

男 (撃ち出すプロセスはともかくとして、異能の力で加速させて撃ったコイン自体は、すでに物理現象……)

男 (それが上条くんの右手で防げる……? それってどういうことなんだろ?)

上条 「男ー? どうかしたかー?」

男 「あ、いや、何でもないよ。ごめんごめん」 (ま、どうでもいいか)




77 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 03:19:11.00 ID:829sObV50
………………

御坂 『それじゃ、私そろそろ帰るわ。いい加減帰らないと、寮監にもバレそうだし』

御坂 『じゃね』

男 『あっ……御坂さん、一つだけ聞きたいことがあるんだ』

御坂 『……? 何よ』

男 『……たとえば……たとえばの話だけど』

男 『もし、何かがあって、戦わなきゃいけないときがあって……』

男 『そんな時に、一番大事なことって、一体なんだと思う?』

御坂 『? 何よそれ。謎かけみたいなもん?』

男 『……知りたいんだ。御坂さんみたいな強い人が、何に重きを置いて戦っているのか』 ジッ

御坂 『………………』 フッ 『……そうねぇ、よく分からないけど、一つ言えることは……』

御坂 『……諦めないこと、かな』

男 『……諦めないこと?』




79 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 03:48:23.49 ID:PyiXh4ja0
御坂 『そ。戦う理由はもちろんのこと、自分の保身――命もね』

御坂 『……私は、あの時、諦めそうだったから』

御坂 『けど、アイツが支えてくれたから……諦めないでくれたから』

御坂 『……だから、私は今もここでこうして笑っていられる』

御坂 『だから私は諦めない。それが一番大事なことだって、私は思う』

男 『………………』

男 『……うん。ありがとう、御坂さん。参考になったよ』

御坂 『そう? それなら何よりよ』 フッ

御坂 『なんか、アンタとは良い友達になれそうな気がする』

御坂 『また弱気になったりしたら私に喧嘩でも売ってきなさい』

御坂 『何度でも喝を入れてあげるから』 バヂバヂ……!!

男 『……そ、それは遠慮したいな』

御坂 『ふふ、冗談よ』




80 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 03:50:00.11 ID:PyiXh4ja0
………………

男 (強い人のことを知れば、僕も強くなれるなんて思ってるわけじゃないけど……)

男 (………………) チラッ

上条 「あん?」

男 (……この万年入院野郎なら、なんて答えるだろう)

男 「……ねぇ、上条くん」

上条 「なんだ?」

男 「たとえばの話だけど……上条くんが戦わなきゃならなくなったとき、」

上条 「はぁ……?」

男 「上条くんが一番大事にしてることって、何?」

上条 「……? 今イチ質問の意味を計りかねるんだが……」

男 「いいから答えて」




81 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 03:51:30.18 ID:PyiXh4ja0
青髪 「何やぁ、男やん。心理テストか何か?」

男 「………………」

青髪 「ボクはフツーに無視ですかー……」

上条 「……そうだな……よく分からんが……」

上条 「……本当に戦う必要があるかどうか、考えること、かな」

男 「……? それはどういう意味?」

上条 「何も戦うって決めつけてかかる必要もないだろ? 逃げるのだって重要だぜ?」

上条 「ってーか、こっちがあんまりにも不利だったら上条さんは躊躇わず逃げ出しますよ」

土御門 (……どの口がそれを言ってるんだかにゃー)

男 「……でも、絶対に引き下がれない理由がある時には?」

上条 「そん時には」 ニッ 「仕方ないから拳を握る。それだけのことだよ」

上条 「最初から戦うなんて身構えてたら嫌になる。逃げて体勢を立て直して反撃……ってのもアリだしな」




83 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 03:53:16.10 ID:PyiXh4ja0
男 「ふむ……うん、ありがと。参考になったよ」

上条 「そうか? ま、ならいいけど」 チラッ 「というか、そういうことは俺に聞くよりコイツの方が良いと思うぜ?」

土御門 「? 俺か?」

男 「そうなの? ……まぁいいや。じゃあ土御門くんも教えて」

土御門 「ふむ……これはなかなか面白い質問なんだぜぃ」

土御門 「そうだにゃー……俺が言えるとしたら、戦いにルールはない、ってことかにゃー」

男 「ルールがない?」

土御門 「そうなんだぜぃ。お高くとまった格闘技の試合ってわけじゃないんだから、ルールなんて無用だろ?」

土御門 「いざ戦うとなったら、既存の概念はすべて頭から除いて、どうやったら勝利できるかのみを考えることだにゃー」

土御門 「それが一番大事なことだと、俺は思うぜぃ」

男 「……うーん。何となく分かったけど、いまいちピンと来ないなぁ」




84 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 03:55:24.05 ID:PyiXh4ja0
土御門 「――ふむ。なら、良い例を見せてやるんだぜぃ」

土御門 「男、俺は今から軽くお前の頬を叩く」 スッ

男 「えっ……!」

土御門 「安心するんだにゃー。触る程度だから。お前はそれを全力で避けてみろ」

男 「う、うん」

土御門 「……じゃあ、行くぞ?」 スッ

男 (……? 土御門くんの右手がゆっくりと僕の頬に向かってくる……ッ!?) ブゥン (急にスピードが……!!)

サッ

男 (何とか避け――) ペチン (――へっ?)

土御門 「はい、終わりだにゃー」




85 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 03:57:07.78 ID:PyiXh4ja0
男 「なっ……右手だけじゃないのかよ! 左手使うって卑怯じゃないか!」

男 「っていうか、今のは右手を避けた後で、動けなかったから……」

土御門 「そう。それなんだにゃー」

土御門 「男は、俺が頬を叩くと宣言した時に差し出した右手だけが使われるものだと勝手に解釈した」

土御門 「それが、勝手にルールを作ってるってことなんだよ。油断大敵ってことだにゃー」

男 「うっ……」

土御門 「それからもう一つ。右手を避けたのはそれなりの反射神経だと褒めておくが、避け方がいけない」

土御門 「避けた後、すぐに次のモーションに移れるような避け方をしないと、相手の次の攻撃に対して無防備になるんだぜぃ」

土御門 「武道で言う “居つき” ってヤツだにゃー。避けた後だったから動けなかった、なんてことは実戦じゃ通用しないぜぃ」

男 「……悔しいけど、その通りな気がする。参考にさせてもらうよ」

男 「……ふん、土御門くんの卑怯者」 ボソッ

土御門 「ははっ……ま、それが俺の生き方だからにゃー」 バシバシ




86 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 03:59:00.32 ID:PyiXh4ja0
吹寄 「………………」 テカーーーッ!!

吹寄 「連中は一体何を話してるのよ……」

姫神 「……男の子らしい。お話」

吹寄 「戦うだの何だの、物騒な話ね。戦争が始まるかもしれないってのに、不謹慎よ」

姫神 「………………」

姫神 「……そう。けど。あの人にとって。それは不謹慎な話でもなんでもない」

姫神 「きっと。そう。それは。とてもリアルな話」

吹寄 「……? 姫神?」

姫神 「何でもない。……そんなことより吹寄。またパンばかり。栄養が偏る」

吹寄 「……あんたは相変わらず豪華すぎない? その重箱、まるで誰かに食べてもらいたいみたい」

姫神 「!? べ。べつに。わたしは。そんなつもりじゃ。ない……!」

吹寄 「……? 何を焦ってるのよ」

姫神 「………………」 フゥ 「……なるほど。吹寄は見た目通り。結構ニブチン。と」




87 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 04:00:53.68 ID:PyiXh4ja0
………………放課後

男 「……はぁ。今日は風紀委員のオンですよー、と」

男 「憂鬱だー。今日もまた、どうせ……うぅ……」 トボトボ

男「クラスのみんなは鍋かぁー……いいなぁ。僕も行きたかったよぅ……」

男 「……いや、風紀委員の仕事を早く終わらせれば、なんとか合流できるかも……!」

男 「頑張ろう!」 グッ

? 「お? よー、ネコ新人じゃん」

男 「……この脳天気極まる声は……どうも、黄泉川先生、昨日振りです」

黄泉川 「おぅおぅ、どうしたんだ? すっげぇ暗い顔してんじゃん」




88 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 04:02:40.38 ID:PyiXh4ja0
男 (……っていうか、この人は何でこんなに元気そうなんだろ)

男 「べつに、大したことじゃありませんけど……」

男 「……そうだ。黄泉川先生にも聞いておこうかな」

黄泉川 「? 何じゃん?」

男 「……黄泉川先生はアンチスキルとして戦うとき、何か大事にしていることってありますか?」

黄泉川 「……? それは信条とかってことか?」

男 「そんな感じです」

黄泉川 「ん~……なかなか面白い質問をするじゃん、ネコ新人」

黄泉川 「本当ならアンチスキル憲章を全部あげたいところだが……」

男 「やめてください」




89 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 04:04:05.89 ID:PyiXh4ja0
黄泉川 「冗談じゃん。本気にするなよ」 ゲラゲラ

黄泉川 「……戦いで大事なこと……それを聞いて、お前は自分自身の参考にするんじゃん?」

男 「ええ、まぁ……そうですけど」

黄泉川 「じゃあ、子どもには武器を向けない、ってのはダメだな。あまりお前の参考にはならないだろう」

黄泉川 「なら……そうだな、小言みたいになるかもしれないが、これを言っておこうか」

黄泉川 「仲間を信じて、場合によっては頼ることだ」

男 「仲間を信じる……頼る……?」

黄泉川 「お前に当てはめるならっ」 ゴツン 「……もう少し大人を頼りにしろ、って意味も入るからな?」 ギロリ

男 「痛い……うぅ……」




90 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 04:05:31.90 ID:PyiXh4ja0
黄泉川 「それだけじゃないぞ。お前はあの事件のとき、誰かに迷惑をかけたくないとかぬかしたらしいが、」

黄泉川 「その考え方自体がすでにお前の傲慢だと気づけ」

黄泉川 「お前の仲間たちは、お前に守られるほどヤワじゃないだろう」

黄泉川 「お前の意志でお前の仲間を置いてけぼりにするというのは、お前のエゴだ」

男 「………………」

黄泉川 (……いつだったか、ヘンテコな泥人形が暴れたとき、)

黄泉川 (どっかのツンツン頭はしっかりと大人を頼りにしてくれたしな)

黄泉川 「……この前醜態をさらしてしまった我々に言えたことではないかもしれないがな、」 フッ

黄泉川 「せめて風紀委員の同僚くらいは信じてやれよ、ネコ新人」

男 「………………」 フッ 「……はい、ご指導ありがとうございます。黄泉川愛穂先生」

黄泉川 「へぇ……なかなか良い面構えになってきたじゃん」 ニッ




91 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 04:07:30.69 ID:PyiXh4ja0
………………177支部への途上

男 「……ノリでやってるけど、このアンケート、意味あるのかな」 トコトコ……

男 「諦めない……戦うと決めつけない……ルールはない……仲間を信じる……」

男 「何だこのバラバラさ加減……」 フゥ 「……ま、話を聞いたくらいで強くはなれないってのは分かってるけどさ……」

?? 『戦いは! 気合い! と! 根性! ド根性!!!』

男 「……!! な、何だ!?」

?? 『食らえ! すごいパーンチ』

ドッパーン

?? 『ヒフルチッ!?』

?? 『すごいパーンチ』

ドッパーン

?? 『ヒフルチッ!?』

男 「????」





92 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 04:09:11.14 ID:PyiXh4ja0
男 「……? 今の脳天気そうな熱い声……小学生がごっこ遊びでもしてるのかな?」

男 「にしてもすごいパンチって……ネーミングセンスが壊滅的みたいだな……」

男 「まぁいいや。さっさと行かないと、固法先輩に怒られる」 スタスタ

男 「………………」

男 「戦いは、気合いと根性、か……覚えておこう」


?? 『すごいパーンチ』

ドッパーン

?? 『ヒフルチッ!?』




94 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 04:10:56.21 ID:PyiXh4ja0
………………177支部

男「……――はぁ、入りますか」

ガチャッ

男「こんにちはー……?」

白井「ふぇっ!?」 ビグゥ!!「お、男さん……。ご、ごきげんよう、ですの」

男「ど……どうも、白井さん」 (ま、まさか目の前にいるとは……)

初春「あ、男さん。こんにちは」

男「初春さんも、こんにちは」

白井「………………」

男「………………」

男 (き、気まずい……)

白井「……ほ、ほら、初春! 早くパトロールに行きますわよ!」

白井「そ、それでは男さん、また……!」 ダッ




95 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 04:12:33.08 ID:PyiXh4ja0
初春「あっ、ちょっ、白井さーん」 チラッ「……まったく、早く来なかった男さんのせいですよ?」

男「えっ……?」

初春「せっかく私がパトロールに行くのを先延ばしにしてあげてたのに……」

初春「これでまた白井さんと話し合う機会を逸しましたね」

男「……うぅ」

初春「もう知りません……あっ、白井さん、待ってくださいってばー……」 タタタタッ

男「……うぅ……」

男「好きな女の子に避けられるって、結構効くよなぁ……」 ハァ

男 「最近はこんなことばかりで、全然白井さんと話せていない僕なのです……」

固法「………………」 ハァ「青春してるわねー」




96 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 04:13:57.15 ID:PyiXh4ja0
固法 「はい、これが今日の男くんのお仕事。事務処理の仕方はもう知ってるわね?」

男 「はいー。大丈夫ですー」 ボーッ 「やれますのでご安心をー」

固法 「……はぁ。これは重症ね」 フゥ 「さっさとくっついちゃえばいいのに……」

ガチャッ

? 「どうもー! こーんにーちはー!」

固法 「? あら、佐天さん……ここは溜まり場じゃないってのに……」

佐天 「えへへー、だってここに来れば初春も白井さんもいるんですもん」 テヘッ

佐天 「……?」 キョロキョロ 「あれ? 二人はいないんですか?」

固法 「お生憎様だったわね。今まさに二人でパトロールに出かけたわよ」

佐天 「そ、そんなぁ……せっかく宿題を見せてもらおうと思ったのに……」

固法 「宿題は自分でやりなさい」




97 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 04:15:37.93 ID:PyiXh4ja0
佐天 「はははー……も、もちろん冗談ですよー」

佐天 「初春にちょーっと教えてもらおうと思ってただけで……ん?」 チラッ

男 「………………」 ドヨーン 「……はぁ…………」

佐天 「? あ、あの真っ暗なオーラが漏れだしてる人、例のネコとアヒルの男さん、ですよね?」

固法 「そうだけど?」

佐天 「……どうしたんですか?」

固法 「知らないわよ。白井さんが構ってくれなくて凹んでるだけでしょ」

佐天 「へぇ……」 (っていうか、あの状況からまだ進展してないって……どんだけー)

佐天 「……!! そういえば、男さんって高校生でしたよね?」

固法 「? そうだけど」

佐天 「えへへ……なら、中学一年生の宿題くらい簡単ですよねー♪」 ルンルン

固法 「……あなたねぇ……」




99 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 04:41:36.18 ID:rLdkKdfO0
この前のSS見て以来CM見るたびに思い出してた




100 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 05:03:03.33 ID:PyiXh4ja0
佐天 「男っ、さん!」

男 「………………」 ブツブツ 「はぁ……そうだよ、そもそも病院なんかであんなことを……」 ブツブツ

佐天 「……聞こえてない。っていうか、なにこのひとかなりキモイ」

佐天 「けれど一度無視されたくらいで諦める涙子さんではないのです」 エッヘン

佐天 「男さーん」 トントン 「男さーん」 バンバン

男 「……?」 クルッ 「……? ああ、えーと……」

佐天 「佐天です。佐天涙子。初春と白井さんの友達の」

男 「……ああ、そうでした。これは失礼しました、佐天さん」 ニコッ

固法 (一応、中学一年生女子に対して体裁を保つことくらいはするのね)

男 「どうかされました? 初春さんと白井さんならパトロールですよ?」

佐天 「そうなんですよー。宿題、初春たちに教えてもらおうと思ってたのに……」

佐天 「ってことで、男さん、二人のかわりに宿題手伝ってもらえません?」 ニカッ




102 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 05:06:57.31 ID:PyiXh4ja0
………………

男 「……ああ、そこは単純なミスじゃないですか? ほら、ここでマイナスが何故か消えてます」

佐天 「ああ! なるほど」 ポン 「……じゃあ、これで……いいんですね」

男 「それからそこは、多分、カッコが無視されてます。プラスを先に計算してください」

佐天 「ふむふむ……了解です」 キュッキュッ

………………

佐天 「やたーっ! 宿題おーわりーっと!」

佐天 「男さん、ありがとうございました!」

男 「いえいえ。お役に立てたのなら嬉しいですよ」

固法 「――まったく。恐いモノなしね、佐天さんは」 スッ

固法 「お疲れ様。私も仕事が一段落したし、お茶にしましょう」




103 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 05:08:07.06 ID:PyiXh4ja0
佐天 「やたっ。さすが固法先輩! ありがとうございます」

固法 「このどこか憎めない感じがねぇ……」

男 「固法さん、恐縮です。頂きます」

固法 「こっちはこっちで、意外と楽天家だし……」

佐天 「それにしても、男さんって結構頭いいんですねー」

男 「いや……中学生に解ける問題を解けない高校一年生って滅多にいないと思う」


上条 「――ックション!!!」

インデックス 「とうま! クシャミなんかする暇があったら早く肉を投入するんだよ!」

上条 「うるせぇインデックス! テメェも少しは菜箸持ちやがれ!」


佐天 「でも、教え方が上手でしたよ。分かりやすかったですもん」

男 「えっ? 本当? ……時々青髪くんたちに教えてるせいかな」 テレテレ

固法 「真に受けない方がいいわよー? この子、調子良いこと言って、また男くんに教えてもらう算段だから」

佐天 「や、やだなぁ固法先輩。そんなことないですよー」 アセアセ




104 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 05:10:42.29 ID:PyiXh4ja0
固法 「でも、男くんは事務処理がかなり早いってところはたしかよね」

固法 「初春さんの情報処理能力ほどではないけど、かなり役立ってるわよ」

佐天 「えーっ、本当ですかーっ。男さん、すごーい!」

男 「そ、そんなことは……」 テレテレ 「えへへ……」

男 (可愛い年下の女の子と、お姉さんタイプの女性……)

男 (それに囲まれてる僕って……もしかしなくともリア充!)

男 (へへへ……どうだ青髪くん! 土御門くん! そして上条当麻!)

男 (思い知れ! これが僕の実力だ!!!)


固法 (……ここで褒めておけば、もっと沢山仕事をやってくれるかもだし、)

佐天 (本当に面白いくらい単純なひとだなぁ)




105 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 05:13:08.42 ID:PyiXh4ja0
………………177支部前

白井 「な、なななななな、何ですのアレはーーーーっ!」

白井 「何で……何で男さんが……あんな風に、モテモテな感じなんですのー!!」 ワナワナ

初春 「うわぁ……確かにあれは、一見してモテモテな感じですけど……」

初春 (実際は佐天さんと固法先輩に遊ばれてるだけですよねぇ……)

白井 「た、たしかに男さんは素敵で格好良くて勇敢で……」 ポッ 「とても素晴らしい殿方でいらっしゃいますが、」

白井 「なぜ固法先輩と佐天さんがあんなに急接近してますの!?」

白井 「最初に男さんの魅力に気づいたのはわたくしだというのに!」 キィィィィッ

初春 「………………」 ハァ 「そんなこと言ったって、白井さん、自分から男さんのこと避けてるじゃないですか」

白井 「うっ……」

初春 (ここは、お二人のためにも、少しくらい危機感を煽るべきでしょうか)

初春 「男さんは色々と情けない方ですが……魅力的でないこともありません」

初春 「……あんまり意地悪してると、冗談でもなんでもなく、誰かに取られちゃいますよ?」




106 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 05:15:20.93 ID:PyiXh4ja0
白井 「い、意地悪って……そんなつもりは……」

初春 「今日だって、男さんのこと思いきり避けてたじゃないですか」

白井 「だ……だって……」 モジモジ 「は、恥ずかしいんですもの」

初春 「……!」 (か、可愛い……これが常盤台のツインテお嬢様の真髄……!)

白井 「……あの時の、病院での言葉……きっと、告白……でしたのよね」

白井 「それを考えると……恥ずかしくて……」

初春 「………………」 ハァ 「そこまで分かってるなら、男さんにガツンと言ってしまえばいいじゃないですか」

白井 「ガツンと……?」

初春 「さっさともう一回告白しろゴラァー……と」

白井 「ぶっ……! そんなこと言えるはずないでしょう!」

初春 「たしかに……なら、もういっそのこと白井さんから言ってしまえばいいじゃないですか」

初春 「男さんのことが好きです、って」 ニコッ

白井 「………………」 カァッ 「そ、そんなこと……言えませんわっ……」 ボン!!




107 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 05:16:04.55 ID:PyiXh4ja0
初春 「はぁ……これなら進歩なしも納得できますね」

初春 「男さんも白井さんも奥手すぎます」

初春 (やっぱりあの時、無理をしてでも佐天さんを引き留めておくんだったなぁ)

初春 「……で、どうするんです?」

白井 「えっ……どうする、とは?」

初春 「だから、男さんとのことですよ。このままじゃ風紀委員の仕事にも響きますよ」

初春 「白井さんと男さんでパトロールのパートナーが組めないじゃないですか」

初春 「そのワリが今のところ、全部私にきてるんですけどー?」

白井 「……も、申し訳ありませんの」

初春 「………………」 フゥ 「……分かりました。男さんにも応援すると言ってしまいましたし……」

初春 「こんなに殊勝な白井さんも珍しいですから……この初春飾利が一肌脱ぎましょう」 ドン

初春 「白井さんは、大船に乗った気持ちで、私にすべて任せてください」 エッヘン

白井 「……はぁ」 (激しく心配ですの……)




108 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 05:22:40.43 ID:PyiXh4ja0
………………帰り道

佐天 「初春と白井さん、一体どうしたんですかね。そのまま帰っちゃうなんて」

男 「……そうですね。どうしたんでしょうね」 ズゴーン

佐天 「……?」 (ああ……そういえば白井さんが構ってくれないとか固法先輩が言ってたっけ)

佐天 (しょうがないなぁ……ここは涙子おねーさんがちょちょいと励ましてあげますか)

佐天 「……ところで、この前の事件のこと、白井さんと初春から聞きましたよ」

男 「この前の……ああ、幼女ちゃんの誘拐事件、ですか……」

佐天 「実はあのとき、私も中央通りでネコとアヒルの大群を見たんですよ」 サッ 「ほら、写メです」

男 「うわぁ……資料では見ましたけど、改めて見るとすごいですね……完全に道交法違反……」

佐天 「いいじゃないですか。私もあのときあの唄を聞いて、すごく満ち足りた気分になりましたし」

佐天 「素敵な能力ですよね。人を幸せにできるって、本当にすごいと思います」 ニコッ

男 「……! そ、そんなことは……」 (ヤバい……佐天さんって可愛――)

男 (――いや、もちろん僕は白井さん一筋だけどね!? 本当だよ!)




115 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 08:03:02.13 ID:lHQyl4NQ0
佐天 「……それに、男さんはすごいですよね」

佐天 「レベル1なのに、レベル4の白井さんを守って戦ったんでしょう?」

男 「すごい……のかなぁ? あのときは必死だったし、何より僕が悪いっていうこともあったし」

佐天 「でも、すごいですよ。私はレベル0ですけど……そんなことはできませんから」 フッ

佐天 (……ヤバ。励ますつもりだったのに、ひょっとして私、自分を追いつめてるかも)

男 「……? 佐天さんって、あの “佐天” さんなんですよね?」

佐天 「? あの、って何ですか?」

男 「いや、白井さんと初春さんが事あるごとに自慢する、二人の友達の佐天さんなんですよね? ってことです」

佐天 「えっ……?」 ドキッ 「じ、自慢って何ですか?」

男 「あのふたりはいつも話してますよ。佐天さんっていう、勇敢で優しい女の子のことを」

男 「うわさ話が好きで、ゴシップ的な話にもすぐに食い尽くし、少しミーハーだし……」

佐天 「………………」 (……あの二人、後で覚えてろよ)

男 「――けど、不良相手に果敢に挑む勇気がある、いつも自分たちを引っ張ってくれる女の子のことを」 ニコッ




116 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 08:05:16.79 ID:lHQyl4NQ0
佐天 「えっ……?」

佐天 「そ、そんなの……」

男 「僕のことをとやかく言う前に、佐天さんがすごいじゃないですか」

男 「僕には風紀委員としての義務がありますけど、佐天さんにはそんなものはない」

男 「なのに厳然と悪い人に立ち向かえる……僕なんかよりよほど、そんな佐天さんの方がすごいですよ」

男 「少なくとも、白井さんも初春さんも、佐天さんのことを本気で自慢してましたよ?」

佐天 「男さん……(なるほどねー……こういうところに白井さんは落とされたのかなー)」

佐天 (励ますつもりが逆に励まされちゃった。涙子ねーさんも、まだまだ修行が足りんなぁ)

男 「――でも、あんまり無茶しちゃダメですよ?」

佐天 「へっ?」

男 「何か困ったことがあったら、僕たち風紀委員をすぐに頼ってくださいね。それから、ゴシップもほどほどに」

佐天 「あ、あははー……」 テヘッ 「善処しまーす」

男 (本当に分かってくれたのかな? ま、可愛いからいいか)




117 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 08:07:24.80 ID:lHQyl4NQ0
佐天 「でも、白井さんも大概ムチャしますよねー」

男 「……。まぁ、否定はできませんね」

男 「だから、僕がもっと強くならないと……でないと、レベル4の白井さんを守れませんからね」

佐天 「……まあ、白井さん強いですからねぇ」

男 「そうなんですよ……でも心配で心配で……」

男 「そもそも白井さんみたいに可愛い女の子が風紀委員として最前線に出てるなんてこと自体がどうにもこうにも……」

男 「けどそれを本人に言うわけにもいかないし……だったら僕が強くなって、いざというときには彼女を守るしかないですよね」

佐天 「……男さんって、本当に白井さんのことが好きなんですね」

男 「えっ? あ、いや……、その……」

佐天 「はは、赤くなってますよ。照れなくったっていいじゃないですか。可愛いなぁもう」

男 「さ、佐天さん……!」

佐天 「冗談ですよ。ふふ、本当におもしろいひとですね、男さんって」




118 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 08:09:39.96 ID:lHQyl4NQ0
男 「……その、」

佐天 「はい?」

男 「や、やっぱり変、ですかね……高校一年生の男子が……中学一年生の女の子を、好きになるって……」

佐天 「……うーん……まぁ、少し特殊って言うのはあるかもですけど、」

佐天 「一つだけ聞かせてもらってもいいですか?」

男 「な、何ですか?」

佐天 「男さんは、白井さんが中学一年生だから好きなんですか?」

男 「へっ?」

佐天 「だからぁ……ぶっちゃけちゃうと、白井さんが中学一年生じゃなかったら好きにならなかったんですか?」

男 「そ……そんなわけないじゃないですか! 僕は今の白井さんも好きですけど!」

男 「これからどんどん成長して大人になって、もっともっと綺麗になるだろう白井さんも大好きですよ!!!」

ザワザワザワ……




119 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 08:11:50.98 ID:lHQyl4NQ0
佐天 「あー……本当におもしろいひとですね」

男 「……す、すみません」

佐天 「いえいえ、でも、だったら問題ないじゃないですか」

佐天 「これからの白井さんのことも好きだって言えるなら、今の年齢なんて考える必要はないでしょ」

佐天 「冷静に考えればほんの三歳差ですし、そんなのふつうですよ、ふつう」

男 「そ、そうですか……良かったぁ」

男 「なんか、白井さんと同年代の中学生からそういってもらえると本当に気が楽になりました」

男 「ありがとうございます、佐天さん」 ニコッ

佐天 「ッ……!?(何あの笑顔……反則じゃない? タイプじゃないけど、今のにはクラリときたよ……)」

佐天 「ど、どういたしまして」




120 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 08:13:16.74 ID:lHQyl4NQ0
男 「あ、あの……」

佐天 「はい?」

男 「……また何かあったら、相談させてもらってもいいですか?」

佐天 「……はい、もちろんですよ。その代わり……」 ニコッ

男 「?」

佐天 「また、勉強教えてくださいね」

男 「あ……はいっ」 ニコッ




121 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 08:15:44.61 ID:lHQyl4NQ0
………………

白井 「なんとはなしにお二人を尾行してみれば……」

白井 「な、ななななな何なんですのーーーーっ!!」

白井 「なんで男さんと佐天さんがあんなに仲よろしげにしていらっしゃるんですのーーーーっ!!?」

初春 「仲が良いからではないですかー? 何かの波長が合っちゃった、とか」

白井 「ッ……! て、敵は身内にあり、ということですのね!」

初春 「そういえばさっき、男さんが大声で『大好き』とかなんとか言ってませんでした?」

白井 「こ、告白ですの!?」

初春 「可能性はなくもないですねー。友達の欲目を抜きにしても、佐天さんは取っつきやすい性格してますし、」

初春 「容姿にしても、綺麗と可愛いの中間点に位置する『ザ・中学生』といった雰囲気が出ていて魅力的ですし、」

初春 「着やせするタイプで脱ぐとすごいですし……中学一年生大好き男さんとしては放っておけないのでは?」

白井 「そ、そんな……」 サッ …… ペタペタツルペタ 「ぐっ……」 チラッ

初春 「……? ……っ、わ、わたしは、べつに……」 サッ …… ペタペタツルペタ 「……うぅ……」

白&初 「「うぅ……」」 ツルツルペタペタツルペタツルペタ

通行人 「……!?」 (JC二人が自分の胸をまさぐっている……)




122 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 08:17:59.98 ID:lHQyl4NQ0
白井 「というか……もしかして、男さんがわたくしに好意を抱いているというのは事実ではなく……」

白井 「わたくしのただの妄想……だったりして……?」

初春 「……!! なるほど!」 ポン 「ありえないことではないですね!」

白井 「………………」 シュン

初春 「あ、いえいえ冗談ですよー! 本気にしないでください!」

白井 「いえ、いいんですのよ、初春。よく考えたら、男さんがわたくしに好意を抱く理由がありませんもの……」

白井 「こんなツルペタな身体より、佐天さんの着やせする身体の方がいいに決まってますもの……」

初春 「あ、いや……男さんは佐天さんが着やせするということを知らないはずですが……」

白井 「……なるほど」

初春 「白井さん?」

白井 「つまり……男さんが佐天さんが着やせする事を知っているということは、」

白井 「男さんは佐天さんの下着レベルの格好を見た、ということですのね……」 ズゴーン




123 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 08:19:52.42 ID:lHQyl4NQ0
初春 「ち、ちょっと待ってください白井さん。論点がものすごい速度でずれていってます」

初春 「そもそも男さんが佐天さんの着やせを知っているという事実関係は確認されていませんよ!」

白井 「ほぅ。それはつまり、わたくしが身体の凹凸を抜きにしても、」

白井 「佐天さんに女としての魅力で敗北しているということですのね」

初春 「えっ……?」

白井 「……そうですわよね。佐天さんは黒髪ロングのストレート。そしてあの快活な誰をも引っ張れる性格……」

白井 「殿方の好みを具現化したような方ですもの……」

初春 「もしもーし、白井さーん? 考えがどんどんネガティブになってますよー?」

白井 「……はぁぁぁぁぁああああ……」

初春 (……うわ、これは重症ですね……仕方ありません……)

初春 「もう、様子を見ている時間はありませんね。早速、男さんにアタックをかけましょう」




124 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 08:21:47.42 ID:lHQyl4NQ0
白井 「……何か作戦がおありですの?」

初春 「もちろんです。手をこまねいて見ていても白井さんが辛いだけでしょう?」

初春 「だったらもう、男さんに勝負を仕掛けてしまいましょう!」

白井 「し、勝負……?」 ゴクリ 「そ、それ如何に……?」

初春 「もちろん、デートです」 ニヤリ

白井 「で……デートですって!?」

初春 「はい。……さっきから考えていたんですが……白井さんと男さん、双方に問題があると思われます」

初春 「それはきっと、日常の延長線上で話すことが気恥ずかしい……とか、そんな小学生レベルの話です」

白井 「………………」 カァァァァ…… 「……小学生レベルで悪かったですわね」




125 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 09:06:02.87 ID:lHQyl4NQ0
初春 「なので……せっかくですから、男さんを非日常に誘い出しましょう」

初春 「普段と何かが変われば……きっと、白井さんも男さんも、もう少し素直になって、勇気が出ると思います」

白井 「………………」 フン 「なるほど。何となく納得できましたが……自分で考えたというのは嘘でしょう」

初春 「えっ……?」 カリカリ 「えへへー……やっぱりバレました?」

白井 「一体誰の受け売りですの?」

初春 「に○ゃんのV○P板のみんなです!」 グッ

白井 「――――――」

白井 「激しく不安ですの……」




126 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 09:12:28.31 ID:lHQyl4NQ0
………………

限りなく黒に近いグレーのダフ屋 「まいどありー」

白井 「風紀委員としてああいう店舗を利用するのは如何なものかと思いますが……」

初春 「いいじゃないですか。格安でチケットが手に入ったんですから」

白井 「……それにしても、何故チケットを三枚も買う必要があったんですの?」

初春 「………………」 フフン 「そこがポイントなのですよ」

白井 「……?」

初春 「どうせ白井さんのことだから、たとえ非日常の遊園地に行ったって男さんとしっかり話せないかもしれません」

白井 「なっ……し、失礼ですの!」

初春 「その可能性があるのは事実でしょう?」

白井 「うっ……」

初春 「と、いうわけで、この余分なチケットが必要になるのです」

初春 「二枚はもちろん男さんと白井さんの分、そしてもう一枚は、とあるお方のチケットになります」




127 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 09:14:18.08 ID:lHQyl4NQ0
白井 「……つまり、第三者を介すということですのね」

初春 「はい。ダブルデートのような形にしてしまうと、そちらだけ盛り上がってしまい、」

初春 「白井さんだけがひたすらテンパるような事態になりかねませんからね」

白井 「ぐっ……!!」

白井 「……ふ、ふん、そもそもダブルデートを敢行できるようなカップルが身近におりませんものね」

白井 「わたくしの同僚の誰かさんはそういった浮いた話は皆無ですし」

初春 「………………」

初春 「あ、これ以上の助言は必要ないですか。そうですか。ではさようなら」 スタスタスタ……

白井 「うそうそ嘘ですの! 初春はさぞや同級生の男子諸氏におモテになっていらっしゃるのでしょうね!」 ガシッ




130 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 09:21:00.72 ID:lHQyl4NQ0
初春 「おやまぁ、白井さんは正直者ですねー」 ニコニコ

白井 「…………(覚えてやがれ、ですの)」

初春 「ご安心ください。第三者にはうってつけの方をあてがいますから」

白井 「……限りなく心配ですが、まぁ信じましょう」

初春 「お任せください」 ドン!!

初春 「この初春めが、必ずや白井さんと男さんとの間を上手に取り持って見せます故に」

白井 「…………(やはり心配ですの)」




131 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 09:29:50.04 ID:lHQyl4NQ0
………………

男 「ただいまー……」

ネム 『……? あら、今日はもっと遅くなると思ってたけど?』

ディズ 『もう帰ってきたの?』

男 「お前ら……早く帰ってきたら帰ってきたで文句言うのかよ……」

男 (結局鍋には行けなかったし……僕、クラスで忘れられてないよね……)

男 (クラスメイト全員とか書かれてたら泣くぞ……) ←←←←

ネム 『研究所に変な実験をされる心配がなくなった今、安心して外を出歩けるわけだし』

ディズ 『べつに男がいなくても退屈じゃないものねー』

男 「………………」 (寂しくなんてない……ないんだからねっ!)

男 「今日は固法さんがもう帰っていいって言ってくれてね」

ネム 『バカ。風紀委員のことじゃないわよ』

男 「?」




132 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 09:33:24.24 ID:lHQyl4NQ0
ディズ 『今日こそは白井と何らかの進展があると思ったんだけどー?』

男 「!!」

ディズ 『その様子じゃ、何もなかったみたいね……』

男 「……う、うるさいな! 人間は色々と大変なの!」

ネム 『あら、それは動物蔑視発言かしら。出るトコ出るわよ?』

男 「出るトコなんてないだろう!」

男 「………………」 ハァ 「……アホくさい。ご飯つくろう」

ピンポーン

男 「……? こんな時間に誰だろう?」

ガチャッ

初春 「どうもー。こんばんは、男さん」

男 「わっ……初春さん。どうしたんですか、こんな時間に?」

男 「っていうかここ男子寮ですけど!?」




133 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 09:42:44.80 ID:lHQyl4NQ0
ネム 『あら男。それを言うなら私たちも女なんだけど?』 トコトコ

男 「お前らはいいだろ。っていうか女じゃなくて雌だ」

ディズ 『出るトコ出るわよ?』 バサバサッ

男 「だから出るトコなんてないって!」

初春 「あっ、ネムちゃんにディズちゃん」 ニコッ 「こんにちは」

ディズ 『お久しぶりね、飾利』

ネム 『……今日も相変わらずの花飾り振りね』

初春 「いえいえー。それほどでもー」

男 「……?」 (いつの間に仲良くなったんだろ?)

男 「それで、初春さん。何か用でしょうか?」

初春 「ああ、そうでしたそうでした……」 ゴソゴソ




134 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 09:49:10.96 ID:lHQyl4NQ0
初春 「実は、とある方からコレを男さんに渡すように言われておりまして」 ピラッ

男 「……? コレは、第六学区の、遊園地のチケット?」

初春 「はい」

男 「これを、僕に?」

初春 「とある方からです。何でも、今度の休日にデートしてほしい、と」

男 「はぁ……って! デートっ!?」

男 「い、一体誰が……?」

初春 「はぁ……本当にニブチンさんですねー」

初春 「これを言ったらさすがに分かりますよね?」

初春 「その方は、この前の事件のお礼がしたい、と言っていましたよ?」

男 「えっ……? そ、それって……!」




135 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 09:59:21.57 ID:lHQyl4NQ0
初春 「私から言えるのはこれくらいですー」

初春 「ふふ……女の子に誘わせたんですから、本番ではしっかりエスコートしてあげてくださいね?」

初春 「それでは、また。さようなら、男さん」 スタスタ……クルッ

初春 「頑張ってくださいねっ」 グッ

男 「あ……うん! 僕、頑張ります! 初春さん、わざわざありがとうございました!」

初春 「いえいえー。それでは」 ノシ

男 「………………」 ポーッ 「……えへへ……えへへへへへへ……」

ネム 『……ふふ……飾利グッジョブ!』

ディズ 『さすがね……いつかはお花畑なんて言っちゃって悪かったわ』

男 「えへへへへへへへへ……デート……えへへっ……」 ニヘラァ




136 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 10:01:38.28 ID:lHQyl4NQ0
………………翌日 放課後

青髪 「男やん、ずっと突っ込もうと思っとったんやけど……今日はまたえらいニヤけとるなぁ」

男 「ええー? そ、そんなことないよぅ」

土御門 (……これはまたえらく聞いてほしそうな顔してるにゃー) ジロッ

上条 (っ……しゃーねぇなぁ) 「……何かあったのか?」

男 「えっ? 聞いちゃう? 聞いちゃう? やっぱ気になるかぁ……しょうがないなぁ……」

青・土・上 『………………』 チッ (((うぜぇ……)))

男 「実はぁ……今度の休日、デートすることになってさぁ……」

青髪 「……男やん? またお得意の戯れ言かー?」

男 「ふふふん……今日は違うのです……ほら、これ」 ピラッ

土御門 「第六学区の遊園地のチケットなんだにゃー」

男 「えへへ……とある女の子から誘われちゃいまして」

男 「うふふ……ごめんよ、非モテくんたち。僕はこのあと少し用事があるので、これで失礼するよー」

男 「僕は今度の休日、一足先に大人の階段を上ります! じゃーねー」 ノシ




137 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 10:03:44.54 ID:lHQyl4NQ0
………………

上条 「……どうやらマジっぽいな」

青髪 「そんなぁ……ボク、男やんにだけは先を越されない自信あったのに……」

土御門 「その無駄な自信はどこから来たんだにゃー? しかし、まだ男の見栄という可能性もなくはないんだぜぃ」

土御門 「あのチケットも、自分で買って俺たちに自慢してるだけ、という可能性もさもありなんだぜぃ」

上条 「いや、いくら何でもそれは悲しすぎるだろ。ってか、あの顔はマジで嬉しそうな感じだったぞ?」

青髪 「……まさか男やん。心を病んでいて、もはや妄想と現実の区別が……」

土御門 「なるほど……うぅ、男……お前は良い友達だったんだぜぃ……」

青髪 「男やん……窓のない病院行っても、達者でな……」

上条 「いやいや。お前ら友達を何だと思ってるんだよ」

青髪 「? そういや、カミやんは何でそないにボロボロなん?」

上条 「ん、ああ。昨日、あの後にちょっと面倒事に巻き込まれてな……」

青髪 「ああ、なるほど。けったいな運命やなぁ、カミやんも」

土御門 「………………」




138 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 10:05:00.01 ID:lHQyl4NQ0
青髪 「それで、昨日は一体どんなお嬢さんを助けたん?」

上条 「………………」 ハァ 「お嬢さんどころか、酒臭い人妻だぞ?」

土御門 「ほら見たことか。やっぱりカミやんのストライクゾーンは広すぎなんだにゃー」

上条 「そこは振らねぇよ! 思いっきり牽制球レベルだろ! 中学生の子ども持ちだぞ!?」

青髪 「その人妻さんは美人さんやったん?」

上条 「ん……まぁなぁ……」

青髪 「それだったら全然オッケーです! むしろ人妻! グッジョブ!」

上条 「……お前……」

prrrrr……

上条 「ん……? 電話?」 ピッ 「もしもし?」

? 『もしもしー? 上条さんの携帯電話でよろしかったですかー?』




139 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 10:07:01.97 ID:lHQyl4NQ0
上条 「ええ……まぁ、そうですけど。お宅はどちらさま?」

? 『申し遅れました。私は、上条さんのお友達の御坂さんの後輩の同僚の、初春飾利と申します』

上条 「……関係長ったらしいな。っていうかビリビリの関係者!?」

初春 『先日、男さんの病室でお会いしましたけど、覚えていらっしゃいませんか?』

上条 「はぁ……」

初春 『この電話番号も、御坂さんから教えていただきました。突然のお電話すみません』

初春 『少々、上条さんにご協力いただきたいことがありまして……』

青髪 「……カミやんの電話の相手も女の子」

青髪 「なぁ、土御門……なんでこの世はこんなに不平等なんや?」

土御門 「言うんじゃないぜぃ、青髪ピアス」 ポンポン 「これがリアルなんだにゃー」

prrrrr……

土御門 「ん……?」 ピッ 「……あっ、舞夏か? ……ん、今日は直帰できそうだぜぃ」

青髪 「………………」

青髪 「……もう嫌や、この隠れリア充ども」 グスッ




140 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 10:09:14.17 ID:lHQyl4NQ0
………………

ピッ

初春 「……よし。これで準備完了です」

初春 「お二人も、当日はよろしくお願いしますね」

佐天 「んー……なるほどねぇ。男さんと白井さんのデート、かぁ」

佐天 「ま、あのふたりのことなら協力するするけどさぁ……」

御坂 「なんで私まで……」

初春 「御坂さん! 大切な後輩のことですよ!」

ネム&ディズ 「ニャーニャー!!」 「ガーガー!!」 ((つべこべ言うな! このビリビリ短パン女!))

御坂 「わ、分かったわよ。喜んで協力させてもらうわよ」

御坂 「け、けど……何でアイツまで巻き込むかなぁ……」 ブツブツ

初春 「下準備はすべて整いました……」 フフン 「あとは当日を待つのみです」 グッ

佐&御 「「………………」」 ((大丈夫かなぁ……))




142 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 10:19:37.69 ID:lHQyl4NQ0
………………

102 「………………」

102 「……、あの胡散臭い野郎が言ってやがったのはここか」

――“すみません、とある大物が落ちてきたのであなたのご案内をして差し上げられなくなりました”

――“この封書に、あなたの所属する部署の位置座標が記されてあります”

――“おっと、自分に質問はしないでくださいね。自分はその封書の中を知りませんし、知りたくもありませんから”

――“それはあなたの所属する部署についての情報です。あなたのみが知るべきことだ”

――“自分は今のところ、学園都市に対して少しでも反逆と取れるような行動は慎みたいのでして”

――“ともあれ、あなたはなかなか愉快な方でした。また相まみえることを期待していますよ”

――“まぁ、そのときには敵同士かもしれませんけどね”

――“――御武運を、ヒトマルニさん”

102 「……大物、ね」

102 「はっ、俺は取るに足らない小物だってか。事実な分、笑えねぇなぁ」

ガサッ




143 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 10:22:08.94 ID:lHQyl4NQ0
? 「ああ、やっぱり来てたんだね」

102 「……?」 (俺と同い年くらいの男……)

? 「ごめんごめん、ちょっと準備に手間取ってね、出迎えが遅れたよ」 ニコッ

102 「…………」 (屈託ない笑顔、隙だらけにしか見えない姿勢……)

102 (……コイツが本当に暗部の出迎えか?)

? 「? えーっと、どうかしたかな?」

102 「……いや。『ボックス』 とやらはここか?」

? 「うん、もちろん。ここが 『ボックス』 のメインメンバーの宿舎だよ」

? 「挨拶が遅れたね。僕はC3 (シースリー)。一応 『ボックス』 のリーダーのようなものを任されている」

C3 「君の名前を教えてもらってもいいかな」 ニコッ

102 「……102、だ」

C3 「ヒトマルニ……? 変わった名前だね」

102 「お前に言われたくはないな」

C3 「おお!」 ポン 「たしかにその通りだね。これは失礼したよ」




144 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 10:26:10.70 ID:lHQyl4NQ0
C3 「ともあれ、よろしく、102」 スッ

102 「……何の真似だ?」

C3 「えっ……? 何って、握手だよ握手。ホラ」 プラプラ

102 「………………」 ジッ

C3 「? どうかしたかい?」

102 「……お前、本当に暗部の人間か?」

C3 「へ? どういうこと?」

102 「握手なんて無防備になる真似、同じ暗部の人間相手にするはずがないだろうが」

C3 「ええー、そうかなぁ……? だって、僕らは仲間になるわけだし……」

102 「仲間、だと? ……馬鹿を言うな」

C3 「……?」

102 「俺は暗部のチーム、『ボックス』 に配属されたんだ」

102 「学園都市最暗部に、仲間もクソもあるか。全員が敵、そうだろう?」




145 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 10:28:52.18 ID:lHQyl4NQ0
C3 「うん、まぁ君の気持ちも分からなくもないけどね」 サッ

C3 「では握手はやめておこう。でも、いつかは僕らのことを仲間だと思ってくれると嬉しいな」 ニコッ

102 「………………」 (何なんだコイツは……何の敵意も害意も感じられない)

102 「ふん……今までよく生きてこられたな」

C3 「そうだね。それは僕も我がことながら不思議に思ってるんだよ。どうして僕は生きていられるんだろうね」

C3 「……ま、くだらないお話はこれくらいにして、中に入ろうか」

C3 「――ようこそ、我らがチーム、『ボックス』 へ」




147 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 11:07:52.05 ID:MpOTNYlr0
102 「……」 (一見して何の変哲もなさそうなテナントビル……)

102 「……なるほどな。木を隠すなら森の中ってか?」

C3 「さぁて、どうなんだろうね。本拠なんて持ってないチームもあるようだけど」

102 「“持ってないチーム”だと? この 『ボックス』 以外にも同じようなチームがあるってことか?」

C3 「………………」

102 「……? どうかしたか?」

C3 「……どうしよう。話しちゃいけないことだった気がするけど、話しちゃったよ……」 オロオロ

102 「………………」 (コイツ……本当によく今まで生きてこられたな)

C3 「……他の二人には内緒でお願いね?」

102 「……善処する」

C3 「恩に着るよ!」 ペコリ




148 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 11:09:11.29 ID:MpOTNYlr0
C3 「君の部屋はここだよ。102っていうネームプレート作ろうか?」

102 「結構だ」

C3 「ええー……こう見えても工芸の腕はそれなりなんだよ、僕」

C3 「ほらほら見て見て。これが今のところの僕の最高傑作のネームプレート」

102 「…………っ」 チラッ 「……? 『メイ』?」

C3 「そう。……って、まだ紹介してなかったもんね。分かるはずないか」

C3 「じゃあ、談話室に行こうか。あと二人の仲間――いや、チーム構成員がそこにいるからさ」

102 「……聞き間違いか? 談話室?」

C3 「? 何かおかしかったかな?」

102 「……いやもういい。もうなんでもいい。どうでもいい」

102 「とにかく、俺は同じチームの構成員であろうと馴れ合うつもりはない」 ガチャッ――

C3 「ま、顔合わせだけはしとこうよ、ね」 グイグイグイッ

102 「なっ……! お、おい! 放せ! 引っ張るな!」 ズルズルズル……




149 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 11:10:51.46 ID:MpOTNYlr0
102 「っ……」

C3 「そう舌打ちしないでよー。ほらほら、人間関係は第一印象が肝心だよ」

102 「っ……」

C3 「まだ結婚もしてないのに大きな息子ができた気分です僕」

102 「っ……」

C3 「うぅ……これが反抗期の息子か。世のお父様方の苦労がほんの少しだけでも分かりそうです」

C3 「ま、いいや。じゃ、開けるよー? ……ふふ、なんか転入生を迎えた担任みたいな気分だよ」

ガチャッ――

パン! パン!

102 「っ……!!?」 (銃声……!?)


?1 「――ようこそ、『ボックス』 へ!!!」

102 「――……は?」 (クラッカー……?)




150 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 11:12:49.52 ID:MpOTNYlr0
?2 「……ようこそ、『ボックス』 、へ」 スッ

102 「なっ……!?」 (ガキじゃねぇか……何でこんな子供が、こんな場所に……?)

子供 「……!?」 ビグッ 「………………」 サササッ

102 「………………」 (……淡い金髪に碧い瞳……しかも西洋人かよ)

?1 「――あらあら、イル。わたしの背中に隠れてしまっては、新人様に失礼でしょう?」

子供 「………………」 フルフルフル

102 「………………」 (そしてもう片方は……メイド?)

メイド 「失礼を致しました、新人様」 ペコリ 「この子は、少々人見知りをするものでして」 ニコッ

メイド 「初めまして。わたしは 『ボックス』 構成員のひとり、“メイド” です」

メイド 「そしてこの」 ……フルフル…… 「見目麗しく可愛らしいこの子は、“子供(チャイルド)” です」

メイド 「そちらのシィ様……C3様共々、よろしくお願いいたします」 ニコッ




151 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 11:15:47.50 ID:MpOTNYlr0
102 「……メイド? チャイルド?」

C3 「……うーん、まぁあれだよ。何の因果か、僕らは皆本名を捨てた……か、持っていない、ということだね」

メイド 「わたしのことは、気軽にメイとお呼びください。メイドだからメイ……ふふ、結構お気に入りの名前なのですよ」 ニコニコ

メイド 「そしてこの子のことは、イルと呼んでいます。ね、イル?」

子供 「………………」 コクン

102 「………………」

メイド 「……では、貴方様のお名前を教えていただいてもよろしいでしょうか」

102 「……102、だ」

メイド 「ヒトマルニ様……ですか? むむ……少々長くて呼びづらいですね」

C3 「メイ、それは少し失礼だと思うけど?」

メイド 「シィ様は少し黙っていてください。そもそもシィ様だって同じ文字数ではありませんか」

クィクィ




152 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 11:17:20.89 ID:MpOTNYlr0
メイド 「あら? どうかしましたか、イル?」

子供 「……イル、よいnickname、かんがえた」

メイド 「おお、本当ですか。それは素晴らしいのです。ぜひ教えてください」

子供 「ひとまるに、だから、“とまる” Japaneseちっくで、よいnickname、おもう」

メイド 「おお……!! 漢字で“止”といったところでしょうか? 素晴らしく語感の良いお名前です」 パチパチパチ

メイド 「さすがはイルですね。わたしはその多岐に渡る才能が末恐ろしくて仕方ありませんよ」 ナデナデ

イル 「へへ……へへへへ……」 テレッ

102 「……おい、C3」

C3 「? なんだい?」

102 「一体何が起こってるんだ」

C3 「さしずめ、命名式、といったところかなぁ。ともあれ、改めてよろしく、だね」

C3 「――止くん?」




153 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 11:20:10.46 ID:MpOTNYlr0
メイド 「と、いうわけで、よろしくお願いいたします、止様」 スッ

102 「……っ……人を勝手に妙な名で呼ぶな」 クルッ

メイド 「あっ……止様?」

102 「呼ぶなと言っている……!!」 ギロッ

子供 「…………!!」 ビクッ

102 「……俺はお前たちと馴れ合うために暗部に落ちてきたわけじゃない」

102 「妙な真似はやめろ。俺はお前たちを仲間などとは絶対に思わない。俺が信じるのは俺だけだ」

102 「お友達ごっこがしたいのなら、お前たちだけでやっていろ。俺を巻き込むな」

メイド 「あらあら……随分とやさぐれた方でいらっしゃいますね」 ニコ

C3 「まぁ、暗部に落ちたというのなら当然かもしれないけどねぇ」

子供 「………………」 ……ヒョコッ ジッ




155 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 11:22:19.28 ID:MpOTNYlr0
メイド 「……確かに、ここは学園都市の暗部――未来も明日もない絶望の場所です」

メイド 「裏切り、裏切られ、心まで闇に落ちていく、そんな場所、

メイド 「ですが、だからこそ、わたしたちはせめて、『仲間』 だけは裏切らず、共に生きていこうと思ったのです」

メイド 「それが、この 『ボックス』 です。学園都市上層部はわたしたちの馴れ合いをよくは思わないでしょうが、」

メイド 「それを止めるほどの意味もないでしょうから、放置されています」

102 「………………」

102 「……くだらねぇ。馴れ合わなきゃ生きていけないようなお前らが、本当に暗部の人間であるというのが信じがたい」

メイド 「………………」 フッ

メイド 「……止様は、人間関係で悩まれたことがおありですか?」

102 「……? 何だと」

メイド 「そんなお顔をしていらっしゃいますもの」 ニコリ




156 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 11:23:59.03 ID:MpOTNYlr0
102 「っ……くだらねぇ。本当にくだらねぇ」

メイド 「ですが、わたしたちは現にこうして生きております」

メイド 「それくらいの意味は、この馴れ合いにあったのではないかと自負しておりますけれど?」

102 「………………」

102 「……誰が生きたいと言った」

メイド 「……?」

102 「俺は、学園都市上層部に利用されるだけの生などまっぴらだ」

102 「死ぬ機会があればいつだって死ぬ覚悟がある」

102 「正道を外れ、落ちる場所まで落ちた俺にはもう、生きてる意味も何もないからな」

ガチャッ バタン




157 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 11:25:12.23 ID:MpOTNYlr0
………………

C3 「ふむ……どうやら本気みたいだねぇ」

C3 「彼は本当に、生きる気がないみたいだ」

メイド 「ですが、死ぬ気もありませんね。ただ漫然と生きて、楽に死にたいのでしょう」

メイド 「そんなこと、この暗部ではあり得ませんのに……」

C3 「でもまぁ、悪い人間じゃなさそうで何より、かな。罪状もチンピラの悪のりレベルみたいだしね」

子供 「………………」 クイクイ

メイド 「……? 何です? イル」

子供 「ゴチソー、食べたい」 ジッ

メイド 「………………」 フッ 「そうですね。止様はお食べにならないようですが、もったいないですし、いただきますか」

メイド 「せっかく用意いたしましたのに……歓迎パーティは中止、ですね」

C3 「まぁいいじゃない。こんな贅沢、滅多にできるものじゃないし。僕たちでいただいちゃおう」

C3 「止君も、お腹が減ったら戻ってくるんじゃない?」




160 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 12:21:25.20 ID:MpOTNYlr0
………………

102 「………………」

102 「正道を外れた、落ちる場所まで落ちた、か……」

102 「はっ……我ながら滑稽だな。レベルシフトのみを考え、行動した結果がこのザマだ」

102 「レベル1に敗北したレベル3か……」

102 「なぁ、科学さんよぉ……レベルってのは絶対じゃなかったのかよ」

102 「レベルの序列ってのは、科学的に立証された優劣の順番なんじゃねぇのかよ」

102 「……能力開発と勉強しかしてこなかった俺に、どうしろっていうんだよ」

102 「俺は……もう、ダメなのかよ」

コンコン

102 「…………!!」

? 『……とまる、いる?』

102 (この声は……さっきのガキか)




161 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 12:23:13.26 ID:MpOTNYlr0
102 「………………」

コンコン

子供 『とまるー?』

102 (……無視だ。俺はもう寝ている。さっさと帰れ)

コンコン

102 (無視……無視……無視……)

コンコン

102 (………………)

コンコン

102 (………………)

コンコn――

102 「――だぁぁぁぁぁあああああ!!! うるせぇ!!」




162 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 12:25:00.78 ID:MpOTNYlr0
ガチャッ

子供 「あっ、とまる、やっぱり、いた」

102 「……何の用だ、クソガキ」

子供 「む……クソガキちがう。イル」

102 「何の用だって聞いてんだよ」

子供 「ゴチソー、持ってきた」 ズイッ

102 「……あん? (ターキー一羽まるごとかよ……)」

子供 「食べる」 ズイズイッ

102 「……食欲がない」

グゥゥゥゥーー……

子供 「………………」

102 「………………」

子供 「……食べる」 ズイッ




163 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 12:27:11.54 ID:MpOTNYlr0
102 「……けっ」 サッ

102 「そういやここ何時間かまともに何も喰ってねぇからな」

102 「もらっとく。じゃあな、ガキ」

子供 「待つ」

102 「……あん?」

子供 「それ、イルの分、ある」

102 「………………」

子供 「イルも一緒、食べる」 ササッ

102 「あっ、おいこら! 勝手に部屋に入るな!」




164 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 12:29:16.06 ID:MpOTNYlr0
子供 「……bedだけ。何もない」

102 「当たり前だろうが。いまさっき来たばっかだぞ、俺」 キリキリ

102 (っ……なんだって俺がこんなガキのお守りをしなきゃならねぇんだよ……)

子供 「……Turkey、切った?」

102 「ちょっと待て……っ」 ザクッ

子供 「………………」

102 「………………」

子供 「ヘタクソ」 ボソッ

102 「なっ……じゃあお前が切れよ!」

子供 「む……イルの言葉にカッと、なる。とまる、こども」

102 「なっ、おまっ、このっ……」

102 (くそっ……本当に何だって俺がこんなことをしてるんだよっ!!)




165 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 12:31:54.48 ID:MpOTNYlr0
102 「………………」

子供 「………………」

子供 「ボロボロ」 ボソッ

102 「っ……うるせぇ! 味には変わりねぇよ味には!」 バグバグ

子供 「That's right。イルも、そう思う」 パクパク

102 「………………」 ハグハグ

子供 「………………」 パクパクパク

102 「……………… (時折出るネイティブな英語に普段のカタコト、)」

102 (留学生……って歳じゃねぇよなぁ)

子供 「む……? イルの顔、何か付いてる?」

102 「……あ、いや、べつに」

子供 「………………」 スッ 「……ははーん」

102 「あん?」




166 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 12:33:52.24 ID:MpOTNYlr0
子供 「こういうとき、どう言うべき、メイ、言っていた」

102 「だから。あん?」

子供 「……」 パチッ 「イルに惚れると、火傷するぜっ☆」

102 「………………」

子供 「………………」

子供 「……あれ? これやれば、大抵のboy、イチコロ言ってた」

102 「知るかよ。文句ならあのメイドに言え」

102 (ブロンド碧眼幼女のウィンクに加えてピストルを撃つポーズ……)

102 (マニアなら垂涎ものかもしれねぇが……生憎と俺はそっちの趣味はないんでね)




167 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 12:35:53.74 ID:MpOTNYlr0
102 「……というか、お前、人見知りするんじゃなかったのかよ」

子供 「ヒトミシリ……ああ、OTHERSを怖がることか?」

子供 「人を見る目、自信ある。とまる、悪い人、違うから」

102 「……暗部に落とされた人間が、悪い奴でないはずがないだろうが」

子供 「そんなこと、ない。シィとメイ、とても優しくて、良い人たち。イルの大切な仲間」

子供 「とまるもきっと、シィとメイと、同じ」 ニコッ

102 「ッ……!」

―――― 『――僕は103だよ。よろしくね――』

102 (くそったれ……!! 何だって、アイツの顔と重なるんだよ……!!)

子供 「……?」




168 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 12:39:57.40 ID:MpOTNYlr0
102 「………………」

子供 「とまる?」

102 「……寝る」

子供 「へ?」

102 「……メシ、ありがとよ」 モゾモゾ

子供 「………………」

子供 「どいたま……Your welcome。Good knight、とまる」

子供 「また、あした」 ノシ

バタン

102 「けっ……」

102 「俺は本当に、何をやってんだよ……」




169 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 12:45:58.05 ID:MpOTNYlr0
………………

102 「………………」

――――ま?

102 「……んむ……ぅ」

――る様?

102 「……あと、少し……五分……」

メイド 「止様!!」

バサッ!!

102 「っ……!!?」 ゴロンゴロン

メイド 「ふふふ? ようやく目が醒めたようですね」




170 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 13:18:59.30 ID:MpOTNYlr0
102 「な、何をしやがる! 人の掛け布団を勝手にはぎ取るんじゃねぇよ!!」

102 「ッ……!! (床に腰を打った……)」

102 「……っつうか! 人の部屋に勝手に入ってくるな!!」

メイド 「それは失礼を致しました」 ペコリ 「ですが、起床時間に起きてこない止様が悪いのです」

102 「……聞き間違いか? 起床時間?」

メイド 「聞き間違いではありませんのですよー」 ニコッ

メイド 「健康な生活は、早起きから始まるのです」




172 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 13:33:49.37 ID:MpOTNYlr0
♪――腕を交差させ振り上げの運動~――♪

C3 「………………」 ブンブン

子供 「………………」 グルグル

102 「………………」

102 「……おい、メイド」

メイド 「何でしょうか?」

102 「奴らは裏庭で何をやってるんだ?」

メイド 「ラジオ体操です。分かりませんか?」

♪――腕を上に上げ身体伸ばしの運動~――♪

C3 「……む、ぅ……伸びる……」

子供 「の、び……太……」

102 「何をやってるんだ」

メイド 「ですから、『ボックス』 朝の慣例、ラジオ体操です」

メイド 「ささ、止様もご一緒に」 グイ

102 「ひ、引っ張るな! や、やめろー――……」




173 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 13:35:30.14 ID:MpOTNYlr0
………………

♪――手を伸ばして深呼吸~――♪

102 「………………」 スー……ハー……

チャンチャン♪

102 「……けっ。何で俺がこんなことを」

メイド (とか言いつつしっかり参加してくれるあたり、)

C3 (律儀というか、悪人になりきれていないというか……)

メイド (基本的に良い人、なのでしょうねー)

102 「あん? 何だよその目は」

C&メ 「いやいや、べつに」 ニコ 「何でもありませんのです」 ニコ

子供 「……メイ、メイ、」 クイクィ

メイド 「はい? どうかしましたか、イル」

子供 「おなか、へった……。早く、Breakfirst、する」 グゥゥ




174 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 13:37:57.18 ID:MpOTNYlr0
………………

メイド 「はーい、今朝のメインは海苔とチーズのダシ巻き卵ですよー」

ホカホカ

子供 「……!!」 ジュルジュル

C3 「わぁ……これ、僕好きなんだよねー」

メイド 「それからサラダと、タマガワ牛乳です」

102 「………………」

メイド 「あっ、パンは自分で焼いてくださいねー」

メイド 「もしごはんがよろしければ、レトルトのごはんがありますのでそちらをどうぞー」

102 「………………」




175 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 13:40:43.59 ID:MpOTNYlr0
メイド 「……? 止様? どうかされました?」

子供 「……?」 モグモグ 「とまる、egg、きらいか?」

C3 「あっ、生野菜ダメな人だった?」

メイド 「? もしかして、ムサシノ牛乳派でしたか?」

102 「………………」

102 「……お前たちは、」

102 「お前たちは、毎朝、こんな風に過ごしているのか?」

メイド 「………………」 フッ

メイド 「……まぁ、おかしなことをしているという自覚は、わたしたちにもないわけではありません」

C3 「けどまぁ……今さらだよねぇ。暗部に落ちてからこっち、ずっとこんなんだし」

子供 「……ん。ずっと、こう」

C3 「だってさ、楽しい方がいいじゃない。人生も、日常生活も」




176 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 13:43:03.57 ID:MpOTNYlr0
C3 「暗部に落とされたからって、幸せな生活を送っちゃいけないってわけじゃないでしょ?」

メイド 「……わたしたちはもちろんのこと、暗部の人間です」

メイド 「止様は信じてくださらないかもしれませんが、わたしや、シィ様は、今まで数え切れないくらいの人間を、この手にかけてまいりました」

メイド 「そしてそこにいるイルもまた、そんなわたしたちが血に汚れていく様を、見続けてきたのです」

子供 「………………」

C3 「……要は、僕らはとても利己的な人間なんだよ」

C3 「『自分たちさえよければそれでいい』」

C3 「僕は、この 『ボックス』 さえ幸せならそれでいい」

C3 「そのためなら、誰だって殺す。何人だって殺す。この幸せを守るために、僕は戦ってるんだ」

C3 「……ねぇ、止君。君が思っているほど、僕らは甘くはないし、シビアでないわけでもない」

C3 「僕らは、『仲間』 でない者には、どこまでも冷徹だよ?」 ニコッ




177 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 13:48:31.30 ID:MpOTNYlr0
102 「……ふん。脅しのつもりか?」

C3 「はは……まさか、そんなわけないじゃないか」

C3 「君にまでそれを押しつけるつもりはないよ」

C3 「危機に陥ったら、僕らを見捨てて逃げてくれて構わない。むしろそれが、正しい暗部の在り方だろうからね」

102 「………………」

102 「……そうかよ」

子供 「………………」

グゥゥ……

子供 「っ……////」




178 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 13:51:20.31 ID:MpOTNYlr0
メイド 「……では、難しいお話はこれくらいにして、朝ご飯を食べましょう♪」

メイド 「今朝のデザートは、フルーツゼリーですよー」

子供 「……!!!」

子供 「………………」 ハグハグハグハグ……!!!!

102 「……けっ」 ヒョイパクッ

102 「わ……うまっ……!」 (っ、しまった……!!)

C3 「………………」 ニヤニヤ

102 「……なんだよ」

C3 「べっつにー。何も言ってないよー」 ニヤニヤ

102 「っ……」 バグバグバグバグ……

C3 「ああっ! 僕のダシ巻き卵!!」




179 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 13:54:09.27 ID:MpOTNYlr0
………………

メイド 「食後のお紅茶です」 スッ

C3 「ああ、ありがとう、メイ」 ニコ

C3 「……では、ちょっとしたミーティングといこうか」

102 「………………」

子供 「………………」 ゼリーハグハグ

C3 「今日はひとつ、“電話”の方からオーダーが入ったよ」

C3 「メイ、君に任せたいけど、構わないかな?」

メイド 「はい。了解いたしました」

C3 「それから止、君にもメイに同行してほしいんだ」

102 「………………」

C3 「研修みたいなものになるのかな。簡単な任務を、メイと一緒にこなしてほしい」




180 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 13:56:25.06 ID:MpOTNYlr0
C3 「見学……みたいなカタチでいいのかな、メイ」

メイド 「はい。わたしはそれで構いません」

C3 「内容についてはデータを端末の方に送っておくから、そちらを確認してほしい」

メイド 「了解です。……では止様、準備をして参りますので、少々お待ちを」 ペコリ

ガチャッ バタン ……

102 「……任務内容は?」

C3 「なに、簡単な掃討任務さ。不良集団壊滅のシナリオを開始するってだけのこと」

子供 「………………」 ハグハグ……

102 「……?」

C3 「止は見学をしてくれるだけでいい。僕ら暗部の仕事を、しっかりとその脳裏に焼き付けてほしい」

C3 「まぁ、メイが任務に当たる以上あり得ないとは思うけど、万が一の場合にはすぐに逃げてくれて構わない」

C3 「……ま、僕としてはメイを守ってくれたりすると嬉しいけど」




181 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 15:09:37.24 ID:NGnolTWW0
102 「……けっ」

子供 「………………」

102 「……んだよ」

子供 「……とまる、がんばれ」 グッ

102 「………………」

C3 「……とまる、がんばれ」 グッ

102 「お前がやるな気持ち悪い」

C3 「………………」

ガチャッ

メイド 「準備完了です。それでは参りましょう、止様」

102 「ああ……ああ!!?」

メイド 「……? どうかされました?」

102 「い、いや……何でも、ない……」




182 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 15:11:13.19 ID:NGnolTWW0
………………

子供 「……いって、らっしゃい。メイ、きお、つけて」

メイド 「はい、イル。ありがとうございます。良い子にしているんですよ」

子供 「ん」 コクン

C3 「それじゃ、頼んだ。気をつけて」

メイド 「はい……では」

ブルルル……

102 「……運転、できるんだな」

メイド 「ええ。免許もしっかり持ってますよ? わたしはまだ十六ですから、もちろん偽造ですけれど」

102 「……一つ、訊いていいか?」

メイド 「ええ、もちろん。何でしょうか?」

102 「その珍妙な格好はなんだ?」




183 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 15:21:39.30 ID:NGnolTWW0
メイド 「珍妙……でしょうか? メイドとしての体裁は保っていると思うのですが……」

102 「さっきまでの、肌の露出が顔だけという完全なメイド姿はどこへ消えた」

102 (……とてつもなく短いスカートにノースリーブのメイド服)

102 (一体どこのイメクラだよ)

メイド 「ふふふ……興奮していただけました?」

102 「寝言は寝て言え」

メイド 「あら……女としては結構ショックな言葉です」

102 「………………」

102 「……顔もスタイルもいいんだ。似合わないわけがないだろう」

102 「ただ俺は女に興味がないからどうでもいいというだけだ」

メイド 「なるほど……シィ様狙いでいらっしゃいましたか」

102 「寝言は寝て言えと言っているんだがな」

メイド 「ふふ、冗談ですよ」 クスッ 「止様は、結構なツンデレ様でいらっしゃいますね」




184 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 15:27:37.77 ID:NGnolTWW0
メイド 「では、任務の概要についてお伝えいたします」

メイド 「今回は掃討任務……まぁ、早い話が人殺しの任務ですね」

102 「………………」

メイド 「そう心配なさらずに。簡単な任務ですので」

メイド 「対象はスキルアウトの小規模グループのひとつです。全員を残らず殺せ、とのことです」

メイド 「どうやら統括理事会のどなたかに正面切って喧嘩を売ってしまったようですね」

メイド 「少々面倒臭いことになってきたので、我々に命令が下りてきたようです」

メイド 「……止様には言っても問題ないと思われますのでオプションとしてお伝えいたしますが、」

メイド 「学園都市最大の不良集団、スキルアウトは近日中に崩壊します」

102 「……? 何だと?」

メイド 「これは確実な未来です。学園都市上層部にとって、彼らはもはや邪魔な存在でしかありませんから」

メイド 「スキルアウトリーダー、駒塲利徳の抹殺命令も下るようですし、それが実行されれば、もう完全に終わりですね」




186 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 15:29:57.34 ID:NGnolTWW0
102 「………………」

メイド 「話を戻します。グループの人数は26。隠れ家にいる全員をこれから掃討します」

メイド 「場は下部組織の方々が整えてくれています。後処理も彼らにお任せします」

メイド 「つまり、わたしたちはこれから、26人を殺す、ただそれだけのために動きます」

102 「……そうかよ」

メイド 「ですが、止様は初めての任務になるわけですし、今回はただ見ていてくれるだけで結構です」

メイド 「その両目で、学園都市最暗部の本当をしっかりと見てください」

メイド 「……わたしがただ一方的な虐殺を続ける様を」

メイド 「それが今回の、貴方様の任務です」

102 「………………」




187 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 15:31:52.40 ID:NGnolTWW0
………………

下部組織人員 「……あっ、メイさん」 ペコリ 「こんにちは」

メイド 「どうも、こんにちは。準備は万端でしょうか」

人員 「はい、半径二キロに渡り一般人の出入りは完全に制限してあります」

人員 「周辺の廃ビルにはスナイパーを待機させ、討ち漏らしはこちらで処理させる算段です」

メイド 「どうもありがとうございます。相変わらず素早い対応で助かります」

102 「………………」

人員 「あっ……そちらの方が、新入りの……」

102 「……102だ」

人員 「どうも。これからよろしくお願いしますね」

102 「ッ……」 (『ボックス』 の手下……みたいなモンか? そんな奴らまで含めて馴れ合いかよ……)




188 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 15:34:02.90 ID:NGnolTWW0
人員 「またメイさんがご自分で運転して来たんですね……」

人員 「言ってくだされば運転ぐらいしますって言ってるのに……」

メイド 「皆さんには後始末などをしていただくだけで助かっていますから」

メイド 「これ以上仕事を押し付けられませんよ」 ニコッ

メイド 「……それに、あまりわたしたちと馴れ合うと、上から目を付けられますよ?」

人員 「………………」 グッ 「……それは、そうですが、」

メイド 「……わたしたちは異端の存在ですから。皆さんには迷惑をおかけします。すみません」

人員 「そんな……! 我々は、この『ボックス』 の下部組織に入れたことを幸運に思ってますよ!」

メイド 「ふふ……そう言っていただけると嬉しいです。……では、また。参りましょうか、止様」 スタスタ……

102 「ああ……」 クイッ 「……あん?」

人員 「あなたはきっと、お強い能力者、なんですよね? ……あの人を、お願いします」

人員 「本当に、お優しい方なんです。万が一のときは、守ってあげてください……!」 ペコリ

102 「……けッ……」 グイッ 「………………」 スタスタ……

人員 「……本当に、お願いします!」




189 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 15:36:21.96 ID:NGnolTWW0
メイド 「ここが隠れ家の入り口、ですね」

102 「………………」

メイド 「? どうかされました?」

102 「……何でもねぇよ」

メイド 「そうですか……では、参りましょう」 ギィ

不良 「……!!? 何だお前ら!」

102 「ッ!!?」

メイド 「――あらあら。いきなり出くわすとは、ついてないですね」

不良 「ッ……」 ガチャッ 「上層部の犬か! 死ね――」

メイド 「――本当に、貴方様はついていないですね」 ガシッ


――――ッドォォン!!!――――


102 「なっ……!?」 (銃が爆発した、だと……?)




190 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 15:41:25.17 ID:NGnolTWW0
不良 「な、なんだと……!?」

メイド 「申し訳ありません。解説している暇がなくなりました」 サッ

――トン

不良 「っ……! は、離せ!」

メイド 「お断りいたします」 ニコッ 「――そして、さようなら」

ッドォォン!!!

不良 「――――……は?」

不良 「――――――」 バタン

ドロドロ……グチャッ

102 「………………」

102 「腹が、爆発、した、?」

102 「ッ……」 (くそったれ……何の冗談だこれは……)

メイド 「――ふふ? どうかされました? 止様?」 ニコリ 「本当の地獄はこれから、ですよ?」

メイド 「さぁ、今ので中の方々にも気づかれたでしょう。急ぎますよ、止様」




191 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 15:46:54.39 ID:NGnolTWW0
………………隠れ家の廃工場、広場

リーダー 「っ……おい! 準備しておいた抜け道はどうした!」

部下1 「そ、それが……斥候が、狙撃されて……」

部下2 「ダメです! 他の抜け道も軒並み外から塞がれてます!」

部下3 「完全に閉じこめられました!」

リーダー 「クソッ!!! だったら返り討ちにするまでのことだ!」

リーダー 「全員エモノを取れ! 能力頼りの高位能力者なんて叩き潰してやる!」

――ッドォォン!!!

リーダー 「ッ……!!? 入り口のバリケードが!?」

メイド 「ふふ……それは面白いですね。とても楽しみです」

メイド 「ぜひぜひ、わたしを叩き潰して見せてくださいまし」 ヒラッ

102 「………………」




194 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 16:23:48.64 ID:NGnolTWW0
リーダー 「――――――」

メイド 「? どうかされました? 恐怖で言葉も出ませんか?」

リーダー 「くっ……ははははははっ!!」

メイド 「……気でもちがったのですか?」

リーダー 「……先ほどの爆発音から、どんな能力者が来るかと思えば……」

リーダー 「愉快な格好したエロい姉ちゃんに、根暗そうなヒョロ男かよ」

リーダー 「警戒したことがバカらしいとすら思えるな」 ジュルリ

リーダー 「そんな格好をしてこんな場所に来て……それ相応の覚悟はできてるんだろうな?」

メイド 「……ふふ。最高に下劣で卑猥で気色の悪いお言葉をありがとうございます」 ペコリ

メイド 「先ほど狙撃の連絡があったのは3名。そしてここにいらっしゃるのは……ちょうど23名」

メイド 「数はピッタリですね。では、これからさっくりと殲滅させていただきます。止様はここで見学を」

102 「……ああ」




195 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 16:25:43.29 ID:NGnolTWW0
メイド 「では、参ります。お覚悟を」 タッ

リーダー 「ヒューッ! スカートが翻って良い感じじゃねぇか!」

リーダー 「テメェら! さっさとあの女を捕まえろ! 殺すんじゃねぇぞ!」

部下1 「分かってるって、リーダー」

部下2 「ああ……さっさと捕まえて、色々と楽しみたいからな」

部下3 「溜まって溜まって仕方ないからなぁ……」

102 「ッ……」 (思念までは分からねぇが、クソッタレが脳波が感じられる)

102 (どこまでも低俗で、クズで、本当にクソッタレな脳波……)

部下4 「……こういう時のため……ってわけじゃないが、」

部下4 「運が悪かったな能力者! こんなモンがあるんだよ!」 ドン!

102 「あれは……アンチスキルの対能力者装備の、ネット弾……!」

メイド 「あっ……っ、」 ファサッ ドタッ




196 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 16:27:29.18 ID:NGnolTWW0
メイド 「おや、これは存外と動きづらい……というか、動けないですね。科学の進歩とは素晴らしいものですね」

102 「め、メイド!?」

メイド 「……あら? もしかして心配をしてくださるのですか、止様」

102 「だ、誰が心配なんてするか! 俺は、ただ単に自分の保身を考えて――」

リーダー 「――おいおい、暢気に話してる場合かぁ?」 グイッ

メイド 「あっ……!!」

リーダー 「へぇ……間近でみると本当に上玉じゃねぇか。こりゃあ楽しめそうだ」

部下1 「リーダー、俺にも触らせてくださいよぅ」

部下2 「あ、俺も俺もー」

部下3 「偉そうだった割には大したことなかった能力者だな。胸は大したもんだが」

部下4 「おいおい、それを言うならこの太ももも、腰のくびれもすげぇぜ」

部下5 「たまんねぇ身体だな。おいリーダー、あのもやしは放っておいて、さっさとコイツで楽しもうぜ」

102 「ッ……!」 (汚ねぇ……本当に、どこまでも汚ねぇ脳波だ……胸くそ悪りぃ……!)




197 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 16:31:33.48 ID:NGnolTWW0
102 「メイドッ……!!」

メイド 「………………」 フッ 「止様は、確実に人生損されてますね」

102 「……! な、何を……」

メイド 「まぁ、ツンデレというものは、現実世界では総じてそういう運命なのかもしれませんね」

102 「だっ、誰がツンデレだ誰が! っていうか状況を考えろよお前!」

メイド 「ご心配なく、止様」 フッ 「もう、終わっております故に」

リーダー 「……たしかに、終わってるなぁ。これから何十人もの男に蹂躙されるなんて、本当に――」

メイド 「――六名、わたしの素肌に直接触れていますね」

リーダー 「ああ?」

メイド 「ご心配なく。仲間内で諍いが起きないように、全員順番に起爆いたします故に」

メイド 「それでは、皆々様。しばし爆発の饗宴をお楽しみくださいませ」 ニコッ ――

――ッドォォン!!!




198 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 16:34:20.32 ID:NGnolTWW0
リーダー 「――……は?」

リーダー 「……お、俺の、腕……?」

リーダー 「腕……――――あああぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああッッ!!!?」

部下1 「り、リーダー!?」

メイド 「――それではお次は連続で、」

――ッドォォン!!! ッドォォン!!! ッドォォン!!! ッドォォン!!! ッドォォン!!! ――
ビチャッ ビチャッ ビチャッ ビチャッ ビチャッ

部下1 「へ――? 腕、爆発……?」

――『うわぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああッ!!!!」

102 「………………」 (さっきと同じだ。メイドに触れていた六人全員の腕が、爆発した……)

メイド 「レベル4の 『接触爆殺』(タッチボマー)」

メイド 「肌に触れたものすべてを爆発させるこれこそが、わたしの能力です」

メイド 「やはり邪魔ですね、このネット」 スッ

…… ッドォォン!!!




199 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 16:40:26.09 ID:NGnolTWW0
メイド 「――ふふ、やっぱり。汚い汚い、ドロドロの、どす黒い血」 クスクス

メイド 「こんな血でわたしを汚すなんて、本当にイケない方々ですねぇ」

メイド 「さぁて……他の皆様の血も、見せていただきましょうか」 ――ダッ

メイド 「ふふふ、さぁ、捕まえた♪」 カシッ

部下6 「ひ、ヒィ! た、助け――」

メイド 「ごきげんよう」

ッドォォン!!!

部下6 「ぷごはああぁあッッッ――――――!!!」

102 「ッ……」 (今度は、メイドの手が触れた胸が爆発……)




200 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 16:45:47.70 ID:NGnolTWW0
メイド 「次は貴方様」 ガシッ

部下7 「ヒッ――」

ッドォォン!!! ビチャッ

部下7 「カ――――――」

102 (今度は……っ……頭部が、爆発……脳漿が……っ……)

部下8 「っ……能力者がぁぁぁぁあああああ!!!」 グッ

102 「なっ――! メイド! 後ろ――」

部下8 「死ね!!」 ブゥン!!

ドガッ――ッドォォン!!!

部下8 「――……? がっ……あああああああああっ!!!?」

102 「なっ……!!?」 (殴った鈍器が爆発して、その破片が不良に……)




202 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 16:50:01.69 ID:NGnolTWW0
メイド 「ふふ、無駄、です。物理的な攻撃はわたしには通用しませんよ?」

メイド 「昔、ちょっとした実験に参加したために、誰かさんの演算パターンを代入されておりまして、」

メイド 「おかげでこんな難儀な、自分でも制御不可能なオプションがついているんです」

メイド 「『自動防御』……というよりは、『自動爆殺』(オートボム) とでも言った方が正しいですかね」

メイド 「わたしに対して攻撃的な接触をしたモノは、わたしの意志に関わらず、わたしにダメージを与える前に爆発します」

102 (っ……なるほどな。爆発自体は発動主であるメイドを傷つけない)

102 (そして物理的な攻撃はメイドに接触すると同時に爆発し、攻撃自体も完全に弾かれる)

102 (……無能力者が対抗できるような相手じゃないってことか)

メイド 「では、そろそろ全員の掃討を終わらせるとしましょうか」

メイド 「助けて……なんて無駄なことは言わないでくださいね」

メイド 「今まで自分たちが何をしてきたか、それを悔い改め謝罪しながら死んでいってください」

メイド 「抵抗さえしなければ、頭を吹き飛ばして楽に死なせてさしあげますから」 ニコッ

メイド 「……腕を吹き飛ばされたりすると、失血で死ぬまで結構な地獄ですから、それをお忘れなく」




205 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 16:53:42.26 ID:NGnolTWW0
………………

102 「………………」 (20人ほどの不良すべてを掃討するのに、ものの五分とかからない、か……)

102 (……それにしても、スプラッタな光景だ)

ドロドロ グチャグチャ ウゥ……

102 (頭がない死体に、胴体がまるごとなくなっている死体、まだ呻いている、手足をなくした人間……)

102 (そしてその真ん中に佇む、血まみれのエセメイド……)

メイド 「……さて、二十三名、全員分の死体が……多分、確認できました」

メイド 「任務完了です、止様」 ニコッ

102 「………………」

102 「……そうかよ」




207 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 16:58:06.41 ID:NGnolTWW0
メイド 「……やっぱり、怖い、ですか?」

102 「……悪かったな。死体を見るのは初めてなもんでな。怖くないと言えば嘘になる」

メイド 「そうではなく……」

102 「……?」

メイド 「……わたしが、怖い、ですか?」

102 「何だと?」

メイド 「……ナニモノをも爆発せしめるわたしが……笑みを零しながら人を爆殺するわたしが……」

メイド 「――怖い、ですか?」

102 「………………」

メイド 「わたし、今、血まみれですよね? ふふ……はは、また、人を殺したんですもんね」

メイド 「――ねぇ、答えてくださいよ、止様」

メイド 「わたしが、怖いですか?」




208 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 17:01:29.26 ID:NGnolTWW0
102 「――普段、」

メイド 「……?」

102 「普段、お前が手袋を身につけ、暑苦しい長袖とロングスカートのメイド服を身につけ、」

102 「そして厚手のストッキングを身につけて、肌の露出を顔だけに留めているのは、」

102 「――不用意に誰かを殺さないため、だろう?」

メイド 「………………」

102 「さっきお前は、自分の意志には無関係に爆発すると言った」

102 「お前は仮にもレベル4だ。自分の能力くらい、かなりのレベルで制御できているだろう」

102 「お前は万が一にも無関係な人間を殺さないように、普段はあんな格好をしているんだろう?」

メイド 「……だったら、何です?」

102 「簡単なことだ。くだらねぇ」

102 「万が一の人殺しを厭うような人殺しが怖いわけがないだろうが」

102 「――そんな辛そうな目をした奴が、怖いわけがねぇんだよ」




209 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 17:04:39.16 ID:NGnolTWW0
メイド 「………………」

メイド 「……貴方、様、は、」

102 「……あん?」

………………

リーダー 「………………」 (っ……痛てぇ……クソッタレ!!)

リーダー (腕、なくなっちまった……くそッ……あのアマぁ!!!)

リーダー (どうせこのまま死ぬのなら……!)

リーダー (ぶっ殺してやる……絶対にぶっ殺してやる……!) ガチャッ

リーダー (知らねぇんなら教えてやるよ、能力者……!)

リーダー (銃ってのはな、腕一本でも使えるんだよッ!!)

ガバッ!!




212 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 17:06:33.65 ID:NGnolTWW0
メイド 「っ……!!?」

102 「なっ……!?」 (腕一本なくしてもまだ立ち上がるってのか……!)

リーダー 「死ね! クソ女!!」 グッ

102 「――クソッタレが!」 ザッ

キィィィィィン……!!

リーダー 「ッ――!!? か、身体、が……」

102 (脳髄支配領域20%……これなら、普通の人間は随意運動は不可能になる)

メイド 「……助かりました、止様」 ダッ 「――往生際の悪い男性は嫌いではありませんが、場合によります」 ガシッ

メイド 「召しませ」 ッドォォン!!!

リーダー 「――――――」 バタン

102 「っ……!」 ハァ (……ダメだ。やはり俺の能力は実戦には向かないな)

102 (能力者の脳髄を支配している間は、膨大な演算を行なうために俺自身が無防備になる……か)

102 (はっ……まぁ、失敗作の俺には相応しいがな)




213 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 17:09:04.63 ID:NGnolTWW0
メイド 「………………」 フッ 「……止様、ありがとうございました」 ペコリ

102 「……べつに、お前のためにやったわけじゃない」

102 「俺は俺の保身しか考えない。それを忘れるな」

メイド 「ふふ……そうですか。ではひとつだけお教えしておきましょうか」

メイド 「わたしの自動爆殺は存外と強力でして……実は銃弾も防御爆殺が可能なのですよ」

102 「――は?」 (ってことは、今のは俺の取り越し苦労……ってことか)

メイド 「ですが……まぁ、止様に守っていただけて感激ですし、」

メイド 「結果オーライですね。止様」 ニコッ

102 「ッ――知るか」

フラッ …… パタン

102 「……? メイド? お、おい!?」

メイド 「すみません……今日は止様もいらしたので、本音を言うと、少々、気を張っておりました……」

メイド 「疲れたので……寝ます。止様は……外の、方に、報告だけ、して、お先に、お帰り、を……」 zzzzz……




214 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 17:13:32.99 ID:NGnolTWW0
102 「……よくこの死体の山の中で眠れるな」

102 (……いや、弱い俺を危険にさらさないために、色々と気をつけて戦ってくれていたせいか)

102 (クソッタレ……誰が守ってくれなんて言った……胸くそ悪りぃ)

メイド 「………………」 zzzzz……

102 「ああクソっ! 本当に胸くそ悪い!!」 サッ

ググッ

102 「……!?」 (ぞ、存外と、重い……)

102 「くそ……俺が弱いんじゃない……コイツが重いんだ……」 ヨロヨロ

102 「……こんなに細いが……きっとどこかに筋肉がつまってるに違いない……」

102 「そ、そうでなきゃ……」 フラフラ 「お、俺が、こんなに、よろけるはずが……」

102 「……訓練、しなければ……」




216 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 17:17:53.90 ID:NGnolTWW0
………………

人員 「――あっ、ヒトマルニさん! ……!? メイさん!?」

102 「安心、しろ……ち、ちと……眠ってる、だけ、だ……」 フラフラ

102 「血も……全部、返り血……」 フラフラ

メイド 「………………」 zzzz……

人員 「……た、たしかに……ヒトマルニさんの方がきつそうですもんね」

102 「余計なこと……ぬかす、な……」 フラフラ

人員 「あ、あのー……」

102 「な、なん、だ?」 ヨロヨロ

人員 「それがヒトマルニさんの好みなら構いませんが……おんぶの方が楽だと思いますよ?」

102 「………………」

人員 「………………」

102 「………………」 スッ 「……お前、天才だな。そう、だから決して俺の頭が悪いわけではない」

人員 「……はぁ」 (面白い人だなぁ)




218 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 17:22:24.44 ID:NGnolTWW0
………………

102 「と、いうわけで掃討任務はメイドが終わらせた。事後処理は頼んでいいのか?」

人員 「はい。お任せください。死体はすべて後腐れなく処分しますので。シィさんへの報告もしておきますので」

102 「………………」 (ここら辺は努めて事務的……誰も彼も、腐っても暗部ってことか)

102 「さて……じゃ、後は頼む。俺はこいつを連れて帰る。ああ、あと、メイの車もあとで返しておいてくれ」

人員 「えっ……? 車、乗っていかれないんですか?」

102 「生憎と俺は自動車の運転の心得がないんでな」

人員 「じゃあ、どうやって帰るんです?」

102 「……電車やバスにこんな血まみれでは乗れないだろう」

102 「たかだか十キロくらいだ。裏道を歩いて帰る」

人員 「な、なら私が車を運転しますよ!」

102 「お前には事後処理の仕事があるだろうが」

人員 「そんなの、後でもべつに構いません!」

102 「………………」




219 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 17:25:31.94 ID:NGnolTWW0
102 「……いや、いい。俺はお前たちと馴れ合うつもりはないからな」

人員 「そんなの――」

102 「――コイツらに情を移すな。命令にだけ従っていろ」

人員 「……っ、でも――」

102 「……もしこの場をお前が離れて、それが重大な問題に発展したとする」

102 「この街の上層部は容赦をしない。その場合、お前、間違いなく消されるぞ?」

人員 「そ、それは……」

102 「……もう一度言う。『ボックス』 の命令だけに従っていろ。すべての責任を 『ボックス』 に押しつけろ」

102 「……でないといつか死ぬぞ? 本当に」 クルッ 「……後を頼む」 スタスタ……

人員 「………………」 ダッ ファサッ

102 「……? 何の真似だ?」

人員 「ご安心を。バーゲンで買った、1,980円の安物のコートです。汚れても構いません」

人員 「裏道とはいえ、そんな血まみれの格好の女性を見られたら一発でアウトですよ?」

人員 「せめてこうしてメイさんを覆ってください」




220 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 17:29:23.36 ID:NGnolTWW0
102 「む……たしかにそうだが、俺が言いたいのはそんなことではなく――」

人員 「―― 『ボックス』 の皆さんと一緒の道を辿って死ねるのなら本望ですよ」

人員 「どうせ、私のようなレベル0は、学園都市暗部ではすぐに死ぬ運命ですからね」

人員 「でも、だったらせめて、自分の好きな人達のために死にたいですから」 ニコッ

人員 「けど……たしかにここを離れるのはマズイですから、せめてコートを」

人員 「ヘタに殺されて、優しい 『ボックス』 の皆さんに嫌な思いを背負わせたくはないですからね」

102 「……けっ、そうかよ」

人員 「はい……止さん」

102 「なっ……そ、その名前で呼ぶな! それは連中が勝手に呼んでるだけだ!」

人員 「ふふ……お優しい方ですね、止さんは。私のことを心配してくれたり、何だかんだでメイさんを背負ってくれてたり」

102 「なっ……べ、べつにお前を心配したわけじゃない! コレを運ぶのだって……特に理由はない!」

人員 「いや……その言い訳はもはや言い訳の体裁を成していませんよ……」 フッ 「本当に、優しい人ですね」

人員 「願わくは、『コイツら』 ではなく、『俺たち』 と呼んでくれる日が来ることを」 ニコッ

102 「けっ、くそったれ……」 スタスタ…… ピタッ 「……コート、ありがとよ。事後処理、頼んだ」




221 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 17:32:57.68 ID:NGnolTWW0
………………

メイド 「…………う、ん……」 zzzz……

102 「………………」 トコトコ…… (……寝顔はガキみたいだな。さっきまでの様子が嘘みたいだ)

メイド 「……――る……」

102 「……?」

メイド 「…………い……る、」

メイド 「……イ、ル…………」

102 (イル……? あのガキのことか)

メイド 「……イル……大丈夫……あなたは、わたしが……守る、から……」

メイド 「大丈夫……あなたは……わたしが、まも、る……か、……ら……」

メイド 「………………」 zzzzz……

102 「………………」




224 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 18:01:43.96 ID:NGnolTWW0
………………

ソワソワソワソワ……

C3 「お、遅いなぁ~~~……遅いなぁーーーー……」

子供 「……シィ、おちつき、ない。UZE」

C3 「落ち着きがないって……仕方ないじゃないか。下部組織の人員から、二人は歩いて帰るって電話があったんだよ?」

C3 「任務地からここまで概算で十五キロはあるっていうのに……」

C3 「まったく……連絡をくれれば僕が車で迎えに行ったのに……」

子供 「……メイ、sleeping。とまる、シィのnumber、知らない。しかたない、こと」

C3 「むぅ……そりゃまぁそうだけどねぇ……」 ソワソワ

子供 「だまって、まつ。それが、オトコ」

C3 「まさかアメリカ生まれの七歳児に漢を語られるとは……っていうか、UZEって何?」

子供 「……? なかったか? う……うぜ……うぜいー……」

C3 「……? あ、もしかして、ウザイ?」

子供 「! そう、それ。シィ、ウザイ!」




225 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 18:04:04.66 ID:NGnolTWW0
C3 「とっても良い笑顔でそういうことを言わないようにね? おにーさん結構傷つくから」

子供 「シィ、ウザイ!」

C3 「お願いだから口癖にしないでっ!」

…… キャッキャッ

102 「……人が、苦労して、帰ってきたところで……」

102 「お前らは玄関前でなに漫才やってんだよ」

子供 「あっ! とまる! ……! メイ!!」

C3 「……落ち着きなよ、イル。眠ってるだけだって言っただろう」

C3 「……止、ありがとう。メイを連れて帰ってくれて」 ペコリ

102 「………………」 ケッ 「……知るか。こっちは四時間歩き通しで疲れてるんだ。さっさと引き取れ」




226 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 18:08:01.51 ID:NGnolTWW0
C3 「ふっ……はいはい」 サッ…… 「……? あれ?」

ギュッ

102 「? おい、さっさと受け取れよ」

C3 「悪いけど、」 フッ 「それは無理な相談かな、止」

102 「んだと?」

C3 「メイってば、思いっきり君の服の裾を掴んでる」

C3 「これを引き剥がすのはちょっと無理だよ」

C3 「さ、最後の一仕事だよ、止。メイを彼女の部屋まで運んであげてくれ」 ニコッ




227 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 18:12:27.45 ID:NGnolTWW0
………………

102 「……くそったれ。何だって俺がこんなことを……」

子供 「ボヤかない。それ、とまるのダメなトコ」

102 「うるせぇクソガキ」

子供 「クソガキちがう。イル」

102 「……くそったれ」 タンタンタン…… 「メイドの部屋はここだな? ガキ、ドアを開けろ」

子供 「イル」 ギィ……

102 「っ……」

子供 「どうかしたか、とまる? fansyでとってもpreatyなへや、だろ?」

102 「……チッ」 クルッ

子供 「とまる? どこいく?」

102 「あんな上等そうなベッドに、こんな血まみれの奴を寝かせられるか」




228 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 18:43:37.08 ID:OfvOu8Sq0
102 「……俺のベッドでいいだろう。そこに寝かせる」

子供 「………………」

102 「んだよ。なんか文句でもあるのか、ガキ」

子供 「ガキちがう。イル」 クスクス 「とまる、ゼッタイ、ジンセイ損してる」

102 「……メイドと同じようなこと言いやがって……知るかよ」

子供 「その優しさ、もっと前、押し出すべき」

102 「だ、誰が優しいだ誰が! べつにこいつのためを思ったわけじゃなく……」

102 「ただ単に上等なベッドを血で汚すのが忍びなかったってだけだ!」

子供 「……こういうの、なんて言うだったか……」 ポン! 「そだ、たしか、ツンドラ言う!」

102 「いいからクソガキ、さっさとドアを開けろ」




229 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 18:46:08.78 ID:OfvOu8Sq0
………………

ポン……

メイド 「………………」 zzzz……

102 「……ふぅ。やっと荷が下りた」

102 「ったく、何だってこんなに重いんだ、コイツ」

子供 「……重い、ちがう」 ボソッ 「とまるが、powerない、それだけの、こと」

102 「……何か言ったか。クソガキ」

子供 「イル、ADULTなLADY。だから、こう答える」

子供 「イルは、なにも、言ってない」 パチッ☆

102 「うるせぇクソガキ」




230 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 18:48:27.92 ID:OfvOu8Sq0
メイド 「………………」 zzzz……

102 「……せめて簡単に血をふき取るくらいはやってやるべきか……」

子供 「………………」 ニヤッ

102 「……! ち、ちがうぞ! べつにこの女のためを思ったわけじゃなく、」

102 「ただ単に俺のベッドを汚されるのを最小限に留めようとだな――」

子供 「――イル、タオルと、センメンキに、湯、持ってくる。とまる、待ってろ」 ダッ

102 「………………」

子供 「………………」 ヒョコ 「……ツンドラヤロウ」 ボソッ

102 「っ……うるせぇクソガキさっさと行け!」

ダダダダダ……

102 「くそったれ……。待ってる義理なんて……」

メイド 「………………」 zzzz…… ギュッ

102 「……くそったれ」 ハァ 「これじゃ動けねぇじゃねぇか……」




231 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 18:51:27.29 ID:OfvOu8Sq0
………………

子供 「――とまる、もうこっち見ても、OK」

子供 「イル、メイのソージ、終わった」

102 「そうかよ」 クルッ

102 「……ふん、」(存外ときれいに拭けてるじゃねぇか)

子供 「メイ、がんばった。イル、褒めてつかわす」 ナデナデ

メイド 「………………」 zzzz……

102 「……これでも目を覚まさないってことは、相当疲れてるんだな」

子供 「………………」 コクン 「しばらく、order、たくさん、入ってる」

子供 「メイとシィ、休む時間、少ない」




232 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 18:56:29.49 ID:OfvOu8Sq0
102 「……なるほどな。まぁ、つい先日 『魔術』 とかいうわけの分からん能力開発機関からの攻撃もあったことだしな」

102 「暗部の仕事が増えるのもやむなし、か」

子供 「……だから、ありがと、とまる」

102 「……ああ?」

子供 「メイをここまで運んでくれて」 ニコッ

102 「……し、仕方なく、だ。運びたくて運んだわけじゃない。勘違いするな」

子供 「………………」

102 「………………」

子供 「……ツンドラ」 ボソッ




233 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 18:59:47.54 ID:OfvOu8Sq0
………………

子供 「…………くぅ……」 zzzz……

102 「……ったく。結局コイツも寝やがった」

102 「くそったれ……風邪引くだろうが」 ファサッ

102 「……べ、べつにコイツを心配して上着をかけてやったんじゃないぞ?」

102 「ただ単に、コイツが風邪でも引いて、それで俺に迷惑がかかるのがイヤだったってだけだ」

102 「……って、俺は誰に言い訳してんだよ……アホか」

子供 「…………にふふふー……とまる、stupid……」 スヤスヤ

102 「………………」 イラッ

102 「……コイツ本当に寝てるんだよな?」

102 「……くそっ、ヒマだ」

102 「っつーか、本当に寝たいのは四時間ぶっ通しで歩き続けた俺の方なんだがな……」

メイド 「………………」 zzzz……

子供 「………………」 スヤスヤ




234 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 19:02:45.57 ID:OfvOu8Sq0
102 「………………」

102 「……まぁ、いいか。べつに眠くねぇし」

102 「服の裾も解放されたことだし、談話室にでも――」

――ガシッ

102 「っ……!?」

メイド 「………………」 zzzz……

102 「こ、今度は手かよ……くそっ、」 グッ、グッ、

メイド 「………………」 zzzz……

102 「くそっ、無駄に力が強い……手を開けねぇ……!」

102 「………………」

102 「お、俺が弱いんじゃない! コイツの握力が強すぎるだけだからな!」

102 「っ……片手を塞がれた状態で、コイツが起きるまで待ってろっていうのかよ……」

ガシッ

102 「……っ!?」

子供 「………………」 スヤスヤ




235 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 19:08:04.96 ID:OfvOu8Sq0
102 「……っ、コイツもかよ。つうか、これで両手を塞がれたんだが……」

102 「くそっ……脳波はしっかりと睡眠状態……コイツら、本当の天然でこの所業かよ……」

102 「………………」

102 「別に無理矢理引っ張ったって構わないよな……」

メイド 「………………」 zzzz……

子供 「………………」 スヤスヤ

102 「起こしたって、俺が悪くはないわけだし……」

メイド 「………………」 zzzz……

子供 「………………」 スヤスヤ……

102 「……っ、くそっ……!」

102 「そ、そうだ。ここは俺の部屋だ。わざわざ俺が出ていく方がおかしい。理不尽だ」

102 「し、しょうがないから寝かせておいてやるが、俺も自分の部屋にいるぞ」

102 「ただ、それだけのこと……決して、コイツらを寝かせておいてやりたかったというわけではない」

102 「…………待てよ?」

102 「両手を握られた状態で、俺は一体何をして過ごせばいいんだ……?」




236 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 19:11:58.17 ID:OfvOu8Sq0
………………

メイド 「――ん……んぅ……」 モゾモゾ

102 「……? ん?」

メイド 「……あ、っ……」 パチリ

メイド 「……止、様?」

102 「無駄だと分かりつつ訂正する。俺は102だ」

メイド 「ここは…… 『ボックス』 の宿舎……?」

102 「そうだ」

メイド 「……もしかして、止様がわたしを……?」

102 「………………」 ケッ 「……知らん」

メイド 「……ずっと、そこで看ていてくださったんですか?」

102 「………知らん」

メイド 「あっ……もしかして、わたしの手……握っていて、くださったんですか?」

102 「…………知らん――じゃなくて! それはお前の方から握ってきたんだからな!」

102 「決して、俺から握ったわけじゃないからな! そこ勘違いするなよ!」




237 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 19:15:51.43 ID:OfvOu8Sq0
メイド 「………………」 ジッ 「……わたしの、手を、」

102 「……? な、何だよ?」

メイド 「わたしの手を、振り解こうとは、しなかったのですか……?」

102 「したよ! したけどお前の力が強すぎて振り解けなかったんだろう――」

102 「――ってちがう! 本気を出したらもちろん振り解けたけどな、そうしちまうとお前が起きちま――」

102 「――それもちがう! とにかく! 決してお前のためを思ってそのままでいたわけじゃないからな!」

メイド 「………………」

メイド 「あの……ツンデレのお手本のようなことをしていらっしゃる中、大変恐縮なのですが、」

メイド 「……わたしの手に触れていることが、怖くは……なかったのですか?」

102 「誰がツンデレだ誰が!」 クワッ 「っていうか、さっきも言っただろうが!」

102 「人を殺してあんな辛そうな顔をしている奴が怖いわけがねぇんだよ!」

メイド 「……!!」




239 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 19:19:14.50 ID:OfvOu8Sq0
102 「……なんだよ、その顔は」

メイド 「………………」

メイド 「いま貴方様が触れている、私の手……もし私が一度でも止様に対して敵対心を持ったとしたら、」

メイド 「……その瞬間に、貴方様の手は吹き飛ぶんですよ?」

メイド 「それでも、私が怖くはないんですか? 私とふれあっていることが、怖くないんですか?」

102 「……じゃあ一つ聞くがな」

メイド 「……はい」

102 「もし小さな子どもが包丁を持っているとする。別段おかしなところはなく、ただ単に包丁を持っているだけだ」

メイド 「……?」

102 「そいつの持つ包丁が怖いか?」

メイド 「いえ……むしろ逆に危なっかしいとすら思いますが……」

102 「……つまりはそういうことだ」

102 「お前の能力なんて俺にとっては、ガキのちらつかせる危なっかしい包丁に等しいんだよ」

102 「――お前はテメェの能力を怖がる、ただの危なっかしいガキだ」

102 「少なくとも俺には、そんな奴を怖がる理由も道理もない。ただそれだけのことだ」




240 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 19:23:25.28 ID:OfvOu8Sq0
メイド 「………………」

102 「怒ったか? なら俺の手を吹き飛ばしてもいいぜ? できるんならな」

メイド 「………………」

102 「できないんならさっさと放せ。俺にだってやることはある。暇はねえんだよ」

メイド 「あっ……す、すみません……」 サッ

102 「けっ……」 (ようやく片手が空いた……)

メイド 「……あ、あのっ、止様!」

102 「……なんだよ」

メイド 「正直に……正直に、申し上げます」

102 「……?」

メイド 「わたしは……今回、貴方様が 『ボックス』 に来ることを、嫌だと思っておりました」




241 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 19:26:06.97 ID:OfvOu8Sq0
102 「……あん?」

メイド 「わたしとシィ様とイル……三人は、貴方様は馴れ合いと笑うかもしれませんが、強い絆で結ばれております」

メイド 「……ですから、わたしは、そこに四人目のまだ見ぬ誰かが入ることを、正直に嫌だと思っておりました」

102 「………………」 (……まぁ、そりゃそうだろうな)

メイド 「……ですが、その考えは間違いだったと、今まさに気づきました」 ニコッ

メイド 「今なら心から言えます……」 ギュッ 「止様、ようこそ 『ボックス』 へ」

102 「っ……」 サッ 「お、俺は……俺は、お前たちの馴れ合いに加わるつもりは――」

メイド 「――ふふ、そう言う割には、かなり綻びが見え始めていますけれど」 クスッ 「ツンデレさんですし」

102 「ち、違うって言ってるだろうが!」




243 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 19:36:30.08 ID:OfvOu8Sq0
子供 「………………」 スヤスヤ

メイド 「……ふふ……あら、何か足が重いと思ったら、こんなところに可愛らしいお嬢さんが」

メイド 「イルったら……まったくもう、寝顔まで至高の可愛らしさなのですから、本当に参ります」 ゴクッ

102 「……突っ込まんぞ。今お前が生唾を飲み込んだことについて、俺は絶対に突っ込まないからな」

メイド 「イル……心配してくれたんですね……ごめんなさい」 ナデナデ

子供 「………………」 スヤスヤ

102 「……お前が目覚めるまで傍にいるって意気込んでたんだがな」

102 「さすがに、この歳のガキに布団の前でただ待ち続けるなんて芸当は難しいようだな」




244 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 19:47:29.80 ID:OfvOu8Sq0
メイド 「ふふ……止様は本当にお優しいのですね」

102 「もう少し会話に脈絡をな、持たせるべきだとは思わないか? お互いのためにも」

メイド 「寝てしまったイルに、上着を羽織らせてあげるなんて、本当にお優しいのです」

102 「……ほ、干してる、だけ、だ」

メイド 「………………」 プッ

102 「なっ、おまっ……! お前いま笑っただろ! この野郎!」

メイド 「ほーら、あんまり騒ぐとイルが起きてしまいますよ?」

102 「む……」

メイド 「あらあら、」 クスクス 「本当にお優しい方ですね」

102 「くっ……このメイド、後で覚えてろよ……」




245 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 19:48:40.30 ID:KUR5Xkz+0
止がイケメン過ぎる




246 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 19:50:18.40 ID:OfvOu8Sq0
メイド 「……ふふ、それは怖い。……?」

102 「どうかしたか?」

メイド 「この部屋……落ち着いて見ると、わたしの部屋ではありませんね」

102 「俺の部屋だ」

メイド 「はぁ、止様の部屋……ええっっ!? と、止様の、お部屋!?」

102 「……? どうかしたか?」

メイド 「…………///」

102 「……おい、どうした」

メイド 「そんな……止様ったら、大胆なんですね……」

102 「………………」

102 「お前が何を考えているのかは知らんが、それは色々とおかしいということに気づけ」




249 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 20:18:39.71 ID:OfvOu8Sq0
メイド 「……ふふ、ノリの悪い方ですね、止様は。せっかくこんな美少女が頬を染めて差し上げましたのに」

102 「あん? どこの誰が美少女だって?」

メイド 「………………」 ニコッ 「……知ってます? ベッドって、爆発すると面白いんですよ?」

メイド 「スプリングがこう、ドパンドパン! と飛び出して、それはもう幻想的な光景に――」

102 「分かった。悪かった。俺が悪かったからやめてくれ! 俺の寝る場所がなくなる!」

102 「っていうかお前、さっさとシャワーでも浴びに行けよ!」

メイド 「ええ、まぁ、身体がドロドロで気持ち悪いですし、行きたいところですが……」

メイド 「申し訳ありませんが、イルが目覚めるまでは、ここにいます」

102 「………………」

102 「……そうかよ。勝手にしろ」




250 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 20:21:15.03 ID:OfvOu8Sq0
子供 「………………」 ムニャムニャ 「……んむぅ……?」 パチッ

メイド 「あら、ウワサをすればなんとやら、起きてしまいました」

メイド 「おはようございます、イル」

子供 「……メイ? ――メイ!」 ピョコン!

子供 「メイ! 目、さめた!?」

メイド 「ええ、もちろん。目が覚めたからこそ、起きあがっているのです」

子供 「……メイ、ケガ、ない?」

メイド 「ええ、もちろんです」 ニコッ 「……そちらの止様が、守ってくださいましたから」

子供 「とまる、が?」 クルッ 「……? アレ?」

102 「んだよ、ガキ」

子供 「な……なんで、とまると、イル……手、つないでるか?」




251 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 20:23:43.96 ID:OfvOu8Sq0
102 「いや、これはお前が――」

子供 「とまる! イル寝てるからって、手、つなぐ、それ、かなり……その……は、は……はれ……?」

メイド 「……? ああ、もしかして、破廉恥、ですか?」

子供 「そう! それ! ハレンチ、だ!」

メイド 「……なるほど。わたしでもシィ様でもなく、イル狙いでいらっしゃいましたか」 ギラン

メイド 「だとすれば今ここでサクッと息の根を止めておくというのも――」

102 「人の話を聞け、このボケメイドとクソガキ! この手はお前が握ってきたんだろうが!」

子供 「……? ――ああ、」 ポン 「ナルホド。これがウワサの、テレカクシ、ってヤツか?」

メイド 「まったくその通りですね、イル。ヒューヒュー、この超絶美少女~」




252 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 20:26:30.53 ID:OfvOu8Sq0
子供 「………………」 ファサッ 「言うほど、ない。イル、naturalで、モテモテ、だから」

102 「………………」 ハァ 「……もうどうでもいい。さっさと手を放せ、クソガキ」

102 「そしてお前はさっさとシャワーに行け、ボケメイド」

メイド 「ふふ、止様、怖いですよ」 ニコッ 「ではお言葉に甘えて……イル、あなたも一緒に行きますか?」

子供 「ん。off course、イルも、行く」

メイド 「……止様、」

102 「あん?」

メイド 「ありがとう、ございました」 ペコリ

102 「………………」

102 「……けっ。早く行けよ」 シッシッ




253 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 20:31:56.72 ID:OfvOu8Sq0
………………

102 「……くそったれ。何なんだよアイツらは……」

ドロドロ……

102 「……マットレスと布団は明日にでも新しいのを買ってくるとして、」

102 「今晩は談話室のソファで寝るか……」

? 「はは……何だかんだで君も難儀だよねぇ」

102 「……C3か」

C3 「べつにする必要がないことまでしてあげて、その結果としてワリを喰って……」

C3 「それでもまだ、馴れ合いはしないなんて言うのかい?」

102 「………………」

102 「……知るか」

C3 「思考停止はとても素晴らしい技能だとは思うけど、使い道には注意が必要だよ?」 ニコッ

102 「……黙れ」




254 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 20:34:26.60 ID:OfvOu8Sq0
C3 「下部組織の方から聞いたよ。君の優しい所業と言葉をね」 ニヤニヤ

102 「……知らん」

C3 「それから、今メイにも聞いた。君がメイを守ってくれたって」

102 「……能力を久々にテストしてみたかっただけだ。メイドを助けたかったわけじゃない」

C3 「ふふ……さすがにそろそろ苦しい感じになってきたけど」

102 「っ……」 サッ

C3 「? どこに行くんだい?」

102 「……地下に訓練場があると聞いた」 スタスタ

C3 「ふぅん……」




255 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 20:37:06.07 ID:OfvOu8Sq0
102 「………………」 ピタッ 「……おい」

C3 「なんだい?」

102 「……単刀直入に聞く。お前は強いのか?」

C3 「それはそれは……なかなか難しい質問をするね。強いのか、か」

C3 「さぁ、どうだろうね? 比べる対象がなきゃどうとも言いづらいけど」

102 「……あのメイドと比べたら?」

C3 「………………」 フッ 「……まぁ、そうだね。僕ら能力者ってのはジャンケンみたいなもんだけど、」

C3 「メイと僕が戦うことを想定するなら……ほぼ確実に僕が勝つだろうね」

102 「………………」

102 「……分かった」 クルッ 「それだけ分かれば十分だ」 スタスタスタ……




256 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 20:39:40.47 ID:OfvOu8Sq0
………………地下訓練場

102 「銃器がひと揃い、か……さすが、腐っても暗部ってトコか」

102 (分かっている。俺は弱い。あのメイドよりも。そして、恐らくはC3よりも)

102 (……ならば、強くならなければ)

102 (生きる意味などない。生きる気もない……だが、それでも、俺は……)

102 (……分かってる。分かってるよ。俺は正道を外れ、堕ちた)

102 (今さらどう足掻こうと、その事実は変わらない。まともな能力の向上は、もう望めない)

102 (……はっ、表の世界で猫を被るために使っていたつもりだったんだがな)

102 (努力できる分は努力する……この優等生的気概は、もしかしたら俺の根っこだったのかもしれないな)

102 (くくくっ……生きる気もない。死ぬ気もない。だが、伸びしろがあるのならそれを伸ばさなければ気が済まない)

102 (俺らしい、中途半端な動機付けだ) フッ

102 「……やってやるさ。レベル1からレベル3まで登り詰めた優等生を舐めるなよ」




257 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 20:49:03.05 ID:OfvOu8Sq0
パシュッパシュパシュパシュッ

102 「………………」 (撃っている感じはしない。これがエアガンか……)

102 「……威力は低いが、ヘタに火薬式の銃を使うよりは反動も少なくていいか」

102 「……にしても、意外と的に当てるのは難しいな」

パシュッパシュパシュパシュッ

? 「……アゴ、引く。そえる手、いしきする。ショウジュン合った、おもったら、もう、shot!」

102 「……? げっ、クソガキ……」

子供 「……それ、できてない。だから、とまる、shooting、ヘタ」 ホカホカ

102 「……風呂上がりで来る場所じゃねぇだろ、ここは」

子供 「それ、イルの勝手。それより、イルの言うとおり、する」

102 「……ッ、」 (アゴを引いて、添える手を意識して、狙いが合った瞬間に――)

パシュッ …… パタン

102 「あっ……当たった」

子供 「very good、とまる」 グッ




258 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 20:52:31.13 ID:OfvOu8Sq0
………………

パシュッパシュパシュパシュッ

ビーーーーーーッ

102 「……ふぅ」 チラッ 「……スコア、88%、か……喜んで良いのか微妙な数字だな」

子供 「……gun、持った、はじめてなら、大したもの」

子供 「とまる、sense、ある」

102 「……そーかい。そりゃどうも」

102 「……ってかお前、風呂上がりに人の訓練見て楽しいのか?」

子供 「ソレナリに」

102 「そうかよ」

パシュッパシュパシュパシュッ

子供 「………………」

102 「………………」 パシュパシュパシュッ

子供 「………………」

……ビーーーーーーッ




261 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 21:28:34.24 ID:OfvOu8Sq0
102 「……スコア更新。89%、か……」

子供 「………………」

子供 「……とまる、」

102 「今さら無駄だとは分かっているがな、俺はそんな愉快な名じゃ――」

子供 「――とまる、能力、どんなの?」

102 「………………」

子供 「どんなの?」

102 「……答える義務はねぇな」 パシュパシュパシュッ

子供 「………………」

102 「ガキ、」

子供 「ガキ、ちが――」

102 「――おまえの能力は何だ?」

子供 「………………」

102 「………………」

子供 「……ヒミツ」




262 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 21:31:34.36 ID:OfvOu8Sq0
102 「……けっ、そうかよ」

子供 「とまる、教えたら、イル、教えないこと、ない」

102 「そうかよ」 パシュパシュパシュッ

子供 「………………」

102 「………………」 パシュッパシュパシュパシュッ

子供 「……ちなみに、レベル、3」

102 「レベル3? はっ、ずいぶんと脆弱な能力みたいだな」

子供 「……そう。イルは、まったく、強くない」

102 「………………」

子供 「……いつも、メイとシィの、アシデマトイ」

102 「………………」

子供 「………………」

102 「……俺もだよ」

子供 「……?」

102 「俺も、おまえと同じ、レベル3だ。……レベル1の奴に負けちまうような、弱い弱いレベル3だよ」




263 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 21:33:53.32 ID:OfvOu8Sq0
子供 「………………」

102 「………………」カシュッ パシュッパシュパシュ

子供 「……ブキヨーな、ひと」

102 「ああ?」

子供 「とまる、やっぱり、ジンセー、損してる」

102 「……そうかよ」 フン

子供 「そう」 ニコッ

――ビーーーーーーッ




264 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 21:37:29.68 ID:OfvOu8Sq0
? 『――――――――――――ッッッ!!!!』

? 『………………――――――ッ!!』

102 「……? 何だ? 上がいやに騒がしいな」

子供 「? この声、メイと、シィ」

メイド 『イル……!? イル!! イル! イルぅぅぅぅぅうううううう!!!』

メイド 『どこなんです!? どこにいるんですかぁぁぁああああ!!!?』

C3 『ち、ちょっと落ち着きなって、メイ』

メイド 『離してください! 早く……早くイルを見つけないと……少し目を離した隙に……』

メイド 『も、もしかして……な、何者かに、拐かされたのかもしれません……』

メイド 『い、いいいぃぃいい、イルぅぅううううううう!!!』

C3 『め、メイ!?』

ドタタタタタタタッ……バァン!!

メイド 「イル!!!!!!」

子供 「……!!」 ビグッ




265 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 21:41:30.33 ID:OfvOu8Sq0
102 「……ッ!?」 (な、何だってんだ!?)

メイド 「……い、イル……良かった……ここに、いたんですね……」 ヨロヨロ……ギュッ

子供 「メイ……また、コンラン、したか?」 ギュッ

メイド 「……良かった……イルがどこかへ消えてしまったのかと思って……」

メイド 「そうしたら、わたしは……わたしは……」 ギュッ

子供 「め、メイ……ちょっと……いたっ、いた、い……」 ミシッ

メイド 「――! す、すみません!」 バッ 「つい……思わず。け、怪我はありませんか!?」

子供 「な、ない。だから、アンシンする。メイ、もう、コンランしては、ダメ」

メイド 「はい……すみません……」

子供 「……メイ、もう寝る。イルも、一緒寝る、から」 ヨシヨシ

子供 「とまる、おやすみ」 ノシ

102 「……あ、ああ」

メイド 「……止様、おやすみなさいませ」 ヨロヨロ……

ガチャッ……バタン……




266 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 21:45:48.08 ID:OfvOu8Sq0
102 「………………」

102 「……メイドのあの狂気的な顔……ガキを本気で心配していたのか」

102 「あの様子では、ガキが先に風呂から上がって……そして、この訓練場に来た……」

102 「メイドが風呂から上がると、上にはガキの姿がなかった」

102 「だからメイドが発狂して、奇声を上げながらガキの姿を探していた……と」

102 「――そういうことか? C3」

C3 「おや、驚いた」 ガチャッ 「バレているとは思わなかったよ」 バタン

102 「あんまり俺を舐めるなよ? 足音くらい聞こえていた」

C3 「……まぁ、君の言ったとおりだよ。イルがこの訓練場に足を運ぶことなんて滅多にないからね」

C3 「上のどこにもイルの姿がなかったものだから、メイが慌てちゃってね」

102 「………………」

C3 「……君が何を言いたいかは分かってるよ」 フゥ 「その通りさ。メイはイルに依存している」




267 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 21:50:14.11 ID:OfvOu8Sq0
C3 「……メイはね、あんな能力故に、人とのふれあいをあまり知らずに育ったらしい」

C3 「ま、分からなくもないよね。手をふれあっただけで爆破されるかもしれないんだ」

C3 「彼女は幼少の頃からずっと、きっと孤独だっただろうね」

C3 「実際、彼女と知り合ったばかりの頃は、今とはまるで違う様子だったよ」

C3 「今でこそ顔は露出しているけど、初めて会ったときは仮面まで付けていたからね」

C3 「そして他人を寄せ付けず、誰とも関わろうとせず、ただひとりで生きていた」

C3 「万が一にも謝って誰かを傷つけてしまうこと、」

C3 「そして、それによって集団から排斥されること……それが、怖かったんだろうね」

102 「……それがどうしてあんな女になった?」

C3 「イルのおかげさ」




268 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 21:53:37.68 ID:OfvOu8Sq0
C3 「冷徹で酷薄な仮面を被り、誰も寄せ付けず、誰からも恐れられていたメイを、イルは怖がらなかったんだ」

C3 「イルはメイに近づき、その仮面を徐々に取り除いていった。イルの屈託なさが、メイの心の氷を溶かしたんだ」

C3 「以来、メイはイルに対してだけは何の気兼ねもなく素肌でふれあえるようになったってこと」

C3 「……逆を言えば、未だにイル以外の人間とはふれあおうとしない」

C3 「メイがイルに依存するのもやむなし、ってところだろう」

C3 「一見して、幼いイルがメイに母性を求めて依存しているように見える」

C3 「その一面もまた事実ではある。だけど、それとは比べものにならないレベルで、」

102 「……なるほどな。メイドの方がガキに依存している、と」

C3 「そういうことかな。もしもの話だけど、メイからイルを奪ったら、」

C3 「きっと、メイは立ち直れない。イルのいない場所では、メイは生きられないだろうね」




269 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 21:56:46.41 ID:OfvOu8Sq0
102 「……ふん。そんなことを俺に話してどうするつもりだ?」

C3 「べつに。仲間ならこれくらい共有しても問題ないだろう?」

102 「誰が仲間だ誰が。俺はお前たちと馴れ合うつもりはないと言っているだろう」

C3 「……まったく。止も頑なだねぇ」 ハァ

102 「102、だ。いい加減覚えろ風穴開けるぞ」

C3 「ははっ、エアガンだけに、風穴ってこと?」

102 「………………」

C3 「………………」 シュン 「……ごめん」

102 「お前って……バカだよな」

C3 「肯定するに吝かではないよ」




270 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 22:01:08.35 ID:OfvOu8Sq0
C3 「……。本題に入ろう。今さっき、『ボックス』 に急なオーダーが入った」

102 「……スキルアウト壊滅とやらが始まったのか?」

C3 「おや、メイから聞いたのかい? なら話は早い。その通りだよ」

C3 「今日、スキルアウトリーダー、駒場利徳が始末された」

102 「……そうかよ」

C3 「何て言ったかな……? 浜……ナントカっていう人が次期リーダーみたいなものになったようだけど、」

C3 「それはもうすでに上層部の下請けのような仕事を引き受けている」

C3 「実質上、スキルアウトは壊滅状態だ」

C3 「……だけど、まぁどんな組織も一枚岩ではないよね。スキルアウトもまた然り」




272 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 22:05:08.89 ID:OfvOu8Sq0
C3 「僕らからすればまだ話の分かる方だった駒場を、良しとしていなかった派閥もあったわけさ」

C3 「駒場がいなくなり、次期リーダーが組織の保全を最優先とした今、そいつらは逆に勢いを増している」

102 「………………」

C3 「当然、スキルアウトを潰したい学園都市上層部は快くは思わないわけだ」 フッ

C3 「今からその連中を潰しに行く。メイは疲れているだろうから、僕ひとりで行こうと思うんだけど……」

C3 「止? 君も疲れているだろうけれど、一緒に行くかい?」

102 「………………」

102 「……ああ。同行させてもらう」

C3 「了解。じゃ、十分後に玄関で」 チラッ 「その拳銃と弾丸を忘れるなよ?」 ニヤッ




273 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 22:08:18.74 ID:OfvOu8Sq0
………………

102 「……昨日お前が言っていた他の組織とやら、」

C3 「えっ? ああ……あの失言はできれば忘れてほしいんだけどなぁ」 カリカリ

102 「それが駒場を殺したのか?」

C3 「さぁて? どうだろうね。僕も所詮は使い潰されるだけの人間だから、詳しいことは知りようがないよ」

C3 「けど、まず確実にそうだと思う」

C3 「……どうしたんだい? 駒場とは知り合いだったとか?」

102 「まさか。スキルアウトのリーダーなんて、名前も知らなかったよ」

102 「……ただ、スキルアウトにはそれなりに思い入れがあってな」

C3 「へぇ……? 聞かせてもらってもいいかい?」

102 「簡単な話だよ」 フッ 「俺は連中みたいなのが、大嫌いなんだ」

C3 「……ふむ。ま、たしかに僕ら能力者にとっては、あまり好ましい存在ではないけどねぇ」




276 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 22:13:49.50 ID:OfvOu8Sq0
102 「……能力開発の努力をしようともせずに、ただ不満をぶちまけるために暴れる」

102 「そんな連中を、俺は絶対に認めない。絶対に、だ」

C3 「………………」 フッ 「分からなくはないよ。その気持ちも」

C3 「けど、それは限られた一面しか見ていないと、僕は思うけど」

102 「……なんだと?」

C3 「言ってしまえば、それは “持ちし者” の傲慢だってこと」

102 「“持ちし者” だと……? 俺たち能力者が、最初からまともな能力を扱えるとでも?」

C3 「僕だって能力者だ。分かるよ。一部の例外を除けば、どんな能力者だって最初はレベル1、大した能力は扱えない」

C3 「だけど、そこが重要なんだよ。僕らは、最初はレベル1なんだ」

102 「……?」

C3 「……けれど、スキルアウトのようなレベル0は違う。レベル0は、最初からレベル0なんだよ」

102 「……どういうことだ」

C3 「簡単な話さ。レベル0っていうのは、即ち “持たざる者” なんだよ」

C3 「どんなに努力をしたところで、“持たざる者” は持っていないんだ」

C3 「……才能が、ないんだよ」




277 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 22:18:40.52 ID:OfvOu8Sq0
102 「ふざけるな。そんなのはただの、大した努力もしていない連中の甘えだ」

C3 「僕もそう思っていたよ。けれどね、彼らと僕らではやはり、何かが違うんだ」

C3 「レベル0っていうのは、本当に、根本的な何かが違うんだよ」

C3 「……脳髄の何かが……それとももっと非科学的な、“心” とかかもしれなけどね」

C3 「少なくとも、僕はそう思う」

102 「………………」

102 「……認めない。俺は絶対に認めない」 ギリッ 「そんな甘えを、俺は絶対に認めない」

C3 「……そうだね。超能力の才能がないにしても、他に努力できることは沢山ある」

C3 「それを目指せなかったスキルアウトを認める必要はないと思うよ」

102 「……けっ」

C3 「だけど、スキルアウトにもきちんとした思想はあった。まともな連中もいたんだ」

C3 「残虐な能力者から、無力な無能力者を守るような、そんな思想を持った連中も、ね」

C3 「それだけはしっかりと認識しておいてほしい」

102 「………………」 フッ 「なるほどな。俺のようなクズから無能力者を守るようなヤツが、な」

102 (アイツはレベル0ではなかったが……アイツのようなヤツが……)




278 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 22:21:28.26 ID:OfvOu8Sq0
C3 「……はは、けどまぁ……」 クスッ 「今から僕たちは彼らスキルアウトの残党を殺しに行くんだけどね」

C3 「オーダーは覆らない。そして僕は命令を履行する。……それだけだ」

C3 「さぁ……罪悪感など押し殺して、もしかしたら善人だったかもしれない連中を、殺しに行こう」


………………とある廃ビル

C3 「……ここが僕らの標的の隠れ家だよ。決起集会のようなものが開かれているらしい」

C3 「オーダーは全員の始末。例によって下部組織の方々が下準備をしておいてくれている」

C3 「あとは僕らが乗り込んで殲滅するだけ……準備はいいかい? 止」

102 「俺はそんな愉快な名前じゃない。それ以外はオッケーだ」

C3 「よし、じゃあ行こうかな……」 ニコッ 「安心して。万が一の時は、僕が君を守るよ」

102 「………………」

102 「……男に言われると存外気持ち悪いセリフだな」

C3 「たしかに。同性に言っても空虚な気分になるだけだね」




279 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 22:26:34.93 ID:OfvOu8Sq0
ドガッ

不良1 「なっ……!? なんだお前たちは!?」

C3 「はいこんばんはー、スキルアウト残党の皆さん」 ニコッ

C3 「学園都市上層部からの使いです。はじめましてごきげんよう」

C3 「ひぃふぅみぃ……おやおや、かなり数が少ないですね」 ニヤリ

C3 「……ひょっとして、上層部からの報復を恐れた人は、この集会に参加しなかったのですかね?」

102 「……らしいな」

不良2 「っ……全員武器を持て! ぶっ殺すぞ!!」

C3 「なるほどなるほど……その彼らは運が良いですね。最後の更生のチャンスを上手く活用しましたか」

C3 「そして往生際の悪いあなたたちだけが残ってしまったと……二十人ほどですか? 本当にご愁傷様です」

不良3 「――銃を向けろ! 撃てぇぇぇぇえええええええ!!!!」

ドガガガガガガガガッ……!!! ………………




280 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 22:32:23.31 ID:OfvOu8Sq0
………………

不良4 「や、やったのか……?」

C3 「――残念。やれていませんね」

不良 『なッ……!!?』

C3 「人の話の途中で弾丸をぶっ放すのは、あまり行儀よくありませんよ?」

102 「………………」 (C3の前に……透明な壁のようなものが発生している)

102 (あれで銃弾を全て防いだっていうのか……)

不良1 「くそっ! バリアみたいなモンか……!!」

不良1 「だがな! そんなモンは想定の範囲内なんだよ!」 ガチャッ

不良2 「最新式の対戦車砲だ! 厚さにして500ミリの鉄板だってぶち破れる!!」 サッ

不良2 「その能力ごと吹き飛ばしてやるよ!!」

102 (なっ……そんなんありかよ……!?)

C3 「………………」 フフン 「……よろしければ、どうぞ。撃ってみてください」

不良1 「言われずともそうする! 全員衝撃に備えろ!」

不良2 「発射ぁぁぁあああああ!!!!」




281 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 22:35:57.84 ID:OfvOu8Sq0
102 「っ……!!?」

C3 「ふふっ、心配しなくても大丈夫だよ、止」

C3 「――あんなものじゃ、僕の能力は破れない」

ドゴォォォォォオオオオン………………!!!

………………モクモクモク…………

不良1 「へっ……こ、今度こそ――」

C3 「――はぁ。すごい音。こちらとしては、外部にまで届きそうな音は出さないでほしいんだけどなぁ」

不良1 「………………!!!」

C3 「下部組織の皆さんの火消しが忙しくなっちゃいますしね」 ニコッ

不良2 「な……なん、だと……ッ!!」

102 「………………」 (あの透明な壁……揺らぎすらしなかった……)

102 (これは、一体……?)




282 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 22:40:20.61 ID:OfvOu8Sq0
C3 「……僕はレベル4の 『念動力者』(サイコキネシスト) ……ま、言ってしまえばPSIの基本能力者ですね」

C3 「けれど僕の能力は、力場を発現させて物体を動かしたりする……一般的なサイコキネシスは使えません」

C3 「僕の能力は、どうやら念動力の “力場” そのものに関して秀でているようでしてね」

C3 「この半透明の壁には厚さの概念がありません。念動力の “力場” そのものの変質系ですからね」

C3 「……ですが、これは力場そのもの……即ち、一般的な物質の概念が通用しません」

C3 「僕の意志によってのみ、発現し、消滅します」

C3 「つまり、どんなに強大な力学的エネルギーでも、この壁を破ることはできないということです」

C3 「――この、『立法牢獄』(プリズンキューブ) をね」

102 (……? 『立法牢獄』 ……? 何だってそんな名前なんだ?)

102 (……! 待て……あの壁…… 『壁』 ではない……?)

102 (!! 透明な壁が組み合わさり……透明な立方体が形成されている……)

不良1 「っ……長々と、テメェの能力の解説、ご苦労様だなぁ……」 ギリッ

不良1 「そんなにテメェの能力をひけらかして悦に入りたいかよ! 能力者ッ!」

C3 「………………」 フッ 「……まさか。僕は、僕の能力をひけらかしたくなんてありませんよ」

C3 「……そう。できれば本来の用途では使いたくありません」




285 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 23:12:47.45 ID:OfvOu8Sq0
C3 「こんな風に、防御のためだけに使えれば、どんなに素晴らしいことか……」 ギリッ

C3 「……けれどすみません。これは生憎と、防御よりも攻撃に秀でています」

C3 「……いえ。正しく言い直すのなら……殺戮に」

C3 「わざわざ僕の解説を大人しく聞いていただき、ありがとうございました」

C3 「おかげで、皆さんの位置座標を正確な読み取り、演算が完了しました」

不良2 「…………?」

不良3 「っ……そ、そんな能力で、俺たちに一体どんな攻撃ができるんだよ!?」

不良4 「あまり俺たちを舐めるなよ! 能力者!!」

C3 「………………」 フッ 「たかだか二十人あまり……一遍にできそうだ」 スッ

キィィィィィ…… シュン シュン シュン シュン ……

102 「……!!」 (立方体が……どんどん形成されて……その中に、不良たちが閉じこめられていく……)

シュン シュン シュン シュン ……

不良1 「なっ……何だコレは!」

不良2 「っ……」 ドンドンドン 「壊れねぇ……くそったれ!」

不良3 「俺たちを閉じこめてどうするつもりだ!」




286 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 23:15:08.27 ID:OfvOu8Sq0
102 「……なるほど。だから 『立法牢獄』 、か」

102 「だが、連中を閉じこめてどうするんだ? これでは逆にこちらの攻撃が通じないだろう」

C3 「……閉じこめただけで終わるつもりはないよ」 スッ

キィィィィィ……

不良3 「な……なんだ?」

不良5 「……?」

不良1 「ま……まさかッ! 立方体が……」

不良2 「ッ!? 立方体が……縮んできている!!?」

102 「っ……!?」 (なんだと……? まさか……!)

C3 「これが僕の能力の本質です」 サッ 「形成した立方体の大きさを、随意に変更できる」

C3 「……そしてあらゆる力学的エネルギーは壁には通じない……この意味が、分かりますよね?」




287 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 23:18:14.31 ID:OfvOu8Sq0
不良2 「嫌だ……嫌だぁぁぁぁぁあああああああああ!!!」 ドンドンドン!!!

不良3 「だ、出してくれ! 頼む! 嫌だ……嫌だ!!」

不良4 「た、助けくれ! 何でもする! 何でもするから!」

不良1 「や、やめ、ろ……やめてくれ……ああああああああ……」

102 「………………」 スッ 「……ッ」 クルッ

C3 「――ダメだ、止。見ろ」 ガシッ

102 「っ……人が潰れる様を見ろって言うのかよ!!」

C3 「そうだ。見ろ」 ギロッ 「これが暗部の現実だ。見ろ。これが…… 『ボックス』 だ」

102 「っ……くそったれ……」

不良1 「や、……やめ、……あ――」


グチャッ




288 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 23:20:53.04 ID:OfvOu8Sq0
102 「くっ……」

C3 「………………」 サッ プルルル…… 「……はい。任務は完了しました。後始末をお願いします」 ピッ

C3 「……厳しいことを言ってごめんよ。けれど、これが現実だ」

C3 「メイの 『接触爆殺』。そして僕の 『立法牢獄』 ……どちらが残酷かな」 クスッ

102 「っ……知るか」

C3 「……こんな能力だからさ、立方体の中に人を入れて防御する……なんてのは、色々とやりづらいんだよね」

C3 「こんな風に、中に閉じこめた人間を圧殺すことくらいしか、できないんだ」

C3 「ふふ……学園都市暗部にはピッタリな能力かもしれないけどね」

102 「………………」

102 「……しかし、今回は良かったが、動き回る相手に対しては効果がないんじゃないか?」

102 「そもそも立方体の中に閉じこめることができないだろう?」

C3 「そういう相手には、位置座標を元に立方体を形成するんじゃなく、相手そのものを対象とするんだ」

C3 「演算が面倒になるけど……一対一ならそれでも十分な速度で形成できるからね」

C3 「それでも捉えきれないほど素早い相手には……こういう手段を取る」 スッ 「あのドラム缶を見ててくれ」




289 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 23:23:26.76 ID:OfvOu8Sq0
キィィィィィ……

102 (? 能力が発動したのか? にしては立方体は見受けられないが……)

キィィィィィ…… ガコッ!!

102 「……?」 (ドラム缶が変形した……膨張している……?)

キィィィィィ…… ガッ……バリッ!!

102 「!! ドラム缶が破裂した……」

C3 「……はぁ、はぁ……これは、疲れるからあまりやりたくはないんだけどね」

C3 「よく見てみなよ」

102 「……? あっ……ドラム缶の中に、あの立方体があるのか」

C3 「……今のはさっきの逆さ」 フゥ 「対象の中に極小の 『立方牢獄』 を形成し、」

C3 「それを膨張させることによって、対象を内部から破裂させたってこと」

C3 「1μ立方メートルくらいかな……? それをここまで大きくするのには、結構なエネルギーを消費するんだよ」

C3 「だからあまり使いたくはない」




290 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 23:29:58.25 ID:OfvOu8Sq0
102 「……なるほどな。これを動き回る相手の腹の中に形成し……内側からドカン! か」

102 「潰したり破裂させたり……メイドもそうだが、えげつない能力だな」

C3 「まぁね。自覚はあるよ」

ガタッ――

102 「……ッ!?」

? 「っ……!!」 ガタガタガタ……

102 (なんだ……? 生き残りか?)

生残り 「……ひ、ひぃ……た、助けて……」

C3 「………………」 フゥ 「……なるほど。あなたはほんの少しだけ悪運が強かったようですね」 スタスタ

生残り 「ひっ……!!」 ズズッ

C3 「壁際に立っていたんでしょう? だから僕の 『立方牢獄』 が正しく形成されなかった」

102 「……? どういうことだ?」

C3 「……僕の能力は、言うなれば、『とてつもなく硬いシャボン玉』 なんだよ。風船と言い換えてもいい」

C3 「とても脆くて、壊れやすい……ただし、前提として物理攻撃が効かないから、そもそもダメージが与えられない」

C3 「だから物理的な手段では絶対に壊れないけど……立方体形成時に弱点がある」




292 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 23:34:20.88 ID:OfvOu8Sq0
102 「……?」

C3 「形成時、立方体の面にほんの少しでも異物が重なっていると、すぐに崩壊してしまうんだ」

C3 「力場の壁……つまり立方体の面には、表面張力のようなものが働いていてね」

C3 「そのせいで、異物があると自己崩壊してしまうんだよ」

C3 「……あなたは壁際に立っていたから、形成時に立方体と壁が重なってしまい、崩壊した」

C3 「運が良かったですね。まだ楽な死に方ができますよ」 ニコッ

生残り 「ひっ……!」

C3 「僕だって、わざわざ苦しい死に方させたくはありませんからね」

C3 「……ちょうどいいや。止、」

102 「……なんだ」

C3 「エアガンは持ってるね?」

102 「………………」 ゴクッ 「……ああ」

C3 「じゃあ、『ボックス』 としての初の実質的な仕事だ」 ニコッ

C3 「――君がコレを殺せ」




293 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 23:37:17.48 ID:OfvOu8Sq0
102 「………………」

C3 「……どうかしたかい?」

102 「……いや、」 ブンブン 「了解した」 スッ

ガチャッ

生残り 「ひ……た、たすけて、くれ……」

102 「………………」 カチリ

102 「……悪いな」

生残り 「………………」 ガタガタガタ……

102 「………………」

C3 「………………」

102 「………………」 ゴクッ 「……っ…………くそったれ……!!」


――――――――パァン!!!




294 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 23:39:50.59 ID:OfvOu8Sq0
………………翌朝 『ボックス』 本拠、談話室・リビング

メイド 「……まったく。今朝も今朝とて、また止様は起きていらっしゃいません」

メイド 「朝ご飯が冷めてしまいます」

C3 「………………」

C3 「……まぁ、昨夜は僕の仕事に付き合ってもらったしね。まだ疲れてるのかもしれない」

C3 「寝かせておいてあげなよ」

子供 「……? とまる、work、したのか?」

C3 「……ん、まぁね。現実を見るというお仕事を、ね」

子供 「?」

メイド 「……そうですね。寝かせておいて差し上げあげますか」

メイド 「では、お先に頂きましょう」

子供 「わーい。いただき、マス」 ガツガツガツ……

C3 「………………」





295 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 23:45:51.36 ID:OfvOu8Sq0
………………

102 『――くそったれ……!!』 グッ……

C3 『………………』

102 『……っ…………』 グッ 『……くそっ……』

C3 『……どうしたんだい、止? 早く撃ちなよ』

102 『っ……くそっ……』

C3 『………………』 ジロッ 『まさか、「撃てない」 なんて言わないよね?』

102 『………………』 グッ

………………

C3 『……はぁ』 ガシッ 『もういいよ、止』

102 『な、なんだと……?』




296 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 23:51:50.99 ID:DOCJiTx50
102がくそったれ連発してるせいでベジータにしか見えなくなってきたぞおい




297 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/21(日) 23:56:01.41 ID:2w1nourK0
そのうち「よけろ!○○ー!!」
とか言う場面が出てくるのか




298 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 00:07:24.83 ID:ja7W9Qol0
やめろwwww




299 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 00:09:34.32 ID:spEwuXPh0
C3 『もういいって言ったんだ』 サッ 『僕がやる』

ガチャッ ――パァン!!!

生残り 『カ――――』 パタリ

102 『っ……お前……!』

C3 『これからやるつもりだった……なんて馬鹿なことは言わないでね』

C3 『君には彼を殺すことは無理だったんだよ。だから僕がやった。それだけだ』

102 『っ……ぐっ……!!』 ガン!! 『…………くっ……』

C3 『……ふっ、直接的な人殺しを厭う、か』

C3 『僕らのことを馴れ合いだの、甘いだの、散々言ってたけど、』 クスッ

C3 『一番甘いのは君じゃないか』

102 『っ……!!』

C3 『学園都市最暗部の先輩として、忠告させてもらおうか』

C3 『止。そのままじゃ、君は間違いなく……死ぬよ?』 ニコッ




300 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 00:12:18.07 ID:spEwuXPh0
………………

102 「………………」

ピピピピピピピピピピピ……

102 「……ん。もう、朝か……」

102 (……結局一睡もできなかった)

102 「………………」

102 「俺は……」 ジッ

102 「俺は……結局、引き金を引けなかった……」

102 「……ははっ、今さら何をやってるんだ、俺は?」

102 「あの時……俺は何の罪もないガキを閉じこめて、殺そうとしたじゃねぇか」

102 「……勇気がねぇ、のかな」 ハハッ 「……面と向かって人を殺す、勇気がさ……」

102 「くくく……本当に情けない……俺は……俺は、一体何なんだよ……」




301 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 00:15:20.14 ID:spEwuXPh0
102 (俺は……生きたいとは思わない)

102 (だが、死のうとも思わない……いや、死ぬ勇気がないだけか)

102 (人殺しが、したくないわけじゃない……そんなに善人ではない)

102 (だが、人を殺す勇気がない……殺すだけの、生きたいという動機もない)

102 (俺は……本当に、いつもいつも、どこまでも……中途半端な男だな)

102 「くくっ……なぁ、103よぉ……お前ならどうする?」

102 「お前なら…… “強い” お前なら、一体どうするんだろうな」

―――― 『風紀委員です。諸犯罪の現行犯で、貴方の身柄を拘束します』

102 「……はっ、決まってるよな。アイツは、そもそもこんな場所に堕ちてきやしねぇ」

102 「なぁ、103……俺は、どうしたらいいんだ?」

102 「――このまま、死ぬべきなのか……?」

コンコン

? 『とまる、いる?』




304 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 00:18:09.80 ID:spEwuXPh0
102 「……ガキか?」

子供 『ちがう。イル』

102 「………………」

子供 『……はいっていい、か?』

102 「よくねぇよ。入ってくるな」

ガチャッ

子供 「……言うtiming、少しおそかった。だから、しかた、ない」 ニコッ

102 「っ……クソガキが……」

子供 「クソガキちがう。イル」

子供 「breakfast、もってきた。とまる、たべる」

102 「……いらねぇよ」

子供 「………………」 トコトコトコ …… ズイッ 「たべる」

102 「っ……」




305 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 00:22:07.19 ID:spEwuXPh0
子供 「………………」

102 「………………」

子供 「……たべる」

102 「………………」

…………グゥゥゥウ……

子供 「………………」

102 「………………」

子供 「……たべる」

102 「ッ……」 ガシッ 「……ああ、もらってやるよ」

バン!!

102 「………………」 ガツガツガツガツ……

子供 「………………」 ニコニコ




306 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 00:25:16.55 ID:spEwuXPh0
子供 「……シィ、言ってた」

子供 「とまる、target、コロす、できなかった」

102 「………………」

子供 「……シィ、とまるに、ヒドいこと、言ったか?」

102 「……いや、そんなんじゃねぇよ」

102 「あいつは正しいことを言っただけだ。甘いと思ってたあいつが正論吐いたから、戸惑ってるってだけだ」

102 「……悪いのは俺だ。殺害対象を殺すことができなかった、俺だよ」

子供 「………………」

102 「………………」

子供 「……とまる、手をだす」

102 「あん? なんだよ」

子供 「いいから、手、出す」 ジッ




307 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 00:27:41.52 ID:spEwuXPh0
102 「……けっ、ほらよ」 ズイ

子供 「ん……」 ピト 「少し、まつ」 ギュッ

102 「……?」

子供「………………」

102 「……おい、人の手を握ったまま目を閉じて、何だってんだ」

子供 「………………」

102 「………………」

子供 「――……とまる、」 パチッ

102 「やっと終わったか……何だよ」

子供 「いま、わかった」


子供 「――とまる、このままだと、ゼッタイ、死ぬ」




309 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 00:30:54.60 ID:spEwuXPh0
102 「っ……!?」

子供 「ゼッタイ、死ぬ」

102 「……っ、べつにいいさ。今さら死ぬことを厭いやしねぇよ」

子供 「doubt」

102 「………………」

子供 「それは、うそ。とまるは、生きたい。生きたいと言って、死んでいく。だから、うそ」

102 「っ……」 ギリッ 「……おまえに……おまえに俺の何が分かる……!」

子供 「わかる。とまるの未来、わかる。けどそれだけ。他、何も分からない」

102 「何だと……?」

子供 「……イル、future――未来、わかる。level3、『予感能力』」

子供 「だから、イル、わかる。とまる……このままだと、死ぬ」

102 「っ……」

子供 「……けど、生きてほしい」

102 「……?」

子供 「イル、とまるに生きてほしい。だから、生きて。とまるは生きて」




310 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 00:40:12.77 ID:spEwuXPh0
102 「っ……俺がおまえに何をしたんだよ」

子供 「メイに、言ってくれた」

102 「……? メイドだと?」

子供 「そう。とまる、メイに言ってくれた。メイに、怖くないって言ってくれた」

子供 「メイ、嬉しそうだった。だから、とまるはイルの仲間。メイの仲間。シィの仲間」

子供 「だから、イルはとまるをまもりたい。とまるに、生きてほしい」

102 「……っ」 ギリッ 「……そんなこと、俺が知るか」

子供 「イルはとまるの味方。イルだけは、とまるを守る。とまると一緒。だからとまる、」

102 「………………」

子供 「生きて」

102 「っ……」

子供 「………………」ジッ

102 「………………」

子供 「……イルは、きっと、生きられないから」

102 「……?」




311 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 00:43:47.98 ID:spEwuXPh0
子供 「イル、はっきりとした未来、みえない。手をふれた相手の、未来のココロだけ、みえる」

子供 「……最近、メイにさわると、未来ですごく悲しむメイのココロ、みえる」

子供 「きっと、それ、イル、死んだときの、メイのココロ」

子供 「イル、自分の未来みること、できない。けど、わかる。きっと、イルは死ぬ」

子供 「……だから、とまるは生きて」

子供 「――とまるは、みんなと一緒に、生きて」

102 「………………」 ギリッ (俺は……俺は……)

―――― 『……ねぇ、102』 『君は一体、何を恐れているの?』

102 (俺は……また、ありもしない幻影に怯えていたのか……)

―――― 『あっ、そっか……えっと、僕は、103だよ。よろしくね』

102 (……ひとの心、ふれあい、ぬくもり……拒絶……)

102 (俺は……そんなものを、恐れていたのか……)

102 (俺、は……) ギリッ

102 「…………分かった」

子供 「えっ……」




320 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 06:10:53.32 ID:tQVQqz0A0
102 「分かった。俺は生きる。生きてやる……何をしてでも生きてやる……」

子供 「………………」 ニコッ 「……そう。それで、いい」

102 「ふん……だがな、勘違いするなよ?」

子供 「……?」

102 「俺に生きろと言ったのはおまえだ。ガキ……いや、イル。おまえが俺に生きろと言ったんだ」

102 「だから、その責任ぐらいは果たしてもらうぞ」

子供 「……セキニン?」

102 「――おまえを死なせない。俺はおまえを絶対に死なせやしない。俺がおまえを守る」

子供 「……まも、る……?」 ポカン 「とまる、イルを、まもってくれる……?」

102 「ああ。俺と一緒に、修羅の道を生きてもらう。おまえを死という逃げ場に、絶対に逃げさせやしない」

102 「くくっ……今さら後悔しても遅いぞ。俺は誰を殺してでも……いいだろう、この 『ボックス』 全員を生かしてやる」

102 「イル、おまえはもちろん、メイも、シィの野郎も、全員、だ」

102 「俺と同じ、茨の道を歩かせてやるよ。そして俺が見るだろう生き地獄を、一緒に味わわせてやる」

102 「……そういうわけだから、覚悟しておけよ、ガキ」 ニヤッ

イル 「………………」 ニコッ 「ガキちがう。イル。とまる、いいかげんおぼえる」




321 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 06:14:20.31 ID:tQVQqz0A0
止 「けっ……」

止 「これだけじゃ足りねぇな……リビングに余り物がないか探してくるか……」

グゥゥゥゥゥウ……

イル 「あっ……///」

止 「くくっ……くはははは……」

イル 「わ、笑う、ない!」 ポカポカポカ 「笑う、な!」

止 「ははっ……悪い悪い。――じゃ、一緒にメイに、飯でもたかりに行くか」

イル 「む……リョーカイだ」 スクッ 「はやく、いく! 実はイル、けっこうおなか、ペコペコ!」 グイグイ

止 「わっ……引っ張るな! 急かしすぎだ!」 (……なぁ、103……俺は、もう少しだけ生きてみるよ……)

止 (お前がせっかく正してくれた俺の性根だが……結局、人殺しをすることになるかもしれない)

止 (……それでも、俺は生きるよ)

止 (この生き方を、お前は肯定しないだろう。お前が知ったら、また殴りにくるだろうな)

止 (だけど、それでも生きたいんだ……)

止 (罪を償うとかじゃない……ただの、俺の自己満足、俺の自分勝手な主観だが、)

止 (守りたいと、思えたんだ)




322 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 06:16:48.75 ID:tQVQqz0A0
………………

イル 「メイ!」

メイ 「……? あら、イルと、……止様」 ニコッ 「おはようございます」

メイ 「昨日はお見苦しいところをお見せいたしました。それから、昨夜のお仕事、ご苦労様でした」

止 「いや……結局働いたのはシィだけだからな。俺はべつに疲れちゃいないよ」

メイ 「……? シィ?」

止 「そんなことより、メイ、なんか食いモン余ってないか? 腹が減ってるんだ」

メイ 「メイ……?」 フッ 「……分かりました。仕方ないですね。今から簡単なものを作って差し上げます」

メイ 「これに懲りたら、明日からはしっかり起床時刻に起きてくださいね」

止 「うっ……ど、努力する……」

イル 「とまる、アンシンする! もしもとまる、起きてこなかったら、イルがとまる起こす、から」

イル 「……イルのヒッサツワザ、flying body press で!!」

止 「………………」 ジッ 「……安心してくれ、メイ。明日からはちゃんとテメェで起きるよ」

メイ 「はい♪」




323 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 06:17:09.41 ID:99HhD9np0
どうしても102の容姿が一方通行でしか再生されない④




324 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 06:20:00.04 ID:tQVQqz0A0
>>323
一応イメージ伝えておいた方がいいかな?
パッと見ただの優等生っぽいけど、口を開くとガラが悪いっていうタイプです。
もちろんわたしの想像なので皆さんはご自由にどうぞ。




325 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 06:22:30.56 ID:tQVQqz0A0
………………

シィ 「……ただいまー」

ダダダダダ……

イル 「おかえり、シィ!」

シィ 「おお……なんか、娘に出迎えられる父親みたいな気分だよ。嬉しいな」

シィ 「嬉しそうな顔をして、どうしたんだい、イル?」

イル 「あのね、シィ、聞いて! とまるがね……とまるがね……」

シィ 「……? 止がどうかしたかい?」

イル 「――とまるがドラった!」

シィ 「??? ハ○ジとド○えもんの夢のコラボレーションかい?」

イル 「ちがう! とまるが、ドラったの! とうとう、ツンドラの、ドラが、でたの!」

ダダダダダ……

止 「おいイルてめぇなに勝手なことを言ってやがるんだコラぁぁぁぁああああ!!!」




326 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 06:24:35.29 ID:tQVQqz0A0
イル 「!! 追っ手、きた! イル、逃げる!」 タタタタタタ……

止 「逃げるなぁぁぁあああああ!!!」 ドタドタドタドタ……

シィ 「………………」 ポカーン

シィ 「……な、なるほど。イルは、止がデレたと言いたかったのかな?」

シィ 「というか、彼ら、少し年の離れた兄妹みたいだなぁ……」

シィ 「……ふふ、止がデレた、か。とうとうデレ期に移行したってことかね」

シィ 「僕が仕事に行っている間に、一体何があったのやら」 ピラッ

シィ 「よかった。それなら、この “おみやげ” も効果倍増かな」

イル 『へ、へ、へ……つかまえられるものなら、つかまえて、みろ……!』 ダダダダ……

止 『っ……ぬかしやがったなクソガキ! 後でほえ面見せんじゃねぇぞ!!』ドタドタ……

シィ 「………………」 クスッ 「……まったく、イルには本当に、恐れ入るよ」




327 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 06:26:28.85 ID:tQVQqz0A0
………………夕食 リビング

メイ 「えっ……? そ、それ、本気なのですか!?」

シィ 「何で? もちろん本気だよ?」

イル 「really……!? ほんと、なの!?」

シィ 「おやおや……僕が一度でもうそをついたことがあるかい?」

イル 「………………」 ジト 「……けっこう、ある」

シィ 「………………」

止 「そこは信じてやれよお前ら……」

シィ 「うぅ……僕の味方は君だけだよ止!」 ヒシッ

止 「しなだれかかるな気持ち悪いんだよ!」 ドカッ

シィ 「おぶぅ……」 ウゥ…… 「妻も娘も息子も……誰も彼も反抗期です。パパ死にそう……」

メイ 「ありえないとは思いますが、」 ニコッ 「わたしが妻というのは冗談でもやめてくださいね?」 グッ

シィ 「ごめんなさい謝るから拳を握らないでっ!」




328 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 06:28:48.94 ID:tQVQqz0A0
イル 「シィ! いいから早く、イルのしつもん、答える!」

イル 「こんどのおやすみ、ユーエンチ行く、ほんとか!?」

シィ 「……うん」 フッ 「もちろん、本当だよ。ほら、四人分のチケット」 ピラ

イル 「わぁ……」 キラキラキラ……

止 「……? ああ、なるほど、第六学区の遊園地か」

止 「しかし、俺たち暗部に休みなんてあるのか?」

シィ 「もちろん、あるわけないよ」 ニコッ 「だから、作るんだ」

シィ 「明日、死ぬ気ですべての仕事を終わらせる。そして休みを作るんだ」

シィ 「……ごめん、メイ。協力、してくれるかな?」

メイ 「………………」 フッ 「当たり前でしょう? わたしはイルの笑顔のためなら、何でも致します」

メイ 「……こんなチャンスをくださって、ありがとうございます、シィ様」

シィ 「うん。どういたしまして」 チラッ 「……だから止、明日はイルのお守りを頼むよ」

止 「………………」 コクン 「了解した。任せておけ」




329 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 06:30:57.65 ID:tQVQqz0A0
メイ 「第六学区の遊園地……ふふ、懐かしいですね」

止 「ん? 行ったことがあるのか?」

メイ 「ええ……小さい頃、幸運に恵まれまして、一度だけ」

メイ 「……とても楽しかったことを覚えています」

メイ 「その頃は、能力もこんなに強大ではありませんでしたから、本当に……楽しかった」

メイ 「アイちゃんという年下のお友達がいましてね……その子と、一日中遊び倒しました」

メイ 「……本当に、懐かしい。楽しみです」

止 「………………」

止 「……けっ、この歳になって遊園地なんて、楽しみでもなんでもねぇが、」

止 「ま、しょうがねぇ……行ってやるか」

メ・イ・シ 『………………』 ボソッ 『ツンデレ(ドラ)うざい』

止 「なっ……お、お前ら……!」 プルプルプル……

シィ 「………………」 フッ 「止、頬が緩んでるよ?」

止 「っ……! う、うるさい!」




331 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 07:00:50.31 ID:tQVQqz0A0
………………当日 朝

イル 「………………」 フンフン♪

メイ 「……ふふっ……」 ルンルン♪

止 「……けっ、大した浮かれようだな」

止 「何にせよ、晴れてよかった」

メイ 「はいっ♪ ふふ……楽しみましょうね、イル」

イル 「ん!」

止 「……にしても、シィの奴遅いな……」

シィ 「――…………」

止 「……? 遅いぞ、シィ」

シィ 「……ごめん」




332 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 07:03:53.48 ID:tQVQqz0A0
止 「……どうしたんだ?」

シィ 「急なオーダーが入った」

イル 「え……」

メイ 「そんな……」

止 「………………」 ギリッ

シィ 「………………」 フッ 「……安心してくれ。幸いにして簡単な仕事だよ」

シィ 「だから僕ひとりで十分だ。みんなは楽しんでおいで」

メイ 「そんな……! でしたらわたしが――」

シィ 「メイ。それはダメだよ」 チラッ

シィ 「……君がいないと、イルが楽しめないだろう?」

イル 「む……でも、シィいなくても、さみしい」




333 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 07:05:47.86 ID:tQVQqz0A0
シィ 「はは……嬉しいけど、それくらいは我慢しておくれ」

止 「………………」

止 「だったら俺が任務に行く。三人で行ってくればいい」

シィ 「却下だよ。まだ人殺しを経験していない君に単独での仕事は任せられない」

止 「……っ!!」 ギリッ

シィ 「……ふふ、『ボックス』 リーダーとしての命令……ううん、お願いだ」

シィ 「三人で、僕の分も楽しんでおいで」

メイ 「………………」

メイ 「……分かりました。すみません。お仕事の方、お任せします」

イル 「シィ……」

メイ 「ご武運を、シィ様。……では、イル、止様、参りましょうか」




334 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 07:08:50.44 ID:tQVQqz0A0
止 「………………」

シィ 「……? どうしたんだい? 早く行かないと二人に置いていかれるよ?」

止 「……すまん」

シィ 「君が謝ることじゃないよ。そもそも、僕のような人間に遊園地なんて似合わないしね」

シィ 「……ともあれ、あの二人を頼むよ、止」

止 「……了解した。任せろ」

止 「お前も、気をつけろよ」

シィ 「ありがとう。それじゃ、また」

シィ 「おみやげ、楽しみにしているからね」 ノシ

止 「ふっ……ああ」

止 「……覚えていたら、な」




336 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 07:22:17.66 ID:tQVQqz0A0
………………休日 遊園地入り口

男 「………………」 ドキドキドキドキドキドキドキドキ

男 「……や、やばい……本当に、リアルに……心臓が飛び出そう……」

男 (女の子とデートなんて始めてだしなぁ……)

男 (っていうか、その初めてのデートが好きな女の子とって……)

男 (やばい……嬉しすぎる……)

タタタタタ……

男 「!!!」 (背後からの軽やかな足音……! これは……)

? 「ごめーん! 待ったー?」 タタタ……

男 (キタ! ……ん?)

男 (“ごめん” ? “待った” ? それにこの声……)

タタタ …… ピタッ

男 「……?」 クルッ 「……あれ? 誰もいない……?」




337 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 07:25:11.84 ID:tQVQqz0A0
? 「むむぅ……おにーちゃん、わたしのことからかってるの?」 プンスカプン

男 「えっ?」 (ま、まさか……) チラッ 「よ、幼女ちゃん!?」 (小さくて視界に入らなかった……)

幼女 「? 何で驚いてるの?」

男 「な、何で……? 白井さんは……?」

幼女 「???」

男 「何で、幼女ちゃんがここに?」

幼女 「あっ! おにーちゃんヒドイ!」 プンスカプン 「おにーちゃんが誘ってくれたんでしょ! 一緒に遊園地に行くって」

男 「えっ?」 エッ? 「……えっっ?」

幼女 「花飾りのおねーちゃんからチケットもらったの。ほら」 ピラッ

幼女 「おにーちゃんがわたしと一緒に遊園地行きたいからって、おねーちゃん言ってたよ?」

男 「……な、何で?」 (……はっ、まさか……この前の事件のお礼って……)

男 「白井さんじゃなくて……幼女ちゃんだった、ってこと……?」

男 「うわっ、恥ずかしい……勝手に白井さんからのデートのお誘いだと思ってたなんて、最高に恥ずかしい……」

幼女 「?」

男 「……ん? でも、何で僕から誘ったことになってるんだろう」




338 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 07:31:23.46 ID:tQVQqz0A0
………………物陰

初春 「……ふふふふふ……幼女ちゃん、グッジョブです」

佐天 「第三者を介するって……あの小さな女の子のことだったんだ」

御坂 「んー……まぁ、悪くはないかもね。ヘタな知り合いより、あれくらい離れた関係の方が気兼ねないだろうし」

上条 「……っていうか、何で俺がこんなことに巻き込まれてるんだ?」

青髪 「そう言うなて、カミやん」

土御門 「そうなんだぜぃ。面白そうならなんでもいいんだにゃー」

上条 「っていうか何でお前らまでいるんだよ!」

青&土 「「呼ばれずとも現れる。それが我らのクオリティ!」」 バババッ

上条 「うるせぇ黙れこのR指定ども!」

初春 「………………」 ハァ 「……男さんへのサポートとして上条さんを呼んだんですが……」

佐天 「どうやら男さん、友達にはあまり恵まれてないみたいだね」

御坂 「………………」 ドキドキ (っていうか……アイツと遊園地……やば、緊張してきた……)

ネム&ディズ 「ニャー」 「ガー」 ((……コイツら見てる方が面白いかもしれないわねー))




339 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 07:43:10.02 ID:tQVQqz0A0
男 「はぁ……じゃ、行こうか、幼女ちゃん」

幼女 「えっ? でも、あとひとり一緒だって、花飾りのおねーちゃん言ってたよ?」

男 「あと一人……? それって――」

――ヒュン トン

白井 「ふぅ……間一髪、間に合いましたの……」 ゼェゼェ……

男 「!!! し、白井さん!?」

白井 「……!?」 (め、目の前にいらっしゃるとは……)

白井 「……お、遅くなって、申し訳ありませんでした」 ニコッ 「こんにちは、男さん」

男 「あ……あ、うん。こ、こんにちは、白井さん」

男 「三人って……もしかして、」

白井 「はい。わたくしと、男さんと、幼女ちゃん……この三人ですわ」

男 「………………」 グッ (よしッッ!!!)




340 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 07:52:15.41 ID:tQVQqz0A0
上条 「あちゃー……露骨すぎだろ男……一気に笑顔になっちまってまぁ……」

御坂 「でも、黒子もべつに引いてないからいいんじゃない?」 ドキドキ

佐天 「ま、白井さんだから良かったですけどねー」

初春 「でも男さん、頑張ってらっしゃると思いますよ」

御坂 「黒子もね」

………………

青髪 「……土御門、なんでボクらはネコちゃんとアヒルちゃんの係なん?」 ニャーニャー

土御門 「深く考えるのはよすんだぜぃ」 ガーガー 「わっ……グラサンを取るのはよすんだぜぃ」

ネム 『はぁ……白井も男もいないと、言葉が伝わらなくて退屈だわ』

ディズ 『あっちの言葉が分かるだけマシだと思うべきかしらねー』




341 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 08:24:21.92 ID:tQVQqz0A0
………………

止 「ふぅ……さすがに人でいっぱいだな」

止 「休日にわざわざ混み合う場所に……ご苦労なこって」

イル 「……とまる、それ、ツッコミ、まってるか?」

メイ 「突っ込んであげなさい、イル」

イル 「リョーカイ」 ニコッ 「……おまえもきとるやないかー」 ビシッ

止 「うるせぇガキ! ……っていうかお前! メイ!」 ビシィッ

止 「お前こそ突っ込み待ちかこの野郎!」

メイ 「……? はて、突っ込まれるようなことは何一つしていないつもりですが……」

止 「なんで今日もメイド服なんだよ!」

メイ 「………………」 ニコッ 「メイドのたしなみです」

イル 「………………」 キラキラ 「メイ、カッコいい!」

止 「コイツら……。――ん?」




342 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 08:27:37.06 ID:tQVQqz0A0
男 『………………』 グッ

止 「なっ!?」 ダッ (何で103がいるんだよ……!)

メイ 「……? どうかされました? わたしの背中に隠れたりして」

止 「い、いや、何でもない……とにかく隠れさせてくれ!」

止 (……な……なんだってアイツがこんな場所にいやがるんだよ……)

止 (まずいな……アイツに出くわしたら、色々とまずい……)

イル 「あっ……mask、うってる!」 クィクィ 「メイ、メイ。イル、mask、ほしい」

メイ 「……? マスク? ……ああ、お面のことですか」

止 (! 面……それだっ) ダッ

イル 「あっ……とまる……?」

止 「おっさん! どれでもいい! 面をひとつ寄こせ!」




343 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 08:36:16.12 ID:tQVQqz0A0
………………

イル 「………………」 プッ 「とまる、それもツッコミまち、か?」

止 「うるせぇ」

メイ 「………………」 クスッ 「今日の止様は本当に愉快ですね」

止 「……うるせぇ」

メイ 「それにしてもゲコ太のお面とは……なかなか良い趣味をしていらっしゃるようで」

止 「……俺が選んだんじゃねぇよ。おっさんが差し出したのがこれだったんだ」

イル 「とまる、今日はとまるじゃなくて、カエル! frog! ゲロゲロ、鳴く!」

蛙 「うるせぇ! 誰が鳴くか誰が!」

蛙 「っていうか目立ちたくねぇんだからあんまり騒ぐな!」

イル 「カエルが、イチバン、うるさい!」

蛙 「うるせぇ! チケットはあるんだ、さっさと行くぞ!」




344 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 08:38:26.78 ID:tQVQqz0A0
………………

青髪 「何やぁ、うるさいなぁ……ってうわっ、何やあれ?」

土御門 「どうしたんだにゃー? って、うわ……」

土御門 「す、すごいんだぜぃ。本格的なド美人メイドさんに、金髪幼女、あげくにお面を被った男……」

青髪 「えげつない……犯罪臭しかしませんなぁ」 ムッハー

御坂 「……!!! ゲコ太!?」

土御門 (……あのメイド服……舞夏と同じ、繚乱家政女学校のものだにゃー)

ネム 『ん……? あのお面の男……どこかで見たような……』

ディズ 『…………あっ、アイツよ!』

ネム 『えっ……だ、誰よ?』

ディズ 『決まってるじゃない! 男の治療をしてくれた医者よ!』

ネム 『ああ、なるほど……たしかにそっくりだわ……』




345 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 08:44:01.91 ID:tQVQqz0A0
………………

白井 「………………」 ドキドキ (緊張、しておりますけれど……)

白井 (でも、普段よりは幾分もマシですわ。初春の言うことも一理ありますわね)

男 「……しっ、白井、さん!」

白井 「は、はい!? な、何ですの?」

男 「その……今日は、私服、なんですね……と、とっても、可愛いです……」

男 「も、もちろん……いつもの制服姿も魅力的ですけど……でも、」

男 「今日は、それとはまた違った可愛さがあって……その、とにかく、見られて、嬉しいです」

白井 「っ……! あ、ありがとう、ございます、ですの……」 (遅刻ギリギリになるまで服を選んで正解でしたわ!) グッ

男 (……言えたっ! 褒められた! オッケー! グッジョブ僕!) グッ

男 「……? でも、制服じゃなくて大丈夫なんですか?」

白井 「えっ? ああ、まぁ……こんな日くらい、堅苦しい校則を抜けたっていいですわ」

白井 「そ、その……デートの、日くらいは……////」

男 「………………//// そ、そうですね……//」

白井 「……それにしても、男さんこそ、どうしたんですの、その格好は」 ジッ 「それ、制服ですわよね?」




346 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 09:04:13.76 ID:zbqhI1VE0
男 「えっ……あ、いや……」 カリカリ 「その……常盤台の校則は知ってたから、白井さんも制服で来ると思って……」

男 「だったら、僕もそれに倣った方がしっくりくるかなぁ……なんて思ったんだけど」

白井 「えっ……/// わたくしのために、そんなことまで……?」

白井 「わ、わたくしったら、そんな男さんの思いを……」

男 「あ、いや、それはいいんです! 気にしないで! 僕は気にしてないから!」

男 「……なんか新鮮ですね。白井さんが私服で、僕が制服って」

白井 「ふふ……そうですわね」

男 「………………」

白井 「………………」

幼女 「……おにーちゃん、おねーちゃん」

男&白 「「……!!!」」

幼女 「なんで見つめ合ってるの? 早く入ろうよぉー」 グイグイ

男 「あっ……そ、そうだね! ごめんね、幼女ちゃん」 アセアセ

白井 「そうですわね。チケットはあることですし……さっさと入場して、遊びましょう」 アセアセ

幼女 「…………? 変なおにーちゃんとおねーちゃん」




347 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 09:07:29.03 ID:zbqhI1VE0
………………

上条 「思ったんだが……あの女の子邪魔じゃないか?」

佐天 「私も若干そう思います……男さんと白井さん、意外と上手く喋れてましたよね」

御坂 「そこんとこどうなの、初春さん?」

初春 「ふふふ……これだから恋愛素人どもは……」 ニヤリ

御坂 「……!」 グサッ 「し、素人で悪かったわね……」

初春 「ここから、ですよー。あの子が本領を発揮するのは」 ニタリ

初春 「そろそろ来ますよー。定番のあのセリフが……」

初春 「『おにーちゃんとおねーちゃん、何だかパパとママみたいだね』 が!」 グッ

初春 「その一言だけで……そう、二人はあたかも本当の夫婦のように……」 キラキラキラ……

佐天 「……不安度が倍増してきました」

御坂 「同じく」

上条 「なぁ、俺帰っていいか?」




348 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 09:11:11.78 ID:zbqhI1VE0
初春 「何言ってるんですか! ほら、わたしたちも入場しますよ!」

上条 「うぅ……今月の食費……不幸だー……」

青髪 「ま、ええやんええやん、男やん」

青髪 「ほら、JC三人組とのトリプルデートだと思えば」 ムッハー

土御門 「!! 青髪! お前は天才なのか!?」

青髪 「ふふ……ボクも自分の発想力がそら恐ろしいですよ……」

上条 「……コイツら……」

御坂 「………………」 スススッ (こ、コイツの横に、こう、さりげなく……)

御坂 (べ、べつに特別な意味があるわけじゃない! ただ、何となく……)

御坂 (そうすればデートっぽいかも! なんて微塵も思ってないんだから!)

初春 「…………? ぶっちゃけ、佐天さんとしてはあの三人はどうですか?」

佐天 「どれもパス……って言いたいトコだけど……カミジョーさんだけはあり、かも」

初春 「ですよねー」




349 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 09:13:37.89 ID:zbqhI1VE0
………………園内

幼女 「ねぇねぇおにーちゃん、おねーちゃん。わたし、最初、アレに乗りたいな」 ビシッ

男 「げっ……あれは、学園都市の科学の粋を集めたとされる、史上最恐のジェットコースター……」

白井 「……?」 クスッ 「あら、男さん、もしかして怖いんですの?」

男 「そ、そんなわけないじゃないですか!」 アセアセ 「た、ただ、幼女ちゃんじゃ身長が足りないんじゃ……」

幼女 「む……」 プンスカプン 「ちゃんと調べてあるもん! ほら!」 パサッ

男 「……ふむふむ……シートはサイズを五段階に調節できるようになっており……」

男 「未就学児を除くすべてのお客様にご利用いただけるようになっております……」

男 「くっ! 無駄にレベルの高い科学力を発揮しやがって……!」 ガクッ

白井 「そもそも児童と生徒学生の街ですから当然の配慮かと。では、幼女ちゃんの要望を汲みましょうか」

男 「し、白井さん!?」

白井 「素直に怖いと言わない男さんが悪いんですの」 クスクスクス

男 「そ、そんなぁ……」

白井 (……なんか、いつもの調子を取り戻している気がしますの) グッ (この調子ですのよ、黒子)




350 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 09:39:33.66 ID:zbqhI1VE0
幼女 「えへへ……」

男 「うぅ……幼女ちゃん、どうかしたの?」

幼女 「ううん、ちょっとね、ふたりを見てるとね、なんか――」


初春 「ほ、ほら! 来ますよ!」

佐天 「………………」 ゴクッ


幼女 「――なんか、おねーちゃんがお姉さんで、おにーちゃんが弟みたい!」

男 「………………」

白井 「………………」 クスッ

男 「!? い、いま笑いましたね白井さん!」

白井 「さ、さぁ? 何のことでしょうか? ……ぷっ」

男 「ほらまた笑った!」

幼女 「それでね、わたしが一番下の妹なの!」 ニコニコ




351 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 09:42:35.41 ID:zbqhI1VE0
上条 「………………」

佐天 「……パパとママどころか……結婚してはいけない間柄らしいですね」

御坂 「初春さん?」

初春 「つ、次ですよ! 次に期待です!」

………………

イル 「メイ! とまる! イル、あれ、やりたい!」 ビシッ 「roller coaster!!!」

止 「わ、分かった! 行く! 行くからあんまり騒ぐな! 引っ張るな!」

メイ 「ふふ……イルと止様ったら、あんなにはしゃいじゃって……」

メイ 「まるで本物の兄妹みたいですね」 クスクス

イル 「さぁ、行く!」 グイグイ

止 「わ、分かったっての!」

メイ 「……そしてわたしは一番上のお姉さん……ふふ」 ニコニコ

メイ 「ほら、二人とも、気をつけないと転びますよー?」 スタスタスタ……




352 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 09:45:42.21 ID:zbqhI1VE0
止 「…………っ」 ギリッ (くそっ……何だって103と白井まで同じアトラクションに来るんだよ……!)

イル 「……? とまる、どうかしたか? キブンでもわるいか?」

止 「いや……何でもねぇよ」 サッ (まぁ……この面がありゃ大丈夫か)

メイ 「こらこら、イル。あんまり追求しては可哀想ですよ」

メイ 「止様にだって、男のプライドというものがあるのですから」

止 「……? どういう意味だ」

メイ 「? ジェットコースターが怖いからそんな怖い顔をしてらっしゃるのではないのですか?」

止 「なっ……! ち、ちがっ――」

イル 「ナルホド! とまる、ヨワムシ! chickenヤロウ!」

止 「うるせぇ騒ぐな! あんな子供騙しが怖いはずがねぇだろうが!」

イル 「chicken!! chicken!! chicken!!!」

止 「だからうるせぇ!」




353 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 09:56:54.83 ID:03POG+QO0
………………

白井 「……? 何ですの? うるさいですわね」

男 「………………」 ガタガタガタ……

白井 「男さん?」

男 「へっ」 ビグッ 「こ、怖くなんてないよ!? 怖くなんてないですからね!?」

白井 「はぁ……まったく。まだ何も言ってませんの」

白井 「どうされます? 本当に辛いのでしたら、今からでも列を抜ければ……」

男 「………………」 フゥ 「いえ、それはダメですよ」 チラッ

幼女 「わぁー……たいかんそくどはおんそくの3倍……よく分かんないけどすごー」 キラキラ

男 「……あんなに楽しみにしていますから」

男 (それに、男として……白井さんの前で恐怖から逃げるなんてこと、絶対にしたくないし!)




354 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 10:10:02.71 ID:03POG+QO0
上条 「うわ……あれ乗るらしいぞ」

御坂 「なに、あんたあのジェットコースター知ってんの?」

上条 「知ってるってわけじゃねぇが……ほら、パンフ見てみろよ」

御坂 「どれどれ……体感速度は音速の約3倍……音速の3倍!?」

青髪 「そんなスピード出したらマズイんちゃうん?」

初春 「……ふむ。どうやら、体感速度というのが重要みたいです」

初春 「コースターの至る所に張り巡らせたディスプレイに3D映像を流して、」

初春 「さもスピードが速くなっているように見せるらしいですね」

佐天 「なるほどねー。さしもの学園都市でもマッハ3はまやかし、かぁ」

土御門 「……ちょっと待つんだぜぃ。パンフのここを見るんだにゃー」 ビシッ

土御門 「……なお、このアトラクションに搭乗した方に関して、当遊園地はいかなる責任も負いません」

全員 『………………』

上条 「……で、あれ、俺たちも一緒に乗るのか?」

初春 「………………」




355 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 10:12:55.76 ID:03POG+QO0
初春 「……も、もし一緒に乗って、この尾行が男さんにバレたら元も子もありません」

初春 「なので私たちは、ここら辺で男さんたちが出てくるのを待ちましょう!」

佐天 「さ、賛成賛成!」

御坂 「………………」 ゴクッ 「……私、ちょっと乗ってみたいかも」

佐&初 「「う゛ぇ……!?」」

上条 「おいおい……」

ネム 『男……』

ディズ 『だ、大丈夫、よね……?』

………………

男 「………………」

係員 「――ではお次の三十名様ー、どうぞー!」

ゾロゾロゾロ……

白井 「……男さん、大丈夫ですの?」

男 「も、もちろんです……」 ダラダラダラ (今降りた人達、みんな死にそうな顔してる……)




356 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 10:15:16.95 ID:03POG+QO0
幼女 「わーい! わたしたち先頭だね!」 キャッキャッ

白井 「ですわね……なるほど。一列に座席が三つなのですね」

男 「そ……そうみたいだね……」

係員 「……? お客様、大丈夫ですか?」

男 「え、ええ……もちろんです……」

係員 「……」 ニコ 「一応申し添えておきますと、真ん中が一番マシですよ」

男 「あ、ありがとうございます……」 (マシって言い方はどうなの……)

白井 「では、男さん、真ん中のお席をどうぞ」

男 「すみません……」

白井 「いえいえ。わたくしはこういうアトラクションはあまり苦手ではありませんので」

男 「うぅ……」




357 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 10:37:55.10 ID:03POG+QO0
………………

止 「げっ……」 (連中と一緒に乗るのかよ……)

止 (まぁ席は離れてるし……大丈夫だよな)

イル 「……ふふん」 ニッ 「とまる、ほんと、こわそう。ダイジョーブ、か?」

止 「べつに怖くねぇっつってんだろうが」

メイ 「イル。そこは殿方のプライドを考えてあげなくてはいけませんよ」

メイ 「ここは黙って、」 スッ

メイ 「さりげなく一番怖くなさそうな真ん中の席を譲ってあげるのが淑女のたしなみというものです」

止 「おまえらなぁ……」 グッ 「あとでおぼえてろよ……」 スッ

係員 「……?」 (うわ……メイド服に金髪幼女にお面の男性……なんだあれ?)

係員 「……あの、お客様?」

止 「あん?」

係員 (しかもガラ悪いし……) 「申し訳ありませんが、安全上、そのお面は外していただかなくてはなりません」

止 「………………」




358 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 10:41:23.20 ID:03POG+QO0
係員 「あの……お客様?」

止 「っ……しゃーねぇか」 パッ

係員 (あら、意外と真面目そうな人) 「ご協力感謝致します」

………………

ゴゥンゴゥンゴゥン……

幼女 「わわっ……すっごーい。高い高い!」 キャッキャ

白井 「本当ですわねー……あ、あれは学舎の園ではありませんか」

白井 「第七学区は結構離れていますのに、よく見えますわね」

男 「………………」

幼女 「あれ? おにーちゃん、どうしたの?」

男 「………………」 ゲッソリ 「おねがいしますいまはぼくにはなしかけないでください」

幼女 「?」

ゴゥンゴゥンゴゥン……

幼女 「あっ、そろそろてっぺんが見えてきたよ! 堕ちる落ちる!」

男 「………………」 (カミサマ……) ギュッ




359 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 10:42:53.49 ID:03POG+QO0
ゴゥンゴゥンゴゥン……

イル 「むむ……けっこう、高くなって、きた」

メイ 「本当ですねー。あ、あれは本拠近くの高層ビルではありませんか」

メイ 「よく見えるものですね、止様」

止 「……知るかよ」 (103の奴……こういうの苦手だろうに……)

イル 「……? とまる、ウワノソラ。そんなにroller coaster、こわいか?」

止 「だからちげぇっつってんだろうが!」

イル 「まったく、とまるはホントchickenだ。しょうがないから、イル、手にぎっててやる」 ギュッ プルプル

止 「…………?」 (……ったく、怖いなら怖いって言えばいいだろうに) ギュッ

ゴゥンゴゥンゴゥン……

メイ 「あっ……ほらほら、イル、止様。そろそろてっぺんですよ」

止 「………………」 (心配ってわけじゃないが……103の奴、本当に大丈夫だろうな?)




360 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 10:44:26.05 ID:03POG+QO0
ゴゥンゴゥンゴゥン……ビュッ――

男 「ヒッ……!?」

――ゴォォォオオオオオオオオ……!!!

男 「ひぃぃぃぃぃいいいいいいいいいっ!!!!?」

白井 (ほぅ……これはなかなか……)

幼女 「やーーーーーっほーーーーーーーー!!」

………………

止 「お……?」

――ゴォォォオオオオオオオオ……!!!

止 「おおおおお……!」 (結構すごいな……)

イル 「………………」 ギュッ

メイ 「………………」 ギュッ

止 (……? コイツもかよ……)




361 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 10:46:04.58 ID:03POG+QO0
………………

係員 「――お疲れ様でしたー……ではお次の三十人の方どうぞー」

男 「………………」

白井 「お、男さん、大丈夫ですの?」

男 「………………」

幼女 「おにーちゃん、大丈夫?」

男 「………………」

男 「………………」

男 「……え、ええ……も、もちろん……大丈夫、ですよ?」 ムクリ

幼女 「おお……! さっすがおにーちゃん!」

白井 「………………」 (まだ体裁を保とうとするあたりはさすがというか……)

白井 (微笑ましいというか……) ニコッ




362 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 10:48:08.88 ID:03POG+QO0
白井 「あっ、途中で撮影された写真がありますの」

男 (できれば見たくないなぁ……)

幼女 「あれ……? あっ、もしかして顔を手で覆ってるこの人がおにーちゃん?」

男 「……はい。もしかしなくてもそれが僕です」 シュン

白井 「し、仕方ありませんわよ。カメラがあったのは、3D映像が一番すごい所でしたもの」

幼女 「? でも、おねーちゃんすっごく楽しそうな顔してるね」

白井 「よ、幼女ちゃん……! しーっ! しーっ、ですの!」

男 「………………」 ウゥ……

幼女 「あっ、でも、後ろの方に、おにーちゃんと同じように顔隠してる人がいるよ!」

白井 「ほ、本当ですの! ほら男さん、よかったですわね。男さんだけではなかったようですよ」

男 「それは慰めになってません」 グスン 「……? あれ、この人、どこか見覚えがあるような……」




364 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 10:55:19.51 ID:03POG+QO0
止 「………………」 (危なかった……本当に危なかった……)

止 (まさか途中にカメラがあるとは……)

イル 「さいしょ、ちと、びびったけど、さいご、楽しかった!」 キャッキャッ

メイ 「そうですねー、イル。最初はほんの少しだけ怖かったですけどねー」 ウフフ

止 (アイツらが途中から怖くなくなったのか、手を放してくれたからよかったものの……)

止 (危うく、103に思いきりバレるところだった……)

止 (っつーか、あの一番前で顔覆ってる奴、103だよな……?)

イル 「あっ……! とまる、顔隠してる!」

メイ 「あらあら……本当ですね。まったく、止様ったら」

メイ 「案外怖がりなんですね。怖くて本当に顔を覆ってしまうなんて」

止 「ち、違う! 誰がそんなことをするか!」

メイ 「でも、実際にしてるじゃないですか」

止 「ぐ……!」 (途中まで手を握ってきてたくせに、コイツら……)








その2へ



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コメント
この記事へのコメント
  1. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/05/02(日) 22:58: :edit
    以下ゲッター爆死
  2. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/05/02(日) 23:14: :edit
    一年の4分の1が終わったけどおまえら何かやったの?
  3. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/05/02(日) 23:24: :edit
    3か
  4. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/05/02(日) 23:34: :edit
    読めば読むほど、読むのが辛い。
  5. 名前: 七氏の巌窟王 #-: 2010/05/02(日) 23:58: :edit
    禁書・超電磁砲置いてきぼりのオリキャラパートが長すぎて途中で読むの断念したんだよなあこれ

    めちゃ長いのにまとめてくれたぷん太に乙
  6. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/05/03(月) 00:10: :edit
    待ち望んだ続編……!
  7. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/05/03(月) 00:45: :edit
    007getだぜ!
  8. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/05/03(月) 00:48: :edit
    落ちたのにまた投下する奴マジでうざい
    それなら最初から書きだめといて投下して終われと
    バカじゃねぇの
  9. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/05/03(月) 02:15: :edit
    米2は算数ができない子クマー
    米8に同意
    オリジナルやるならこいつら使わなくてもいいだろうに
  10. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/05/03(月) 02:26: :edit
    イルかわいすぎだろ
  11. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/05/03(月) 02:56: :edit
    おもしろいけど、時折間違えてる英語が・・・・
    わざとなのか・・?
  12. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/05/03(月) 05:54: :edit
    オリキャラものはあまり好きじゃないけど、
    このシリーズは、なかなか良いな。

    ただ、正直もうおなかイッパイ感があるので、
    これ以上はクドイかもしれない。。。
  13. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/05/12(水) 18:33: :edit
    イルが可愛いンですけどォ
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俺の妹がこんなに可愛いわけがない 黒猫 白猫Ver.
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