TV 「ねことあひるが力を合わせて」 その2

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2010/05/02(日)
365 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 11:13:59.96 ID:03POG+QO0

その2です。

365 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 11:13:59.96 ID:03POG+QO0
………………

上条 「おっ、男たち出てきたな。うわ……男、白井の肩借りてるよ……」

佐天 「……ねぇねぇ初春、」

佐天 「なんていうか、ぶっちゃけ、もう普通に遊園地回りたい気分になってきたんだけど」

初春 「そうですねー。ぶっちゃけ、私も飽きてきました」

御坂 「!? ちょっ、初春さん! 首謀者が何言ってるのよ!」

土御門 「まぁ、せっかく遊園地に来たわけだしにゃー」

青髪 「せやせや。ここは組み分けをして……男女ペアでデートするというのは如何!?」 ムッハー

上条 「却下だ変態」

ネム&ディズ 「ニャーーーッ」 ガリガリ!! 「ガーーーッ」 ゲシゲシ

青髪 「痛い痛い痛い! 堪忍してネムやんディズやん!」




367 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 11:20:51.76 ID:c4ojs/np0
佐天 「っていうかさ、そもそも私たちがあの三人の様子を観察しても仕方ないよね」

御坂 「たしかに……っていうか、私たち何やってんだろ」

初春 「じゃ、そろそろ終わりにしますかねー」

上条 「それでいいのかよ……」

初春 「……けど、最後にちょっとしたサービスを」

上条 「サービス? アイツら、オープンテラスみたいなとこに入ったぞ?」

初春 「ちょうどいいのです。少しだけ待っててくださいね、皆さん」 ダッ

佐天 「……? 行っちゃった。初春、何をするつもりなんだろ?」

御坂 「さぁ?」

上条 「………………」 (なんとなく、ロクでもないことのような気がする)




368 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 11:31:34.56 ID:c4ojs/np0
………………

男 「はぁ……なんていうか、一年分の恐怖を味わった気分だよ」

白井 「ふふ……では、もう風紀委員のお仕事で泣き言はおっしゃらないということですのね?」

男 「あ……いや、それは……」

幼女 「一年後には、またあのジェットコースターに乗れるってことだよね!?」

男 「いや、それは絶対に違うよ」

男 「……それにしてもあの写真の幼女ちゃんと白井さん、本当に楽しそうでしたね」

白井 「まぁ……わたくしは特に恐怖は感じませんでしたけれど」

幼女 「わたしもわたしもー! おもしろかったよ?」

男 「………………」

男 「……う、うん。人には向き不向きがあるよね」

店員 「お客様。ご注文の方お決まりでしょうか?」

男 「あ……はい、僕はこのトロピカルドリンクというのを」

白井 「では……わたくしも同じものを」

白井 (……? はて? 何でしょうか、このデジャヴは)




369 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 11:33:28.61 ID:c4ojs/np0
幼女 「あ、わたし、アイスココア!」

店員 「かしこまりました。少々お待ちください」

白井 (……? 前にも似たようなことが……) ハッ 「……ああああっ!」

男 「ふにゃっ!?」 ビクッ 「ど、どうしたんでせう!?」

白井 「い、いえ……何でもありませんの……」

白井 (しまった……そうでしたわ。いつだったか、かき氷をお姉様と食べたとき……)

白井 (同じものを頼んでしまったばっかりに、交換ができなかったのでした……)

白井 (同じような過ちを繰り返してしまうとは……黒子、一生の不覚ですの……!!)

………………

店員 「えーっと、トロピカルドリンクがふたつ……と」

スッ

初春 「あのー……」

店員 「? 何でしょうか?」

初春 「風紀委員です。実は、折り入って頼みたいことがありまして……」 ズイ

店員 「はぁ……」




370 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 11:37:38.47 ID:c4ojs/np0
初春 「――――――――――」 ゴニョゴニョゴニョ

店員 「………………」

初春 「お願い……できませんか?」

店員 「……本来なら、絶対にお受けできないのですが……」

店員 「わたしもヤボなことは言いません」 グッ 「了承しました」

初春 「! ありがとうございます!」 ペコリ

………………

白井 「……? 遅いですわね」

男 「そうですね。どうしたんでしょう」

幼女 「ノドが渇いたよー……あっ、来たよ!」

店員 「……お待たせ致しました」

白井 「本当ですわ、まったく……」

店員 「申し訳ございません」 トン 「こちら、アイスココアになります」

幼女 「わーい!」




372 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 11:41:12.92 ID:c4ojs/np0
店員 「そして、こちらが……」 トン 「トロピカルドリンクになります」

男 「!! こ、これは……まさか……」

白井 「えっ……えええっ!?」

店員 「申し訳ありません、お客様。水道資源節約のために、」

店員 「ひとつのグラスで召し上がっていただけますか?」 ニコッ

男 「………………」 (ひとつの大きめのコップにストローが二本……)

白井 (しかも、ストローは見事にハートを描いていますの……)

男 (こ、これが……)

白井 (伝説の……)

男&白 ((カップル飲み……!!)) ゴクリ

店員 「あー……ダメ、ですか?」

男 「! い、いえいえ! これでいいです! 洗い物を増やすのはよくないですしね!」

白井 「そ、そうですの! これで構いませんので、お気になさらずに!」

店員 「そうですか。ありがとうございます」 ニコッ 「では、“ごゆっくり”」




373 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 11:46:00.74 ID:c4ojs/np0
白井 「………………」

男 「………………」

白井 「……そ、その、男さん」

男 「は、はい……」

白井 「ノドも乾きましたし……飲みましょうか」

男 「そ、そうですね……飲みましょうか……」

スッ……

白井 (ほ、本当ですの……!? っていうかこれは現実ですの……?) フルフルフル

男 (ほ、本当にいいの? だ、大丈夫だよね? 逮捕とかされないよね!?) スススッ

白井 (あ……す、ストローが、目の前……うぅ……!) ハムッ

男 (あぅ……ええい、ままよっ!) パクッ

チュー……ゴクゴクゴク……

白井 (顔が近い顔が近い顔が近いですのぉぉぉおおおおお!!!)

男 (どうする!? どうするの僕!? どうするって何を!?)

白&男 ((とにかく幸せすぎる!!))




374 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 11:48:02.39 ID:c4ojs/np0
………………――――――

初春 「うはぁ……」 ボン……!! 「二人とも、本当にやってます……」

佐天 「ちょっと初春、何で実行した初春が一番慌ててるのよ」

御坂 「………………」 ゴクリ

初春 「だ、だって……まさかこんなに上手くいくとは思わなくて……」

上条 「……これには温厚な上条さんも若干手の震えが止まらないのですよ。あのヤロウ……!」

青髪 「おいおいカミやん。ボクなんて、今度男やんにあったらこの右ストレート止められませんよ?」

土御門 「そうだな。俺も少し本気を出す」

青髪 「……っても本当にラブラブな感じやなー。妬むのも馬鹿らしぃなりますわな」

土御門 「……だにゃー」

御坂 「………………」 ゴクリ

佐天 「いいなぁ、白井さん。私もいつか、ああいうことしてみたいなー。……ねぇ御坂さん?」 チラッ

御坂 「へっ? 何で私!? べ、べつに私は、あんなのに興味なんてないわよ!?」




375 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 11:52:28.23 ID:c4ojs/np0
………………オープンテラス裏手

止 「……はぁ」 (疲れはしねぇが……気疲れが……)

イル 「とまる! 休んでない! 早く、つぎ、いく!」

止 「分かった。ちょっとだけ休ませろ」

メイ 「ふふ……はい、飲み物です。どうぞ」

止 「おお、サンキュー」

イル 「ありがと、メイ」

メイ 「いえいえ。まだ時間はたっぷりありますし、ゆっくり行きましょうか」

イル 「ん。メイ、そう言うなら、イル、そうする」

メイ 「……ふふ、それにしても、やはり遊園地とは楽しいものですね」

止 「……俺たちくらいの歳になってもか?」

メイ 「ええ。だって、実際にわたしは楽しいですから」 ニコッ




376 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 12:02:18.47 ID:c4ojs/np0
イル 「ん! イルも、たのしい!」

止 「お前はガキだろうが」

メイ 「……では、止様はどうなんです?」

メイ 「止様は楽しいですか?」

止 「………………」 ケッ 「……楽しいさ。当たり前だろ」

イル 「!! とまる、またドラった!」

止 「お前はまずその珍妙な日本語をどうにかしろ!」


従業員1 「……なぁなぁ、あの三人組、通報しなくていいのか……?」

従業員2 「メイドに金髪幼女に蛙お面男……正直、ギリアウトってとこか……」

従業員3 「いや、ズバリアウトだろ……」

従業員×3 「「「……けどまぁ、」」」 フッ 「「「楽しそうだからいいか」」」




377 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 12:07:44.72 ID:c4ojs/np0
………………

幼女 「……? どうしたの? ねーちゃんとおにーちゃん、お顔真っ赤だよ?」

男 「な、なんでもないよ!? なんでも……なんでも、ないから……!」

白井 「そ、そうなんですわ……」

男 (やばい……これヤバイ……本当にヤバイ。もうヤバイしか言えない)

白井 (これは……殺人ツールですの……心拍数で死ねますわ……)

幼女 「???」

男 「……あっ、幼女ちゃん! あっちでクマさんが風船配ってるよ!」 ビッ

幼女 「ふぇ……? あっ、ほんとだ!」

男 「貰ってきたら?」

幼女 「うん! おにーちゃんたちはここで待っててね!」 ダッ

男 「ふぅ……」 (誤魔化せた……かな?)




378 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 12:17:18.87 ID:c4ojs/np0
………………

メイ 「あら、イル、あちらで風船を配っていますよ?」

メイ 「もらってきたらどうですか?」

イル 「!? あ、bare、balloon、くばってる!」

イル 「イル、行ってくる!」 ダッ

メイ 「あらあら……イルったら……」

止 「……ふん、風船で釣られるなんてガキだな」

メイ 「まぁ、まだあの子は七歳ですからねぇ」

止 「………………」 ギロッ

止 「……七歳のガキが、一体どうしたら暗部に落ちるようなことになるんだ?」

メイ 「………………」 フゥ 「……ええ。そうですね……お話し致します」

メイ 「端的に申し上げてしまえば、イルは米国の産業スパイでした」

止 「……? なんだと?」

メイ 「表向きはもちろん特別留学生という枠組みで、彼女は学園都市にやってきました」

メイ 「イルの本名は、ヘレン・キングダム。米国政府高官、エドワード・キングダムの実子です」




380 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 12:19:04.59 ID:c4ojs/np0
止 「……米国……なるほどな。“スターゲイト” 計画の残滓か」

メイ 「そういうことです。米国にも 『学芸都市』 なるものが存在しますが、それは学園都市とは趣を全く異とします」

メイ 「学園都市の能力開発カリキュラムを得ようと、キングダムは、自分の実の娘を学園都市に送り込んだのです」

メイ 「まさか自分の、まだ年端もいかない娘をスパイにすることなどありえないだろう……」

メイ 「そういった心理を逆手に取ったのですよ」 フッ 「本当に、酷い親ですよね」

止 「………………」

メイ 「けれど……計画は見事に頓挫しました。しかも、娘のミスではなく、親のミスで」

メイ 「米国の学園都市関係者にキングダムは拘束され……そしてスパイ計画が露見したのです」

メイ 「当然、イルにも然るべき処置が待っていました」

メイ 「……当初はイルを殺すべきという意見もあったようですが、最終的には人質として暗部に落とすことになりました」

メイ 「学園都市にとって、イルは死のうが生きていようがどうでもいい存在なのでしょうね」

メイ 「……キングダムは米国ではそれなりに高い地位にいた人間です。娘を人質に取られた後は、」

メイ 「すぐに拘束を解かれ、再び役人として米国で働いているようですよ」

止 「ッ……胸くそ悪い……!」

メイ 「……ええ、そうです。この胸くそ悪いお話が、けれどイルの……あの子の真実なのですよ」




381 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 12:23:29.46 ID:c4ojs/np0
―――― 『イル、自分の未来みること、できない。けど、わかる。きっと、イルは死ぬ』

―――― 『……だから、とまるは生きて』

止 「……ッ!」

メイ 「……わたしは、この命に代えてもイルを守り抜くと誓っています」

メイ 「イルを絶対に、この暗部から救いだしてみせる……それこそが、わたしの生きる理由ですから」 ニコッ

止 「……戻るぞ」 ギリッ 「戻る……絶対に、表の世界に……この幸せな世界に戻るぞ」

止 「イルも、お前も、シィも……全員で、絶対に戻るんだ……!!」

止 「いつか……絶対に……!」

メイ 「………………」 フッ 「……本当に、お優しい方」

メイ 「けれど、それではダメですよ。足りません」

止 「……なんだと?」

メイ 「――貴方様も、です。止様、あなたも含めた四人で、戻りましょう」

メイ 「この素晴らしい、みんなが笑顔でいられる日常へ」

止 「………………」 フッ 「当たり前だ。俺は利己的な人間だからな」

メイ 「……何を今さら言っていらっしゃるのやら」 フッ




382 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 12:25:10.53 ID:c4ojs/np0
………………

客 『次どれ乗るー?』

客 『あのオバケ屋敷行かない?』

客 『えーっ。あれマジやばいらしいじゃん? 最先端のCG云々とか』

客 『行ってみようよ! 面白そうじゃん』

………………

?? 「……くそっ……どいつもこいつも、笑ってやがる……」

?? 「どいつもこいつも、何も知らず、暢気に、笑ってやがる……ッ!」

?? 「こんな場所で笑って、幸せでいられるのが、誰のおかげかも知らないで……笑っている……」

ギリッ

?? 「……思い知らせてやる」

?? 「何をすることもなく幸せを享受できている全てのクズに……思い知らせてやる……」




383 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 12:33:18.37 ID:c4ojs/np0
………………

幼女 「……くーまーさん!」

幼女 「ふーせんくーださい!」 スッ

クマ (ふぉ!? ポニテ美幼女キタコレ!!)

イル 「bare、balloon、イルによこす!」 スッ

クマ (なんと!? 金髪碧眼美幼女キタコレ!!)

クマ (今日は豊作だクマーーーーーーー!!!!)

クマ 「……お嬢ちゃん達、何色がいいのクマー?」

幼女 「わたし、ピンク!」

イル 「イル、ミズイロ!」

クマ 「クマー!! 幼女らしい色! 素晴らしい!」

クマ (風船の色=この子達のおぱんちゅの色……その妄想でご飯三杯はイケます!!)

幼&イ 「「????」」




384 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 12:35:14.49 ID:c4ojs/np0
男 「………………」

男 「……なんかあのクマからとても嫌な気配を感じる」

白井 「……? 男さん?」

男 「そう……たとえるなら、どこかの青髪ピアスみたいな……」

白井 「?」

男 「ま、気のせいだよね」

………………

メイ 「なんかあのクマをさくっと爆破したくなってきたのですが」

止 「!? なにいきなり危ないこと言ってんだお前!?」

メイ 「ちょっと行ってきますね?」 ガタッ

止 「行くな! 頼むから踏みとどまれ!」 ガシッ




385 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 12:39:38.79 ID:c4ojs/np0
………………

?? 「ははははは……これで、これで……!!」 ピトッ

ボワッ …… メラメラメラメラ ……

?? 「思い知れ……思い知れ、一般人ども、これが戦場だ……」 スッ ピッ

prrrrrr …… ガチャッ

?? 「……統括理事会本部だな?」

?? 「……いや、いい。要件はひとつだけだ」

?? 「――こちらはテロリストだ」

?? 「学園都市上層部に伝えろ。速やかなる 『――――』 の情報開示を要求する」

?? 「それが実行されない場合は……多くの一般人が死ぬことになるぞ」


―――……ドォォォオオオオオオオオン!!!!!




386 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 12:43:56.95 ID:c4ojs/np0
………………

白井 「………………」

男 「………………」

白井 「……あの、男さん」

男 「? なんです?」

白井 「………………」 ハフゥ 「……すみませんでした、ですの」 ペコリ

男 「へっ? い、いきなりなんなのです?」

白井 「最近……というか、あの事件以来、わたくしはずっと、男さんを避けておりました」

男 「あ、ああ……そのことですか……」

白井 「申し訳ありませんでした……その、やっぱり、気まずくて……」

男 「いえ……正直言って、悪いのは僕ですからねぇ……」 ニコッ 「……でも、今日は久しぶりにたくさん話せて嬉しいです」

白井 「わたくしもですの。やっと、普段の調子が取り戻せた気がしますもの」

男 「その……このデーt――行楽は、一体誰が考案したんです?」

白井 「あ、それは、その……実は……」

白井 「わたくしです、と言いたいところですが……実は初春ですの」




388 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 13:15:21.94 ID:w8fRMpVY0
男 「はは……やっぱり。幼女ちゃんも花飾りのおねーちゃんとか言ってましたし」

男 「チケットを渡してくれたのも初春さんだったし……彼女にも色々と気を使わせちゃったのかな……」

白井 「まぁ……優しい子ですからね、初春は」

白井 「本当に感謝しておりますのよ。こうして、男さんと口をきけているんですもの」

男 「……僕も。ありがとう、初春さん」

男 (みんなに悪いことしちゃったな……) 「こちらこそ、すみませんでした……」

白井 「……。何で男さんが謝りますの?」

男 「だって……白井さんに迷惑かけちゃったし……」

白井 「だ……誰が迷惑などと申しましたか!」

男 「………………」 チラッ


クマ 「クマークマークマー!!! さぁ二人も一緒に! クマークマークマー!!!」

幼女 「クマークマークマー!!!」

金髪幼女 「クマークマークマー!!!」


男 「………………」 (あの様子なら大丈夫かな……)




390 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 13:16:58.02 ID:w8fRMpVY0
男 「あの、白井さん……」

白井 「?」

男 「これから僕が何を言うのか……多分察しはついていると思います」

男 「けど……聞いてくれると嬉しいです」

白井 「……!?」

男 「……あの時の続き、言ってもいいですか?」

白井 「………………」 キョロキョロキョロ

男 「……白井さん?」

白井 「か、確認などせずとも構いません! 早くおっしゃってくださいな!」 クワッ

男 「あ、は、はい……! すみません!」 (どうしたんだろ、白井さん……)

白井 (また邪魔が入りそうな気がして怖いんですのよ!)




392 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 13:26:23.46 ID:w8fRMpVY0
男 「で、では……参ります」 コホン

白井 「は、はひ、ですの……」 ドキドキ……

男 「白井、黒子さん、その、僕は……」

白井 「………………」 ドキドキドキドキドキドキドキドキ

男 「僕は、白井さんのことが、ずっと……」


上条 「……真っ赤な顔して向かい合って……あれってひょっとして……」

佐天 「………………」

御坂 「………………」 ゴクリ

初春 (男さん頑張ってください!) グッ


男 「僕は、白井さんのことが――――――」


――――――……ドォォォオオオオオオオオン!!!!!




393 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 13:28:01.14 ID:w8fRMpVY0
グラグラグラ……

男 「――!!? 今のって……」

白井 「爆発……ですわね……」 ギリッ サッ

白井 「お話は……申し訳ありません。後で伺います」

男 「………………」 コクン 「今は、こっちだよね」 サッ

男&白 ((ほんっっっっとうに……ついてない!!!) ですの!!!)

客1 「い、今のって……何?」

客2 「爆発……だよねぇ?」

客3 「ってことはもしかして……この間みたいな、テロ!?」

客 『に、逃げろ!』

ワーワーワーワーワー ……

男 「っ……もう混乱し始めてる……」 (この前テロがあったばかりだもんな……当たり前か)

白井 「風紀委員ですの! 皆さん、落ち着いてください!」




394 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 13:41:16.39 ID:w8fRMpVY0
………………

イル 「………………いま、ばくはつ、おきた……?」

幼女 「……?」 ポケー

クマ 「……まずい、お客さんが混乱し始めてる……!」

ドン!!

幼女 「きゃっ……!」 パタン

イル 「あっ……ダイジョーブ?」 スッ

幼女 「あ……ありがと……」 ギュッ

クマ 「さぁ二人とも、僕に掴まって……クマー」 スッ

クマ (幼女は世界の宝……この命に代えても、僕ら紳士が守る) キリッ




395 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 13:43:09.64 ID:w8fRMpVY0
………………

止 「っ……!? 今の爆発……」

客 『逃げろぉぉおおおおおお!!』

止 「っ、一般人どもが。混乱しやがって……阿鼻叫喚だな……」

メイ 「…………っ!!」 ガタッ

止 「メイ?」

メイ 「イル! イルぅぅううううう!」 ダッ

止 「おい! 待て!」 ガシッ

メイ 「は、離してください! イルが! イルが!」

止 「落ち着け! あの混乱してる場に、その状態で突っ込んだって仕方ないだろう!」

メイ 「知りません! 離してください!」

止 「っ……!」 ムカッ

パシィ!!




396 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 13:46:28.51 ID:w8fRMpVY0
メイ 「へ……?」 スッ

止 「……すまん。だが、こうでもしないとお前は落ち着かないと思った」

止 「頼む。お前にとってイルが大事なのは分かる。だが、落ち着いてくれ」

止 「お前まで混乱してたんじゃ、見つかるものも見つからなくなる」

メイ 「あ、貴方様は……今……」

メイ 「わたしの、頬を、張りました……?」

止 「? だからそれは悪かったと……」

メイ 「そうではなく……なぜ?」

メイ 「なぜ……そんなことを? 貴方の手が、爆発するかもしれなかったのですよ?」

止 「………………」 ケッ 「知るかよ。ほら、早くイルを探しに行くぞ」 ギュッ

メイ 「………………」 フッ 「はい……止様」




397 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 13:51:30.49 ID:w8fRMpVY0
………………

佐天 「……? 今のって、爆発……?」

上条 「っ……」 (おい土御門!)

土御門 (いや、感じからしてローマ正教からの攻撃ではないな。魔術ではない)

土御門 (そもそも連中が、こんな行楽施設を狙う理由がない)

土御門 (今の音、そして煙の方角から察するに……あっちだな)

土御門 (パンフによると、倉庫……なるほど。花火の火薬でも爆発したんだろう)

上条 (ってことは、ただの事故って可能性も……?)

土御門 (いや、それはないな。仮にも爆発物。厳重なセキュリティやシールドがあったはずだ)

土御門 (科学はそういったミスを滅多にしない。恐らくは、何者かによる意図的な攻撃、だ)

上条 「っ……くそっ……!」 ダッ ガシッ 「……!?」

土御門 (待つんだぜぃ、カミやん。もう現場には犯人はいないだろうからにゃー。ここはもう少し頭を使うべきだと思うぜぃ)

上条 「………………」 フゥ (……分かった。お前の方が場数を踏んでるしな。従うよ)




398 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 13:54:58.67 ID:w8fRMpVY0
初春 「………………」 サッ

初春 「……風紀委員です。一般人の皆さんは、速やかな避難を」

御坂 「………………」 フッ 「今さら、それはないでしょ? 避難誘導とか手伝うわよ」

初春 「……すみません。ありがとうございます、御坂さん」

佐天 「………………」 ギュッ 「……わ、私も!」

初春 「……? 佐天さん?」

佐天 「私も……手伝う! 私はレベル0で……役立たずかもしれないけど……」

佐天 「でも、初春たちの力になりたい!」

佐天 (男さんは、初春たちが私を自慢してくれたって言ってた……なら、私……もっと頑張りたい!)

初春 「………………」 ニコッ 「はい。では、御坂さんと一緒に、お手伝いをお願いします」

初春 「ありがとうございます。佐天さん。とっても嬉しいです」

佐天 「う、うん……!! 私、頑張るから!」 グッ




399 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 14:01:22.79 ID:w8fRMpVY0
上条 「……青髪、お前は逃げてもいいんだぞ?」

青髪 「ええ……? 今さらそれはないんちゃうん?」

青髪 「乗りかかった船やん。ボクもご一緒させてもらいましょ」 ニコッ

上条 「けっ、好きにしろよ」

初春 「……私は今から園の情報管制室に向かいます」

初春 「皆さんはとりあえず白井さんたちと合流して、白井さんに指示を仰いでください」

御坂 「分かったわ。初春さん、気をつけてね!」

初春 「はい!」 ダッ

上条 「っ……にしてもすげぇ混乱具合だな」

青髪 「しゃあないんちゃうん? ボクもこんなに落ち着いてはる皆さんと一緒じゃなきゃ、」

青髪 「とっくにあの混乱の中に入っとる思うし」




400 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 14:05:16.60 ID:w8fRMpVY0
ネム 『男! 白井!』 タタタタタ……

男 「……!? ネム! それからディズも! 何でここに?」

ディズ 『それは後! 今はこの場を落ち着かせないと……』

白井 「そうは言いましても、この混乱具合では……」

白井 「っ……幼女ちゃんも見失ってしまいましたし……」

御坂 「あんたが気弱でどうすんのよ、黒子」

佐天 「そうですよー。やっぱり、弱気な白井さんなんてしっくりきませんよ」

男 「!? 御坂さんに佐天さん!? なぜここに!?」

上条 「話は後だ、男。風紀委員のお前が慌ててどうするんだよ」

土御門 「そうなんだにゃー。もっとしゃんとするんだぜぃ」

青髪 「うわー……せやけど男やんに風紀委員の腕章って……コスプレみたいやなぁ」

男 「なぜデルタフォースまでここにいるの!?」

御坂 「いいから早く避難誘導始めるわよ!」




401 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 14:10:48.65 ID:w8fRMpVY0
………………

止 「オラどけ一般人ども! 邪魔なんだよ!」

客 「えっ……なにこのお面……!」

客 「顔を隠してるってことは……もしかしてテロリスト!?」

サーーーーッ……

メイ 「……さすがは止様。蜘蛛の子を散らすようにわたしたちの周りから人がいなくなりました」

止 「複雑な気分だけどな……。イルーーーーーーッ!!」

メイ 「イルーーー! いるのなら返事をしてくださーーーい!」 

クマ 「……? わっ、なんだこの人たち!? ……クマ」

イル 「! メイ! とまる!」 ダッ

メイ 「イル……!!」 ダッ 「よかった……」 ギュッ

クマ 「……その子の保護者さんですか? ……クマ」

止 「そうだ。その語尾つける必要あんのか?」

クマ 「マスコットキャラの宿命です」 グッ

幼女 「………………?」 ジッ 「あれぇ? あのカエルさん……」




402 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 14:13:06.67 ID:w8fRMpVY0
止 「あん? ……!!!!」 (あ、あのガキはまさか……)

幼女 「……うーん、カエルのおにーさん、どこかで会ったことない?」

止 「あ、いや、ないな。ない。まったくない……ケロ」

クマ 「……その語尾つける必要あるんですか?」

止 「察しろ。色々と」

幼女 「うーん……あっ、思い出した!」

止 「!!?」 (やばっ……! 顔が見えなくてもさすがにバレ――)

幼女 「ジェットコースターで、おにーちゃんと同じように顔を覆ってた人でしょ!」

止 「ッ……!? ……って、あ?」

幼女 「えへへ……おにーちゃんと同じ怖がりさんなんだね」

止 「っ……そ、そうだよー。その通りなんだよー……ケロ」

メイ 「? どうかされたんですか止様? 挙動不審ですよ?」

イル 「とまる! ほんとに、かえる、なった!」

止 「うるせぇお前ら……ケロ」

メイ 「? ……それで、そちらのお嬢ちゃんは、」 ニコッ 「パパとママとはぐれてしまったのですか?」




404 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 14:18:06.61 ID:w8fRMpVY0
幼女 「パパとママじゃないけど……おにーちゃんとおねーちゃんとはぐれちゃったの」

メイ 「そうですか……では、わたしたちが一緒に探してさしあげましょう」

クマ 「……お任せできますか?」

メイ 「はい。もちろんです」

クマ 「では、お願いします。僕はこれから、従業員として、消火作業に向かわなくてはなりません」

クマ 「……こんなナリをしていますが、僕は管理職サイドの人間ですので、早く行かないと」

メイ 「………………」 フッ 「なるほど」

クマ 「?」

メイ 「それなりの地位にいるのに、こんな暑くて苦しい仕事をしている」

メイ 「つまり、貴方は “本物” というわけですのね」

クマ 「うっ……」

メイ 「いえいえ、糾弾するつもりはありません。イルを守ってくださり、ありがとうございます」

メイ 「貴方は “本物の紳士” のようです。尊敬致します」 ニコッ




405 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 14:21:47.66 ID:w8fRMpVY0
クマ 「では、僕はこれで。あなた方もできるだけ早く避難をお願いします」

止 「あっ……ま、待て! 俺も同行させてくれ。手伝えることくらいあるだろう」

クマ 「クマ?」

止 「頼む……!」 (このままここにいたら、103と出くわすかもしれない……)

止 (それに何より……) チラッ

イル 「とまる?」

止 (コイツのためにも……さっさとこんな問題、解決しちまわねぇと)

クマ 「こちらの方々を放っておいていいんですか?」

止 「っ……それは……」

メイ 「ふふ……わたしたちのことでしたらお気になさらずに。止様のお好きなように、どうぞ」

止 「……すまん、メイ。頼む」

クマ 「……分かりました。では、お手伝いをお願いします」




406 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 14:26:28.20 ID:w8fRMpVY0
………………

白井 「この近辺の混乱は大分収まりがつきました……皆さんの協力に感謝致しますの」

白井 「一般客は全員、出入り口の方へ避難してくれました」

上条 「はぁ……にしても大変だったな」

佐天 「そうですよね。ちょっと爆発が起きたくらいでこれって……」

御坂 「仕方ないんじゃない? ついこの前、外部からのテロがあったばかりだし」

青髪 「一般人の僕からすれば、皆みたいなJCが泰然としとる方が異様なんやけどなぁ」

男 「ん……? あっ、あれ、幼女ちゃん! よかった……無事だったんだ……!」 ダッ

幼女 「おにーーーーちゃーーーん!」 ダッ ギュッ

土御門 「……?」 (あれは……さっきの本格メイドと、金髪幼女……)

メイ 「その子の保護者の皆さん……ですよね?」

男 「あ、はい。そうです。ありがとうございました」

メイ 「いえいえ」 ニコッ  イル 「れいには、およばん」 ニッ




407 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 14:32:37.84 ID:w8fRMpVY0
土御門 「……?」 (………………)

メイ 「……?」 ニコッ 「あら、わたしの顔に何か?」

土御門 「……いや……」 (ひとつだけ聞く。“同業者” か?)

メイ 「………………」 フッ (なるほど……あなたもこちらでしたか)

土御門 (……あれはお前の仕業か?)

メイ (まさか。せっかく行楽で来たというのに、そんなことはしませんよ)

メイ (と、いうことはそちらの及び知ることでもないのですね?)

土御門 (当然だ。誰が好きこのんで一般人など巻き込むか)

メイ (ごもっとも)

上条 「? おい土御門。お前いくらメイドさんが好きだからって、時と場合を考えろバカ」

土御門 「………………」 フッ 「やっぱバレたにゃー。で、この後どう?」

メイ 「ふふ……お断り致します」




408 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 14:38:54.77 ID:w8fRMpVY0
白井 「………………」 prrrrrr……

白井 「初春から……?」 ピッ 「もしもし?」

prrrrr……

男 「? 僕にも? 誰からだろう?」 ピッ 「もしもし?」

? 『男の携帯電話じゃん!?』

男 「わっ……こ、この声は、黄泉川先生?」

黄泉川 『そうじゃん! お前、いま遊園地にいるんだよな!』

男 「なぜそれを黄泉川先生までご存知なのです……」

黄泉川 『お前のクラスのデルタフォースとやらが話してるのを聞いた!』

男 「アイツら……」

黄泉川 『それは今は置いておくじゃん! いいから中の状況を報告してくれ!』

男 「……?」

男 「中の状況って……アンチスキルならそれくらい――」

黄泉川 『それがまったく上から情報が下りてこないんだよ!』

男 「えっ……? どういうことです?」




409 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 14:44:27.89 ID:w8fRMpVY0
黄泉川 『園内に通じるあらゆるルートは封鎖されている。一般の出入り口すらもだ!』

男 「それって……園側が一般客を閉じこめているってことですか!?」

黄泉川 『いや、一レジャー施設にそこまでの権限はない。そもそもそんなことをする意味がない』

黄泉川 『言いたくはないが……これは学園都市上層部の判断だろう』

黄泉川 『そして我々アンチスキルには、出動要請どころか、詳細情報すら下りてこないんだ……』 ギリッ

黄泉川 『教えるじゃん、男! 一体中で何が起きているんだ!』

………………

上条 「なっ……男、それ本当かよ!」

男 「うん。おそらく犯人逃亡阻止のためだろうね。この園はいま完全に封鎖されている。アンチスキルも中に入れないらしい」

佐天 「そんな……」

御坂 「そ、それって……中の人たちはどうなってもいいっていうこと!?」

土御門 「なるほどな……九月三十日のテロ騒ぎのこともある。犯人確保が最優先ということなんだろう」

土御門 (そして、アンチスキルを中に入れないことから見て、おそらくはそれすらもただの名目)

メイ (本当の狙いは、秘密裏での犯人の始末……というところでしょうか)

メイ (学園都市上層部にとって、厄介な情報を持った者が犯人、ということですかね)




410 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 15:15:16.35 ID:w8fRMpVY0
白井 「………………分かりましたわ。初春。あなたは情報管制を続けてください」 ピッ

白井 「先ほどの爆発、どうやら倉庫にしまわれていた花火ほとんどが爆発したようですの」

白井 「幸いにして怪我人はいないようですが……明らかに人為的な放火だったようです」

白井 「……それから、園の一般出入り口が封鎖され、出口付近で暴動が起きかけています」

白井 「園スタッフでは対応しきれないようですので、これから手伝いに参ります」

男 「……了解。行こうか、白井さん」

男 「……皆さんは、ここで待機を」

上条 「………………」 ハァ 「おいおい、男。今さらそれはないだろう?」

白井 「……殿方さん。お気持ちは嬉しいのですが、協力についてはしなくて結構ですの」




411 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 15:18:08.05 ID:w8fRMpVY0
上条 「白井……?」

御坂 「黒子? 人の厚意は素直に受けとくもんよ?」

白井 「いえ、本当に結構ですの。先ほどの混乱を収拾する手伝いだけで、本当に助かりましたので」

佐天 「……? 白井さん、でも――」

白井 「――暴徒、というのは本当に恐ろしいものですの。そう、ヘタなテロリストなんかより、よほど」

白井 「仮にも一般市民ですから、こちらからは手出しできませんし、」

白井 「そのくせ、昂ぶった思考でこちらには敵対心剥き出し……」

白井 「そんな危険な場に、風紀委員でない皆様をお連れするわけには参りません」

白井 「……男さん、参りましょう」 スッ

男 「はい……」 スッ 「……ネムとディズを頼むね、青髪くん」

御坂 「ちょっ、黒子! アンタ――」

白井 「――それではまた、皆さん」 シュン




412 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 15:24:41.47 ID:w8fRMpVY0
………………

止 「っ……火は、あらかた消し止められたか……?」

クマ 「ええ……これで再燃することはないでしょう」 ペコリ 「ご協力感謝致します、カエルさん」

止 「いや……つーか、これは明らかに確信犯だな。もしくは愉快犯だ」

止 「わざわざ分かりやすいように導火線まで引きやがって……私がやりましたって主張してやがる」

止 (クソが……テロリストの可能性が高いってことか……) 「……園の方に脅迫文かなんかは届いてんのか?」

クマ 「いや、そんな事実は確認されていません。犯行声明のようなものもまだ出ていないようですし……」

止 「………………」 (……ということは、学園都市上層部に直接したという可能性もあるか……)

prrrrr……

クマ 「ん……?」 ピッ 「僕だ。……ん……ああ、こっちは大体片が付いた…………分かった。僕も向かう」




413 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 15:27:00.03 ID:w8fRMpVY0
止 「どうかしたのか?」

クマ 「いえ……」

クマ 「どうやら犯人を逃がさないために、学園都市側が園の封鎖を決めたようです」

クマ 「現在、当園は外部に繋がるすべての出入り口を封鎖されています」

止 「なんだと? あの混乱ように加えてそんなことをしたら……」

クマ 「はい。見事に暴動が起きそうなようです。僕はそちらへ向かいます」

クマ 「鎮火へのご協力、本当にありがとうございました。あなたはお連れさんと合流してください。では、」

止 「……待て。俺も行く。それも数が多い方が良いだろう」

クマ 「しかし――」

止 「俺は俺のためにやっている。気にするな」

クマ 「……分かりました。引き続き協力、お願い致します」




414 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 15:29:56.46 ID:w8fRMpVY0
………………

上条 「ッ……」 ガッ 「白井……それから男の野郎……!!」

御坂 「黒子……! あのバカ……!」 ビリビリ

佐天 「………………」 フッ 「……はぁ、お二人さん、そんなことやってていいんですかー?」

青髪 「せやな。二人してクサってもうて、子どもたちが怯えてまうでー?」

上条 「っ……んなこと言ったって……」

佐天 「簡単な話じゃないですか? 今から行きましょうよ、出入り口」

御坂 「……でも、黒子は、危険だから来るなって……」

メイ 「……ふふ、」

御坂 「っ……何か可笑しいんですか!?」

メイ 「これは失礼を致しました。ふふ、けれど、他の方々は分かっていらっしゃることを、」

メイ 「あなた方ふたりだけが分かっていないようですので、それが少し可笑しくて」




415 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 15:32:41.23 ID:w8fRMpVY0
上条 「……?」

メイ 「お分かりになりませんか? 最初からやることなんて決まってるでしょう?」

メイ 「それを分かっていらっしゃるか、いらっしゃらないか。その違いだと思いますけれど」

御坂 「………………」 フッ 「……そうね。やることなんて、最初から決まってるものね」

御坂 「私らしくもない……。何だって私が黒子の言葉を素直に聞こうとしてたのかしら」

上条 「なるほど、な……。ありがとう、君……えーと……」

メイ 「メイ、です」 ニコッ 「どうぞよろしくお願い致します」

上条 「よし……じゃあ行くか、出入り口前広場!」

青髪 「せやせや、カミやんはそうこなアカンわ」

青髪 「ネムやんもディズやんも行くで……って、あれ?」

青髪 「ネムやんとディズやんがおらん!」

青髪 「ひょっとして、もう先に行ったんか……?」




416 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 15:38:21.91 ID:w8fRMpVY0
………………出入り口前 広場

客 『ふざけんな! 早く出せよ!』

客 『中にテロリストがいるかもしれないんだろ!?』

従業員 『ですから、いま、その犯人を逃がさないために、特別厳戒態勢を敷いておりまして……』

客 『犯人逮捕のために俺たちを閉じこめてるのかよ!』

客 『ふざけるな! 開けろ! 出せ!』

従業員 『当方に言われましても困ります! 我々も命令に従っているだけなのです!』

白井 「……まるで聞き分けありませんわね」

男 「仕方ありませんよ。この処置はいくらなんでも理不尽ですし」

白井 「たしかに……犯人を逃がさないために一般客を全員閉じこめるなんて、正気の沙汰とは思えませんの」

男 「かといって、このままでは暴動が起こり、二次被害が広がってしまう……」




417 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 15:41:50.20 ID:w8fRMpVY0
男 (……こんなとき、上条くんだったらどうするんだろう?)

男 (多分、あの暴徒寸前の人たちに向かって、本気で言葉を投げつけるんだろうな……)

男 (けど、僕にはそんな弁舌はないし……。御坂さんだったら……)

男 (……ブチギレて電撃を放つ……とか? はは……まさかね……)

男 (………………)

男 (……僕に、何ができる?)

ネム 『男ーーーー!!』 ダッ

男 「えっ……? ネム! ディズ!」

男 「何でここに来たんだよ! 危ないから来るなって――」

ディズ 『うるさいわね! いいから話を聞きなさい!』 バサッバサッ

ネム 『あの連中を収めればいいんでしょ? だったら手っ取り早い方法があるじゃない!』

男 「えっ……? ええっ!?」




418 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 15:51:10.42 ID:w8fRMpVY0
………………

初春 「……顔認証システムによる防犯カメラ映像の洗い直し……」 カタタタタタ……

初春 「今のところは特に怪しい人影はヒッとしませんね……」 カタカタカタカタ……

初春 「とはいえ、“怪しい人影” にカテゴライズされない一般客なら無数……」

初春 「犯人は一般客に紛れ込んで犯行に及んだ……と、そう考えるのが妥当ですかね……」

prrrr……

初春 「白井さんから?」 ピッ 「もしもし? 初春です」

白井 『白井ですの。こちらは、入り口付近の暴徒寸前の一般市民を鎮静化する算段が付きました』

初春 「! 本当ですか!? さすがは白井さんです!」

白井 『……いえ、わたくしではなく、さすがは男さんたち、と言うべきでしょうね』

初春 「……へっ?」

白井 『説明は後です。今はこちらの言うとおりにしてくださいですの!』

初春 「は、はい、了解しました……!」




420 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 15:56:29.72 ID:w8fRMpVY0
………………

白井 「……それでは、頼みましたよ、初春」 ピッ

白井 「準備は整いました。マイクロホンの周波数も初春に伝えました」

白井 「音響機器の制御も任せろとのことです」

男 「は、はい……」 ゴクリ 「……で、できるのかなぁ、僕に……」

ネム 『こら男! アンタが弱気でどうすんのよ!』

ディズ 『もっと胸を張りなさい! 胸を!』

男 「わ、分かってるよ……」 (それにしても、ネコとアヒルがヘッドセットをつけてるってシュールだなぁ)

白井 「……しかし、本当にお三方だけで大丈夫ですの?」

ネム 『さぁ? 正直、未知数ね。効果範囲についての実験はまだやっていないから』

ディズ 『けど、この広場くらいなら、音響機材の力を借りれば、なんとか……』

男 「……うん。なんとかなる――いや、するんだ。僕たちで、なんとかしよう」

男 「……とりあえず、そう……地声を張ろう」




421 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 16:00:22.14 ID:w8fRMpVY0
従業員1 「風紀委員の方! 広場のステージ、スタンバイオーケーです!」

従業員2 「お願いします、風紀委員さん! ……もうバリケードも保ちません!」

従業員3 「……本当に、頼みました……!」

男 「………………」 ダラダラダラ…… (や、やめてくれ……プレッシャーに弱いんだよ僕は……)

白井 「男さん」

男 「は、はひっ?」

白井 「……頑張って、くださいですの」 グッ

男 「………………」

男 「……はい、白井さん。任せてください」 グッ

男 「さぁやるよ! ネムサス! デイジィ!」

ネム 『……男って、現金』

ディズ 『本当に、やらしいったらないわねぇ』




422 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 16:04:50.98 ID:w8fRMpVY0
客 『早く開けろよこらーーー! 能力使ってこじ開けるぞ!?』

客 『あっ……こらテメェいま手が顔に当たったぞ!?』

客 『ああ!? んなこと俺が知るかよ!』

客 『やるかコラ!?』

客 『上等だコラ!!』

スーーーーーー……

? 『静まれぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーーーーーーーーっ!!!』

客 『……!!? な、なんだ……?』

客 『園内放送のスピーカーからか?』

客 『なっ……! 広場のステージ……あれは、ガキと……ネコとアヒル?』

スーーーーーー……

男 『僕の歌を聴けぇぇぇぇぇぇぇぇええええええええええっっっ!!!!』




423 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 16:12:26.44 ID:w8fRMpVY0
男&ネム&ディズ 『ねことあひるが力を合わせてみんなの幸せをーーーーーっ♪』

客 『……? 何だ、この唄……?』

客 『……意味が分からねぇ。ふざけたことしてんじゃねぇぞクソガキ!』

白井 「っ……」 (効果が薄い……? やはり、ネコさんとアヒルさんの個体数が足りませんの?)

白井 (男さんとネムさんとディズさんだけでは……脳波のネットワークが弱い……)


男&ネム&ディズ 『ねことあひるが力を合わせてみんなの幸せをーーーーーっ♪』

男 (このネコとアヒルの唄……これ自体を聞いて幸せになるわけじゃない……)

男 (この唄を聞いているというプロセス……即ち、)

男 (ネコやアヒルと脳波をリンクさせていること、それ自体が重要……)

男 (けど、それに唄を加えることによって幸せな気持ちになるということも事実、)

男 (だから音響で音を増幅することによって、少しでもそのリンクの輪が広がってくれれば……)

男 (そして人々の不安や攻撃的な意志が少しでも和らげば……)

男 (頼む……! 頼む! 届け! 届けよ僕の唄!)

男 『ねことあひるが力を合わせてみんなの幸せをーーーーー!!!♪ まねきねこだつく!!♪』




424 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 16:18:19.54 ID:w8fRMpVY0
ネム 《やっぱり、脳波のリンクが弱い……》

ディズ 《ネコとアヒルが私とネムサスだけじゃ……これが、限界……》

ネム 《……くっ……あの時は、中央通りにいた全ての人間を幸せにできたのに……》

ディズ 《せめて、もう少しネコかアヒルがいれば……》


白井 「くっ……もうマイクはありませんの!?」

従業員1 「えっ……あ、ありますけど……」

白井 「お貸しなさい! こうなったら……」

従業員1 「ど、どうされるんですか?」

白井 「わたくしも歌うんですの!」

白井 (男さんがいない状況で、ネムさんとディズさんの言葉が分かるのはわたくしだけ……)

白井 (ならばわたくしだって、男さんのお力になれない道理はありませんの!)

白井 (聴きなさい衆愚! わたくしの美声を!)

白井 『――――ねことあひるが力を合わせてみんなの幸せをーーーーーっ♪』




425 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 16:21:41.75 ID:w8fRMpVY0
? 「あら? これ黒子の声じゃない……ふふ、あの子も頑張ってるわね」

? 「……っていっても、これから私たちも頑張らなきゃなんですけどね」


? 「はぁ……若干緊張するなぁ……ボク、意外とあがり症かもしれんわ……」

? 「何なんだぜぃ? オマエらしくもない。パーッとやるんだにゃー」


? 「さて……お嬢様方? 準備はよろしいですか?」

? 「ん! 準備、O.K.」

? 「わたしもばっちりオッケーだよ!」


?×7 『……さぁ、皆さんご一緒に!』

?×7 『ねことあひるが力を合わせてみんなの幸せをーーーーーっ!!!♪』




426 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 16:29:10.90 ID:w8fRMpVY0
男 (えっ……人だかりの中から声……?)

男 (!!? あれは……みんな!)

男 (な、何で……? みんなが……)

ネム 《あらあら……男は本当に、良い友達に恵まれたわねー》

ディズ 《まったく……私たちも負けてられないわね》

男 (っ……みんなのバカヤロウ……ありがとう!)

男&ネム&ディズ 『ねことあひるが力を合わせてみんなの幸せをーーーーーっ!!!♪』

キィ……

キィィィィィィ……

キィィィィィィィィィィ……




427 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 16:36:12.69 ID:w8fRMpVY0
客1 「な、なんだお前ら! いきなり歌い出して!」

土御門 「おいおいおにーさんよぉ、そんなヤボなことは言うもんじゃないぜぃ?」

青髪 「パーッと歌えばみんな幸せ! さぁおにーさんもご一緒に!」


客2 「な、何だ君たちは!」

御坂 「いいからオッサンも歌いなさいって」

佐天 「そうですよ。意外と楽しいですよ?」


客3 「と、突然なんですか!?」

メイ 「お歌を歌っただけでございますよ」

イル 「girl、オマエも、うたう!」

幼女 「えへへー……このお歌、うたってると何だか楽しくなってくるよ?」


……ネコト、、、アヒルガ……チカラヲアワセテ、、、ミンナノ……シアワセヲー……


キィィィィ …… ―― キィィィィィィィィィィィィィィィィィィンンンン!!!!




428 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 16:47:18.90 ID:w8fRMpVY0
………………数分前

青髪 「……ん? 何やこの音は?」 タタタタッ……

御坂 「何かの曲かしら……? 入り口の方から聞こえるわね」 タタタ……

幼女 「あっ、これ! おにーちゃんのお歌だ!」

上条 「男の唄? ああ、あのCM曲のあれか!」 タタタ……

佐天 「本当だ。よく聴いてみれば、男さんとネムちゃんとディズちゃんの声が聞こえますよ」 タタタ……

土御門 「……なるほど。暴徒鎮圧のために “幸せになる唄” を使ったということかにゃー」 ダダダ……

メイ 「段々と音が近くなってきてますね……なるほど、これが世に言うネコアヒル事件の……」 タタタ……

イル 「sound、大きくなってきた。なんか、たのしい気持ち、なってくる」

佐天 「本当だよね……幸せっていうか、心が温かくなるっていうか……」 タタタ……

御坂 「むぅ……やるじゃない、アイツ。愉快な気分にさせてくれる唄ね」 タタタ……

メイ 「……しかし、苦戦しているようですね」 ……ピタッ

メイ 「暴徒寸前の人間には、この幸せな唄は通用しないということでしょうか」

佐天 「そんな……こんなに気分が良くなるのに……!」

メイ 「群集心理や、他諸々……昂ぶった烏合の衆ほど恐いモノはありません」




429 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 16:58:32.19 ID:w8fRMpVY0
御坂 「っ……何でそうバカばっかなのよ……ッ!!」 バチバチバチ……

青髪 「ちょっ、御坂やん落ち着――――ッッ!!」 ビリビリビリ……!!

イル 「……イル、よくわからない」 ジッ 「こんなに良いうた、ならば、うたいたい思うが、normal」

幼女 「わたしもそう思う! 歌いたいなぁって思うよ!」

佐天 「そんな……歌いたいなんて、子どもだけの話じゃない?」

メイ 「……いえ、そうでもないかもしれませんよ?」

メイ 「鳴かぬなら、鳴かせてみましょう烏合の衆……ふふ、面白いではありませんか」

御坂 「? ……なるほど! あの群衆全体に歌わせてしまえばいいのね!」

佐天 「そうすれば、みんな幸せな気持ちになれるかも……!?」

上条 「……????」

土御門 「……? どうかしたか、カミやん」

上条 「いや……正直、さっきからみんなが何を言っているのか分からないんだ」

上条 「俺には、ネコとアヒルの声なんて聞こえないし、何より気分が良いってのが分からない」

土御門 「? ……ああ、なるほどな」 チラッ 「カミやん。それはその右手のせいだ」

上条 「右手……? ……もしかして、男の能力を打ち消してるってことか?」




430 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 17:03:47.59 ID:w8fRMpVY0
土御門 「らしいな。俺にもしっかりと、ネコとアヒルの声が聞こえるが……」

上条 「………………」 シュン 「俺はどんなに耳を澄ましても男の声しか聞こえません……」

土御門 「……男の能力は、ネコとアヒルと脳波を繋ぎ、会話を可能とするというもの」

土御門 「しかし先日の事件では、大量のネコとアヒルが脳波を繋いだ際、近くにいた人間とも脳波が繋がった」

土御門 「それを利用して、暴徒を鎮めようとしているのだろうが……」

土御門 「カミやんの右手が、無意識のうちに脳波のネットワークを遮断しているということらしいな」

土御門 「………………」 サッ 「……と、いうことは、お前はここでさよならだ、カミやん」

上条 「は……? どういうことだよ、土御門」

土御門 「カミやん、お前の右手は男の能力を打ち消している」

土御門 「今は一定の距離があるからお前だけの問題だけで済んでいるが、」

土御門 「……これ以上お前が近づけば、微少だが形成されつつあるネットワークに支障をきたす可能性がある」

上条 「!! じゃあ俺は……男があんなに頑張ってるっていうのに、協力できねぇのかよ!」

土御門 「その通りだ……。だが忘れるなよ? まだ犯人は園内にいるんだ」

土御門 「そして肝心の職員は今は暴徒の抑えつけに大わらわだ……お前にできることは何だ?」

上条 「……分かった。俺は園内を捜索する」 ギリッ 「……男を頼むぞ、土御門」




431 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 17:08:06.55 ID:w8fRMpVY0
土御門 「先の爆発騒ぎでほとんどの一般客はあそこにいる」

土御門 「犯人もすでにあの中に紛れている可能性もあるが……」

土御門 「ただの愉快犯ならあの中だ。ただし、本物のテロリストなら、まだ園内のどこかにいる可能性が高い」

土御門 「あの花飾りの風紀委員の電話番号は知っているな?」

土御門 「男にでも協力を頼まれたと誤魔化して、彼女から情報を得ながら捜索してくれ」

上条 「了解した。……あの子を騙すのはちと気が引けるが、仕方ないか」

………………

クマ 「……? 何だろう、この音は……」

止 「……!!」 (これは、まさか……!)

――――ネコトアヒルガチカラヲアワセテミンナノシアワセヲー……

止 (ッ……くそったれ……!) ギリッ (またこの唄を聴くことになるとはなぁ……ッ)

クマ 「? どうかされました?」

止 「いや……」 フッ (……103の野郎……しっかりと風紀委員やってるってことか)

止 「……けっ、なら俺の出る幕はねぇな」

止 「お前は行って、あの唄のサポートをしてやれ。そうすりゃ一般客は静まるだろうさ」




432 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 17:18:23.79 ID:w8fRMpVY0
クマ 「あ、あなたは行かないんですか?」

止 「……くく、行けないさ。俺はあの唄を聴いてはいけない人間だからな」

――――……ドン!

止 「っ……!?」 ズサッ 「なんだテメェ! 気をつけろ!」

上条 「痛ってぇ……すまん! ちょっと急いでたんだ!」

クマ 「? 僕は園のものですが……一体どちらに行かれるんですか?」

上条 (クマ……?) 「いえ……ちょっと、……風紀委員からの要請で、園内の捜索を」 (悪い、男……)

止 「……風紀委員? つまり犯人の捜索ってことか?」

上条 「いや……それもあるけど、取り残された人がいないか探すってものある」

止 「……なるほどな。俺も同行させてもらってもいいか? 風紀委員からの要請ということは、連中の情報がアンタには下りてくるんだろ?」

上条 「……? あんたは一体誰だ?」 (どこかで見たような顔だが……思い出せねぇ)

止 「ただの客だ」 ジッ 「……一刻も早く犯人とっ捕まえて、笑顔にしてやりたい奴がいるんだよ」

上条 「………………」 フッ 「分かった。一緒に行こうぜ」

止 「恩に着る」 チラッ 「……すまん。さっきのメイドとガキがいたら、よろしく頼む」

クマ 「お任せください! ……お二人とも、お気を付けて!」




433 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 17:26:04.79 ID:w8fRMpVY0
………………

一同 『ねことあひるが力を合わせてみんなの幸せをーーーーーっ♪』

一同 『まねきねこだつく!!♪』

一同 『――――にゃふらっく!!』

………………

男 『………………』

男 『……皆さん、少し落ち着いていただけましたでしょうか?』

男 『ここで騒いでも、僕らが外に出られないということには変わりありません。怪我人が増えるだけです』

客 『………………』

男 『……ですが、ご安心ください。僕は風紀委員の者です』

男 『僕ら風紀委員が、絶対に皆さんを安全に外に出してみせます』

男 『だから……だから、お願いします! もう少しだけ、我慢してください!』


※当然のことですがこのSSは某保険会社の宣伝の意図は含みません。悪しからず。




434 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 17:32:51.48 ID:w8fRMpVY0
客 『……そうだな。俺たちがここでどうこうしたって、変わらないしな』

客 『逆に従業員や風紀委員の仕事の邪魔をしてることになるのか……』

客 『……少し待ってみるか』

………………

御坂 「……黒子、」

白井 「あ……お姉様」

御坂 「やるじゃない、アイツ。上手い具合に鎮まり始めてるわよ」

白井 「ええ……本当に」 ニコッ 「……お姉様も、ご協力ありがとうございました」

御坂 「へへ……来るなと言われて真正直に行かない私だと思う?」

白井 「まったく……仕方ありませんわね」




436 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 17:41:27.42 ID:w8fRMpVY0
男 「……土御門くん! 青髪くん!」

青髪 「おお、男やん! お疲れやったなぁ! お手柄やん!」

土御門 「グッジョブ」 グッ 「なんだぜい」

男 「まったく……来るなって言ったのに……。でも、ありがとう」

白井 「男さん!」 タタタ……

男 「あ……白井さん!」

白井 「さすがですの。その……ますます……」 (……惚れ直させていただきましたわ)

男 「……?」

御坂 「まったく……」 ハァ 「……さて、それじゃ、そろそろ動き始めますか」

御坂 「さっさと犯人捕まえて、こんなの終わりにしなくちゃね」

男 「………………」

男 「……うん。だけど、御坂さんにはここにいてほしいんだ」

御坂 「……えっ? ちょっとアンタ! また私たちのこと閉め出す気!?」

男 「そうじゃないよ。御坂さんには “ここにいてほしい” んだよ」




437 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 17:47:32.74 ID:w8fRMpVY0
男 「犯人がこの中に紛れてる可能性だって大いにあるし……」

男 「それに何より、暴動は起こらなかったけど、まだみんな不安がってる」

男 「僕には……悔しいけど、御坂さんみたいな絶対的な戦力はない」

男 「……だから、御坂さんにはここでみんなを守っていてもらいたいんだ」

男 「たとえ何があっても揺るがないくらい、盤若な存在として」

男 「――常盤台の 『超電磁砲』 ……学園都市第三位のレベル5、御坂美琴さんとして」

御坂 「………………」 ムゥ 「……分かったわよ。そういうの性分じゃないけど」

男 「それから、白井さんも……ここにいてほしい」

白井 「わ、わたくしもですの!?」

男 「……現在、この出入り口前の広場一帯に、『猫鶩ネット』 が形成されています」

男 「一度つないでしまったネットワークの保全は、ネムとディズさえいれば問題はありません」 チラッ

ネム&ディズ 『――はい、じゃあ次のお友達!』 『しっかり並んでるお友達からよー!』

佐天 「はい……じゃあお嬢ちゃん、どうぞ」 ニコッ

子ども 「わーい、ありがとうおねーちゃん! ネコちゃんとアヒルちゃん可愛いー」 ダキッ ギュッ

白井 「脳波のネットワークが完全だから、相互のコミュニケーションが可能になっている……?」




438 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 17:50:42.21 ID:w8fRMpVY0
男 「そのようです。アイツらには、継続してネットワークの保全と、子どもたちの不安解消を頼んであります」

白井 「でしたら……男さんこそここに残った方が……」

男 「……先ほども言いました。僕は、いざというときに誰かを守る力なんてないんですよ」

男 「僕は、やっぱり弱いから……っ」

白井 「男さん……?」

男 「常盤台のレベル4……白井黒子さん、お願いです」

男 「ここにいる全ての、無辜の人々を……守ってください」

白井 「……分かりましたわ。男さんがそこまでおっしゃるのであれば」

男 「すみません。ありがとうございます」 フッ 「また、僕のワガママだ……」

男 「でも、お二人がここを守ってくだされば、何かが起こっても対処できますね」

白井 「当然ですの。加えて、騒ぎを起こさない範囲で、この中で犯人捜索を行ないますわ」

男 「はい、お願いします」

御坂 「それじゃ、いっちょやりますか」

男 「……あれ? そういえば、上条くんは?」




439 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 17:54:42.41 ID:w8fRMpVY0
土御門 「ああ……アイツはここの脳波ネットワークを破壊する恐れがあったからな」

土御門 「犯人捜索……いや、取り残されている人がいないか見回ってもらってる」

男 「なるほど……じゃあ、とりあえず僕は上条くんの回っていない方を見回るかな……」

土御門 「俺も付き合うぜぃ」

男 「ん……ありがとう、土御門くん」

青髪 「男やん、ボクは?」

男 「……青髪くん、君にはひとつ頼みたいことがあるんだ」 コソッ 「ちょっと耳を貸して」

青髪 「……?」 サッ

男 (青髪くん……あの二人、御坂さんと白井さんだけど、白井さんのテレポートは条件が悪ければ使えないし、)

男 (御坂さんも電撃使いという特性上、限られた条件下では実力を発揮できないときがあると思うんだ)

男 (……だから青髪くん、勝手なお願いだとは分かってるけど、いざというとき、あの二人を守ってほしい)

青髪 (ぼ、ボクが常盤台の能力者を守る!? 男やん、寝言は寝て言うもんやで!?)

男 (お願いだよ! ……不安なんだ。気が気じゃないんだ……!)

青髪 (……はぁ、分かったよ男やん。男やんの好きな女の子やしな。この青髪ピアス様に任せとき!) ドン!

男 (青髪くん……ありがとう……)




440 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 18:01:58.64 ID:w8fRMpVY0
メイ 「……行かれるのですか?」

男 「あっ……さっきのメイドさん。先ほどはご協力をどうも」

幼女 「おにーちゃん……」

男 「幼女ちゃんも、ありがとう……」 ナデナデ 「……見ていてくださったんですね。ありがとうございます」

メイ 「いえいえ。とんでもないです」

男 「……今から僕は、風紀委員として園内の捜索に向かいます」

男 「すみません。恐縮ですが……あと少しだけ、この子の面倒を見てくれませんか?」

メイ 「もちろん。お安いご用なのですよ。うちのイルとも打ち解けているようですし」 ニコッ

男 「ありがとうございます」

クマ 「あっ……風紀委員の方!」

男 「……? クマ?」

クマ 「この場を収めてくださって、本当にありがとうございます」

男 「いえ……僕は風紀委員ですから」

クマ 「……これから園内の捜索に行かれるんですよね?」

クマ 「しばらくして、この場がもう少し収まれば、従業員も捜索に加わります」




441 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 18:05:58.08 ID:w8fRMpVY0
クマ 「重ね重ね申し訳ありません……それまで、よろしくお願い致します……」

男 「……はい。任せてください」

メイ 「………………」 (……どことなく、あの方と雰囲気が似てますね)

イル 「………………」 トトト 「……手、出す」 スッ

メイ 「……? イル?」

男 「えっ? 手?」

イル 「早く、手、出す」

男 「あ……うん」 スッ

イル 「………………」 ピトッ

男 「?」

イル 「………………」 スッ 「……見えた」

男 「見えた? 何が……?」

イル 「オマエのミライ……かなり、辛い。タイヘン。クナン、多い」

男 「僕の未来? 苦難が、多い……?」




442 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 18:09:57.16 ID:w8fRMpVY0
イル 「……けど、オマエのミライ、きっと幸せ。オマエ、笑ってるから、幸せ」

イル 「きっと、素晴らしいミライ、待ってる。だから……」 グッ 「がんばる」

男 「………………」 フッ 「うん。ありがとう。頑張るよ」 グッ

白井 「………………」 プクゥ

御坂 「……明らかに小学校低学年って感じの子どもに妬くんじゃないわよ。みっともない」

白井 「へっ……!? そ、そんなことは……」

土御門 「……男、そろそろ行くぜい」

男 「あ、うん。……けど、ちょっとだけ待って」

男 「あ、あの、白井さん……!」

白井 「? 何ですの?」

男 「ここに犯人がいる可能性も多分にあります。……レベル4の白井さんに言うことじゃないかもしれないけど、」

男 「その……気をつけて、くださいね」

白井 「………………」 フッ 「ありがとうございます、ですの。男さんもお気をつけて」

男 「うん……それから、もう一つ」

白井 「?」




443 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 18:14:22.89 ID:w8fRMpVY0
男 「帰ってきたら、白井さんに言いたいことがあります」 グッ

男 「……今度こそ……今度こそ、絶対に言うから! だから……だから、待っていてください!」

白井 「!!! ……分かりましたの。待っていますから」 ニコッ 「待っています……ですから、お早いお帰りを」

男 「……はい!」

土御門 「……はぁ。まったく、青春しちまってまぁ……」 フゥ 「見てるこっちが恥ずかしいんだぜい」

メイ 「ふふ……微笑ましいではありませんか」

土御門 「……何か用か?」

メイ 「そう警戒しないでください。一つだけお伝えすることが」

土御門 「何だ」

メイ 「こちらの連れも、園内を捜索しているようです」

メイ 「恐らくはそちら様のお連れ……先ほどの方でしょうか? ツンツン頭の方と一緒だそうです」

土御門 「……暗部の人間がカミやんと……? っ……嫌な感じだ」

メイ 「ご安心を。あの方は落ちたばかりで、まだ人殺しもしていません」

メイ 「険の強い方ですが、根はお優しい方ですので、どうかお手柔らかに」

土御門 「……ふん。無駄な争いをするつもりはない。安心しろ」




444 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 18:30:16.96 ID:w8fRMpVY0
………………

?? 「…………っ」

?? 「暴動が発生しなかった……だと?」

?? 「学園都市がこちらの脅迫を無視し、出入り口を封鎖したということは……」

?? 「あの “言葉” がそれほどの意味を持つということを証明してくれた」

?? 「しかし何故暴動が起こらない? 一体どこでイレギュラーが発生した!」

――――ネコトアヒルガチカラヲアワセテミンナノシアワセヲー……

?? 「………………」 ギリッ 「なるほど……この唄が……!」

?? 「ッ、大規模な暴動が起きれば、学園都市側が何らかのアクションを取るかと思ったが……」

?? 「……まぁいい。まだ奥の手はある」 ニィ 「……風紀委員、来るなら来いよ」

?? 「ぬるい表の世界しか知らないお前らに、何ができるのか……見せてもらおうじゃねぇか」

?? 「覚悟も何もないお前らに、この計画は絶対に潰せない……何もできやしない」

?? 「――せいぜい足掻けばいい。足掻いて足掻いて、そして絶望しろ……風紀委員!」

? 「――……!! ……ーーーーん!! センセー!! どこー……?」

?? 「……? あれは……?」 ニヤリ 「……なるほど。面白いことができそうだな……!」




445 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 18:33:57.43 ID:w8fRMpVY0
………………

白井 「ふぅ……」 (入り口前広場の整理、あらかた終わりましたわね)

白井 (最初の爆発以降何も起きていないことから、一般客も大分落ち着きを取り戻していますし)

白井 (つまり、この一般客の中に犯人が紛れ込んでいる可能性も十分にあるということ……)

? 「あ、あの!」

白井 「? どうかされまして?」

? 「あなたは風紀委員の方ですよね!?」

白井 「そうですが……あなたは?」

? 「わたしは第十三学区の小学校で教員をやっている者です!」

教員 「今日は学年で遠足に来ていたのですが……一人子どもがいないんです!」

白井 「!! 何ですって!?」




446 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 18:39:57.37 ID:w8fRMpVY0
白井 「子どもの数を把握してはいませんでしたの!?」

教員 「避難時に周囲の混乱から子どもたちを見失ってしまいまして……」

教員 「こちらに避難してからもあの混乱ようで、なかなか子どもたちを見つけらなかったんです」

教員 「落ち着いた今さっき、子どもたちをほぼ全員集めたのですが……」

教員 「どこを探しても一人だけ見つからないんです!」

白井 「……なるほど。分かりました」 ピッ

白井 「わたくしの仲間にその旨を伝えます。その子の特徴を」

教員 「は、はい……」

教員 「――――……その、わたしも探しに行っても……?」

白井 「いえ、それはやめていただけますか? 余計な混乱を招くだけですので」

白井 「あなたは、引き続き、この場の捜索をお願いします」

教員 「は、はい、分かりました」




447 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 18:41:37.97 ID:w8fRMpVY0
………………

上条 「………………」 フゥ 「……やっぱり、人っ子一人いないな」

止 「まぁなぁ……先日の攻撃もある。誰だってテロは怖いだろうさ」

prrrrr……

上条 「?」 ピッ 「もしもし?」

御坂 『もしもし、これ、あんたの携帯よね?』

上条 「……その日本語がおかしいことに気づかないのかお前は」 ハァ 「何の用だよ」

御坂 『緊急よ。どうやら、子どもが一人行方不明みたいなの』

上条 「何だと!?」

御坂 『探してほしいとのことよ。今から特徴を言うから覚えなさい』

上条 「ああ、分かった。…………了解」 ピッ

止 「………………」 フッ 「……よし。もう少しここらを探してみるか」

上条 「そうだな。悪いな、手伝ってもらっちまって」




448 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 19:02:02.13 ID:w8fRMpVY0
………………

男 「――――……はい、分かりました」

男 「探してみます。……うん、白井さんも気をつけて」 ピッ

土御門 「子どもが一人行方不明か……厄介だな」

男 「うん……もし犯人がまだ園内に潜伏しているとしたら、危ないし」

土御門 「……とにかく探すぜぃ、男」

男 「うん。頑張ろう」

………………

初春 「………………」

初春 「……うーん、今日一日の防犯カメラの映像を調べても、犯人らしき人影は見つからないなぁ」

初春 「倉庫近くの防犯カメラは、上手くやればすり抜けられる穴があるから全然役に立たないし……」

初春 「いくら遊園地の設備だからって、いくらなんでも防犯システムの構築が適当すぎます」

初春 「……ただ、逆に言えばその防犯カメラの位置関係を把握した上でやったとも考えられますね……」

初春 「ただの愉快犯がここまで……しないですよね。やっぱり、これはテロ……?」




449 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 19:05:41.38 ID:w8fRMpVY0
初春 (いえ、断定は禁物です。情報は的確に処理してこそ管制官というもの)

初春 (客観的な事実のみをまとめて、皆さんにお伝えしなければ)

初春 (……現在、男さんと土御門さんが東エリアを捜索中。上条さんが西エリアを捜索中)

初春 (爆発が起きたのが西エリア……そして行方不明の子どもが爆発前にいたのが東エリア……)

初春 (……犯人が潜むとしたら……やはり北エリアでしょうか……?)

prrrr……ピッ

初春 「はい、初春です」

男 『僕です。すみません。東エリア99-3のセキュリティ解除をお願いします』

初春 「――了解です」 kttttt 「……解除完了しました」

男 『ありがとうございます』 ピッ

初春 「……はぁ」 チラッ 「――!? あれ、今……」

初春 (……えっ……? 嘘……ちょっと巻き戻して……

初春 (――……これは、まさか……!!)




452 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 19:14:21.95 ID:w8fRMpVY0
………………

男 「先生の話では、行方不明の子はこのアトラクションに入り浸っていたようだけど……」 カツカツカツ……

土御門 「何なんだ? “ツリーミュージアム” ?」 カツカツカツ……

男 「……どうやら、植物の遺伝子を自由にかけ合わせて、新種の植物を作るアトラクションみたいだね」

男 「つくった植物は培養器で急成長させ、あの庭に苗木として植えられるみたいだよ」

土御門 「……なかなかえぐいアトラクションだにゃー」 ツルッ 「のわっ……これは、油?」

男 「? 植物の液か何かじゃない? ほら、避難するときに慌ててぶちまけちゃったとか」

土御門 「本当にえぐい……もう少し子どもが喜びそうなものを置くべきだと思うぜぃ」

男 「僕に言われてもなぁ……。色々試行錯誤してるんじゃない?」

ドン!!

男 「わっ……! 何だ――わぁぁぁああああああ!!!!」

土御門 「! どうしたんだ男!?」 ダッ

土御門 「――ッ!?」




454 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 19:19:34.61 ID:w8fRMpVY0
男 「わぁぁぁぁぁあああああああああああ!!!!!」 ジタジタ

土御門 「………………」 ハァ 「……何やってるんだぜぃ、男」

男 「――ああああああああ!! ……って、え?」 チラッ 「あれ? これ……着ぐるみ?」

土御門 「……着ぐるみのクマにもたれかかられて悲鳴を上げる風紀委員……そこんとこどうなん?」

男 「うぅ……だって、曲がり角でいきなりぶつかってもたれかかられて……人だと思ったんだもん……」

土御門 「お前なぁ……ま、いい。その着ぐるみ、あのクマの従業員が着ていた奴と同じだな」

男 「うん……軽いし、もちろん人は中に入ってないけど。でも、何でこんな場所に?」

土御門 「植えられた木々の間を歩くクマ……といったところなんじゃねぇの?」

男 「なるほどねぇ。……それで、あの爆発で避難した従業員に置いていかれた、と」 prrrrr……

男 「? 初春さんから?」 ピッ 「もしも――」

初春 『男さん! 気をつけてください!!』

男 「……? 初春さん?」

初春 『――そこに犯人が潜んでいるかもしれないんです!!』

――――――――カッ……!!!!




455 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 19:27:01.08 ID:w8fRMpVY0
………………遊園地前 装甲車内

黄泉川 「――ッ!! くそっ!!!!」 ガン!!

鉄装 「よ、黄泉川先生! お、落ち着いてくださいぃぃぃ……」 ガタガタ

黄泉川 「これが落ち着いていられるか! いま中で何が起きているのかさえ分からないんだぞ!?」

鉄装 「ひっ……」 ビグッ

黄泉川 「……っ、」 ハァ 「……すまん、鉄装。お前に当たっても仕方ないな」

鉄装 「い、いえ……」

黄泉川 「……くそっ」 (……男の風紀委員としての活動を邪魔するわけにもいかない)

黄泉川 (そう電話をしているわけにもいかないが……)

才郷 「――よ、黄泉川さん!」 バン!

黄泉川 「才郷か。どうした」

才郷 「……学園都市上層部の機密通信、部分的ではありますが、傍受に成功しました!」

黄泉川 「!! でかしたじゃん! それで、内容は!?」




456 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 19:30:23.98 ID:w8fRMpVY0
才郷 「それが……聞き取れたのは本当に一部分だけで……」 コソッ (…… 『代替部隊』 という言葉です)

黄泉川 「!? ……なんだと? それは本当か!?」

鉄装 「?」

才郷 「はい。……あのウワサ、本当なんでしょうか?」

才郷 「……複雑な政治的問題等を絡む事件についてのみ、一般のアンチスキルに代わり事態の収拾に当たる部隊」

才郷 「都市伝説の類かと思っていましたが……たしかに、その言葉が聞こえたんです」

黄泉川 (たしかに、ウワサレベルのものではあるが…… 『代替部隊』 ……それがもし実在するとすれば……)

黄泉川 (……おそらく、犯人は誰であろうと抹殺される。たとえ子どもであろうと……)

黄泉川 (そして、もし犯人と接触したような人間がいれば……それもまとめて葬り去る……)

黄泉川 「っ……くそっ……」 サッ prrrrrr……ガチャッ

――――タダイマデンワニデルコトガデキマセン。ゴヨウノアルカタハ――

黄泉川 「っ……」 (男……なぜ出ない!?)




457 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 19:33:17.09 ID:w8fRMpVY0
prrrrrr……

白井 「? この番号は……?」 ピッ 「もしもし?」

黄泉川 『白井だな!? いいか、今から言うことをしっかりと記憶しろ!』

白井 「よ、黄泉川先生ですの? いきなり何を――」

黄泉川 『いいから言うぞ! そちらにアンチスキルを名乗る部隊が現れるかもしれない!』

黄泉川 『しかしそれはアンチスキルとは似て非なる存在だ』

黄泉川 『そいつらに刃向かえとは言わない! しかし、そいつらは恐らく犯人を殺すつもりだ!』

白井 「……!! そ、それは一体どういうことですの!?」

黄泉川 『覚えておけ……そいつらは 『代替部隊』。我々のような警備員ではない!』

黄泉川 『学園都市にとってマイナスとなること全てを闇に葬り去る存在だ!』 ピピッ

白井 (キャッチ……?) 「……とにかく注意致します。キャッチが入りましたので、失礼致しますの」 ピッ

白井 「……もしもし? 初春ですのね?」

初春 『白井さん! 大変です!』 グスッ 『……どうしよう……私のせいで……!!』




458 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 19:39:13.35 ID:w8fRMpVY0
白井 「はぁ……何で誰も彼も慌てていますの? どうしたんですの、初春?」

初春 『男さんが……男さんが……!』 グスッ

白井 「!? 男さんが? 男さんがどうされたというのです!!」

初春 『男さんと土御門さんが捜索中だったアトラクションで……突発的に火災が発生したんです!!!』

白井 「な、何ですって!? 初春、場所はどこですの!?」

初春 『東エリア99-3、“ツリーハウス” です! スプリンクラーも作動しません……』 グスッ

白井 「っ……男さん……」 チラッ (しかし、この場も放っては――)

青髪 「………………」 フッ 「……行ってき」

白井 「えっ……?」

青髪 「男やんと土御門はそう簡単にはくたばらんけど、君は心配なんやろ?」

青髪 「せやったら行ってきなて。ここはボクらに任せとき」

白井 「………………」 コクン 「ありがとうございますですの、蒼髪の偉丈夫さん!」 ヒュン!!

青髪 「……蒼髪の偉丈夫、かぁ……」 ニヘヘ 「悪くないんちゃう?」




459 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 19:41:51.54 ID:w8fRMpVY0
初春 『私……防犯カメラで記録された全ての映像に、顔認証システムを組み込んで調べていたんです』

初春 『そうすれば人間のみをピックアップすることができて、探査効率が上がりますから』

初春 『でも、それに穴があったんです!』

初春 『着ぐるみ……あれを、顔認証システムは人間以外として弾いてしまったんです』

初春 『先ほど、偶然視界に入って発見したんですが……』

初春 『爆発発生十分後、“ツリーハウス” 内に入る着ぐるみが一体ありました。クマの着ぐるみです』

白井 「クマ……? ですが、クマさんはずっと園内を奔走して……」

初春 『そうです……。この遊園地では、同じ着ぐるみは一体しか外に出ていてはいけない』

初春 『つまり、そのクマは予備の着ぐるみを着た、従業員以外の人間ということになります』

白井 「……それはつまり……犯人」

初春 『……警備ロボが含まれる手間を厭わず、動体認証システムを組み込んでいれば……!』

白井 「……大丈夫です。あなたが気に病む必要はありません」

白井 「あの男さんが、そう簡単にやられるはずがないでしょう?」




460 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 19:46:28.65 ID:w8fRMpVY0
………………

上条 「――……分かった。そっちも気をつけろよ」 ピッ

上条 「どうやら東エリアの方で火事が発生したらしい」

止 「火事だと?」

上条 「ああ……しかも、中に俺の仲間がいる状況で、タイムリーにな」 ギリッ

止 「……!? それは103のことか!?」

上条 「……? ヒトマルさん? 誰だ、それは?」

止 「あ、いや……何でもない。気にするな」

上条 「そうか? ならいいが……」

止 「……というか、お前、心配しないのか? 何なら今から――」

上条 「いや、俺が行ったってどうしようもないだろう」

上条 「入り口前に集まっている従業員が、何人か人を割いて消火作業に向かっているらしいしな」




462 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 20:17:22.27 ID:w8fRMpVY0
止 「………………」 ジッ 「……けっ、随分と淡泊じゃねぇか。友達なんじゃねぇのか?」

上条 「当たり前だろ。俺はアイツらの友達だ」 フッ 「だから信じてる。アイツらは大丈夫だよ」

上条 「だったら、俺は俺のやることをやる。でないと、アイツらに申し訳が立たないからな」

止 「……けっ。そうかよ」 (……何なんだ、コイツ?)

止 (ただの言葉なのに……その通りって気にさせやがる……)

上条 「……そう。だから俺たちはもう一度この西エリアを探索しよう」 プルプル

止 「……?」 (……なるほど。内心では怒りを抑えるので手一杯、か)

止 「……なら、一つ寄ってみたい場所がある」

上条 「? どこだ?」

止 「……最初の爆発事件の現場だよ。鎮火には協力したが、まだ詳しくは見ていないからな」

止 「何か手がかりが残っているかもしれない」

上条 「……犯人が現場に戻るとは考えづらいからパスしていたが……そうだな、行ってみるか」

上条 (土御門……頼むぞ。男のことを守ってやってくれ……!)

止 (……103、いいか、絶対だぞ?) ギリッ (絶対に、死ぬんじゃねぇぞ……!)




463 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 20:20:36.46 ID:w8fRMpVY0
………………

ボワァァァァァァアアアアア……!!! ゴォォォォオオオオオオオオオオ……!!!

土御門 「ッ……!? 火……だと!?」

男 「な、何なんだ……? こんなに瞬間的に燃え上がるなんて、何かおかしいよ!」

土御門 「俺としたことがぬかった……! さっき滑った液体……やはり油だったんだ!」

男 「えっ……でも、ガソリンとか灯油みたいな臭いはしなかったよ?」

土御門 「……この炎の薄い色合いからして……おそらく、着火剤と同様の成分を含んだ何かといったところか……」

土御門 「犯人はこれをアトラクション内にまき、そしてたったいま発火させたんだろう」

土御門 「この炎の規模では鎮火は不可能に近い。犯人はもう逃げていると考えるべきだろう」

土御門 「……とりあえず逃げるぜぃ、男。幸いにして出口は近い」

土御門 「突っ切ればすぐだ。建物自体が燃え始める前に逃げるぞ」




464 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 20:26:45.01 ID:w8fRMpVY0
――タスケテ

男 「え……?」

土御門 「……男? どうかしたか?」

男 「………………」 (今のは、声……?)

男 「……いや、何でもないよ。行こう」

土御門 「……俺が先に行って道を確認する。……行くぞ!」 ダッ

男 「――ごめん! 土御門くん」 ダッ

土御門 「男!? そっちは逆方向だぞ!? 戻れ!!」

男 (ごめん、土御門くん……! でも、いま、たしかに声が聞こえたんだ……)




465 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 20:30:27.77 ID:w8fRMpVY0
………………

客 『? なんかさっきより従業員減ってないか?』

客 『……なんかあったのかな?』

ザワザワザワ……

御坂 (っ……まずい。一般客には火事のこと伏せてるけど……段々となんかに勘付き始めてる……)

御坂 (佐天さん……お願い……!!) パチッ

佐天 (……はい、了解です、御坂さん) パチッ

佐天 『――はーい、皆さんご注目ーーー!!』

佐天 『ただ今よりステージにおきまして、有志によりますミスコンを行ないまーーす!』

佐天 『JKやJCのみならず、JSまでもがキワドイ水着で出ちゃうかも!?』

男性客 『『『『なんだと!!!?』』』』 ムッハーーーー!!!

御坂 (……さすが佐天さん、ああいうのはお手の物ね)

佐天 『さて……ではエントリーナンバー1! とある名門中学の、イニシャルM・Mさんです!』

御坂 「……へっ?」 ギョッ 「もしかして、わ、私!? 私も出るの!?」




466 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 20:35:37.00 ID:w8fRMpVY0
………………

男 「っ……おーい!! 誰かいませんかー!!」

男 「いたらすぐに返事をしてくださーーーい!!!」

……ボワァァァァァァアアアアア……!!!

男 「っ……建物自体が燃え始めてるのか……まずいな、こっちにも火が来そうだ……」

男 「おーーーーい! 誰かいませんかーーーー!!!」

――――――タスケテ……

男 「!? 今の……!」 ダッ 「こっちか? ……!!!」

子供 「………………」

男 「君!!」 (ッ……部屋の奥に縛りつけられた子ども……行方不明の子と特徴が一致する)

……ゴォォォオオオオオオオオ……!!!

男 (けど……くそっ、火が強い! さっきの油みたいなのが大量にあるのか……)




467 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 20:39:48.47 ID:w8fRMpVY0
子供 「……あ……た、たす――ゴホッ、ゴホッ、ケホッ……!」

男 「……!? 君、大丈夫!? なわけがないよな……!」

土御門 「……幸いにして火そのものはあの子からまだ遠いな。なんとかなりそうだ」

男 「!? 土御門くん! 何で来たんだよ!」

土御門 「それはこっちのセリフだ素人が!!!」

男 「……!?」

土御門 「……小言は後で目一杯、拳と一緒にぶつけるから覚悟しろ」

土御門 「火災を舐めるな。火というものは、簡単に人の命を奪うんだ」 サッ

男 「土御門くん……ごめん。……それで、この布は?」

土御門 「水で濡らしてある。気休め程度だが、それで口を覆っておけ。基本的に無毒な煙は存在しない」




468 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 20:45:22.72 ID:w8fRMpVY0
土御門 「今ばかりは俺の言うことに従ってもらうぞ、風紀委員」

土御門 「……今から俺がこの部屋に突っ込み、あの子を保護する」

男 「で、でも! そんなことをしたら土御門くんが!」

土御門 「安心しろ。俺はそう簡単にはくたばらない。水も被ったしな」

土御門 「俺はレベル0とはいえ 『肉体再生』 能力を持っている」

土御門 「ちょっとした火傷なら問題はない」

土御門 「……お前は俺が保護した子どもを連れて逃げる準備をしておけ」

男 「………………」 コクン 「……分かった。気をつけて」

土御門 「当たり前だ。……行くぞ!」 ダッ




469 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 20:51:07.65 ID:w8fRMpVY0
土御門 「ッ…………」 (熱い……当たり前か……)

土御門 「くそっ……」

子供 「……あ――」

土御門 「……ふぅ……大丈夫か?」 スッ 「……これで苦しくないはずだ」

土御門 「ちょっと待ってろ」 ……シャキン! 「よし……縄は解いた」

子供 「――あ、ありが……と……う……」

土御門 (っ……やはり大分弱っている……) 「礼はここを抜けてからにしてくれ」 ファサッ ビチャッ

土御門 「絶対に動くなよ? その学ランからずれたら、お前が燃えるからな」 グイッ

土御門 「……よし、戻るぞ……!」 ダッ

……ボワァァァァァァアアアアア……!!!




471 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 20:54:26.37 ID:w8fRMpVY0
土御門 「ッ……」 ゴロンゴロン……

男 「土御門くん!」

土御門 「俺は、いい……! 早く子どもを!」

男 「うん!」 タキッ 「……大丈夫?」

子供 「う、う……ん」

男 「良かった……さぁ、僕の背中に乗って……」

男 「土御門くん!」

土御門 「ああ……これしき、何の問題も、ない……」 プスプスプス……

土御門 「……俺が先導する……遅れず着いて来るんだぞ、男!」 ダッ

男 「了解だよ!」 ダッ




472 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 20:56:18.70 ID:w8fRMpVY0
………………

ゴォォォオオオオオオオオ……!!!

従業員1 「ッ……まずい! 入り口付近は完全に火の海だ!」

従業員2 「放水準備はまだかよ! 早くしろ!」

白井 「っ……こうなったら、わたくしのテレポートで――」

従業員3 「だ、ダメですよ!」 ガシッ 「そんなことして、飛んだ先が火の海だったらどうするんですか!」

白井 「放してください! 男さんが……男さんが中にいるんですのよ!?」

従業員3 「それでも! あなたまで入ってどうするんですか!!」

従業員1 「……? あ、あれは……人影!?」

従業員2 「ッ……!? 炎の中を突っ込んでくる! バケツの水でいい! 準備しろ!」

ダッ――ズザァァァアアア……!!!

白井 「!!! 男さん! み、水を早く!」

男 「僕はいい!! 早く……早く土御門くんと子どもに!!!」

従業員1 「は、はい!!」 バッッシャァァァアアア……!!!




474 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 21:23:05.36 ID:w8fRMpVY0
子供 「……げほっ……ごほっ、ごほっ……」

白井 「……あなた! 大丈夫ですの!?」

子供 「う……ん……」 コクッ

男 「土御門くん!! 土御門くんッ!!!!」

土御門 「………………」 フッ 「……はは、そんな顔をするんじゃないんだぜぃ」

土御門 「後でさっきの無茶の分を殴りにくくなっちまうからにゃー」

男 「誰が無茶をしてるんだよ! 濡れた学ランをあの子に被せて、自分はそんな軽装で!」

男 「それで先を走って……わざわざ火を通過して、できるだけ小さくしたりしてくれて……」

男 「どっちが……どっちが、無茶だよ……!」 グスッ

土御門 「男……」 フッ 「言ったはずだぜぃ……俺には、『肉体再生』 がある」

土御門 「……だがまぁ、残念ながら、俺はここで少しリタイアさせてもらうぜぃ」

土御門 「しかし、お前をほぼ無傷で戻すことができた……それだけで、十分だろう?」

土御門 「――なぁ、風紀委員? あとは任せたんだにゃー」




475 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 21:28:53.57 ID:w8fRMpVY0
従業員1 「ダメだ。このアトラクションは大部分が木造……全焼させてしまうしかないな」

従業員1 「ヘタに鎮火作業をして、煙を増やしてはお客様に勘付かれる心配がある……」

従業員1 「幸いにしてこの建物は他から孤立している。他に燃え移る心配はないな」

従業員1 「……仕方ない。鎮火は諦めよう。それよりも早く、怪我人を搬送するぞ」

従業員2 「ああ……しかし、まったくあの風紀委員と、あのアロハシャツの少年様々だな」

従業員3 「まぁな……危うく園内で焼死体が出るところだった……」

従業員3 「すごい子どもたちだよ、まったく。我々も負けていられないな」




476 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 21:31:24.05 ID:w8fRMpVY0
………………

男 「土御門くん……」 ゴシゴシゴシ……! (……もう泣かない。泣いたって仕方ないから)

従業員1 「……では、この方と子どもは、こちらで護送します」

従業員2 「入り口近くの救護室へ、人目につかないように運びますのでご安心を」

従業員3 「それで……あの、あなたも一応救護室の方へ……」

男 「いえ、僕は結構です。奇跡的に、ちょっとした火傷と擦り傷だけですので」

男 「……こんな程度で弱音を吐いていたら、色んな人に怒られちゃいますから」

白井 「男さん……」

男 「白井さんも、ほら、早く戻って。人目につかずに救護室に入るには、白井さんが必要なはずだよ」

白井 「っ……分かりましたわ」

男 「………………」 フッ 「……ごめんね」

白井 「……ですが、そう簡単には納得できません。さっきの約束も、ありますので」




477 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 21:34:31.86 ID:w8fRMpVY0
男 「……? さっきの約束?」

白井 「……今度こそ言ってくださるのではなかったのですか?」 ジトッ

男 「あ……い、いや! でもそれは、戻ったらって――」

白井 「ニュアンスはどうあれ納得できませんの!」

男 「そ、そんな……どうすれば……?」

白井 「……目をつぶってくださいですの」

男 「目……?」 ギュッ 「はい、つむりましたけど……」

――チュッ

男 「……!?」 カァァァァ 「くぁwせdrftgry!!? 白井さん!?」

白井 「………………」 フッ 「こっ……これで、勘弁してさしあげますの」 カァァァァ……

従業員1 「………………」 ソッ 「あのー、そろそろ行きたいんですが……」

白井 「!!? そ、そうですわね! では参りましょう! 男さんお気をつけて!」 ダッ




478 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 21:37:37.52 ID:w8fRMpVY0
男 「い、今のって……頬に、柔らかいものが、」

ボボボボボボボボンンンン!!!!

男 「ち、ちう……? 頬に、ちう!?」

男 「………………」

男 「………………いぃぃぃぃよっっっっっっっしゃぁぁぁぁあああああああああ!!!!」

………………

従業員2 「何か奇声が聞えるな……」

従業員3 「青春だな」

土御門 「……ったく、頬じゃなくて口にしちまえば良かったのににゃー」

白井 「う、うるさいですの! 怪我人なら黙っていてくださいな!」




479 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 21:42:45.53 ID:w8fRMpVY0
………………

? 「………………」

? 「……オーダーが出た」

? 『了解』

? 「……これより出撃の準備を始める」

? 『了解』

? 「……我らの役目は」

? 『光当ててはならぬものを闇へと葬ること』

? 「……我らの意味は」

? 『この学園都市を “守る” こと』

? 「……我らの名は」

? 『『代替部隊』』




480 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 21:46:38.30 ID:w8fRMpVY0
………………

男 「………………」

男 (……犯人がこの場所を燃やしたのは、風紀委員の僕や土御門くんへのトラップ)

男 (あの子を奥へ縛りつけていたのは、助けに向かった僕を殺すため……)

男 (でも、僕を罠にはめるんだったら、もっと子どもが中にいることを強調するはず……)

男 (……ん? 子どもが中にいることを強調……?)

男 (……それに、あの出火のタイミング……まるで僕らを見ていたかのような……)

男 「………………」 ジッ 「……なるほどね」 フッ

……ゴォォォオオオオオオオオ………………

男 「……火が小さくなってきた……あまり大きい建物ではなかったから、もう燃え尽きるのかな?」

男 「……そろそろ崩れるんじゃない? 出てきたらどう? 犯人さん」

?? 「ッ……!!?」




481 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 21:51:49.80 ID:w8fRMpVY0
少女 「………………」 ザッ 「……何故分かった?」

男 (フツーの女の子……予想外だな) 「……そりゃあ分かるよ。あの子の声が、あの時聞えるはずがないんだもん」

男 「あの子は有毒ガスを吸って、すでに声が出しにくい状態だった」

男 「それなのに、僕の場所にまで声が届くはずがない。あれは犯人……つまり君が出したんだろう?」

男 「……僕が安易にアトラクションの奥へ向かい、火災で死ぬように」

男 「だけど生憎だったね。僕だけなら多分煙にまかれて死んでいただろうけど、僕は一人じゃなかったから」

男 「……それからもう一つ。出火のタイミングがあまりにも出来すぎていた」

男 「発火装置くらいなら簡単に作れるけど、それも見ていなければタイミングは掴めない」

男 「アトラクションの中の防犯カメラはさして多くないし、それも難しいだろう」

男 「それに、今はすべての防犯カメラは僕の同僚の手中にあるしね」

男 「……つまり君は、僕らの動向をそのアトラクションの中で直に見ていたんだ」

少女 「……なるほどな」 フッ 「……しかし、まさか炎の中に人がいるなんてこと、よく予測できたな」

男 「さぁ? 結構当てずっぽうだったかもしれないよ?」

男 「どういう能力かは知らないけど、とにかく君が素直に出てきてくれて良かったよ」




482 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 21:55:46.24 ID:w8fRMpVY0
少女 「……ふん。お前はやっかいだとは思っていたが、まさかここまで勘付くとは」

少女 「やはり二対一のリスクを冒してでも、炎の中で殺しておくべきだったな」

男 「っ……!」 ギリッ 「僕だけじゃなく……何の咎もない子どもまで巻き込むなんて……ッ!」

少女 「くくく……平和しか知らないガキの命など知ったことか」

少女 「しかし、こんな場所で悠長に私と話していていいのか?」

男 「……? 何だっていうんだい?」

少女 「答える義理はないが……くく、いいだろう」

少女 「もうそろそろ時間だからなぁ」

男 「時間……?」

少女 「ふん、さっき自分で言っていただろうが。発火装置くらい簡単に作れるってな」

男 「発火装置……? まさか、爆弾……!?」

少女 「バーカ。そんなものを園内に持ち込めるかよ。セキュリティに引っかかる」

少女 「だがな、目覚まし時計を改造した時限装置だけなら話はべつだ」 ニィ

少女 「そして、爆弾とは言わずとも、騒ぎを起こすのに十分な火薬は園内に元からある」




483 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 22:00:06.11 ID:w8fRMpVY0
男 「!! まさか花火を……!」

少女 「火薬を少々持ち出させてもらった。時限装置を取り付け、ここに来る前に放置した」

少女 「……もちろん、置いた場所は分かるよなぁ?」

男 「っ……! まさか、入り口の広場付近……!?」

少女 「暴動が起こらなかったときのための布石だよ。まさか必要になるとは思わなかったがな」

少女 「……さて、あの状況で多少なりとも騒ぎが起きればどうなるかな?」

少女 「それも爆発音……混乱で死者が出なければいいがなぁ?」

男 「っ……答えろ! それをどこに置いたんだ!」

少女 「くく……広場のステージ下だ。そこに全ての火薬を置いた。だがもう遅い。あと一分で起爆する!」

少女 「そうすれば……あの狭い空間で、今度こそ暴動が起きるだろうなぁ!」

男 「っ、白井さんに……」 サッ 「――いや、待てよ……?」 ピッ

prrrrr……

男 「お願いだ早く出てくれ!!!」

少女 「無駄だ無駄だ! 今さらどう足掻こうと変わらない! あと四十五秒……もう終わりだ!」




484 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 22:03:32.10 ID:w8fRMpVY0
ピッ

? 『もしm――』

男 「――ごめん説明している暇がない! ステージ下にある爆弾の解除をお願い!」

男 「起爆まであと……四十秒足らず! 早く!」

少女 「くくっ……仲間が無駄にケガをするだけだぞ?」

男 「うるさい! ……お願いだ……間に合ってくれ……ッ」

少女 「間に合うはずがないだろう。爆弾処理の専門家がいるわけでもあるまいに」

少女 「そもそも花火用の火薬とはいえ、あと数十秒で爆発する爆弾に近づく馬鹿がいるか?」

少女 「滑稽だな、風紀委員。所詮お前は――」

? 『……爆弾処理、完了したわ。爆弾ってこれだけね?』

少女 「ッ……!? なん、だと……!?」

男 「うん。すべての火薬をそこに置いたって言ってたから。ありがとう――」

男 「――御坂さん」




485 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 22:10:03.44 ID:w8fRMpVY0
少女 「ミサカ……? ま、まさか……まさかッ!!」

男 「その通り。常盤台の 『超電磁砲』 さ」

男 「目覚まし時計を改良した時限装置ということは、原始的ではあるけど、電子的な何某かが必ず介在する」

男 「……一度でも電気が関わるのなら、そのプロセスを停止させてしまえばいい」

男 「……最高の電撃使いなら、その処理に一秒とかからないだろうさ」

男 「もちろん、大前提として彼女に起爆寸前の爆弾に向かっていく勇気があってこそ、なんだけどね」

男 「色々な意味で、さすがは 『超電磁砲』 ってところかな」

男 (白井さんにテレポートで飛ばしてもらおうかとも思ったけど、彼女の能力では100メートル以下が限度)

男 (爆発音が大きかったら、十分聞えてしまう距離だからね)

少女 「ッ……なんで、こんな場所に 『超電磁砲』 が……!?」

男 「さぁて、なんでだろうね? 僕もまだ理由を聞いてなかったよ」 フッ

男 「……それで、どうする? どうやら君の企みは全て潰えたようだけど?」




486 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 22:15:14.95 ID:w8fRMpVY0
少女 「くっ……この……風紀委員如きが……ッ!!」 ダッ

男 「逃がすと思うか!?」 ガシッ

少女 「甘いんだよ風紀委員!!」 ボワッ

男 「ッ!?」 パッ 「っ……しまった……!!」

男 「くそっ……」 ダッ (っ……左手の平が完全に焼けただれてる……)

男 (なるほど…… 『発火能力者』(パイロキネシスト) か……)

男 (今までの犯行もすべて自前の炎でやっているっていうことかな)

男 (けど……一体何が目的なんだ……? 愉快犯ではなさそうだし……)

男 (思想的な問題? それにしては何の犯行声明も出してないみたいだし……)

男 (ッ……今はとりあえず、僕が捕まえないと……)




487 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 22:17:47.84 ID:w8fRMpVY0
………………

初春 「……? 東エリアの防犯カメラに人影……?」

初春 「男さんが追いかけている! ってことは、この女の人が、犯人……?」 サッ prrrrr……

ガチャッ

初春 「……白井さん! 初春です! たった今――」

?? 『――こんにちは。あなたが件の 『守護神』 ですね?』

初春 (……!!? 白井さんの声じゃない……!) 「……あなたは、一体……」

?? 『あなたクラスのハッカーに動かれると、情報規正が面倒になりそうでしてね』

?? 『しばらくあなたには沈黙していてもらいたいのですよ』

初春 「……携帯電話の通信に割り込んだくらいで、私を沈黙させられたとでも思っているんですか?」

?? 『ええ、もちろん、こちらとてあなたをそこまで過小評価するつもりはありません』

?? 『――ですので、こうさせていただきます』

プゥン――プツン……

初春 「ッ!? クラッキング!?」 kttttt…… 「メインコンピュータがダウンしている……!」




488 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 22:21:05.50 ID:w8fRMpVY0
?? 『さすがに外部からの攻撃などがあるとは思っていませんよね』

?? 『さしもの 『守護神』 といえど、事件の処理だけで手一杯でしたか?』

初春 「っ……!」 キッ 「あなたは……あなたは一体何なんです!?」

?? 『さぁて、それはあなたの及び知ることではありませんよ。知らない方が幸せでしょうし』

初春 「………………」 ギリッ 「私を……あまり舐めないでください……」

?? 『ほう? どうされるおつもりですか?』

初春 「どうせなら今の攻撃で、ハードウェアそのものを破壊すればよかったものを」

?? 『……? はい?』

初春 「あなたはやはり、私を過小評価していますよ……すみませんが、私にとって、コンピュータの復旧なんて朝飯前ですから」

?? 『へぇ……? ダウンしたのはメインコンピュータなんですよ?』

初春 「だから舐めすぎだと言うんです。私には自前のノートさえあれば必要十分」

初春 「……二十分です。二十分で簡単なシステムを組み上げ、メインコンピュータを復旧させます」

初春 「そしてその時には、あなたたちの手の届かないセキュリティも同時に組まれていることでしょう」 ピッ




489 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 22:27:15.84 ID:w8fRMpVY0
………………

?? 『……レジャー施設のちゃちな管理システムとはいえ、それを二十分で組み直しますか』

?? 『なるほど…… 『守護神』 末恐ろしい才能ですね』

?? 『ですが、こちらも二十分間だけ目が離れれば十分……そうですね、“隊長” さん?』

隊長 『了解した。現在時刻をもって、西口運搬ゲートからの園内への突入を開始する』 ピッ

?? 『……さて、上手に処理せねばいけませんね』

?? 『頼みましたよ? 『代替部隊』 の皆さん』




490 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 22:30:19.74 ID:w8fRMpVY0
………………

上条 「……何か手がかりはあったか?」

止 「いや……特にはねぇな」

止 「……ところで、お前のお仲間とやらは無事だったのかよ」

上条 「ああ、それなら心配ない。さっき連絡があって、怪我はあったようだが、子ども含めて全員無事らしい」

上条 「心配してくれてたのか。ありがとな」

止 「……けっ」

――――――ダダダダダ……!

上条 「!!? 大群が近づいてくる!?」

止 「……! 離れるぞ!」

上条 「ああ……こっちだ!」




491 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 22:38:09.89 ID:w8fRMpVY0
………………物陰

上条 「っ……なんだ、アイツら……アンチスキル……?」

止 「……にしちゃあ、穏やかじゃないな」

上条 「ああ……。……?」 ハッ 「あれは……!!」

上条 (九月三十日に見たのと同じだ……アイツらが持ってる銃、実銃じゃねぇか!!)

上条 「……止、連中が持ってる銃……あれは多分、実弾仕様だ」

止 「なんだと? ということは、アイツらはアンチスキルではないということか……」

上条 「多分な……連中は一体何なんだ?」 prrrr…… 「……? こんなときに……!」 ピッ

白井 『殿方さんですのね? 忘れておりましたが、ひとつだけ伝えておくことが』

白井 『先ほどアンチスキルの方から連絡がありまして、何でも、『代替部隊』 というものに気をつけろ、と』

上条 「『代替部隊』 ?」

白井 『ええ。何でも、アンチスキルと似て非なる存在らしいですの』

上条 「!? ……そんなようなものが、今まさに目の前にいるんだがな」 ギリッ 「連中……実銃を持ってやがる」

白井 『何ですって!? 殿方さん、それは一体どこですの!?』

止 「……?」 (連中、機械を組み立てている……? 一体何をやっているんだ……?)




492 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 22:43:31.72 ID:w8fRMpVY0
隊長 「準備はいいか? では作動させろ」

キーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッッ………………

上条 「ああ、爆発現場のすぐ近く――」 ブツッ 「……? 切れた?」

止 「!? まさかあれ……携帯電話の妨害電波発生装置か!?」

隊長 「……それでは、作戦内容をもう一度確認する」 ザッ

隊長 「我々の行動はただひとつ。この園内にいる全ての人間の速やかなる抹殺だ」

上条 「……!? なんだと……!?」 ギリッ 「くっ……通信手段を遮断して……俺たち全員を、このまま……」

止 「……なるほど。そしてすべて都合のいい “テロ“ のせいにするというわけか……」

隊長 「……では、これより作戦を開始する。ここからは対テロリスト班と民間人班に分かれて行動する。行くぞ」

上条 「くそっ……行かせるかよ!」 ダッ

止 「待て!」 ガシッ 「出て行ってどうするつもりだ! 蜂の巣になるだけだぞ!」

上条 「それでも……このまま出入り口付近に集まって人たちを見捨てられるかよ!」

上条 「お前にだって守りたい奴がいるんだろ!? 笑顔にしたい奴がいるんだろう!?」

止 「っ……それは、そうだが……。しかし、ここでお前が出て行って死んでもどうしようもないだろう!」

止 「それとも何か!? お前は高位能力者なのか!?」




493 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 22:48:42.31 ID:w8fRMpVY0
上条 「っ……違う。俺はただの無能力者だ……拳を握ることしかできねぇよ!」

上条 「それでも……そうじゃねぇだろう!? なぜ戦うのかなんて、単純な “強さ” の問題じゃねぇだろう!?」

上条 「俺はレベル0だよ……それでも、戦わなきゃならねぇから戦うんだ! 結果なんて考えてる場合かよ!?」

上条 「死ぬとか死なないとか、そんなことを考えてる意味も暇もねぇんだよ!」

止 「……ッ……お前は……お前は……」 (これが……。っ……!)

止 (ダメだ……俺じゃ勝てない……コイツには絶対に勝てない……そう、思わされてしまった)

止 (コイツは、努力とか、才能とか、そういうものを無視した位置に立っている……)

止 (俺は……努力に溺れた俺では……コイツには絶対に敵わない……)

上条 「………………」 フッ 「……安心しろ。お前を巻き込むようなことはしねぇよ」

上条 「お前はここにいろ。大丈夫だ。お前の大切な奴にも、アイツらには指一本触れさせやしない」




497 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 23:16:12.29 ID:w8fRMpVY0
止 「………………」 ギリッ 「……この善人が……ッ」

止 「……俺も行く。俺はレベル3だが……生憎と能力者以外には能力が通用しない」

止 「実質上はお前と同じレベル0だ。……それでも、戦うさ」

上条 「しかし――」

止 「うるせぇ。行くって言ってんだ邪魔するな。お前の説教のせいでこうなったんだからな」

止 「責任ぐらいとりやがれ、善人」

上条 「……はぁ。分かったよ」 フッ 「そういやまだ名乗ってなかったな。俺は上条。よろしくな」

止 「……ひ――……いや、止だ。こっちこそ、頼む」

上条 「よし……行くぜ、止! 俺に作戦がある。まずは連中を先回りする!」

止 「ああ、遅れるなよ上条!」

上条 「そっちもな!」




498 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 23:18:29.50 ID:w8fRMpVY0
………………

上条 「………………」 ギリッ 「……3,2,1――」

止 「――今だ!」 グイッ

ピーン!!

隊員1 「ッ……!? 何だ……!?」 ゴロンゴロン

隊員2 「っ……ワイヤーかッ……――!!」 ゴロンゴロン……

ゴロゴロゴロ ……

上条 「今だ行くぞ!」 ダッ 「ヒット&アウェイだ! 忘れるな!」

止 「分かってる!」 ダッ

隊員2 「なッ……!? コイツら、俺たちを先回りして――」 ドゴッ 「ぐっ……」

隊員1 「ッ……くそ、ガキどもが!!」 ドガッ 「っ……」

止 (ろくに訓練もされてない……?) ニィ (何にせよ、チャンスには変わりない……!!) ダッ

パパパパパパパパ……!!!

リーダー 「っ…… 『猟犬部隊』 補充のために古株が抜かれたせいか……くそっ! 早く体勢を立て直せグズども!」




499 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 23:21:04.76 ID:w8fRMpVY0
………………

上条 「っ……さすがに俺たちを追ってはこないよなぁ……」

止 「当たり前だろう。連中とて部隊だ。目的を見失うようなことはないだろう」

上条 「となると……また同じような作戦で、二人ずつ数を減らしていくのか?」

止 「現実的じゃないな」

上条 「だよなぁ……」

ガチャッ

上条 「……!!?」

リーダー 「……少年たち。大人を舐めすぎじゃないかね?」

ガチャッ ガチャッ ガチャッ

リーダー 「君たち二人を追うことがない……誰がそんなことを決めたのかね?」

止 「ッ……!!」

リーダー 「目障りなのでな。先に消えてもらおう。どうせ君たちもいずれ殺すのだからな」

リーダー 「さようなら、少ね――」 ――…………ゴオッ!!! 「ッ――――……!!?」




500 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 23:25:56.39 ID:w8fRMpVY0
止 「!!?」 (リーダー格の男が……吹き飛んだ!?)

? 「……あー……苛つく……!!」 バヂバヂ…… 「本当に苛つく……!!!」 ビリビリィィィ!!!

止 「……? アイツは……まさか……!!」

上条 「ビリビリ!? お前が何でここに!?」

御坂 「……アンタね、まず最初に言うべきは、『ありがとうございます御坂美琴様』 じゃないの?」 バヂバヂ……

上条 「……あ、ありがとうございますなんでせう、御坂美琴様……うぅ……」

隊員3 「っ……ガキが! 死ね――」

御坂 「――だから苛ついてるって言ってるのが……!!」 ビリ…… 「どうして分かんないかなぁ!!」 バヂバヂバヂ!!!

隊員 『……な――ギャアアアアァァァァアアアアアアアアアア!!!』

リーダー 「っ……高位能力者か……厄介な……」

リーダー 「残存兵はフォーメーションを組み直せ! ……撃てぇぇぇえええええ!!!!」

御坂 「ふん……くだらない」 シャッ……ガガガガガガガ……!!!

止 (看板が何枚も飛来して弾丸を防いでいる……? コイツはバケモノか!?)




502 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 23:29:30.40 ID:w8fRMpVY0
上条 「っ……御坂――」

御坂 「――行きなさいよ。早く」

上条 「えっ……?」

御坂 「アンタっていつもそう。どこかに行きたがってるときばっか、そうやって切実な声出すんだから」

御坂 「……いいから、早く行きなさいって。行く場所があるんでしょ?」

御坂 「それに……今、私結構苛ついてるから……ヘタするとあんたたちも巻き込んじゃうわよ?」

上条 (っ……さっきの隊長格の奴は、犯人を殺すために少数で動いている)

上条 (何も知らない男がそれと接触したらやばい……)

上条 「っ……」 ギリッ 「……すまん、御坂!」 ダッ




503 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 23:31:10.43 ID:w8fRMpVY0
止 「………………」

御坂 「……? ほら、アンタもさっさと行きなさいよ」

止 「………………」 フッ 「……悪いな。恩に着る」

止 「……常盤台の 『超電磁砲』 ……努力によって、レベル5の力を得た超能力者……」

御坂 「? それが何?」

止 「……いや、べつに。単に、俺がお前に憧れていたという、ただそれだけの話だ」

御坂 「……はぁ?」

止 「余計なことを言った。忘れてくれ」 ダッ 「ここを頼む……!!」

御坂 「………………」 フン 「……悪い気はしないわね、そういうのも」 バヂバヂバヂ……

御坂 「さて……あんたたちが何だか知らないけど、覚悟しなさいよ?」 バヂバヂバヂ……!!!!

リーダー 「ッ……!!」

御坂 「ちょっとだけ本気を出してあげるから……!!!」




504 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 23:35:40.18 ID:w8fRMpVY0
………………

白井 「っ…… 『代替部隊』 ……目的は一体何ですの?」

白井 「黄泉川先生に聞こうにも……携帯電話は先ほどから通じませんし……」

―――― 『学園都市にとってマイナスとなること全てを闇に葬り去る存在だ!』

白井 「嫌な予感しかしませんの。まぁ、お姉様に向かっていただきましたから、大丈夫だとは思いますが……」

白井 「……ここは大事を取って、園側に命令を無視してゲートを開放するよう言うべきでしょうか」

佐天 「……白井さん! 大変です」 バン!!

白井 「何ですの、騒々しい。一般客が携帯電話が使えないことに気づきでもしたんですの?」

佐天 「いえ、それは電波障害ということで説明してありますので、当分は大丈夫だと思います」

佐天 「そんなことより! 大変なんです! 従業員の方が今調べたんですけど……」

佐天 「出入り口のゲートが、外側からもバリケードが張られていて、開けることができなくなっているんです!」

白井 「!? 何ですって!?」




505 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 23:38:58.33 ID:w8fRMpVY0
………………

青髪 「………………」 トコトコ

青髪 「土御門ー? 青髪さんがお見舞いに来たでー?」

青髪 「? あれ、土御門はいずこー?」 スタスタスタ……

青髪 「ここ?」 「ここ?」 「ここか?」 「……ならここやな?」

青髪 「……あれ?」

青髪 「ひょっとして……いや、ひょっとしなくても……」

青髪 「土御門!? アイツあの怪我でどっか行ったんか!?」

………………

幼女 「………………」

クマ 「……? あれ、君たち、さっきのメイドさんは?」

幼女 「……行っちゃった」 シュン 「ごめんねって言って、行っちゃった」

イル 「……メイ、行った。けれど、すぐ戻ってくる、言った。……だから、イル、ただ待つだけ」




506 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 23:42:24.24 ID:w8fRMpVY0
………………

少女 「っ……しつこい、あの風紀委員……ッ!!」

少女 (左手はもう使い物にはならないはず……それなのに、何でまだ追いかけてくる……?)

少女 (表の人間なんて、どいつもこいつも、ちょっとした怪我でガタガタ言うものじゃないのかよ……)

少女 「くそっ……!!」 (何なんだよアイツは!!)

少女 (セキュリティの比較的低い遊園地でなら成功すると思ったのに……)

少女 (何だってこんな場所に、『超電磁砲』 やあんな風紀委員がいやがるんだよ……!!)


男 (一体どこに逃げるつもりだろう。この方向は……西エリア? いや、それとも中央?)

男 (……いや、それよりも……逃げてどうするつもりなんだろう?)

男 (顔は僕に見られているわけだし……逃げたって仕方ないだろうに)

男 (それに、彼女にはもう後が……もしかして、まだ何かあるっていうのか?)

グチャッ……

男 (はは、痛い……。こりゃ、左手はあのお医者さんでも完全には治せないかもなぁ……)




507 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 23:47:11.38 ID:w8fRMpVY0
………………

精鋭1 「……、犯人とおぼしき少女、及びそれを追う風紀委員の少年を発見」

隊長 「ああ。目視できた。速やかに殲滅するぞ」

ガチャッ

精鋭2 「……風向、問題なし。照準合わせ。標的が停止した瞬間に狙撃」 ツー……

精鋭3 「同じく」 ツー……――

? 「――あらあら、こんな場所でおいたですか? いけませんねぇ」

隊長 「ッ……!?」 (背後!?) ガチャッ パァン!!

? 「………………」 フッ 「……しかも、振り向きざまに一発……ふふ、本当にどうしようもないですね」

隊長 「っ……メイド……?」 (しかし……弾はたしかに当てたはず……)

メイ 「申し訳ありません。わたしは多分、あなた方の同族です」

メイ 「……ですからまぁ、あまりあなたたちを批判する権利はないのかもしれないですけど、一言だけ」

メイ 「――こんな場所にそんな暴力持ち込んでんじゃねぇよクソ野郎……です♪」 ニコッ




510 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 00:12:07.06 ID:nzH+sqpV0
上条 「……ん? あれは……」

上条 「男!? ……追ってるあの子は……もしかして犯人か?」

止 (103……) ――パァン!!…… 「――ん……?」

止 「!!?」 (メイ!? ……何でアイツがあんなところに……?)

上条 「っ……!? メイさん!? くそっ、あれはさっきの隊長格の奴か!」

止 「ッ……103……くそっ……」 ギリッ 「……悪い。上条、俺はあっちに行かなきゃならない」

上条 「……ああ、俺も行ってやりたいが……」

止 「……気にするな。お前はお前の仲間を助けに行ってやれ」

上条 「ああ……悪いが、そうさせてもらう」




512 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 00:15:56.53 ID:nzH+sqpV0
上条 「メイさんと……それからあの女の子が、お前の守りたい人たちだったんだな」

止 「………………」 フッ 「……ああ、そうだよ」

止 「……なぁ、上条。お前も、お前の友達を守ってやってくれよ」

上条 「……? 当たり前だろ」

止 「………………」

上条 「………………」

上条 「……死ぬんじゃねぇぞ」

止 「当たり前だ。そっちもな」 クルッ




513 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 00:23:20.64 ID:nzH+sqpV0
………………

メイ 「………………」 フッ 「もう終わりですか?」

隊長 (すべての攻撃手段が通用しない、だと……?) 「っ……! くそっ!」

メイ 「でしたら、もう諦めてください。そちらにわたしは倒せません」 トコトコトコ……

メイ 「つまり、これで終わりということですね」 ニコッ

隊長 「っ……!?」

メイ 「恨むのならご自由に。ですが、こんな素敵な場所で……みんなが笑顔になる場所で、あなた方が何をしようとしたのか、」

メイ 「自分の胸に手を当てて考えながら」 ニコッ 「死んでください」

ガシッ――

? 「――やめろぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおお!!!!」

メイ 「……!? 止、様……?」

止 「やめろメイ! やめるんだ!」 ガシッ

メイ 「止様……一体何を? 離してください」

メイ 「この方々は間違いなく我々の同業者……殺したところで何の問題も――」

止 「――だめだ。殺すな。殺してはだめだ!」




514 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 00:28:16.69 ID:nzH+sqpV0
メイ 「………………」 フッ 「何です? 今さらわたしに何言うんです?」

メイ 「わたしの手はすでに血でどろどろに汚れています。今さら人殺しのひとつやふたつ――」

止 「それでもダメだ! お前は殺してはダメだ!」

止 「――お前は “ここ” で人殺しをしてはいけないんだ!!」

メイ 「!?」

止 「……楽しかったんだろう? 良い思い出がある場所なんだろう? だったらダメだ……」

止 「お前はここでだけは人を殺してはダメなんだよ……!!」

メイ 「止様……」

精鋭1 「っ……」 (今のうちに、あの男だけでも……!!) ガチャッ ―― ドゴォ!! 「ッが――!?」

? 「ふん、くだらない。銃をそんな風にしか扱えないのか? この腰抜けが」

メイ 「……! あなたは……ツチミカド様……!?」

土御門 「……お前たちもだ。くだらないドラマを展開している暇があったら、さっさと消えろ。目障りだ」

土御門 「お前たちは本当に暗部の人間か? 俺にはとてもそうは見えんがな」

止 「……っ」

土御門 「そう怖い顔をするな。ある意味褒め言葉だろうが」 ニィ




515 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 00:41:24.97 ID:nzH+sqpV0

土御門 「……だが、本物の戦場ではこうはならない。それだけは肝に銘じておけ」

土御門 「さっさと戻れ。戦えない人間なんて、足手まといに他ならないからな」

メイ 「しかしあなたは大火傷を――」

土御門 「その程度で動けなくなるほどヤワな鍛え方はしていない」

土御門 「コイツらみたいな素人に毛が生えた程度の連中にはちょうどいいハンデだろうさ」

止 「……行くぞ、メイ」 グイッ

メイ 「…………はい」

止 「……おい、お前、土御門とか言ったか」

土御門 「何だ、ド素人」

止 「……友達を大事にしろよ」

土御門 「………………」 ケッ 「ああ、そうするよ」




516 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 00:44:51.82 ID:nzH+sqpV0
土御門 (ふん……この 『背中刺す刃』 に、よりにもよって友達を大事にしろ、か)

土御門 (面白いことをいう奴だにゃー) ニヤッ

土御門 「――さて、そろそろいいか?」

隊長 「ッ……貴様……!」 ガチャッ

土御門 「あいにくとあまり長時間お前たちに付き合ってやるほどの体力はない。さっさとかかってこい」

土御門 「……なぁに、安心しろ。ここは遊園地……殺しはしないさ。ちょっと素敵な夢を見てもらうだけのこと」

精鋭1 「っ……」 (コイツは何だ……? さっきのメイドなんかより幾分もやばい感じがする……)

土御門 「………………」 ニィ 「……来ないならこちらから行くぞ?」 ダッ――




517 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 00:48:07.40 ID:nzH+sqpV0
………………

上条 「……男!」

男 「えっ……? 上条くん! 一体どうしてここに?」

上条 「説明は後だ。色々と込み入ってて俺にもよく分からん! とりあえずあの女の子が犯人だな!?」

上条 「何だかよく分からんが、妙な連中があの子や一般客を殺そうとしてやがるんだ」

男 「えっ……えええっ!!?」

上条 「安心しろ。出入り口方面は御坂が守ってくれてるし、お前たちを追っていた連中には止が向かってくれた」

男 (……? とまる?)

上条 「俺たちはさっさとあの子をさっさと捕まえるぞ!」

男 「う、うん!」




518 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 00:53:12.86 ID:nzH+sqpV0
………………

少女 (……先ほどから時折聞こえる銃声……間違いない。上層部が私を殺すために何かを仕向けたな)

少女 (と、いうことは……まず間違いなく、“アレ” はそれほどの意味を持つということか)

少女 (ッ……あんな言葉のせいで……みんなは……みんなは、殺されたのか……?)

少女 (……みんなのために頑張ったつもりだが、私ももう終わりか……)

少女 (風紀委員を出入り口付近から遠ざけるために火災も起こしたが……)

少女 (結局、暴動を起こすための爆弾は作動しなかった)

少女 (もう、本当に……打つ手はないか……) チラッ

少女 (……あれは、遊園地のシンボル、“セントラルタワー”)

少女 (……だが、このままでは終わらせない……せめてあの風紀委員だけは、この手で……!!)




519 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 00:56:16.78 ID:nzH+sqpV0
………………

?? 『……おやまぁ、なんともはや……本当に、何と申していいのやら』

?? 『全滅は予想どおりではありますが……まさか死者ゼロのまま、全滅ですか』

?? 『もはや笑うしかありませんね。まぁ、『代替部隊』 のスペックではなく、相手の戦力の問題と考えるべきでしょう』

?? 『まさかレベル5や暗部の人間が遊園地にいるとは誰も思いませんからね』

?? 『……まぁ、元々戦果は期待してはいなかったわけですが』

?? 『ふふ……そう、』

?? 『“悪辣なテロリスト” さえ生み出してしまえば、いくらでも情報はもみ消せますからね』




520 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 01:01:58.54 ID:nzH+sqpV0
………………セントラルタワー内

男 「ここは…… “セントラルタワー” ネズミの国で言うところのシン○レラ城みたいな立ち位置の建物だろうね」

男 「とはいえ、一階のエントランスと最上階の展望台しかないけど」

上条 「たしかに、園内のどこからでも見えるし……結構な高さだよな」

上条 「近未来的なビルの形をしているのは、何とも学園都市らしいというか、何というか」

男 「……それにしても、何だってあの犯人の子はこんな場所に逃げ込んだんだろう?」

上条 「さぁな。……ん? これはエレベーターか?」

男 「作動してる……。動いている一基が…………最上階で止まったね」

上条 「……来い、ってことか?」

男 「……上条くん。疲れるのと危険なの、どっちがいい?」

上条 「あん?」

男 「……だから、」 ニコッ 「最上階まで階段で上るのと、ちょっと危ないかもしれないけど、エレベーターで先行するの、」

男 「どっちがいい?」




521 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 01:06:55.86 ID:nzH+sqpV0
………………

男 「……まぁ、決めさせたのは僕だけどさ……」 タタタタタ……

男 「危険な方を取るとは思ってたけど……」 タタタ…… 「疲れるのも、大変だ……」

男 「地上何階建て相当の高さだっけ? ……ああもういいや。考えるだけで嫌になる」 タタタタタ……

男 「こうすれば犯人と行き違いになることもないけどさ……やっぱり大変だ……」 タタタタ……

………………

チーン ガラッ……

上条 「………………」 サッ

上条 「……? 誰もいない……?」 ツカツカツカ……

上条 「特に変わった様子もないし……ん? あれは……」

上条 (……天井から伸びるハシゴ……アナログな隠し階段ってとこか)

上条 (まるで来いと誘っているかのようだな……罠でもあるのか?)

上条 (……男はまだ当分は来ないだろうな) フッ (恨むなよ、男) ザッ……




522 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 01:09:47.48 ID:nzH+sqpV0
上条 「……!!」 (広い……展望室の上にこんなスペースがあるなんて、パンフにはなかったぞ?)

上条 (それに何だ……? この病院のようなニオイは?)

少女 「……よく来たな。なんだ、あのいけ好かない風紀委員ではないのか」

上条 「期待してたんなら悪いことをしたな。俺はアイツの友達だよ」

少女 「ふん……誰であろうと同じか……」

上条 「もう鬼ごっこはお終いだ。お前に逃げ場はない」

少女 「……誰が逃げると言った?」 ギロッ 「お前もあの風紀委員も殺せばいいだけのことだ」

上条 「男が言ってたよ。お前、『発火能力者』 なんだろ?」

上条 「……悪いが、お前じゃ俺には勝てないよ」

少女 「随分な自信だな。お前は高位能力者なのか?」

少女 「だが、そんなことはもう関係ないな。お前はここでリタイアするんだから」

上条 「なに……?」

少女 「これが何だか分かるか?」 サッ




523 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 01:15:34.09 ID:nzH+sqpV0
上条 「……? 霧吹き……?」

少女 「そう。だが、中身は水じゃない」

少女 「バイオエタノール……早い話がアルコールの一種さ」

上条 「アルコール……? !? まさか、その中身を――」

少女 「――その通り。この空間に散布してある」 ニヤリ 「この意味が分かるよな?」

上条 「ッ――!!」 ダッ

少女 「遅い。燃えろ」 サッ

――ボワァァァァァァアアアアア……!!!

上条 「ッ!?」 (炎が真っ直ぐこちらに向かってくる……だが!!) サッ

上条 (俺の右手ならあの炎を打ち消せるはず――)

――チリッ ゴォォォオオオオオオオオ……!!!

上条 「!!? ぐ……があぁぁぁぁぁああああああああああ!!??」

少女 「くく……燃えろ燃えろ……! 燃え尽きろ!!」




524 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 01:18:35.33 ID:nzH+sqpV0
上条 (何で 『幻想殺し』 が通用しないんだ!?)

ボワァァァァァァアアアアア……!!!

上条 (くそっ……服にアルコールが染み付いているのか) ゴロゴロゴロ……

上条 (ぐっ……ダメだ! 消えない! なら……!!) トン……ドタン!!

上条 「ぐっ……!」 ゴロゴロゴロ……プスプスプス……

少女 「……ふん。展望室に下りて炎を消したか。良い判断だ」

少女 「だが、遅い。身体中が大やけどなんじゃないか?」

少女 「己の能力を過信するからそうなる。私のようなちゃちなレベル2にも遅れを取ることになるんだよ」

少女 「覚えておけ、能力者」 ヒュン……トン

? 「――上条くん!!」 バァン!!

少女 「ん……? ああ、ようやくお出ましか」

? 「上条……くん?」 ダッ 「上条くん!?」

上条 「男……悪い、ぬかった……」 グッ 「だが……大丈夫だ。この程度なら、まだ――」

男 「………………」 キィ…… 「……何、で……?」




525 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 01:22:25.66 ID:nzH+sqpV0
男 (ナンで……?) キィィ……

男 (ナンで、ツチミカドくんも、カミジョウくんも、) キィィィィィ……

男 (こんなコトになっているの? ねぇ、ナンで? ナンで、ミンナ、ケガをするの?) キィィィィィィィ……

男 (ナンで、ミンナで、シアワせになってはいけないの? ナンで、こんなコトになるの?) キィィィィィィィィィィィィィィィ……

男 (ねぇ……ナンで?) キィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ……

―――― 『それによると、まだ未知数ではあるが、どうやら君は、本物のテレパシストになれるかもしれない』

―――― 『つまり、人間同士での念話……か、もしくはそれに準ずる “何か”、といったところかな』

上条 「男……?」

少女 「何だ……? この耳鳴りのような音は」

男 (……もう、イいよ。もう、イい。ボクはシアワせをツクる。ボクがシアワせをツクる)

男 (――ボクが、スベてを、シアワせにするよ)

キィィィィィィィ……キィィィィィィィィンンンン!!!!




526 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 01:25:50.06 ID:nzH+sqpV0
 シアワセ      コウフク
     シアワセ
         シアワセ      コウフク
   シアワセ
コウフク                シアワセ ゼンセカイニシアワセヲ
    ミンナワラッテ
ネコトアヒル                     シアワセ

                       シアワセ
-デ
-イデ
オイデヨ

コッチニオイデ
コッチニオイデヨ
コレガ
  シアワセ ダヨ
コレガ
シアワセ ダヨ




528 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 01:32:18.46 ID:nzH+sqpV0
………………

止 「………………」

メイ 「……考え事ですか?」

止 「……ああ」

メイ 「………………」

止 「………………」 フッ 「……悪い、メイ。一足先に戻っていてくれ」

メイ 「……どこへ行かれるのですか?」

止 「過去を清算しに……。くく、少し格好をつけすぎだな……」

メイ 「………………」

止 「……心配するな。少し、昔のことに決着をつけてくるだけだ」

メイ 「………………」 フッ 「……分かりました」

メイ 「……お早いお帰りを。わたしとイルは、止様を待っておりますから」

止 「ああ……すぐに戻る」 ダッ




529 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 01:39:18.61 ID:nzH+sqpV0
………………

少女 「ぐっ……!?」 (何だ……この声は!? 脳内に直接響くような、この声は!)

男 「……おいで。こっちに、おいでよ。これが、しあわせだよ」

少女 (何だ……何なんだコイツは……!?) ジリッ

男 「ふふ……逃げないで。逃げちゃダメ。しあわせにしなきゃいけないから。君も。ぜんぶ」

男 「誰も傷つかない。誰も悩まない。誰も道を違えない。そんなしあわせをあげるから」

男 「僕はジャッジメント。だから君をしあわせにしてあげなきゃならないんだ」

キィィィィィ……!!!!!

少女 「がっ、は……!?」 (しあわせしあわせしあわせしあわせしあわせ……)

少女 「思、考が、占拠、さ、r――――――」 (しあわせ……?)

少女 (――これが、しあわせ? しあわせ? しあわせ? しあわせ? ――)

男 「そう。それでいい。それでいいんだよ。これが僕のしあわせで、君のしあわせだ」

男 「そして全人類の、全生物の、全世界の……しあわせなんだよ」

少女 「……これが、しあわせ。私たちすべての、しあわせ」 ニコッ 「しあわせ……」

上条 (……これは一体何なんだ? 男は一体何をやっている?)




530 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 01:44:33.39 ID:nzH+sqpV0
上条 (男の能力は、ネコとアヒルと脳波を繋ぎ、それによって会話を可能とするもの……)

上条 (しかし、一定の条件が揃えば、人間とも脳波を繋ぐことが出来る……)

上条 (そうでなければ、他の人間がネコやアヒルと会話が出来る辻褄が合わない)

上条 (今、男は単独での人間との脳波のリンクを完成させているということか……)

少女 「これがしあわせ。これがしあわせ。これがしあわせ……」

上条 (ということは、これはまさか……) ギリッ (その能力を利用した…… “洗脳” なのか?)

上条 (これが……男の能力なのか? これが、あの優しい男の能力だっていうのかよ)

上条 「これが男が目指していたレベルシフト……これが、男の能力の本質だっていうのかよ……」 グッ……ググググッ……

―――― 『ねことあひるが力を合わせてみんなの幸せをーーーーーっ♪』

上条 「……。ちがう……絶対にちがう……!! あいつが目指していたのはそんなものじゃねえ!!」

上条 「認めない……俺は、そんなのは絶対に認めない……」

上条 「……いいだろう、男……お前が、自分の能力をそんなくだらないことにしか使えないというのなら、」

スゥ……ダッ!!!

上条 「――まずはその幻想をぶち壊す!!!」




532 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 02:08:15.12 ID:nzH+sqpV0
………………展望室 隅

止 「………………」 サッ (痕跡を辿って展望台に来てみれば……)

止 (……何だ、これは……? しあわせ?)

止 (……脳内に直接、訴えかけるように響く声……とても甘美に聞こえる……)

止 (ふん……まるで、死神か悪魔の誘いのようだな)

止 (これは洗脳……といってもいいだろう。しあわせの押し売りか……)

止 (これだけ離れていても感じる……至近距離にいれば、簡単に脳を犯されるだろうな……)

止 (103……お前は……ッ) ギリッ (くそっ……俺が、何とか――)

? 「……いいだろう、男……お前が、自分の能力をそんなくだらないことにしか使えないというのなら、」

止 (……あれは、上条……?)

上条 「――まずはその幻想をぶち壊す!!!」

止 「……!?」 (……なるほど、な)

止 (103には……もう俺の助けは必要ないということか……)




533 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 02:13:56.23 ID:nzH+sqpV0
上条 「男ぉぉぉぉぉおおおおおおおおお!!!」 グッ 「歯ぁ食いしばれぇぇぇええええええ!!!」

男 「? 上条くん……君も、しあわせになろうよ?」 ニコッ

キィィィィィィィィィンンン……!!!

上条 「無駄だ!!」 ――パキン

男 「!!?」 ギリッ 「……なぜ? これが、みんなのしあわせなんだよ?」

男 「なぜ、君が邪魔をするんだよ? 上条くん。君は、僕の友達でしょ?」

上条 「違うからだ! それはお前の目指していた幸せじゃないからだ!」 ブゥン

上条 「お前が欲しかった幸せは、与えたかった幸せは、そんなもんじゃねぇだろうがッッ!!!」 ドゴォォォッ!!!

男 「っ……――!」 ――ッダン……!!

上条 「………………」 ゼェ、ゼェ 「……思い出せよ。お前は一体何をしたかった」

上条 「こんな、お前の幸せの押しつけじゃないだろう?」

上条 「みんながネコとアヒルたちの唄を聴いて……世界を少しでもより良い方向にしたいって、言ってたじゃねぇか」

上条 「残念ながら、俺にはネコとアヒルの唄を聴くことはできない……俺には幸せは分からない……」

上条 「けど、頑張ってるお前の姿を見て、なんか満たされるものがあったよ……すごいって思えたよ!」




535 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 02:18:05.67 ID:nzH+sqpV0
上条 「……頼む。頼むよ。思い出せよ! お前がお前の幸せを否定してどうするんだよ……!!」

男 「………………」 ギリッ 「僕、は……」

男 「僕は……そうだよ、僕は……」

男 「僕が……僕が目指していたものは……こんなものじゃない」

上条 「男……良かった。元に戻って」 フラリ……ドサッ

男 「!? 上条くん!?」

上条 「はは……悪い。やっぱ、無茶ってのはするもんじゃねぇなぁ……」 グチャッ……

男 「そ、それ!!」 (右手……火傷でグチャグチャじゃないか……!!)

上条 「ちょっとミスってな……アイツの炎を防げなかった」

上条 「それを忘れてお前を殴っちまったんだ。はは……アホだな、俺。痛てぇ……」

男 「………………」 ニコッ 「……大丈夫。安心して」

男 「あとは僕が、何とかするから」




536 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 02:21:31.19 ID:nzH+sqpV0
少女 「ぐっ……」 ガクッ

少女 「今のは……くっ、洗脳……?」

男 「……それについては謝るよ。やってはいけないことをした」

男 「憤りに我を忘れて、能力が半ば暴走していたんだ。ごめん」

少女 「……ふん。そのまま私の自我でも奪ってしまえば良かったものを」 ……スッ

少女 「そこで寝ている男と同じ……いや、もっと酷い怪我をすることになるぞ?」

男 「……ひとつ、僕は君について見誤っていたようだ」

少女 「……なに?」

男 「君は 『発火能力者』 じゃないということさ」

少女 「………………」




538 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 02:23:30.90 ID:nzH+sqpV0
男 「先ほどからするこのニオイ……これ、アルコールだよね? その霧吹きに入れているのかな?」

男 「これを使って炎を出し、上条くんを攻撃した……」

男 「君が 『発火能力者』 であるのなら、そんな面倒なプロセスを挟む必要がない」

男 「火の玉なり何なりを出して、それを直接上条くんにぶつければいいんだからね」

少女 「………………」 ギリッ 「……ああそうさ。私は 『発火能力者』 ではない」

少女 「『発火能力者』 の出来損ない…… 『着火能力者』 だよ」

男 「『着火能力』 ……?」

少女 「私には 『発火能力者』 のように、炎を “作り出す” ことはできない」

少女 「この手に触れている可燃物に、炎を “着火する” ことしかできないんだよ……!」

男 「……なるほどね。君は手に触れたアルコールに着火し、上条くんを攻撃した」

少女 「私の能力は特殊でな……手に触れた物に着火させる能力故か、己の能力を火種とする炎では身が焼かれない」

少女 「だからアルコールを充満させた上で、その男を存分に焼けたというわけだ」




539 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 02:25:14.83 ID:KDJd0Lkl0
チャッカマンか




540 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 02:26:36.75 ID:nzH+sqpV0
男 「上条くん……」 チラッ (……やっぱり、右手が一番酷い……右手で防ごうとしたのか……)

男 (……けど、あれは “発現した炎” ではなく “着火した炎” ……すでに物理現象になっているから、)

男 (上条くんの右手では打ち消せず、制服に染みこんだアルコールに引火してしまった……)

男 (ん? “すでに物理現象になっているから打ち消せなかった” ……? 何か引っかかるな……)

少女 「……だが、私の能力を知ったところでどうなる?」

少女 「お前がもう一度先ほどの胸くそ悪い洗脳をするというのなら、その前にお前を焼き殺すだけだ」

男 「………………」 フッ 「……洗脳なんてしないよ。さっきは我を忘れてたから、やり方も分からないしね」

男 「けど、焼き殺す方もなしだ。君に僕は倒せない。倒せるはずがない」

少女 「……なんだと?」

男 「一応、改めて名乗っておこうかな」 フッ

男 「――風紀委員です。テロリズム予備罪、及び諸犯罪の現行犯で、あなたを拘束します」




541 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 02:29:24.38 ID:nzH+sqpV0
少女 「っ……どいつもこいつも……お前たち表の世界の人間は……!」

少女 「むかつくんだよ……私たちの犠牲の上に成り立っているお前たちが、なぜ何も感じずに生きていられる!?」

男 「犠牲……? 一体何の話をしているんだい?」

少女 「……やはり分からないか、風紀委員。お前たちには、一生分からないだろうな」

少女 「この遊園地に来たときから、おかしいと思っていた……」

少女 「世界が戦争に落ちようとしている……学園都市が大きく揺らいでいる……」

少女 「なのに、こんなふざけた場所で遊んでいられる連中がいる……その間も、多くの人間が死んでいるのにだ!」

少女 「私の仲間たちが死んだときも、きっとこの遊園地はは変わらずここにあったのだろうな」

少女 「……許せるか? そんな理不尽が! そんなふざけたことが! 許されて良いのか!?」


止 (っ、あの女……もしかして暗部の人間か)




542 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 02:32:57.68 ID:nzH+sqpV0
男 「………………」

少女 「分かるか? 分からないだろう? お前には分からないだろう!?」

男 「………………」

男 「……うん。ごめん。悪いけど、君が何を言っているのか、何を言いたいのか、僕には分からない」

少女 「………………」 フッ 「ああ……そうだろうさ……」

男 「――けどね……調べることはできる」

少女 「……なに?」

男 「君の仲間が大勢死んだ……っていうことだよね? それを、調べることはできる」

男 「こんなことをしたって仕方ないよ。……僕も手伝うから、だから、もうやめよう」

男 「君の仲間だって……君がこんなことをすることを、望んでなんかいないよ!!」




543 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 02:34:17.78 ID:EV/AOxMr0
犠牲になったのだ…




544 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 02:36:19.53 ID:wFmYt0kH0
つまり、・・・どういうことなんだってばよ?




545 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 02:38:28.29 ID:BOc6fEjq0
これが闇のチカラだ・・・




546 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 03:11:23.85 ID:e38wy7Vo0
少女 「………………」 ギリッ 「くだらない……。風紀委員ごときに何が出来る!! 何が分かる!」 サッ

少女 「燃えろ! 死ね! 風紀委員!!」 シャッ……ボワァァァァァァアアアアア……!!!

男 「………………」 サッ

少女 「っ……」 (避けた……だと!?)

男 「……上条くんを燃やしたときは、この上の部屋にアルコールを大量に散布してあったんでしょ?」

男 「この塔に登ったのも、そのための時間稼ぎをするためかな」

男 「けど、この展望室は違う。アルコールはまだ散布されていない」

男 「散布すると同時に着火したって、直線的な攻撃にしかならない!!」

男 「少しリーチがあって、スピードの速いパンチって程度ならば……避けるのは簡単!!」

少女 「っ……舐めるなッ!!」 シャッシャッシャッ……ボワァァァァァァアアアアア……!!!

男 「くっ……」 ゴロゴロゴロ……タッ (……避けたあと、すぐに立ち上がる……すぐに次のモーションに移れるように!) ダッ!!

少女 「くそっ……ちょこまかと!」 シャッ……ボワァァァァァァアアアアア……!!!

男 「………………」 (くそっ……だけど、どうやって近づけばいいんだ!!)




547 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 03:13:49.58 ID:e38wy7Vo0
男 (そもそも、何で僕が戦わなきゃいけないんだ?)

男 (彼女を放っておいたって……彼女が “妙な連中” とやらに殺されるかもしれないだけのことじゃないか)

男 (そう……彼女が殺されるかもしれないってだけ……)

男 (………………)

男 (……バカ。だったら、やっぱり僕は戦わなきゃいけないじゃないか)

―――― 『……でも、絶対に引き下がれない理由がある時には?』

―――― 『そん時には』 ニッ 『仕方ないから拳を握る。それだけのことだよ』

ギュッ

男 (……そう。今は、僕が拳を握らなくちゃ……彼女のために。そして、何よりも、僕自身のために!)

男 (殴ってでも分からせてやる!! どんな理由があろうと、人の笑顔を奪ってはいけないということを!)

―――― 『だから私は諦めない。それが一番大事なことだって、私は思う』

男 (だから僕は諦めない……僕が勝つことを諦めない! 彼女の命を、絶対に諦めない!!)




548 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 03:17:13.02 ID:e38wy7Vo0
少女 「………………」

男 「………………」

少女 「……もう終わりか?」

男 「そうしよう。もうそろそろ、終わりにしよう」

少女 「ふん……どうやったって、お前では私には近づけない。お前の拳と私の炎……」

少女 「射程を比べるまでもないことだと思うが?」

男 「そうだね。たしかに、射程範囲では僕は絶対に君に敵わない」

男 「けれど、知ってるかい? そうやって勝手なルールを規定して、君は自分自身を追いつめている」

少女 「何だと……?」

男 「一体どこの誰が、射程範囲で勝敗が決まると言ったんだい?」

―――― 『そうなんだぜぃ。お高くとまった格闘技の試合ってわけじゃないんだから、ルールなんて無用だろ?』

―――― 『いざ戦うとなったら、既存の概念はすべて頭から除いて、どうやったら勝利できるかのみを考えることだにゃー』

男 「……君の炎が僕に届かなければ、そして僕の拳が君に届けば、それでいい。ただそれだけのことだよ」




549 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 03:19:14.70 ID:e38wy7Vo0
男 「……さぁ、終わりにしよう!」 ダッ

少女 「バカが! 真正面から飛び込んできて、炎を避けられるとでも!?」

シャッ……ボワァァァァァァアアアアア……!!!

男 「――言ったはずだよ。ルールを勝手に決めるなって」 ダッ……!!!

少女 「なっ……!? よ、避けない、だと!?」

男 (僕が炎を避けなければ負けっていうわけじゃない! 僕が炎を前に倒れたら負けなんだ!) ボワァァァァァァアアアアア……

男 (ぐッ……熱い……けど、耐えろ……耐えろ……耐えろ! 僕の身体!!) ボワァァァァァァアアアアア……

男 (戦いは、気合いと根性、ド根性!!!) ……ズボッ!

―――― 『戦いは! 気合い! と! 根性! ド根性!!!』

少女 「っ……炎を抜けた……!? だがなぁ!!」

少女 「舐めるなよ! 私の能力の最大出力なら、人間に着火することも造作ない!!」

少女 「私に触れてみろ……その瞬間、焼け死ぬのはお前だ!!」




550 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 03:21:31.50 ID:e38wy7Vo0
男 「………………」 フッ 「……残念。それは無理だ」

少女 「……何だと?」

男 「だって、僕は仲間を信じているもの。逆に言えば――」

男 「――信じられるだけの仲間を、持っているってことだよ」

――ガシッ

少女 「!!!? お、お前は……!!」

上条 「はっ……悪いな。連日のゴタゴタで、ちと疲れててな。お前を殴るほどの気力はない」

上条 「だが、こうしてお前の能力を封じるくらいのことはできる」

―――― 『仲間を信じて、場合によっては頼ることだ』

上条 「あとはアイツが、やってくれるしな」 ニッ




552 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 03:23:31.62 ID:e38wy7Vo0
少女 「ッ……!? 何故……何故お前は燃えないんだ!!」

上条 「やはり、お前の能力そのものは異能……だから俺の右手で無効化できるってことか」

少女 「くそ……!! 離せ!!」

男 「――余所見をしている暇があるのかい?」 ザッ……!!

少女 「……!!」 シャッ……プス…… 「何故……何故炎が出ない!!?」

少女 「っ……くそぉぉぉおおおおおおお!!!」

男 「………………」 フッ 「……いいだろう。君が、自分の不幸をただ嘆くしかできないというのなら、」 ブゥン



男 「――まずはその不幸を、幸せで吹き飛ばす!!!」 ドゴォォォオオ!!




553 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 03:26:09.31 ID:e38wy7Vo0
………………

土御門 「……他愛のない。この程度か」

土御門 「ん……これは、妨害電波発生装置の類か」 ドゴッ!!

土御門 「………………」

土御門 「携帯電話でこちらが連絡を取り合うことを厭った……」

土御門 「それもあるだろうが、それ以上に、外部への連絡を嫌がったのだろうな」

隊長 「……う……ぁ……」

土御門 「ん? 気がついたか」

隊長 「ぐ……殺すなら、さっさと、殺せ」

土御門 「生憎とまだ殺す気はない。答えろ。お前たちはなぜ犯人と民間人を殺そうとした」

隊長 「ふっ……答えると、思うか?」

土御門 「答えろと言っているんだよ」

隊長 「………………」




554 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 03:29:08.65 ID:e38wy7Vo0
土御門 (なるほど、腐っても暗部……情報を渡すくらいなら死を選ぶということか)

土御門 「……言っておくが、こちらには脳内のスキャニングを担当する能力者もいる」

土御門 「だんまりを決め込んでいても辛いだけだぞ? 奴の能力は、行使された者の人格さえも壊すらしいからな」

土御門 「どちらにしろ死ぬんだ。楽に死ぬか、辛く死ぬか、好きな方を選べ」 (無論、はったりだが……)

隊長 「………………」

隊長 「……犯人が、学園都市上層部に対し、情報開示を要求した」

土御門 (やはりか……) 「……その内容は?」

隊長 「そこまでは知るか。だが、犯人は学園都市暗部の人間らしい」

隊長 「……所属していた部隊が壊滅し、そして彼女は行方不明になっていたが……」

隊長 「……どうやら、知ってはいけない情報を知っていたようだな」

土御門 「……お前、本当にその情報については何も知らないのか?」

隊長 「………………」 ッ 「“D” と。ある統括理事はそう呼んでいた」




555 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 03:31:20.31 ID:e38wy7Vo0
土御門 「“D” ……? それは一体――」

キラッ……パシュッ

隊長 「ッア――? ――――――――」 バラバラバラ……

土御門 「ッ……。これは――」 ギリッ 「……やはりお前か、海原」

海原 「――どうも。まさかあなたがここにいるとは、少々予想外でした」

土御門 「………………」

海原 「……そう怖い顔をしないでくださいよ。自分は 『電話の声』 の通りに仕事をこなしただけなんですから」

土御門 「………………」 チッ 「なるほどな。つまり、コイツらがテロリスト、ということか」

海原 「そういうことにするようですよ。自分に対しての命令も、『代替部隊』 を処理しろ、ではなく、」

海原 「テロリストの隊長を始末しろ、でしたから」

海原 「……どうやら本物のテロリストは我々の元お仲間……まだ子どものようです」

土御門 「このテロ未遂の出来事……なるほど。それが子どもによる犯行だと分かれば、その動機が注目される」

土御門 「……よほど上層部が隠したい情報を握っているようだな、犯人は」

海原 「ええ、ですがこれで真相は闇に葬られるでしょう」




556 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 03:33:25.85 ID:e38wy7Vo0
海原 「『電話の声』 は最初から、『代替部隊』 をテロリストに仕立てるつもりだったようですし」

海原 「外部の科学結社の差し金、ということにでもするのでしょうね」

海原 「真犯人の方は……さて、一体どうなるのやら」

土御門 「……哀れなことだな、コイツらも」 ギロッ 「……それから、海原、お前に一つ忠告しておくことがある」

海原 「? ああ、『槍』 のことですか? あなたには当たらない角度をきちんと計算しましたよ。ご安心を」

土御門 「違う」 ギリッ 「……これからは “こんな場所” で人殺しをするな。胸くそ悪い」

海原 「………………」 ニコッ 「……それはそれは、失礼を致しました。今後気をつけましょう」

海原 「……ん?」 チラッ 「……おやおや」

土御門 「……? ッ!? あれは……」

海原 「……どうやら、上層部というのも一枚岩ではないようですね」

海原 「せっかく 『電話の声』 が上手く処理をしようとしたというのに……」

土御門 「……どこかのバカが、園内の人間を本気ですべて殲滅する気だってことか」

海原 「そこまで知られたくない情報……それは一体、どんなものなのでしょうね」




564 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 08:11:47.94 ID:Lif4lqrb0
………………

初春 「……………………………………」 ktttttttttttttttt……………………

ピッ――ピーーーーーーッ!!!

初春 「……業務管理システム、情報管制領域においてのみ再構成完了」

初春 「外部との接続を極一部を除き完全にシャットアウト」

初春 「……園内のスキャニングを開始……」

ピッ――ピピッ!!

初春 「……? これは……園内中央部に、巨大な熱源……?」

初春 「――これはまさか……!?」




565 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 08:15:28.93 ID:Lif4lqrb0
………………

?? 『まったく……これは、潮岸あたりの仕業でしょうかね?』

?? 『一般市民程度にあの言葉を知られたとしても、大した意味はないというのに』

?? 『あの言葉を犯人から聞いた可能性のあるすべての人間……』

?? 『すなわち、園内にいるすべての人間を殺すつもりですか。まったく無駄としか言いようがない』

?? 『……こちらからの介入は……いえ、これ以上はあの 『守護神』 に勘付かれる恐れがありますね』

?? 『………………』

?? 『……少し無責任かもしれませんが、本当のお手並み拝見といきましょうか』

?? 『さぁ、どうします? 風紀委員の皆さん』

?? 『……ふふ。願わくは、あなたたちが一般市民を守ってくれることを』




566 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 08:30:07.15 ID:Lif4lqrb0
………………

少女 「………………」 バタン

男 「……ふぅ」 ガクッ

上条 「おっと」 サッ 「……大丈夫か?」

男 「うん……ありがとう、上条くん」

ガゴッ――ヴィィィィィィィィ……

男&上 「「!?」」

男 「……この揺れは、一体……?」

少女 「………………」 フッ 「……やはり、誰一人として生かしておくつもりはないらしいな」

少女 「あの “言葉” は、それだけ重要なものだったらしい」

男 「……一体何の話だい?」

少女 「……この塔は学園都市によって改造されている……外敵を攻撃するための、重金属粒子レーザーの砲台としてな」

少女 「そしてその照準は今……出入り口前の広場に向けられているのだろうな」

少女 「……上層部は園内の人間を本気で殺すつもりだ……早く園外に逃げないと、全員死ぬだろうな」




567 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 08:38:20.79 ID:Lif4lqrb0
………………

白井 「っ……」 (本当ですの。外部からバリケードを築かれている……)

白井 (おかしいですの……これは一体、何を目的としているのでしょう……?)

白井 (……それに、男さん……無事で、いらっしゃいますわよね……) チラッ

白井 「!!?」 (あの中央の塔……頂上近くから、巨大な砲台が……)

白井 「あれは……あれは一体何ですの!?」

prrrrrr……

白井 「電話!?」 ピッ 「もしもし!?」

男 『白井さんですね! そこにいる全員を、今すぐ外に避難させてください!』

白井 「男さん……それはどういう……」

男 『そちらから見えませんか? 塔が変形しているはずです!』

白井 「それは見えています。何か砲台のようなものが出てきて……」

男 『その砲台は大出力のレーザー砲です! そしてそれが今照準を定めているのが出入り口前広場なんです!』




568 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 08:47:27.00 ID:Lif4lqrb0
白井 「そ、そんな馬鹿な!!」

男 『けど本当なんです!! 早く……早く外へ避難を!』

白井 「そうしたいのはやまやまですが……」

白井 「出入り口は、外からも封鎖されてしまいました……」

男 『な、何だって!?』

男 『っ……間違っても園内のどこかへ避難しようとはしないでね! そうしても、きっと砲台が照準を変えるだけだから!』

男 『僕は今タワーの展望室にいる! 止める方法を見つけてみせるから!』 ブチッ

白井 「男さん……わたくしは……」 キッ

白井 「……わたくしも、できることをしなければ……!!」




570 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 08:53:33.08 ID:Lif4lqrb0
………………

初春 「……………………」 kttttttt……

ピーーーーッ エラー エラー エラー メッセージ エラー

初春 (っ……外部からの接続が不可能になっている……?)

初春 (違う……これは、そもそもこのシステムから切り離されている存在……)

初春 (遊園地の中にありながら、手綱は別の場所に握られている……)

初春 (………………)

初春 (諦めない。絶対に諦めない。諦めてたまるもんか……!)

初春 「……私は風紀委員。風紀委員の、初春飾利」

初春 「絶対に……誰一人死なせやしません!!」




571 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 08:56:54.41 ID:Lif4lqrb0
………………

客 『お、おいおい……あの塔の頂上のアレ……一体何だ?』

佐天 「………………」 (みんな気づき始めてる……そりゃそうだよね……)

幼女 「……あれ、何だろう?」 ギュッ

イル 「……分からない」 ギュッ

ネム 『……大丈夫よ』 ニャー

ディズ 『そう、絶対に大丈夫だから』 ガー

イル 「……うん」

? 「……ふふ、ネムサス様とデイジィ様、うちのイルと一緒にいてくださったんですね」

メイ 「ありがとうございます」

イル 「!! メイ!!」 ダキッ




572 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 09:01:25.99 ID:Lif4lqrb0
………………

白井 「あれは一体何なんですの!!」

クマ 「………………」

クマ 「……学園都市側から設置要請を受けて、対ローマ正教用に秘密裏の内に取り付けられた兵器です」

白井 「なぜあんなものを、こんな平和な場所に取り付けることを許しましたの!!」

クマ 「僕たちだって……僕たちだって嫌だった! けど……上層部には逆らえない……」 ギリッ

クマ 「取り付けなければ業務停止にして、この土地を軍事施設にするなんて言われたら、逆らえなかった……!」

白井 「ッ……すみません、ですの。今は……一般客を全員逃がすことを考えなければ……」

白井 「どうにかして……外へ。すべての方を外へ出さなければ……」

白井 (わたくしのテレポートでは、すべての一般客を逃がすには間に合わない……)

白井 (このバリケードを……どうにかして破壊しなければ……)

白井 (お姉様……はまだ戻ってこない……しかし、お姉様レベルの出力がなければ、このバリケードの破壊は不可能……)

白井 「っ……どうすれば……」

ピタッ……ッドォォン!!!




573 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 09:06:22.63 ID:Lif4lqrb0
バラバラ……

白井 「……!? あなたは……メイさん!?」

メイ 「バリケードは爆破しました……お早い避難誘導を」

白井 「は、はいですの!」 ダッ……ピタッ

白井 「……素晴らしい能力ですのね! わたくし、感激致しました!」 タタタタ……

メイ 「………………」

イル 「……メイ、カッコいい!」

メイ 「いえいえ、それほどでもありませんよ」

メイ 「………………」

メイ (……こんな能力でも、人を救うことができるのですね)

メイ (ふふ……素晴らしい能力、ですか……まぁ、悪い気はしませんか)

メイ 「……さて、もうひとがんばりですね。バリケードを爆破し尽くさなければ」

ピタッ……ッドォォン!!!




574 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 09:11:13.65 ID:Lif4lqrb0
………………

男 「展望台の上の部屋。さっき上条くんが襲われた部屋だよね?」

上条 「ああ。明らかな隠し部屋だよな。……なるほど、ここはあの砲台の制御室ってとこか」

上条 「ここは緊急用ってことか? 外部からの操作を基本としてるんだろうな」

男 「……遊園地に、こんなものを……」 ギリッ 「……ふざけてる……くそっ」

男 「あれは……コンソール!!」 ダッ

上条 「ボタンばかりだ……何がどうなってるのか分からねぇ」

上条 「迂闊に触ると危険だよな……」

男 「……この表示!! 発射まで……あと、五分……」 サッ ピッ……

男 「……もしもし! 白井さん!? 発射まであと五分らしい!」

男 「早く……早く避難を!!」

上条 「……っ……何でこんなことになるんだよ……!!」




575 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 09:19:16.47 ID:Lif4lqrb0
………………

佐天 「はい、押さないでくださーい!!」

佐天 「ゆっくり、ゆっくり、落ち着いて外に出てくださーい!」

佐天 (……あと少し。あと少しで全員が避難できる……)

佐天 (……発射まで、あと一分……お願い、間に合って……!!)

従業員1 「周辺を見回りました! あとはここにいる方々だけです!」

白井 (……誰かが何かを隠したがっている。そしてここにいる一般客が、その何かを知っている可能性がある)

白井 (だから、全員を殺す……っ、ふざけていますの!!)

白井 (なんとしても……なんとしても、すべての方々を外へ逃がさなければ!!)

白井 「っ……あと、三十秒……間に合わない……?」 ギリッ 「っ……だったら……!!」 ダッ

ガシッ

青髪 「どこ行くのん?」

白井 「!? なっ……は、離してくださいですの!」




576 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 09:24:16.91 ID:Lif4lqrb0
青髪 「ダメ。男やんと約束してもうたからな。キミを守る、てな」

青髪 「せやから離せへん。絶対に離さへん」

白井 「……っ、でも、わたくしは、風紀委員で……」

? 「……早く下がりなさい、あんたたち」 バヂバヂ……

白井 「!? お姉様!」

御坂 「遅くなってごめん。ちょっと手間取っちゃって……」

御坂 「……あれ、もう発射寸前って感じよね?」 サッ……バヂバヂバヂ……!!

御坂 「避難はまだ終わってない……なら、私がレールガンで、せめて威力を減衰させる」 スッ……

白井 「そ、そんな……!! 無茶ですの! あの大きさ……間違いなく戦略級の兵器ですのよ!!」

御坂 「似たようなもんよ。私たちレベル5だって、十分戦略兵器を名乗れるレベルなんだから」

御坂 「……下がりなさい。巻き込まれるわよ?」

白井 「………………」 ギリッ 「……下がりませんわ。わたくしも、お供させていただきますの」

青髪 「……せやったらボクも、ご一緒させてもらいましょ」

御坂 「………………」 フッ 「……ふん、勝手にしなさい」




577 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 09:31:55.05 ID:Lif4lqrb0
………………

キュィィィィィィ……

御坂 「……!! 来るわよ!!」 バヂバヂバヂ……

白&青 「「ッ……!!」」

御坂 (レールガンの射程距離はせいぜいが五十メートル……レーザーが発射されると同時に、撃つ……!!)

御坂 「……行きなさい……貫きなさい……これが、私の全力全開!!」 バヂバヂバヂ……!!!!

キュィィィィィィ………………ッッッッドン!!!!

御坂 「――吹き飛べぇぇぇぇぇぇぇえええええええええええええええ!!!!」 ピン――

バヂバヂ………………ッドン!!!

――カッ

……………………ッッッッッッドォォオオオオオオン!!! ……ゴォォォオオオオオオ……!!!!!!

白井 「っ……!!」 (爆風だけでこの勢いですの……!?)

白井 (ですが……さすがはお姉様!! 攻撃を散らせることができましたの!)




578 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 09:36:00.64 ID:Lif4lqrb0
………………

キュィィィィィィ……

青髪 「!? あれは……二発目のチャージ!?」

白井 「なっ……いくら何でも、発射間隔が短すぎますの!!」

御坂 「っ……何発撃ったって……ッ」 ガクッ 「……くっ……」

白井 「お姉様!!」

御坂 「……ごめん……ちょっと、電池切れ、みたい……」

白井 (……っ、わたくしは風紀委員。下がるわけには参りませんが、せめてこのお二人だけでも――)

青髪 「ッ……」

―――――― 《だから青髪くん……勝手なお願いだとは分かってるけど、いざというとき、あの二人を守ってほしい》

青髪 「……分かってる……分かっとるよ、男やん」 ダッ

白井 「……!? 偉丈夫さん!? 一体何を――」

青髪 「……ごめんな、お二人さん。男やんから、二人を守れ言われとるねん」

青髪 「せやから、不本意やろうし、無意味かもしれんけど……」 ニッ 「この青髪ピアスに、盾をやらせてな」




579 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 09:38:41.69 ID:Lif4lqrb0
青髪 (はは……何だかんだで、ボクもいつの間にかカミやん病にかかっとったってことなんかね?)

青髪 (せやったら少しでもええからモテてほしかったけど……)

青髪 (ま、ええか。友達の好きな女の子を守って死ぬなんて、最高に格好いい死に方やし)

キュィィィィィィ……!!!

青髪 (来る……)

…………………………

青髪 (……………………)

青髪 (…………? あれ。何や? 来ない……?)

青髪 (来ない……?)

? 『――砲台の、制御系統、の、奪取、に……』 ゼェ、ゼェ…… 『成功、しました……!』

? 『二発目は、来ません……!!』

青髪 「場内アナウンス……? 花飾りの子ぉか?」

白井 「初春、さすがですの!」

初春 『えへへへ……白井さん、私、やりましたよ……』




580 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 09:44:00.56 ID:Lif4lqrb0
………………

黄泉川 「……さぁ! ようやくアンチスキルの出番だ! キリキリ働け!」

鉄装 「い、いいんですかぁ? 勝手に救助活動なんかしちゃって……」

黄泉川 「園内への突入はするなと厳命されていたが、園外での活動については制約された憶えはない」

黄泉川 「不安がる暇があったら怪我人や子どもを早く救急車へ搬送しろ!」

鉄装 「は、はいぃぃ……!」

……………………ッッッッッッドォォオオオオオオン!!! ……ゴォォォオオオオオオ……!!!!!!

黄泉川 「……ッ!? な、何だ……?」

――ガラガラガラ……!!

客 『えっ……?』

黄泉川 「っ……建物が崩れて……くそっ」 ダッ (間に、合わない……!?)

キィィィィィ……シュン!! ガラガラガラガラ……

黄泉川 「なっ……透明の、立方体……?」

黄泉川 「あれが……直下の人々を守ったのか……?」




581 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 09:48:42.68 ID:Lif4lqrb0
………………

? 「ふぅ……仕事が早く終わったから合流できるかも、と喜び勇んで来てみればこれか……」

? 「けれどまさか、この能力でここまでナチュラルな人助けができるとはね……」

? 「ともあれ、これじゃあもう遊園地の営業は無理だよねぇ。せめてあと一週間は待たないと」

? 「はは……散々な行楽になっちゃったみたいだね」

メイ 「――そうでもありませんよ、シィ様」

シィ 「おや、メイ。いたのか。イルも」

イル 「けっこう、たのしかった。トモダチも、できた!」

シィ 「……ふふ、それはよかった。ところで止は?」

メイ 「少し、昔のことに決着をつけてくる……とのことですよ」

シィ 「おやおや……それはまた、随分とすかしたセリフだね。あとでイジってあげないと」

シィ 「じゃ、まぁ……待っててあげますか」 フッ 「僕らの仲間を」




582 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 10:17:33.56 ID:Lif4lqrb0
………………

上条 「はぁ……なんとかなったみたいだな」

男 「うん。これで本当に終わりだよ。さすがは初春さん」

男 「……ははっ、今さらだけど、上条くんすごいボロボロだよ?」

上条 「お前に言われたくねぇよ。こりゃまた病院だな」

男 「毎度のことじゃないの?」

上条 「お前は上条さんをケンカに明け暮れる不良か何かと勘違いしていませんか?」

男 「成績に関しては間違いなく不良な件について」

上条 「そこで成績の話!? ただでさえ出席日数ヤバめな気がしないでもないのにその話題はなしでプリーズ!」

男 「まったく」 フッ 「一度戦いが終われば、すぐに元の上条くんに戻るんだね」

上条 「元の俺も何もあるかよ。俺は俺だ。――……ずっと、俺は俺だよ」




583 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 10:21:12.05 ID:Lif4lqrb0
男 「……上条くん、右手は大丈夫?」

上条 「あん?」 グチャッ 「……ま、大丈夫だろ。ちょっと皮膚が焼けただけだ」

男 「ツッコミ待ち? ねぇ今のセリフってツッコミ待ちだよね?」

男 「………………」 (……今回の炎、上条くんの右手じゃ打ち消せなかった……)

男 (さっき憶えた違和感はこれだ。御坂さんのレールガンは防げるのに、今回の炎は無理)

男 (原点はどちらも異能の力……けれど双方が、すでに物理現象となっている攻撃……)

男 (なぜ片方は防げて、もう片方は防げなかったんだろう)

男 「………………」 ジッ

上条 「……? 何だよ」

男 (……一つだけ、至極主観的だけど、レールガンと今回の炎に違いがある)

男 (それは、攻撃自体が “異能っぽい” か “異能っぽくない” かの違い……)




584 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 10:27:54.62 ID:Lif4lqrb0
男 (レールガンは、ほとんど光の線にしか見えないと聞く)

男 (それはつまり、上条くんの主観としては、もはや異能に等しいんだろう……)

男 (そして今回の炎は、アルコールの燃焼だと上条くん自身も無意識下で認識していただろう)

男 (……けれど、そんな違いで、能力の有効と無効の差が現れるのか?)

男 (科学に裏打ちされた能力開発において、そんな本人の主観でしか現れない違いが出るものなのか?)

男 (『自分だけの現実』 が揺らいでいる……? 違うな)

男 (そもそも、『自分だけの現実』 が明確になっているとは思えない)

男 (待てよ? ……上条くんが無意識の内に異能と判断したすべては、上条くんの右手で打ち消せる……?)

男 (……それはつまり、もし上条くんがこの世界を幻想や夢だと認識したら――?)

――ゾッ

男 (……そ、そんな、馬鹿なこと――)

上条 「――おい、どうしたんだ?」

男 「へっ!?」 ビグッ 「い、いや、何でもないよ」

男 (……僕は何を馬鹿なことを考えてるんだ。そんなわけないじゃないか)




585 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 10:33:42.47 ID:Lif4lqrb0
男 (けど、上条くんの右手がおかしいことはたしかだ。何か、数値化できないような……)

男 (科学的でない……まるでオカルトのような……。オカルト?)

男 「………………」

男 「……ねぇ、上条くん。ひとつだけ聞きたいんだ」

上条 「……なんだ」

男 「―― 『魔術』 って、何?」

上条 「………………」 チッ 「……どっかの宗教団体が独自開発した能力開発だろう」

男 「それは本当なの? っていうことを聞いているんだけど」

上条 「なんでそんなことを俺に聞く」

男 「知っていると、ただ何となくそう思ったから」

上条 「………………」

男 「………………」

上条 「………………」

上条 「…… 『科学』 と同じだよ」

男 「……?」




586 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 10:38:13.92 ID:Lif4lqrb0
上条 「『魔術』 も 『科学』 も変わらない。使う人間の意志によって善しも悪しも決まる」

上条 「……魔術ってのは、本当なら科学と手を取り合える、そんな存在だよ」

男 「………………」

男 (……やっぱり、上条くんは戦ってるんだ)

上条 「………………」 フッ 「無駄話をしすぎたな。そろそろ戻ろうぜ」

男 「あ……うん。そうだね、事後処理はアンチスキルに任せよう」

上条 「……さてと、病院に行きますか。ったく、嫌になるよな」

男 「………………」

男 「……上条くん!」

上条 「あん?」

男 「……上条くんが何と戦っているのか、僕は知らない。そしてきっと、僕は君を助けられない」

男 「悔しいけど……そんな力は、僕にはないから。覚悟も、勇気も、背景も、何もないから……」

男 「もしかしたら戦争になるかもしれない……多くの人が死ぬかもしれない」

上条 「………………」




587 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 10:41:23.59 ID:Lif4lqrb0
男 「……だから、約束してほしい。死なないで……絶対に死なないで!」

上条 「………………」

上条 「……ふん、何言ってるんだ?」 ニッ 「俺は死なないよ。絶対、何があろうとな」

男 「……うん」

上条 「……それから、俺もお前にひとつ頼みがある」

男 「……? 頼み?」

上条 「……学園都市を、守ってくれ。俺はきっと、学園都市を守るほどの余裕はないから」

上条 「だから、もし何かがあったら……頼むぜ、風紀委員」

上条 「ここは “アイツ” の居場所なんだ。だから、守ってくれ……頼んだ」

上条 「そしていつか、お前のあの “幸せ” で、世界を満たしてくれ。俺には、そんな力はないからな」

男 「………………」 コクッ 「……安心して。僕は絶対に、この街を守る」

男 「みんなが安心して暮らせるように、この街を守るから……」

男 「そして、いつか絶対に……僕の能力で、世界を良い方向に変えてみせる」




588 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 10:46:23.22 ID:Lif4lqrb0
………………

土御門 「……事件はこれで解決、か」

土御門 「『代替部隊』 隊長は死亡……その他の隊員は全員アンチスキルにより拘束された」

土御門 「テロリストとして処理され……再度暗部に落とされる、と」

海原 「………………」 フッ 「納得いかないというような顔をしていらっしゃいますね」

土御門 「……友達の努力をすべて水泡に帰されたようなこの終わり……納得できると思うか?」

海原 「犯人の少女に発言の機会は与えられませんよ。精神失調者として病院に搬送されるそうです」

海原 「テロリストとして正規部隊に捕縛されれば、まだ日の目はあったかもしれませんし、」

海原 「犯人としてもそれを狙っていた面もあるのでしょうが……上手くはいかないものですね」

土御門 「……しかし何故よりにもよってお前が来た? 科学相手なら他の連中の方がいいと思うが」

海原 「結標さんについては知りません。ですが、“彼” の方には別個にオーダーが入っているようでして」

海原 「そこで自分にお鉢が回ってきたというわけです」

土御門 「……別のオーダー……? あの “最強” に一体何をやらせるっていうんだ?」




589 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 10:52:23.04 ID:Lif4lqrb0
………………

白井 「………………」 キョロキョロキョロ……

佐天 「白井さん、怪我人の搬送、あらかた終わりました。あとは私たちだけですよ」

白井 「あ、はいですの! わたくしも能力ですぐに参りますので、お先に行っていてくださいな」

佐天 「……? ああ、」 ニヤリ 「男さんなら、あっちで黄昏れてましたよ?」

白井 「……あ、ありがとうございますですの!」 ダッ

佐天 「まったく、中学一年生やってるねぇ……」 ハァ 「涙子ねーさんも頑張らないとねー」

佐天 「はぁ……どっかにいいオトコ、いないかなぁ……」

? 「――いやいやいや、上条さんは大丈夫ですので、救急車は他の方が使ってください」

上条 「俺は歩いて病院に向かうんで……はい、いえいえ、お気になさらずに……」 ブルルルルルル……

上条 「はぁー……まさか俺の一歩手前で救急車が満杯になってしまうなんて……不幸だー」

上条 「俺、意外と重傷なんだけどなぁ……テメェで歩ける限りは歩かせるってことですか運命さん……」 トボトボ……

佐天 「カミジョーさん、かぁ……」 ペロッ 「悪くない……うん、悪くないよね」 ニヤリ

佐天 「カミジョーさーーん! 良かったら一緒に病院に行きませーん? 付き添いますよー!」




590 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 10:58:32.86 ID:Lif4lqrb0
………………

―――― 『……許せるか? そんな理不尽が! そんなふざけたことが! 許されて良いのか!?』

男 「………………」 (あの子はあのときそう言った……)

男 (学園都市が……何らかの思惑をもって、何かを必死に隠そうとしている)

男 (けど、だから何だ? だから僕に何ができるっていうんだ?)

男 (学園都市そのものなんてスケールの大きな相手に、一体何が……)

男 「………………」

男 「けど……約束、したもんな。調べようって、言っちゃったもんね」

男 「背負うものがまた一つ増えちゃったか……」

男 「……でも、諦めない。絶対に、すべてを解き明かしてみせる」

男 「僕は……風紀委員だから」

? 「男さん……」

男 「えっ……? ああ、白井さん」

白井 「……病院に参りませんと、身体中の……特にその左手の火傷、早く治療していただきましょう」

男 「……うん」




591 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 11:03:12.38 ID:Lif4lqrb0
白井 「男さん……やはり、納得できませんの?」

男 「……まぁね」 ギリッ 「……あの子は犯人ではなく、ただの精神失調者……」

男 「おまけに、あの子や一般客を殺そうとしていたらしい武装集団がテロリストだなんて」

男 「そんなの……絶対におかしいよ。誰かの意図があるに決まってる!」

白井 「……そうですわね。今回は事件発生後の対応も妙でしたし……」

白井 「しかし、証拠は何一つありませんわよ?」

白井 「防犯カメラの映像等も、園の管理システムがクラッシュした際にすべて失われているそうですし……」

白井 「初春が簡単なシステムを組み上げて制御を取り戻したときにはすでに、武装集団は撃破された後……」

男 「………………」 ギリッ 「……くそっ……」

白井 「………………」 フッ 「……ですが、まだ終わってはおりませんの」

男 「えっ……?」

白井 「……いずれ、わたくしたちの手で真実を取り戻しましょう」

白井 「それができるのは、わたくしたち風紀委員だけなのですから」 ニコッ

男 「白井さん……ありがとう」 ニコッ




592 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 11:08:46.72 ID:Lif4lqrb0
男 「………………」

男 「……ねぇ、白井さん」

白井 「はい、何ですの?」

男 「………………」

男 「……何でだろう。今ならすごく簡単に言える気がする」

男 「……僕は……白井さんのことが、好きです」

男 「――僕と、お付き合いをしていただけませんか?」

白井 「………………」

白井 「……やっと、言ってくださったんですのね」

男 「……ごめん。本当に、やっと言えたよ」

白井 「まったく……遅いですの」

男 「はは……ごめん。本当にごめん」

白井 「ごめんで済んだら警察はいらないんですのよ」

男 「うぅ……あっ、そうだ……」 ゴソゴソッ…… 「うわっ……ちょっと包装が焦げてる……」




594 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 11:12:32.06 ID:Lif4lqrb0
白井 「……?」

男 「……ごめん。これ、プレゼントなんだけど……どうぞっ」 サッ

白井 「ぷ、プレゼントですの!?」 キラキラ…… 「あ、開けてもよろしいんですの?」

男 「もちろん。……っていうか、そのところどころ焦げてる包装を早く取っ払ってほしいかも」

白井 「……これも男さんの活躍の勲章ですのに」 バサバサ……

白井 「これは……リボン?」 パサッ

男 「うん……なんか子どもっぽくてごめんね」

男 「チケットを貰った翌日に、佐天さんと御坂さんに付き合ってもらって買いに行ったんです」

男 「装飾品にしたいって言ったら、御坂さんが、白井さんの能力の集中を妨げないものがいいって言ってたから」

男 「だから、普段から付けてるリボンなら、そんなに変化がないかなって思ったんだけど」

白井 「………………」

男 (あ、あの無言は……まさか趣味じゃなかった!?)




595 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 11:16:42.06 ID:Lif4lqrb0
白井 「………………」 ギュッ 「……ありがとうございますですの」

男 「えっ……あ、うん! なら良かった……」 (ビックリした……上目遣い可愛すぎだろ……)

白井 「レースをあしらった純白の下地……シックな黒の一筋……本当にお洒落ですの」

白井 「一生の宝物に致しますわ。いえ、むしろ白井家の家宝にするべきかもしれませんの!!」

男 「そこまでじゃないよ! やりすぎです!!」

白井 「……ふふ、」 サッ……キュッ……キュッ 「……ど、どうです? 似合います?」

男 「………………」

白井 「……? 男さん?」

男 「えっ? あ、すみません。ちょっと生まれて初めて神に感謝していました」

男 「白井さんと出会わせてくれて……こんなに綺麗で可愛い存在と出会わせてくれてありがとう、と」

白井 「い、言い過ぎですの! 恥ずかしいですわよ……」




596 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 11:22:46.30 ID:Lif4lqrb0
男 「……あ、えーと……そのぉ……」

白井 「……? どうかされました?」

男 「その……できれば、返事を頂きたいかな、なんて……」

白井 「……? 返事?」

男 「泣くよ? っていうか涙出てきたんだけど」

白井 「冗談ですの。でも返事って……今さらそんなもの必要ですの?」

男 「いや、それはあまりにも卑怯じゃないです!?」

白井 「……むぅ……仕方ないですわね」 スー……ハー……

白井 「……その……喜んで、お受け致しますわ」

白井 「わたくしも、貴方のことが大好きですから」

男 「ッ~~~~~~~」 グッ 「いよぉぉぉぉおおおおおおしッッッァァアアアアアアア」

白井 「ふふ……」 ギロッ 「……ところで男さん、わたくし、三言二言申し上げたいことがございますの」

男 「……?」




597 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 11:27:01.38 ID:Lif4lqrb0
………………

ネム 「………………」

ディズ 「………………」

ネム 「……やっとくっついたわね。まったく、お互いに奥手なんだから」

ディズ 「けど、意外と簡単に成功したわね」

ディズ 「男のことだから、また誰かの邪魔が入るかとも思ったのだけれど」

ネム 「そういえば、すんなりと好きって言ってたわね」

ディズ 「……また一皮むけたのかしらねー」

ネム 「だといいけど……」

ネム&ディズ 「「あの様子じゃねぇ……」」




598 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 11:31:13.40 ID:Lif4lqrb0
ギュッ……グググググググッ……!!

男 「痛い痛い痛い!! 頬が千切れますから白井さんやめて!!」

白井 「……ふふふ、わたくしとて好きでこんなことをやっているわけではありませんのよ?」

白井 「ただ、自分の友達に身勝手なお願いをして、わたくしやお姉様を守らせようとしたなんて……」

白井 「百年早いんですの!!」 ギュッ

男 「痛たたたたたたたッ!? ちょっと頬が千切れちゃうからぁぁぁぁああああ!!」

白井 「……ふん。感謝してくださいな。勝手に無茶をした分も、今のに入れておいてさしあげますから」 パッ

男 「…………はぁ、はぁ、はぁ……うぅ……何でこう白井さんは容赦がないんです?」

白井 「知りませんの。さ、早く病院に行きますわよ!」

――――キィ……

男 「……?」 (今のは……)

男 「……ごめん。先に行ってて。僕もすぐに行くから」 ダッ

白井 「え? 男さんっ……?」




599 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 11:39:03.21 ID:Lif4lqrb0
男 (たしかに今、懐かしい感じがした……ん? 誰かいるのか……)

止 「………………」

男 「……?」 (カエルの面……?)

止 「……少し能力を使っただけなんだが、やはり分かったか」

男 「……!? この、声は……まさか……」

止 「――お前に一つだけ警告しておく」

止 「あの女に何を言われたのかは知らんが……これ以上学園都市の裏側に首を突っ込むな」

止 「死ぬぞ、お前」

男 「君は……! 君が、何でこんな場所に……!! 何で!」

男 「君は、少年院にいるはずじゃ……!!」

止 「………………」 クルッ 「……それだけを伝えに来た。じゃあな」 スタスタスタ……

男 「ま、待て! 何で君が……何で君がここにいる! 答えろ、102!!」




600 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 11:43:14.29 ID:Lif4lqrb0
止 「………………」 ザッ 「……103……いや、男と言うのだったな」

止 「覚えておけ。お前の知っている102は死んだ……もういない」

男 「な、何を……」

止 「……お前は、こちらに来るべきじゃない」

男 「102……」

止 「………………」 スッ スタスタスタ……

止 「……?」

ネム 「………………」

ディズ 「………………」

止 「………………」 フッ 「今さら俺に言えたことじゃないが……103を頼む」

ネム&ディズ 「「………………」」




601 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 11:50:09.51 ID:Lif4lqrb0
………………

メイ 「……終わったのですね」

止 「どうだかな」 チラッ 「……ところで、どうしてここにシィがいるんだ?」

シィ 「ヒーローは後からやってきて美味しいところを全部持っていくのが定石だろう?」

止 「ああそうかいよかったな」

シィ 「反応が酷い!?」

イル 「………………」

止 「………………」 フッ 「……楽しかったか?」

イル 「モチロン!」 グッ

止 「……なら何より、だ。だが、今度はもっとまともに行楽できるといいな」

イル 「え? こんど……?」

メイ 「……ええ、また今度行くときには、もっとしっかりと遊園地を楽しみましょう」 フッ 「では帰りますか。我々の家へ」

シィ 「……? あれ、ひょっとして僕、一人だけ置いてけぼり?」

シィ 「ちょっとみんなー! そのシンパシーに僕も入れておくれよー!」




603 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 12:30:52.10 ID:Lif4lqrb0
………………同日 深夜

止 「………………」 パシュパシュパシュッ

―― 『っ……違う。俺はただの無能力者だ……拳を握ることしかできねぇよ!』

―― 『それでも……そうじゃねぇだろう!? なぜ戦うのかなんて、単純な “強さ” の問題じゃねぇだろう!?』

―― 『俺はレベル0だよ……それでも、戦わなきゃならねぇから戦うんだ! 結果なんて考えてる場合かよ!?』

―― 『死ぬとか死なないとか、そんなことを考えてる意味も暇もねぇんだよ!』

止 「………………」 (……今日、痛感した)

止 (俺は、能力者以外の人間に対してはあまりにも無力すぎる)

止 (メイたちのような能力もない……そして何より、あの無能力者のような覚悟もない……)

止 (だが、それでも……俺は……) パシュパシュパシュッ……

ガチャッ

? 「――あ、こんなところにいたのか」

止 「……シィか」

シィ 「疲れてるだろうに。今日も訓練かい?」




604 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 12:34:28.37 ID:Lif4lqrb0
止 「……俺は弱いからな。せめてもの悪あがきだよ」

止 「まぁ、人殺しができなきゃ意味はねぇんだろうがな」

シィ 「はは……そう気に病むことではないよ。まだ君はまともな人間だってことだ」

止 「………………」 チッ 「今日、土御門という男に会った。知っているか?」

シィ 「暗部の人間かい? 生憎と僕も下っ端でね。知らないな」

止 「そいつに、お前たちは本当に暗部かと……そう言われたよ」

シィ 「……それについては、返す言葉もないとしか言いようがないね」

止 「………………」 フッ 「……メイとイルは、寝たのか?」




605 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 12:37:40.20 ID:Lif4lqrb0
シィ 「多分ね。さすがに疲れたんだろう」

止 「お前も仕事で疲れているだろう。寝たらどうだ?」

シィ 「おや、僕に優しい言葉をかけてくれるとはめずらしい」 フッ 「止こそ、その手、大丈夫かい?」

止 「ん……ああ、これか。問題ねぇよ」

止 「ちょっとすりむいただけだっていうのに、メイの奴が大げさに包帯なんか巻きやがって」

止 「それを見て真似したがるイルが包帯一巻き全部巻きやがって……」

止 「多すぎるから取ろうとしたらメイの奴が 『イルの厚意を無駄にするんですか』 とか笑顔で脅してくるし……」

止 「……だから仕方なしに付けっぱなしにしてるだけだ」

シィ 「はは……君も本当に難儀な男だねぇ」




606 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 12:49:19.77 ID:Lif4lqrb0
シィ 「……ねぇ、止」

止 「なんだ?」

シィ 「もしも……もしもの話だけど……」

シィ 「……メイとイル、そのどちらかしか助けられないとしたら……」

シィ 「君は、どちらを助ける?」

止 「………………」 ジッ 「……前提条件も、質問の意図も分からないんだが」

シィ 「何でもいい。答えてくれ。君の正直なところを」

止 「………………」

―――― 『今なら心から言えます……』 ギュッ 『止様、ようこそ 『ボックス』 へ』

―――― 『――とまるは、みんなと一緒に、生きて』

止 「……ふん、くっだらねぇ。そんなもん、決まりきってるじゃねぇか」

シィ 「………………」

止 「――両方、だ。どちらも守るさ。そして全員で光当たる場所へ戻る……ただ、それだけだ」




607 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 13:02:52.22 ID:Lif4lqrb0
シィ 「………………」 ニコッ 「……うん。良かった。その通りだね」

止 「なんだ? カマでもかけたつもりか?」

シィ 「いや、そういうつもりはなかったけど……止のその覚悟が聞けて良かったよ」

シィ 「……だから、もし僕が死んだその時には……あの二人を、守ってほしい」

止 「ああ? なにくだらねぇこと言ってやがる。レベル4のお前が死ぬようだったら、」

止 「レベル3の俺はとっくに死んでるだろうが」

止 「……それに、お前も死なせないさ。全員で戻るんだ……光当たる場所へ……」

シィ 「……うん。そうだね」 フッ 「そうなれば……いいよね……」

止 「……? シィ?」

シィ 「……先ほど、学園都市上層部から連絡があった」

シィ 「米国政府が、学園都市に対しスパイ活動を行なっていたことが発覚したらしい」

止 「スパイ……?」

シィ 「……中心となって動いていた官僚の名は、エドワード・キングダム」

シィ 「メイから話は聞いただろう? これの意味することが分かるね?」




608 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 13:12:37.99 ID:Lif4lqrb0
止 「……!? まさか……イルの父親が、またスパイ活動をしたっていうのか!?」

止 「自分の娘が、人質として暗部にいるっていうのにか!?」

シィ 「……元々、そんなことを考慮に入れる人間だったのなら、娘をスパイに仕立てたりはしないよ」

シィ 「そもそも、イルに人質としての価値なんてなかったんだ。学園都市にとって、どうでもいい存在でしかない」

シィ 「けど、こうなってしまった以上、話は変わってくる。学園都市上層部は自分たちと敵対する存在を許さない」

シィ 「……名目上だけであれ人質であるイルを、見せしめのために殺さなければならないということさ」

止 「ッ……」 ガンッ!! 「くそったれが……!!」

シィ 「……先ほど上層部から連絡が入った。暗殺者を仕向けたとね」

シィ 「邪魔さえしなければ、『ボックス』 そのものには危害は加えない。イルを殺すだけだと」

止 「……くそっ……!」 ダッ

シィ 「………………」 ハァ 「……何を言う必要もなく、イルの元へ向かったか」

シィ 「イルを守るということは……学園都市上層部を敵に回すことだと、しっかり理解しているのやら」

シィ 「ねぇ、止。やはり君は、暗部の人間ではないよ。甘すぎる」




609 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 13:19:41.15 ID:Lif4lqrb0
………………

止 「イル!! メイ!!」 バァン!!

メイ 「!?」 ガバッ 「な、なんですか止様!? 騒々しい!」

イル 「ん……とまる……?」

止 「良かった……無事か……」 ハァ

シィ 「さすがにそれくらい分かってるって。まだ建物内には誰もいないよ」

止 「シィ……ったく、びびらせんなよ」

シィ 「……まぁ、もう近くまで来てることはたしかだろうけどね」

シィ 「メイ、戦闘の準備だ。これだけ言えば分かるね?」

メイ 「………………」 コクン 「……了解致しました、シィ様。イル、着替えますよ」

イル 「……? なにか、はじまるか? みんな、ちょっとこわい……」

メイ 「大丈夫ですよ。ちょっとしたお仕事をみんなで片づけるというだけですから」

――――――ッドォォオオオオン……!!




610 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 13:23:49.20 ID:Lif4lqrb0
止 「……!? 玄関の方か!!」 ガチャッ

シィ 「ははっ……わざわざ入り口から来るとは、律儀な暗殺者じゃないか」

シィ 「だが、相手が一人とは限らない。気をつけろよ、止」

止 「分かってるさ」 フッ 「……学園都市の上層部が動かす相手と敵対、か」

止 「これで俺たちは完全にテロリストだな」

シィ 「何を今さら……」 カチッ 「……思い出深いこの本拠を壊すのは忍びないが――」 ……ポイッ

シィ 「――耳をふさげ、止!!」

……ッドォォォォォォオオオオオオン!!!


イル 「さっきから、このバクハツみたいなsoundは、なんだ?」

メイ 「……何でもありませんよ」 ニコッ 「イルは、ちょっとここに隠れていてくださいね」




611 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 13:27:31.82 ID:Lif4lqrb0
……モクモクモク……

止 「……やったのか……?」

シィ 「……分からない。だが、これで終わりとはとても思えない……」

メイ 「シィ様、止様――」

………………ユラリ――

メイ 「――ッ!? まさか……そ、そんな……」

シィ 「ッ……なぜ、こんな、馬鹿げた奴が……」

止 「あれは……ははっ、おいおい、嘘だろ……?」

? 「――ったくよォ、こっちは暗殺なンてクソくだらねェお使い頼まれて不機嫌なンだ」

? 「その上にクソみてェに意味のない攻撃なンて、本当にカンベンしろよ、オイ」

? 「あン……? ハハッ、人の顔見て随分な反応じゃねェか。俺の顔に何か付いてンのか?」

一方通行 「――この学園都市第一位の顔によォ」




612 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 13:40:47.10 ID:Lif4lqrb0
止 「ッ……」 (写真で見たことはあるが……これが、本物の、学園都市第一位……一方通行……!) ブルブル

止 (勝手に手が震えやがる……ッ)

止 (こんな馬鹿げたヤロウを操る……? 昔の俺は本当にバカなことを考えてたもんだな……!)

止 (違う……コイツは何かが違う。コイツは、そもそも俺たちと同じ土俵に立ってない)

止 (ただ相対しただけで、それすら分かってしまう)

止 (コイツは本物の……バケモノだ)

イル 「め、メイ、シィ、……と、とまる……!」

止 「……!?」 クルッ 「バカ野郎! 出てくるな!」

一通 「あン……? 金髪、壁眼、女……オイオイ、本気かよ」

一通 「ってことは、あのガキが俺のターゲットってことか?」

メイ 「くっ……やらせません! 絶対に、誰にも、イルをやらせません!!」

メイ 「たとえあなた様が誰であろうと……学園都市の最強を司る第一位であるとしても!!」

メイ 「絶対に……イルの笑顔を奪わせはしません!!」

シィ 「………………」 スッ 「……そうだね。その通りだ」

シィ 「僕らは絶対に負けない。負けられないんだ。イルを、仲間を奪われるわけにはいかないから」




613 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 13:48:43.42 ID:Lif4lqrb0
シィ 「……メイ、イルを連れて逃げろ」

メイ 「し、しかし……」

シィ 「君以外の誰にイルが守れる? 早く行くんだ! あんな大物の相手、イルを気遣いながらなんて無理だ!」

止 「………………」 ギリッ 「……そうだ。早く行け!!」

メイ 「っ……!」 ガシッ 「イル……行きますよ!」

イル 「シィ! とまる!」

メイ 「……止様、シィ様、ご武運を……!!」 ダッ

一通 「………………」 チッ 「……ケッ、行かせると思うか?」 ゴォッ――

シィ 「――それはこっちのセリフだよ、第一位。やらせると思うか?」

キィィィィィィィィ……シュン!!

一通 「ッ……なンだこりゃ。立方体?」

シィ 「たとえ君があらゆる運動を制御するベクトル変換能力を持っていようと関係ない……」

シィ 「たとえどんなに莫大な力学的エネルギーを作り出したとしても、僕の 『立法牢獄』 は破れない!」

シィ 「僕らの安寧、幸せ、笑顔……そのためにここで消えろ! 学園都市第一位、一方通行!!」

一通 「………………」 ニィ 「……へェ、いい顔だ」 ピトッ




614 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 13:55:34.36 ID:Lif4lqrb0
一通 「なるほどな。念動力の力場を利用した壁か。こりゃ確かに物理攻撃に対しては無類の強さを誇るだろうな」

シィ 「それだけじゃない! そのまま潰れろ!」 キィィィィィ……――――

一通 「――……ハハッ、イイなァ、その顔。だが、残念」

――パリン

シィ 「……!? なっ…… 『立法牢獄』 が……!」

一通 「浅いな。実に浅い。その程度の 『自分だけの現実』 領域で、俺を殺すつもりだったのか?」

一通 「悪ィが、お前の能力そのものを逆算させてもらった」

一通 「発現している念動力の力場そのもののベクトルを変換し、破壊したってわけだな」

シィ 「ば、バカな……超能力そのもののベクトルを、機材もなく解析したっていうのか……!?」

一通 「簡単なことだ。手ェ触れりゃ分かる」

シィ 「ば……バケモノか……」

一通 「あァ、全くそのとォりだよ」 ゴォッ!!! 「――俺はバケモノだ」

ドガッ――

シィ 「かはッ……!!?」 ――ドン!!

一通 「……その程度じゃ俺には届かねェな」




615 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 13:58:08.06 ID:Lif4lqrb0
止 「っ……」 (レベル4のシィを一瞬で撃破……くそっ、瓦礫を蹴飛ばしただけであの威力かよ!)

止 (こんな奴に……レベル4を瞬殺するような奴を相手に、レベル3の俺に一体何ができるんだよ……)

一通 「………………」 ニィ 「……さて、さっきのガキをサクッと殺しに行くか」

止 「ッ……!」

―――― 『ガキちがう。イル』 ―― 『とまる、ゼッタイ、ジンセイ損してる』

―――― 『……アゴ、引く。そえる手、いしきする。ショウジュン合った、おもったら、もう、shot!』

―――― 『イル、自分の未来みること、できない。けど、わかる。きっと、イルは死ぬ』

―――― 『……だから、とまるは生きて』

―――― 『――とまるは、生きて』

止 「………………」 ギリッ 「ッ……!! くそがッ……!」

―――― 『――おまえを死なせない。俺はおまえを絶対に死なせやしない。俺がおまえを守る』

止 「言ったじゃねぇか……俺が言ったんじゃねぇかよ!! 守るって……死なせないってよぉ!!」

止 「……俺が言ったんじゃねぇかよ!! たとえ、そう、たとえ相手が誰であろうと……俺が守るって」

一通 「………………」 ニィ 「……へェ」

止 「……来いよ、学園都市第一位。俺がお前をぶち殺す……ッ!」




616 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 14:02:01.94 ID:Lif4lqrb0
一通 「……ハッ、物言いはただ喚くだけのスキルアウトのチンピラと同じだな」

一通 「だが、その覚悟は悪くねェな。オマエら全員、それなりの悪党みてェだ」

止 「ッ……上から目線で物言ってんじゃねぇよ第一位ぃぃぃぃぃぃいいいいいいいいいいいッ!!!」

キィィィィィィィン……!!!

一通 「……? 何だこりゃァ」

止 (俺の能力は一方通行のベクトル変換能力とはまるで関係のない、ESP系列の能力……!!)

止 (やれる……やれるさ! 白井を操ったときのことを思い出せ……)

止 (圧倒的な演算能力を持つ相手を操った、あの瞬間を思い出せ!!)

一通 「ッ……嫌な感じだ。頭の内側を撫でられているような」

止 「……演算式組み立て、完了。お前の脳髄を支配する! 一方通行!!」

キィィィィィィィィィィンンンン!!!!!




617 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 14:08:54.52 ID:Lif4lqrb0
止 (糸口は見つかった……やれる! やれる! やるんだ!!)

止 (学園都市第一位を操り、それで、『ボックス』 を守ることが――)

キィィィィィィィ……バジッッッ!!!

止 「……!!?」 ガクッ 「がっ……がはッッ!?」

止 「な、なんだ……? 演算式に、不全……? 俺の脳に、ダメージのフィードバック……?」

一通 「……なるほどな。“お前の脳髄を支配する” か。さしずめ、オマエは人形師ってトコか?」

一通 「人様の脳を操って、身体そのものを支配する……ってことか」

一通 「今の感じだと、俺の運動領域と演算領域を支配する能力のようだが……ハハッ、」

止 「お前……なぜだ!? 何故……お前の脳髄に、支配する場所がないんだよ!?」

一通 「……悪ィな。俺にその能力は通用しねェ」

止 「なん、だと……?」

一通 「ちょっとした事件でな、俺はいま脳の演算能力の大部分を失っている」

一通 「だがまァ、何にでも裏技はあるモンだな。余所に代理演算頼めば、この通り能力にも支障はねェ」




619 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 14:22:21.95 ID:Lif4lqrb0
止 「代理演算……まさか、お前……脳を損傷して――」

一通 「そのとォり。俺の脳髄単体じゃ、もう俺の身体を満足に動かすこともできねェよ」

止 (ッ……!! 余所での代理演算……だから、脳髄へのリンクが強制的に切断されたのか……)

一通 「……ま、そもそも、俺の脳髄が正常であったとしても、オマエが俺の脳を御し得たかは甚だ疑問だが」

一通 「とりあえず、俺の弱体化は、お前にとっては最悪の出来事だったってワケだな」

止 「くっ……」 (くそっ……さすがに、代理演算をしている何かを支配することは、俺にはできない……)

一通 「……じゃあな、エスパー。抵抗する気がないンならそこにいろ。余計なモンまで殺す気はねェ」

止 (コイツは、レベル5……俺はレベル3。そして、俺の強能力は超能力者を前に何の役にも立たなかった……)

―――― 『それでも……そうじゃねぇだろう!? なぜ戦うのかなんて、単純な “強さ” の問題じゃねぇだろう!?』

止 「………………」 ギリッ 「……行かせるかよ」

一通 「あン?」

止 「能力なんか関係ない…… “強さ” なんか関係ない……」

止 「立ち向かうと決めたから、立ち向かうだけだ。守ると決めたから、守るだけだ」

止 「俺の戦う理由は、お前の “強さ” なんかで揺らぎはしないんだよ!!」 ダッ




620 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 14:27:19.52 ID:Lif4lqrb0
一通 「………………」

ニタリ

一通 「イイなァイイなァイイなァ!!! イイ顔してるぜオマエ!!!」 ドッ!!!

止 「ウォォォォオオオオオオオオオオオ!!!」 ブゥン

一通 「ハハハハハハハハハハハッ!!」 ブゥン

止 (死ぬ……はは……死んだ、な)

――キィィィィィ……シュン!

ギィィィィィィン!!!

止 「……ッ!? 立方体……!?」 (一方通行の拳を防いだ……?)

一通 「ッ……?」 ニヤリ 「手のひらサイズの立方体、ってか? こんなンでこの一方通行の毒手を防ぐとはな」

一通 「こんなチャチなモンでも、力学的エネルギーのみに重点を置いてる時には弾かれる、か」

一通 「なるほど。イイ能力だ」

シィ 「………………」 ユラリ 「……そりゃどうも。学園都市第一位に褒められるとは、光栄の極みだよ」




621 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 14:32:33.38 ID:Lif4lqrb0
シィ 「……止、少しは冷静になれ。あの第一位を殴ったところで、そのダメージが君に戻ってくるだけだ」

シィ 「まともに戦って勝てる相手じゃない。いや、どう戦っても勝てる相手じゃないと言うべきかもしれないけどね」

止 「ッ……だが、勝たなきゃイルが死ぬんだぞ!」

シィ 「分かってるさ。だから勝つ」 フッ 「だがそれは君の仕事じゃない。君の能力では一方通行には届かない」

止 「シィ……?」

シィ 「逃げろ、止。コイツは僕が引き受ける。君はメイとイルを追え」

止 「な……俺にお前を置いて逃げろって言うのかよ!!」

シィ 「そうだ。そしてメイとイルを守ってくれ」

止 「っ……」

シィ 「………………」 ニコッ 「そんな顔をするなよ。何も死ぬ気ってわけじゃない」

シィ 「僕にだって勝算くらいあるさ。心配ないよ」

シィ 「だが生憎と、君を守るほどの余裕は僕にはない。だから先に行ってくれ。僕もすぐに後を追う」

止 「………………」 ギリッ 「っ……本当に勝算があるんだろうな?」

シィ 「もちろん。僕を信じてよ」

止 「……分かった。俺は二人を追う」 ザッ 「死ぬなよ、リーダー……!」




622 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 14:35:12.93 ID:Lif4lqrb0
シィ 「ふふ……リーダー、か。そう呼ばれるのも悪くないね」

シィ 「……とりあえず、ありがとうと言っておこうか、一方通行」

シィ 「わざわざ待っていてくれるなんて、存外と律儀なんだね」

一通 「ハッ……一流の悪党ってのはな、無闇に焦ったりはしないモンなんだよ」

シィ 「なるほどね。けれど余裕をかまして相手にチャンスを与える悪党って、大抵は負けるよね」

一通 「間違いねェな。だったらそのジンクスどォり、俺を倒してみせろ」

シィ 「……なら、遠慮なく」 スッ

一通 「……?」

キィィィィィィィ……シュン

一通 「……立方体は……どこにも発生してねェな。失敗か?」

シィ 「そうだね。ある意味、これは失敗と言えるかもしれない」

シィ 「超ミクロな立方体しか生成していないからね」

一通 「……はァ、なるほどな。たしかにそれは “勝算” と呼ぶべきモンだ」

一通 「胸クソ悪ィな。人様の腹ン中に何勝手なモン作ってやがる」




623 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 14:38:17.86 ID:Lif4lqrb0
シィ 「そういう君こそ、僕らの家に無断で玄関を壊して進入して、どういうつもりだい?」

シィ 「そういう諸々の恨みを籠めて……さようなら、学園都市第一位。その慢心が命取りだったね」

キィィィィィィィ……!!!

シィ 「君のベクトル操作は表皮に接するものにのみ有効……! そのまま弾け飛べ!!」

一通 「……ハァ。学習しねェなァ、全くよォ」

――――――パリン

シィ 「……!? な……っ」

一通 「俺を内側から弾けさせるつもりだったのか……俺に言えたことじゃねェが、えげつねェ能力だな」

シィ 「な、何で……何で能力をキャンセルされたんだ!?」

一通 「バーカ。言っただろォが。俺はオマエの能力そのもののベクトルを解析し、『反射』 できるって」

一通 「オマエが立方体を作り、それを肥大化させる過程で、オマエは立方体を俺の腹ン中で操作していることになる」

一通 「立方体を生成するための念動力はどこを通る? 当然、俺の身体を通るってワケだな」

一通 「立方体を生成し大きさを変化させるためのオマエの能力――念動力そのものを弾いちまえばイイ」

一通 「――残念だったな。オマエの能力も、俺に対してはあまりにも無力だ」

シィ 「ッ……!!」 (これが、一方通行……学園都市第一位……何をも寄せ付けない、最強の存在……)




624 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 14:41:07.85 ID:Lif4lqrb0
一通 「………………」

シィ 「……それでも……ッ」 バッ 「それでも、僕は……彼女を守る……!!」

一通 「………………」

一通 「……飽きたな」 ザッ……

シィ 「は……?」

一通 「あン? まだ何かあるのか?」

シィ 「ど、どこへ行く気だ!!」

一通 「決まってンだろ? 帰るンだよ。これ以上付き合ってられるかよ」

シィ 「暗殺の仕事は、どうするつもりだ……?」

一通 「くだらねェ野郎に命令されたくだらねェオーダーなンて俺の知ったことかよ」

一通 「そもそもあんなガキの始末、わざわざこの一方通行がやるような仕事じゃねェんだよ」

シィ 「………………」

一通 「……それだけだ」 カチッ カツカツカツ……

シィ 「っ……すまない。恩に着る……」

一通 「……けっ、何の話か分からねェな」




625 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 14:44:07.76 ID:Lif4lqrb0
………………

一通 「………………」 カツカツカツカツ……

prrrrr……ピッ

?? 『まったく……あなたのワガママ振りにはそろそろ呆れを通り越して悟りを開けそうな気分ですよ』

一通 「文句垂れるだけなら他ァ当たれ。俺は忙しい」

?? 『オーダーを無視されるおつもりですか?』

一通 「なら言わせてもらうがな、そもそも俺はこの暗殺のターゲットがあンなガキだってことは聞いてねェ」

?? 『子供でないと言った憶えもないんですけどね』

?? 『特徴をそのままお伝えしたはずです。金髪、碧眼、女……とね』

一通 「……あンなガキを殺して上層部に一体何の得があるンだ?」

?? 『お答えする義務はありません。今からでも追跡して、早く子供を殺してください』

一通 「断わる」

?? 『……ペナルティが増えますよ?』




626 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 14:46:27.68 ID:Lif4lqrb0
一通 「ハッ……元々減らすつもりもないくせに良く言うぜ」

?? 『………………』

?? 『……まぁ構いませんよ。予想の範疇でしたしね』

?? 『あなたが “そうなる” だろうとは予測していましたから、他の人間を向かわせるように言っておきました』

一通 「………………」

?? 『……おっとしまった。こんなことを言うと、あなたはまた御坂美鈴のときのようなことをしてしまうのですかね』

一通 「………………」 ケッ 「……そンな気はねェよ。くだらねェ」

?? 『へぇ? 意外ですね』

一通 「………………」 フッ 「俺がわざわざ出張るまでもねェ」

?? 『……?』

一通 「……アイツらはそれなりの悪党だ。守るモンのために、全力で戦うだろうさ」

一通 「わざわざ俺が出る必要は、まったくねェよ」




628 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 15:14:48.85 ID:Lif4lqrb0
………………

イル 「……とまると、シィ、だいじょぶ、か?」 タタタタ……

メイ 「もちろんです。あのお二方が負けるはずがありません」

メイ 「シィ様はもちろん百戦錬磨でいらっしゃいますし、止様も……」

―――― 『戻る……絶対に、表の世界に……この幸せな世界に戻るぞ』

メイ 「……止様も、お強い方でいらっしゃいますから」

メイ 「きっと、誰よりも……わたしよりも、そしてシィ様よりも、お強い方でいらっしゃいますから」

メイ (そう……止様は本当にお強い。わたしやシィ様は、今の生活がただ漫然と続くことを望んでいただけ)

メイ (けれど止様は、戻ると言った。光当たる場所へ全員で戻ろうと、そう言っていた)

イル 「……そう、シィは強い。そして、とまるも強い」

イル 「だからだいじょぶ……きっと、ダイジョウブ」 ギュッ

メイ 「ええ、その通りです。あのお二人は決して負けはしませんよ」

―――― 『お前はここでだけは人を殺してはダメなんだ……!!』

メイ 「………………」




629 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 15:24:02.82 ID:Lif4lqrb0
メイ (そう、止様は……身を挺して、わたしの心を守ってくれた……本当に、お強い方)

メイ (アイちゃんとの思い出が残るあの場所で、わたしに人殺しをさせまいと、わたしを押し留めてくれた)

メイ (アイちゃん……あなたは今どこにいるのでしょうか。何をしているのでしょうか)

メイ (底の底まで落ち、何人と人を殺してしまった今のわたしを見たら、あなたは何と言うのでしょうか)

メイ (あなたはきっと……今のわたしに、あの笑顔を向けては――――)

? 「――――おや? 子供の暗殺って聞いてたから超楽勝とか思ってたら、またとんでもないオマケが付いてきましたね」

メイ 「……ッ!?」 バッ 「……暗殺者!」

メイ (一方通行だけじゃなかった……? くっ、学園都市上層部はそんなにイルを殺したいのですか!!)

? 「そう怖い顔をしないでくださいよ。超悲しい気分になります。まぁ、超嘘ですけどね」

メイ 「……? この物言い……」

カツカツカツカツ……

メイ 「なッ!!? ま、まさか、そんな……」

メイ 「何故……何故あなたがこんなところに!!? アイちゃん――――絹旗、最愛……」 

絹旗 「………………」 フッ 「なら、私も同じ質問をしましょうか? 何であなたがこんなところにいるんです?」

絹旗 「――お姉ちゃん? ……いえ、『ボックス』 構成員のメイドさん?」




630 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 15:34:00.22 ID:Lif4lqrb0
イル 「? メイ、あいつ、メイのこと、知ってる?」

メイ 「………………」 キッ 「……何故、あなたが……あなたが……」

絹旗 「……言っても超詮無いことです。私もあなたも今は暗部の人間。そして敵同士」

絹旗 「理由なんて、それだけで超十分じゃないですか」

滝壺 「……絹旗。お喋りがすぎる」

絹旗 「そうですね。超失礼しました。こんな任務、サクッと終わらせるに限りますからね」

絹旗 「懐かしい顔を見て、思わず饒舌になってしまったようです」

絹旗 「……では、さっさと終わらせるとしますか。一応確認しておきますが、その子を差し出す気は?」

メイ 「………………」 キッ 「……あると思いますか?」

絹旗 「ですよねー。でなければ逃げてはいないでしょうし」

絹旗 「……では超サクッとあのメイドを撃破します。滝壺さんはサポートをお願いしますね」

滝壺 「わかった」

メイ 「くッ……」 ギリッ 「……イル、ちょっと下がっていてください」

イル 「ん……。メイ……」 ジッ 「だいじょうぶ、か?」




631 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 15:39:38.44 ID:Lif4lqrb0
メイ 「……大丈夫ですよ」 ニコッ 「……わたしは絶対に負けません」

イル 「……わかった。メイ、がんばって」

絹旗 「………………」 フン 「……ねぇ、お姉ちゃん。知ってました?」

メイ 「……何を、です?」

絹旗 「私はね……あなたと笑顔で接していたあのときもずっと……」

絹旗 「あなたと超戦いたくて……いえあなたを超倒したくて仕方なかったんですよ」

絹旗 「……ようやくその思いが遂げられそうです」

メイ 「………………」 フッ 「ふふ……」

絹旗 「……何です? その超不愉快な笑みは」

メイ 「いえいえ。ふふ、アイちゃんは相変わらずですね」

メイ 「……ですが、忘れたのですか? アイちゃん、あなたは一度でもお姉ちゃんに勝てたことがありました?」

絹旗 「ッ……いつまで超ガキ扱いしてるんです?」

絹旗 「いつまで超お姉ちゃん面してやがるつもりです?」

メイ 「………………」

絹旗 「……私は強くなりましたよ。きっと、あなたよりもずっと」




632 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 15:48:03.19 ID:Lif4lqrb0
メイ 「……ふふ。なら、かかってきなさい、アイちゃん。お姉ちゃんが見てあげますから」

メイ 「ですが、あまり余裕はありません。今のわたしは……あなたを殺すことすら躊躇しませんよ?」

絹旗 「――超上等、です!」 ダッ

メイ 「ふふ……ふふふふふふふふ……」 ダッ

――――――ガッ…………ボボボボボボボボボオンンンンン!!

滝壺 (……絹旗の 『窒素装甲』 が、すごい速度で削られていく……)

滝壺 (書類によると、あのメイドは 『接触爆殺』 という触れたものすべてを爆破する能力を持っている)

滝壺 (絹旗の拳は爆発によって阻まれ、そしてメイドの拳は窒素の壁によって阻まれる)

滝壺 (このままだと、決着がつかない……?)

絹旗 「ははははははははっ! やっぱりです! あなたとの戦いは超楽しいです!!」

メイ 「ふふ……昔を思い出しますね。こうして “組み手” をしていましたからね」

絹旗 「ですが今は違う! 正真正銘の超殺し合いです!」

ガガガガガガガガガガ――――ドドドドドドドドンンンン!!!!




634 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 15:53:47.76 ID:Lif4lqrb0
滝壺 「……なら、仕方ない」 スッ 「絹旗は怒るかもしれないけど、わたしがあのメイドの能力を阻害する」

滝壺 「そうすれば、絹旗の、勝ち――」

? 「――やらせると思うか?」

滝壺 「……? あなたは、誰?」

? 「………………」 ケッ 「……最近、俺にも俺が誰だか分からなくなってきてるんだがな」

止 「今は少なくとも、止と、そう呼ばれている」

滝壺 「……邪魔をするの?」

止 「当たり前だ。この感じからすると、お前も俺と同じような能力者だろう?」

止 「……メイの邪魔をするんなら、まずは俺を倒してからにしろよ」

止 「この、『AIMドライバー』 をな」

滝壺 「……そう。分かった」 スッ 「それなら、本気で行く。『AIMストーカー』 で、まずはあなたを黙らせる」

止 「………………」

滝壺 「………………」

止 「……ドライバーを、そう簡単に捕まえられると思うなよ?」

滝壺 「……ストーカーから、そう簡単に逃げられるとは思わない方がいい」




636 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 15:59:07.42 ID:Lif4lqrb0
ギ……ギギギギ……ギィィィィギギギギィィィ………………!!!

止 (ははっ……ESP系列同士での戦い、か)

止 (またアイツのことを思い出しちまう……くそったれ)

止 (……だが、今度は負けない。今度こそ、負けるわけにはいかない)

止 (まずは目の前の女を、行動不能にする……!!)

メイ 「………………」 フッ 「……止様」

絹旗 「……余所見をしている暇があるんですか?」

ガッ――ッッッッッドオォォォオオオン!!!

メイ 「……なら逆に問いますが、この戦いに余所見も何も関係ありますか?」

絹旗 「……ふん、お互いに超難儀なことですね。『暗闇の五月計画』」

メイ 「まぁ、そうですね。そのおかげで、わたしたちは簡単には死ねない身体になりましたから」

メイ 「……そんなことより、心配ではないのですか? あの女の子、あなたの今のお友達なのでしょう?」

絹旗 「……友達というわけではありませんよ。いえ、まぁ滝壺さんのことは嫌いじゃありませんけどね」

絹旗 「そもそも心配する必要がどこにあります? あんな男、滝壺さんの敵ではありませんよ」

絹旗 「……滝壺さんが “か弱い女の子” に見えるからでしょうね。あの男、暴力に訴えようとしないじゃないですか」




637 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 16:03:36.90 ID:Lif4lqrb0
絹旗 「拳銃のひとつでも突き付けて超発射すれば、滝壺さんに防御手段なんてないのに」

絹旗 「敵が “か弱い女の子” だから傷つけない……そんな超甘い考えの人間に、滝壺さんの能力は崩せませんよ」

メイ 「……言うようになりましたね、アイちゃん」

絹旗 「いつまでそう呼ぶつもりです? いい加減、超不快なんですが」

ドガガガガガガガ……ッ!!!

絹旗 「ッ……私のことでもありますが、面倒な特性ですね」

メイ 「ええ、お互い様です。わたしの能力ではあなたの窒素の装甲しか爆破することができない」

絹旗 「反面、私の窒素を纏わせた拳はあなたの爆発に阻まれる」

メイ 「……ねぇ、アイちゃん。もう諦めてはくれませんか?」

メイ 「わたしはイルを諦めるつもりはありませんし、できることならあなたを殺したくもない」

絹旗 「……ふん、何を超今さらなことを言ってるんです? 私に入っているのは公式のオーダー、」

絹旗 「つまり、あの子供を守るあなたは、もう学園都市の敵……そちらこそ諦めてはくれませんか?」

絹旗 「私はあなたを殺すことを厭うつもりはありませんが、さすがにこの無益な戦闘にも超飽きてきましたから」

メイ 「ふふ……わたしを倒したいのではなかったのですか?」

絹旗 「そこまであなたに固執する意味もないと気づきました。あなたはただの反逆者です」




638 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 16:12:04.63 ID:Lif4lqrb0
キィィィィィィィ……

止 (支配しろ……支配しろ……目の前の女の脳髄を乗っ取ることだけを考えろ……)

滝壺 「………………」 ボソッ 「……おもしろい」

止 「……なんだと?」

滝壺 「こんなのは、はじめて。こんな風に、同じ土俵で戦うことなんて、一度もなかったから」

滝壺 「同じような能力の持ち主がいた……少しだけ、嬉しいかもしれない」

止 「……ッ、俺はお前の敵だぞ?」

滝壺 「たとえ何であれ、そう思っただけ」

キィィィィィィィ……

止 「余裕じゃねぇか。上等だ。俺はお前を支配する……!!」

滝壺 「………………」 スッ 「……解析、完了。あなたの能力の概要が分かった」

滝壺 「レベル3といったところ。ただ、大した能力だと思う」

滝壺 「……けど、相手が悪かった。あなたでは、レベル4の私には敵わない」

ビジジジジジジジ……!!!

止 「ッ!? な、何だ……?」




639 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 16:17:26.94 ID:Lif4lqrb0
キィィィィィィィ……――――――ビジジジジジジジ……!!!!

止 「ぐッ……! 『AIMドライバー』 のパスが、どんどん外されていく……ッ」

滝壺 「あなたはとて利口。能力使用も、まるで教科書のように綺麗」

滝壺 「けれど、だからこそつけ込みやすい。お手本どおりでは、足りない」

滝壺 「……お手本どおりでは、レベルを超えることなどできない」

止 「ッ……!!?」 ギリッ 「……負けない……負けられるか!!」

キィィィィィィィ……

滝壺 「……!? ここに来て、演算式に微妙な変化を与えてきたということ?」

滝壺 「……おもしろい。とてもおもしろい。あなたはとても優秀なひと」

止 (強く! 速く! 強く!!)

キィィィィィィィ……

止 (相手の穴を見つけろ。レベル4を支配する、その方法を、策を、見つけ出せ)

止 (脳髄をフル回転させろ。演算能力はまだ上げられる。脳のネットワークが焼き切れるまで演算しろ)

止 (相手は何枚も上手の同系統能力者。考えろ。どうすればコイツを超えられる?)

止 (どうすれば、アイツらのようにレベルを超えられる? ……その方法を考え出せ)




640 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 16:23:00.66 ID:Lif4lqrb0
滝壺 「……すごくいい悪あがき。ストーカーから逃げようとしているドライバー、とても速い」

滝壺 「けれど、やはりそれでは足りない。優秀なだけでは、レベルを超えることはできない」

滝壺 「科学でしか計れない優秀さ程度では、科学に裏打ちされたレベルを超えることは、できない」

ビジジジジジジジ……バジッッッッ!!!

止 (ッ……また、俺の 『AIMドライバー』 が押し返されている……!)

止 (それだけじゃ、ない……俺の方に、あちらの攻撃が通ってきている……)

止 「ぐッ……」 ガクッ (俺は……)

止 (俺には……アイツらのように、レベルを超えることなどできないのか……?)

滝壺 「……あなたの 『自分だけの現実』 領域に侵入した」

滝壺 「それ以上の能力使用は危険。誰にとっても得にはならない」

止 「ッ……うる、せぇ……!」

キィィィィィィィ……

滝壺 「………………」 スッ 「……だから、危険だと言っている」

――バジッ!!!

止 「がッ……!? く、ッ……!!?」




641 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 16:30:02.87 ID:Lif4lqrb0
滝壺 「……無理をするから、あなたの脳髄がショートした」

滝壺 「今のあなたには、能力を使用するほどの集中力は残されていない」

滝壺 「……さようなら、ドライバー」 フッ 「やはりストーカーからは、逃げられなかった」

止 「………………」

イル 「……とまる!!」

止 「………………」

メイ 「ッ……止様!!」

絹旗 「……ほら、言ったとおりでしょう? あんな弱々しい奴に、滝壺さんは負けません」

メイ 「……わたしの仲間を愚弄するというのなら、いいでしょう」

メイ 「アイちゃん、どんな方法を使ってでも、わたしはあなたを殺す」

絹旗 「へぇぇ……懐かしい。あなたは怒るといつもそんな目をしていましたね」

絹旗 「ですが、もうあなたのその目は怖くありません。私も大きくなりましたからね」

絹旗 「……こちらとしても、いい加減飽き飽きしているんですよ」

絹旗 「さっさと決着をつけましょう。今から私はあなたを殺す。その方法はもう見つけましたから」

メイ 「……?」





642 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 16:38:24.83 ID:Lif4lqrb0
ヒョイッ

メイ 「……石ころ? そんなものをどうするつもりです?」

絹旗 「石ころって……これ、先ほど私たちの戦いの余波でできた、超大きいコンクリート片ですよ?」

メイ 「わたしたちにとっては大きさなど関係ないはずですが?」

絹旗 「たしかに超その通りですけどね」

メイ 「そんなもので、わたしの 『接触爆殺』 を突破できるとでも?」

絹旗 「さぁ? それはやってみないと分かりません」

――――ダッ

メイ 「……? コンクリート片を持って向かってくる……一体どういうつもりでしょうか」 スッ

メイ 「たとえどんなもので殴ろうと、わたしの 『接触爆殺』 は万物を爆発させますが?」

絹旗 「………………」 ブゥン 「……超砕けろ!!」

バゴッ!!

メイ 「……!?」 (コンクリート片を、地面にに投げつけ――まさかッ!?)

ゴバッ……!!!! ドゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!

メイ 「がッ……!!!?」




645 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 16:42:47.91 ID:Lif4lqrb0
メイ 「――アアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァッッッ!!?」

イル 「め、メイ!!!」

絹旗 「……やはり、あなたの能力には穴がある」

絹旗 「そもそも、あなたの能力は私の 『窒素装甲』 とは超別物です」

絹旗 「あなたは私のように窒素をその身に纏わせるわけでも、誰かさんのようにベクトルを変換できるわけでもない」

絹旗 「誰かさんの 『反射』 の演算式は、私の自動防御にはそれなりに役だってくれていますが、」

絹旗 「あなたの 『接触爆殺』 には超似つかわしくありません」

絹旗 「爆発させるという複雑な能力では、防御性能が低いということが分からなかったんですか?」

メイ 「ッ……ぐッ……」

絹旗 「……あなたの爆発能力には限界がある。同時に多数のものを爆破できないのですね」

絹旗 「ならば 『自動爆殺』 の許容量を超える数の攻撃を同時に与えればいい」

絹旗 「……バラバラに砕けたコンクリートの弾丸を、あなたは防ぎきれなかった」

絹旗 「それがあなたの能力の穴……あなたの超弱点です。ショットガンなどには勝ちようもありませんね」

メイ 「ッ……やるように、なりました、ね……」 ズッ

絹旗 「おやおや、ボロボロの身体でまだ立ちますか。超滑稽ですね」




646 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 16:46:24.68 ID:Lif4lqrb0
メイ 「笑いたいのなら、笑いなさい……ですが、イルはやらせません……」

絹旗 「………………」 ヒョイッ 「……ならもう一発。超吹き飛べ」 ブゥン!!

ゴバッ……!!!

メイ 「がッ……!!!」 ガクッ……バダン

絹旗 「……ふん、超他愛もない。こんな程度でしたか、“お姉ちゃん”」

メイ (……ダメ、痛い、身体、動かない)

メイ (わたしの、負け……?)

メイ (わたしの負け、それは即ち、イルの、死)

メイ (イルの……死?)

メイ (イルが、死ぬ?)

メイ (死ぬ……死ぬ……死ぬ……イルが死ぬイルが死ぬイルが死ぬイルが死ぬ――)

――――――マタ、ヒトリボッチ

メイ (嫌、ぁ……ぁぁ……嫌……)

メイ 「イヤぁぁぁあああああああああああああああああああああああああああああッッ」 ガバッ

バジジジジジ……ドドドドドドドドン!!




648 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 16:54:29.56 ID:Lif4lqrb0
絹旗 「……? 何です?」

滝壺 「……どうやら錯乱状態のよう。能力の暴走が始まり、周囲の空気を無差別に爆発させている」

止 「メイ……! ぐッ……」 ズッ (動け……俺の身体……!)

イル 「……メイ!!」 ダッ

止 「!? や、やめろイル! 戻れ!」

イル 「……メイ、」

止 (この感じは……何だか分からないが……まずい!!)

止 「イル! 戻れ!! メイから離れろッッ!!」

イル 「……メイ……だいじょうぶ――」 ピタッ――――


――――――――ッドォォン!!!




ビチャッ




649 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 16:58:38.28 ID:Lif4lqrb0
止 「………………」 クタッ 「……嘘、だろ……?」

絹旗 「ッ!? な、何故……何故、あの女の子の手が、爆発、したんですか?」

滝壺 「………………」 スッ 「……能力暴走の、これが結末」

イル 「へ――ぇ――――ぁ――」

ブッッシャアァァァアアアアア……!!!

止 「……イルぅぅぅぅぅぅぅうううううううううううううう!!!!」 ダッ

イル 「………………」 パタリ 「……とまる、イル、手、爆発、」

止 「イル……イル!! イル!!!」

止 (くそッ! 右腕の二の腕から先が……) ビリッ ギュッギュッ

止 (ッ……止まらない……どんなにきつく縛っても、血が全然止まらない……)

止 (いや、諦めるな……直接圧迫すれば、きっと止められる……)

止 (傷口がグチャグチャだ……こんなの……こんなの……!!)

メイ 「………………」

メイ 「い、る……?」




650 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 17:03:12.97 ID:Lif4lqrb0
メイ 「イル……何で、そんなに血まみれなんですか?」

メイ 「ねぇ、何故ですか? 何故、そんなに、死にそうなんですか?」

――――――オマエガヤッタンダ

メイ 「……うそ」

――――――オマエガコロシタンダ

メイ 「うそですよ」

――――――オマエガ、コロスンダ

メイ 「うそ……嘘だッッ!! わたしは……わたしは……」

メイ 「わたしは……だって、もう、誰も殺したく、なくて……」

メイ 「……………………はは…………はははは……は」

絹旗 「……もう超グダグダですね。超笑えないくらい超可笑しいです」

止 「ッ……」

絹旗 「今さらどうするつもりですか? あなたの能力は私たちには届かない」

絹旗 「そこのメイドは戦意喪失。そして肝心のターゲットはもはや瀕死」

絹旗 「というか、さっさと楽にしてあげましょうよ。見てるこっちが超痛くてたまりません」




651 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 17:12:52.92 ID:Lif4lqrb0
イル 「………………」 ドクドクドク……

止 「く……ッ……それでも、俺は……」

絹旗 「――それはあなたの超ワガママです。そんなもので何の罪もないその子を超苦しませるつもりですか?」

止 「それを言うなら、お前たちは――」

絹旗 「ええ。私たちは私たちのためにその子供を殺します。あなたたちのように、超無駄な感情はないです」

止 「………………」 ギリッ 「……まだだ」

止 「まだ終わっちゃいない!! 俺はイルの命を諦めない!!」

止 「……メイ」

メイ 「ふふ……………………はは……ふふ……………………」

止 「………………」 スゥ 「……メイ!!!!」

メイ 「は……? ああ、止様……一体なんです?」 ポー

止 「………………」 ギリッ 「……イルを頼む。お前は逃げろ」

メイ 「逃げてどうするんです? 逃げてどうするんです?」

止 「イルを守るんだ。助けるんだ」




652 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 17:19:12.01 ID:Lif4lqrb0
メイ 「無理ですよぅ……もう、何もかも、どうにもならないです」

メイ 「わたしがイルを殺したんです。殺すんです。ふふ……もう何もかもどうでもいい」

メイ 「わたしはまたひとりに戻るんです。わたしはまた、大切なものを壊してしまいましたから」

メイ 「ふふ……あははうふふえへへへ………………ははは……」

止 「………………」

止 「……そうか。よく分かった」

止 「なら、今からお前の目を覚まさせてやる」

ピトッ――――

――――――ッドォォン!!!


ビチャッ


メイ 「えっ……?」




653 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 17:27:13.81 ID:Lif4lqrb0
絹旗 「な……! あの男、自分の指を――!?」

止 「ぐッ……目は、覚めた、か……?」

メイ 「!? と、止様!!」 ガバッ 「指、が……」

止 「たかだか小指一本だ……というつもりだったんだが、はは……薬指まで巻き込まれたか」

メイ 「な、何故こんなことを!!」

止 「――能力を制御しろ。お前の 『自分だけの現実』 を再確認しろ」

止 「お前が爆発させてはいけないものを思い出せ。何を爆発させ、何を守るのか、それを思い出せ」

止 「その手に抱くべきものを思い出せ。その温かさを思い出せ」

メイ 「………………」

メイ 「……わたし……わたし、は……」

メイ 「………………」 キッ 「……はい、大丈夫です」

止 「………………」 フッ 「それでいい。小指や薬指の一本二本、安いもんだ」

止 「……イルを頼む。どちらにでもいい。早く逃げろ」

メイ 「はい……」 ギュッ 「イル……ごめんね……」

イル 「ハッ……ハッ……ッ……」




654 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 17:40:00.90 ID:Lif4lqrb0
絹旗 「………………」 フゥ 「……私たちのことを超忘れては――――」

――サッ ガチャッ パァン!!

止 「……チッ、効かねぇか。嫌な能力だな」

絹旗 「へぇ……? 超プリティなこの絹旗最愛に、何の躊躇いもなく引き金を引きましたか」

絹旗 「……滝壺さんではなく私、というところに超カチンと来るものはありますが、」

絹旗 「いいでしょう。その覚悟は認めます。ですがまぁ、私にそんなちんけな弾丸なんて効きませんがね」

? 「――なら、こういう立方体ならどうだろうか」

キィィィィィィィ――

滝壺 「……!? 絹旗、避けて!」

絹旗 「ッ!?」 サッ

――――シュン!!

絹旗 「立方体……? なるほど、『ボックス』 リーダーのお出ましというわけですか」

シィ 「ふふ、その通り。さすがはレベル4。あの状況で初撃を避けるとは」

止 「シィ!!」

シィ 「ごめん。ちょっと遅くなった……ッ、イル……」




655 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 17:44:56.59 ID:Lif4lqrb0
シィ 「……止、二人を連れて早く逃げろ。ここは僕が引き受ける」

止 「だ、だが! お前は今、一方通行とやり合ったばかりじゃ――」

シィ 「何故だか知らないが見逃してくれたよ。とにかく早く逃げるんだ」

シィ 「心配するなよ。レベル4が二人程度……僕の敵じゃない」

止 「ッ……分かった。絶対に、死ぬんじゃねぇぞ!!」 ガシッ 「メイ、イルをしっかり抱えてろよ!!」 ダッ

メイ 「シィ様……すみません……」 ダッ

絹旗 「………………」 フゥ 「……次から次へと、まったく、超面倒臭いです」

絹旗 「しかし、さっきの言葉は超聞き捨てなりませんね。レベル4二人程度は敵じゃない、ですか」

絹旗 「なら、早速やってみてもらおうじゃないですか」

滝壺 「………………」 スッ

シィ 「………………」 フッ 「……ねぇ――――」




656 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 17:53:37.74 ID:Lif4lqrb0
………………廃ビル内

メイ 「っ……うっ……ぐっ……」

メイ 「ダメ、です……血が、止まりません……」

イル 「………………」 ハァハァハァハァ……

止 「もっと強くだ! 傷口を直接圧迫しろ!!」

メイ 「やってます!! それでも……っ……血が、止まらない……」

止 「……病院に連れて行くしかない。一刻も早く、だ」

メイ 「しかし!! そんなことをすれば、すぐさま暗部の追っ手がやってきます!!」

止 「だがこのままではイルが死ぬんだ!!」

イル 「………………」 ゼェ、ゼェ…… 「……と……い……め……」

メイ 「えっ……? 何ですか?」 ガバッ

イル 「…………ケンカ、しては、だめ……」

イル 「……パパ、悪いことした。だから、イル、報い受ける。当然のこと。メイととまるが苦しむ必要、ない」

イル 「わら、って……メイ、も……とまる、も、わらって、いた……方が、いい」




657 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 17:58:00.29 ID:Lif4lqrb0
止 「………………」 ガン!!! 「……何でだよ……!! 何でなんだよ!!」

止 「誰か……誰か、助けてくれよ……頼むッ!!」

止 「103でもいい! 上条でもいい! 『超電磁砲』 でもいい……!! 誰か……誰か……」

止 「助けてくれよ……お前らはヒーローなんだろ……? 何で、来てくれないんだよ……」

止 「何で、自分が死にかけてるっていうのに、他人の心配をするような、優しい子が……」

止 「何で、死ななきゃならないんだよ……何で、こんな理不尽なことになるんだよ……」

止 「……誰か……誰か、助けてくれよ……」

………………ザリッ……

止 「……!?」 ギリッ 「表に、人の気配……」

止 「………………」 (……はは、現実逃避をしている暇もないってことか……)

メイ 「……止様」

止 「……ちょっと待ってろ。確認してくる。お前は止血に集中していろ」




658 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 18:07:36.20 ID:Lif4lqrb0
………………

止 「……? シィ?」

シィ 「……やぁ。そこにいたのか」 ニコッ 「探したよ」

止 「シィ……? お前、」

シィ 「どうしたんだい? ああ、あの二人なら撃退したよ」

シィ 「言っただろう? 僕にとって、レベル4が二人なんて、大したことはないよ」

止 「………………」

シィ 「……? どうしたんだい、止」

止 「………………」 ギリッ 「――お前は誰だ?」

シィ 「お、おいおい、何を言ってるんだ? 僕はシィだ。C3だよ」

止 「……違う。お前がC3であるはずがない!!」

シィ 「………………」 ニコッ 「……君が何を言っているのか分からないよ、止」

止 「なら聞くが……何で……」 ギリッ 「――何でそんなに殺気を纏ってるんだよ!!!」

シィ 「………………」

シィ 「……ふふっ……まったくさぁ、何で分かっちゃうかなぁ」




659 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 18:14:13.93 ID:Lif4lqrb0
止 「――ッ……お前!」

シィ 「……まったく……無駄に勘が良い奴だよ、君は」

止 「シィ……ッ――」

シィ 「――イルは僕が殺す」

止 「ッ……!? お前、今なんて言った!!」

シィ 「騒ぐなよ――102。学園都市のオーダーを遵守し、イルを殺すと言っただけだ」

止 「お前……どういうつもりだ!!」

シィ 「学園都市上層部と取り引きをした。『ボックス』 はテロリスト指定されていたそうだが、それを下げさせたよ」

シィ 「上層部にとって 『ボックス』 はそこまで強大な戦力というわけではない」

シィ 「だが、だからといって簡単に切り捨てていいというほどの戦力でもない」

シィ 「だから、イルを 『ボックス』 内の人間――即ち僕が殺すことによって、」

シィ 「……今回の行動に関しては目を瞑ってもらうようにお願いした」

シィ 「僕がイルを殺せば、『ボックス』 は明日からも、今までの日常を送ることができる」

シィ 「そこにはただ、イルがいないというだけだ。僕とメイと君……その日常が残る」




660 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 18:21:05.04 ID:Lif4lqrb0
止 「お前……そのためにイルを切り捨てるっていうのか!!」

止 「仲間だろ!? お前はイルの笑顔を守りたいんじゃなかったのかよ!!」

止 「お前は……自分だけが良ければそれで――」

シィ 「――黙れよド素人がッッ!!!」

止 「――ッ」

シィ 「……お前に何が分かる? 無理なんだよ。ここに表の法則は成り立たない。イルは絶対に死ぬ」

シィ 「だからせめて、僕は 『ボックス』 を守りたいんだ……」

止 「………………」 キッ 「……お前が守りたいのは、本当に 『ボックス』 か?」

シィ 「ッ……」

シィ 「………………」 フッ 「……ああそうだよ。僕が守りたいのは 『ボックス』 じゃない」

シィ 「僕はただ、メイを守りたい。ただそれだけだ」

シィ 「僕はメイのことが好きだ。愛している。こんな言葉じゃ語り尽くせないほど、求めているんだ」

シィ 「添い遂げられなくとも構わない……ただ僕は、メイの笑顔を、幸せを、平穏を、守りたいんだ」

シィ 「そのためだったら僕は……たとえイルであろうと、この手で殺す……」

シィ 「……なぁ、止、頼むよ。僕に協力してくれよ」




662 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 18:29:53.26 ID:Lif4lqrb0
シィ 「イルは僕が殺す。君は二人の居場所を僕に教えて、そこをどいてくれるだけでいい」

シィ 「……それだけで、明日からは今までどおりだ。平穏と馴れ合いの日々がある」

シィ 「メイの笑顔も、僕の笑顔も……もちろん、君の笑顔もそこにあるだろう」

止 「………………」 ギリッ 「……バカだな。底抜けのバカだ」

シィ 「な……!?」

止 「バカなのかお前は? いや、バカなんだな。こんな簡単なことに気づかないなんて、バカ以外の何者でもない」

シィ 「ッ……」

止 「何故わからない? 本当に気づかないのか?」

止 「残念だ、リーダー。お前にこんな簡単なことも分からなかったなんて、本当に残念だ」

シィ 「なんだと……?」

止 「……イルがいなくなった先に、本当にメイの笑顔があると思うのか?」

シィ 「ッ……!?」

止 「なぁ、想像しろよ。メイはイルがいなくなった未来に、一体何を見るんだろうな?」

止 「一体どんな生活を送れるんだろうな? あれだけイルを求めているメイは、一体どうなるんだろうな?」




664 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 18:52:59.96 ID:3DNPrAIX0
シィ 「……そんなことは関係ない! 僕はメイが生きていればそれだけで――」

止 「――ダウト、だ、シィ。メイが生きていればそれでいい……それはもはやメイのためでもなんでもない」

止 「お前の自己満足だよ」

シィ 「ぐッ……!!」

止 「おい、シィ。メイを守りたいって言うんならさ……好きな女を守りたいって言うんならよぉ!」

止 「――その女の大切な存在も一緒に守ってやるくらいの気概を持てよッッ!」

シィ 「………………」 チッ 「……残念だよ、止。交渉決裂のようだ」

止 「……言葉だけじゃ届かねぇか。仕方ねぇ」 グッ

シィ 「へぇ……僕と戦う気かい? レベル3の分際で? 指も二本なくしているっていうのに?」

止 「関係ねぇよ……そんなこと、関係ないんだ。俺は、とあるレベル1とレベル0からそれを教えてもらった」

シィ 「……ふん、くだらない。弱者の泣き言に耳を貸している間は、絶対に強くはなれないよ」

止 「はっ、小せぇな。本当に小せぇ。そんなんじゃ、アイツらには絶対に敵わない」

止 「――アイツらには、絶対に敵わない」

シィ 「………………」 フッ 「……では、そのアイツらとやらがここに来るのかい?」

シィ 「来ないよねぇ。そう、来ないんだよ。都合の良いヒーローなんて、ここには現れない」




665 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 18:54:21.67 ID:3DNPrAIX0
止 「その通りだ。アイツらはここには来ない。……だが、だからこそここに俺がいる」

シィ 「……なるほどね。どうでもいいや。さようなら、止。君のこと、結構好きだったよ」

キィィィィィィィ……

止 (来る……!!) バッ

シィ 「無駄だ!!」

――――シュン!!

止 「………………」

シィ 「……ふふ、どうやら僕の勝ちみたいだね。君は僕の 『立法牢獄』 の中。もう終わりだ」

止 「………………」 フッ 「……お前、実は結構限界だろ?」

シィ 「……? 何の話だい?」

止 「レベル5、そしてレベル4二人との連戦……途中で上層部との交渉に入ったとしても、かなり消耗しているはずだ」

シィ 「ははっ、だったら何だい? もうすでに僕の 『立法牢獄』 に囚われている君には関係のないことだろう?」

シィ 「たしかにこの立方体で、能力の使用は打ち止めだろうね……だが、今さらそれがどうかしたかい?」

止 「……ああ、それだけ分かれば十分だ」

――――パリン




666 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 19:05:33.36 ID:3DNPrAIX0
シィ 「なッ……!? なぜ……何故 『立法牢獄が』 崩壊した!」

止 「お前が言ってたんじゃねぇかよ。その能力の弱点」

―――― 『……僕の能力は、言うなれば、『とてつもなく硬いシャボン玉』 なんだよ。風船と言い換えてもいい』

―――― 『とても脆くて、壊れやすい……ただし、前提として物理攻撃が効かないから、そもそもダメージが与えられない』

―――― 『形成時、立方体の面にほんの少しでも異物が重なっていると、すぐに崩壊してしまうんだ』

シィ 「し、しかし……異物など、どこにも――」

――ヒラリ……

シィ 「ッ!? な……ま、まさか……それは……ッ」

止 「その通り。……解いた、長い長い包帯だよ」

―――― 『ちょっとすりむいただけだっていうのに、メイの奴が大げさに包帯なんか巻きやがって』

―――― 『それを見て真似したがるイルが包帯一巻き全部巻きやがって……』

止 「これを立方体形成の直前に真後ろに投げた。形成されるであろう立方体の面を貫くように、な」

止 「『とてつもなく硬いシャボン玉』 とはよく言ったもんだぜ。全くその通りだな」

止 「………………」 フッ 「……イルはもしかしたら、この未来も見通していたのかもしれないな」




667 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 19:08:31.50 ID:3DNPrAIX0
シィ 「――ッ!!」 サッ、ガチャッ――

止 「――やらせねぇよ」 ガチャッ――

――――パァン!!! ギィン!!

シィ 「ッ……!?」

シィ 「僕が拳銃を取り出したのに反応して、その拳銃だけを撃ち抜いたのか……ッ!?」

止 「……けっ、暗部に落ちてから毎日五時間、だ」 ダッ

シィ 「……!?」

止 「俺が拳銃の訓練をした時間だ……」 ザッッ!! 「能力頼みのお前とは、違うんだよッッ!!」 ブゥン

ドゴォォォオオッッッ……!!!

シィ 「がッ……!!」

――――バタン

止 「……けっ……努力しかできない優等生を舐めんな……」




668 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 19:13:15.20 ID:3DNPrAIX0
シィ 「ふふ……僕の負け、だね」 ゼェ、ゼェ…… 「守りたかった、んだけど、なぁ……」

止 「………………」

シィ 「効いたよ。君の拳と、言葉……」 フッ 「しかし何故、拳銃で撃たなかったんだい?」

止 「……決まってるだろう」

サッ……

シィ 「……? 何のつもりだい?」

止 「掴まれ。早く行くぞ」

シィ 「……君が何を考えているのか僕には皆目見当が付かない」

止 「―― “守りたかった”、じゃねぇよ。これから守るんだ」

止 「メイだけじゃない。イルも、お前もだ。そして、全員で光当たる場所に戻る」

止 「早く行くぞ」

シィ 「……ははっ……まったく、君は……」 ガシッ 「……君には一生勝てない気がす――」

――――ゴバッ!!!

シィ 「ッがッ……!!!」




670 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 19:17:28.60 ID:3DNPrAIX0
止 「!? お、おい!! シィ!!」

カツカツカツ……

? 「――ったく、こっちは構成員の不始末を補うために出てるっていうのに……」

? 「くだらない人間ドラマ見せてくれてんじゃないわよ」

止 (……!? な……アイツは……まさかッ!!)

シィ 「ぐッ……あ、あれは……」 ゼェ、ゼェ…… 「ははっ……今日はレベル5日和、なのかな……」

シィ 「――学園都市、第四位……レベル5の 『原子崩し』 ……麦野、沈利……」

麦野 「あらあら、今の一撃喰らって死んでないって……運がいいみたいね」

ニィ

麦野 「……まぁ、どうせ死ぬんだから運もクソもないか。はっはー」

ビジジジッ……バジジジッ……!!!

麦野 「……さーて、上からは仲間が討ち損じたときにターゲットを殺せって命令されただけだけど、」

麦野 「学園都市の裏切り者なんだもの。何人殺しても、構わないわよねぇ?」 ニタリ

止 「ッ……!!!」 バッ

キィィィィィィィン……!!!




671 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 19:20:49.53 ID:3DNPrAIX0
麦野 「あ? 何これ? 気持ち悪い」 スッ

――ゴバァ!!

止 「がッ――――!?」

麦野 「あっれー? おかしいな。昨日の 『原子崩し』 と少し違う気がする。なんか出力弱いなー。あっれー?」

止 「く……そッ……!」 ギリッ (能力をまともに行使する暇もないのか……!)

麦野 「へぇぇ……? まだそんな顔ができるんだ。面白い」

麦野 「……ふふ、その面白い顔、もっと見てみたくなったかも」 ニタリ

麦野 「どうせそのビルにターゲットを隠してあるんでしょ?」

麦野 「なら、そのビルごとぶっ壊してあげようか? そうしたら、あんたは一体どんな顔をしてくれるのかな?」

止 「なッ……や、やめろ!!」

麦野 「えぇーー?」 ニタリ 「い・や・だ――」

――――シュン!!




672 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 19:23:33.04 ID:3DNPrAIX0
麦野 「……あん? 何よこれは?」

止 「立方体……? シィ……!?」

シィ 「ははっ……なるほどね。まさかまだ立方体を生成する力が残っているとは……」

シィ 「これが、誰かを守りたいときの底力、か……」 フッ 「悪くない……悪くないな……」

麦野 「ああん!? 早く出しなさいよ!!」

シィ 「……止、メイとイルを連れて逃げろ」

止 「シィ……?」

シィ 「早く行け!! 麦野の能力は電子そのものを操る……つまり僕の能力を透過することもできるんだ!!」

シィ 「麦野自身は、僕が死んでも通さない。立方体を維持し続ける」

シィ 「――だから、行け……行くんだ!!」

止 「……ッ……」 ギリッ 「……くそッ……!!!」 ダッ

シィ 「ふふ……リーダーとしての、最後の命令だ……止、あの二人を……守ってくれ」

麦野 「……くだらない真似をしてんじゃないわよッッ!!! 死ねッッッ!!」

――――――――ゴバッ!!!!!




673 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 19:27:30.52 ID:3DNPrAIX0
………………

止 「――メイ、急げ!! 逃げるぞ!!」

メイ 「……止様……血が、止まりません……」

イル 「………………」 ゼェ………………ゼェ………………

止 「ッ……それでも、逃げるんだ……!」

――ブルルルルル……キキーーーッ!!

止 「車……?」

バァン!!

? 「メイさん、止さん、早く……!! 早く乗ってください!!」

メイ 「あなたは、下部組織の……」

人員 「早くッ!!!」

止 「っ……考えている暇はない! メイ!!」

メイ 「は、はい……」




674 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 19:33:59.86 ID:3DNPrAIX0
………………車内

止 「……何でお前がここに?」

人員 「聞いたんです。『ボックス』 がテロリストと認定されたから、私たちは違う組織に移ることになるって」

人員 「でも、それを聞いても下部組織の誰一人としてそれを認めようとしなくて……」

人員 「今も、みんなが他の追っ手と戦っています」

止 「そんな……何でそんな馬鹿げたことをした!!」

人員 「馬鹿げたこと、ですか?」 フッ 「たしかにその通りでしょうね」

人員 「でも、私たちはみんな、『ボックス』 の皆さんのことが好きなんですよ」

人員 「だから守りたい……メイさんも、シィさんも、イルちゃんも、止さんも……」

人員 「私は皆さんを運ぶ役目になりました。まずは病院へ直行します」

止 「お前……俺たちに協力して、タダじゃ済まないぞ?」

人員 「死も覚悟の上です。言ったはずですよ? 皆さんのために死ねるのなら本望です、と」




676 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 19:39:21.00 ID:3DNPrAIX0
メイ 「………………」 グスッ 「……止様、イルが……」

イル 「………………」

止 「くっ……失血し過ぎているのか。顔色も悪く、……呼吸も弱く、脈拍も弱い……」

メイ 「イル……イル……お願いです……あと、ほんの十分ほど、保ってください……」

イル 「………………」

止 「………………」 (俺は……)

―――― 『……けどね、102。それでも1は、足掻くことが、できるんだ』

―――― 『足掻いて、足掻いて……何かがあって、1が増えて、また1が増えて、そして、3に並ぶことを……』

―――― 『そんな奇跡を……待つことが、できるんだよ……!』

止 「……そこを退け、メイ」

メイ 「……? 止様……?」

止 「……ここにヒーローはいない。だが……足掻くことはできる。奇跡を待つことはできる」

止 「やってやるさ。俺は……絶対に、コイツの命を諦めない……!!」

―――キィィィィィィィィィィィィィィィン!!!!




677 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 19:42:34.71 ID:3DNPrAIX0
止 (対象の脳髄の完全支配を確認。随意運動の完全停止を実行……確認、継続)

止 (脳髄に対しての諸感覚器官からの電気信号の完全シャットアウトを実行……確認、継続)

止 (脳髄の演算システムの簡易・平均化を実行……確認、終了)

止 (脳髄のノイズの探査・除去……確認、実行)

止 (対象とのAIM拡散力場を介した接続率、100%で固定)

止 (パーソナリティに甚大な影響・被害を与える可能性があるが、今回に限り無視)

止 (…………対象の脈拍を低下……実行、確認、持続)

止 (対象の全身における心肺機能以外の不随意運動を停止……実行、確認、持続)

止 (――――対象を、速やかに仮死状態へ以降……実行、確認、持続)

止 (呼吸数激減……術者の随意により操作……実行、確認、持続)

止 (――――――――――……)

止 (……全操作を現状で維持)


メイ 「止様……?」 (すごい脂汗……これは、一体……)




680 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 20:13:08.40 ID:3DNPrAIX0

??? 『……む? これは…… 『滞空回線』 からの応答……?』

??? 『……………………………………』

??? 『……ほう、なるほど。面白い。“不随意運動の完全制御” か……』

??? 『脳髄の……いや、人体のすべてを完全に把握しきらなければ不可能な所業だ』

??? 『……なるほど。『AIMドライバー』 ……』

??? 『面白い……実に興味深い』




681 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 20:15:45.89 ID:3DNPrAIX0
………………病院 治療室

ピーッ、ピーッ、ピーッ……

イル 「………………」 スー……ハー……

? 「――まったく、深夜に突然尋ねてきたと思えば……酷い怪我だったね」

メイ 「はい……あの、イルは、本当に……?」

? 「大丈夫だと言っているだろう? 僕を誰だと思っているんだい?」

メイ 「お噂はかねがね……冥土帰し様」

冥土帰し 「……しかし、あんな小さな子どもが腕を一本なくすとは……なんとも悲しいことだね」

メイ 「はい……わたしの、せいです……」 グスッ

冥土帰し 「自分を責めても仕方ないさ。それに、何度も言わせないでほしいな」 フゥ 「僕を誰だと思っている?」

メイ 「……?」

冥土帰し 「あんな小さな子ども用の義手になんて、大した需要はない。どうせ学園都市は大したものを開発してはいないだろう」

冥土帰し 「だが、だったら大したものを僕が作るさ。安心してほしい。僕は患者が必要とするものはすべてそろえるからね」

冥土帰し 「あの子に不自由な思いは絶対にさせない。他の子どもたちと変わらぬ運動機能を取り戻してあげるさ」

メイ 「………………」 ジワッ 「はい……お願いします、先生……」




684 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 20:22:07.43 ID:3DNPrAIX0
冥土帰し 「しかし……あの怪我でよく生きたままこの病院に連れてくることができたね」

メイ 「え……?」

冥土帰し 「まるで、誰かが意図的に仮死状態にしたようだった……」

冥土帰し 「それによって細胞の活動が極限まで抑えられ、脈拍を低下することができたんだね」

冥土帰し 「そうなっていなければ、彼女はそのまま出血し続け、間違いなく失血死していただろう」

冥土帰し 「そう、まるで綱渡りだ……死なない極限のラインで、彼女の生命活動を抑え続けた」

冥土帰し 「それが結果として彼女の命をつなぎ止めたということだね」

冥土帰し 「……人為的に起こされた奇跡を、目の当たりにした気分だね?」

メイ 「………………」 コクン 「……はい、本当に」

冥土帰し 「ともあれ、もう遅い。この治療室に簡易ベッドを持ってこよう。君も休みなさい」




685 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 20:26:05.42 ID:3DNPrAIX0
………………病院廊下

止 「………………」 ギリッ

カツカツカツカツ……

止 「……やはり来たか」 スクッ

絹旗 「どうも、こんばんは」

滝壺 「……こんばんは」

止 「へぇ……お前らか。てっきり麦野が来ると思っていたんだがな」

止 「ま、誰でもいい。誰であろうとここは通さない……」

絹旗 「ここは深夜の病院ですよ? 超物騒なことを言わないでください」

止 「……?」

滝壺 「私たちは戦いに来たわけじゃない」 スッ 「……これを、渡しに来ただけ」

止 「これは……骨壺?」

滝壺 「……あなたたちが、“シィ” と呼んでいた人の、遺骨」

止 「ッ!!?」




686 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 20:30:55.58 ID:3DNPrAIX0
止 「ッ……くそっ……」 ギリッ 「シィ……」

絹旗 「……怒り狂った麦野さんの 『原子崩し』を喰らい続けて、ほとんど何も残っていませんでしたけど」

絹旗 「でも……あの立方体、彼が死んだ後も、数分は麦野さんを閉じこめ続けたそうですよ?」

滝壺 「……遺体、集められるだけ集めた。……もちろん、焼却処分をしたから、彼のDNAも残ってないけど」

止 「……何で、こんなことを……?」

絹旗 「……まず、伝言をさせてください。すぐに追って連絡がくると思いますが、」

絹旗 「―― 『ボックス』 に対するテロリスト指定は再度解除されました」

止 「な……なんだと!?」

絹旗 「そして、ヘレン・キングダムに対する暗殺命令も解かれました」

止 「何故だ……?」

絹旗 「さぁ? エドワード・キングダムは米国で今度こそ殺されたそうですし、」

絹旗 「そもそも人質に対して躊躇するなんて弱み、学園都市としては超見せたくはないはずですけどね」

絹旗 「……それでも命令は命令です。私たちはそれに従うだけですから」 クルッ 「それでは……」




687 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 20:35:00.26 ID:3DNPrAIX0
止 「待て……まだ遺骨を持ってきてくれた理由を聞いてない」

絹旗 「っ……超うるさい男ですね。忘れていればいいものを」

滝壺 「………………」

滝壺 「……ただ単に、私たちの自己満足だと、思ってくれればいい」

止 「……自己満足?」

滝壺 「……私たちだって、鬼じゃない。悪人になりたくない……ただの、子ども」

滝壺 「できることなら、あんな小さな女の子を殺したくなんてなかった……」

絹旗 「………………」

滝壺 「……結果として、女の子は助かったけど……でも、右腕がなくなってしまった」

滝壺 「それもまた、間接的に私たちのせい……だから、その罪滅ぼしという名の、自己満足」

滝壺 「ただ、それだけの話」 フッ

止 「………………」 チッ 「……俺は、お前たちのやったことを忘れない」

止 「……だが、ありがとう。シィの遺骨をわざわざ持ってきてくれて、ありがとう」 ペコリ




688 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 20:40:24.98 ID:3DNPrAIX0
絹旗 「………………」

絹旗 「……今さら、私に言えたことではないのでしょうけれど、」

絹旗 「お姉ちゃんのことを、超よろしくお願いします」

止 「……お前が “アイちゃん” っていうことでいいんだよな?」

絹旗 「……はい」

止 「………………」 フッ 「……いつか、お前とメイとイルが、三人で笑っていられる日が、来るといいな」

絹旗 「………………」 フッ 「……そう、ですね……」

絹旗 「……一つだけ個人的に質問したいのですが、よろしいでしょうか?」

止 「なんだ?」

絹旗 「……あの状況で、なぜあの女の子の命を助けることができたんです?」

絹旗 「たとえ麦野さんを撃退できたとしても、あの出血量では、どのみち死んでいたはずじゃ……」

止 「………………」 フン 「……俺が知るか。イルの生命力が凄まじいんだろう」

絹旗 「……なるほど。やはりあなたの “力” ですか。超侮りがたい人物のようです」

絹旗 「『ボックス』 の止さん……超覚えましたからね」 ザッ 「……それでは、また」

止 「……お前らも、だ」 ギリッ 「……絶対に、死ぬなよ……」




689 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 20:42:18.95 ID:3DNPrAIX0
絹旗 「………………」

滝壺 「………………」

滝壺 「…… 『絶対に、死ぬなよ』、……」

絹旗 「……なんです?」

滝壺 「……あの人は、ヒーローだった」

絹旗 「………………」

絹旗 「そうですね。まぁ、ただの超甘ちゃんとも言えますけど」

滝壺 「……ねぇ、絹旗。私たちがあの女の子みたいになったら、助けに来てくれるひとはいるのかな」

絹旗 「………………」

滝壺 「ヒーローは、来てくれるのかな……」

絹旗 「………………」

絹旗 「……ふん。そんな超都合の良いヒーローなんて、今日日、B級アクションでも超希ですよ」

滝壺 「………………」

絹旗 「……けど、」 ニッ 「来てくれると、いいですね……超、いいですね」

滝壺 「……ん」 コクン




690 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 20:56:21.30 ID:3DNPrAIX0
………………

止 (……俺はあの時、たしかにイルの不随意運動を操作していた……)

止 (それだけじゃない。イルは意識がほぼ無い状態だったというのに、俺は 『AIMドライバー』 を行使できた)

止 (一体なんなんだ……? 俺の能力が、拡張されたということなのか?)

prrrrrr……

止 「……?」 ピッ 「……誰だ?」

?? 『どうも、102ですね? あなたとは初めまして……でしたね』

止 「誰だと聞いている」

?? 『これは失礼を致しました。C3にオーダーを出していた者……早い話があなたたちの上役です」

止 「……上役? なるほど、上層部の人間か」

?? 『やめてくださいよ。私はしがない下っ端です』

止 「……イルへの暗殺命令が解除されたというのは本当だろうな?」

?? 『ええ、本当ですよ。『ボックス』 生き残りのお三方には、今回の件については何のお咎めもありません』

?? 『ついでです。反旗を翻した下部組織についても、生残りは不問とするということにしておきました』




691 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 21:00:01.77 ID:3DNPrAIX0
止 「………………」 (何故……イルを殺さない?)

止 (そして何故、学園都市に対して反逆の牙を剥いた、俺やメイを殺そうとしない……?)

止 (そして替えなどいくらでもいるであろう、下部組織についても……)

止 (上層部は冷酷無比……情が移ったなどという馬鹿な理由ではないはずだ)

止 (……なら、考えられる可能性なんて、そう多くはない)

止 「……なるほどな。光栄なことだと思うぜ?」

?? 『……? 何のお話です?』

止 「まさか学園都市の上層部に目を付けられるとはなぁ……本当に、光栄すぎて涙が出る」

?? 『………………』 フッ 『さすがに気づきますか』

止 「当たり前だ。イルを殺さないだけでなく、俺やメイを殺さないことを見ると……」

止 「上層部は俺に何らかの価値を見出したということだろう?」

?? 『……まぁ、その通りなんですけどね』

止 (つまり、メイとイルは、俺に対しての人質ということ……)

止 (だが、逆をいえば……人質を取ってまで、俺をキープしておきたい理由があるということだ……)




692 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 21:02:54.73 ID:3DNPrAIX0
止 「……条件がある」

?? 『は?』

止 「お前たちに今後も使い潰されることに条件があると言ったんだよ」

?? 『……はぁ……あの、あなたはご自分の立場を分かっているんですか?』

止 「分かっているさ。俺は今、少なくとも人質を取られるくらいには上層部に必要とされているとな」

?? 『………………』 フゥ 『まったく……どこかの誰かさんと接触したせいですかね? 随分なワガママだ』

?? 『いいでしょう。聞くだけは聞きます。一体条件とは何です?』

止 「メイとイルの二人を表へ戻せ」

?? 『は……?』

止 「悪くはない条件だと思うが? 人質としての価値なら、表にいようが暗部にいようが関係ないだろう?」

?? 『……まぁ、たしかに、上層部にとってはどちらにしろ大した違いはありませんが……』

?? 『ふぅ……分かりました。お望みどおりにしましょう。あなたに機嫌を損ねられても益はありません』

?? 『メイさんとイルさんでしたか? あの二人を、通常の学生に戻しましょう』

止 「………………」 フッ 「……ああ、それでいい」




693 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 21:05:55.77 ID:3DNPrAIX0
?? 『……では本題に入りましょう。お伝えすることが二つあります』

?? 『まずは一つめ。これは良いお知らせです』

?? 『おめでとうございます。あなたはレベル4にシフトしました』

止 「………………」 チッ 「……そうかよ」

?? 『……泣いて喜ぶかと思ったのですが?』

止 「くだらねぇ。今さらレベルが上がろうが関係あるかよ」

?? 『……はぁ、そうですか。ま、いいです。書庫の書き換えはこちらでやっておきますのでご安心を』

?? 『そしてもう一つです。これはまぁ……早速のオーダーというわけですね』

止 「………………」

?? 『スキルアウトの残党の一派が、とある統括理事の家へ向かいました』

?? 『占拠するつもりなのか略奪するつもりなのか……仔細は分かりませんが、とにかく潰します』

止 「……統括理事の自宅に? 自殺行為もいいところだな」

?? 『私もそう思いますが、その統括理事は数日前にとある襲撃を受けましてね』

?? 『どうやらその影響で、襲撃が簡単にできると評判になってしまったらしいんですよ』




694 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 21:10:17.85 ID:3DNPrAIX0
止 「………………」 チッ 「……分かった。残らず潰してくればいいんだな?」

?? 『妥協はしないくださいね。残らず殺してくださいよ?』

止 「……分かっている」

?? 『ああ、そういえば、』 フッ 『指を二本ほどなくされたそうではありませんか。問題はありませんか?』

止 (ッ……面白そうに言いやがる) 「……問題ねぇよ。箔が付くってもんだ」

?? 『それは良かった。……それでは、詳細はメールで送ります。失礼します』

止 「――待て」

?? 『……? まだ何か?』

止 「さっきの話だ……俺の書庫の記載を書き換えると言ったな?」

?? 『ええ……言いましたが?』

止 「……一つだけ頼みがある」

?? 『頼み? 何です?』

止 「大したことじゃない。ただ、俺の覚悟を示したいだけだ」

止 (………………) フッ (“止” か。言い得て妙だな。もしかして、イルはこの未来まで見通していたのかもしれないな)

止 「――俺の能力名を変えてほしい」




695 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 21:14:35.76 ID:3DNPrAIX0
………………

止 「……ああ、それでいい。それじゃ、詳細情報を送れよ?」 ピッ

止 「………………」 フッ 「……形から入るっていうのは、大事だよな」

? 「止様……」

止 「……メイか。どこから聞いていた?」

メイ 「……最初からです」

止 「なら話は早い。つまりはそういうことだ」 フッ 「――お前とイルは、表の世界へ戻れ」

メイ 「そんなの……!! 止様は……」

止 「勘違いするなよ。俺は利己的な人間だと言っているだろう?」

止 「一足先に戻っていてくれ。そして、願わくは、俺を待っていてほしい」

メイ 「………………」 グスッ 「……はい。お待ちしております」

メイ 「いつまでも……いつまでも、待っておりますから……だから、あなたも……!」

止 「ああ。すぐにそっちに行くさ」

止 「……それから、これはシィの遺骨だ」 スッ 「……墓でも用意してやってくれ」

止 「アイツは、最後の最後まで勇敢に戦ってくれたらしい……アイツの分まで、お前たちは生きろ」




696 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 21:16:35.16 ID:3DNPrAIX0
止 「………………」

止 「……じゃあな。イルによろしく言っておいてくれ」

メイ 「と……止様!!」

止 「……?」

メイ 「――……ずっと……ずっと、お待ちしておりますから……」

メイ 「だからっ……」 ポロポロ 「だから……絶対に、死なないで、ください……!」

止 「………………」 フッ 「当たり前だろう? 俺は死なない。絶対に、何があろうと生きる」

止 「……シィに恨まれるかもしれないが、構わないよな」 スッ

メイ 「え……?」

――――――……ッ――

メイ 「……!!!?」 カァァァァァ……!! 「と、止様……! い、一体にゃにを……!?」

止 「ははっ、意外とウブなんだな、お前」

止 「……今度会うまでに、もっといい女になってろよ。――じゃあな」




697 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 21:30:24.81 ID:3DNPrAIX0
………………裏通り

ザッザッザッザッ……

不良1 「――トマス=プラチナバーグだったか?」

不良2 「ああ、そうだ。統括理事会の中じゃ若僧の、ただの成金だ」

不良3 「例の九三○のときにどさくさに紛れて略奪に遭った……っていう話だったか?」

不良2 「ああ、何でも高位能力者に襲撃されたらしい」

不良2 「人手がなくなっていたとはいえ、そう簡単に略奪行為を許すってことは、」

不良2 「つまり、数で押せば簡単に強奪ができるだろう、ってことだよ」

不良1 「そうだな。百人はいるか? これだけの人数で一気に攻めれば……」

不良3 「良い資金源、ってわけだな」

――――――ピタッ

不良1 「……? 何だありゃ? こんな真夜中に人がいるのか?」

止 「………………」 スッ 「……止まれ」

不良3 「あん? 何だテメェは? 風紀委員か?」




699 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 21:34:15.52 ID:3DNPrAIX0
止 「くくっ……よりにもよって俺を風紀委員呼ばわりか……」

止 「何よりも風紀委員に失礼だから訂正しろ、低脳」

不良3 「ッ……!? テメェ!!」

不良1 「……俺たちは急いでいる。お前に構っている暇はない」

不良1 「今すぐそこをどくのなら、何もせずに見逃してやるが?」

止 「はぁ? 何で俺がここをどく必要がある?」

不良1 「なるほど。死にたいらしい」 スッ

止 「……まぁ、たしかにこんなことをしても意味はないわな」

止 「上層部からはお前らを全員殺せと言われているし、俺も覚悟を決めている」

止 「……だから悪いな。恨むんなら、カミサマとか、運命とか、そこら辺の便利なモンを使ってくれ」 スッ

通行止め 「――こっから先は 『通行止め』 だ。ついでに命も置いていけ」

ギィィィィィィィィィィィィィンンンンン!!!!




700 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 21:39:41.92 ID:3DNPrAIX0
不良1 「……? 何だ、この変な感じは……?」

不良2 「頭に違和感があるような……ないような……」

行止 「――脳髄支配領域、全当該対象についてそれぞれに1‰を確保」

行止 「総勢は百人ほど……つまり、総計して一人に換算すれば10%程度か。ちょろいな」

行止 (……今までの 『AIMドライバー』 は、対象の脳髄を100%支配しなければならなかった)

行止 (しかし、今は違う……俺はどうやら、不随意運動すらも操作できるようになったらしい)

不良3 「あん……? これで終わりか?」

不良1 「言っておくがな、こっちにはレベル2やレベル3だっているんだよ!!」

不良1 「それでなくとも、こっちには銃器がある……ふざけるのもいい加減にしろ!!」

行止 「そう焦るなよ。無意味だ」 フッ 「……もう、終わっている」

――――ゴッ!!

不良1 「……!? なッ……!」







TV 「ねことあひるが力を合わせて」2

5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 22:11:53.46 ID:3DNPrAIX0
行止 「へぇ…… 『発火能力者』 に 『流体操作能力者』 ……それから、『電撃使い』 もいるのか」

不良4 「な、何を……!!?」 ドバッ!!! 「がッ――!!?」

不良5 「……や、やめろ……な、何故……!?」 ボワァァァァァァアアアアア……

不良1 「な……何だって言うんだ!? 能力者が、暴れ始めた……!?」

行止 「違げぇよ。ただ単に、能力を制御しきれずに暴走しているだけだ」

不良1 「なんだと……!?」

行止 「脳の演算領域をちょちょいといじって、『自分だけの現実』 をあやふやにした」

行止 「レベル3程度なら、やっとテメェの能力と折合いがつけられるって段階だ」

行止 「能力の暴走を御し得るほどの力はねぇだろうな」

ドバッ!! ボワァァァァァァアアアアア……!!! ビジジジジジジジッッ!!!




7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 22:13:38.39 ID:3DNPrAIX0
不良1 「ッ……能力者と、暴走に巻き込まれた連中は使い物にならないか……!」

不良1 「だがな、まだ半分以上が残っているんだよ……!!」 ガチャッ

行止 「――おいおい、もう終わってるって言ったはずだぜ?」

――――――トクン……

不良1 「がッ……!?」 ガクッ 「な、なんだ……? 胸が、締めつけられる、ように、痛てぇ……」

不良2 「かっ……はっ……息、が、っ……」 ガジガジガジッッ……!!!

不良3 「あれ……?」 バダン!! 「何で、倒れたんだ……? あれ? 何で、立てないんだ……?」

バダン……ガクッ……バダンバダンバダン……ガクッ……

行止 「……くくっ……百人もの人間が倒れていく様ってのは……なかなか壮観だな」

行止 「……これが俺の不随意運動制御能力……たかだか1‰の支配領域で、能力者を殺すことができる……」

行止 「人の “命の制御”(ドライブ) を “停止させる”(キャンセル) ……」

行止 「……それが俺の能力、『通行止め』(ドライブキャンセラー) だ」




8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 22:17:44.75 ID:3DNPrAIX0
不良1 「がっ……ぐっ……くっ……」

ビヂッ ……ブッシャァァアアアア!!!   ビチャッ

行止 「……心臓が暴走したのか。血圧があり得ない数値まで上昇し、結果として身体中の血管が破けたか」

不良2 「………………」 パクパクパク 「………………」 ダラダラダラ

行止 「くくくっ……こっちは呼吸の命令が阻害されたのか。自発的な窒息ってのはどんな気分だ?」

不良3 「……あれ? なんか、眠く、なって、きた……?」

行止 「これは脳髄からの姿勢制御信号が以上をきたしたのか……自然、心臓も止まるってことかね」

…………………………

行止 「……くくっ……くくくくくっ……くははははははははっ……!!!」

行止 「……この程度か。こんなものを、俺は恐れていたのか?」

行止 「何てことはないな。百人を殺すくらい、本当になんてことはない」

行止 「……なぁ、103、悪いな。俺は決めたよ」

行止 「――俺はアイツらを守るためなら、何人でも殺す。この 『通行止め』 で、な」




11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 22:19:45.70 ID:3DNPrAIX0
………………

??? 『ふむ…… 『通行止め』 か……学園都市第一位にあやかっているということだろうか』

??? 『……しかし、今のデータを見ても、やはり興味深いな』

??? 『AIM拡散力場を介した、能力者の操作……』

??? 『つまり、AIM拡散力場の集合体でありながら人格を持つヒューズ・カザキリに対しても有効という可能性を持つ』

??? 『AIM拡散力場を介し、万が一にもかの堕天使を意のままに操作することができれば……』

??? 『また……可能性としてはゼロに等しいが、“彼” を操作することができれば……』

??? 『……ふむ。どう転んでも、プランの短縮に利用できる可能性がある』

??? 『くくく……ははははははははは……!』

??? 『期待しているよ、新たなレベル4…… 『通行止め』』




12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 22:22:39.20 ID:3DNPrAIX0
エピローグ

………………

男 「……はぁ」

上条 「……はぁ」

土御門 「……はぁ」

青髪 「……はぁ」

………………

男&上&土&青 「「「「その溜息は何だよ!!!」」」」

男 「ぐっ……決まってるだろう!? 何でこんな連中と同じ病室なんだよっていう溜息だよ!」

上条 「それはこっちのセリフだこの野郎! いつもの個室が良かった……」

土御門 「黙れ! モテどもは死ね!! 何でこんなリア充どもと同じ病室なんだにゃー」

青髪 「それをお前が言うなや!! ボクなんて……女の子との接点まだゼロですからね!?」




13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 22:29:42.02 ID:3DNPrAIX0
ギャーギャーギャー……!!!

シネヤコラァァァアアアア!!! オマエガシネ!! ンダトコラァァアアアア!!! ヤンノカオラァァァアア!!!

ガラッ

? 「……まったく、少しは静かにしてほしいんだけどね?」

男 「あっ、先生……」

冥土帰し 「垰は超えたけど、ちょっと重傷めな子がいるんだ……頼むよ?」

男 「あ……す、すみません……」

上条 「すいません。マジですいません」

土御門 「悪かったんだにゃー。ごめんなさい」

青髪 「ごめんなさい。堪忍してな」

冥土帰し 「まったく……仕方がない少年たちだね?」




14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 22:34:56.49 ID:3DNPrAIX0
冥土帰し 「……土御門くんと上条くん……君たちの火傷は少々酷かったけど、とりあえず完治だ」

上条 「いや、そのアバウトな感じで大丈夫なんでせう……?」

土御門 「素直に医学の進歩を喜ぼうぜぃ、カミやん」

冥土帰し 「それから青髪の君……は、特に怪我はないね。何でここにいるの?」

青髪 「それがボクにもさっぱり。気づけば救急車に乗せられてもうて」

上条 「おまっ……! そのせいで俺は歩いてここまで来たんだぞ!?」

青髪 「ええやんええやん。いつものことなんやから」

上条 「なんだとこの野郎――っと……すみません」

冥土帰し 「まったく……それから、風紀委員の男くん、」

男 「はい」

冥土帰し 「……君の要望は聞いたが……本気なのかい?」

男 「……はい、本気です」

上条 「……?」




15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 22:38:07.68 ID:3DNPrAIX0
冥土帰し 「……まぁ、僕としては納得しがたい面もあるが……患者の意志を尊重しないわけにもいかないからね」

冥土帰し 「学園都市の最新医術、そして僕の腕があれば、火傷の痕なんて完全に消せるのだが……」

冥土帰し 「いいだろう。君の左手の火傷については、痕はそのまま残そう」

上条 「な……!?」 土御門 「……?」 青髪 「!? 男やん!?」

冥土帰し 「……ただし、言っては悪いが、かなり醜いものになるよ?」

冥土帰し 「指紋がほとんど再生しないから、扱いづらくもなる……それでもいいのかい?」

男 「………………」 コクン 「はい。もう、決めましたから」

男 「僕は風紀委員として、この街を守る……そしていずれ、この街の闇をすべて曝く……」

冥土帰し 「………………」

男 「……この覚悟を忘れないように、僕はこの傷痕を残しておきたいんです」

男 「もちろん、医学を笠に着た傲慢だと分かっています。健常者の高慢だということも……」

男 「けど、そうしたいんです……そうしなきゃ、僕はきっと、また怖じ気づいてしまうから……」

冥土帰し 「………………」 フッ 「……そこまでの覚悟を決めているのなら、もう僕は何も言うまいよ」

男 「……ありがとうございます、先生」 ペコリ




16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 22:43:48.69 ID:3DNPrAIX0
………………

上条 「男……お前……」

男 「ふふ……なんて顔をしてるんだよ。君が背負う必要はないよ。これは僕のワガママだ」

土御門 「………………」 ギリッ 「……確かにそれは、お前のワガママで、健常者の傲慢だ」

男 「………………」

青髪 「つ、土御門……!」

土御門 「……だが、」 フッ 「お前が戦うために必要だというのなら、それもやむなしだろう」

土御門 「俺としては、願わくはお前のような奴に戦場に立ってほしくはないのだがな」

男 「……それでも、僕は誰かが苦しむのなら立ち上がるよ。戦うよ」

男 「僕は風紀委員だから。風紀委員として、この街を守るために戦うと決めたから」

土御門 「ふ……良い覚悟なんだぜぃ。一気に漢らしい顔になりやがって……」

土御門 「青髪も見習うんだにゃー。ああなれば彼女ができるってことだからな」

男 「――ぶっ……!! たまにいい話を始めたと思ったらそれかよ!!」

土御門 「うるせぇリア充!! この野郎マジでJCをモノにしやがって……しかも一年生! 少し前までランドセル!!」

土御門 「このロリコン! 死ね! 死ね! 可及的速やかに死ね!!」




18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 22:56:19.27 ID:3DNPrAIX0
男 「ろ……ロリ!? それは土御門くんにだけは言われたくないよ!!」

土御門 「うるせぇ現行犯!! 逮捕だ逮捕!」

上条 「………………」 ゴッ

男&土 「「頭頂部に激痛!?」」

上条 「いいから静かにしろ。俺のこの病院での評判をこれ以上下げるな」

男&土 「「ひいっ……!」」

青髪 「う、うわ……カミやん若干本気でキレとる」

上条 「……それから、男」

男 「は、はひっ!?」

上条 「………………」 フッ 「……白井を、しっかりと守ってやれよ?」

男 「あ……」 グッ 「うん! 任せておいて!!」

――ガラッ

? 「男ちゃーん? いらっしゃいますですかー?」

男 「えっ……?」




19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 22:57:57.37 ID:3DNPrAIX0
………………病院廊下

男 「……何でこんなところに月詠先生が?」

小萌 「担任が受け持ちの生徒達をお見舞いに来て悪いですかー?」

男 「いえ……だったら何で、僕だけご指名で外に……? はっ」

男 「ま、まさか、月詠先生……だ、ダメですよ!」

小萌 「はいー?」

男 「教師と生徒のイケナイ関係なんて……そんなの、本当にいけませんよ!」

男 「それに、僕にはもう、愛する恋人が――」

――スビシィ!!

男 「側頭部に激痛!? ってまたチョークか!」

小萌 「話を進めてもいいですかー? それとも、もう一発いっときますです?」 スッ

男 「すみません調子に乗ってましたお話をどうぞ」

小萌 「……まったく。上条ちゃんたちが男ちゃんに悪影響を与えているとしか思えませんね。……とにかく本題です」

ニコッ

小萌 「――おめでとうございます、男ちゃん」




20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 23:04:45.32 ID:3DNPrAIX0
………………屋上

男 「………………」

―――― 『おめでとうございます、男ちゃん』

―――― “なんと、男ちゃんは、レベル2にレベルアップしたそうなのです!”

―――― “簡易的なシステムスキャンの結果らしいですから、百%というわけではありませんが、まず確実です”

―――― “良かったですね、男ちゃん”

男 「………………」

―――― 『……もう、イいよ。もう、イい。ボクはシアワせをツクる。ボクがシアワせをツクる』

―――― 『――ボクが、スベてを、シアワせにするよ』

男 「……レベルアップって……もしかして、あれのことか……?」

男 「あの洗脳……あれが、僕の、能力の行く先……?」

男 「っ……僕は……僕には、人を幸せにすることはできないのか……?」

男 「僕は、自分の幸せを、無理矢理に誰かに押し付けることしか、できないのか……?」

スッ……ギュッ




21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 23:07:02.55 ID:3DNPrAIX0
男 「へ……?」

白井 「男さん……お探し致しましたの」 ギュッ

男 「し、白井さん……!?」

白井 「……? 何ですの?」

男 「に、にゃんで背後から僕に抱きついていらっしゃるのかにゃ!?」

白井 「……だって、落ち着きますから……こんなにも、幸せになれますから」 ギューーッ

男 「ふにゃっ!?」 ボボボボン 「は、恥ずかしくて死にそう……」

白井 「ふふ……」 パッ 「仕方がありませんわね。今だけ解放して差し上げます」

男 「あ……」

白井 「……そこでまるで餌を取り上げられた子犬みたいな顔をしないでくださいな」

白井 「何かわたくしが悪いことをしたように見えるではありませんの」

男 「ご、ごめんなさい……」




22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 23:10:25.87 ID:3DNPrAIX0
白井 「……それで、一体どうしたんですの?」

男 「へ……?」

白井 「何か悩んでいらっしゃるのでしょう?」

男 「べ、べつに……僕は何も……」

白井 「………………」 プクゥ 「……わたくしに弱みを見せたくないという気持ちは分かりますが、」

白井 「あまり秘密主義にされると、寂しいですわよ?」

男 「ご、ごめん……」

白井 「……ふぅ、ならわたくしが当てて差し上げましょうか? “洗脳” のことですのね?」

男 「えっ!? な、何でそれを白井さんが!?」

白井 「申し訳ございませんですの。殿方さんから伺いましたわ」

男 「か、上条くんが……? っ……余計なことを……」

白井 「そう言わないでくださいな。殿方さんは、わたくしに、男を頼むとおっしゃっていましたわ」

白井 「……それだけあなたのことが心配なのでしょう。良いお友達ではありませんの」

男 「……ふん。そういうのが余計だっていうんだよ。あのバカ……」




23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 23:14:48.78 ID:3DNPrAIX0
白井 「……しかし、洗脳ですか……」

男 「僕も最初は信じられませんでした……けれど、いま考えると……あれは確かに洗脳でしたよ」

男 「そもそも、あの唄で人を幸せにすることだって、突き詰めていけば洗脳と同じことです」

男 「……僕の中の幸せな気持ちを、脳波のネットワークで伝えるための媒介に唄を使っているというだけ」

男 「それはつまり、僕の幸せの押し売り……いつ能力が暴走して、洗脳まがいのことをしてしまうか……」

白井 「………………」 ハテ 「……もしかして、そんなことが怖いんですの?」

男 「そ、そんなことって……! だって、もしそうなったら大問題でしょう?」

白井 「ならば断言致しましょうか? そんなことにはなり得ません」

男 「な、何でそんなことが――」

白井 「――言えますわよ。だって、男さんは男さんですもの」

白井 「わたくしの最愛の方……大好きな、男さんですもの」

男 「………………」 ボボン!!

白井 「ふふ……それに、たとえ道を踏み外したとしても、わたくしが道を正して差し上げますから」

白井 「わたくしだけではありませんわ。お姉様に殿方さん、初春、佐天さん、土御門さん、蒼髪の偉丈夫さんも」

白井 「皆さんが、たとえ男さんがどこにいようと、殴り飛ばしに来てくれることでしょう」 ニコッ




24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 23:19:23.52 ID:3DNPrAIX0
男 「そう……そう、ですね!」 ニコッ 「……けど、殴り飛ばしに来るって……もう少し穏便に頼みたいな」

男 (それに……蒼髪の偉丈夫さんって誰だ?)

白井 「ふふ……では、早速試してみましょうか?」

男 「えっ……? それは一体――」

? 「そんなの、決まりきってるじゃないの」

? 「今さら言わせる気?」

男 「……!? ネムサス! デイジィ!」

ネム 「ふふ……男、分かる? 多分男のレベルアップの影響ね」

ディズ 「私たち、とうとう男がいなくても人間に意志を伝えることができるようになったわ」

男 「ええっ? それって本当!?」

白井 「本当ですわ」 プクゥ 「……わたくしとしては、わたくしの優位性が失われた気がして嬉しくありませんが……」

男 「へ? 白井さん何か言いました?」

白井 「………………」 ムッ 「いえいえ、何でもございませんの、よっ」 ゲシッ

男 「右足の脛に激痛!? っていうか今なんで僕蹴られたのです!?」

ネム 「少しは乙女心を斟酌できるようにしなさい」 ディズ 「ったく、そんなんだからヘタレなのよ」




26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 23:23:37.37 ID:3DNPrAIX0
………………

男 「――っていうか本当にやるんですか!?」

冥土帰し 「何を今さら。この病院にいくつベッドがあると思っているんだい?」

男 「300……くらいでしょうか?」

冥土帰し 「誰も彼も僕を舐めすぎじゃないかな? 700だよ」

男 「ぶっ……!? そ、そんなに……」

冥土帰し 「その全部の患者さんに、“幸を呼ぶ唄” っていう宣伝文句を流してしまったんだ」

冥土帰し 「……もちろん、今さら嫌だなんて言わないよね?」

男 「や、やだなぁ……先生、なんか怖いですよ?」

冥土帰し 「悪いね。僕は患者に必要なものはすべて揃える主義なんだ」

男 「……分かってますよ。僕だって男です。やりますよ」

男 「たとえ白井さんに上手くはめられただけであっても、ネムとディズにそそのかされただけであっても」

男 「実は僕も入院中の患者であるということが忘れられかけていても、」

男 「――病院内での突撃慰問ライブ……やってやろうじゃないですか」




27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 23:27:50.31 ID:3DNPrAIX0
………………放送室

男 「……渡り廊下のネム、ディズ、準備はできたかい?」

ネム 『もちろんよ。いつでもオッケーよ』

ディズ 『同じく。いつでも来なさい』

男 「……ミケタ、君は大丈夫かい?」

ミケタ 『わっ……耳に付けたヘッドフォン……? っていうでしたっけ? すごいですね』

男 「はは……。そういえば、初めてイヤフォンを付けたときって、なんか不思議な気分になるよね」

男 「……ブチ」 ブチ 『大丈夫でさぁ』

男 「……タマオ」 タマオ 『もちろんオッケーッス』

男 「……えーと……スフィンクス君に……いぬ君? ……まぁいいや」

男 「あと、アヒルくんたちも大丈夫かな?」 アヒル1~3 『オッケーだよー!』

男 (よし……病院内の要所にネコとアヒルの配置は完了したな……僕との脳波のリンクも問題なしだ)

男 「……ネム、ディズ、君たちは脳波の中継ポイントだ……頼んだよ?」

ネム 『あら、一体誰にモノを言っているのかしらね?』

ディズ 『あんたこそシャンとしなさいよ?』




28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 23:33:08.98 ID:3DNPrAIX0
男 「ははっ……その通りだね」 フッ 「……じゃあ、やりますか」

ギュッ

白井 「………………」 ニコッ 「わたくしも、ご一緒してもよろしくて?」

男 「……うん」 ギュッ 「もちろん。一緒に……歌ってくれますか?」

白井 「もちろんですの。……男さんの幸せを運ぶ手伝いができるのなら、わたくしも嬉しいですから」

男 「……白井さん……ありがとう。僕の大好きなひと」

白井 「……どういたしまして、ですの。わたくしの最愛の方」

――――――……スッ……――

ミケタ 『――――あのー、』

男&白 「「……!!?」」 ビグッ

ミケタ 『……僕たちには、お二人の会話が筒抜けなんですけど……/////』

男 「あっ……////」

白井 「……………/////」

猫&鶩 『バカップルご馳走様!!!』




29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 23:38:48.53 ID:3DNPrAIX0
ピンポンパンポン

放送 『……これより、風紀委員によります、“幸を呼ぶ唄” の演奏が始まります』

放送 『よろしければ、一緒にご唱和ください』

上条 「……幸せを呼ぶ唄って……なんか宗教臭いな」 (脳波のネットワークを壊さないように注意しねぇと……)

インデックス 「むむ……とうま、そういう風に宗教を悪し様に言うのはいただけないかも」 ギラン

上条 「やめて! ただでさえ満身創痍な上条さんをこれ以上痛めつけないで!」

御坂 「ったく、本当にあんたたちはうるさいわね……」

ミサカ 「しかし実はその輪の中に入りたくてウズウズしているお姉様なのであった、ちゃんちゃん。とミサカは冷静に推察します」

御坂 「……あんたねぇ……吹き飛ばされたいわけ?」

幼女 「……む」 プンスカプン!! 「みんな、ケンカなんてしちゃだめだよ!!」

土御門 「ほらほら、その子の言うとおりなんだぜぃ。誰も彼もケンカしないケンカしない」

青髪 「せやせや。これからせっかく素晴らしい唄が流れんるやから」

佐天 「………………」 (何でカミジョーさんの周りに女子が集まるんだろ……)

初春 「ふふ、楽しみですね、佐天さん」

佐天 「えっ? あ、ああ、そうだね、初春」




30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 23:44:25.75 ID:3DNPrAIX0
キィィィィィィィンンン

――♪ねことあひるが力を合わせて――――

――――みんなの幸せをーーー♪――

キィィィィィィィンンン

メイ 「……?」 フッ 「……この、唄は……」

イル 「……cat & duck song……しあわせを、呼んでくれる唄……」

メイ 「……イル……」

イル 「……とまる、本当に、戻ってくる、言った?」

メイ 「………………」 ニコッ 「……はい、もちろんですよ」

イル 「……なら、いい。イル、信じて待つ。……だから、メイ、うたう」

メイ 「……そうですね。一緒に、歌いましょう」

――♪ねことあひるが力を合わせてみんなの幸せをーーー♪――




31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 23:52:13.31 ID:3DNPrAIX0
打止 「………………」

キョロキョロキョロ……

打止 「……ミサカはミサカは、無駄と分かりつつあの人の姿を探してしまったり」

打止 「……ねぇ、一方通行……あなたは今、どこにいるの?」

打止 「………………」 ポロポロ 「……会いたいな……また、一緒にご飯、たべたいな……」

打止 「……会いたいよ、一方通行……」

キィィィィィィィンンン

打止 「え……?」

――♪ねことあひるが力を合わせてみんなの幸せをーーー♪――

打止 「………………」 グスッ 「……むぅぅぅぅううう……」 ゴシゴシゴシゴシ!!!

打止 「………………」 ニコッ 「へへ……なんだこの唄はーっ! ってミサカはミサカはとりあえず騒いでみる!!」

打止 「寝てなんかいられない!!」 ピョコン!! 「と、ミサカはミサカはとりあえず立ち上がってみる!!」

打止 「ミサカには退院までに自販機全制覇という野望があるのだから、とミサカはミサカはダッシュする」 ダッ

打止 「そしてミサカはミサカは、思わず一緒に歌ってしまう!!」

――♪ねことあひるが力を合わせてみんなの幸せをーーー♪――




33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/24(水) 00:02:39.39 ID:Zlf9PosW0
………………病院内テラス

キィィィィィィィンンン

――♪ねことあひるが力を合わせてみんなの幸せをーーー♪――

黄泉川 「……へぇ? なるほどな。これがアイツの能力の真価、ってわけか」

黄泉川 「相変わらずいい生徒に恵まれてんじゃん? 月詠先生?」

小萌 「ふふふのふー。その通りなのですよー。男ちゃんも先生の自慢の生徒なのです」 エッヘン

芳川 「……どこか心が温かい……ふふ、私のような人間までこんな気持ちにさせてくれるとはね」

黄泉川 「……くく、桔梗? 何でも、一緒に歌うともっと心が温かくなるらしいが?」

芳川 「……愛穂、この歳になってこの唄を歌えって言うの?」

黄泉川 「おやおや、私は余裕じゃん」 ニッ 「ねぇ、月詠生生?」

小萌 「もちろんなのですよー♪」 ニコッ 「ささっ、芳川先生もご一緒に」

芳川 「はぁ……まぁ、そこまでおっしゃるのであれば……」

――♪ねことあひるが力を合わせてみんなの幸せをーーー♪――




34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/24(水) 00:07:06.90 ID:Zlf9PosW0
キィィィィィィィンンン

患者1 「はは……何でだろう? 歌うだけなのに、心がどんどん温かくなっていく……」

患者2 「まるで、ネコやアヒルの体温を感じているようだな……」

患者3 「……ママ……パパ……わたし、もう少し、がんばるね」

患者4 「……何でだろう? 今は、死にたくないって思える……」

患者5 「苦しくても、なんとか生きてやろうって気になってくるな……」

――♪ねことあひるが力を合わせてみんなの幸せをーーー♪――

冥土帰し 「……なるほどね。これは予想以上だね?」

冥土帰し 「僕は心のケアまでを完遂して、ようやく医術だと思っているけれど……」

冥土帰し 「……これは本当に、定期演奏会でも開いてもらった方がいいかもしれないね?」

冥土帰し 「男くん、といったよね」 フッ 「……君自身はこれを見ているのかな? これは、君が起こした奇跡だ」

冥土帰し 「君の清浄な心が、邪悪さのない動物の脳波を通してなおクリアになり、それを人々と共有する……」

冥土帰し 「……君のこの行いが洗脳であるなどとは誰も思いはしないさ」

冥土帰し 「少なくとも僕は、これを医者として高く評価する。敬意すら表するよ」




36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/24(水) 00:11:35.57 ID:Zlf9PosW0
男 「………………」

白井 「……見えていらっしゃいます?」

白井 「あの笑顔、この笑顔、あちらの笑顔……どの笑顔も、男さんが作り出したものですのよ?」

男 「………………」 ギュッ 「うん。見えてるよ。これが、僕の……いや、」

男 「――この唄を歌ってくれた、この病院のすべての人たちの……力なんだ」

男 「それを洗脳だなんて……そんなの、僕の傲慢だ」

男 「……幸せになりたいと思うひとにしか幸せは下りてこない」

男 「僕は、その幸せになりたいという意志を手助けするというだけなんだ」

男 「……これが僕のレベル2――」

―――― “そうそう、先生、男ちゃんのために能力名を考えたのですよ。ここまで特殊に分化したテレパスは珍しいですからねー”

―――― “男ちゃん、あなたのその能力の新しい名は――――”

男 「―――― 『幸福御手』(ピースメーカー)」

―――― “『ピースサインを作るもの』……えへへ、可愛くて格好いいお名前だと思うんですー”

男 「……ふふ……まったく、先生も良いセンスしてるよ」




38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/24(水) 00:13:22.44 ID:Zlf9PosW0
………………病院前

行止 「………………」

フッ

行止 「……103……お前はもう、本当に強くなったんだな」

行止 「お前はすでに、本物のヒーローだ」

行止 「………………」

行止 「……では、俺はその分だけ、本物の悪党にならなければな」

行止 (……メイ、イル、お前たちは、命に代えても俺が守る)

行止 (103……俺はお前のようなヒーローにはならない。いや……なれない)

行止 (………………)

行止 「……さて、戻るとするか」

行止 「――俺の居場所……学園都市最暗部へ」




39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/24(水) 00:20:43.00 ID:Zlf9PosW0
男 (……102……君は、一体どこで何をしているのだろう?)

男 (もしかして、学園都市の闇の中で生きているのだろうか……)

男 (………………)

男 (……負けない)

男 (陰謀、悪い大人、勝手な権力……そんなものに、僕ら風紀委員は絶対に負けない)

男 (……背負うものはたくさんある。だけど僕には、そんな大きな力はない)

男 (だけど……仲間がいる。友達がいる。守りたいと思える、この街がある)

男 (いつか絶対に、すべてを清算してみせるから……)

男 (この街に、まだ多くの不幸が渦巻き、多くの人が涙しているというのなら――)


男 (……まずはそのふざけた不幸を、幸せで吹き飛ばす)


――――――ねことあひるが力を合わせてみんなの幸せを――――――

おわり




41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/24(水) 00:23:02.56 ID:vhj5E52O0





42 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/24(水) 00:25:26.55 ID:eMxSmfGDO
乙!
続きもし出来たらまた書いてくれ!




43 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/24(水) 00:30:44.26 ID:YK3MYm/t0
乙!
ここまで来たら男がレベル5になるまで書いてほしい???




50 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/24(水) 01:20:03.98 ID:Zlf9PosW0
>>1です。
完成してるし一日で投下終わるだろ……とか思っていたときがわたしにもありました。
はは……まさか丸三日潰すとは……さるさんウザいよ……。

こんなただの>>1得スレに温かい感想をありがとうございます。
支援くださった皆さんもありがとうございました。




59 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/24(水) 11:00:14.47 ID:cpzGh+jY0
やっと読み終わったすごい文量だった、オリキャラも違和感なくて展開も面白かった
とりあえず>>1









---------------
当ブログについて
※欄799さんありがとうです。



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コメント
この記事へのコメント
  1. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/05/02(日) 22:42: :edit
    へへっ
  2. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/05/02(日) 22:43: :edit
    ふふっ
  3. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/05/02(日) 22:46: :edit
    ひひっ
  4. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/05/02(日) 22:47: :edit
    ほほっ


    続編キタァァァァァァ!と思ったらその1はどこだ
  5. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/05/02(日) 23:08: :edit
    ははっワロス
  6. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/05/02(日) 23:37: :edit
    ははっバルス
  7. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/05/02(日) 23:46: :edit
    ははっ人がゴミのようだ
  8. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/05/03(月) 00:45: :edit
    008getだぜ!
  9. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/05/03(月) 01:15: :edit
    くっそ長かったがくっそ面白かった
    相変わらず原作既読者をニヤリとさせるネタを含み、一つ裏まで話を作ってあるあたりが最高

    続編そのうち来そうだが期待してる
    作者乙!
  10. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/05/03(月) 01:28: :edit
    乙!


    ……通行止めをカップリングに読んでしまう
  11. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/05/03(月) 01:32: :edit
    間違いなくこれは禁書SSのなかで最高クラスの物の一つ。
    オリキャラがメインにもかかわらず、原作キャラの良さを壊さず違和感なく溶け込ませてる。
    それに能力名や決め台詞台詞回しも秀逸で本当によかった。
    オリキャラたちも一人ひとりキャラが立ってたし、続編が出ることを望みます。超期待。
  12. 名前:   #Kbxb6NTI: 2010/05/03(月) 01:49: :edit
    ははっ
    俺がごみのようだ

    目の前で歌ってくんねーかな
  13. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/05/03(月) 02:20: :edit
    ※11それはない
    禁書でやる必要が無いよ
    完全に一人遊び
  14. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/05/03(月) 02:22: :edit
    幼女のふとももにおにんにんはさみたいよぉ
  15. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/05/03(月) 02:26: :edit
    ※13それはない
  16. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/05/03(月) 02:26: :edit
    続編にも期待ッッッ!!
  17. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/05/03(月) 02:37: :edit
    SSってその世界にスッと入り損なうと
    出来が良くても作者の妄想見せられてるだけ
    みたいな感覚になっちゃうからなあ…
  18. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/05/03(月) 03:33: :edit
    ※15
    それはない
  19. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/05/03(月) 03:42: :edit
    今回は102改め止改め通行止め中心だったな
    つかドライブキャンセラーが強すぎてワロタ
    殺害するってだけの分野ならどの暗部の人間よりも確実だよな…
    これは是非続けてほしい!
  20. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/05/03(月) 07:22: :edit
    計画的に20ゲット
  21. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/05/03(月) 09:02: :edit
    オリキャラなのに良作。

    続けて次作もって思えるが、
    オリキャラものはハズスと超駄作になるので、
    ここら辺で完結の方が良いような気もする。
  22. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/05/03(月) 12:34: :edit
    ※18
    それはある
  23. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/05/03(月) 13:20: :edit
    作者乙!
  24. 名前: 通常のナナシ #Z1IwPY76: 2010/05/03(月) 13:27: :edit
    今回も面白かったー。
    続きが読みたいSSの1つだね。

    なんかオリキャラ嫌いな奴がファビョってるが、
    あらかじめ文中にそう注釈が入れてあるんだから
    最初から読まなければ良いのにな。
  25. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/05/03(月) 13:47: :edit
    良悪は別にして二次創作にオリキャラって何がしたいんだろうな。クロスオーバーとかならまだわかるけど。
  26. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/05/03(月) 15:31: :edit
    ○○でやる必要が無いってコメントしてるやつなんなの?馬鹿なの?
    やる必要はなくてもやっちゃいけない訳じゃなかろう?それでいて面白いなら万々歳じゃないか。
    オリキャラよりも原形とどめてない改変原作キャラのほうが何がしたいんだって感じ。それこそ完全オリジナルでやればいいって話。
    オリキャラ嫌なら注意書き見た時点でUターンすればいいじゃない。
  27. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/05/03(月) 16:11: :edit
    冒頭で需要のあるなしをちょっと気にしてたけど
    仮に、さらに続編を続けていくのなら、
    全体からの反応みたいなのはあきらめた方がいいかもしれない。
    自分も胸がもたれる感じがしてるのは否定しがたい。
    独自の世界が膨らんでいくと感性が合う人に絞られていくからな。
  28. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/05/03(月) 17:02: :edit
    面白かった!
    主役の2人がもうひとつの上条さんと一方通行って感じがしてそれもまた良かった
  29. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/05/03(月) 17:10: :edit
    読み応えがあったわー
    面白かったよ感謝する
  30. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/05/03(月) 18:26: :edit
    まともに感想つかないのに、一人でスレを埋める作業って楽しいのかね?
  31. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/05/03(月) 19:17: :edit
    オリキャラ出たって別にいいじゃないか
  32. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/05/03(月) 19:21: :edit
    面白かった
    原案が禁書のオリジナルストーリーって感じだな
    禁書の雰囲気も出てるし、良かった
    SSとしては異色だが

    ただ、ここまでくると、ヒロインは別に黒子じゃなくてもいいんじゃないかと思わないでもない
  33. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/05/03(月) 19:47: :edit
    絹旗、滝壺が言ってたヒーローで
    思わずニヤリとした
  34. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/05/03(月) 20:08: :edit
    ※30
    感想それなりにあったわけだが。
    まさかまとめブログでその文字が見えないからそう思ったわけじゃないよな?

    やっぱ面白いなこれ。
    次回をやる予定あるなら見たいな。
    しかし最初から思ってたけどなぜ「ねことあひるry」なんてのをチョイスしたんだ。
    ねこあひるが外れてるわけじゃないんだけど、スレタイで相当損してる気がしなくも。
  35. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/05/03(月) 20:41: :edit
    インなんとかさんが一回だけでてきてなんか笑ったwww
  36. 名前: 通常のナナシ #QAt7aVcw: 2010/05/03(月) 20:48: :edit
    こんだけ長い作品を駄文にせず、さらに伏線回収もやってのける。
    能力のネーミングセンスも良し。
    なにより遊園地の多重視点同時進行がうますぎwww
    いやぁ・・・久々に良いものを見たw

    作者&ぷん太 激しく乙です!
  37. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/05/03(月) 22:13: :edit
    まぁ>>1は最後で「>>1得スレ」だと自分で言っているわけだし、それで楽しめれば儲けもの、楽しめなければそれまでだろ。
    俺は楽しめたから儲けたけどなw
  38. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/05/03(月) 22:42: :edit
    いやーおもしろかった。
    これだけ引き込まれるSSは久しぶりだ。
    作者さんありがとう。
  39. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/05/03(月) 23:54: :edit
    前作見て続きみたいってコメしたけどもっと続きがみたくなった
    暗部とか今回はクオリティたかくてそれはないとかいわれるだろうけど最近見た中では一番のSSだった。今まででも三位には入る
  40. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/05/04(火) 00:27: :edit
    原作より好きっていう

    伏線うめーし、話も能力もおもしれぇ
  41. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/05/04(火) 01:05: :edit
    暴動なんてくだらねえぜ!!!も入れて欲しかったw

    毎回長いし正直作者のオナニー臭いけど
    読みやすいし出来は相当良いし話は面白いから俺は楽しんでるよ
    嫌いな奴もいるだろうけどそりゃ仕方ないね
  42. 名前: とある隠居のライオン丸(小泉純一郎) #JalddpaA: 2010/05/04(火) 02:08: :edit
    感動した!!
  43. 名前: 通常のナナシ #d75DMW06: 2010/05/04(火) 02:37: :edit
    話の組み立て方うまいなー
    職業柄普通に感心してしまった
    禁書キャラをうまく使ってて良い
    続編希望…ってか書き方少し勉強すれば普通にラノベ書けそうだな
    …うちに持ち込みとかしてみないかねぇ?無理か…
  44. 名前: 通常のナナシ #L8AeYI2M: 2010/05/04(火) 02:58: :edit
    オリキャラメインの性質上、好き嫌いは間違いなく分かれるだろうなぁ……自分はこのSSかなり好きです。続きが見てみたい。

    男と止の対比がまさしく光と闇で、読んでてすごく引き込まれた。※28でも言ってる人いるけど上条さんとセロリの立ち位置とか意識して書いたのかな?伏線回収、能力のネーミング、オリキャラ以外の見せ場の作り方とか色々と巧いなぁと思った。

    ぷん太まとめ乙&作者さん乙!
  45. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/05/04(火) 10:28: :edit
    ※22
    ねぇよ

    作者さん乙です
  46. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/05/04(火) 13:09: :edit
    自分の作品でも無いのによくこんなに長いの書けるよな。すげぇ。
  47. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/05/04(火) 20:41: :edit
    一通さんが幼女を消すわけ無いと信じてた
    後麦のんがいつもどおりで安心した
  48. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/05/04(火) 21:40: :edit
            /≦三三三三三ミト、          .  ―― .
           《 二二二二二フノ/`ヽ       /       \
           | l  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ∨{ミvヘ      /      ,   !l ヽ
           ト==   ==彡 》=《:ヽ     ′ ―‐ァ!l / ̄}
             /≧ァ 7¨7: :ァ.┬‐くミV!ハ    |    (__   _ノ    |
           ′: /: イ: /': :/ |:リ  ヽ }i! : .     |  _j_   ツ    |
          i. /: il7エ:/ }:/ ≦仁ミ ト:.i|: i|   |    d   __ 、、   |
          |:i|: :l爪jカV′´八ツソ Vミ :l|   |   ノ  - ノ    |
          |小f} `   ,    ´  ji }} : .{    {   ┌.  ー ´    }
           }小    _      ,ムイ|: :∧    .    |/   ヨ
           //:込  └`   /| : :i i : :.∧   、  o   ―┐!l /
            /:小:i: :> .    .イ _L__|:| :li {∧   \    __ノ /
    .      /′|从 :|l : i :爪/´. - 、 〈ト |ト:ト :'.   /       く
                N V 「{´ /   ヽ{ハ|   `\ /        ヽ
               | }人ノ/   li  V    _.′贈  惜  と  '
           i´ }    //} i′′ ハ 、|   `ヽ.   り   し  ミ   !
           { {     〃ノ {l l!  } :  {     }  ま  み  サ  |
       rー‐'⌒ヽ  ,イ   i{| |   i      |  す  な  カ
       〉一 '   ∨n     ∨   ′  ハ      |      い. は  }
       `r‐‐ ´   V    |       |      !      称     ′
        ‘r‐‐ ´    \   }/i⌒ヽ   {      .      賛    /
          `¨¨` ー .、  ` < ` |    `ト、 }     ヽ     を
             }}\      ̄ `ヽ ト ソ      \     /
             ノi  \        } }         ` ―‐ ´
              //     > .     | ノ

  49. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/05/04(火) 23:03: :edit
    人の感想にまでケチつけだしたら終わりです
  50. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/05/05(水) 02:50: :edit
    おもしろかった。103かっこよすぎ
  51. 名前: 通常のナナシ #nmxoCd6A: 2010/05/05(水) 04:25: :edit
    ぷん太様超乙

    すげー面白かったわ
  52. 名前: 通常のナナシ #- #SFo5/nok: 2010/05/06(木) 03:40: :edit
    最高に面白かったです!
    後半涙が止まらんかった
    作者様・ぷん太様超乙です!
    次回作も超期待してます
  53. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/05/06(木) 21:20: :edit
    普通に面白かった!
    作者乙!
    読みきった皆にも乙!
  54. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/05/07(金) 03:35: :edit
    C3いっちゃtったのか・・・
    こんな時間に読みきって涙ダダもレ
  55. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/05/07(金) 04:51: :edit
    いやー長かったが読みきったぞ!
    作者&ぷん太乙。
    それにしても科学100%構成だなw
    魔術も少しまぜry
    まぁオリキャラ中心だし仕方ないかw
    とにかく乙。
  56. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/05/11(火) 15:26: :edit
    ちょくちょく休憩挟んだと言っても
    5時間・・・だと・・・!?

    久々に引き込まれるSSだったよ

    >1&ぷん汰超乙!

  57. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/05/28(金) 20:34: :edit
    いい話だった~ できれば止くんの続編を・・・
  58. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/06/02(水) 02:57: :edit
    おもしろかったけど、正直シイの短時間三連続ここはまかせて先にryはギャグにしか見えんかった
  59. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/10/17(日) 02:40: :edit
    続編が製作に来てたよー

    オリキャラって嫌いなんだけど、この人のは面白いと思うんだよな、何故か。
  60. 名前: 茨城 #-: 2010/10/18(月) 01:04: :edit
    シィ + メイ + イル = シーメール

    ……なんだかなぁ
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c o m m e n t
p a s s
 
俺の妹がこんなに可愛いわけがない 黒猫 白猫Ver.
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