キョン「俺。未来から来たって言ったら笑う?」その1

***
--/--/--(--)
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
2009/10/17(土)
1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/04(日) 23:24:43.23 ID:fAk0SCDS0
正月休みも終わり、新学期が開始して数日がたったある日の夜
眠りの世界に片足を踏み込んだ俺の携帯に見知らぬアドレスからメールが届いた



[7時50分起床
残り7日]





「? 誰だ…これ?」

寝ぼけ眼で、その一文を確認する。
間違いメールか?
それともイタズラ?えぇいメンドくさい…


酷い睡魔もあって、その夜は深く考えるでもなく、そのまま眠りに落ちてしまった




6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/04(日) 23:28:53.49 ID:fAk0SCDS0
いつも通りの朝だった。いつもと違うことがあったとすれば珍しく携帯に着信があった程度だ

懲りずにも寝坊してしまった俺はそんなものに目もくれず、コーヒーをズズーと一気飲みし玄関を飛び出す





「ハァ…ハァなんとか…間に合いそうだな」
この時間帯に坂まで来てれば間に合うだろう
そう安心したその時後ろから聞き慣れた声がかかる「おい!キョン!」
「ん?…なんだ谷口じゃねぇか」

「なんだとはなんだよ。それよりキョン!昨日電車で滅茶苦茶美人な人が隣に座ってよー!」

「お前の脳みそはそれしか考えられんのか」
息を整えるついでに谷口のアホくさい話に適当に相づちをうちながら教室の扉を開ける
俺の後ろの席には既にハルヒが座っていた




8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/04(日) 23:31:24.29 ID:fAk0SCDS0
「…よう」

「…………」


返事は返ってこない
ハルヒは窓を睨めつけ一向にこちらをみようともしない

「おい、いい加減機嫌直したらどうだ?昨日のアレは明らかにお前が悪い」

「…うるさいわね、いちいち言われないでも分かってるわよそんな事」

昨日の放課後、例によってハルヒのアホな発言が部室に響き渡った
「次の映画は本物の銃を使うわよ!」

ニコニコ楽しそうに言うハルヒだったが俺達三人。つまり朝比奈さんと古泉そして俺は顔を見合わせる

朝比奈さんは訳が分からないと言った感じに口をポカンと開けこっちをみている
古泉に関してはいつもと変わらない胸がムカつく笑顔を浮かべている




9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/04(日) 23:32:55.90 ID:fAk0SCDS0
「まずハルヒ、お前に言いたい事が二つある」

「なによ」

「一つ目は映画をもう一度撮るなんて聞いてないぞ。」

「当たり前じゃない今初めて言ったんだから」
しれっと言うハルヒに負けじと食い下がる

「二つ目。本物の銃を使うってどういう意味だ?」

「ほんっとにアンタはバカね!そのまんまの意味に決まってるじゃない。あんなオモチャじゃイマイチ迫力がでなかったのよねぇ…」
いやいやいやいや
なぜそこでそうなる?ハルヒ。




10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/04(日) 23:34:18.15 ID:fAk0SCDS0
「だから今日交番に借りに行くからキョン。あんたも付いてきなさい」
どうやらハルヒは、本気で借りられると思っているのか、自信満々でそう言った
「ハルヒ。いいか?よく聞け。にほんで、いっぱんじんは、てっぽうをもてないんだ」
幼稚園児にも分かるように言ってやる

「そんなの聞いてみなきゃ分かんないじゃない。映画に使うぐらいなんとかしてくれるでしょ!」

「あ、あのなぁ…」

そんなやり取りがあり昨日の放課後、ハルヒと俺で駅前の交番に向かったのだが結果は案の定で。
さらに、俺達はどうやら危険人物と見なされたらしく、そこから取り調べ約二時間、説教を約一時間受けた




11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/04(日) 23:36:33.13 ID:fAk0SCDS0
「ほんっとにあの警官分からず屋だったわね!思い出しただけでムシャクシャするわ!」
そう言ったきりハルヒは机に顔を埋めふて寝をはじめた
「やれやれ…」
こいつには付き合いきれん。
前に向き直り一限目の準備をする傍ら朝、携帯に着信があった事を思い出す

パチ

携帯を開き未開封のメールを開ける




涼宮ハルヒ 残り3回
ジョン・スミス 残り1回






「?」
なんだこれ…




13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/04(日) 23:37:29.17 ID:fAk0SCDS0
俺はコレがただのイタズラメールや迷惑メールではないことを直感的に悟る

差出人は昨日の夜と同一人物だ

(なんでハルヒの名前が…いや。)

いや、それより問題なのはジョン・スミス…この差出人はスミスを知っている
この事を知っているのは俺達だけ。
この場合の俺達とはハルヒを除くSOS団のメンバー。

過去から帰った後、古泉や朝比奈さん(小)にも成り行きは説明した…
朝比奈さん(大)の事は上手くはぐらかしたが




15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/04(日) 23:41:33.68 ID:fAk0SCDS0
するとメールの送り主はその中の誰かなのか?いや、みんななら学校で直接言えばすむしな…
そういえば…
そういえば、今朝起きた時間って…
ガラッ


扉を開く音が俺の意識を教室に戻す。



午前中ずっとメールの事を考えていたが、結局よく分からないという結論にいたり俺は考えるのを止めた

「後でみんなに聞いてみるか…」

「あん?なんか言ったか?」

「い、いやなんでもない」

「どうしたのキョン?お弁当も全然食べてないし」

「コイツ午前中からずっとこうでよー。どうした?涼宮にフラれでもしたか?」
ニヤニヤと谷口がいやらしい笑みを浮かべる

「うるさい、そんなわけあるか!」

「そう怒んなって。実際、涼宮を飼い慣らせるのはキョン。お前だけだと思うぜー?」

「あいにく家にはペットが既に一匹いるんでな」

それに。




17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/04(日) 23:42:42.28 ID:fAk0SCDS0
それに、根本的にアイツは人に飼われる事をよしとする種の人間じゃあないだろう



「ごっそさん。ちょっくら行くとこあるから、また後でな」

「なんだぁ?また涼宮のとこにでも行くのか~?お熱いこって」

「だから違う」


それだけ言い残し、俺は古泉のいる教室に向かう




20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/04(日) 23:47:22.41 ID:fAk0SCDS0
「いやぁ、わざわざありがとうございます」
教室では、古泉が女子に囲まれ何やらキャッキャ騒がれている

「どうかな?卵焼き。結構手間かけたんだよ?」

「明日は私が作ってくるからね!」

「違うよぉー明日は私の番でょ~」

「あれ~?そうだっけー」

「もぅ」

「こ、古泉!ちょっといいか?」

アハハと一同が盛り上がってる最中、非常に気まずいのだが俺はなんとか会話に割って入る事に成功した
「おや?どうしました?アナタから来るとは珍しいですね」

「あ、あぁ。お楽しみの所悪いんだが少しコイツを貸してくれ」

教室を出るとき、取り巻きの連中に、親の仇を見るような目で睨まれたのは俺の気のせいであって欲しい。古泉から超能力者だ、と告白された時に座っていたベンチまで移動し、周囲にハルヒがいない事を確認する

「で、用件とはなんでしょう?わざわざアナタからお越しになるんです。それなりの事なんでしょうが…」

「すこし気にかかる事ができてな…」

「気にかかる事……ですか。あまりいい予感はしませんね…」
「同感だ」

「それで?何があったんでしょうか」




21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/04(日) 23:48:38.37 ID:fAk0SCDS0
「そこまで大した事じゃあないと思うんだが、今日の朝メールが来てな」

「メール?それが何か?」

メールボックスを開いた携帯を渡す

「これは…」
古泉は眉をしかめながら画面の文字を見る。
この態度から察するに、少なくとも古泉は身に覚えがないのであろう




24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/04(日) 23:50:10.76 ID:fAk0SCDS0
「どういう事なんだ?スミスを知っているのは…」

「えぇ、そのはずですが…」

「一応聞くが、お前やお前の組織絡みじゃないんだろうな」

「それは絶対にありません、約束します。組織のトップも組織全体も、現段階で涼宮さんを刺激する可能性がある行動にでるとは思えません」

「そうか…なら朝比奈さんか長門…なのか?」

「それも考えにくいですね…ちなみに聞きますが、最初に僕のところへ?」

「あぁ」

おやおやと言いながら古泉は笑った

「普通こういう事態が起きた時、アナタなら真っ先に長門さんの所へ行くと思ったのですがね?」

「お前が一番怪しいからだ」

「フフッ僕も信用されませんね。ですが…」




25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/04(日) 23:51:17.47 ID:fAk0SCDS0
「ですが、これは残念ながら僕ではありません。恐らく長門さんや朝比奈さんでも無いでしょう。メリット…少しもメリットがありません」

「リンスインシャンプーがなんだって?」

「フフッ。ふざけたい気持ちも分かりますが、なかなかの緊急事態だと思いますがね?」

「そこまでの事か?」

「当たり前です。ジョン・スミス…つまり、あなたが涼宮さんの鍵であると知る個人…またはそれに準ずる形の組織。が、あなたを通じて涼宮さんに何らかのアクションを起こそうとしている……そう推理できるのではないでしょうか?」

「………聞きたいだが古泉」

「はい、なんでしょう」




26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/04(日) 23:52:02.74 ID:fAk0SCDS0
「お前が言うタカ派の連中…ってのは、どの位の割合でいるんだ?」

「それは…どうでしょう…正確に定かではありませんが、我々と同じように見守る…「観察」という手段で現状満足しているのは、そうですね……全体の4分の3……っと言ったところでしょうか?」

「じゃあ、残りの4分の1はハルヒをどうにかしようって奴らなのか」

「大雑把に分けるとしたら、そういう事になりますね。ですが、そうさせない様日々、地中我々も努力しているんです」




27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/04(日) 23:53:37.30 ID:fAk0SCDS0
古泉の顔から笑みは消えないが、それはどこか疲れきったものに変わっていた

「先程言いました様に、これはなかなか危ない状態です。一刻も早く犯人を見つけだす必要があります」

「何か案があるのか?」

「いえ…今のところは…そろそろ昼休みも終わる頃です、放課後、涼宮さんが帰った後に長門さん達にも意見を聞いてみるのがよいかと」

「あぁそうだな…」

そう口にした瞬間、昼休みの終わりを知らせるチャイムが校内から漏れて聴こえる

「そうですね…僕の方でも色々あたってみます。それでは放課後」

「あぁ…」

古泉は何かを考える表情のまま教室がある方角に帰っていく。こういう事態に落ちいった時、どうにも行動を起こす手段を持っていない、というのはやはり焦れったい物があるが仕方がない…俺は平凡も平凡、真ん中も真ん中の普通人間なんだ




29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/04(日) 23:55:12.15 ID:fAk0SCDS0
教室に戻ると、ハルヒはまた机でふて寝してやがる。

「おいハルヒ、授業始まるぞ」

「うぅ…」

本気で寝てやがった

「あと十分…」

「二分後には授業が始まる」

「うるさい…」

こいつはこいつで相変わらずだな…全く…
周りであくせくしてる俺達の身にもなれってんだ


別に俺の通信簿にケチが付く訳ではないので、俺はそのままハルヒを放っておく事にした




31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/04(日) 23:56:00.11 ID:fAk0SCDS0
結果を言えばハルヒの通信簿にもケチは付くことはなかった。
担当の教師が都合により、ピッタリちょうど10分遅れてきやがった。教師が扉を開く音と同時に後ろのハルヒは伸びをする


「んっ…………くぁ~よく寝た」




まったく…やれやれだ……




32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/04(日) 23:57:25.80 ID:fAk0SCDS0
放課後、部室に向かうと朝比奈さんがすでにメイド姿で掃除をしていた。
丁度ドアに背中を向ける形で窓枠のホコリを背伸びをしながらパタパタと叩いてる
(あぁ俺もパタパタされたいです)
思わず変な妄想に駆られる。いや、実際思ったのだが


「あっ、キョンくんお茶少しだけ待っててください。ここ掃除したら、すぐに淹れますね」

「いえ、お構いなく。自分でやりますよ」

「あ、今日美味しいお茶を買ってきたんです。よかったら飲んでみて下さい」

う~ん、やっぱり朝比奈さんはハルヒとはオーラが違う。この癒やしオーラを5%でもアイツに配合出来れば、どんなに楽だろう
ホコリを祓っているだけなのになんてビューティフルなんだ




33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/04(日) 23:58:48.32 ID:fAk0SCDS0
「あ、そうだ朝比奈さん、少し聞きたい事があるんですが、ハルヒが帰った後大丈夫ですか?」

あまりの愛くるしさに忘れていた

「? 私は大丈夫ですけど…なにかあったんですか?」

「まぁ…少し色々と…」

「?」

バタン!
ドアが勢いよく開かれる


「あら?どうしたのよキョン、やけに早いじゃない」

ハルヒの髪型は珍しくポニーテールに変わっていた。それにリボンカチューシャも赤に




35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/05(月) 00:00:02.45 ID:IsnQjFo50
「あん?なに言ってんだ。俺は普通に来たぞ」

「あれ?まぁいいわ。ところで古泉くんと有希はどこよ」

俺は肩をすくめて見せる。朝比奈さんもどうやら知らないみたいだ

「遅いわね、2人とも!今日は映画に関する重大発表があるっていうのに!」

今にも言いたそうにウズウズしているハルヒを檻から出たライオンでも見るかの様な目で朝比奈さんが見ている
前作でやらされた事を考えればティラノサウルスを見る様な目で見ていてもまぁ不思議ではない

「それよりね!さっきクッソ生意気なガキんちょに会ったの!ひねくれ具合がアンタにそっくりだったわ。あぁ思い出すだけで腹立つわ!」

学校にガキんちょ?誰かの弟とかだろうか。しかし、お前をムカつかさせるガキんちょとはなかなか見所があるな。

そうこう騒いでいると長門、古泉の順でSOS団全員が揃った
古泉は俺と目を合わせると長門の方にチラリと目配せしパチリとウィンクで俺に合図をする
気持ち悪い




37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/05(月) 00:01:41.44 ID:IsnQjFo50
その後の一時間半は、ハルヒの映画合宿の計画と、実は3部作だったと言う驚愕の事実を教えられ、半ば諦めている朝比奈さんを俺が励ましながらハルヒにチビチビ反論を試みるという具合に進んでいった

「それじゃあ最後の人戸締まりよっろしく~」

ハルヒは言いたいだけ散々言い、私はやる事がエベレストの様にあるのよと、またバタン!と扉をしめて颯爽と駆けていった
やれやれだ…

「最近、涼宮さんの方は概ね良好の様で僕としては今のところ一安心ですね。涼宮さんの方は…ね」

さっきと同じ、どこか疲れた笑顔で古泉が口を開く

「で、長門はもう聞いてるのか?」

コクリと僅かに長門の首が縦に反復する。朝比奈さんは首を傾け不思議そうに俺を見ている

「あ、あの…キョンくん…」

「大丈夫です今から説明します」

朝比奈さんにも昼、古泉に説明したのと同じよう説明する





「つ、つまり、誰かが涼宮さんの命を狙ってるって事ですか?」

「いえ、まず涼宮さんではなく彼にメールでコンタクトしてきた事から恐らくそこまで強行的な目的ではないでしょう。ですが、ただ観察をするだけで気が済んでいないのは確かですね…」




42 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/05(月) 00:05:31.00 ID:IsnQjFo50
「長門はなにか分かるか?」

「…」

「? 長門?」

「…極めて困難」

「困難って何がだ?」

「…アドレスの発信元の特定…」

「お前でも無理かもしれないのか…」

「おかしいですね…長門さんなら、この程度の情報を逆探するのは簡単だと思っていたのですが…」

「…強力な情報壁がしかれている。これを突破するにはバックグラウンドで処理した場合約465400秒の時間を要する…」




45 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/05(月) 00:07:15.62 ID:IsnQjFo50
「5日と9時間ちょっと、ですか…出来れば長門さんにお願いしたいのですが」

「…すでに干渉を開始している…残り464982秒」

「そうですか…今回ばかりは待つしかなさそうですね」

そう言いながら古泉は両手の掌を天に向けながら俺を見る

「しかし気になるのは、この名前の横の数字だな…」

「えぇ、残り。とは何を指しているのか現段階では検討もつきません」

あのぅ…そう言いながら申し訳なさそうに朝比奈さんが発言する

「もしかしたらコレって涼宮さんの能力に関係があるんじゃないでしょうか…?」

「だとすると彼の横の数字に説明がつきません。この数字は涼宮さんと彼に共通している何か、を示しているのではないでしょうか」




48 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/05(月) 00:08:52.85 ID:IsnQjFo50
うぅと朝比奈さんが俯くのを横目で見ながら考える

(ハルヒと俺の共通点ねぇ…)

考えれば考えるほどハルヒと俺は、根底の部分からいって違う気がしてくる。もしかしたら体を構成する元素からして違うんじゃないかとさへ思える程だ

「やっぱりわからんな…」

「仕方ないですね…とにかく長門さんが情報壁を突破するまで待つしかなさそうです。一応上の人間も涼宮さん周りの警備を強化するつもりの様ですから、そちらは多少安心しても大丈夫だと思います」


そう言った後、とりあえず今日は解散にしましょうとの古泉の言葉を合図に俺達は帰り支度をはじめる。




49 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/05(月) 00:09:41.82 ID:IsnQjFo50
「あなたもくれぐれも気をつけて下さいね」
長門と一緒に校門を出ようとした別れ際。
古泉のその言葉が嫌に恐ろしく感じた



「なぁ長門、コレってやっぱり俺も危険なのか?」

「そこそこ」

「そうなのか…はぁ、まためんどくさい事になったもんだ…」

「…」

「ところで長門」




50 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/05(月) 00:10:37.59 ID:IsnQjFo50
「なに」

「お前のそのハッキング?逆探?まぁなんでもいいが、お前のその行為を妨害できるほどの輩ってのは実際少なくないのか?」

「その質問であるなら相対的に見る場合、答えは極めて少ない」

「朝倉みたいにお前の仲間の暴走ってのはあるか?」

「ない。あの事件より情報思念体は更に統制命令の強化を行った。少なくとも後一年、我々から行動を起こす事は、ない」

うーむ、全くもって分からん
仮に長門並みのハイスペックな奴がいるなら、なぜそいつはわざわざ俺にメールを送って来たのだろうか?
まぁ、どうせ考えたってこれ以上の事は分からんな


「それじゃあな長門」





53 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/05(月) 00:11:41.83 ID:IsnQjFo50
そうこう考えてるうちに別れ道に着いてしまった
これから家までの道のりが長門無しで少し怖いが仕方ない


「…」

長門はチラリと俺を流し目で見るとそのまま自分の家の方へ歩きだしていった

「はぁ…………」

いつにも増して重い溜め息がでるが、自分の命が関わっているかもしれんのだ、こればっかりは多めに見てもらいたい




54 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/05(月) 00:12:40.98 ID:IsnQjFo50
帰り道、俺はハルヒと自分の共通点を考えてみる事にした

「…人間…生きてる…寝る…目が二つしかない…二本足…」

やはり、どんなに考えてみても原始的な所まで戻らねば、ハルヒとの共通点なんか見当たらない俺はやっぱり普通の人間なんだろう

心底ホッとしてると20mほど前方の角から突然ヌッと悪魔が顔を見せた
「うぉ!?」
俺のホッとを返せ

「あ、あれ?キョンじゃない!なんでアンタこんな所にいるのよ?1人?」

「丸々そのセリフをリバースしてやる。ここは俺の帰り道だ」

「そうだったかしら?まぁ丁度いいわ!今からロケ地の下見に行くからアンタも付いて来なさい!嫌とは言わせないわよ!」




55 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/05(月) 00:13:35.79 ID:IsnQjFo50
どうにかしてコイツに狙われの身かもしれない事を伝える方法はないだろうか…

「どうしたの?早く来なさいよ!」

「へいへい」

「へいは一回よ!」

「へい」

「うん!よし!」
心なしか、いつもより笑顔が輝いている気がするが、俺は騙されない。山の天気よりコイツの機嫌が変わり安いのは嫌というほど知らされてる
まぁ、1人にするよりはいいだろう…
全く…やれやれだ


「さっきまでどこ行ってたんだハルヒ?」

「へ?交番に決まってるじゃない」


コイツの辞書から 懲りる と言う字を破いた奴、今すぐ出てこい、そこの車道にそっと背中を押してやる

「よく逮捕されなかったな。いや、何故逮捕しなかったんだ!」




56 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/05(月) 00:14:39.56 ID:IsnQjFo50
「うるさいわね。昨日と違う交番に行ったに決まってるでしょ!」

「で、貸してくれたのか?」

「うっ……」

「だろうな…」

「今日のポリ公は気が弱そうな奴だったからいけると思ったのよねぇ…」

「お前ポリ公って…」

「なによ」

「いや…なんでもない」

お前はドラマの見過ぎだぞ

「ところでだなハルヒ」

「なによ」

「お前最近なんか変わった事ってなかったか?」

「変わったこと?なによそれ」


「例えばだな」

「例えば?」




57 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/05(月) 00:15:38.63 ID:IsnQjFo50
「例えば…クラスメートに放課後、教室に呼び出されたと思ったら、実はそいつは自分の命を狙う宇宙人だった………とか」

「それだけ?」

「む、後はだな…急に道端の野良猫が喋ったり、おもむろに目からビームが出たりだ」

「はぁ……前々からおかしいと思ってたけど、アンタついに頭どうにかなっちゃったんじゃないの?」

「失敬な、人が心配してやってんだぞ」
「アンタが私を?なんで、そんな必要があるのよ。アンタに心配されるほど弱くなった覚えはないわ!」

「へいへい」

「へいは一回よ!」
「へい」

コイツを見ていると心配している自分が本当に馬鹿らしくなってくる。




58 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/05(月) 00:16:55.17 ID:IsnQjFo50
「で?どこに向かってるんだ?さっきからウロウロしてるだけだぞ」

「えーとそうね…まずはデパートでアイスよ!」

「下見はどうした!下見はぁ!」

「いいじゃない、だってアイス食べたいんだもん」

とびきりの笑顔でそう言うハルヒに一瞬見とれてしまったのは内緒だ




60 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/05(月) 00:18:11.43 ID:IsnQjFo50
「うーん!やっぱりチョコミントが一番よね!」


当たり前の様にアイスは俺の財布から召還される。最近本当に懐が崖っぷち恋に落ちる5秒前なのだが、珍しくもハルヒのご機嫌が右肩上がりなので、まぁよしとしよう


「残念だがハルヒ、至高は俺のチョコクッキーだ。チョコミントなんてまだまだお前もお子ちゃまだな」

「アンタは本当にバカねぇ、まさかチョコミントが歯磨き粉の味がするなんて、とち狂った事いってる輩じゃないわよね?」

「残念だハルヒ、やはり俺とお前は相容れぬ様だ」

「ダメよキョン!我がSOS団にチョコミントを愚弄する人間はいらないわ!克服しなさい!ほら!ほら!」

「や、やめろ!そんな歯磨き粉の塊が食えるか!寝る前にちょっと口に入れて吐き出す程度で充分だ」
ハルヒは俺の顔にアイスをぐいぐい押し付けてくる。そこは鼻だ

「もぅ!……まぁいいわ!その内死ぬほど食べさせて克服させてあげるわ!」

「俺が克服したからってどうなるんだ全く…」

「うるさいわね、自分が好きな物否定されるって、なんか嫌じゃない。それよりアンタのもちょっと寄越しなさいよ」

「あ!おい…」




61 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/05(月) 00:19:10.64 ID:IsnQjFo50
ハルヒはパクりと一瞬で俺のチョコクッキーの3分の1を持っていってしまった
俺のチョコクッキー…


「持ってかれたぁぁ」

「ふぅん、まぁまぁ美味しいじゃない、見直したわ。チョコクッキーを」

「く…。それより関節キスだぞ」

「はぁ?あんた小学生でもあるまいし何言ってんのよ」

「あぁそうですかい」




63 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/05(月) 00:20:09.97 ID:IsnQjFo50
口調の割に嬉しそうにしてるハルヒに、どうも調子が狂う。どうやら今日は本当に機嫌がいいようだ



その日はその後も一向にロケ地らしい場所に行くでもなく、ひたすらハルヒの行きたい場所に引っ張り回され気が付くとすっかり暗くなっていた


「ん……、たまにはブラブラ遊ぶのも悪くないわね」

人通りがまだ多いスクランブル交差点。
買い物袋を持った右手を天に突き上げ伸びをするハルヒを後ろから眺めながら俺は、普通にしてれば可愛いもんだな…と不覚にも思ってしまったのは嘘ではない


「肝心のロケ地はどうすんだロケ地は。合宿は明々後日の金曜からやるんだろ」
「まぁなんとかなるでしょう!その変は超監督のあたしに任せなさい。キューブリックもビックリのロケ地を見つけてあげるわ」

「火星にでも連れてく気なのかお前は…」




65 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/05(月) 00:22:04.96 ID:IsnQjFo50
ピロリロリーン

その時だった
突然ブレザーの右ポケットに入っている俺の携帯が鳴り出す

「アンタ携帯鳴ってるわよ」

「あぁ…」
流石に少し遅くなり過ぎたか…多分親だろう
俺はハルヒに持たされていた荷物を一旦横断歩道の白線の上に置き、右手で携帯を開く







五秒後
避けろ
守れ!







!?
例の送り主だった。避けろ!?五秒後!?




67 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/05(月) 00:23:22.43 ID:IsnQjFo50
一体いきなりなんだって…


!?
「キョン?」



ハルヒの声に顔を上げたその瞬間


猛スピードでこちらに突っ込んでくるワゴンがハルヒの頭越しに見えた




「ハルヒ!!!!」

俺は反射的に動いていた。そうするのが当たり前の様に




69 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/05(月) 00:24:17.84 ID:IsnQjFo50
時間がスローに感じた


それは某アクション映画まさにそれだった。



右足を踏み出す


左手を自分ができる最大限に伸ばす


間に合ってくれ!


距離3メートル
荷物も何も気にしない
せっかく買ったが仕方がない、今はそれどころじゃ…!それどころじゃない!




71 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/05(月) 00:25:24.29 ID:IsnQjFo50
ハルヒが不思議そうに俺を見ている


俺はハルヒの瞳に映る自分の姿を垣間見ていた





「きゃっ!?」
俺の後ろ僅か10センチ

ブレザーが勢いよくはためく

ハルヒを抱え、半ば押し倒す形で俺の体をクッションにする様アスファルトの横断歩道に倒れ込む。
五秒前まで抱えていた荷物が次々に地面に激突し、後方では、ワゴンが俺達を避けようとして壁にぶつかったであろう衝突音が辺りに響き渡たった



「キ…キョン!?」
むくりと頭を上げたハルヒは一度車の方に顔を向けた後、何があったのか理解したのだろう、また俺の方へ顔を向け心配そうに俺の瞳を覗き込む




72 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/05(月) 00:27:12.99 ID:IsnQjFo50
「だ…大丈夫か?ハルヒ…」

「あ、あんたこそ大丈夫なの!?」

幸いハルヒに目立った怪我はない。俺も少し頭を打っただけで済んだようだ

「あ、あぁ…なんとか無事みたいだ」

「そう…よかったわ」

そう言うハルヒの顔は今にも泣き出しそうだった。こんな表情のハルヒは始めて見る

「大丈夫ですか!?」

「あ…はい。なんとか大丈夫みたいです」

近くにいたサラリーマンらしき男性が駆け寄ってきて起きるのに手を貸してくれる。
車の方を見ると運転手が降りて、走ってこちらに向かってる最中だった。顔が青ざめているのが遠目からでも分かる

ふと耳元でサラリーマンが囁く

「一樹の機関の者です…近くに組織の病院があるので案内します」

サラリーマンそう言って俺から顔を離しニコリと微笑んだ




73 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/05(月) 00:28:13.74 ID:IsnQjFo50
「アンタなんであんな無茶すんのよ!」

病院のロビーで、ハルヒが大声で俺に叱咤する
結局あの後、運転手は俺達にひたすら謝り続け、連絡先を交換し治療費などは後日との事
完全によそ見運転だったらしい。俺達が病院に向かおうとする時には、壁に突っ込んだ車の前に既に警察が来ていて運転手に説教をしていた
「あ、気が弱い警察官!」

「おや?さっきのお嬢さんじゃないか。コレは奇遇だね、映画はもういいのかい?」

そう苦笑いする警官は俺達に、ここはいいから早く病院に行きなさいと言ってくれたので、俺達は面倒になる前にその場を後にできた




74 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/05(月) 00:30:01.00 ID:IsnQjFo50
「ここは病院だ、もう少し静かにしてくれ」

頭に包帯を巻いた俺はそうハルヒに言ってなだめる
俺の怪我はどうやらタンコブができた程度で済んだようで。ハルヒも膝を少し擦ったぐらいみたいだ
感謝しろよハルヒ


「全く!危ないじゃない!後ちょっとでアンタ吹っ飛んでたのよ!?」

「お前もな」

「わ、私は後ろにも目があるから大丈夫だったの!」

どうやらハルヒの目は二つじゃないらしい。また共通点が一つ減ったな。俺は嬉しいよハルヒ




75 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/05(月) 00:31:08.66 ID:IsnQjFo50
「それにしても迷惑な奴だったわね!せっかく…」

お前がそれを言うのか…

「まぁなっちまったもんは、仕方ないだろ。それに2人とも大したケガじゃなかったんだから、よしとしようぜ」

これで合宿も中止になってくれたら+-0だ。いや、むしろ+だな

「ちゃんと金曜までには治しなさいよね!スケジュールは何があっても変更不可なんだから!」

「…………」



そうこうしている内に時計は9時を回っていた
流石にハルヒの親も心配してんじゃないか




77 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/05(月) 00:33:22.07 ID:IsnQjFo50
「よし。それじゃあそろそろ、お前は帰れ。あのサラリーマンの方が送ってくれるらしい」

チラリと自動ドアの横に立っているサラリーマンに顔を向ける

「ア、アンタはどうすんのよ」

「俺は親が迎えに来るんでな」
嘘だが

「ふぅん…そう。分かったわ。くれぐれも悪化させるんじゃないわよ!」

ハルヒはそれだけ吐き捨てると自動ドアの方へスタスタと歩いて行った

後ろ姿を見送りながら、別れ際古泉に言われ言葉を思い出す
「くれぐれも気をつけろ…ね」




79 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/05(月) 00:34:18.53 ID:IsnQjFo50
自動ドアから出る際、ハルヒは一度だけこちらを振り返り、少しだけ怒った機嫌の悪そうな顔を見せた

「やれやれ…」

今日一番の溜め息と共に俺は肩を落とす。

「おやおや、流石に疲れたご様子ですね」

「いつもの事だ」

ソファでうなだれている俺にどこからか現れた声が降りかかる

全く…呑気なもんだ




81 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/05(月) 00:35:23.20 ID:IsnQjFo50
「いやはやスミマセン…残らせてしまって。今夜はこちらに泊まってもらって結構です。ご家族にも連絡してあります」

「それは有り難いね。今日はクタクタだ…ハルヒに放課後引っ張り回されたもんでな」

「ワゴンに突っ込まれるよりは、些かマシかと思いますがね」

俺に睨まれフッと古泉は笑って謝る

「おっとスミマセン、笑い事ではなかったですね。」

「当たり前だ。ところであのサラリーマンは何なんだ?なんともタイミングよくお出ましになったが」

「……彼は部活の時に話した……警護の方ですよ。涼宮さんのね」

「やっぱりか…」

「普通なら彼が涼宮さんを助けるべきだったのですが、いかんせ急過ぎたもので…それにすぐ傍にアナタがいたのもあって躊躇してしまったのでしょう。彼も申し訳ないと悔いていました。僕からも謝ります」




82 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/05(月) 00:36:14.81 ID:IsnQjFo50
「まぁ、それはなっちまったもんだ、仕方ない。それよりな古泉」

「はい」

「コレを見てみろ。ワゴンが突っ込んでくる5秒前に来たメールだ」

携帯に視線を移した古泉の表情が険しくなる

「またですか…それにコレは…」

「あぁ。そいつは多分俺とハルヒの行動を知っている。それに恐らく…」




83 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/05(月) 00:37:12.83 ID:IsnQjFo50
「未来を………ですか?」

「あぁ。もしあのままメールが来ないでハルヒと話し込んでいたとしたら、俺は車には気づかなかったよ…」

「そうですか…確かにアナタを尾行していたとしても、暴走する車を視認した後メールを送ったのでは遅すぎますからね…」

そうなのだ。例え、もし真上からヘリで見ていたとしても、とても間に合う様なタイミングではなかった…運転手と差出人がグルとも考えたが、リンスインシャンプーがイマイチ思い浮かばない
それならば答えは2つしかない。

差出人は未来を予知出来る超能力者か

もしくは過去を知っている未来人か


「仮に差出人が未来を知っている者だったとして。なぜアナタにメールを送ったのでしょうか?」

「さぁな。大方ハルヒに死なれちゃ困るんだろうよ、お前達も同じなんだろ?」




85 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/05(月) 00:38:04.20 ID:IsnQjFo50
「えぇ…確かにそうですが、それならばそうと前もってアナタに危ないとハッキリ言えば済む話しだと思うんです。それをわざわざこんな回りクドくしている…それで一つ仮説を立ててみました」

「仮説?」

「はい。」

古泉の表情からあまりいい予感は感じられない。古泉も口に出す事を躊躇してる様だった

「僕の仮説が正しいなら、恐らく…恐らく犯人は………」

引くな。CMでも跨ぐ気か。次週また、とかだったら怒るぞ




90 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/05(月) 00:42:19.61 ID:IsnQjFo50
「恐らく犯人は朝比奈…朝比奈みくる」

「は?」

なにを言っとるんだお前は朝比奈さんが犯人な訳ないだろう。朝比奈さんだったら直接言えば……

「ん?」

「そうです、恐らく彼女の口から直接アナタに未来の事を話すのは固く禁じられているのでしょう。もしくは言えない様、暗示でも掛けられているかもしれません」

確かそんな事を言っていた気がする…しかし、だからってメールならそれはいいのか?

「考えてみてください。回りくどい事をするのは自由が利かないゆえだとして」


未来を知っていて


アナタの行動が手に取る様わかるポジションに属し


自由が利かない人間
更にジョン・スミスを知っている




92 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/05(月) 00:44:30.96 ID:IsnQjFo50
「朝比奈みくる…それが妥当ではないでしょうか?」

朝比奈さんが俺とハルヒの命を救うために未来人を裏切ったという事か?確かに…確かに筋は通るかもしれん。だがどうにも腑に落ちん。

「じゃあ一通目と二通目にある、残り~ってのは何なんだ?俺にはコレがどうにも引っ掛かる」

「それは僕にも確かな事は分かりませんが…もしかしたら朝比奈さんが現在にいれる日数…ともとれますね。回数はメールを送れる限界の数字…」

「な!?そ、そんな素振り部活の時は全く無かっただろ。考えすぎじゃないのか?」

「どんなに考えたって考えすぎという事は、ありませんよ。特に我々の場合は…ね?」

古泉はニヤリと、いつにも増して嫌らしく微笑む
一体俺にどうしろってんだ…




94 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/05(月) 00:45:43.79 ID:IsnQjFo50
「おっと、もうこんな時間になってしまいました。そろそろ僕はお暇させてもらいます、色々やる事が出てきましたので……ね!」

腕の力で勢いよくソファから立ち上がった古泉は、自動ドアから出る間際俺に向かって言った

「安心して下さい。朝比奈さんをどうにかしたりはしませんよ」

笑顔でそう言うと自動ドアの袖に消えていった
「どうにかしたら、絶対許さんぞ」

そう独り言を言いながら俺も立ち上がり、自分の部屋に向かおうとするが、そこでハタと気づいた


あの野郎俺の部屋の番号を言い忘れやがった




96 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/05(月) 00:48:51.50 ID:IsnQjFo50




その夜不思議な夢を視た

荒廃した大地に俺は立っていた。ルークスカイウォーカーの故郷さながら、草木一つないどこまでも荒野

その茶色い世界の真ん中に俺はいる。

地面から突き出した金属片に自分の姿が映る。

幼い

10歳前後だろうか
右手を頬にあてる。目の下には泥が…
いや、顔中、体中あちこち汚れている

ーーー!



誰かに呼ばれた
女性の声
その声はどこか懐かしく、俺は声の方に振りかえ……
「キョン!!!」

俺は振り返るのを中止し、元の方角に顔を戻す




98 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/05(月) 00:49:54.99 ID:IsnQjFo50
ハルヒ?
そこにいたのはハルヒだった
しかし体は幼い
過去で会った時と同じくらいか

「ぜ――ダ―――!――かえ―――!!」

何か伝えたいのだろうか、しかしノイズが酷い

ハルヒは泣いていた
グシャグシャの顔のまま俺になにかを…




99 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/05(月) 00:50:35.50 ID:IsnQjFo50
そこで俺は夢から覚めた。どうやら携帯に着信があったらしい
薄々分かっていたが差出人は命の恩人だった



残り6日



それだけが書かれている

俺は少し考え、そして携帯の返信キーに親指を伸ばす

アナタは誰?

返って来る訳ないか…
半ば諦めながらボタンを押す

「送信!」
ピロリロリーン

「!?」

送信から一秒も経たずにメールが帰ってきた。いくら何でも早すぎだろう!やっぱり未来が分かるのか?

俺は焦る気持ちを抑えながらメールを開く

「………………え?」




103 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/05(月) 00:53:42.76 ID:IsnQjFo50
なんて事はない。なんともない。

宛先は存在しなかった。
ただそれだけだった


「ど、どういう事だよ…」

1人なのに思わず口に出してしまった…するってーとなんだ?差出人は幽霊かなんかって事なのか?
流石に幽霊の友達はまだ0だなぁ…


そんなアホな事を考えてる内に空は段々と白んできて、雀の鳴き声に負けじと何処からか鶏の鳴き声も聞こえる。
この病院そこそこな都会にあるハズなんだが…

そういえば今日は学校までいつもより時間がかかるな。




105 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/05(月) 00:56:41.76 ID:IsnQjFo50
そう考えてまだ登校する時間には早すぎるが、俺は散歩がてら白む空の下出ることにした
時計はまだ五時を少し過ぎたあたりだ。今から出発すれば遅刻という事はまずないだろう


ナースステーションにいた看護士に帰る旨を伝え、ロビーの自動ドアから外に出る。
外はまだまだ冬真っ盛り。外に出たハズなのに、まるで冷蔵庫の中。駐車場の地面の上には霜が降りていて、軽く踏むとギシギシ軋むベットのような音がする

「ほぁ…」

息が綿あめみたいだ。

やっぱり少し早すぎたかな…
凍てつく寒さに少し後悔するが別に戻る来もなかったので、体を温めるため駅の方まで歩き始める

駅まで向かう最中、夢の内容を思い出す。それにしても変な夢だったな…
普段あまり夢を見る方でもなく、見たとしても九割方忘れてしまうのに何故か昨夜の夢は鮮明に覚えている
夢の中のハルヒは、懸命に俺へ何か伝えようとしていた気がする。ハルヒのあんな顔は見たことがない…
そして、後ろの声の主は一体誰だったんだろう。得体の知れない、しかし何故かそれに不安は感じられず。むしろ心地良く




107 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/05(月) 00:57:41.07 ID:IsnQjFo50
ええい!俺は一体夢ごときで何を悩んでいるんだ

それより今大事なのは…大事なのは朝比奈さんがいなくなってしまうかも知れないって事だ。
今日学校で聞いてみようか?いや…わざわざ誰か分からない様にしてるぐらいだ。逆に迷惑になるかもしれないな…

考えながら歩いていると意外に早いもので、あっという間に駅に着いてしまった。駅の時計は丁度6時を指している。


改札を通ろうと財布を探していると、ウチの制服と同じ物を着た誰かが駅の中から出てきた。

「あ。お前なんで…」

「あ。アンタなんで…」




108 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/05(月) 00:58:30.90 ID:IsnQjFo50
ハルヒだった。
この時間ここに居るって事は、始発にでも乗って来たのか?
「昨日アンタの家に電話したら今日は病院に泊まったって言うじゃない!私に嘘つくなんていい度胸だわ!だから叱りに来てやったのよ!」

ハルヒはそう言ってそっぽを向いてしまった。

「わざわざ叱るのに始発でくるかよ。お前も暇だな…」

「う、うるさいわね!わざわざ来てあげたんだから感謝しなさいよ!」




109 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/05(月) 00:59:54.67 ID:IsnQjFo50
「へいへい」

「へいは一回!」

「へい」

「うん!」

思ったよりハルヒは機嫌がいいらしい。いつもならもっとガミガミ言われてる筈だ。

まぁいいわとハルヒはまた駅の中へと戻っていく。俺もすぐ財布を見つけ後を追う


電車の中、昨日なぜ家に帰らなかったのか問いただされたが。まさかあの後、古泉と謎のメールについて話し合いをしていたとは言えないので、そこは適当にはぐらかす。




110 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/05(月) 01:01:04.69 ID:IsnQjFo50
その後は学校の最寄り駅に着くまでの間、ハルヒのやたら擬音が多い映画第二弾の説明を右から左に受け流し、頭の中で朝比奈さんの身が危険になるかもしれない項目にチェックを入れていく

目的駅に到着し改札を出る。そこで悩む。学校が始まるまではまだ2時間近くも時間があるのだ。

「このまま学校いくか?始まるまで、まだ結構時間あるぞ」

「いいじゃない。誰もいない学校ってなんか…」

ハルヒはそう言って学校がある方角まで歩いていく。この時間なら一回家に帰ってもいいんだがな…
まぁいい。嘘ついた詫びだ。付き合ってやろうじゃないか




114 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/05(月) 01:03:32.52 ID:IsnQjFo50
案の定、門はまだ開いておらず。乗り越えられそうな柵から中に侵入する
自分の学校に侵入とは…

校庭を抜け、チラリと学校の中を覗いてみる。が、まだ教師も来ておらず完全に無人の様子だった。
まるで…
俺の脳裏にあの時の風景が浮かぶ

ふとハルヒの方を見ると、ハルヒはあの場所を眺めていた。俺とハルヒが閉鎖空間から抜け出した場所。

「ねぇキョン…」

視線をそこに置いたまま、いきなり問いかけられたので少しびっくりした




115 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/05(月) 01:04:37.96 ID:IsnQjFo50
「なんだ?」

「アンタってさ…」
「ん?」

「………やっぱいいわ!それよりどっか鍵開いてた?」

なんだ気になるじゃないか。俺には言いかけた事は最後まで言わせるくせによ。

「いや、流石に開いてなかった。」

「仕方ないわ、どっか割るしかないわね!」

何故、開くまで待つという発想が出来ないんだお前は
別段あの時みたいに緊急事態って訳でもないので器物破損は自重させる


仕方がないので部室がある旧校舎まで行くと、どうやら戸締まり担当の教師が鍵を掛け忘れたらしく簡単に中に入る事ができた




116 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/05(月) 01:06:14.25 ID:IsnQjFo50
中は外より幾分暖かい。それだけでかなり有り難かった。
部室のドアを開け俺は急いで電気ストーブにスイッチを入れる

ハルヒは俺の横で、寒い早く早くと、地団太を踏んでやがる

「うぅ~なんか寒くなってきたわ」

さっきからずっと寒い筈だが。

「アンタのマフラー貸しなさい」

「おい!」

そう言ってハルヒは後ろから、俺の右肩の上と左脇の下から両腕をヌッと伸ばし俺のマフラーを剥ぎ取ろうとする
盗賊め




119 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/05(月) 01:07:48.76 ID:IsnQjFo50
「や、止めろ!これがないと凍え死ぬ!!」
必死に抵抗
断固抵抗
「いいじゃない!アンタ男でしょ!!」
「都合がいい時だけ男にすんじゃねぇ!!」

抵抗する俺にも構わずハルヒはグイグイマフラーを引っ張り奪おうとする。
しかし俺は寒いのが本当に嫌なのだ!

俺も半ばムキになって、振り返りハルヒの手首を掴み引き剥がそう。
そうしようとした瞬間

「うぉ!?」

急に体のバランスが崩れる。ハルヒの奴、間違えて俺の足を踏みやがった。
右手でハルヒの手首を掴み左手首をハルヒに掴まれ、その状態のまま床に倒れ込む




123 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/05(月) 01:12:15.05 ID:IsnQjFo50
「キャっ!…」

昨日とは逆

俺が上でハルヒが下。とっさにハルヒの左手首を握っていた右手を離し、ハルヒの頭の後ろに回す

ドスン

鈍い音がして気づくとハルヒの上に乗りかかってた
顔と顔の間は約5cmくらいで…これは、ちょ…




124 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/05(月) 01:13:27.25 ID:IsnQjFo50
「…………………」
「…………………」

約十秒の沈黙。その間、お互い目が合ったまま。俺の右手は肘が床に付いた形でハルヒの頭を抱え込んでいて、左手はハルヒがマフラーごと両手でギュッと胸の前で握っている
そして馬乗り

「……こ、こ、これはだな。あ、頭を守ろうと…」

やっと喉から言葉が出せた。
目が合ったまま5cmの距離で会話する。
もしこれを谷口にでも見られたら、今度こそ言い訳はできまい。いや、谷口じゃなくても、この状況を見られたら言い訳はできまい。端から見れば、完全に俺がハルヒを押し倒し今にも唇を奪おうとしてる様にしか見えないだろう




125 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/05(月) 01:14:33.25 ID:IsnQjFo50
ハルヒは下から俺を見上げたまま、口を一文字にし不安そうな表情で俺の瞳を覗いている。


「……ス、スマン!…」

ようやく我に返り俺はハルヒの上から体をどける。退く際、ハルヒの両手から左手は抜け、マフラーだけがスルりと俺の首から解け、ハルヒの手の中に残る。
あーあ、ぐでぐでに伸びちまってら


「?」

ハルヒは俺が離れて尚、横になったまましばらく黙って天井を見上げている。気絶してる訳じゃないよな…?
思いのほか頬が少し紅くなってるかもしれない。




127 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/05(月) 01:15:14.23 ID:mI06rIiqO
それなんてエロゲ?




128 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/05(月) 01:15:48.36 ID:IsnQjFo50
「ハルヒ?」

俺は沈黙に耐えかねハルヒの名前を呼んでみる

「…………」

ハルヒはまだ声を発しようとしない。
気まずさもあり、仕方ないので俺は窓の外に目を向ける。そろそろ7時を過ぎる頃だ。教師も誰かしら来ただろう。
外は先ほどより太陽も昇っていて、窓に付着した朝露に光が乱反射していて眩しい。そんな事を考えていると突然、心の声が出てしまったかの様な小さな声でハルヒが呟いた。

「……やっぱり夢とは違うのよ…」




129 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/05(月) 01:17:07.88 ID:IsnQjFo50
「は?」

俺はハルヒが何の事を言ったのか分からず。思わずそう声に出る

「…うるさいわね。独り言よ!」

倒れたままキッと顔だけこちらに向けそう叫ぶと、勢いよく立ち上がり。私先に行くわ!とドアの方に駆け寄る。
ドアノブを捻り部室から出る際ハルヒは一言

「昨日は……昨日は助かったわ」

下を向いてつっけんどんにそう口を動かし

「一応礼は言ったんだからね!」

と顔を真っ赤にしてそれだけで言うと、壊さんばかりに思い切り扉を閉めて行ってしまった…


全く何なんだアイツは…。礼くらい素直に言えば言いのによ。全く。
誰もいない部室で閉められたドアを見つめながら俺は一人思い、そして呟く




「俺のマフラー…」





133 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/05(月) 01:19:16.52 ID:IsnQjFo50
その日から2日間は、夜に来る差出人不明のカウントダウンメール以外は特に変わったこともなく。放課後ハルヒによるハルヒの為の映画の構想を俺達はひたすら聞き続けるのみだった。

古泉も特別進展があった訳でもなさそうで、あまりあの事は口に出さない。
肝心な朝比奈さんはと言うと、これまた普段と大して変わってる様子もなく、特別何かを思い詰めてる感じでもない。
もしこれで朝比奈さんが演技で取り繕っていたとしたなら、俺は一生、女を信じる事は出来ないだろう


そして、金曜の放課後から二泊三日の映画合宿が始まる。
なんと合宿所は部室。学校側には内緒だ。

一通り今日の撮影を終えた俺達は、ハルヒがわざわざ何処からか持って来た布団を、机を片付け床に敷き今日の反省会を始める
ちなみに俺とハルヒはスウェット、古泉と朝比奈さんはパジャマで長門は相変わらず制服だ。風呂は運動部のシャワーを借りた。


「…だから違うわ!みくるちゃん!こう!こうじゃなくて、こう!」

ハルヒは熱心に布団の上で朝比奈さんに演技指導をしている。あぁあぁ、せっかく敷いた布団がめちゃくちゃだ




135 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/05(月) 01:21:03.34 ID:IsnQjFo50
生乾きの髪が非常にグッジョブですよ朝比奈さん。


俺と古泉は自分達の布団の上に寝転び。ハルヒを横目に肘をつきながら人生ゲームに勤しむ
長門も布団の上でいつも通り本を読んでいる。今日読んでいるのは著、筒井康隆のなんかだ

「あ、僕子供三人目です」

古泉の駒に水色のピンがもう1つ突き刺さる

「お前も頑張るねぇ」

「えぇまぁ仕方ありません…組織の仲間もカウントダウンが残り0日になったら、何が起こるのかを探るのに精一杯ですから…」




136 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/05(月) 01:22:08.50 ID:IsnQjFo50
そう小声で古泉は俺に呟く。
違う、人生ゲームの話だ人生ゲームの

「あぁ後、お前が言ってたメールを送れる制限回数だってのは多分違うぞ。昨日の夜もきたよ、残り4日だとさ」

「そうですか…こっちの方でも少し朝比奈さんの行動を調べてみたのですが、特に変わった様子も無いみたいなんです」

「それはよかった。だがこうなると…」
「えぇ完全に長門さんに頼るしかないでしょう。情報璧の突破は最後の日ギリギリになりそうですが」




137 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/05(月) 01:23:53.06 ID:IsnQjFo50
やれやれ。またいつも通り長門に頼るしかないのか…
もし長門がいなくなったりしたら俺は、長くは生きられん気がするな。

長門に目をやりながら頭にクリスマスの事件が蘇る
長門のバグとやらで世界が変えられSOS団団長涼宮ハルヒが消し去られたあの大事件。あの時長門はハルヒの能力を抽出し自分の物にして使ったと言っていた。それが可能という事はやはり長門のスペックは相当なものなのだろう。俺には詳しく分からないが漠然とそう感じる
そしてそんなとんでもない奴からのハッキングを5日間も防ぎ続ける奴の力もそれに比例するのだろう。
読書に集中している様にしか見えないが、今も恐らく長門の中ではメールの発信源の特定にその能力を最大限向けてるハズだ



長門は本から二秒ほど目を離し、見つめる俺と目を合わせるとまた読書に戻っていった。

「とにかく、メールの発信源が分からない事にはどうにもなりません。今は焦っても仕方ないのは確かですよ」

そう言った古泉は続けて、上がりですと自分の駒をゴールに置いた

人が考えてる隙に




138 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/05(月) 01:25:51.70 ID:IsnQjFo50
結局、総資金で古泉は俺に負け。朝比奈さんの補修稽古もどうやら終わったらしい
「それじゃあ、トランプ大会よ!!」

ハルヒは、はしゃぎながらトランプをケースから取り出しそう言った
勘弁してくれ

「もう一時過ぎだぞ、それに明日も早いんだろ?そろそろ俺は眠い」

ヒットラーも真っ青な性格のハルヒに、無駄とは分かりつつ自分の意見を主張してみる
「SOS団初となる映画合宿なのよ!今夜は絶対寝かせるもんですか」
普通そのセリフは男が言うもんじゃないのか。


ハルヒはやはり俺の意見など問答無用とカードを全員に配り始めやがった。もう好きにしてくれ


ピロリロリーン

残り3日








148 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/05(月) 01:44:53.37 ID:KDO9ZdGiO
翌朝、俺達は早くからハルヒに連れられ。今日のロケ地へと向かっていた
結局あの後、隣で朝比奈さんがふぁ~と欠伸をし目をくしくし擦る様があまりにもキュート過ぎて全く集中できなかったが、俺達は二時間近くも7並べやら大富豪やらババ抜きやらをさせられ。
ようやく寝ることが出来たのは三時過ぎだった。ちなみに一番早く寝たのは、もちろんハルヒお前だ
俺は前を歩くハルヒの背中を睨みつけてやる




156 :1:2009/10/05(月) 01:52:50.29 ID:KDO9ZdGiO
「ふぁ~」

隣を歩く朝比奈さんが昨日と同じ顔で欠伸をしている。朝比奈さん。そのお口に何かしら入れてもいいで…………スミマセンなんでもないです。寝不足で頭がおかしいんです

そこでパッとハルヒが振り

「着いたわ!」

勢いよく言うハルヒの後ろを見るとそこはどうやら廃れた工場あとの様だった

「着いたってまさかこの中か?」

「そうよ!アクションには最適でしょ」
得意顔で言うハルヒに俺は問いかける、あぁキューブリックもこれならビックリだよ。ショボすぎてな




159 :1:2009/10/05(月) 01:56:26.96 ID:KDO9ZdGiO
「いや勝手に入ったら怒られないか?ホレそこに書いてあんだろ」

俺の指の先には、赤でハッキリと書かれた関係者以外立ち入り禁止の文字

「大丈夫よ、きっと。ちょっと撮影するだけじゃない。減るもんじゃないわ」

「そう言う意味じゃないと思うが…」

俺の心配をよそにハルヒは錆びた門をスルッと抜け、中へズンズン入っていった

「僕達も向かいましょう」
そう古泉が後に続く。仕方ねーな全くよ…

古泉、長門に続き朝比奈さんが門を抜けようと必死になっている。どうやら胸が邪魔でつっかえてるみたいだ。ざまーみやがれハルヒ。そして長門ドンマイ




161 :1:2009/10/05(月) 01:58:11.85 ID:KDO9ZdGiO
「大丈夫ですか?手伝いますよ」
何をだ俺

「あう、すみません。ちょっと抑えてもらってていいですか?」
な、何をですか?朝比奈すゎん

馬鹿な妄想に頭を巡らせながら俺は錆びた門の端を抑える


「はぅ!」
突然、朝比奈さんが声をあげた。
「どうしたんですか!?」
見るとどうやら服を角に引っ掛けて破いてしまったらしい。




162 :1:2009/10/05(月) 02:00:14.43 ID:KDO9ZdGiO
「うぅ、どうしよう…これから撮影なのに…」
門の向こうでオロオロする朝比奈さんをなだめながら俺も門を抜ける。すんなり抜けた。当たり前だ

「ちょっと見せて下さい」

「うぅ…ここです」
朝比奈さんは裾に指を差す

スカートにはスリットが入ったように、下着が見えないギリギリぐらいまで破れていた

「あぁ本当だ、結構切れちゃってますね…でも怪我してないみたいでよかったです」

俺はそう言って上着を脱いで朝比奈さんの腰に巻く

「す、すみません…寒いのに…」

「大丈夫ですよ。それにそんな格好じゃあもっと寒いですよ」

前回に引き続き衣装はあのウェイトレスだ。寒さ対策で上は冬バージョンの長袖だが下は相変わらずのスカートなのだ。




163 :1:2009/10/05(月) 02:02:17.03 ID:KDO9ZdGiO
「うぅ…すみませぇん」

ハルヒ達に追いついて、スカートを見せながらオドオドと朝比奈さんはハルヒに謝る
「うわー派手にやったわね、みくるちゃん。怪我は大丈夫なのかしら」
予想外にも怒られなかったので俺も朝比奈さんも肩を下ろす

「あ、はぃ…怪我はないです」

「そう…うん。でも逆にナイスだわ」

「ひぇ?」

何がナイスなんだ。まさかハルヒお前。




165 :1:2009/10/05(月) 02:04:17.80 ID:KDO9ZdGiO
「うん。逆に戦闘中っぽくていいじゃない。ね?古泉くん」
「え、えぇ確かに戦闘中の壮絶な様子が伝わって来ますが…」

「という事で撮影開始よ!」

朝比奈さんが、ふえぇっと鳴きそうな声を出して俺を見る。可愛い
古泉が困った顔を俺に向ける。こっち見んな

「いや、しかしだなハルヒ。流石にちょっと走ったりしただけで、その…下着とかが見えるのはマズいだろ」
安心してください朝比奈さん。俺はマズくないですよ。むしろ美味しいですよ

「そこはカメラマンの腕の見せどころじゃない。それにちょっとくらい見えたって構わないわ!そうよね、みくるちゃん?」




167 :1:2009/10/05(月) 02:06:37.82 ID:KDO9ZdGiO
蛇に睨まれた朝比奈さんが俺に怯えて困った顔を向ける。朝比奈さんはこっち見てもいいですよ

「うぅ、下着を映すのはやっぱり恥ずかしぃです…」

「そうだぞハルヒ。そんなん上映したらまた職員室に呼び出しだぜ」

ハルヒはふんと息を巻いて

「そんなの知ったこっちゃないわ!映画に犠牲は付き物なの!なるべく映らない様にしてあげるから、やるのよみくるちゃん!」




168 :1:2009/10/05(月) 02:08:26.06 ID:KDO9ZdGiO
そう言ってハルヒは撮影の準備を始めた。
残念です朝比奈さん…やっぱり俺を頼らないでください…
こっちを向いてる朝比奈さんの涙目に目を合わせられない。

走り出した牛が止められないように、ぶっ飛んでるハルヒを撃ち落とすのは不可能なので、仕方なく破れた生地の裏からガムテープで応急処置をする。俺にはこれくらいしかできません朝比奈さん…
「じゃあシーン32!スタート!」

なにもかもを無視したハルヒの声だけが工場の中に反響した。
全く…やれやれだ…




170 :1:2009/10/05(月) 02:11:41.64 ID:KDO9ZdGiO
途中ガムテープが外れかけるというアクシデントもあったが。その後もなんとか撮影を終え、俺達は錆びた門を再びくぐり抜け工場の外をゾロゾロと帰路につく

「うーんやっぱりこんな銃じゃイマイチ迫力が出ないのよねぇ」
言いながらクルクルと指でハルヒは銃を回す。ガンマンめ。風と共に去っちまえ

「まだ言ってんのかお前は。そんな事より早く今日の買い出し班決めようぜ。流石に腹減っただろ」




172 :1:2009/10/05(月) 02:13:17.80 ID:KDO9ZdGiO
ハルヒが撮影に熱中するあまり、俺達に昼食の時間さえ与えられていなかったのだ。おかげで俺のグリコーゲンの底がそろそろ見え始め、腹は下痢なのかと疑うほどグルグルと絶え間なくなっている

「それもそうね。私も流石にお腹減ったしね。じゃあグーパーで少ない方に決まりね!」

端からみたら高校生5人が輪になってグーパーグーパー言ってるのは些かカッコ悪い気がするがまぁいいだろう
全員が輪になりハルヒの掛け声と共に二択の内どちらかを選んだ。


「グッパージャス!…………………………………はい!買い出し班はキョンと有希に決まりね!」

俺と長門以外はパー。くそ。




174 :1:2009/10/05(月) 02:15:39.34 ID:KDO9ZdGiO
「それじゃあ、あたし達は先に学校に帰ってるからよろしくね。あ、あたしはガッツリ系でよろしく」

「へいへい」

「へいは一回よ!」

「hey」

「うん!よし」

嬉しそうなハルヒをほっといて朝比奈さんに何を食べたいか聞き(ついでに古泉にも)俺と長門はスーパーへと足先を向ける。

長門は相変わらず無口なまま俺の後を影のように付いてくる
「お前は何か食べたいもんあるか?」




176 :1:2009/10/05(月) 02:18:30.15 ID:KDO9ZdGiO
何を話せばいいのか分からんので、長門が行う数少ない人間らしい行動の話題をふるしかない

「オムライス」

それだけ言うとまた黙ってしまった。一応、味への興味はあるみたいだ。
ところでハッキングの方はどうなってるのか気になったので聞いてみた

「突破まで現在残り128923秒」

そうか…それだけ言ってまた長い沈黙が訪れる。
え~と、1分60秒なんだから10分600秒だよな…ってことは1時間3600秒で…
途中で1日が何秒なのか計算するのは面倒になったが、おおよそ火曜からたった時間ってのはそんなもんかな、と考えていると不意に長門が口を開いた。自分から何か言ってくるのはホントに珍しい。獅子座流星群くらいかな




177 :1:2009/10/05(月) 02:20:27.28 ID:KDO9ZdGiO
「安心していい」

いきなりそれだけ言われ、俺は呆気に取られて少しばかり反応が遅れてしまった
「…な、何がだ?」
俺の問いに長門は足を止めこちらに向き直り、下から俺をまっすぐ見つめる。何か気に障ったのか?
まさかな。
100人いたら100人とも聞き返すだろうよ長門。だって主語も糞もないんだからよ。

「如何なる場合になろうと、あなたと涼宮ハルヒの生命の安全、及び精神の安全は私が保証する。だから。安全していい」

らしい
でもな長門




242 :1 ◆i.2tW2YWcp3s :2009/10/05(月) 18:00:03.75 ID:IsnQjFo50
「でもな長門、自分の命を犠牲にしてまで俺なんかを助ける必要はないぞ。いっつもお前を頼っちまってるが、あくまで俺とお前は対等な仲間なんだからよ」

どうやら分かったのか長門の首が僅かに上下した。そうそうハルヒもこんだけ素直なら少しは可愛げがあるってもんだ。
「アイツに少し分けてやってくれよ…」
思わず声にだしちまった。すると、今度は首を斜めに傾けそのまま静止する長門
「どうした?」

「違う」
だから何がだ長門よ
「涼宮ハルヒに分けるのではなく、私が涼宮ハルヒに分けられた」

「なんの事だ?頼むから主語を言ってくれ」




246 :1:2009/10/05(月) 18:10:28.94 ID:IsnQjFo50
長門はこう続ける
「涼宮ハルヒが所有している願望実現能力」

あぁその事か。
あの大事件の時バクを起こしちまった長門はハルヒから能力を奪い去り、それを世界改変に使った。
しかし、その事はもう済んだ話で何を今更
「でも、もうその力はハルヒに返ったんだろ?」
不思議に思い聞いてみる

「厳密に言えば殆どを返した」
そう、返したんだよな…
うん!?
今なんて言った長門よ。……殆ど?




247 :1:2009/10/05(月) 18:19:55.29 ID:IsnQjFo50
「何を言ってるんだお前は?つ、つまり…」

「私の中にまだ願望実現を行うだけのエネルギーがおよそ二回分残留している」
おいおい初耳だぞそれは…そういう事はあの時に病院で言っといてくれよな…

「説明は不要。あの後すぐ私の中の残留エネルギーには情報思念体によるロックが施された。私からのエネルギーへの干渉は不可能。よって安全」

そう言ってのけられてもな…まるで原子炉が隣家にあるような気分だぜ。

「長門……今度からはそういう事は前もって言っておいてくれ。何か事が起こってから言われたとしたら流石に心臓がもたん」

了解した。とだけ言って長門は前に向き直った。




249 :1:2009/10/05(月) 18:30:51.54 ID:IsnQjFo50
買い物を終え。ハルヒに渡す牛丼特盛りと温泉卵が入った袋を右手に、左手に古泉のカレーが入ったコンビニ袋を抱えながら部室の扉開けると。そこには古泉だけがポツリと残されて、お茶をズズズと吸っている。どうやらハルヒと朝比奈さんはいない様子だった。

「よう、帰ったぜ。ハルヒ達はどうしたんだ?」

ご苦労様です、と古泉は俺の右手にある荷物を受け取り机の上に置いた
「涼宮さん達はシャワーを浴びにいかれました」
あぁそう言えばシャワー室の電気がついてたっけな。
「お前はカレーでいいんだよな」
「えぇ。ありがとうございます」

まぁ分かるよ、その気持ち。たまに無性に食べたくなるよな。
珍しく古泉に共感しながらカレーを渡してやる。ほらよ。




255 :1:2009/10/05(月) 18:40:41.95 ID:IsnQjFo50
「長門はシャワーどうする?」
昨日も浴びていないが、お前は普段風呂に入ったりするのか?いや、いやらしい意味はない。気になっただけだ
やはり長門は首を横に振ると。コンビニ袋を机に置き、椅子の上に座りいつも通り本を開いた。

「暇になっちまったな」
いや、平和にの間違いだった

「フフ、やはり涼宮さんがいないと。物足りないみたいですね。どうです?一局」




256 :1:2009/10/05(月) 18:48:36.22 ID:IsnQjFo50
俺が頷く前に古泉は将棋盤を棚から引っ張り出し、机に置いた。どんだけやりたいだ、お前。
特に断る理由もなかったので、そのまま一局打つことにして長門の隣に腰かける。

「あ、そう言えば先ほど機関から連絡がありましてね」

ジャラジャラと駒を盤上に出しながら古泉が呟いた。

「どうやら先程、この付近から涼宮さんが力を使った痕跡が検出されたようです」




259 :1:2009/10/05(月) 18:58:14.68 ID:IsnQjFo50
そうサラッと言ってのける古泉の顔に不安の色はない。
「というか。お前ら、ハルヒが能力を使ったかどうかなんて知る手段あったのかよ」
だったら最初から言えってんだ。ったくどいつもコイツもよ
「最近、機関の研究により開発されたのですが。要は我々が閉鎖空間を感知できる能力の応用ですよ。使われる力がごくごく小さな時の場合に限り、検知できる装置なんです。
例えば、あなたが買ってくる物が牛丼ならいいのにな。とかの程度ですね。世界改変や時間の切り取り、などといった、使われるエネルギーの桁が膨大なものに関しては、まだ検知出来ませんが。まぁ地震計みたいな物ですよ」

古泉の「説明しよう!」
を最後まで聞いて、何か分かった試しは今まで一度もないが、今のは何となくなく分かった。




261 :1:2009/10/05(月) 19:07:56.88 ID:IsnQjFo50
それにしても、お前の機関とやらはその内ショッカーでも量産しそうだな。
助けてジャンパーソーン!!

「なので、あまり心配する必要はないですよ。恐らくその程度の事ですので」

そう笑う古泉の顔から、さっき買ったコンビニ袋に視線をスライドさせる。

「思う壺と書いて俺と読むのかね」

笑ってんじゃねぇよ古泉




俺が王手をかけ、古泉がそろそろ降参ですと根をあげる頃にハルヒと朝比奈さんは部室の扉を開けた。




263 :1:2009/10/05(月) 19:20:05.66 ID:IsnQjFo50
「うぅ~寒い寒い」そう言ってまずハルヒが飛び込んで、続いて朝比奈さんが現れる。

「あ、帰ってたんですか?ちょっと待ってて下さいね。今お茶いれますね」

やっぱり朝比奈さんは、お帰りもありがとうも言わず、いきなりガサゴソと買ってきてやったコンビニ袋を漁る奴とは大違いだ。
ハルヒ。お前の事だよ。


「お!分かってるじゃないキョン!」
そう言ってハルヒはバリバリと牛丼のビニールを破った

「あ、でも温泉卵じゃなくて茹で卵が良かったわ」
善意のオプションにケチつけやがったコイツ。

まぁキョンにしてはやるじゃない。それを食前最後の言葉にハルヒはモグモグと食べることのみに集中した。やっぱりお前も腹減ってたんだな




264 :1:2009/10/05(月) 19:28:49.57 ID:IsnQjFo50
その日は昨日の寝不足もあったせいか、ハルヒも11時頃には床についてくれた。寝る前のハルヒによる明日の撮影の説明を聞くと、なんと今作ではハルヒも出演するらしい。もちろん悪役で。
しかし、そこは俺の布団なんだがな。仕方ないのでハルヒの布団で寝るとする。

「ちょっとトイレ行ってくるわ」
布団を敷き直し、寝る前にトイレでも行っとくかなと俺は部室を後にした。昨日も思ったが夜の学校というのは高校生になっても些か不気味に感じるものだな。
用を済ましSOS団のアジトへと続く暗い廊下を歩いていると不意に後ろに、何かの気配を感じた。
「キョンくん」

振り返ると同時に、その気配の主が声を発する。




270 :1:2009/10/05(月) 19:39:29.93 ID:IsnQjFo50
「あ、朝比奈さん…」

朝比奈さん(大)だった。
お久しぶりですと軽く会釈する朝比奈さん(大)に俺は少々戸惑いながら挨拶を返す。
「どうしたんですか?こんな夜中に」

まぁ朝比奈さん(大)に時間もへったくれもないのだが

「私はキョンくんにあることを伝えるために来ました」

「また何かあるんですか…」

朝比奈さん(大)には悪いが、この人が現れて何か起こらなかった試しはない…




271 :1:2009/10/05(月) 19:48:53.77 ID:IsnQjFo50
まぁ朝比奈さん(大)は助言しに来てくれてるだけで、諸悪の根源は全部ハルヒなんだけどな

「で、今回はどんな既定事項を満たさなければならないんでしょうか?」
もうヤケだ。こうなったらロープレでもやる感覚でやってやる。
そう勝手に意気込んだ俺に予想外の返答が返ってきた
「分からないんです…」

………………はい?今、分からないと…
じゃあ朝比奈さん(大)は何しにここへ。
「今から2日後あなた達に何かが起きます。それをあなたに伝えるために来ました」




273 :1:2009/10/05(月) 19:57:59.00 ID:IsnQjFo50
先程までのにこやかな顔から一転して朝比奈さん(大)の顔から笑みは消えた。何かってどゆことですか。

「率直に言うと今から2日後のあなた達の未来。つまり私達にとっての過去が未来からは観測出来ないんです。【出来なくなった】のではなく【元から出来ない】んです」

「え?それっておかしくないですか?」
だって朝比奈さん(小)はこれから、その『何か』を経験する筈なんですよね?

「それは分かりません…現に私の時間平面では2日後も何事もなく、部室でメイドさんの格好をしてお茶を淹れてました。でも…」

そう言うと今度は泣きそうな顔になり




275 :1:2009/10/05(月) 20:05:58.14 ID:IsnQjFo50
「でも…それは、この時間平面とは違うんです…こんな事、他の時間平面上じゃ絶対にありえません。私達にも何が起こるか分からないんです…だから…私……私…キョンくんが…心配で……もしかしたら…って…思って無断で…来たんです…」
ついに泣き出してしまった。
(小)ならともかく、この朝比奈さんが泣き出し、更に無断で過去に来る。それだけで、それがどれほどの事態なのか俺には容易に想像できる

「泣かないで下さい朝比奈さん。あなたのせいじゃ、ありませんよ。それに俺達も2日後に何かあるのは知ってましたから」

俺の言葉を聞いた朝比奈さんはピクリと何かに反応し、泣き顔から急にキョトンとした顔に変化した。
「今…なんて?」

「はい?だから泣かないで下さい、あなたのせいではないですと…」

「違います、その後です」

「えと、俺達も2日後に何か起きると知ってると…」

朝比奈さんの目が見開かれる。まるで朝比奈さん(小)みたいに、え?え?なんで?と何やらあくせくしている。




283 :1:2009/10/05(月) 20:26:29.23 ID:IsnQjFo50
「い、一体どうしたんですか?4日前の火曜に話したじゃないですか。メールが来たって」

それは朝比奈さん(小)にだが。
昔の事すぎて朝比奈さん(大)は忘れてしまったのだろうか?

「私…私……私そんなの知らない…」

「え?」




朝比奈さんの目は俺の方を向いてるが焦点は完全に、俺の遥か後ろに合っていた。
俺はそのまま何かを考え込んでいる朝比奈さんに、月曜の深夜から毎日きているメールについて説明したが、朝比奈さん(大)は完全に覚えがないらしい




284 :1:2009/10/05(月) 20:35:51.84 ID:IsnQjFo50
「や、やっぱり何かが変わってるんだ…私のいた時間平面と…どうしよう…なんとかしなくちゃ…」
そう独り言のようにぶつぶつ呟く朝比奈さん(大)は、差出人のアドレスを教えて下さいと俺に迫り。開いた携帯にパッと目を通すとすぐに、有り難うございますと俺に返還した。
今の一瞬で覚えたのか…

「それじゃあキョンくん。私はやることが出来たので未来に帰りますね。キョンくんは何があっても私が守るから安心してね」

今度はきっちり俺に焦点をあて。それじゃあねと廊下の曲がり角へ退場しながら朝比奈さんは俺に言った。

「朝比奈さん!」

追いかけ、角の向こうを覗くが既に朝比奈さん(大)の姿はなかった




286 :1:2009/10/05(月) 20:45:57.55 ID:IsnQjFo50
俺の顔がよほど暗かったのか。部室に戻った俺に古泉が心配そうに問いかける
「随分と長かったですね。大丈夫ですか?」

「大丈夫だ。悪かったな」

適当にはぐらかし、俺はハルヒの横でスヤスヤと眠る朝比奈さんを見つめながら、心の中で言った


「朝比奈さん。無茶しないで下さいよ…」



その夜またあの夢を見た。この前と殆同じだったが後ろの女性の声が、いやに近づいている気がした。でも振り返る前にまた俺はハルヒの奴に呼び止められるんだなこれが。








その2へ






涼宮ハルヒの憂鬱 (10)
涼宮ハルヒの憂鬱 (10)
角川書店(角川グループパブリッシング) 2009-10-25
売り上げランキング :


Amazonで詳しく見る
by G-Tools

コメント
この記事へのコメント
  1. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/17(土) 02:12: :edit
    いちげとおおおおおおお
  2. 名前: VIPPERな名無しさん #-: 2009/10/17(土) 02:12: :edit
    そんなことより野球しようぜ
  3. 名前:   #-: 2009/10/17(土) 02:14: :edit
    まだ載ってなかったんだ?
  4. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/17(土) 02:14: :edit
    3
    げと
    よし
  5. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/17(土) 02:17: :edit
    すでに見た俺は勝ち組かもしれない
  6. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/17(土) 02:39: :edit
    ひとけた?
  7. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/17(土) 02:44: :edit
    何これ…大人朝比奈さんがかわいい…。 7ゲト
  8. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/17(土) 03:00: :edit
    早く見たから偉いんやない
    ぷん太で見たから偉いんや
    ワイが勝ち組や
  9. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/17(土) 03:35: :edit
    ひとけた
  10. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/17(土) 05:41: :edit
    ゲッターしね…っと。

    上手すぎる・・・小説家にでもなるんじゃねーかこれ
  11. 名前: 通常のナナシ #HSo7gLBY: 2009/10/17(土) 06:14: :edit
    お、ついに来たか
  12. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/17(土) 06:23: :edit
    なんかコメ欄が痛い
  13. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/17(土) 08:57: :edit
    漫画本編でキョンが表紙になってるの初めて見た
  14. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/17(土) 09:12: :edit
    長すぎ
  15. 名前: 名無しの柴犬さん #-: 2009/10/17(土) 09:41: :edit
    アニメでしか知らんのだけど
    原作でもハルヒってこんなに基地外さんなの?
  16. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/17(土) 10:16: :edit
    長いとか言ってるゆとりは生徒会の一存(笑)でも見てればいいとおもうよ
  17. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/17(土) 11:37: :edit
    「へいへい」
    「へいは一回!」
    「へい」

    このやり取り何回すんだよwww
  18. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/17(土) 15:04: :edit
    ハルヒのウザさがよく出てるな

    こういうのは「長い」では無く「読みごたえがある」部類だな
    ちょっと文章に違和感を感じるが、SSにそこまで求めても仕方無いし
    その2にも期待してこれから読ませてもらうとしよう
  19. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/17(土) 22:50: :edit
    「hey」が不意打ちすぎだw
  20. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/18(日) 03:45: :edit
    ジャンパーソン・・・わかるやついるのかよ・・・。
  21. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/18(日) 13:12: :edit
    長門はハルヒの能力を奪ったんじゃなくて使ったんじゃないのか
  22. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/18(日) 23:17: :edit
    なんだシュタインズゲートか
  23. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/19(月) 01:52: :edit
    本物の銃使うって言った時点で萎えた。キャラ設定しらないなら書くなよ。
  24. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/19(月) 14:35: :edit
    グッパージャスって初めて聞いた
    ローカルネタを入れてくるとは…

  25. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/19(月) 15:17: :edit
    グッパージャスってローカルだったのか
    知らんかった
  26. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/19(月) 22:56: :edit
    ストーリーは面白そうなだけに、
    キャラ設定や原作設定を無視している(知らない?)ところが
    ちょこちょこ気になるな
  27. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/21(水) 03:05: :edit
    こりゃ上手い
    原作テイストが出ててよいね
  28. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/11/02(月) 17:59: :edit
    空気読まずに投下
    最寄の駅から学校まで歩いて40分はかかる。
    あと北高は毎朝4時に吹奏楽部が登校。
  29. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/11/12(木) 15:39: :edit
    >>28 こまけーなw
  30. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/11/15(日) 20:52: :edit
    記念カキコ
    作者さん頑張ってください
  31. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/11/16(月) 09:10: :edit
    なんかこのSSの作者電撃文庫で出版することになったらしい
    多分ほんとくさいから記念かきこ
  32. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/11/16(月) 09:15: :edit
    やったぁぁぁ!!電撃文庫にデビューできるぁぁああぁあ

    yutori7.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1258281735/
  33. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/12/18(金) 20:53: :edit
    このSS好きなんだよな
    読み応えあって、原作とうまく織り交ぜられてて、楽しくて。
    おめでとうございます。
  34. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/12/18(金) 21:01: :edit
    ※10
    予言者現る
  35. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/12/18(金) 21:23: :edit
    作者が電撃でデビューすると聞いて
  36. 名前: 774 #-: 2009/12/19(土) 03:55: :edit
    預言者すげえw
  37. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/12/25(金) 23:05: :edit
    作者が電撃でデビューすると聞いて
コメントを投稿する
c o m m e n t
p a s s
 
俺の妹がこんなに可愛いわけがない 黒猫 白猫Ver.
俺の妹がこんなに可愛いわけがない 黒猫 白猫Ver.

 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。