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忍野「阿良々木くん……君、ロリコンに憑かれてるよ」

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2009/09/27(日)
1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/15(火) 00:51:20.12 ID:h9CxOzu60
「よう、八九寺」
僕の前を、八九寺がてくてくと歩いていたので声をかけた。
会ったのは本当に偶然。
こいつと会う約束して落ち合った事なんて一度も無いし、
そもそも八九寺には家が無いわ電話も無いわで、
出会うときはいつだって、お互い町をぷらぷら歩いていた時、たまたま……という必然の偶然となる。
立ち止まった八九寺は僕の顔を見るなり、慌ててリュックの中をがさごそと漁り出す。

「…何捜してるんだ?」
「防犯ブザーです……どこにしまったかな」
「知り合いに話しかけられてブザー鳴らされるこんな世の中じゃ!」

八九寺という少女は、まあこういうカンジの生意気なガキだ。
服装も髪型もこてこてのロリロリ。髪を染めるなんて思いつきもしない、
清純な黒髪おさげが今日も可愛い。
――何て、この口の悪い少女相手に欲情するのは、きっと真性のロリコンくらいだろう。
僕はロリコンではないので、そんな事はありえない。




3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/15(火) 00:52:11.75 ID:h9CxOzu60
「年の離れた男性に声をかけられたら、その人は性倒錯者だと教わりましたから」
「お前は僕がロリコンに見えるってのかよ」
「……あえて言及はしません」
「しろよ! 腫れ物を見るような目で僕を見るなっ!」

僕は自分の事を、いたって普通の学生だと自負している。
影が薄くて得意な事も無い。汚れを知らない少女の健康的なふくらはぎを見ると
つい音の鳴らない携帯カメラで激写したくなるだとか、そういう趣味は断じて無い。
少なくとも、一年前の僕はそうだったし、先週の僕が若い男子の憤りを収める為に読んだ本には、
僕より少しだけ年をとった、乳房がふくよかなお姉さん達がいたはずだ。

「大体な、僕には一応だけど同い年の彼女がいるんだぞ」
「性の不一致のストレスを、知り合いの少女で慰める……とかですか?」
「勝手な解釈をするな! だいだい僕は……っ」

まだ体を重ねるまでの関係には至って居ない、健全で清純な彼女がいる。
彼女は僕には勿体ないくらいの完璧な女性だ。
今はまだ、そういう蕩けるような肌の触れあいを行ったという事実はない。
だが、僕も健全な男子だ。いずれは、必ず、一投入魂、百発百中、決めて見せると誓ったりもした。
そう、僕には綺麗な彼女がいて、いずれ彼女とそうなる事を望んでいた。はずだ。
なのになぜ。僕はさっきから、目の前の少女……八九寺の白いおみ足を凝視しつつ、
股間を膨らませているのだろうか。




10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/15(火) 02:10:49.94 ID:h9CxOzu60
僕は他人に待ち伏せされた経験が少ない。
10本指どころか、片手で数えられる少なさだ。
まあ、凡人が普通に生きていればそんな経験滅多にあることじゃない。
僕は喧嘩で一番目指し、日々地域の不良達に狙われる番長でもなければ、
アホ毛をバカにされている虐められっこでもない。
だから今日、僕の家の前で待ち伏せらしき行為に遭遇したとき、なぜかいい知れない高揚があった。
年下で、妹の友達で、僕の……知り合い、千石撫子が、所在なさげに髪をいじっているのを、
僕の方が先に発見したから。

「こよみお兄……ちゃんっ」

千石は僕に気づくと、まるで待ち合わせに遅れた恋人に向けるような笑顔を、ぱぁっと花咲かせた。
千石が僕を待ち伏せしていたのか、妹との約束があったのかは知らないけど。
年下の少女に、こんな笑顔で出迎えられたら……誰だってカン違いする。

「千石、どうしたんだ」
「あの……ぐ、偶然通りかかったから、その…」

偶然と申された。
千石は明らかに僕ん家の前で立ち止まり、僕の通学路、僕の通学時間に合わせて何かを待っていた。
だがそんなささいな嘘も今日の僕は受け流す。
千石撫子、現役女子中学生の、貴重な制服姿がお目にかかれたのだから。
僕は無意識に、頬をつたった涎を袖でぬぐった。




14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/15(火) 02:27:58.01 ID:h9CxOzu60
「千石、制服凄く似合ってるよ。だけどもう少しスカート丈は短い方がいい」

千石、何か僕に用か。
そう問おうとして、台詞と思考が逆転しているのに気づいた。

「こ、こよみお兄ちゃん……?」

僕の邪な視線を感じ取ったのか、千石は膝まで隠れるスカートをさらに押さえつけ、鉄壁の防御を計る。
…足を視姦されたくらいで日和るとは、何て歯ごたえの無い。
お前、この前僕の前で、麗しき現役中学生のブルマ+手ブラ姿を披露して、
児ポルノに喧嘩を売ったばかりじゃないか、と心の中で抗議しながら違和感に気づく。
僕は千石に、何を期待しているんだ?

「あの…お菓子作って来たの。こよみお兄ちゃんに、食べて貰おうと思って…」
「食べて貰おうと……思って……だと!?」
「ひっ!?」

勃起した! 少女に求愛されて、僕は勃起したぞアグネス!
いやまて。おかしい。何かがおかしい。

少女の言葉から性的な意味を強引に嗅ぎ出し、股間を膨らます事に何の罪がある?
いや大ありだろ。
罪なんて無い。それはとても自然な事だ。
僕の頭の中で、2極の背反する思考が火花を散らす。




21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/15(火) 03:00:13.65 ID:h9CxOzu60
「阿良々木くん、あなた風の噂によると……未発達な少女に片っ端から欲情してい

るらしいじゃない」

放課後、戦場ヶ原の方から、恋人らしく連れ添っての帰宅を申し出てきた。

戦場ヶ原ひたぎ、僕の彼女は淡泊だ。
最近スキンシップが少ないと突然手を繋いできたりするような甘えはないし、
愛の確認させて、と自らキスをねだるような事は決してしない。
鉄のような女性。

性的な事に興味が薄いのかもしれない。
ただ、僕の性欲に関しては、警察犬のような嗅覚を発揮して追い詰めてくるんだけど。

「何だよそれ……まるで僕が変態みたいじゃないか」
「……そうね、言い過ぎたかしら。阿良々木くん、あなた自分と同年代かそれ以上

の異性に、全く欲情出来ないらしいじゃない」
「変態っぽさがまるで消えてないじゃないか!?」
「あ、後ろに警察官が」

僕は全力で振り向く。
冷や汗ダラダラかきながらあたりを見回すが、背後には誰も居ない。計られたのだ。




22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/15(火) 03:01:32.67 ID:h9CxOzu60
「阿良々木くん、良い機会だから言っておくわ。私は恋愛に理想なんて
持ち込まない主義よ。好きな相手が実はジャニーズだったなんてサプライズは期待していないし」
「まるで普段から妄想してたみたいにリアルな例えだな」
「私より知能が著しく劣っていても、まあ許せるわ。男性が家事をする事は時代の流れだもの」
そんな先の事まで考えてません、なんて口が裂けても言えません。

「でも……ロリコンは犯罪よ。彼女としては、犯罪行為に走る彼氏を優しく諭すの

は義務だと思うの」

そう言って、戦場ヶ原は懐からどでかい鋏を取り出す。
その無骨な姿と肉圧の刃は、文房具のそれではない。
堅い食材を骨ごと断ち切る破壊力を持つ、キッチン鋏という名の凶器だった。

「優しく諭す気なんて一切感じられないよっ!?」
僕は無意識に、鞄で股間を隠し男を守った。




28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/15(火) 03:37:31.32 ID:h9CxOzu60
「もし、風の噂が本当で……阿良々木くんが真性のロリコンなのだとしたら」

鋏をジャキジャキ開閉させながら、戦場ヶ原は僕の股間に狙いをつける。
怒っていた。表情からは感情なんて一切わからない、いつもの冷静な顔だけれど。
付き合いの長い僕は理解している。彼女はやるといったらやる女なのだ。
敵対する相手の口に、躊躇無くホッチキスを打ち込むというヤンキー漫画ばりの拷問を既に僕は経験済みだ。

「罰は二通りでどうかしら。鋏で去勢するか、薬で苦痛無しに種を死滅させられるか……どっちがいい?」
「どっちも男として死んでるじゃないか!? それを僕に選ばせるっていうのかっ!」
「そうね、鋏はやり過ぎかしら。なら少し緩くして……鋏をノコギリクワガタに変更なんてどうかしら」
「猟奇性がアップしてる!? むしろひと思いに切ってくれよ!」

本当は糾弾なんて益の会話したくないのだろう、戦場ヶ原がため息をつく。
自分の彼氏が浮気したってんなら、まだ口論の余地はあった。
だが、自分の彼氏が、好いた相手が……よりによって性倒錯者で、性犯罪者予備軍ときたら。
そりゃあ落ち込みたくもなるのも当然だと思う。
大変だな戦場ヶ原。お前の彼氏として、僕も何とかしてやりたいと思うよ。
でも駄目なんだ。




29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/15(火) 03:39:18.16 ID:h9CxOzu60
「…百歩譲るとして。直腸に電球を差し込んでから、思い切り蹴っ飛ばして、
腸内をガラス片まみれにするっていう条件で百歩譲ったとして」
「一歩も譲ってねぇ!? もうヤクザ並の制裁だろ!」
「……百歩譲って、阿良々木くんが性欲に飢えているのはわかったわ。
お気に入りの金髪ツインテール本では、たぎる肉欲を制御出来ないくらいに、ね」
「おおおおぉぉぉい!! お前いつの間に僕のエロ本粗探ししてたんだよ!?」
「粗探しなんて酷いわね。そんな盗人みたいな真似しないわよ」

失礼ね、と戦場ヶ原が髪をかき上げる。
確かに、戦場ヶ原は優等生だ。
とある厄介事に関わるまでは、人当たりもよく面倒見もいい、しとやかなお嬢様だった経験もある。
彼氏のエロ本に嫉妬するなんて、そんな下世話な真似は……。

「私はただ、阿良々木くんがよく利用する本屋で待ち伏せて、
大人びた私服で偽装した阿良々木が成年誌コーナーに消えていく所を確認した後、
阿良々木くんが道ばたに捨てたレシートを拾って、たまたま知っただけ」
「犯罪だからっ! それストーカー行為! お前それでよく人に説教出来るなっ」




34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/15(火) 03:52:51.71 ID:h++8cQ340
ロリコンって怪異なのかよ




35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/15(火) 04:09:34.97 ID:j34ocnaOO
>>34
泣いた




36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/15(火) 04:23:24.73 ID:h9CxOzu60
「私の責任もあるわ。彼氏の溜まりに溜まった精を処理するのは、彼女である私の義務。
それを怠ったのは他でも無い、私だもの」
「いや、そんな義務を要求した覚えは無いけどさ…」
「そういうエロは雰囲気にこだわりたかったのだけれど……仕方ないわ。彼氏を更正させる為だもの」

戦場ヶ原は突然、僕の腕を取って走り出す。
通学路から逸れた人気の無い路地裏に僕を誘い出すと、おもむろに制服の上を脱ぎだした。

「…いいわよ 好きな所触って」
「戦場……ヶ原?」
「別に、今まで焦らしていたのは、あなたに不満があったからじゃないし、
私にそういう欲求が皆無だったわけでもない」

誰がのぞき込むかもわからない道ばたで、戦場ヶ原ひたぎの、
学園では深窓の令嬢扱いされていたアイドルの、
僕がはじめて会ってから、ずっと気になっていた女の子の、まぶしいくらい白い肌がむきだしになった。

薄暗い路地裏であらわになったのは、嘘みたいにくびれたモデル並のウエスト。
いまだブラジャーに囲われた、手に吸い付きそうなくらい柔らかそうな胸肉に、僕の視界が縫い付けられる。

「今までは機会が無かっただけ。今回は雰囲気も何もないけど……阿良々木くんを

更正させるには、これしかないもの。だから…」
「戦場ヶ原っ!!」




39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/15(火) 04:31:49.83 ID:h9CxOzu60
僕の大声が予想外だったのか、戦場ヶ原は肌を露出させたままびくりと体を震わせる。
頬を赤らめる戦場ヶ原は、とんでもなくレアだ。表情だけでも記録したい程に。
僕は上着を戦場ヶ原にかぶせて、

「こんな所でいきなり脱ぎ出すなよ。風邪引くぞ」
「………………何、その普通な、童貞あるまじき反応」

僕の反応があまりに意外だったのだろう。
少年誌で口にすれば20週くらいで打ち切られるであろう少年への差別用語を呟きながら、
戦場ヶ原が口を開けて驚愕していた。
この表情もレアなので、撮ったら高く売れるかもしれない。
まあ、僕は良識人なので、女の子にしか売らないけど。

「最初に出会った頃は童貞で、きっと今も童貞のままな阿良々木にあるまじき余裕ね」
「別に普通だろ。それと差別用語を連発するのはやめろ。カットされるぞ」

嘘でもなく虚勢でもない。
実際、僕の男の部分には何の反応もない。戦場ヶ原の半裸を目の前にして、だ。
外見は美少女の戦場ヶ原は中身もすばらしく美少女だった。
一ヶ月前の僕なら、きっと前屈みだろう。
一週間前の僕でも、帰ったらパンツを洗ってる思う。
じゃあ……一体いつからだ?




41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/15(火) 04:34:23.92 ID:h9CxOzu60
屈辱だわ、と歯噛みする戦場ヶ原。
「阿良々木くん、私と助平な事、したくないの?」
「いや、別に」
「………っ!?」
雷鳴に打たれたかのようなショックを全身で表現し、戦場ヶ原はがくりと崩れ落ちる。
「ま、まさか……阿良々木くんは、この下着の下に隠された二つの果実を、
見たいとは思わないというの?」
「僕だって場所をわきまえるさ。お前っていう彼女も出来て、余裕も出来たし。
女性の下着くらいで」

突如、僕の耳が異常を察知する。
近くで聞こえる、小さい少女二人の笑い声。
昔の僕ならスルーしていた、未発達を称する幼き声。だが今の僕は聞き逃さない。
今なら……1km先の幼女の戯れでさえ感知してみせる――っ。




42 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/15(火) 04:37:08.14 ID:fGFJGIezO
このちゅらら木さん真剣に危険人物wwww
ストライクゾーンが広いだけの人だったはずなのに…どうしてこうなったww




43 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/15(火) 04:44:38.81 ID:h9CxOzu60
突然、僕の前髪をかき上げる突風。

――――ここだっ!

神速の動きで首を動かし、ターゲットを視界に入れる。
この距離でなら、逃さない……逃したくないっ、逃すものかっ!

「きゃぁ~~!?」
「やぁ~~ん! な、何でミニスカートの時に…っ、み、みえちゃ…っ!?」

小学生。ランドセル。幼い少女の。縞々パンツを、僕は全力で網膜に焼き付ける。

「阿良々木くん」

はっとする。
冷たい、僕の心臓を一瞬凍結させる氷点下の呼びかけに。
まずい……まずすぎるっ。戦場ヶ原に見られた。
一番見られたくない恋人に、一番怒らせてはいけない魔女に。




45 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/15(火) 04:50:52.29 ID:h9CxOzu60
ちょっと際どいエロ本の趣味を見つかるより数段重い――
よりによって。なぜそんな行動を取ったのか、実は僕にもよく分からない。
最近の事だ。

巨乳物のエロ本に興味が無くなり、裏山に捨てた。
その代替として、僕はロリータ物のおかずを求めるようになっていた。
理由はわからない。突然わき出した本能に、理由なんてつけられない。
なぜステーキがおいしいか。どうして二次元の恋愛ゲームにはまれるのか。
そんな理由知らなくても、おいしいし、楽しい。
それと同じ感覚で……僕はロリータにハマった。

ロリータといっても、店で売っているロリは合法だ。
見かけが幼く見える成年が、スクール水着やブルマを着用しロリに見せかけるという、偽善に満ちたもの。
そんな物では全く満たされず、数回楽しんだあと激しい虚無感に襲われ裏山に捨てた。

そして最悪な事に。ロリ風ビデオを捨てて帰宅していたその日。
その裏山に捨ててあった宝を……真性児ポルノを見つけて、見つけて、僕は。

「阿良々木くん」

戦場ヶ原は、笑っていた。
付き合ってからはじめてみる、極上の柔らかさを持つ微笑み。
女の子からこんな笑みをされたら、誰だって舞い上がるに違いない。
彼女を知らない男なら、きっと骨抜きにされる。

彼女の黒い性格を身をもって知る僕は、きっとペンチで脊髄まで抜かれるだろうと、死を覚悟した。




67 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/15(火) 05:29:03.06 ID:h9CxOzu60
「ひとつ聞きたい……」
「被告人、阿良々木さん。発言をどうぞ」

縛られて身動きの取れない僕を、八九寺が遠距離から棒でつつく。
千石はうなされる僕に『痛くない?』と気を遣ってくれる。
一番落ち着く自室で、生涯最も窮屈なこの状況。
僕の中で千石株が20円高に。

ちなみに、今の僕は優しい少女もツンデレな幼女も、どちらでも一向に構わない。
どちらか一方を選ぶなんて出来ない。

「…誰が戦場ヶ原に報告したんだ」

恋人のロリコンを治すために、僕の歯を奥歯まで残らずペンチで抜いた戦場ヶ原悪魔は今ここには居ない。
忍野を呼びに行ったのだ。
だから、ここにいるのは病気の僕を見張る2匹のロリと、
自室に生ロリを連れ込んでいるというこの状況でなぜか甘勃起している1匹のロリコンのみ。

「私がちくりました」
「お前かっ!」
「収入源の無いお子様な私に『お前のパンツなら高く買ってやる』と息を切らす阿良々木さんに
生パンツを売った代金で買ったのが、この飴なのだと説明しました」
「全部残らず嘘じゃねえかっ! しかも安っ!?」




72 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/15(火) 05:35:04.79 ID:ulqrOf9mO
歯を抜くのはエグいな…
原作でもありそうだから困る




79 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/15(火) 05:50:33.83 ID:h9CxOzu60
「でも、阿良々木さんが私の汚れを知らない柔肌をじろじろ見ていたのは事実じゃないですか」
「ならその事実をありのままに話せよっ!」
「どっちにしろ変態な事には変わりませんよ」

「お前がねつ造しなければ、僕が戦場ヶ原に抜かれる歯は前歯だけですんだかもしれないんだぞ。
奥歯をペンチのみで引っこ抜かれる痛みを想像してみろっ」
「きゃっはははははっ!!」
「爆笑してるうううぅぅ~~!?」

遠慮無く僕を貶める八九寺に、千石はどうしていいかわからず、ただおろおろしていた。
そう、千石や戦場ヶ原は、八九寺の姿を認識している。
八九寺は、以前は僕にしか見えない、僕だけの地縛霊だったのに。

「い、今変な事考えましたね!? おまたの辺りがきゅん♪ ってしました!」
「か、感じてるぅ――!?」

僕はおまたの辺りのきゅんきゅんを隠す為、うつぶせになる。

「つーか、お前、僕以外の奴には見えないんじゃないのか」
「レベルアップしましたので」
「何のだよ何の。一日中町で何をして、何を倒したら設定改変出来るんだよっ! 何か色々と厨っぽくなっちゃうだろ!」
「暇な時はかかさず、阿良々々々々々々々々木ぃ!(蕩ろけちまいな!)さんの名前を覚えて経験値稼いでいました」
「さっそくありえない間違え方してるじゃないか!! っていうかスタンド攻撃!?」




86 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/15(火) 06:14:19.63 ID:h9CxOzu60
「とにかく、阿良々木さんは少しやりすぎました。児ポルノ的にイレギュラーです。そのまま少し反省していて下さい」

反省。そう、僕は反省せねばならない事をした。
だからこうして縛られる事を受け入れた。
むしろ、もっと強く…もっと肉に食い込むくらい、きつく縛ってくれてもいいくらいだ。

友達の八九寺を、視線で傷つけた。
妹の友達で、僕をお兄ちゃんと呼ぶ妹分の千石を、部屋に連れ込んで大事な部分を傷つけようと企てた。
そして、恋人のちぎりを交わし、愛し合うと約束したはずの戦場ヶ原をきっと傷つけた。

縛られて動けない僕の手を、千石がきゅっと握ってきた。
「こよみお兄ちゃんは悪くないっ……悪くないよっ!」
「千石……」
「こよみお兄ちゃんは悪い事なんてしないもん……っ! さっきだって、ひとりぼっちの私に
『家に誰もいないから、部屋に来ないか』って遊びに誘ってくれたものっ!」
「それ連れ込まれてますっ! 知らない大人についていくなって教わりませんでしたか!?」
「こよみお兄ちゃんは昔から知ってるもんっ」
「顔見知りの犯行!?」




89 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/15(火) 06:19:13.68 ID:h9CxOzu60
「私、さっきのお姉さん……戦場ヶ原さんに、聞いたよ……
こよみお兄ちゃんのかかってる病気のこと。放っておくと酷くなる、怖い病気なんでしょ?」

「…ああ、そうだ。不治の病らしい。だから千石……お前の手で、治してくれないか?」
「私に任せてっ! 私、こよみお兄ちゃんの為なら、何でも……っ」
「じゃあ、まずは……僕のここを優しく……いや強くっ! 時に優しく、さすってくれないか?」

八九寺は宙高く飛び、落下の勢いで僕の頭を踏みつける。
子供のくつしたの肌触りって、どうしてこんなに気持ちいいのだろう。
っていうか後頭部よりも、鼻を踏みつけて欲しかった。

「そんなとこさすったら、悪化しますからっ! ってあなたも本気でさすろうとしないで下さいっ!
……ひぃ!? 阿良々木さん、何くつした嗅いで恍惚とした顔してるんですか――!?」

ごめん、戦場ヶ原……僕は、病気だ。




101 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/15(火) 07:11:20.68 ID:h9CxOzu60
「あの、こよみお兄ちゃん……ひとつだけ、聞きたい事があるんだけど」

千石は頬を赤らめて、もじもじしながら問う。

「その、こよみお兄ちゃん、お兄ちゃんなのに……
私で、えっちなこと……したいの? 彼女、いるのに」

千石は恥ずかしさのあまり、うつむいてしまう。
中学生には少し刺激が強すぎたらしい。
きっと普段千石の周りには、女子中学生に欲情する年上が居なかったのだろう。
それが普通で、今この部屋が異常というだけなのだけど。

「千石、よく聞いてくれ。僕はついこの間まで、お前のことを、何て言うか、

妹みたいに思ってたんだ。放っておけないっていうか…」

千石の表情が、少しだけ沈んだように見えたのは僕の勘違いだろうか。




102 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/15(火) 07:12:06.46 ID:h9CxOzu60
「でも、今日改めて千石を見て気づいたんだ…僕は千石が」
「……っ! こ、よみ……お兄ちゃんっ」

この状況化でも、千石は僕の手を離さない。握った手から、震えが伝わってくる。
緊張か、恐怖か、気持ち悪いと思われているのかもしれない。
でも、千石は僕の手を離すどころか逆に強く握りかえしてくれた。

「聞かせて……続き、聞きたいのっ! 私がずっと想っていたこと……
こよみお兄ちゃんの口から、聞きたかった事、聞かせてっ」

その必死さは、まるで好きな男子に告白するみたいな感じで、女の子の真剣さが見て取れた。
だから僕は言った。本心を、包み隠さず。

「今度はスクール水着で、手ブラしてくれないか」

千石の反応が無い。だからもう一度言った。

「スクール水着を着たまま、上だけはだけてくれないか」




106 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/15(火) 07:15:19.52 ID:LDtD1ExDO
フラグがへし折れる音を聞いたw




107 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/15(火) 07:16:05.03 ID:WazvWKne0
フラグ「ひぅっ!?」




110 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/15(火) 07:23:09.30 ID:h9CxOzu60
千石は何も言い返しては来なかった。ただ、放心していた。

「ただスクール水着を着るだけじゃ、駄目なんだっ! 手ブラで恥じらう千石が
見たいんだ……っ! なぁ、八九寺!?」
「とぅるるるるるるるる……あ、もしもし? 今女子中学生に性的な行為を要求している

性犯罪者が……ええ、人数集めて至急お願いします。地味に耐久力あるので」
「通報はやめろっ! やつら本当に来るから!!」

「私は大丈夫だからっ! こよみお兄ちゃんが望むなら、どんな服でも着るもんっ!
だってそれしか、私は…っ」
「服ならば何でもいいわけじゃないぞ! 例えばメイド服っ! 派手なデザインを要求される昨今、
旧型で露出の少ないタイプじゃ満足出来ない奴らは、胸元や肩肌を見せるタイプの」
「おまわりさんっ、早く! 病気が悪化してますっ!!」
「で、でも私そういう知識とか全然知らなくてっ! (ごにょごにょ)………とかも、
どうすれば防げるのか知らなくて……だから、こよみお兄ちゃんから教えて貰わないと、私…っ」

パラダイスだった。
こんな時間がずっと続けばいいと、僕は本気で思っていた。
だが同時に、この最高な時間は案外すぐに終わりを告げる事もまた知っていた。
なぜなら――

「楽しそうね、阿良々木くん。私といちゃいちゃしてる時より、ずっと楽しそう」




111 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/15(火) 07:24:12.34 ID:WazvWKne0
アッー




112 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/15(火) 07:27:26.80 ID:m9ysjkl30
\(^o^)/




114 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/15(火) 07:46:17.40 ID:j9tguhiQ0
暦終了ww




153 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/15(火) 15:56:46.92 ID:h9CxOzu60
「阿良々木くん……君、ロリコンに憑かれてるよ」

携帯電話の向こうから聞こえる忍野の断定に、僕はげんなりする。
ロリコンて。

人の性格や嗜好は、積み重ねによるものだ。
だから、特別な理由も見あたらないのに、いきなり性格が変貌するのはおかしい。
実際、僕自身、この急激な嗜好の変化に頭がついていけてなかったりする。

だからといって、『お前の異常な性嗜好は化け物のせいだ』と言われるのは何か嫌だ。
出来れば一生言われたくは無かった。
憑き物以外に説明つかない程、お前の性嗜好は異常だと言われているようなものだから。

「あなた可愛いわね」

戦場ヶ原の頬をなめるような視線に、千石はびくっと身をすくめる。
さながら、蟹に睨まれた蛇。

「へ…? あ、ああありがとうございますっ!」
「阿良々木くんがまた私以外の子にお節介焼いたっていうのは聞いていたけれど…
こんなに可愛いだなんて聞いてないわ。何か変な事されなかったかしら?」

確かに僕は、用事が終わるまで適当に遊んでてくれ、とは言った。
でも、人見知り激しい千石に訳の分からない尋問をするのは辞めて欲しかった。




157 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/15(火) 16:15:42.35 ID:h9CxOzu60
僕のおせじにも広いとは言えない、つまり狭い部屋は、今日に限って人口密度が異様に高い。
特に女の子の比率は過去最高。
あいつなら外人ばりのリアクションでガッツポーズ決めるであろうシチュエーションだ。
もし僕に戦場ヶ原という彼女が存在しなかったら、僕だってその喜びを4コマで表現したいとは思っている。
作画に余裕があればだが。

「何かさっきから、ツンデレちゃん以外に小さい女の子の声がするねぇ。
もしかして阿良々木くん、既に捕獲完了って状況?」
「いっとくがな忍野。僕はまだ法に触れる事は何一つしちゃいないぞ」
「今はまだ? はっはっはっ! 阿良々木くん、自分に正直だなぁ。今の気持ちを6文字で表してくれないかい?」
「小中学生万歳!」

ほとんど条件反射で、児ポルノに喧嘩を売ってしまった。
電話の向こうで忍野の爆笑が聞こえる。
この通話を切って、今すぐ殴りに行ってやりたい衝動をぐっとこらえる。

「今の録音しといたから」
「やめろおおおぉぉ!! お前僕を助けたいのか牢獄に突っ込みたいのか、どっちなんだ!」
「少女を牢獄に突っ込みたいのは君の方だろ阿良々木くん?
今度そういうプレイ用の牢獄扱ってる所紹介しようか?」
「馬鹿野郎! 少女は自由に動き回る姿が一番美しいんだよ!
籠に入れて元気の無くなったウサギに何の魅力もないっ」
「だっはっはっ!! 哲学だねぇっ」

笑えよ忍野。実のところ、僕自信が一番、今の自分を笑ってやりたいんだからな。




161 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/15(火) 16:36:14.92 ID:h9CxOzu60
部屋の中一杯にひしめく、若い女の子達。
下は小学生から上は高校生と、バラエティーに富んでいる。
僕の用事が終わるまで各自暇な事もあって、各々適当に時間を潰している。

「べ、別に変な事なんて……されてませんっ! こ、こよみお兄ちゃん、優しいし……」
「どういうふうに優しいの? こうやってふとももを撫でる仕草が優しいとか?」
「んひゃう!? ん…ぁ」
「いいかげんにしろ戦場ヶ原っ! 千石が困ってるだろ!」
「あら、この子の肩を持つの? 彼氏が真性ロリコンに変貌して、
そのショックでうちひしがれている恋人を放っている癖に?」
「ぐ……っ、それについては、こっちが全面的に悪い。あとで謝罪もする。だがなっ」

僕の目が血走る。
戦場ヶ原の手が、千石のか細いふとももから離れない。
それどころか、痴漢のような手つきで今も女子中学生の肌を侵し続けている。
僕が先に見つけた極上の宝物が、他の誰かに汚されるなんて耐えられない。




163 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/15(火) 16:51:45.39 ID:h9CxOzu60
「それに触れるな…っ! それは僕のだっ!! 大体、対象をぶしつけに撫で回す

なんて少女趣味の風上にもおけない! 戦場ヶ原、お前は3流だ!」
「12回……」

カチカチと、懐中時計のようなものをいじる。

「…なんだよ、その数字」
「阿良々木くんが私の前で、浮気をほのめかす言動をした回数」
「……そ、そんなの数えてどうするんだよっ」

戦場ヶ原は懐に手を入れ、中で何かをジャキジャキと鳴らす。
確認しなくてもわかる。例の大鋏を開閉させる音だ。

「その回数だけ、阿良々木くんを社会的に殺してあげる。更正のお手伝い」
「物理的に殺す気満々じゃないかっ!?」
「切ってつけてを12回繰り返す訳じゃないから安心して頂戴。先端から少しずつ、
12回にわけて刻んでいくだけだから」
「それ最も苦痛を伴う拷問じゃん!!」

やっぱり戦場ヶ原は、少し怒っているようだった。
そう、少しだ。
他人が聞いたらとっくにDVの域を超えているだろうと思うだろう。
だが、僕と戦場ヶ原の間柄では、まだ軽い口論の内にカテゴリされてしまう。
なぜなら戦場ヶ原が本気で怒っているその瞬間、それはすなわち、既に行動を起こした後だから。




172 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/15(火) 17:22:35.82 ID:h9CxOzu60
「で、あなたと阿良々木くんの馴れ初めは?」
「あ、あぅ……そ、その…」

戦場ヶ原は獲物を射貫くような鷹の視線で、僕と千石の過去を糾弾する。
本人に、年下の女の子を脅す意志何て無いだろうけど。
戦場ヶ原の冷たい視線と、妙な迫力をまとった言動は、聞いている者を時に圧迫してしまう。

そんな緊迫した状況を電話越しに聞いていた忍野が、

「何だ、皆仲良くやってるみたいじゃないか」
「さっきの会話が仲良しに聞こえるなら、耳鼻科行ってこい!」

大体、皆という表現は適切ではない。
一見仲良くおしゃべりしているのは戦場ヶ原と千石だけで、そこに八九寺の姿はない。
部屋の隅っこで、ぽつんと体育座りしているのが気になった。

戦場ヶ原が来た辺りでは、まだ会話に参加していた気もするが。
僕が忍野に電話をかけた辺りから、段々と口数が少なくなり、
ついには壁を背に生きる置物と化した。
あいつ……人見知りする奴だったっけ?




174 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/15(火) 17:23:48.86 ID:h9CxOzu60
「なあ忍野、幽霊って誰にでも見えたりするのか?」
「なんだい阿良々木くん、生身の少女だけじゃ飽きたらず、
霊体の少女にまで手を広げようってのかい? 君は視野が広すぎるよ。
そのうち胎児の写真を見て興奮出来るようになるんじゃないか」
「それはもうロリコンの域を超えてた何かだ」

「その幽霊ってのは……例の迷子ちゃんの事かい? それとも、また別の?」
「いや…以前話した子」
「そうか……いやいや阿良々木くん、君は本当に真面目というか何というか……
クラス委員長になったら、自殺したクラスメイトの為に、
届けるプリントを抱いてダイブしちゃうくらい、職務を真っ当しちゃいそうだねぇ」
「なんだよ、それ。真面目っていうより異常だろ っていうか僕が委員長気質?」

そんなの、考えた事もない。
知り合いに根っからの委員長がいるせいか、
僕の委員長に対する理想像はとんでもなく高尚になってしまっている。
そのせいで、普通の程度の委員長を、委員長と認識出来ないのかも知れないけど。




179 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/15(火) 17:50:15.72 ID:h9CxOzu60
「気にしすぎだよ阿良々木くん。元々霊なんてものは、存在しない、
見えないから幽霊なんて呼ばれ方をするんだ。皆にとって等しく存在出来る幽霊なんて、
最早幽霊でも何でもない」
「じゃあ、何なんだよ」
「ただの嘘さ」

背筋をつたう汗がやけに冷たく感じて、僕は一瞬言葉に詰まる。
忍野は言った。八九寺の存在を、嘘だと。

僕の前には、以前から変わらず存在している八九寺。
そしてごく最近、どういった経緯でかは知らないが、僕以外の人の前でも
その存在を維持出来るようになった八九寺。

どちらも僕がよく知っている、話の合う近所のガキで。
時には、年の差関係なく本気で殴り合ったりする、兄妹みたいな関係で。
どっちが本当で、どっちが嘘の八九寺真宵なんだ?




181 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/15(火) 17:53:56.15 ID:h9CxOzu60


公園で一人立ち尽くす八九寺の絵がフラッシュバックする。
八九寺は物欲しそうな目で、公園で遊ぶ子供達とは一定の距離を置き、ただぽつんと立っていた。


八九寺の問題は既に解決しており、霊として気ままに過ごしていると聞いた。
本人がそう言っていた。
学校にもいかず、仕事もせず、毎日ぷらぷら生きるのは楽しいです。
そう笑った八九寺が、僕には全然楽しそうに見えなかった。
だから僕は、最近寄り道が多くなった。
町中でとぼとぼ歩いているあいつを見つけたら、ついでにからかってやろうと思っていた。



「で? その幽霊ちゃんと、ロリコンの阿良々木くん、僕はどっちについての事情を聞けばいいんだい?」

忍野の問いで現実に戻される。
なぜだか これ以上聞くのはまずいと思った。
だから、忍野に八九寺の事を聞くのはやめた。

「いや、そっちの方は全然大した問題じゃないんだ。本命は僕の方」




183 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/15(火) 18:17:55.26 ID:h9CxOzu60
と、向こうから雲行きの怪しい口論が聞こえてきた。

「こよみお兄ちゃん、すっごく優しくて……私が困ってると、いつも助けてくれて…」
「優しければ良いって訳でもないと思うけど。誰でも平等に助けるって、つまり八方美人の事じゃない」
「でもっ! それって、凄くすっごく、いい人だと思いますっ! 尊敬できますっ」
「可愛い女の子ばかりを節操なく助ける男が、尊敬出来るというの?」

目を離したら、あっちは何だかややこしい状況になっていた。
というか、自分の評価について目の前で実況なんてされると、凄く落ち着かない気分になる。

「なんで、何で戦場ヶ原……さんはっ、こよみお兄ちゃんの悪口ばかり言うんですかっ!?」

千石がキレた所なんてはじめて見た。
しつこく頼んだら、パンツ見せてくれそうなくらい気の弱い千石が、
あの戦場ヶ原に……自分から進んでパンツどころか全裸を見せてくる戦場ヶ原に抗議したのだ。
ちょっとした事件じゃないのか、これ。

戦場ヶ原は突然僕の隣に座り、腕をからめて来た。
二人の少女へ見せつけるように。
千石が露骨に狼狽する様を見て、戦場ヶ原が怪しく微笑む。

「阿良々木くんは私の恋人だもの。良い所も、悪い所も知ってるし、受け入れるつもりだわ」
「わ、私だってこよみお兄ちゃんの悪いところ、沢山知ってますっ!」

張り合うんかい。
しかも僕の目の前で。




186 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/15(火) 18:30:13.64 ID:U4Gx4NlFO
そうか、俺のストライクゾーンが小学生だったのは怪異の仕業だったんだな…




187 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/15(火) 18:37:15.57 ID:Tie3/kQl0
なるほど…オレが撫子OPでのあのトキメキは怪異の仕業だったんだな…




189 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/15(火) 18:44:49.96 ID:5XQYNmVq0
怪異の仕業ならしょうがないよね




193 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/15(火) 19:01:08.62 ID:h9CxOzu60
「こよみお兄ちゃんは……っ、すっごくえっちです! さっきだって私に、スクール水着を着ろって、怖い顔で…」

戦場ヶ原がカチカチ手元を鳴らす。

「阿良々木くんの不誠実回数……24回」
「ちょっ!? さっき12回だったじゃないか! 何で二倍に増えてるんだよ!!」
「私には、そんなこと一度だって言ってくれなかった…」
「言って欲しかったのかよっ!?」
「そんな不埒な要求されたら、勿論切り刻むわよ。でも要求されなかったら、
それはそれで嫌だから、当然のように切り刻むわ」
「原型をとどめられる選択肢がないっ!」

強烈な個人主義の固まりである戦場ヶ原が、僕の事を気にかけてくれるのは、正直嬉しい。
今の僕は病気のせいで一時的に少女愛好にハマってはいるが、
この反社会的な趣向を継続するつもりなんて毛頭無い。
さっさと治して戦場ヶ原との仲を修復したいと、きっと以前のまともな僕なら考えるに違いない。




194 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/15(火) 19:04:28.83 ID:h9CxOzu60
「阿良々木くんが、女子中学生のスクール水着で興奮するのはわかったわ」
「納得しなくていいから!」
「これから交際を続けるにあたって、スクール水着が必要不可欠というなら、
私も考えを改める。それが元で別れるくらいなら…ええ、着るわ。
今はもう小さくなった中学時代のスクール水着を」
「まじすかっ! …って、そんな理由で別れるって、僕糞野郎じゃないか!?」

「でも……私はスクール水着を着ることは出来るけど、現役中学生に戻る事は出来ないの」
「だからっ! 僕が千石に欲情するのは、一時的なものだって言ってるだろ!
本当の僕にそんな趣味はないっ」

その台詞は、戦場ヶ原の誤解を解き、千石の不信感をぬぐい去る為のものだったはずだ。
なのに千石の瞳からは、ぽろぽろと涙がこぼれ落ちてくる。

「そう、だよね。こよみお兄ちゃんが、私みたいな子供を相手にするわけ……
ないよね……魅力、無いよね……っ、ぐすっ」
「嘘に決まってるだろ! 僕は千石の控えめな胸に欲情する!
千石……お前が幼いから、子供だからこそ、だ!!」

戦場ヶ原が、カウントの機械をゴミ箱へ投げ捨てた。




197 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/15(火) 19:09:20.95 ID:h9CxOzu60
「よく考えたら、数える必要なんて無いわね……どうせ最後は死んじゃうんだから」

この世に生まれ落ちて、もう何度目かになる、生命の危機。
なぜ、ロリコンは生きているだけで迫害されねばならないのだ。
なぜ、ロリコンは少女の匂いをすーはーして呼吸するだけで捕まらねばならないのか。
僕だけが悪いのか? 少女と裸で抱き合いたいと思っているのは、本当に僕だけなのか?
誰か……。


「阿良々木先輩!」


ドアが勢いよく開かれる。
呼びもしないのに、人の家へ勝手に上がり込んできたそいつ、神原駿河は。
僕の手を、ぎゅっと熱く握りしめる。男同士が友情を確かめ合う時みたいな格好で。

「…わかります。阿良々木先輩の言葉、私は理解出来ます。間違ってません!」

神原は千石にずびしっと指を突きつけ、

「こんなに小さい胸見せられたら、欲情するのは当たり前だ!!!」

この部屋の変態比率が増えた。
ロリコン1。ヤンデレ1。女子中学生1。不登校小学生1。ガチレズ1。




216 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/15(火) 21:27:13.69 ID:h9CxOzu60
「お前何で来たんだよ。別に呼んでないぞ」
「阿良々木先輩が、たった一人で沢山の美少女を独占してる感じがしたから、
お裾分けして貰いに来たというわけだ」
「感じって何だよ!? お前電波受信するタイプの奴だったのかよっ」

神原の横に、戦場ヶ原が並ぶ。

「私が呼んだのよ」

嬉しそうに、神原がにこりと笑う。
こいつは戦場ヶ原の事が好きで、ずっと好きだった。
きっと今も好きなんだろう。
だから携帯で会話し、呼んで貰えた事が純粋に嬉しかったんだろう。

「お前ら、いつの間にそんなに仲良くなったんだよ」
「あら、私達は元々友好的よ? 知り合ったのは阿良々木くんより先だもの」
「いやぁ、戦場ヶ原先輩の番号を聞くには骨が折れた。
何でもいいなりになる、忠実な猿として仕えるという条件で、やっと教えて貰えたんだ」

「どこが友好的だよ!? 一方的な搾取だろ! お前それでいいのかよ神原!」
「本望だ!」

…すげぇよ神原。
僕もお前ほど欲望に忠実だったら、さぞ人生楽しかったろうよ。




225 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/15(火) 22:03:03.45 ID:h9CxOzu60
「ところで阿良々木先輩」

神原が、千石の体を舐めるように隅々まで見つめる。
その姿は少女に狙いを定めるおっさんのごとく。
身の危険を感じた千石は、隠すようにきゅっと身をすくめる。
油断するなよ千石。こいつは、ノンケだって食っちまうような女だ。

女同士でいちゃつきあう、何て仲良し同士なら良くある光景だと聞く。
だが、神原は真性のレズだ。
女性同士であんな事もこんな事もしたいと、特殊性癖を僕の前で堂々と語っていた事もある。
少女の匂いにつられてやってきたというのも、あながち嘘とは思えない。

以前、千石の件で顔を合わせた時も『全裸を見た訳じゃないのに、おそらく人生の

中で1,2を争うくらい、少女のブルマ姿に興奮した。女性は奥深いな』
と僕に同意を求めてきたりもした。同意はしたけど。

だから、今神原の頭の中では、きっと千石があられもない姿でいたずらされている

に違いない。

僕と同じだ。




230 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/15(火) 22:13:05.62 ID:h9CxOzu60
神原は千石が恐怖で泣き出す寸前まで視姦した後、今度は部屋の隅っこに陣取る、

幼女八九寺をロックオンする。
無敵の幽霊、八九寺真宵はかつてない驚異を感じ取り、臨戦態勢を取る。
さすが小動物。危機感知能力が高い。

「彼女は阿良々木先輩の新しい愛人ですか。最近お作りになられたんですか?」
「いや、神原より先に会ってる。八九寺真宵だ」

八九寺が僕の尻に抗議の蹴りを入れてくる。

「まず否定して下さいよっ!? 何で普通に返してるんですかっ」
「愛人一号の、八九寺真宵ちゃん。私は神原駿河、二号だ。よろしく」

神原の差し出す握手を、八九寺は大降りのフックではね飛ばす。
その様子を見ながら、僕のある思いつきが確信に変わる。
今回の件でわかったけど、どうやら八九寺は人見知りが激しいらしい。
気を許さない相手が近づくと、反射的に攻撃するのが癖になってしまっている。
こんな風に拒絶された方は、強引に友達になろうとは思わないだろう。
だが、そこはガチレズ神原。
手を叩かれた直後にも関わらず、全くためらわずに八九寺へと近寄っていく。




231 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/15(火) 22:14:58.98 ID:h9CxOzu60
「一号の座は譲れない、か。年上相手にその心意気、気に入った」
「何勝手な解釈で納得してるんですかっ!?」
「今晩は私の布団で寝よう」
「大変です阿良々木さんっ! この女、人の話聞きませんっ!!」

今晩まで待てない、と神原は暴れる八九寺を抱きかかえ、僕のベッドに倒れ込む。
神原は女性とはいえ、スポーツ少女だ。
上級生の戦場ヶ原でさえ、純粋な力勝負ならねじ伏せる事だって不可能ではないだろう。
小学生で子供体型な八九寺に、逃げる術はない。
そして僕らが見ている前で、幼女八九寺真宵は大人の階段を上っていった。




234 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/15(火) 22:24:04.41 ID:ulqrOf9mO
マゾだし手を叩かれたぐらいで引くわけがないww




272 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/15(火) 23:22:38.81 ID:h9CxOzu60
そういや、忍野と電話中だったの忘れていた。
まだ通話中のランプがついたままの携帯を取る。

「わるい忍野、ちょっと立て込んでた」
「何だかそっちは楽しそうだねぇ。もう阿良々木くん、ロリコンになってからさらに
女運ツキまくりだし、いっそこのままでもいいんじゃない?」
「良いわけないだろっ」

戦場ヶ原に聞こえないよう携帯を隠して、

「…早く元に戻らないと、殺されるよ」
「ツンデレちゃん、自分にも他人にも厳しそうだしねぇ。愛人の一人や二人なんて風習、
昔から割とあったし、今でも金持ちはやってるのに」
「それはいいから、早く解決策を教えてくれ」
「解決ってのは、なんだい?」

忍野の妙な物言いに、一瞬言葉がつまる。
言葉遊びが好きな忍野の遠回しな物言いに、辟易することはよくあった。
そして忍野がこういう言い方をするときは決まって、
既に僕は、厄介事の深みにはまってしまっているのだ。




274 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/15(火) 23:25:21.78 ID:h9CxOzu60
「解決は解決だろ。ロリコンの……怪異? だか何だかに憑かれてるって
お前が言ったんじゃないか。それを祓って、僕が元の正常さを取り戻すのが、解決だよ」
「それは本当に解決と言えるのかな? だって阿良々木くん、
君の言ってる事はおかしいんだよ」
「僕が……おかしいだと?」

意味がわからない。
何もおかしくないじゃないか。筋道はちゃんと通っている。

僕の趣向が突然変貌したのは、怪異のせい。
少女趣味になった僕は湧き出る欲望のまま、手近にいる幼い少女達を集めはじめた。
でも、浮気をすると戦場ヶ原が怒るから、僕は…。
ずきりと、脳の一部に痛みが生じる。
まるで、そこから先の思考を拒絶しているかのように。

「阿良々木くんさ、電話越しに聞いてるだけでも、普通に幸せそうじゃない。
まるで、望んでいた世界が叶ったみたいな。怪異が害だっていうよりは、
ツンデレちゃんが怖いからって理由で動いてるし」
「べ、別にそれだけの理由じゃないっ。僕はちゃんと戦場ヶ原が」

はっと息を飲む。
名前を呼ばれたからなのか、それとも側で会話を拾っていたからなのか。
目の前に突然、戦場ヶ原の顔が出現して、僕は驚愕のあまり後ろへ後ずさってしまう。
僕が後退した分だけ、戦場ヶ原は間合いを詰めてくる。顔近いっ。




307 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/16(水) 02:12:59.25 ID:xQIN2+5I0
「私が、何なの?」
「ツンデレちゃんが怖い以外の理由って、なにさ」

逃げ場はない。
二人に詰め寄られ観念した僕は、言った。

「こんな異常性癖のまま付き合ったら、戦場ヶ原に……申し訳ない」
「申し訳ない? それってつまり、阿良々木くんは私の事、どう思っているの?」
「す…………好きだから」

神原がぴゅーぴゅー笛を吹く。うるさいよ。
パンッ! と戦場ヶ原がクラッカーを鳴らす。
お前そんなもの常に持ち歩いているのかよっ!

くそぉ、皆の前でこっぱずかしい告白をさせられてしまったっ。
この茶番に呆れてしまったのか、千石なんて完全に背を向けてしまっている。
唯一の救いは、八九寺がこのバカ騒ぎを、少しだけ楽しそうに眺めていたことくらいか。

「いやぁ、熱い熱い。阿良々木くんお幸せに。じゃ」
「こら待て忍野っ! 切るな!! まだ話は終わってないだろっ」
「まあどうしても祓いたいというなら、もう少し泳がせて見たらどうだい」
「泳がせる…? どういう意味だよそれ。放っておけってことか?」

冗談じゃない。今のまま、異常性癖を治さずに生きてみろ。
僕は少女に手を出したあげく、法律によって拘束されるか、
戦場ヶ原に殺されるかだ。
明るい未来なんてない。ロリコンに幸せなんて訪れるわけがない。
だが、忍野はあくまで現状維持を推してくる。




309 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/16(水) 02:34:12.63 ID:xQIN2+5I0
「今の段階じゃ、まだ阿良々木くん自身と怪異、双方の損得が一致してしまっている。
だから不満は浮き上がってこないし、原因を捜してもきっと見つからない」
「無理矢理引きはがせたりはしないのかよ?」
「無意味だよそれは。だって、少女と戯れたいって願望は阿良々木くんのものでも

あるんだから」
「おいっ、失礼な事を言うな。今までの僕のどこに、ロリコンの気があった」

大ありじゃない、とよりによって戦場ヶ原が割り込んでくる。
こいつ、僕のロリコン説を肯定する気か!?

「見ず知らずの小学生を助けてお近づきになろうと、必死にかけずり回ってたわ」
「よこしまな解釈はやめろっ! 困っている人を見つけたら、助けないと気持ち悪いじゃないかっ。
なぁ八九寺、僕とお前の間にそういうのは無いよな?」
「パンツ見られました」
「ちょ――っ!? あ、あれは不可抗力だ!」

戦場ヶ原についで、八九寺まで僕をロリコン扱いだ。
こいつら、事情を100%知った上で何を言い出すつもりだよ。
これはれっきとした虐めなんじゃないのか?




310 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/16(水) 02:34:53.01 ID:xQIN2+5I0
「そ、そうだ……千石! お前なら」
「…こよみお兄ちゃんに、裸見られました」

千石は僕の視線を避けるように、ぷいっとそっぽを向いてしまう。
…僕が何をした? さっきまで完全に僕の味方だったはずなのに。

「まさかの裏切り!? っていうかあれは、お前が見せたんだろうが! なぁ神原、
お前もあの時一緒にいたよな?」
「ああ、あの光景は今でも夢に見る。あれがきっかけで、私も阿良々木先輩を見習って、
幼い少女を助けると役得がある事を知った」
「擁護になってねぇ~~! むしろ共犯と思われてる!?」




317 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/16(水) 03:52:31.19 ID:xQIN2+5I0
皆の意見を聞いてわかった。
僕は、周りに根っからのロリコンだと『思われている』ということ。
心外だが、今は甘んじて受け入れよう。
実際、今現在は怪異のせいで、正真正銘ロリコンなのだから。
今だって、戦場ヶ原さえいなければ、どんな暴挙に出るかわからない。
千石と八九寺を小脇に抱えて、一緒のベッドで寝ようだなんて、
神原並の邪な提案をしてしまう可能性だってある。
だからこそ、祓わねばならないのだが。

「おい忍野、さっきは怪異を泳がせろっていったけど、何もしないのが一番いいんだな?」
「それは違うよ。何もしない、ただ流されるままだと、君は一生流されたまま生きることになる。
あくまで怪異に調子を合わせつつ、原因を探るんだ」

原因を探る、か。
これはまた、面倒臭い作業になりそうだ。
切った張ったの殺し合いを演じるよりかはマシだけどさ。
怪異に調子を合わせるだなんて、そんな……。
青ざめる。ある考えに到達し、さぁっと血の気が引いていく。
忍野の言わんとしている事実に気づいてしまったから。




319 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/16(水) 03:56:06.96 ID:xQIN2+5I0
「何も難しい事なんてないよ。例え怪異に植え付けられた欲求だろうと、
君の少女性愛は本物だ。本能の赴くままに女の子を求めていれば、
そのうち問題も解決してしまう。一石二鳥。運が良いよ阿良々木くん。じゃあ健闘を祈るよ」

忍野に切られてしまった。
用件は済んだのだから当たり前だ。
だって、他に方法なんて無いのだから、これ以上教わる事なんてない。
実行に移すしか、無い。

「で? 解決法、わかったの?」

戦場ヶ原に問われる。
彼女は僕の恋人であり、一番心配してくれているのだから、今すぐ聞きたいのは当然だろう。
だけど、言うのか……あれを?

「戦場ヶ原、落ち着いてき…ぶほぉ!?」

ぐーで頬をぶん殴られた。

「ちょ、まだ何も言ってないだろ!?」
「何となくだけど、この後私が、阿良々木くんを殴るような展開に至りそうだから……
とりあえず先に殴っておいたの」
「勘で人を殴るなっ! もし勘が外れてたらどうするつもりだ!?」
「水に流してあげる」
「加害者のくせに上から目線!?」




327 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/16(水) 05:53:32.75 ID:xQIN2+5I0
言う前から既に殴られる程の環境だ。
今後の方針について包み隠さず伝えたら、僕はどうなってしまうのだろう。
僕の体を流れる怪異の血よ、どうか今だけ頑張ってくれ。

「まあぶっちゃけて言ってしまうと、特に何もするな、と」
「…怪異を祓うのでは無かったの?」
「今は祓う事よりも、自分の身に何が起こっているのかを詳しく知ることが
大事だとか何とか言ってた。つまり……お前達の協力が必要だ」

僕は千石と八九寺の手をとり、ぎゅっと握りしめる。
握手ではなく、指と指を絡め合う恋人握りだ。
千石は顔を真っ赤にさせてうつむき、八九寺は断固として離そうとしない僕の手を

ガジガジ噛んでくる。
勿論痛い。だが、今の僕にとっては、痛みよりも性欲の方が上だ。

「離して下さいっ! 握り方がキモイですっ!」
「父さん母さん、そして忍! 僕を丈夫に作ってくれてありがとう!」

はっちゃけた僕の様子を、神原は他人事のようにへらへらと眺めている。
神原にとって、僕の病状が悪化して、戦場ヶ原との関係がご破算になる事に何の損害もない。
むしろチャンスとすら思っていても、何ら不思議ではないだろう。




328 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/16(水) 06:00:43.80 ID:xQIN2+5I0
「あーあ、阿良々木先輩、ついに開き直っちゃいましたねー」
「…様子がおかしかった時から、覚悟はしていたわよ。また他人の為に厄介事に
首を突っ込んでるじゃないかって」
「今回は自分が原因っぽいですけど」
「私と阿良々木くんの付き合いは短いけど、これだけは言えるの。彼が転ぶのはいつも、
他人の為に奔走したときだけ。自分自身の心の闇になんか飲まれたりしないわ」
「既に何度も結構飲まれてるっぽいですけどねー……それでも、私達みたいにはならない、と?」
「男の子だもの」

神原はごちそうさまでした、と両手を挙げて降参のポーズをする。

「まあ、手伝いますよ。荒事になった場合、人手は多い方がいいでしょうから」
「ごほうびでも欲しいのかしら?」
「そんなに多くは望みませんよ。ご飯くらいで」
「いいわ。礼として、一週間程あなたに『おごられてあげる』」
「その上から目線、ぞくぞくするなぁ。今日からバイト入れなくちゃ」
「…真性のドMね」




375 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/16(水) 15:58:37.98 ID:xQIN2+5I0
ロリコンの願望って何だろう。
幼さの残る下着を写真に収めること?
部屋に連れ込んで、泣き叫ぶ少女を力でねじ伏せ、いかがわしい行為に及ぶこと?
僕はそういった行為を真っ向から否定する。

「ロリコンとは、本質的に少女を愛すること……だと思う」

僕の漏らした主張 部屋の中はしんとする。
あれ、僕そんなに良いこと言ったかな?

「…最低ですね」

と八九寺に軽蔑の視線を向けられる。
どんな負の感情であろうと、少女に見られるのは喜ばしい事だ。

「わたしのせいだわ……」

戦場ヶ原が、演技っぽく目元を袖でぬぐう。




377 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/16(水) 15:59:25.78 ID:xQIN2+5I0
「わたしが、阿良々木くんの性欲に答えられなかったから……こんなことに」
「可愛そうなこよみお兄ちゃん…」

戦場ヶ原、千石両名に、ついには同情されてしまう。
戦場ヶ原が同情なんて感情を僕の前で表すのは希な事。
確か、道ばたでネコが轢かれて死んでいるのを見た時、同情めいた言葉を聞いたと思う。
それはつまり、今の僕への同情値は、轢かれたネコの死体と同等だということだ。
光栄なり。
湿っぽい空気の中、パチパチと拍手の音。

「すばらしいっ! 阿良々木先輩はよくわかっている!」
「お前と一緒にするな」

同族嫌悪、と戦場ヶ原がつぶやく。
僕としては、レズと一緒にされるのは心外だ。




378 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/16(水) 16:14:45.94 ID:xQIN2+5I0
「ロリコンの中には、少女を直接的な手段で手籠めにする輩もいると聞く。
彼らは何もわかっていない。愛でる対象に危害を加えるだなんて、憎むべき悪行だ!」
「お前が言うと、何もかもが空々しく聞こえるな」
「ロリコンの阿良々木さんが突っ込んでる!? 自虐ですかそれ?」

うるさい八九寺を抱きしめて黙らせる。
絹のようなほっぺが柔らかくて気持ちいい。
その快楽といったら、今現在、八九寺に耳たぶを本気で噛まれている痛みをも凌駕する程だ。
絹豆腐を『幼女のほっぺ』という商品名で売り出したら、バカ売れするんじゃ……

などと妙案を考えついた。

「少女が最も輝く瞬間、それは笑顔だ! では、少女が笑顔でいられる時はいつか?
それは、心許せる友人と遊んでいる時!」

神原は性欲まみれのぎらついた視線を、八九寺に浴びせる。
身の危険を感じた八九寺は、僕の背中に隠れる。
あーあ、神原に気に入られたな八九寺。
あいつは、真っ正面から拒絶されても、ちっともへこたれ無いどころか逆に燃え上がる、
この町内で1,2を争う暑苦しい奴だぞ。




383 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/16(水) 16:38:06.30 ID:+Uof2cpEP
「いかがわしいロリコンから守りつつ、少女の笑顔を間近で見る、
その両方を満たすにはっ!」

神原は上着をがばっとはだけさせて、胸部を突き出す。
両手でカモーンの仕草。胸に飛び込んで来い、と。
戦場ヶ原は汚い物を見るかのように顔を背けていた。
顔のいい女性の胸。それは誰の物であっても美しいと思っていたのは、間違いだった。
仕草が、気概が、まごうことなき変態である神原のそれは、
露出狂のおっさんが見せるそれと、本質的には同じ醜悪な物だった。
こんなに嬉しくないサービスシーンは始めてだよ。

「私と友達になってくれ! 八九寺真宵ちゃん!!」
「何で求愛のポーズなんですか!?」

再び部屋の隅っこまで退却する八九寺。
追う、神原。胸部をはだけさせたまま。

「ぎゃああああ!!? 何見てるんですかっ、ありゃりゃぎさんっ! 助けてくだひゃいっ!」
「…襲われてる八九寺も、割と可愛いんだよな……」
「変態っ! 変態っ!! 変態っ!!!」




385 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/16(水) 16:39:33.19 ID:+Uof2cpEP
見てるのも面白いが、このままで良いわけない。
こんな状況を生み出す為に、僕は今の僕になったんじゃない。
僕は神原の肩を掴んで露出行為を止めた。

「やめろ、神原」
「む……邪魔をするのか、阿良々木先輩」
「とりあえず、胸をしまってからしゃべろ」
「同好の阿良々木先輩ならわかり合えると思ったのだが……仕方ない。
敵対するというのなら、私も引かない」
「だから服を着ろっ!」

と、神原は突然左手を……右手と長さも太さも、色さえ違う例の左手を押さえてうめき出す。

「く……っ、静まれ私の左腕っ!」
「厨二バリバリの台詞吐きながら包帯を解くなっ! お前のは洒落にならないからっ!」




394 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/16(水) 17:50:09.86 ID:+Uof2cpEP
そんな僕たちの茶番を前に、八九寺はもじもじと落ち着かない様子だった。
神原に対して、あからさまな嫌悪を抱いているわけではなさそうだ。
どっちかっていうと、遊びに誘われて嬉しいけど、素直に頷けない照れ隠しみたいな。

「神原、もっと普通に頼んでくれ。そうすれば八九寺だって」
「ありえませんっ。レズの人とはお友達になるなと教わりましたので」
「ピンポイントすぎるだろっその教え!? 大体、二回りも年上で男の僕と
普通につるめるんだから、女同士の神原ならもっと簡単だろ」

八九寺は顔を赤らめながら、僕を睨む。

「私がおしゃべりする変態さんは…阿良々木さんだけですからっ」

やば…っ。今一瞬、心臓の動きが脳にまで響いたぞ。
小学生女児の告白に、本気でときめいてしまったのか?

「…っておい! 遠回しに僕を変態扱いするなっ!! 取り消さないと胸を揉むぞっ」
「阿良々木さんの変態っ! ロリコンっ!!」

罵倒…ではなく、遠回しの許容!?
怪異に操られた僕は、小学生の乳の前に欲情する。
…実際は、怪異に憑かれる前からこんな事してた気もするが、気にしない。




397 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/16(水) 18:15:59.92 ID:+Uof2cpEP
「……良い度胸だっ! 貰い受けるぞっ、その無乳!」

僕の大胆なセクハラ予告に、八九寺がぎゅっと目をつぶる。
2秒、3秒と経っても、八九寺真宵の乳に僕の手は届かない。
八九寺が恐る恐る目を開けると……そこには、
僕の首を獣の豪腕で鷲づかむ神原と、
僕の男性器部分にキッチン鋏をかざす戦場ヶ原の姿があった。

「それ以上は、駄目よ」
「阿良々木先輩、少女は見て楽しむ物だ。直接的なお触りは品がない」
「露出狂が品を語るなっ!」

呆然と立ち尽くす八九寺の眼前に、神原は綺麗な方の手を差し出す。

「このように、今の阿良々木先輩はちょっとおかしい。緊急時には
私のような者がいると色々と役に立つぞ」

にこりと、邪気のない笑顔。
一度拒絶されたばかりだというのに、神原はめげない。
そのしつこいナンパの様子に、なぜか親近感を覚えてしまう。

僕がはじめて八九寺と出会った時。
何度拒絶されても話しかけていった、おせっかいな野郎と似ていたのだ。
神原が引かないのを悟った八九寺は、ようやく観念する。

「……わかりました。入信します」
「宗教の勧誘じゃないからっ!」




400 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/16(水) 18:33:38.52 ID:+Uof2cpEP
握手する。
しっかりと握る神原に対して、八九寺は仕方なく握られている、
といった感じだが。
そういう形もありなんじゃないかと、僕は思う。
全ての友人関係が、常に対等なはずがない。
一方的な友情、仕方ないと妥協する友情。
最初はぎこちないそれらも、最終的に近づきあえさえすれば、
それでいいんじゃないだろうか。

「時に真宵ちゃん。女の子同士の友達は、定期的におっぱいの
大きさをじかに確かめる風習があるのは、知ってるかな?」

神原の手が、わきわきといやらしくうごめく。
八九寺は逃げようと慌てて手を引くが、神原が離さない!
力こぶが出来るくらいの全力で、幼女を捕獲していた。
僕が引きはがそうとしても、神原の全力には敵わない。

「最悪だこいつ! 小学生相手に全力でとかありえねぇ」
「友達だからこそ手加減は失礼というものっ!」
「友達は変態の免罪符じゃねぇ! 意味をはき違えるなっ!!」




401 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/16(水) 18:35:55.38 ID:866a39o3O
oh…




402 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/16(水) 18:37:18.81 ID:bYQhipP0O
神原……




408 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/16(水) 19:20:29.30 ID:+Uof2cpEP
捕食される八九寺真宵。
その凄惨な様子を目の当たりにして、もう一人の獲物、
千石撫子は恐怖に歯を震わせる。

「あ、あの……わ、私もう…か、帰っちゃ駄目ですか?」
「あら、あなた阿良々木くんに気があるのではなかったの?
チャンスを棒に振るつもり?」

戦場ヶ原に指摘され、千石は青かった顔を今度は赤に切り替える。

「ちゃ、ちゃちゃチャンスなんてそんなっ!」
「この機会を逃したら、恐らく、一生、阿良々木くんが
あなたのような年下に迫る事なんて無いわ」
「……っ!」

僕、神原、八九寺のグループと、戦場ヶ原、千石の2班に分かれてはいるが。
狭い部屋なので、戦場ヶ原の妙なたき付けは僕の耳にも
ばっちり入ってきてしまう。
一体どういう魂胆なのだろうか。

「このまま何事も無く私と阿良々木くんが付き合ったら、
間違いなく結婚に至るわよ。だから、待っていればそのうち……
何て上手い話は期待しない方がいいわね」

ちょっと待て。
まだ僕たちはキスすらしてないのに、何で結婚前提で話が進んでるんだよ。




409 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/16(水) 19:22:09.95 ID:+Uof2cpEP
「この機会に乗じれば……一回くらいなら阿良々木くんと、
しちゃえるかもしれないわよ」
「し…………しちゃうって、何を…ですか」
「ただし、とっても痛いけど」
「だから何をですかっ!?」
「血も一杯出ちゃうから、男の阿良々木くんには引かれるかもしれないけど」
「な、なななな何の話だか全然わかりませんっ!」

中学女子にはまだ早すぎる話題にのぼせたのか、千石は既にふらふらだ。
その慌てふためく様子を見て、戦場ヶ原が満足そうに微笑む。
Sだ……あいつは真性のドSだ!

「あら、私はキスの話をしていただけなのに、別の事を想像していたのかしら?
ませているのね」

苦しすぎるだろそれっ!?
どういうキスしたら、苦痛と多量の出血を伴うんだよ!




422 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/16(水) 20:02:41.68 ID:+Uof2cpEP
「…まったく、一向に話が進まないな」

今日ここに集まってくれた皆は、僕の憑き物を何とかしようという目的があったはずだ。
にもかかわらず、各自僕の事などほっとらかしだ。

「それは、阿良々木先輩の治療法に問題があるのではないか?」

ぐったりとなった八九寺の手を握りつつ、神原が抗議してくる。
あのどう猛な八九寺を制すのに、汗一つかいていないとは…やるな。
真宵使いの称号を心の中でくれてやった。

「ロリコンの怪異に憑かれて、少女性愛者になった阿良々木先輩を、縛るわけでもなく、
ただ好きにさせておく何て治療法、私達は何をすればいいというのだ」
「いや、何もしないわけじゃない。怪異と同調するフリをして、
僕が憑かれるきっかけとなったヒントを捜しあてるんだ」
「その為には、ロリコンに堕ちた……いや、すまない。ロリコンが悪化した阿良々木先輩を」
「元からって何だよ!? 言い直さなくていいよそれ!」




424 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/16(水) 20:16:45.43 ID:+Uof2cpEP
「ロリコンに転職した阿良々木先輩を、満足させればいいわけだな」
「ああもういいよロリコンLV1で……その満足ってのが、
自分でも今イチ、わからないんだよな」

少女と性的な接触をすれば、満足出来るのか。
それは否だとわかる。
興奮はするだろうけど、相手の悲しむ顔は見たくない。
ここら辺は、他人への害を顧みない犯罪者の思考とは異なる。

「…神原、お前がさっき言ってた事、たぶんそれが正解なんじゃないかな」
「少女のおっぱいを揉み揉みしたいってところか?」
「違う! ……いや、そうなのか? だが……
嫌がる相手に無理矢理は……なら合意の上なら…?」
「阿良々木先輩の成長ぶりには敵わないな。
うかうかしてると追い抜かれてしまう」
「いらないからそんな競争心!」
「共に語り合える仲間が出来て、私は嬉しい」

神原が親友とでも言いたげに、ぽんっと肩に手を乗せてくる。
うわ、今僕一気に落ち込んだわ。
こいつにご同類扱いされるのが、こんなにも屈辱だったとは。




434 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/16(水) 20:48:19.00 ID:+Uof2cpEP
「友達になりたいって言ったろ、お前」
「友達にも色々意味があるからな。例えば」
「その先は言わなくていい!」
「肉奴隷友達とか」
「奴隷なのか友達なのかハッキリしろっ! 
無理に面白い事言わなくていいからっ」

全く……せっかくさっきは良いこと言うなと感心したってのに。
異性としてではなく、一方的な寵愛でもない、友達。
道で見かけたら、自然に声をかけられるような。
暇な時は、誘って一緒に遊べるような。
困っている時は、助けてやれるような、そんな関係を、僕は多分望んでいる。




435 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/16(水) 20:49:28.16 ID:+Uof2cpEP
「それってつまり……阿良々木先輩が、年下の少女達と、
ただ仲良く遊ぶってだけの事なのか?」
「そうだよ」

神原は首をがくんと落として、傍目に分かるほど落ち込んでしまう。

「児ポルノを期待して来たのに……」
「お前ほんと捕まれよっ!」
「別に阿良々木先輩のように、直接手を下したいとは思わない。
ただ、純粋に少女の裸を見たいだけだ」
「アウトだよ! 充分!」
「ふっ、それは男性の場合だけだ。生物学上は女性である私は、女風呂を
覗いたって犯罪にはならないっ! ロリコンとは違うのだよ、レズは!」
「凄くかっこよくカッコワルイ事叫びやがった! しかも勝ち誇ってる!?」

まあ実際、神原の勝ちだけどね。
こんなにも女性が羨ましいと思った事はないし。




441 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/16(水) 21:13:43.53 ID:9QAtxdRZO
永沢「藤木くん……君、ロリコンに憑かれてるよ」
に見えた俺はきっと疲れてる
むしろ憑かれてる




481 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/17(木) 01:04:14.15 ID:EXZg6/pDP
『友達』という単語に強く惹かれた、これは事実。
だけど、ひとつだけ気になった。
僕には、年下かつ少女の友達は既に何人か居るのだ。
積極的に会う事は無いが、出会えば挨拶はするし、
関係は割と良好だと思っている。
僕の現在の欲求が、怪異によって後付されたものなら、
友達という言葉に執着する意味は何だろうか。


「えー、では不肖、神原駿河。開会の音頭を取らせて頂きます」
「何で菓子食いながらだべるだけで、そんなに仰々しい挨拶何だよ」

部屋の真ん中に置いた菓子やジュースを囲んで、
下は小学生から上は高校生がずらりと並んでいた。

遊ぶ、といっても、取り立てて何かするわけでもない、ただのおしゃべり。
はじめはテレビゲームでもと思ったのだが、
やった事が無いという古風な人達による抗議により断念。
そもそも、面子の年齢層に幅がありすぎて、共通の趣味という物が無かった。
戦場ヶ原に至っては一人読書し始めちゃってたし。
神原などは『子供達にお酒を飲ませてみませんか』
と色々法に触れる提案をしてきたため、本気でお帰り願おうと思ったし。




490 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/17(木) 01:23:13.94 ID:EXZg6/pDP
「えー、第一回っ、阿良々木先輩が児童性愛に目覚めたよスペシャル!
チキチキッ、真っ昼間から女児を交えた恋バナ大会ぃぃぃ~~!!」
「そんな事実、いちいちタイトルに入れなくていいからっ!」

ピューピュー口笛を吹いて場を盛り上げようとしているのは神原一人。
千石何かは、可愛そうなくらいあたふたしている。
まだ敏感な年頃の中学生だ。
そういう事を人前で話すのに、慣れてないのだろう。
……というか。
千石で恋バナっていったら、確実に藪から蛇が出てくるんだが。

「おい神原、本当にそのお題で行くのか?」
「おや阿良々木先輩? 戦場ヶ原先輩との性生活が
うまくいっていないせいで、口が重いのかな?」
「余計なお世話だよっ! ……っていうか神原、
口が重いのはお前だってそうだろ」

この場にいる何人かは、恋愛沙汰がこじれたせいで、
事件にまで発展してしまっている。
そんな暗い過去なんて忘れたいに決まっているだろう。
それをわざわざほじくり出すのは下種のやることだ。
神原が、周りに聞こえないように僕の耳元でささやく。

「撫子ちゃんのあれが、どうなったか知りたいじゃないですか」
「この下種野郎っ!」





493 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/17(木) 01:44:55.19 ID:EXZg6/pDP
「というのは冗談で。まあ、恋愛があれって人は、
恋人ではなく友達関連で流すのもありってのでどうだ?」
「ま、まぁそれなら……」

千石の様子をちらりと見る。

「あ、あのっ、こよみお兄ちゃん! 私、頑張るからっ!」
「お、おう……?」

なぜか知らないが、やたら気合いが入っていた。
例えあんな事があったとしても、根本は普通の女の子なのだ。
前向きに行こうと張り切っているのかもしれない。

「はいっ! はいはいっ!! 阿良々木先輩っ、はいはい!」
「うるさいな……わかったから、お前が一番でいいよ」

一番手は、やたらテンションの高い神原に決まった。
というか……こいつ大丈夫なのか?
冗談抜きのレズビアンだなんて深刻な問題抱えてて、何でそんなに余裕なんだよ。
おまけに、痴情のもつれで人殺し寸前まで行った癖に。
開幕から重すぎる話されて、フォローする僕の身にもなれってんだ。

「質問がある! この場全員が今履いているパンツの色を答えよ!」
「お前初っぱなから趣旨無視してんじゃねーよ!?
一ミリも恋バナに触れてねーし!」
「まず私から! 履いてないもんっ!!」
「履いてないのかよっ!? 履けよっ!! なぜ履かないっ!?
履かない方が人気出るとでも思ったかっ!?」

1発目からグダグダだった。




499 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/17(木) 02:22:44.10 ID:EXZg6/pDP
僕のツッコミにもめげない神原は、戦場ヶ原を指さし、

「パンツの色、戦場ヶ原先輩の番ですよ」
「私の下着の色、それは……この前阿良々木くんが黒の下着に
食いついたから、今日も黒よ」
「言わなくていいよっ!? というか、ついでに僕の嗜好まで晒さないでくれ!」
「阿良々木くんの、色は?」
「…は?」

戦場ヶ原の、僕に問うてくる目は真剣だった。

「私にだけ言わせておいて、自分は内緒だなんて性根が腐ってるわ」
「お前、僕のパンツの色なんて聞いて、何が楽しいんだよ。
なぁ、お前らだってそう思うだろ?」




500 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/17(木) 02:23:31.56 ID:EXZg6/pDP
八九寺と千石の、良識コンビに振ってみる。
が、予想に反しての八九寺の食いつきっぷりに僕は引いた。

「聞きたいですっ! 阿良々木さんのパンツの色! 後学の為にっ」
「一生ガキのお前に必要あるかそんな学!」
「…………そう、ですね……現役幽霊の私、八九寺真宵は、
男のパンツの色を知らないまま…」

落ち込むんだ! そこで!?

「せ…千石は、別に聞きたくないよな?」
「き……き、聞きたいですっ!」
「まじで!?」

清純派の千石が、男のパンツの色に悶々としているだとぉ!?
何てこった……あまりに衝撃的すぎて、僕のパンツの色が、
今この瞬間に変化してしまいそうだ。




515 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/17(木) 03:54:37.25 ID:EXZg6/pDP
「…わかったよ、言えばいいんだろ……青のトランクスだよ」

しん、と静まりかえる。
何で皆黙るんだよ。
いや、盛り上がられても困るけどさ。
八九寺がじっとりとした目で僕を眺め、

「阿良々木さんは、つまらないパンツ履いてますね」
「悪いかよっ!? そもそも面白いパンツって何だ!」

心ない一言に、僕はちょっとへこんだ。
神原が、何かを思いついたとばかりに手を叩く。

「阿良々木先輩のパンツが、本当にトランクスか調べる必要があるなっ」
「ねえよ! お前何言い出すんだよ!」




516 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/17(木) 03:55:32.38 ID:EXZg6/pDP
思いついたギャグは即実行せんと、神原は僕の方にずんずん近づいてくる。
左手の包帯を剥きながら。
冗談じゃない。
女の子の前でパンツ見られる自体屈辱だっていうのに、
無様にズボンを脱がされる現場を小学生に見られるだ何て…
黒歴史確定じゃないか!
僕は恋人の戦場ヶ原に、視線で助けを求める。

「そうね……このまま落としてもつまらないし。許可するわ」
「しちゃうの!?」

味方はおらず、四方は敵に囲まれていた。
八九寺は画用紙とえんぴつを取り出し、デッサンする気満々だ。
千石は恥ずかしそうに、両手で顔を覆ってはいるが、
両手の隙間からしっかりと覗いているのはモロばれだ。




517 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/17(木) 04:06:05.26 ID:T5fTQirSO
神原無双ww




520 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/17(木) 04:20:53.07 ID:EXZg6/pDP
「く……っ! このまま無様にやられてたまるかよっ!
自分のパンツくらい、自分で守ってみせる!」

雰囲気だけはかっこいいけど、内容があまりに格好悪すぎる。
しかし、負けるわけにはいかない。
負ければ、僕のプライド全てを失ってしまう。
八九寺には『パンツ脱がされた阿良々木さん』とからかわれるだろう。
千石は表面的には僕を慰めてくれるかもしれないが、
裏では僕の妹に『こよみお兄ちゃんのパンツからスルメの匂いがした』
とちくられる可能性だって否定出来ない。
そんなの……そんなの絶対嫌だ!
忍、お前の力を貸してくれっ! 僕のパンツの為に!

「…本気、出しますよ。阿良々木先輩」
「本気っ? 出しちゃうの!? パンツごときでっ!?」
「阿良々木先輩が勝てたら、真宵ちゃんのパンツをあげよう」
「まじで!?」

八九寺が両手でバッテン作りこれを否定。

「騙したな……僕を、ロリの心を騙したなっ!」




521 :唯一の戦闘シーン:2009/09/17(木) 04:22:18.33 ID:EXZg6/pDP
「…私が力を、この左手を手に入れたのは偶然だった。
望まない力に振り回されもした。泣かされた事もあった」
「何語りはじめてんだよっ! ただのとっくみあいだろ?
妙な雰囲気だそうとするなっ!」

神原駿河の左手。
悪魔から譲り受けし獣の豪腕。
怪異から解放された他の子達とは違い、
未だ神原の左腕は、悪魔に犯されたままだ。
その暴力性は人の域を超えたまさしく悪魔で、
半不死の僕の体を持ってしても,
半殺しの目にあうまで追い詰められた。

僕の喉が鳴る。
あの時の恐怖に、まず体が反応してしまう。




522 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/17(木) 04:26:01.66 ID:KXW3KRQH0
今回は脱がすためにズボンでジャイアントスイングですね




523 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/17(木) 04:28:31.08 ID:V0yKCIQN0
お家崩壊フラグwwww




524 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/17(木) 04:39:11.86 ID:EXZg6/pDP
「私の人生をメチャクチャにしたこの左手だけど……
今は少しだけ感謝もしている。なぜならっ!」

神原が、異形の左手を許容した、その理由。
怪異のトラブルをきっかけに、戦場ヶ原と仲良くなれたからか。
僕という気の置けない友人が出来たから?
それとも……その怪力で、古雑誌回収の日に、道ばたに捨ててある
大量のエロ本を一度に抱えて持って帰れるから、か。

「今日この場で! 阿良々木先輩を強引に押し倒しっ!
上半身を残した全ての衣服をはぎ取る力が私にあることにっ、
全力で感謝している!!」
「うおおおおおぉぉぉぉ~~い!! 下全部脱がすって
どういうつもりだああぁぁ!?」
「いざお目にかからん! 阿良々木先輩のペ(ピーー)ニス!」
「伏せ字意味無ねぇ!?」

人は極度の絶望を踏み越えると、なぜか笑みをこぼすという。
今の僕が、まさにそんな感じだ。
ああ、駄目だこいつ……何ともならん。
だって、今まで会った神原の中で、とびきりいい顔してるもん。
僕は悟った。勝てねぇ。




535 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/17(木) 06:12:26.50 ID:EXZg6/pDP
涎を垂らしながら、迫りくる神原。
真っ向から戦ったら、僕に勝ち目は無い。
部屋が狭い上に、運動神経では、部活をやっていた神原に
敵うはずがないと来ている。
神原の攻撃を全てかわしきるのは不可能だ。
その上、神原の左――怪力を生み出す猿の手に捕まったら
その時点で終わってしまう。
近距離は非常に不味い。
にもかかわらず、一足飛びで間合いを詰められてしまった。

「さあ、ご開帳だ!」
「あっ、千石のパンチラがっ!」

使い古された、漫画みたいな騙し手。
非力な僕に使える策なんて、これ位しかなかった。
分の悪い賭けだ。
いくら人より性欲溢れる神原だって、
こんな単純すぎる罠に引っかかるわけ…。

「シャッターチャンスッ!」
「まじで引っかかってるよっ!?」

ぱしゃりと、ジャンピングダイブを決めながら、
神原がカメラのシャッターを切る。
お前いつの間にカメラ用意してたんだよ…。
まあいい。僕はこのスキに乗じて、部屋の外へ一旦逃げよう……
と、戦場ヶ原が入り口ドアの前に立っていた。
偶然のわけがない――っ、確認するまでもなく妨害だ。




537 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/17(木) 06:16:13.16 ID:EXZg6/pDP
「敵前逃亡なんて男らしくないわよ。潔く戦って、散りなさい」
「散りなさいって!? お前、自分の彼氏が皆の前で
ひんむかれてもいいってのかよ!」
「ゾクゾクするわ……っ」
「あぁ――! お前も変態だってこと忘れてたっ!!」

戦場ヶ原とのくだらない掛け合い、わずか数秒。
そのほんの数秒は――僕にとって生死を分ける程重要なものだった。
神原が体制を整えてしまった。
もう、僕が逃げ切れる可能性は潰えた。

「酷いな阿良々木先輩、私をハメハメするなんて。
おかげで良い写真が撮れたよ」
「撮れた、だと!? え、本当に見えてたのかっ?」
「正面から見えないのなら……低い位置から覗き込めばいいだけさっ」
「誰かこのローアングラーを通報しろっ!」

そして神原、後でデータのコピー頼むっ!




541 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/17(木) 06:56:40.64 ID:EXZg6/pDP
「遊びは終わりだ阿良々木先輩」

背後の逃亡経路は、戦場ヶ原の裏切りによって消滅した。
もう逃げ場は無い。
避けられない、神原との一合。

「避けられないなら――やるしかないよな、神原っ!」

間合いに入った神原は、すぐさま攻撃態勢に移る。
神原に防御など必要無い。一撃入れば終わってしまうのだから。
当てる事だけに気を配ればいい。

そんな神原の優位性など、僕は何一つ持っていない。
ただ、神原の次の攻撃を予測するのみ。
どっちの手が来る?
男の僕と互角を張れる、人間の右手か。
それとも、防御すら無効化する、悪魔の左手か。
決まってる。

「左手、だろ?」
「な――っ!?」

神原の左手による攻撃は、速すぎて見えなかった。
だがしかし――神原の猿の手は、僕という獲物を見失って空を切っていた。
僕にかわされたショックで、一瞬神原の動きが止まる。
神原の驚愕も無理はない。
その悪魔の手は、腕力どころかスピードさえも、
超一級だと言うことを、僕ですら知っていた。
だからこそ、だ。
常人には視認出来ないスピード――お前の隙はそこにある。




543 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/17(木) 06:59:21.62 ID:EXZg6/pDP
「見え見えなんだよ。人の股間ばかりギョロギョロと凝視しやがって……っ!
お前がうっかりを装って、僕の一物を握ろうとしてただなんてバレバレだ!」

相手の防御をつらぬき、視認すらさせない、悪魔の手。
そんな強すぎるカードも、狙いがバレてしまえばただのイージーパンチだ。
視認を嘲笑う神速の突きが、股間めがけて飛ぶ一瞬前に
避けてしまえばいいだけのこと。

神原が的を絞らずに『体のどこかに触れてくれ』何て適当さで
突いてきていたら、その時点で僕が負けていただろう。
力量差をくつがえせたのは、僕が凄いわけでも何でもない。
全てお前の油断が敗因さ、神原。

僕は、行く当ての無くなった神原の猿の手を、自分側に思い切り引き寄せた。
柔道の崩しの要領で、神原のバランスを奪う。

「――くっ!?」





550 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/17(木) 07:30:17.41 ID:EXZg6/pDP
体制を崩している最中の神原は無防備で、僕は自由に動ける。
だが、神原は防御の態勢を取らない。
非力な僕に、神原を一撃でねじ伏せる武器が無い事がバレているからだ。
一発貰っても、耐えてやり返せばいいと踏んだのだろう。

「甘いよ神原……大甘だ! 勝負はもうついている!」

僕は隙だらけの神原に背を向ける。

「っ! 窓から逃げる気か!?」

そんな選択肢はハナから捨てている。
飛び降りで死ぬほどヤワではないが、痛いものは痛い。
そもそも、窓を開けて乗り越えている間に捕まるだろう。

検討外れだよ神原。
そんなリスクを背負う必要なんて、どこにも無いんだ。
僕は目の前に棒立ちしていた八九寺を抱え込んだ。

「あ――ありゃりゃぎさんっ!? な、何をっ」

僕のセクハラを、いつも動物的な勘で何割か撃退してきた八九寺が、
何の抵抗も出来ずに抱きすくめられてしまった。
それはあまりに僕の行動が予想外だったから。
誰の頭でも予想出来なかった、常識の範疇からはみ出た策、それは――




551 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/17(木) 07:33:56.73 ID:EXZg6/pDP
「八九寺の身柄は拘束したっ!!」
「…………はい?」

疑問をあげる八九寺のスカート裾を、僕は少しだけ掴みあげ、

「神原、お前が少しでも動けば、八九寺のスカートを『めくらない』っ!」

神原は直立不動のまま固まった。
にやけた口元からは涎を垂らし、両手はガッツポーズのまま。
敵である僕の命令に従った、その時点で、勝敗は決した。

「八九寺のスカートという人質をめくられたく無かったら、
僕を好きに殴りに来い!」
「主人公が女の子を人質に取るとかありえませ―――んっ!?」
「参ったああああああああぁ! 私は参ったぞおおぉぉぉぉ!!」
「嫌あああああああああっ!?」

結果。
阿良々木暦○ ー 神原駿河×
八九寺のパンツ、白。




552 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/17(木) 07:39:02.49 ID:M2wOFCt4O
ワロタ




616 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/17(木) 16:58:09.16 ID:EXZg6/pDP
僕と神原の死闘は、僕の作戦勝ちで幕を閉じた。
が、パンツ話はあまりに近所迷惑なので終了。
この話が某雑誌連載の、TOらぶるばかりに巻き込まれる
某ラブコメ漫画だったら、後10週くらい続けてもよかったのだが。
あくまで健全な伝奇ですので。

「では次に行きましょう―-! 待ってましたっ、
戦場ヶ原先輩の恋バナー!」

口笛を吹いてアゲアゲに盛り上がってるのは神原一人だった。
八九寺はパンツ見られたショックで、また部屋の隅に戻り泣きべそかいていたし、
千石はさっきからなぜか不機嫌そうだ。
もうこの企画自体、間違いなんじゃないのか。
僕の為にやってくれてるのはわかるが……そんなに楽しくないぞこれ。
そんな空気を完全に無視して、戦場ヶ原が語り出す。

「恋愛の話といっても、私の恋愛経験をほとんどを占めるのは
阿良々木くんだし、これからだって阿良々木くんだから、
ぱっとしないわよ?」
「悪かったな、ぱっとしない男で」

しかし、何だ…。
すっごく恥ずかしいぞ、これ。
戦場ヶ原と二人きりで恋愛関係の話するだけでも、
まだ顔から火が噴きそうだってのに。
皆の前で発表とか……なんという羞恥プレイ。

「そうね……阿良々木くんは胸に興味が無いわけじゃないようだけど、
異常に食いつくのは、腰のくびれ辺りかしら」
「それのどこが恋バナだあぁ――っ!?」




624 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/17(木) 17:26:54.43 ID:EXZg6/pDP
「はいっ! はいっ、はいはい!! 戦場ヶ原先輩に質問があるっ!」

神原のテンションの上がり具合は異常だった。
お前、何でそんなに平気なんだよ。
ついこの間まで戦場ヶ原の事が、本気で好きだったくせに。
僕を殺したいくらいに。

「許可するわ。ただ、阿良々木くんとの性生活については答えられないけど。
お互い、処女と童貞だし」
「包み隠さず語ってるじゃないか!? 僕のプライバシーを返せ!」
「で? 質問というのは、何?」

神原はがっくりと肩を落として、

「シモ以外の質問は無いからいい……」
「お前本当にシモ命だな!」




627 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/17(木) 17:31:33.28 ID:EXZg6/pDP
「あの……っ! 私も、質問していいですか?」

意外なとこで、意外な人物……千石がおずおずと挙手する。
まだ若く純朴な少女だというのに、汚れた人達の話題に
一生懸命加わろうという努力が涙ぐましい。
お前、付き合う友達絶対間違えてるよ。
いや、全部僕のせいだけどさ。

「あの、その……せ、戦場ヶ原さんは、こよみお兄ちゃんのこと
……本当に好きなんですか?」

千石のしゃべり方は、まだ頼りない少女を連想させるが、
戦場ヶ原を射貫く強い視線は、戦う女のものだった。
誰もが予想だにしなかった質問。
誰もがすぐに反応出来なかった為、場の空気が一瞬凍る。
よりによって、戦場ヶ原に、よりによって何て質問を。
いや、質問というよりは宣戦布告だ。
あまりに重すぎる空気に、八九寺が帰っていいですかと泣きを入れてくる。
我慢してろ。僕なんか、帰る家がここなんだぞ。




634 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/17(木) 18:02:28.44 ID:EXZg6/pDP
「だって……戦場ヶ原さん、は……こよみお兄ちゃんに
ちっとも優しくないし、それどころか暴力振るったり、
全然恋人同士に見えないからっ」
「わかってないなぁ、撫子ちゃんは」

二人の間に、神原が間に割って入る。
もめ事になる前に、仲裁してくれるのだろうか。

「暴力を振るい振るわれるのが好きなカップルもいるんだよ」
「あらぬ誤解を植え付けるな!? よけいこじれるだろうがっ」
「サドマゾっていってね。撫子ちゃんはどっちかな? ちなみに
私は超がつくほどのドMだ。おしりをつねられると感じてしまう」
「聞いて無いから語り出すな!」

戦場ヶ原は、千石の挑戦的な糾弾に少しも動じず、いつもの調子で返す。

「おかしな事を聞くわね。私と阿良々木くんが付き合っている事、
知っているのでしょう? 私が、彼女いない歴=年齢の阿良々木くんに
土下座されて付き合った経緯も、ね」
「事実をねつ造するなっ! お前の方から告白してきたんだろっ」
「そっちの方が阿良々木くんらしいと思って」
「お前ほんっと僕を貶めるの好きだよな!? 本当に好きなのかよっ」
「打たれ強い所が好きよ。刻んでも死なない所とか」
「本当にそれが理由なのかよ!? 僕は絶対破れない
サンドバックか何かかっ!?」




655 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/17(木) 19:36:31.45 ID:EXZg6/pDP
相変わらず無茶苦茶言う奴だ。
僕の事を散々罵倒したり、時に警告無しの暴力を振るってきたりと、
ちっとも恋人っぽくない。

「こよみお兄ちゃんは、いいのっ!? ぶたれたり、
鋏でちょん切られちゃってもいいのっ!?」
「阿良々木先輩も望んでいることだ」
「おいっ! ちょん切られちゃうのはさすがに許容できないっ」

千石が疑うのも当たり前だ。
でも僕は、戦場ヶ原の奇抜な性格を、付き合う前から知っていた。
わかってて付き合った。
なら戦場ヶ原に非なんて無い。
あるとしたら、それは。

「まあ……血の気の多い戦場ヶ原も、嫌いじゃないけどさ…」

僕の方からもう少し歩み寄れば。
周りにわかるくらい、戦場ヶ原萌えな所を出していけば、
少なくとも千石が僕らの関係を妙な方向へ勘違いしたりしないだろう。




656 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/17(木) 19:37:33.06 ID:EXZg6/pDP
「だからさ千石、僕と戦場ヶ原はハタから見たら奇妙に
映るかもしれないけど、僕は」

千石の顔を見る。
めっちゃ引いていた。
うわぁ。ロリコンの汚名だけでも生きづらい世の中だってのに。

「……そ、そうなんだ……ちょ、ちょっと驚いちゃった、かな」

僕との距離の取り方は、ちょっとどころじゃ無かった。
さっきまで、割と僕の事を『ちょっと憧れる、年上のお兄ちゃん』
風に見てくれた千石。
今はもう目も合わせてくれない。
心の中で、僕のロリコンがしくしくとべそをかく。




668 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/17(木) 20:01:32.70 ID:EXZg6/pDP
「でも、わたし理解するっ。こよみお兄ちゃんの事……
もっともっと知りたいからっ」

雲行きが怪しくなってきた。
早く次の話題に移らないと、何か悪い事がおこる予感がする。
だが、時既に遅し。
ランランと瞳を輝かせる神原は僕の制止を振り切り、
千石の頭を優しく慰める。

「君も、もっと強くなろう。そして、いつか阿良々木先輩を素手で」
「やめろ神原っ! 何物騒な事千石に教え込もうとしてるんだよっ!!」
「どうやったら強くなれますか?」
「猿の手というのは知っているかい?」
「うおおおおおぉぉぉ~~い!? 何てもん勧めてやがるっ!?」
これで、この場全員に僕がとびっきりのM野郎だという、
あらぬ誤解をされてしまった。
ちっとも楽しく無い……僕的に全然楽しくないぞ、このトーク。
千石に不純なイロハを教えようと、神原だけならともかく
戦場ヶ原さえも加わっていた。
器具はやめてくれ、器具は。

ふと、ぽつりと座る八九寺が視界に入った。
さっきからひとり話に加わらず、義務のように菓子をぽりぽりとつまんでいる。
僕と目が合うと、少し困ったような顔をして、視線を逸らす。
まるで、私の事はいいから楽しんでください、と気を遣っているみたいに。




690 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/17(木) 21:12:00.64 ID:EXZg6/pDP
八九寺の隣に座る。
ついさっき僕の性癖(誤解だけど)を知った後でも、逃げるわけでもなく。
いつものような自然さで、当たり前のように二人肩を並べられた。

「変態達の変態な会話が嫌いなだけです」

神原が対阿良々木用に練られた金的蹴りを教えてあげよう、
と千石にレクチャーしている。
あいつは先輩への敬いが足りない。
いつかシメてやる必要があるらしい。

白熱した神原は、うっかり蹴り足を僕の家具にひっかけてしまう。
そのまま力任せに振り切り、家具の破片が部屋に飛び散る。
あいつはもう出禁だ。

散った破片を、八九寺は僕の肩に寄りかかるようにしてかわす。

「阿良々木さんは人気者ですね」
「そうか? 人気っていうよりは……いじりやすいんじゃないのか」

一度くっついた肩は、そのまま離れず、くっついたままになる。
さすが子供、八九寺の高い体温は、僕の左半身を急速な勢いで温めてくれる。




699 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/17(木) 21:36:50.89 ID:EXZg6/pDP
「こんなにもロリコンで、あんなにも豚野郎なのに、
皆は豚良々木さんを好きだという…信じられません」
「無理に引っかけなくてもいいから。っていうか、
友達いないお前が言っても負け惜しみにしか聞こえないな」

反論がない。
左半身から、八九寺の振動が伝わってくる。
うわ、やば。半べそだ。
殴って泣かすならともかく、言葉で泣かすのは大人げなかったか。

「落ち込むなって。お前、すっごく年上の男にモテそうじゃん」
「嬉しくないですっ! 明らかにやましい人達じゃないですかっ!?
今想像してぞわっと来ました!」
「僕がいるだろ」
「うぅ……ロリコン以外の友達が欲しいですっ」
「……そっか」

こいつに友達がいないだなんて、ごく当たり前の事なのだ。
今日の今日まで、僕にしか見えなかったんだから。
そんなの、どうしようもない。
八九寺がいくら可愛くて、こんなにも面白い奴だったとしても、
見えない幽霊というハンデはあまりにも大きすぎる。




701 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/17(木) 21:41:33.28 ID:EXZg6/pDP
ずびびっ、と八九寺が鼻を鳴らす。

「ず、ずびばぜん……見栄はりまじだっ。ロリコンの友達でもいいですっ!」
「ロリコンを許容したっ!? お前妥協しすぎだろ…」

八九寺は伸びた鼻水をティッシュで拭かず、
あろうことか僕の袖で拭きやがった!
しかし、ロリコンの怪異に憑かれている僕は動じない。
この服は洗濯せずに、大事にとっておこう。

「阿良々木さんが望むなら、私歯磨き一杯しますっ。歯、磨きをかけますっ!」
「噛まなくていいからっ。望んでないから!」

僕しか友達がいない。
そんな生やさしい枷じゃない。
どんなに頑張っても、どんなに望もうと、八九寺の友達はこれ以上増えない。
幽霊だから当たり前の事。
そんなの、八九寺が認めても、諦めてしまっても。
僕は許容出来ない。
あいつが町でひとり、寂しそうにとぼとぼ歩いている姿を。
公園で遊ぶ子供達を、テレビを見るように眺めていた姿を。
僕は見るのがつらかった。
だから、八九寺の姿が見えるようになったのを聞いて、僕は嬉しくなった。
救われた気がした。




751 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 02:04:42.68 ID:a7tfD+1Y0
そうか、と僕は気づく。
八九寺を何とかしてやりたかったのは、僕なんだ。
その僕が、なぜか怪異に憑かれてしまった。
その後、ほどなくして八九寺の姿が皆に見えるようになった。
これを一連の物として関連づけると、答えは浮き彫りになってくる。

「阿良々木さんはラッキーですよ。こう見えて私、生前は結構人気者でしたから」
「かもしれんが、それを自分で言うなよな」
「ご近所の皆さんに自慢してもいいですよ。小学生の可愛い女の子とちょくちょく

密会している仲だと」
「通報されるからやめとく。っていうかお前、人見知り激しい?」
「今、人気者の真宵ちゃんって言ったばかりじゃないですかっ」
「生前は、だろ。今のお前は駄目駄目だ」
「何で……阿良々木さんにそこまで言われなきゃ、ならないんですか」

八九寺がすねてしまう。
何でって、そりゃ……気になるからだろ。
それは僕の願望であって、八九寺が強制される筋合いなどない。

「…だよな。悪い」
「……阿良々木さんは、私に他の皆と仲良くして欲しいんですか?」




756 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 02:27:14.35 ID:a7tfD+1Y0
小学生に見抜かれてしまった。
誤魔化してもしょうがないので、素直に頷く。

「今なら、阿良々木さんだけの物ですよ」
「お前、ロリコンの前でうかつにそう言うこというな」
「言うと、どうなりますか」

その挑戦的な言動に、無い乳の二つでも揉んでやろうかと思った。
だが言葉とは裏腹に、八九寺の目は頼りない。

「阿良々木さんのセクハラくらいなら、耐えられます」
「言ったな」
「でも、誰の瞳にも私が映らないのは……耐えられません」

僕だけにしか見えない霊体。
それは、他の誰にも見えないということ。
いるのに、見えない。
無視されているのと、何が違うのだ。

「誰に話しかけても無視されるし、誰も私と目が合うこと何て無いんです。
私は、ここにいるのに」

部屋の向こう側では、皆の楽しそうな笑い声。
八九寺は目を閉じ、耳を塞ぐ。
見てしまえば、聞いてしまえば欲しくなる毒を拒絶するかのように。
人に無視されたという傷は、深い。
存在を否定されたと同じ事なのだから。
今現在、八九寺の姿が皆に見えるようになったからといって、
否定された過去がすぐに消えて無くなる程、傷は浅くないのだ。




763 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 02:44:47.97 ID:a7tfD+1Y0
「今のお前、らしくないぞ。もっと欲張っていいんだ」

八九寺の頭に手をのせる。
手のひらに収まる小さい頭。
撫でられると、意外と素直に身をゆだねてくる。
こんな可愛い動物、僕専用にしたら罰があたる。

「お前の事知ってるの、僕だけだと思ったか?」
「え?」
「お前、今でも結構人気者なんだぜ」
「な、何言ってるんですかっ。誰も私のことなんか」

油断大敵。
久々に頭を撫でられてか、ぼへーっとしていた八九寺の脇に両手を差し込み、
パイタッチ&マッサージ!
小学生に乳なんて無いとおっしゃる皆さん。
実際に触って試してほしい。
胸骨の上にうっすらと張る、ほんのわずかな脂肪。
意識しないと知覚出来ない、だが真のロリコンにはハッキリとわかる。
ふくらみかけの希望、それが……少女のおっぱい!

「嫌あああああああああああぁぁぁ~~~っ!?」
「暴れても無駄だ八九寺ぃ! 僕の両手は、心の木工用ボンドで
お前の貧乳に接着済みだ!」




765 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 03:09:07.02 ID:yW+ZpLPiO
僕の股間からも木工ボンドが!




766 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 03:11:04.23 ID:Xwvvyxj50
ボンドw




771 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 03:42:00.33 ID:a7tfD+1Y0
「はなっ! してっ! 下さいこのロリコン!!」
「うははっ! 褒め言葉だぜ! 噛んでも無駄だっ! 僕の半不死のこの体、
今日この時の為に……ぐぅ!?」

股間の鈍痛に僕はうめく。
僕のおまたに刺さっている長い足。
なんと千石の物だった。

「うむ、ばっちりだ! 阿良々木先輩の玉を潰す事にかけてはもう免許皆伝だなっ」

おのれ神原。

「あ、あのっ、こよみお兄ちゃん……私、ちゃんと出来たかな。気持ちよかった?」
「………っ!」
「天まで昇りそうな性感で声が出ないらしい」

あまりの激痛に悶絶してるんだよ。
神原は八九寺に向き直り、

「君もどうだ。この蹴りは、阿良々木先輩をもてなす以外にも、護身用として使えるからな。
阿良々木先輩みたいに、児童公園で声かけてくる真性のロリコンを撃退するのにも有効だ」
「…………何で、知ってるんですか」
八九寺が問う。
「ん?」
「私が……阿良々木さんとはじめて会った時の、場所を、何で」




776 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 03:53:15.59 ID:a7tfD+1Y0
「何でって、それは」
「私は、誰にも見えなかったのに……どこにもいなかったのにっ」

あの事件に関わった物にしか知り得ない情報だ。
部外者の神原がどうして自分を知っていたのか、八九寺には判らないのだろう。
誰の前にも存在しなかった自分を、なぜ知っているのか。
そんなの、簡単な話だ。
八九寺、僕が言うのも何だけど、お前は本当に、割と可愛いんだぞ。
変態扱いされようとも、知り合いに教えたくなるくらいにな。

「阿良々木先輩から、凄く可愛い子が町をフラフラしてるって聞いていたからな。

そういうおいしい情報は共有しようと、根掘り葉掘り聞いたさ」

八九寺は、信じられないといった顔で、神原の言葉に聞き入る。

「八九寺真宵。本当は今日会う前から、ずっと名前は知っていた」
「……っ」

名前を知っていた。
それだけの言葉に、八九寺の小さな胸が波打つ。
そう、知っていたのは僕だけじゃない。
姿も見えない八九寺の姿を、神原も知っていた。




777 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 03:54:53.74 ID:a7tfD+1Y0
「こんな可愛い名前なんだから、きっと本当に可愛い子何だろうと想像していたが、
予想以上だ」

誰の中にも、自分はいないだなんて、お前の思い違いだ八九寺。
例え姿が見えなくても、神原の中に、お前はちゃんといたんだ。
神原に真っ正面から見据えられ、八九寺は視線を逸らす。
他人と目が合うことがあまりに久しぶりだから、慣れていないのだろうか。
その理由は、すぐにわかった。
八九寺の僕を掴む手が、わずかに震えていたから。

「私も、知ってたよ…っ」

千石が八九寺の顔を覗き込む。
そのせいで、半べその顔を千石にばっちり見られてしまったようだ。

「こよみお兄ちゃんから、八九寺真宵ちゃんって子と、もし町で会ったら、
友達になってやってくれって。でっかいリュック背負ってるからすぐ判るって聞いてたけど、
今まで全然見つからなかった」

千石はおずおずと手をさしのべる。
千石だって、あまり交友関係が広いわけではない。
自分から積極的に声をかけるのは苦手なのだろう。
でも、今日まで、いつか出会うだろう八九寺を探し続けてくれた。
千石の中にも、八九寺はいた。




780 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 03:58:10.13 ID:a7tfD+1Y0
「友達に、なろ?」
「………………っ、ぅ」

限界だった。
八九寺の顔がみるみる歪んでいく。
瞳からは、ぽろぽろと大粒の涙を流す、子供の泣き方だった。

「ぅぁ……っ、うああああぁぁぁぁっ」

ひとりぼっちで泣くと、よけい寂しくなるから、泣けない。
我慢していた分、ずっと貯めていたであろう涙を、八九寺はためらいなく流す。
今の八九寺は、もうどこでだって泣いていいのだ。
側で慰めてくれる奴が、僕以外にもいた事を知れたんだから。




782 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 04:02:37.72 ID:wBYs9AG80
良物語だな




783 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 04:03:07.75 ID:00YnT4UU0
幼物語




785 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 04:04:39.84 ID:CuWurJRI0
泣物語か




786 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 04:06:34.52 ID:dP7bV464O
※ただしロリコンが主人公




790 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 04:31:07.63 ID:a7tfD+1Y0
「所で阿良々木くん? ……あなたいつまで、その幼女の乳を揉んでいるつもり?」
「え、あ、いやこれは…落ちてる八九寺を元気づけようっていうか、その」
「あなたが乱暴に揉みしだくから、号泣してるじゃない。可愛そうに」
「いやあんた話聞いて無かったのかよ!? 感動のストーリー、いまここでやってたじゃん!」

確かに、役得だけどさ。
小学生の乳なんて、そう簡単に揉める代物じゃない。
この禁忌なる感触を手の平にしみこませようと、時間かせぎしたいのは山々だが、

僕だってまだ警察の世話には……。

「…………あれ、取れないんですけど」
「…は?」
「いやだから、何か八九寺の胸に、僕の手がひっついちゃってるっていうか…」

時間稼ぎでも何でもなく。本当に。
まるで八九寺の胸と僕の手が、ボンドか何かでくっつけられたみたいに。
……ボンド?
あーそういえば、僕さっき、木工用ボンドとか叫びながら八九寺の胸に触れたんだっけ。




791 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 04:32:24.27 ID:a7tfD+1Y0
「これが……怪異ロリコン様の能力なのかっ!?」

何という合法ロリ……じゃなくて、ふざけた能力なんだろうか。
っていうかこれ、どうやって剥がすんだ?

「……そう。じゃあ切断しないとね。鉈で、手首ごと」
「おま――っ、何て物騒なもんをっ! 事件になったら雛見沢の流貴士さんに迷惑かかるだろ!」
「切ったらまたつけてあげる。それで問題無いでしょう?」
「大ありだ! 大体、僕だって好きこのんで幼女の胸なんかっ」
「嘘だっ!!!」

惨劇。




798 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 05:21:40.32 ID:Z4n2GOsEO
切った!!




876 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 17:15:32.89 ID:a7tfD+1Y0
それから僕は戦場ヶ原と別れ、八九寺と付き合うようになった。
別れた、というよりは、一方的に愛想つかれたというほうが正しいけど。
ロリコンの怪異は結局祓う事が出来ず、僕は今でも少女が大好きなままだ。
だから、幽霊で一生少女のままである八九寺は、まさに理想だったのだ。
僕はもう、怪異に憑かれたままでもいいと思う。
もっと大切な人を、手に入れたのだから。




880 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 17:27:16.14 ID:a7tfD+1Y0
「……という夢を見たんだが」
「おまわりさあぁぁ~~ん!」

叫びながら逃げだそうとする八九寺を、僕は全力で引き留める。

「頼む、助けてくれ八九寺! 祓い方がわからないのは、本当なんだ!」
「ぎゃあ~~!? 引き留めるフリしてスカート引っ張らないで下さいっ!」
「今こうしている瞬間も、お前の事がどんどん好きになっていくんだっ」
「大嫌いですっ! 絶交します!!」
「止められない、止まらないっ! 止まりたくないっ!!」
「嫌ああああああぁぁ」

実を言うと。
本当はもう、怪異の祓い方は忍野から教わっているのだ。
忍野は最初、まずは様子見でいいと言ったけれど。
実際、それが唯一の解決策だった。




885 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 17:39:56.61 ID:a7tfD+1Y0
ロリコンの怪異が僕に及ぼした影響は、小児性愛だけではなかった。
存在しないものを、具現化させてしまう能力を、知らないままに
僕は獲得してしまっていたらしい。

その怪異が憑く人間は、大抵が子を亡くした親など。
子供の死を認められない親が、怪異から得た能力を無意識に使用し、
存在しないはずの子供の霊を具現化していた例がいくつかあると聞いた。
つまり、僕にしか見えなかった八九寺が皆に視認されるようになったのも、
全部僕の仕業だったってわけだ。

じゃあ、何で僕に限ってロリコンの属性が付加されたのかだが。
怪異の力を借りてまで、無を有にするなんて考える奴は、相当な子煩悩だったりしたらしい。
つまり、偏執的に子供を愛する気持ちが、怪異を呼び寄せ、思いを成就させた。
キーワードは、愛。




887 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 17:49:56.24 ID:a7tfD+1Y0
ここからは忍野の予想だけど、僕のロリコン化は、
不足していた愛を補うための代償行為である可能性が高い。
僕が八九寺を『何とかしてやりたい』と思っていたのは確かだが、
無を有にする力を得るには足りなかった。
だから忍野いわく、人一倍お人好しな僕は糞真面目にも『ロリコンになりきる』事で、
不足分を補おうと考えた。
まあ、つじつまは合うけどさ。
我ながら……何て無茶するんだよ。

「わはははっ! はちくじつ~かまえた!」

暴れる八九寺を羽交い締めにし、キスの嵐を降らせる。

「ううぅ……毎日毎日、体中を撫で回されたあげく、初キッスまで奪われて……
私八九寺真宵は、もうお嫁にいけません」
「いや、お前はどのみち一生無理だろ。幽霊的に」
「う、うぅぅ……ふええぇぇ~~んっ」

ウエディングドレスを着る夢が潰え、八九寺はさめざめと涙を流す。

「泣くなよ、僕が貰ってあげるからさ」
「慰めるフリして変態的な事言わないでくださいっ!」
「じゃあ八九寺が僕を貰ってくれよ」
「立場逆転っ!? ドレス着た阿良々木さんは最早公害ですっ」




890 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 18:12:27.86 ID:a7tfD+1Y0
しばらくすると八九寺も大人しくなり、黙って僕に抱かれていた。
八九寺の体からは、相変わらず子供の良い匂い。
僕はその芳香を、忘れないよう脳に刻みつける。
そう、決して忘れてはいけないのだ。
忘れてしまえば、全部無かった事になってしまうから。

「…阿良々木さんは、いつまでこんな事するつもりですか」
「いつまでも」
「無理してるの、わかります」

八九寺にはもうバレていたらしい。
僕がなかば義務的に少女愛を求めていたことを。
無理矢理にでも、こうして八九寺が大好きな気持ちを維持しないと、
怪異と共にそれが薄れていってしまうのがわかる。
忍野が、何もしない事が解決策だと言った意味は、実に的を射ていた。

八九寺にわずかながらの友達が出来て、満足してしまった僕は、
無意識に怪異をつなぎ止める事がもう出来ない。
八九寺がやっと得られた物も、僕が八九寺に望んだ物も、陽炎のように頼りない。
その終わりが来るまで、僕は。

「ちょっといいかな」

聞き覚えのない大人の声。
振り返ると、そこにはポリスメン。




893 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 18:22:36.41 ID:a7tfD+1Y0
職務質問をするときのフランクさは既になく、犯罪者を派出所で
問い詰めてる時のような顔で僕を見る。

「何ですか、兄妹同士みずいらずで遊んでいた所を」

さりげなく八九寺が妹という偽情報を混ぜてみる。

「妹? 本当に? さっき凄い暴れてなかった?」

雲行きが怪しい。
あれを見られたのは不味い。
警官じゃなくたって、高校生が嫌がる小学生を押さえ込みキスしていたら
誰だって通報するだろう。

「抱きしめられると暴れちゃう程、兄が大好きなんですよ」




894 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 18:24:26.74 ID:a7tfD+1Y0
苦しすぎる言い訳だった。
苦し紛れに、八九寺に『な?』と調子を合わせるが、

「知りませんこんな人」
「裏切りやがったこいつっ!?」
「私の未発達な胸を揉んだり、無理矢理ちゅーしてきたり、いっぱい汚されましたっ」

警官が僕の腕を掴んでくる。
あ、もう連行する気満々だ。

「…それは本当か君?」
「そりゃ……全部事実ですけど」

正直に言った。
なぜなら、僕にとって八九寺へのセクハラは悪戯目的じゃなく…愛があったと断言出来るから。




897 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 18:46:04.12 ID:gdhLvtVU0
タイーホ




898 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 18:46:43.51 ID:9G0XJd1n0
シャレにならんww




899 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 18:51:01.24 ID:a7tfD+1Y0
「八九寺ぃ~~~! 愛してるぞおぉぉ~~~!!!」

警官に引きずられながら、愛を叫ぶ。

「阿良々木さんは、少し頭を冷やしてくるといいです。今のままじゃ、
私だって迷惑ですから」

迷惑という割りには、その表情に拒絶の色は無く。
しかたない兄をバカにする妹のようだった。
八九寺は誰に聞かせる訳でもなく、ひとりつぶやくように語る。

「町で声かけてくれるのは、嬉しかったです。それが目当てで
一日中歩き回っちゃうくらいに。毎日阿良々木さんの事考えながら、会えたらいいな、
なんて考えちゃうのは、私にとって自然な事でしたから。
友達が出来るようになったのも、阿良々木さんのおかげだって知った時は、
なんだか胸の所がぽかぽかしてきて……ずっとこんな毎日が続けばいいなって……」

八九寺が笑う。
嬉しさ100%だけの笑顔じゃない。
嬉しさと悲しさの入り交じった、苦笑い。
女の子にそんな笑顔をさせるようじゃ、僕はまだまだ甘かったのだ。




900 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 18:52:24.79 ID:a7tfD+1Y0
「でも、阿良々木さん自身が困るような事まで、願ったり出来るわけないじゃないですか。
私だって、私だって、こんなだけど……阿良々木さんのこと、割と………

……す、気に入ってるんですからっ」

八九寺は顔を上げて、今度は周りに聞こえるくらいデカい声で叫ぶ。

「出所したらっ、彼女と仲直りしてくださいっ! ちっちゃい子を追っかけ回すのはやめて、
真人間に戻って下さいっ! その後、たまたま町で会ったら…」

八九寺が指を唇に当てて、ウインク。
あのませガキ。ちょっとドキっとしちゃったじゃないか、この野郎。

「デートくらいなら、付き合ってあげますっ」




902 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 18:56:00.25 ID:a7tfD+1Y0
真宵END
ってことで。
幕引き




903 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 18:57:00.34 ID:Y5dNWFkGO
捕まった………www




904 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 18:58:50.61 ID:7xaM31oTO
>>902
お疲れ様!
おもしろかった




905 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 18:59:36.23 ID:wBYs9AG80
お疲れ様




909 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 19:03:46.48 ID:9G0XJd1n0
乙!
ちょっと荷物抱えた小学生探してくる










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コメント
この記事へのコメント
  1. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/09/27(日) 07:19: :edit
    1GET
  2. 名前:   #-: 2009/09/27(日) 08:06: :edit
    長い上に軽く引く。
  3. 名前:    #-: 2009/09/27(日) 08:09: :edit
    SSだけど、維新さん本人ばりに
    巧い言い回しが多かった。乙
  4. 名前: やまぐちよしたか #-: 2009/09/27(日) 08:23: :edit
    マジねえわ
  5. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/09/27(日) 08:27: :edit
    ※3
    それは言い過ぎwwwww
  6. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/09/27(日) 08:36: :edit
    面白いとは思うけど原作と文の書き方が全然違うから何か違和感あったな・・・
  7. 名前: 通常のナナシ #8ZbYP/IQ: 2009/09/27(日) 08:43: :edit
    長いわ・・・
  8. 名前: 依存症さん@_@ #-: 2009/09/27(日) 08:43: :edit
    撫子ENDだれか書いてくれ
  9. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/09/27(日) 08:46: :edit
    いいだしっぺ
  10. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/09/27(日) 08:51: :edit
    これは良作
  11. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/09/27(日) 09:30: :edit
    八九時を襲わない阿羅々木なんて・・・
  12. 名前: 通常のナナシ #BaVqJGy6: 2009/09/27(日) 09:49: :edit
    羽川「・・・」
  13. 名前: VIPPERな名無しさん #-: 2009/09/27(日) 10:21: :edit
    羽川が出てないからてんでダメ
  14. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/09/27(日) 10:44: :edit
    誰か真宵を描いてくれる絵師はいないのか
  15. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/09/27(日) 10:44: :edit
    ところどころ違和感あったけど面白かった
    ただやっぱり何だかんだで戦場ヶ原ENDになって欲しかった……
  16. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/09/27(日) 10:52: :edit
    書き方が~とか原作読んでるアピールしてる奴はいるのに
    忍野が携帯持ってるのに誰も何も言わないとか…
  17. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/09/27(日) 11:11: :edit
    場面転換がなんか下手だな
    流れが悪い、言い回しもなんか微妙
    まあ原作が独特だから仕方ないけどね
  18. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/09/27(日) 11:27: :edit
    お前はなんでも知ってるな。
  19. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/09/27(日) 11:27: :edit
    まよい好きの俺にはたまらん
  20. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/09/27(日) 11:48: :edit
    ※18
    クスッときた
  21. 名前: VIPPERな名無しさん #-: 2009/09/27(日) 11:52: :edit
    なんで普通に声をかけるんだよ!!
    八九寺には抱きつくだろうがコラ!!
  22. 名前: VIPPERな名無しさん #-: 2009/09/27(日) 12:05: :edit
    この物語はもっと短く出来る。

    暦「治すの手伝って」

    千石「一生手伝いますっ」

    ハッピーエンド!
  23. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/09/27(日) 12:24: :edit
    面白いけど、所々ボロが出てるね
    最初に違和感感じたのは、
    「防犯ブザーです……どこにしまったかな」
  24. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/09/27(日) 12:37: :edit
    ありゃりゃぎさん素敵だわ
  25. 名前: VIPPERな名無しさん #-: 2009/09/27(日) 12:37: :edit
    某ロリ吸血鬼は出ないのか・・・
  26. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/09/27(日) 12:49: :edit
    ロリコンは犯罪だが、撫子はアリ。
    つーか、高校生と中学生なら問題なくない?
  27. 名前: 通常のナナシ #YpJfYqTk: 2009/09/27(日) 12:58: :edit
    昼間から大爆笑したww
    いいぞもっとやれww

    あと撫子は俺の嫁な。
  28. 名前: VIPPERな名無しさん #-: 2009/09/27(日) 13:00: :edit
    永杉
  29. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/09/27(日) 14:02: :edit
    っていうか撫子はロリじゃねーだろ
  30. 名前: VIPPERな名無しさん #-: 2009/09/27(日) 14:04: :edit
    ※29
    お前、あの時のお前に
    もう戻れないのか・・・
  31. 名前:   #-: 2009/09/27(日) 14:54: :edit
    もう少し会話に工夫が欲しかった。
    テンポが悪いから長く感じる。
  32. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/09/27(日) 15:21: :edit
    なんか文章下手だな
  33. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/09/27(日) 15:21: :edit
    いいよーいいよー
    化物語SSが増えるだけで十分だ
    違和感なんてどうでもいい
  34. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/09/27(日) 15:23: :edit
    さいきんぷん太で化物語SSが増えて嬉しい

    でも長い。
    西尾ベースだから、雰囲気出そうとすると仕方ないんだろうけどね
  35. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/09/27(日) 15:50: :edit
    リアルタイムで見てたけど相当時間かかってたから、まとめてくれてぷん太ありがとう!
  36. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/09/27(日) 16:11: :edit
    神原の口調がおかしい
    それ以外は大胸面白かった
  37. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/09/27(日) 17:16: :edit
    大胸ってなんかいやらしいな
  38. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/09/27(日) 17:19: :edit
    ※36
    おおむねと言ってm(ryって書こうと思ったら本当に大胸で噴いたwww

    しかし1つの話で全員登場させようとするのは結構キツいね
  39. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/09/27(日) 17:40: :edit
    古泉「涼宮さん、冗談はスパッツだけにして下さいとあれほど……」
    神原「そうか!脱げばいいんだな!?そうなのだな!?わかった脱ごう!スパッツだけとは言わず全部脱ごうではないか!」
    古泉「  え?  」
  40. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/09/27(日) 17:46: :edit
    俺の中の撫子は暦にスカート丈を指摘されたら(以下イメージ


    暦「スカート丈は短い方がいいぞ」
    撫子「そ、そう…かな……」

    スルスル

    撫子「暦…お兄ちゃんは……このくらいがちょうどいい…?」←露骨に太ももを強調


    な感じになると思う。あくまで策士撫子。
  41. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/09/27(日) 18:26: :edit
    楽しめた

    長いほうが良くね?
  42. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/09/27(日) 18:32: :edit
    最後辺りに違和感があるなあ
    あと少し長いわ
  43. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/09/27(日) 18:39: :edit
    》307 ロリコンに幸せなんて訪れるわけがない。

    ―――…泣いた。

  44. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/09/27(日) 18:46: :edit
    長いよ・・・
  45. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/09/27(日) 19:38: :edit
    アニメ化したとたんにこれだよまったく
  46. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/09/27(日) 19:57: :edit
    真宵ちゃん貧乳だっけ?
  47. 名前: 通常のナナシ #- #-: 2009/09/27(日) 19:58: :edit
    真宵ちゃん大好き
    面白かた(^q^)
  48. 名前: 通常のナナシ #- #-: 2009/09/27(日) 20:04: :edit
    >>46
    クラスでは発育良いほうだったなwwww
    俺は真宵ちゃんonlyだから気にしない
  49. 名前: VIPPERな名無しさん #-: 2009/09/27(日) 20:27: :edit
    783ナイス

           幼物語

         こよみロリータ


    コレで決まりだな
  50. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/09/27(日) 21:51: :edit
    化物語の変態SSがみたいなぁ…と思ってたけど、もう既に変態しかいないか。

    いいことだ。

    というかそこまでクオリティ高くなくていいからもっと化物語のSSが増えるといいな。
  51. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/09/27(日) 22:13: :edit
    まよいバイバイとか言ってる奴
    ちょっと逆立ちで校庭十週してこようか
  52. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/09/28(月) 01:45: :edit
    まさかのまさかで感動したんだけど
    んで、ゲーム化はいつですか西尾さん・・・

    長さも俺的には調度よかった

    さて、テスト勉強しn(ry
  53. 名前: VIPPERな名無しさん #-: 2009/09/28(月) 02:38: :edit
    ところどころに面白いところはあったんだけどなぁ
  54. 名前: deleted #-: 2009/09/28(月) 07:42: :edit
    千石可愛い
    千石で抜ける
  55. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/09/28(月) 08:46: :edit
    面白い
    でも、あれだな
    化物語ssは求められるレベルが高すぎる
    量産はできないんじゃないか?
  56. 名前: 勝手に推薦隊 #mQop/nM.: 2009/09/28(月) 08:54: :edit
    突然に失礼ですが、秋の夜長、学校教育に関心ある皆様に、読んでいただきたい本があります。
    「『おバカ教育』の構造」(阿吽正望著 日新報道社)です。
    いじめ、不登校、引きこもりを作り出してしまう、学校教育の欠陥を明らかにした本です。
    是非とも、教員や教育関係者にも、読むことを求めていただきたいと思います。
    それだけでも、教育が変わり、多くの子供たちが救われます。
    子供たちの不幸をなくすために、よろしくお願いいたします。
  57. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/09/28(月) 09:30: :edit
    結局つかまるんかw
  58. 名前: ナナシ #-: 2009/09/28(月) 11:09: :edit
    西尾維新の文章は独特だから、違和感できるのはしょうがないな
    でもなかなか雰囲気出てて良かったよ
  59. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/09/28(月) 15:34: :edit
    細けぇこたぁいいんだよ!
    怪異とオチの繋げ方は良かったと思う。

    もっと化物シリーズのSSお願いしますぷん太さん!
  60. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/09/28(月) 23:13: :edit
    戦場ヶ原って気持ち悪いな。
    こういうやつがいるから、ロリコンは生まれるというのに。

    というか、こんなやつだった
  61. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/09/28(月) 23:54: :edit
    おいぷん太、あと二つほど>>1が書いてたろ
    あれどうした
  62. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/09/30(水) 00:08: :edit
    原作と文が違うから違和感あって途中で読むのきつくなった

    神原のとこだけ読もうとしたが…まあね、しょうがないね
  63. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/04(日) 05:42: :edit
    西尾はぶっ狂っとるようでクレバーだから、「まよいマイマイ」以外ではちくじが幽霊であると明言する描写はほぼしてない(はずw)。



    だけど心配ないさー!何度でも言うよ!
    原作がすでにキャラ崩壊!
    だからどう書こうが全然問題なし!
    もっと増えろ!
    あと文句をつけるエセファンはマジで読まなければいいのに…。禿げろ
  64. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/04(日) 15:03: :edit
    >>62
    パロディじゃなくてSSなんだから、原文と違ってもなんら問題も無いだろ。

    朝鮮人にはパクリとSSの区別がつかないかも知れないが。
  65. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/04(日) 19:57: :edit
    違和感あったのは否めないけど面白かったからいいや
  66. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/06(火) 09:50: :edit
    1レスごとがすげー長文だな。
    読むのも疲れたけど(面白かったけど)
    書くのもそうとう疲れるだろうなコレ。
    モチベーション保ったまま最後まで書き切るのは大変な作業だ。
  67. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/11/07(土) 15:55: :edit
    いーや、良作だね
    やっぱり八九寺は最高だね
  68. 名前: 通常のナナシ #FtpxytY2: 2009/11/26(木) 13:39: :edit
    長い長いってお前らどれだけ文章読みなれてねーのかとwww
  69. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/12/26(土) 01:36: :edit
    動画化されたな
  70. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/02/24(水) 00:04: :edit
    ※30
    ※29と撫子同年代説
  71. 名前:    #-: 2010/03/05(金) 01:28: :edit
    いいねえ実にいい
  72. 名前:   #-: 2010/03/07(日) 17:21: :edit
    面白いわ
    長いけどスルスル読めた
  73. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/07/25(日) 05:32: :edit
    忍「・・・・」
  74. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/11/24(水) 22:13: :edit
    良作AGE!
    この人にもっと書いてほしいな
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俺の妹がこんなに可愛いわけがない 黒猫 白猫Ver.
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