八九寺「あ、スメラ木さん!」

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2009/08/31(月)
1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 08:14:33.16 ID:kKrukS6CO
阿良々木「人をどこぞの戦術予報士みたいに呼ぶな」

八九寺「失礼、噛みました」

そう言って――八九寺真宵は、例のはにかみ笑いを浮かべた。

阿良々木「違う、わざとだ」

八九寺「噛みまみた」

阿良々木「わざとじゃない!?」

八九寺「まみままま」

阿良々木「……もう原形留めてないよな、それ」

というか。

阿良々木「八九寺、お前、どうしてこんな所にいるんだ?」





2 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 08:18:00.59 ID:lg0waTV6O
八九寺に乳首かまれた上で失礼かみましたって言われたい




5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 08:22:14.10 ID:kKrukS6CO
八九寺「私がどんな所へいようと、阿良々木さんには何の関係もないではないですか」

阿良々木「何だよ冷たいな八九寺。僕とお前の仲だろうが」

八九寺「ふんだ、阿良々木さんと私の関係など、刺身とメロンパンのようなものです」

阿良々木「……その関係性は僕にはちょっと見い出せないぞ、八九寺ちゃん」

刺身とメロンパンって、どんな繋がりがあるというのか。
共通項は食べ物というだけだ。

八九寺「そういう阿良々木さんこそ、こんな場所こんな時間に、何をしてらっしゃるんですか?」

そうなのだ。
早朝の朝、公園――である。




13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 08:28:18.53 ID:kKrukS6CO
阿良々木「いや、僕はだな……」

しかしこれは、八九寺にはちょっと言いづらいものがある。

八九寺「どうかしたのですか、阿良々木さん」

阿良々木「…………」

八九寺「なるほど、さては阿良々木さん、私には言えないような事情でここにいらっしゃるという訳ですね」

見破られた。
至極あっさりと、看破されてしまった。

八九寺「となると、そこの茂みに隠れて小学生女子の盗撮ですか」

阿良々木「違ぇよ!」




32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 08:44:12.72 ID:kKrukS6CO
八九寺「おや、阿良々木さんは二日に一度小学生女子を視界に留めておかないと干からびて死んでしまうのでは?」

阿良々木「そんな設定は僕にはねえ」

八九寺「これは失礼。三時間に一度でしたか」

僕はどこの星の生き物だ。




38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 08:52:46.28 ID:kKrukS6CO
阿良々木「そういや八九寺、お前、何でこんな所にいるんだ?」

八九寺「私はただの散歩です。たまには、早朝の散策も悪くないと思いまして」

阿良々木「散歩、ねぇ」

八九寺「これといって深い意味合いはありません。ちょうど阿良々木さんの人生みたいなものです」

阿良々木「人の人生を早朝の散歩と同じ重さにするな!」

八九寺「怒鳴られました! 童貞の阿良々木さんに怒鳴られました!」

阿良々木「童貞も何もあるかそんなもん!」




40 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 09:05:31.99 ID:kKrukS6CO
八九寺「童貞は黙っててください。阿良々木さんの半径数メートルに近寄っただけで童貞の臭いがします」

阿良々木「いや、童貞に臭いとかないから」

八九寺「私には分かります。阿良々木さんの童貞臭はドリアンにくさやと納豆をぶちまけたような臭いです!」

阿良々木「いくらなんでも臭すぎだ!」

悪臭の境地じゃねえか。

八九寺「臭いが移ります! 近寄らないでください! ていうか、どっかへ消えちゃってください!」

阿良々木「こんの野郎……言わせておけば……」

八九寺「揉みますか? さては揉もうとしていますね」

阿良々木「馬鹿な、何故分かった?」

八九寺「……やっぱり揉もうとしていたんですね。最低です。また一つ軽蔑しました、阿良々木さん」

どうやら僕はカマを掛けられた挙句、その罠にまんまと引っかかってしまったようだった。




43 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 09:13:24.37 ID:kKrukS6CO
阿良々木「ええい黙ってろ八九寺! こうなったら今からお前の胸を徹底的に揉んで揉んで揉み抜いてや――」

戦場ヶ原「何を徹底的に揉み抜くって。阿良々木君」

阿良々木「決まってるだろ、小学生女子の胸部にようやく実りかけた、やや甘くまろやかな淡いふくらみを二個――」

――って。

阿良々木「……戦場ヶ原?」

戦場ヶ原「何よ、阿良々木君」

阿良々木「戦場ヶ原、お前、いたのか」

戦場ヶ原「今通りかかったのよ。それで阿良々木君がいたから声をかけようと思って」




45 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 09:19:29.15 ID:kKrukS6CO
阿良々木「……言い訳を、させてください」

戦場ヶ原「前にも似たような台詞を一度聞いたわね」

阿良々木「いや、まったく同じ台詞かと」

戦場ヶ原「何よ、口答えする気? 生意気ね。阿良々木君のくせに」

阿良々木「いや、せめてその程度の権利は僕にください」

戦場ヶ原「嫌よ。ゴキブリを口一杯に詰まらせて死ねばいいのに」
阿良々木「恐ろしいことを言うな!」





46 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 09:24:54.63 ID:kKrukS6CO
戦場ヶ原「冗談よ。この場合、ゴキブリではなくてムカデとアオイソね」

阿良々木「大して変わらねえよ」

戦場ヶ原「あら、臓器の飛び出た蛙の死体のほうが良かったかしら」

阿良々木「だから変わらねえよ!」

戦場ヶ原「可哀想だから阿良々木君の口に詰めるときは私が直々に詰めてあげるわ」

阿良々木「勘弁してください」




48 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 09:33:43.65 ID:kKrukS6CO
戦場ヶ原「それで話は戻るけれど――阿良々木君、阿良々木は一体、誰の何を揉もうとしているのかしら」

言いながら――戦場ヶ原はつかつかと僕の元へ歩み寄ってくると、僕の肩を静かに掴んだ。
しかしその力は尋常ではなく、今にも肩が悲鳴をあげそうなほどに、力強いものだった。

戦場ヶ原「まさかとは思うけれど……阿良々木君、犯罪に手を染めてしまうようなことでは、ないでしょうね。そう、例えば――小学生女子を、強引に乱暴しようとしたりとか」

乱暴、の辺りで、込められた力が一層強いものになった。

阿良々木「いたたた、痛いって戦場ヶ原、マジ痛いって!」

とてもじゃないが、冗談じゃない。




51 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 09:41:46.20 ID:kKrukS6CO
戦場ヶ原「私というものがありながら阿良々木君、ましてや私に見えないのをいいことに――随分と良い度胸じゃない」

肩を掴んでいないほうの右手が、瞬間、僕の首元へと伸びた。
僕の首をもぎ取る勢いで掴みかかってきたその手はたちまち、肩を掴んでいる左手と同程度、あるいはそれ以上に力が込められ――僕は、実に綺麗に締め上げられた。

阿良々木「がっ……」

戦場ヶ原「本当、有終の美を飾るに相応しい、良い度胸だったわ」

いや、待て。今戦場ヶ原は有終の美を飾るに相応しい、と言ったか?
つまりそれって、僕を殺――

戦場ヶ原「幸せね阿良々木君。阿良々木君の最期に一番傍に居たのは、やっぱり私だった」




52 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 09:48:11.96 ID:kKrukS6CO
阿良々木「は、はちく――」

じ――と。言おうとして、僕はそこでようやく、八九寺の姿が見当たらなくなっていることに気が付いたのだった。

あの野郎、逃げやがった。

戦場ヶ原「愛してるわ阿良々木君。愛してるから、さようなら」

その言葉とともに、戦場ヶ原は右手に込める力を、数段階すっ飛ばして強くした。

そして僕の意識は悲鳴を上げる余地もなく、一瞬で断絶した。



――――fin.




53 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 09:49:10.23 ID:bm2LG5vTO
………





マダァ-?(・∀・ )っ/凵⌒☆チンチン




54 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 09:50:18.86 ID:lEvaq8xP0
終わっちゃったよ!




55 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 09:53:05.65 ID:ITOR/zz+0
続き書けよおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!




86 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 12:30:42.38 ID:kilZJu6f0
僕が次に目を覚ましたのは、例の見慣れた学習塾跡の廃墟だった。

阿良々木「…………」

メメ「おっと、お目覚めかい阿良々木君」

阿良々木「忍野?」

メメ「いかにもその通りさ、阿良々木君」

僕が顔を斜め後ろに向けると、そこにはサイケデリックな模様のアロハを着た忍野が、薄笑いを浮かべながら立っていた。




89 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 12:35:17.74 ID:kilZJu6f0
阿良々木「忍野お前、僕を――助けてくれたのか?」

メメ「おいおい阿良々木君、分かってるだろう? 忍野メメっていう、一人の人間のスタンスをさ」

阿良々木「助けない。力は貸すけど――だっけか」

メメ「その通り」

つまり、僕を助けたのは忍野ではないということか。




96 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 12:42:51.71 ID:kilZJu6f0
阿良々木「じゃあ、一体誰が……」

メメ「迷い牛だよ阿良々木君。君を助けたのは他でもない、迷い牛の八九寺真宵ちゃんさ」

阿良々木「八九寺? 八九寺が僕を助けたってのか?」




103 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 12:54:48.87 ID:kilZJu6f0
メメ「ツンデレちゃんが直々にそう言っていたからねぇ。彼女の目には、見えない何かがいきなり阿良々木君を奪い去っていったようにしか見えなかったんだろう」

阿良々木「そう、なのか」

いや。

阿良々木「ちょっと待て忍野。仮に八九寺が僕を助けたとして、八九寺の体格で僕を奪い去り、なおかつこの廃墟まで引っ張ってくるなんていう芸当は、到底不可能なんじゃないか?」

仮にも小学生女子なのだ。
相手はそれなりに発育済みの男子高校生なのだから、引っ張るにしろ何にしろ、移動は相当制限されるだろう。
それなのに――あの本気で怒っている状態の戦場ヶ原から、そんなにも首尾よく僕を奪って逃げおおせたとは、とてもじゃないが、思えない。
つうか。
そもそも、八九寺がそんなことをするとは思えない。むしろ僕の身に起きた不幸を、後からニヤニヤしながらつついてくるようなタイプじゃないのか。

メメ「ははははは! さすがは阿良々木君、良い勘してるねぇ」

阿良々木「茶化すな忍野。どうせ他に協力者がいたんだろ?」

メメ「まあまあそう焦るなよ阿良々木君。何か良いことでもあったのかい?」




105 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 13:04:36.91 ID:kilZJu6f0
メメ「ともあれ、別に隠し立てするようなことじゃない。素直に教えるよ、阿良々木君」

阿良々木「いや、最初から素直に教えろよ」

メメ「おいおい、それじゃ面白みも何もないじゃないか」

阿良々木「…………」

メメ「冗談だよ。そうそう、迷子ちゃんを助けたのは、あの委員長ちゃんさ」

阿良々木「羽川か!」

羽川翼。委員長の中の委員長。

阿良々木「しかし、なんでまた羽川がいたんだ。都合良く」

メメ「さあね。僕は詳しい事情は知らないから。軽い経緯くらいなら知ってるけど」

阿良々木「そうだ! 忍野、僕に一体、何があったんだ?」




123 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 13:36:46.34 ID:kilZJu6f0
メメ「そうだね、どこから話そうかな……阿良々木君、阿良々木君は自分で自分がどうなったのか、どこまで覚えてる?」

阿良々木「えっと……八九寺に会って、戦場ヶ原に遭って、それから――」

それから――怒られた。

阿良々木「尋常じゃない勢いで怒られた。というか、殺されかけた」

あれはそう表現して然るべきものだろう。

阿良々木「で、意識が飛んだ――そこまでかな、僕が自分で覚えてるのは」

メメ「そっか。それじゃ、あまり僕が説明する手間は省けないわけだ」

やや落胆した様子で、忍野は肩を落とした。

メメ「まいっか。それじゃ、阿良々木君の意識が飛んだ後、一体何があったのか教えてあげるさ」

阿良々木「ああ、頼む」





135 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 13:54:06.28 ID:kilZJu6f0
メメ「怖いツンデレちゃんはね、まず阿良々木君を気絶させた後、人目につくことを考慮して、自分の家に背負って帰ろうとしたんだよ」

阿良々木「…………」

戦場ヶ原の奴、どうやら僕を自宅へ持ち帰り、とどめを刺す算段だったらしい。
…………いやいや。
洒落になんねえよ。マジで。

阿良々木「つーか、なんでお前がそんなこと知ってるんだ」

メメ「あれ? 言わなかったっけ。僕はついさっきツンデレちゃんに会ったんだよね」

阿良々木「会ったのか? 戦場ヶ原に」

メメ「ああ。阿良々木君のことを探してたよ。彼女本当、怖いねぇ。
『阿良々木君は絶対、ここに居ます。そうですよね?』――だってさ。あれはカマをかけてる目じゃない。本当に確信を持ってる目だ。
阿良々木君、帰り道気をつけたほうがいいよ? 案外すぐその辺で待ち伏せてるかもね」

阿良々木「恐ろしいことを言うな忍野。ほんとに待ってるかも知れないんだぞ?」

しかし、そこまでの確信を持っていたのなら何故、ここへ踏み込んでこなかったのだろうか。
よく分からない。




145 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 14:25:48.63 ID:kKrukS6CO
メメ「話を戻すけど、そこに迷子ちゃんと委員長ちゃんが現れた」

阿良々木「……おいおい、その辺の脈絡が随分と雑過ぎないか? そんなに断片的じゃ全体像を掴みかねるぜ?」

メメ「そこは大して重要じゃないってことだよ阿良々木君。でだね」

阿良々木「何だよ」




153 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 14:39:27.71 ID:kKrukS6CO
メメ「迷子ちゃんと委員長ちゃんは、委員長ちゃんの機転と奇策で、見事阿良々木君の奪取に成功した」

この辺は完全にあらすじだね――と、忍野は肩を竦めた。

メメ「そして、委員長ちゃんが阿良々木君をここへ連れてきた。委員長ちゃんの話じゃその頃にはもう、迷子ちゃんはどこかへ行ったらしいよ」

阿良々木「…………」

メメ「そして僕が甲斐甲斐しく放置してから二時間、めでたく阿良々木君は意識を回復したってわけさ」

阿良々木「なるほどな。ところで忍野」

メメ「何だい阿良々木君」

阿良々木「放置は甲斐甲斐しい行為じゃないよな」

メメ「そうかい? 僕にしちゃ献身的な行為だったと思うけど」

阿良々木「どこがだよ!」




227 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 19:01:57.13 ID:kKrukS6CO
メメ「まあまあ。とにかく命は助かったんだし、阿良々木君、逃げるなら今のうちに逃げたほうが良い」

阿良々木「そうだな。場所が割れてるなら、動かなきゃやって来るってことだしな」

というわけで。

阿良々木「世話になったな忍野。ありがとよ」

メメ「お礼は一万円でいいよ」

阿良々木「じゃあな」

僕は最後の一言が聞こえなかったふりをして、さっさと廃虚を後にした。




228 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 19:16:43.24 ID:kKrukS6CO
阿良々木「まったく……」

溜め息をついて、僕はポケットの中に入れっぱなしだった携帯で、今の時刻を確認した。

阿良々木「……もう九時、か」

そろそろ、例の場所に行くのも悪くないかもな。
と、ぼんやりとそんなことを考えていた時だった。

八九寺「違いますよ阿良々木さん。私の名前はもうくじではなくはちくじです」

背後から急に声がして、僕は後ろを振り返った。
そこにいたツインテールの小学生女子の姿は、紛れもなく、どう間違えようもなく、すべからく比類なく、八九寺真宵その子だった。

阿良々木「八九寺――」

呟いて、僕は道の真ん中に棒立ち状態の八九寺の体に、一目散飛び込んでいった。

阿良々木「八九寺八九寺八九寺八九寺ぃ――っ!
あぁもうこの野郎可愛いなぁ舐めさせろ撫でさせろっ!」

八九寺「いにゃーっ! ぎしゃーっ! ゲェーッ!」

突然の僕の熱烈な抱擁に困惑した八九寺は、時折怪鳥のような奇声を発しながら、白目を剥いて僕への抵抗を試みた。
そのうちに例の鋭利な犬歯を剥き出しにした八九寺は、顎が外れそうなほどに大きく口を開けると、僕の腕を食い千切らんばかりの勢いで噛みついた。

八九寺「がうっ」

阿良々木「――ギャアアアァァァアアア!」





235 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 19:25:25.75 ID:kKrukS6CO
阿良々木「――はぁ、はぁ」

八九寺「……ごめんなさいでした、阿良々木さん」

深く抉られた腕の傷が治るのを見つめながら、八九寺は僕に申し訳なさそうに謝罪をした。

阿良々木「……いや、いいんだ八九寺。それよりも」

八九寺「なんでしょうか阿良々木さん」

阿良々木「お前に聞きたいことがあるんだけど」

八九寺「どうぞ」

阿良々木「八九寺お前、戦場ヶ原に拉致されかけた僕を助けてくれたのって、本当か?」




238 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 19:35:38.52 ID:kKrukS6CO
八九寺「ええ、間違いありません。私、八九寺真宵は、阿良々木暦さんのことを助け出しました」

誇らしげに胸を張って、八九寺は宣言した。

阿良々木「その、熟し始めたややふくよか胸に基づく宣言から察するに、どうやら本当のことらしいな」

八九寺「そうですよ。ですから阿良々木さんは、今後三ヶ月間、ずっと私の名前の前に、マハトマの称号を付けて呼んでください」

阿良々木「マハトマ・マヨイサマー」

塩の行進じゃん。
どこの仏陀だ。

阿良々木「まあでも、もう既に魂そのものみたいな存在に『偉大なる魂』なんて称号、つけるとなると、なんかケレン味たっぷりだよなぁ」

というか、自虐的か。




239 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 19:41:17.45 ID:kKrukS6CO
阿良々木「それはともかく八九寺、お前、羽川と一緒に助けてくれたんだろ? 僕のこと」

八九寺「はい、あの眼鏡をかけたおさげ髪の女性ですよね。そうですよ、あの方に随分と助けていただきました」

阿良々木「今羽川がどこにいるのか分かるか、八九寺」

八九寺「……いえ、申し訳ないですけれど、分かりかねます」

阿良々木「……そっか、いや、悪かったな」




257 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 21:31:44.73 ID:kilZJu6f0
八九寺「いえ、気にしないでください。それよりも阿良々木さん、あの怖い方に見つかっては大変ですから、ぜひぜひ、用心して帰ってくださいね」

阿良々木「ああ、そうだ八九寺、お前さ――」

どうやって僕のことを助けたんだ?
――そう聞こうとして、止めた。
いや。
助けてもらっておいて、助けた方法を問うなど、何だかひどく野暮な気がしたのだ。
助かったのなら、それでいいじゃないか。

阿良々木「――どうして僕のこと、助けたんだ?」

結局、方法ではなく、目的を聞くことにした。

八九寺「……そんなの、決まってるじゃないですか」

――阿良々木さんがいなくなったら、つまらないですからね。
と。

阿良々木「……それだけなのか?」

八九寺「はい、それだけです。実にシンプルな理由です」




258 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 21:35:45.39 ID:kilZJu6f0
八九寺「では私、そろそろ失礼します」

八九寺はそう言い残して、振り返ることなく道を走っていった。

阿良々木「…………」

それが、僕がその日、最後に見た八九寺の姿だった。
もし――この時既に、僕が八九寺が狙われていたことを知っていたら、僕はどんな手を使ってでも、引き止めていたことだろう。




259 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 21:41:09.02 ID:kilZJu6f0
ともあれ。
そんなこととはつい知らぬその時の僕は、そこでようやく早朝から何も食べていないことに気付き、どこで朝食を取ろうかなどという牧歌的な悩みに苛まれていたのだった。

うーん。
どうしようか。
家に戻ってご飯を食べてもよいのだが、既に時間が時間である。もし家に妹たちがいた場合、妙に朝早く出て行った兄の奇行に対し、しつこく質問を浴びせてくることだろう。
それは正直、勘弁願いたかった。

阿良々木「……コンビニでいいか」




260 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 21:54:09.86 ID:kilZJu6f0
ピンポーン

阿良々木「ふわあ……ねみぃ」

何がいいだろう。ドーナツでいいか。
そう思い、袋入りドーナツに手を伸ばしたところで、

阿良々木「あ」

駿河「おっと」

「…………」

神原駿河と、出会ったのだった。

駿河「阿良々木先輩ではないか。奇遇だな、こんなところで」

阿良々木「駿河……」

駿河「ここで会ったも何かの縁だ阿良々木先輩。縁担ぎのつもりで私の乳を揉みしごくがいい」

阿良々木「そんな破廉恥な縁担ぎがあるか!」

駿河「ふ、恥ずかしがることはないぞ阿良々木先輩。この胸を揉む権利は今のところ、阿良々木先輩の専売特許だ。先輩の好きなときに好きなようにしてくれて構わない。
揉もうが吸おうが一向に構わない。特に敏感な部分を弄ったり弾いたりしてくれても……ふふ、想像するだけで背筋が震えてくるぞ、阿良々木先輩」

阿良々木「へ、変態だー!」





264 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 22:00:11.43 ID:yFoCYeASO
ふむ、時系列的には化物語下巻前くらいだろうか




265 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 22:01:45.32 ID:kilZJu6f0
駿河「何を言っているのだ阿良々木先輩。こんなもの、まだまだ変態の域に掠りすらしていないぞ?
そうそう、明るいところで羞恥に塗れた恥辱を味わうのも悪くないが、暗がりの、そう、例えば路地裏などで、後ろから強引に阿良々木先輩に乳房を鷲掴みにされ、そのまま本能の赴くままに揉みしごかれるのも悪くないな」

阿良々木「そういうことを朝早くから……しかも満面の笑みで言うな」

駿河「おお……さすがは阿良々木先輩だ。周囲への配慮を考え、公共性をわきまえた振る舞いを要求するとは。紳士的態度と公的思想に富んだ、まさに阿良々木先輩の妙なる真摯の一つだな」

阿良々木「もう嫌だこいつ」




266 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 22:09:48.16 ID:EMdtdtSgO
駄目だこのモンキー早く何とかしないと…




268 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 22:10:16.42 ID:kilZJu6f0
駿河「ああ阿良々木先輩……実直に言おう! 私は今、非常に欲求不満なのだ!」

阿良々木「ここでそんなカミングアウトをするな!」

駿河「昨夜から疼いて疼いて仕方がないのだ……例の通り昨日も私は全裸で就寝していたわけだが、気付いたら手を伸ばしていたぞ」

阿良々木「一応、どの部位にかは聞かないでおくぞ、神原」

駿河「私は曲がりなりにも女性であるが故、男性のことについてはついぞ不明瞭なのだが――、男性にだってあるのではないか? 疼いて疼いてしょうがない夜が!」

阿良々木「神原、頼むからお前もう喋らないでくれ」

駿河「決して多くは望まない! だから頼む阿良々木先輩、何とぞ! 何とぞ私の乳を揉んでくれ、頼む!」

阿良々木「そんな慎みのない乳は嫌だ!」




275 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 22:19:27.30 ID:kilZJu6f0
駿河「では慎んでお詫び申し上げるので、謝罪の意を込め私の乳を捧げよう」

阿良々木「いやそれ、結局変わらねぇじゃん」

駿河「処女でも構わないぞ」

阿良々木「それは譲るなよ!」

駿河「……なんだ、阿良々木先輩は処女思想の持ち主だったのか。お言葉ながら阿良々木先輩、女子に対する幻想など早めに捨て去ったほうがいい。処女でないと駄目だ、なんて姿勢は、女子からすれば軽蔑ものだぞ。気持ちはまあ、分からないでもないが」

阿良々木「なんだか僕が処女思想の持ち主みたいな前提で会話が進んでいるが、僕は今の流れの中でそれを一度でも明言したか?」

駿河「む、そうか、私の早とちりだったようだな。ちなみに私は阿良々木先輩専門だ」

阿良々木「もう返す言葉もない」




282 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 22:56:34.17 ID:kKrukS6CO
駿河「阿良々木先輩専門だということはだ、つまり私は阿良々木先輩の全てを受け入れ、先輩という存在を受け止める覚悟があるということだ。
ただし、性的な意味で」

阿良々木「最後の一言でひどく心象が下がるな」

「つまり阿良々木先輩、先輩がたとえ童貞だろうと、包茎だろうと、やりまくりだろうと、そんな些細なことは抱かれる私からすれば、本当に些末なことなのだ。こんな度量のある女、そうそういるものではないぞ」

阿良々木「……ただし?」

駿河「性的な意味でな!」




283 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/13(木) 23:08:37.10 ID:kKrukS6CO
駿河「おっと、もうこんな時間だ。すまないが阿良々木先輩、私はもう行かなくてはならない。実に残念なことだ」

阿良々木「そうか…ようやくこの肉欲地獄から開放されるのか」

駿河「そのドーナツは阿良々木先輩に譲ろう。いつもお世話になっていることだしな」

阿良々木「マジでか? 悪いな駿河、ありがとよ」

駿河「気にするな。ところで阿良々木先輩、今度の大乱交合宿についてだが――」

阿良々木「一人でやってろ!」




334 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/14(金) 09:12:15.86 ID:i/JQM1p+0
駿河「何をおっしゃるのだ阿良々木先輩、一人でやっては乱交も何もないだろう」

阿良々木「そもそも何故その合宿に、僕の参加が織り込み済みなんだよ」

駿河「はて、阿良々木先輩は週に一回、夜な夜な乱交モノのアニマルビデオを鑑賞しつつ、目の前で繰り広げられる桃色地獄の乱交パーティに興じているものだとばかり」

阿良々木「僕はそんな富豪的な遊びに興じたことはねえよ!」

駿河「そんな乱交好きな阿良々木先輩ならば喜んで飛びつくものだと思っていたのだが」

いつから僕にそんな設定が出来た。

駿河「一人で行ったらひとりえっちしか出来ないではないか!」

阿良々木「いいからもう早く行け!」




335 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/14(金) 09:16:34.89 ID:i/JQM1p+0
駿河「合宿、行っていいのか!?」

阿良々木「そっちじゃねえよ!」

駿河「冗談だ阿良々木先輩」

阿良々木「冗談に聞こえないんだよ、お前が言うと……」

駿河「では今度こそさらばだ。朝から阿良々木先輩のお声が聞けて嬉しかったぞ」

駿河は爽やかな笑顔で手を振ると、颯爽とコンビニを出て行った。

阿良々木「はぁ……何か無駄にすげー疲れたな」

僕はさっさとドーナツと、飲み下すための飲み物を適当に買って、コンビニを出て行くことにした。




336 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/14(金) 09:31:30.73 ID:i/JQM1p+0
しかし僕は、完全に失念していたのである。
自身が今、狙われているという深刻な現状を。

コンビニの自動ドアをくぐり抜け、視線を上げた数十メートル先に――戦場ヶ原ひたぎが、尋常でない殺気を放出しながら、こちらへ歩いてくる姿が、確認できた。

阿良々木「しまっ――」

本当、我ながら迂闊だと思う。
僕は今、自身の彼女に命を狙われていたのだ。

しかし幸いながら、戦場ヶ原と僕の距離はまだ離れている。まだ、逃走の余地は残されていた。
というわけで、僕は一目散に、左手に伸びた住宅街の道を走り出した。

ここで再び捕まれば。
一度取り逃がしているだけに、今度は容赦なく成すすべなく、僕は完璧に――抹殺される。ような気がする。




337 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/14(金) 09:40:47.53 ID:i/JQM1p+0
開けた道を逃げるのは危険なので、僕はすぐにわき道へ這入り、路地を抜け角を曲がり、ある程度入り組んだ場所へと辿り着いたところで、僕はようやく、すっかり上がってしまった息を整えた。
ここまで来れば、そうそう見つかりはしないだろう。

そこでやや安堵した僕は、買ってきたドーナツを食べようと思い至り、袋を開けたところで――
視界が、暗転した。

阿良々木「なっ――!?」

思わずドーナツを取り落とす。
全身に緊張が走る。冷汗が汗腺からあふれ出す。

「だーれだ」

しかし。

阿良々木「あれ?」

その声は、戦場ヶ原のものではなかった。

阿良々木「もしかして……羽川?」

羽川「大正解。お早う、阿良々木君」




340 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/14(金) 09:49:15.94 ID:i/JQM1p+0
視野の封鎖が解除され、僕は後ろを振り返る。
いつも通りの、制服姿の羽川翼が、そこにいた。

羽川「何してるの阿良々木君、こんなところで」

阿良々木「羽川、お前……」

今朝のこと。

阿良々木「羽川――ありがとうな、今朝は」

羽川「あ……そっか、ううん、いいのよ別に。そんなに気にするようなことじゃないし」

阿良々木「でも、僕を助けてくれたんだろ? 八九寺と一緒に」

羽川「助けただなんて、そんな大それたことはしてないわよ。ただちょっと、真宵ちゃんに色々教えたり、手伝ったりしただけ」

阿良々木「そうだとしても――お礼くらい言わせてくれ。ありがとな、羽川」

羽川「ううん、どう致しまして」




342 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/14(金) 09:56:07.23 ID:i/JQM1p+0
羽川「それよりも、いいの阿良々木君? こんなところをうろつき回ったりして」

阿良々木「そうなんだ。羽川、ついさっき近くのコンビニの前で、戦場ヶ原を見かけた。あいつまだ怒ってるみたいだから、見つかるとちょっとやばいんだよな」

羽川「そっか……ねえ、阿良々木君?」

阿良々木「何だ?」

羽川「よかったら、一緒に逃げない?」

阿良々木「は?」

一緒に――逃げる?

羽川「確かに、私はさっき戦場ヶ原さんに直接顔を見られたわけではないから、会ったとしても音沙汰なく素通りされるとは思うけれど――いずれ私が協力したのは分かることだと思うし、だったら一緒に逃げてもいいかなって」

でも。

阿良々木「迷惑じゃ――ないのか?」

僕の勝手な逃避行に巻き込まれて。

羽川「嫌だなぁ、そんなわけないじゃない。一緒に逃げよう? 阿良々木君」




352 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/14(金) 10:10:09.08 ID:i/JQM1p+0
そう言って羽川は僕の手を取ると、住宅街の路地を駆けていった。



そんなわけで。
僕たちは今、浪白公園のベンチの上に腰掛けている。

阿良々木「なあ羽川、ドーナツ食う?」

僕はチョコのかかったドーナツを一個、袋の中から取り出し、羽川に差し出した。

羽川「いいの? でもこれ、阿良々木君の朝ご飯でしょ?」

阿良々木「良いよ別に。それに僕は、もう何個か食べたし。その時点で少し持て余してたんだ」

羽川「なら、貰おうかな」

羽川は僕からドーナツを受け取ると、それを二つ折りにして食べ始めた。

阿良々木「――へぇ。羽川はドーナツ、一個丸々の状態じゃなくて、ドーナツを半円にして食うんだな」

羽川「え? 普通はそうやって食べない?」

阿良々木「何言ってんだよ。ドーナツって言ったら、完全な円を一口ずつ削っていって食べるものだろ」

羽川「ええ、だってそれじゃ、食べにくいと思わない?」

阿良々木「いや、特にそう思ったことはないな」





357 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/14(金) 10:19:44.63 ID:i/JQM1p+0
羽川「でも円の状態から一口目を食べようとすると、どうしても口を大きく開ける必要があるし、かといって口を大きく開けないで食べようとすれば、必然的にドーナツの外周を削り取らなくちゃならないし、それじゃ、一口目から均一にドーナツを食べられないじゃない。
それに、大きく口を開けて食べるのって、男子はともかく、女子はちょっとはしたないと思わない? 口が小さい人なら尚更だよ」

阿良々木「思想が大和撫子だなぁ。てか均一にって……羽川お前、まさか一口目から全部同じ配分で、何等分とかの領域で、きっちり分けてドーナツ食うわけじゃないんだからさ」

羽川「えっ!?」

阿良々木「え」

まさか――

阿良々木「羽川……もしかしてそんなレベルで均等に食べてるんじゃないだろうな?」

羽川「……だって、あんな綺麗な円形見たら、等分に分配して綺麗に食べたいと思わない」

阿良々木「思わねえよ」




363 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/14(金) 10:29:15.54 ID:i/JQM1p+0
阿良々木「たかがドーナツだぞ!? もっと気軽に食えよ!」

羽川「私個人としては、別にそんなに気負って分配とか考えてるわけじゃないんだけど……お茶しながら、話をしながらの片手間、ほんの軽い気持ちで、何等分分配で食べようかなって」

阿良々木「重いよ! それ十分重いから!」

どうせ、ミリ単位とかグラム単位とかで計算しているに違いない。
お前くらいだよ。そんな物理学的にドーナツ食べてるの。




368 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/14(金) 10:41:46.94 ID:i/JQM1p+0
羽川「それに阿良々木君、たかがドーナツって、ドーナツを軽く見ちゃいけないよ? ドーナツって昔は高級品だったんだから。
それに、日本じゃドーナツって、お菓子の範疇だっていう認識が一般的だけれど、アメリカじゃ朝食なんかの代わりに食べる人も多いんだから。その意味では阿良々木君が今、朝食の代わりにドーナツを食べているのはある意味、正しいよね」

そうだったのか。

阿良々木「お前は何でも知ってるな」

羽川「何でもは知らないわよ、知ってることだけ」

そうにっこりと笑って、羽川は二つに分けたうちの片方のドーナツを、ちょうど食べ終えた。
それも計算のうち、だったりするのだろうか。

羽川「それにしてもこのドーナツ、結構生地が粗いね……何か、飲み物が欲しくなっちゃった」

阿良々木「たしかその辺に自販機あったよな。紅茶かなんか買ってこようか?」

羽川「阿良々木君はここで待ってて。自分で買ってくるから」

羽川は立ち上がると、自販機を探して公園を出て行った。





408 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/14(金) 13:44:09.05 ID:i/JQM1p+0
阿良々木「さて」

僕は再び携帯で時刻を確認した。
現在時刻、十時過ぎ。

阿良々木「…………」

手元のドーナツの袋に目をやる。中にはまだ、ドーナツが何個か残っていた。せっかくだから、これは今夜辺りにでも忍に持っていって食わせてやろう。
でもあいつ、ミスタードーナツ以外のドーナツって食うのか?

…………。
分からねぇ。

とにかく持っていってみよう――物は試し、である。

T「やれ、そこの君」

ふと。
僕の正面から、声がした。




409 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/14(金) 13:44:53.59 ID:30devCZZO
T…だと…?




410 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/14(金) 13:49:51.77 ID:rTL7cl5y0
寺生まれのTさんやめて!!




412 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/14(金) 14:04:16.61 ID:HdquA9It0
ここまでまさかの破ぁッ!!か




413 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/14(金) 14:05:40.35 ID:i/JQM1p+0
顔を上げる。
そこに立っていたのは、背の高い一人の男だった。
目つきの険しさと、刈り上げられた黒髪、そして何より――日常生活ではおおよそ見かけることがないであろう、浅葱色の法衣を身に纏っている。
男は、僕を一点に見据え、剣呑な視線を放っていた。

阿良々木「……なんですか」

僕はにわかに目の前の男に警戒を払い、全身を強張らせた。

T「お前、霊と遭ったことがあるだろう」

唐突に、臆面もなく、男はさも当然のことのようにそう言った。

T「俺は霊感が強い。然るに、そいつが霊と触れたことがあるかどうかも分かる」

この男は一体――何を言っているのか。

T「霊はこの世にいてはならない。住む世界が違う。今日は気が向いたんで、足を伸ばしてみたというわけだ。さあ、霊はどこだ」

阿良々木「知りませんよ、そんなの」

T「嘘をつくな。吐け」

その高圧的な物言いに――僕は思わず立ち上がった。




414 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/14(金) 14:08:56.09 ID:7FPdtH0m0
まさか…今迄のはプロローグでここから本編




415 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/14(金) 14:15:59.20 ID:i/JQM1p+0
立ち上がり、そして、改めて目の前の男を見据える。
男は左手に数珠を握り締めていたが――同時に右手にも銀の数珠を握り締めていた。
違和感を覚え、目を凝らすと、右手のそれは数珠ではなく、髑髏の連なった銀のウォレットチェーンだった。

阿良々木「仮に」

僕は沸き立つ憤りを抑え、口を開いた。

阿良々木「仮に僕が、霊がどこにいるか知ってたとしても――それをあんたに話さなきゃいけない理由なんて、何もない」

T「それもそうだな。では失礼する」

至極あっさりとした物言いで身を翻すと、男はその場から去っていった。

阿良々木「何なんだよ、あいつ」

霊はどこだ――と、あいつは言っていた。
霊。
浮遊霊。

阿良々木「まさか……」




416 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/14(金) 14:16:40.93 ID:2OAGil+PO
八九寺大ピンチ




417 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/14(金) 14:29:31.60 ID:i/JQM1p+0
八九寺を探している?
だとすればまずい。
霊はこの世にいてはならない――そうも言っていた。つまりそれは、

阿良々木「八九寺を――どうにかしようってのか」

冗談じゃない。

羽川「阿良々木君、どうかしたの?」

そこへちょうど、ペットボトルを持った羽川が戻ってきた。

阿良々木「羽川、今そこで法衣を着た、変なオッサンとすれ違わなかったか?」

羽川「……ううん、誰ともすれ違わなかったよ?」

阿良々木「え――?」

誰ともすれ違わなかった?

阿良々木「……何者だよ、あいつ」




418 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/14(金) 14:29:47.95 ID:ZTPML0AwO
何この展開




421 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/14(金) 14:57:42.72 ID:i/JQM1p+0
羽川「その人が、どうかしたの?」

阿良々木「いや、何でもない」

羽川はいぶかしんでいる風だが、羽川に余計な心配はかけたくない。
とにかく、八九寺の現在地が分からない以上、次に起こすべき行動は一つだ。

阿良々木「忍野の奴、まだあそこにいるといいんだが」

あるいは忍野ならば――何とかしてくれそうな気がする。




422 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/14(金) 14:58:48.79 ID:iUu42U3i0
忍野とTさんってどっちが強いんだろ?




425 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/14(金) 15:36:29.02 ID:i/JQM1p+0
そういうわけで羽川と別れた僕は、忍野が居る廃墟へ向かうことにした。
羽川は最後の別れ際まで、僕に対して戦場ヶ原に注意するよう念を押してくれた辺り、本当、良い奴だと思う。

ところで僕はいい加減歩くのが面倒になってきたので、一旦家に戻り、愛用の自転車を取ってくることにした。

阿良々木「ただいま」

と、玄関を開けた先に、

撫子「あ……暦お兄ちゃん、お帰りなさい」

千石撫子が、立っていた。
しかもエプロン姿で。

阿良々木「……撫子?」




428 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/14(金) 15:58:07.33 ID:i/JQM1p+0
撫子「な、何かな暦お兄ちゃん」

阿良々木「千石、お前なんで家にいるんだ?」

撫子「べ、別に? 撫子は今日が全国的に休日で、暦お兄ちゃんが家にいるだろうって思ってあらかじめアポを取った上で遊びに来たとか、そういうわけじゃないんだよ?」

阿良々木「ふーん、そっか」

まあ、千石が自分で言っていることだ。
決して僕に会うことを前提に狙って遊びにきたとか、そんな緻密な計画を企てていたのではないのだろう。
やましいところなど、無いに違いない。




429 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/14(金) 15:59:00.81 ID:XYDvYUSqO
千石は相変わらず可愛いな




433 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/14(金) 16:10:15.58 ID:i/JQM1p+0
撫子「あの……暦お兄ちゃん、上がらないの?」

阿良々木「あ、ああ」

僕が靴を脱いで玄関を上がり、正面を向くと、撫子は向こうの方を向いていた。
その後ろ姿はいわゆるところの――下着姿だった。

阿良々木「…………」

僕はあまりの衝撃に目を疑った。
これはあれか、つまるところの、裸エプロンという奴ではないのか。いや、下着は着用しているものの。

阿良々木「あの……千石?」

撫子「ど、どうしたの暦お兄ちゃん」

阿良々木「その、なんだ、僕が幻視を体験していない限りでは、僕の目には千石が、その、裸エプロンをしているように見えるんだが」

撫子「い、嫌だな暦お兄ちゃん、そんな格好を撫子が出来るわけないよ。撫子、今日は馬鹿には見えない服を着てきたの」

あれ? すると僕は馬鹿なのだろうか。馬鹿だから千石の着ている服が見えない? まさかな。




434 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/14(金) 16:18:23.79 ID:iUu42U3i0
俺今から馬鹿になるわ




435 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/14(金) 16:20:01.16 ID:fi3Erw6j0
馬鹿だから見えないわ




438 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/14(金) 16:25:08.80 ID:i/JQM1p+0
阿良々木「ははははは! そんな馬鹿なことがあるものか! 冗談だ千石、僕の目にはしっかりと、千石の私服が見えてるぜ」

とりあえずここで僕が馬鹿であると悟られるわけにはいかない。千石が僕に寄せている全幅の信頼と期待を崩さぬためにも、僕は千石の私服が見えているフリをすることにした。

撫子「そっかそっか。うん、撫子はちょっと残念だよ……」

阿良々木「うん、何かいったか千石」

撫子「ううん、何でもないよ暦お兄ちゃん」

阿良々木「それにしても千石の私服は可愛いなあ。まさか千石にこういう趣味があるとは思わなかったぜ」

撫子「……一応聞くけど、暦お兄ちゃんには撫子がどういう服を着ているように見えてるのかな?」

まさか感づかれたか? もうここは山勘でいくしかない。

阿良々木「か、可愛いよな、そのメイド服」

撫子「…………」





441 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/14(金) 16:32:25.78 ID:i/JQM1p+0
我ながら実に浅はかな回答だったと思う。その証拠に、千石も黙りこくっている。

撫子「……そっか、暦お兄ちゃんには、そういう趣味があったんだね」

阿良々木「いや、なんだその、ははははは」

もう笑うしかなかった。笑ってごまかす十代である。

撫子「そっか……覚えておこうっと」

阿良々木「何かいったか千石?」

撫子「ううん、何でもないよ暦お兄ちゃん。それよりも麦茶飲まない」

阿良々木「ああ、いいな。一杯飲もうかな」

撫子「うん、そうしなよ。撫子が暦お兄ちゃんのために特別に煎れたんだから……」

何か陰謀めいた気配を感じるのは、きっと僕の気のせいだろう。そうに違いない。




442 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/14(金) 16:44:55.45 ID:i/JQM1p+0
千石と共に居間へ行くと、妹達がダイニングテーブルの上に突っ伏して眠りこけていた。
しかし心なしか、睡眠というよりかは昏睡しているように見える。その証拠に、火憐は倒れたグラスを握り締めたまま白目を剥いて眠っていて、グラスの口からは放射状に麦茶がこぼされ、テーブルの上に広がっている。
月火も月火で、某小五郎のように顔を俯かせ、グラスを握ったまま微動だにせず椅子に沈んでいる。

撫子「撫子がさっき三人で話してたら、二人とも寝ちゃったの。疲れてたみたいだね」

阿良々木「そうか。いや、疲れてたんだな、こいつら」

仮にもしこの状況に千石がいなかったとしたら、僕はきっと麦茶に強力な麻酔薬と睡眠薬が混ぜられていたのだと、勘違いしていたところだっただろう。

千石「さ、座りなよ暦お兄ちゃん、今麦茶注ぐから」

阿良々木「あ、ああ」




443 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/14(金) 16:49:23.97 ID:e+9nw8hxO
暦逃げてー!!




448 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/14(金) 17:08:21.91 ID:i/JQM1p+0
千石は奥の台所に立って、麦茶を二つのグラスに注いで持ってきた。何かごそごそとやっていたような気もするが、気のせいであろう。

撫子「さ、どうぞ暦お兄ちゃん」

と、グラスを僕の目の前と、自分の手元とに置く。
千石は自分の手元に置く際にグラスを少し傾かせてしまい、中身を少しこぼしてしまったが、特に気にしていないようだった。
しかしせっかくほぼ同じ分量で入れてきたにも関わらず、中身が減ったのは可哀想な気もする。

撫子「あ、おせんべい取ってくるね」

千石がもう一度席を離れたので、僕は親切心からそっと自分のグラスと千石のグラスを取り替えてやった。




449 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/14(金) 17:09:53.96 ID:fi3Erw6j0
!?




450 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/14(金) 17:18:25.74 ID:i/JQM1p+0
撫子「お待たせ、暦お兄ちゃん」

茶棚からおせんべいを取ってきた撫子が席に着いた。

阿良々木「いいんだよ、さ、飲もうぜ」

撫子「うんうん、撫子の麦茶、思いっきり飲んでみて。一気飲みなんてしてくれたら、暦お兄ちゃん格好良いな」

阿良々木「マジでか!? よーし、見てろよ」

そう言って、僕は勢いよく千石の煎れた特製麦茶を一気に飲み干した。

阿良々木「――ぷはあっ、いや、美味い麦茶だな千石。これなら将来、いいお嫁さんになれると思うぜ」

撫子「美味しい麦茶が煎れられるからいいお嫁さん、っていうのはともかく……どう暦お兄ちゃん、何だか体が熱くなってきたりしない?」




456 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/14(金) 17:27:37.40 ID:i/JQM1p+0
阿良々木「いや、今のところは特にそういうのは、ないな」

撫子「そ、そう? あれあれ、お、おかしいな」

急にうろたえ始めた千石だった。一体どうしたのだろう。

撫子「まだ効いてきてないだけかも。と、とりあえず落ち着こう……」

呟いて、千石は手元のグラスに口をつけた。

阿良々木「……いや、実はさっき千石さ、麦茶少しこぼしちまったろ? 自分の分。だから千石がおせんべい取ってくる間に、僕のグラスと取り替えといたんだ」

撫子「!」

途端、千石は驚いた様子で慌ててコップを置いた。

阿良々木「どうした千石?」




458 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/14(金) 17:35:57.65 ID:i/JQM1p+0
撫子「え、それ、本当に?」

阿良々木「ああ。中身が減って可哀想だったから」

撫子「そ、そんな……」

少し青ざめた様子の千石だったが、そんな千石の白かった頬に、微かながら徐々に赤みがさしてきた。

撫子「あ……」

阿良々木「どうした千石、熱でもあるのか?」

やがて千石の頬はほんのりと全体が朱に染まり、吐息も熱っぽく上がったものになってきた。

撫子「はぁ……はぁ……んっ」

もどかしそうに体を揺り動かしながら、時折ビクンと体が震える。
これはどうも、風邪らしい。

撫子「こ、暦お兄ちゃん……」

心なしかその声は、色艶のある誘い声のようにも聞こえたが、恐らく気のせいだ。




459 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/14(金) 17:36:33.03 ID:1CUHJgso0
わっふるわっふる




460 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/14(金) 17:36:49.62 ID:30devCZZO
なんでそんなにワクワクしてんだよまるで撫子が麦茶に媚薬でも仕掛けたようなはしゃぎようだな




461 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/14(金) 17:40:14.13 ID:iUu42U3i0
わっふるわっふる




462 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/14(金) 17:42:54.19 ID:1CUHJgso0
>>460
撫子がそんなことするわけないのはみんな分かってるだろ
お前は女の子を看病するというシチュエーションの良さが分からないのか




463 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/14(金) 17:44:29.81 ID:30devCZZO
>>462
それもそうかそうだよな




467 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/14(金) 18:08:12.22 ID:i/JQM1p+0
撫子「暦お兄ちゃんに……謀られたんだよ」

阿良々木「いやいや、まだこれからだって。千石、今体温を計ってやるからな」

撫子「あ……おくちに、おくちに咥えさせて」

口腔内でも体温って測れたっけか? まあいい、確か舌の裏なら大丈夫なはずだ。

撫子「あぁ……んむ、ちゅぷっ、れろっ……んんっ……」

阿良々木「おいおい、そんな舐めたり絡め取ったりしちゃ駄目だろ? 体温が測れないぜ?」

蕩けそうな目つきで、熱に浮かされるように体温計を舐め回していた千石を僕はたしなめると、きちんと舌の裏で体温を測ってやった。




469 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/14(金) 18:19:38.48 ID:i/JQM1p+0
撫子「はぁん……暦お兄ちゃん……」

体温計が鳴るのを待つ間、千石はずっと僕の腰近くのふとももにしがみついていた。そのせいで僕は幾分緊張せざるを得なかったが、せめて表面上だけは何食わぬ顔を装っていた。

やがて小さな電子音が計測完了を知らせ、千石の唾液だらけの口から糸を引く体温計を引き抜くと、ディスプレイには三十八度が表示されていた。

阿良々木「そら見ろ千石、やっぱり風邪だ。無理しちゃ駄目だぜ? 今日はもう家に帰るんだ」

撫子「風邪って、人に移すと治るって言うよね……」

赤らんだうつろな瞳で見上げながら、

撫子「暦お兄ちゃんに、移させて……?」

朱に艶めく口唇を震わせて、ふくよかな目尻にうっすらと涙を溜め、千石が呟いた。




475 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/14(金) 18:38:40.34 ID:i/JQM1p+0
阿良々木「何言ってんだ千石。あ、そうだ、確か市販の薬があったと思うから、とりあえず飲んでけよ」

撫子「うん……」

僕は救急箱の中をしばらく探っていたが、やがて隅の方に風邪薬の瓶があるのを見つけ、中から白い錠剤を取り出した。
それをグラスに注いだ水と一緒に、股関節付近をムズムズとさせている千石の元へ持っていくと、僕は口を開けるよう千石に言った。

阿良々木「ほら、口開けて」

千石「…………」

千石は僕の指ごと薬を口に含むと、熱に浮かされるままくちゅくちゅと、薬を舐め始めた。それはすなわち、自然、僕の指も舐めることになる。




476 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/14(金) 18:41:40.31 ID:30devCZZO
おかしいなただの看病の筈なのに物凄く興奮する




480 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/14(金) 18:50:53.19 ID:i/JQM1p+0
阿良々木「お、おい千石」

僕の呼びかけを聞いているのか聞いていないのか、千石は目を閉じて、僕の指と薬を舐め続ける。

撫子「この薬不思議……暦お兄ちゃんの味がするよ……にがいよぅ……」

ぺろぺろと子犬のように指を舐め続ける千石の口腔内から、僕は自分の指を引き抜くと、口を開けさせて水を流し込んだ。

千石は口の端からつー……と水を垂れ流しながら、それでも何とか飲み干すと、幸せそうに笑みを浮かべた。

撫子「えへへ……暦お兄ちゃんの味……しっちゃった……」

これがもし熱で浮かされた病人でなかったら、危うく僕は千石が悦に浸って恍惚状態にあると勘違いしていただろう。




481 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/14(金) 19:02:21.22 ID:i/JQM1p+0
阿良々木「とりあえず家でしばらく休んでけよ。僕は今行かなくちゃだからつきっきりで看病してやれないけど、千石はしっかり休んでるんだぞ。
まったく、こんな肝心な時にうちの妹達は役に立たないんだからよ……ほら、お前ら起きろ」

火憐「    」

月火「   」

阿良々木「――仕方ねえなまったく。よし、千石、ソファまで背負ってやるよ」

千石「んぅー」

僕は千石の華奢な体を背負い上げると、ゆっくりとソファに向かった。
歩いている途中、僅かによじ登ってきた千石が、僕の顔の脇に自分の頭を出して、僕の耳をはみはみと甘噛みしていたが、たぶん熱のせいで胎児の夢でも見ているのだろう。幼児退行体験――だったけ。よく覚えていないが。そんな感じだった気がする。




483 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/14(金) 19:10:51.36 ID:i/JQM1p+0
そのせいでおしゃぶりか何かと間違えて僕の耳を噛んでいるのだろう。可愛らしいものだと、つくづく思う。

阿良々木「よし、毛布をかけてやるから、ゆっくり休んでろよ」

千石「あ……まってぇ……いかないでおにいちゃん……」

どうやら相当にうなされているようだ。だが僕としても今は非常事態なのである。可哀想だが、行かなくてはならない。

阿良々木「じゃ、悪いがもう行くぜ千石。お大事にな」

僕は早々に玄関を飛び出すと、愛用のマウンテンバイクに跨り、廃墟へと足早に向かった。




501 : ◆j3vp2NYuuE :2009/08/14(金) 21:09:13.43 ID:dVcyhToFO
廃虚に辿り着いた僕は、すぐに中へと飛び込んだ。

阿良々木「忍野!」

何度も呼びかけ、姿を探すが、しかし肝心の忍野その人は、影も形もなかったのである。

阿良々木「くそっ、この大事な時に……」

忍野は一体、どこへ消えたのか。
もしかしてもう既に動いてるのか?

どこからか察知した情報で、いつの間にか動いている。忍野らしいやり口といえばそうだが、しかし今はまだ、何とも言えない。

阿良々木「打つ手無しかよ、畜生……」

僕が落胆し、顔を手で覆ったときだった。

T「そうだ、言い忘れてたが」

――本当に、何の前触れも無く。
僕の背後にあいつが現れた。

T「俺の名前はTだ。寺生まれのT。
君、いや、小僧。お前からも霊的な臭いがするんだよ。
小僧――怪異だな」

何故その呼称を知っているのか。霊的な臭いとは何なのか。
そんなものを問いただす暇も無く、僕は顔面を勢いよくぶん殴られた。




502 : ◆j3vp2NYuuE :2009/08/14(金) 21:21:11.68 ID:dVcyhToFO
阿良々木「がっ――」

ただ純粋に殴っただけとは到底思えないような力で僕は後ろへ吹き飛ばされ、何度か床上を跳ねた後に、埃まみれで床に転がった。

T「霊は――この世にいてはならない存在だ。消してやる」

阿良々木「ぐっ、げほっ、げほぉっ」

数メートルを吹き飛ばされた僕は、非常な痛みを発する自分の頬に手をあてた。

そこで初めて――僕は自分の右頬から右顎までが、根こそぎ消し飛んでいたことに気が付いた。

阿良々木「  、」

喋ろうとしても、上手く喋ることができない。
ただ、喉の奥からコヒュー、コヒューという、空気の漏れる音がするだけだ。

T「しぶといな。上半身を消し飛ばす勢いで殴ったつもりだったんだが」




503 : ◆j3vp2NYuuE :2009/08/14(金) 21:33:04.29 ID:dVcyhToFO
そんな恐ろしいことをあっさりと告げ――Tは僕の元へ歩み寄ると、瞬く間に僕の四肢を「破ぁっ!」と叫びながら次々と殴りつけ、吹き飛ばした。

T「一瞬でも俺に、お前が人間だと思い込ませてみせた褒美だ。一思いには滅さん。自然消滅しろ」

Tは僕に背を向けると「そうだ」と言った。

T「俺が探している本命のほうはまだ見つけていない。安心しろ」
そして、寺生まれのTは、またいずこへか消えていった。




504 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/14(金) 21:36:12.20 ID:CdOwzMLz0
俺の中のTさんはもっと物分りの良いやつだったんだが
普通はこんなもんなんかね?




506 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/14(金) 21:42:12.98 ID:3z0WuhMb0
「私メリーさん。今あなたの後ろにいるの」
いつもの時間、いつもと同じように、彼女は現れた。
「また来たか。毎日よく飽きずにやってくるな」
この言葉はひどく彼女を傷つけたようだった。彼女はしばらく、何かを
言いあぐねるように押し黙った。俺が沈黙に耐えかねて口を開こうとした
時、ようやく彼女はその言葉を口にした。
「あなたのことが、好きだから……」
再び静寂がその場を支配した。
「今夜はもう帰りたくないの……」
俺は荒々しく彼女を抱き寄せ、その服をゆっくりと……
「破ァーーーーー!!!!!!!」
その瞬間、荒々しい声が聞こえたかと思うと、メリーさんはすぅーっと
消えていった。寺生まれで霊感の強いTさんだ。
「あの霊は随分お前に執着していたようだ。危ないところだったな」
彼はそう言い残すと颯爽と去っていった。
おいwてめえwww余計なことすんなwwwww。改めてそう思った。




507 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/14(金) 21:44:15.93 ID:n4i74knrO
>>506
知らなかったww




508 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/14(金) 21:45:03.02 ID:CdOwzMLz0
>>506
そんな空気読めないやつだったのかw




516 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/14(金) 22:30:58.19 ID:3z0WuhMb0
 あれは確か、夏のある暑い日……。
ある有名な心霊スポットへ、深夜に車で行ってみたんです。
トンネルを抜けると、そこが有名な心霊スポット。
と、そこに目の前にふっと女の人の白い影が。
あ! と思って、慌ててブレーキを踏んで降りてみたところ、そこに人影はなく、目の前は崖。
ガードレールが壊れていて、ブレーキを踏んでなかったら落ちてしまっていたかもしれない。
「あの幽霊は助けてくれたんだ」
そう思って、そこで手を合わせて、お祈りして帰路についた。
トンネルを引き返す途中、ふとミラーを見ると、後部座席に先ほど目の前を横切った女の人の姿が……。
その女の人は、こう呟いた。
「死ねばよかったのに」
「いや、でもホント助かったよ。ありがと」
「ば……ばかっ、あんたなんか死んじゃえばよかったのよ!」
「お礼しないとな。また来週きてもいいかな」
「ダ、ダメっ! また落ちそうになったら危ないわぁ!!」
翌週、何か弁当用意して待っててくれました。
作りすぎただけで、決して僕のために用意したんじゃないそうです。
「破ぁ!!!」
とっさに後ろから聞こえた怒号と青い閃光によって彼女は美しい煙になって消えていった
後ろを振り返るとそこには寺生まれで霊感の強いTさんだった!
「やばかった・・・こいつはなんかイロイロヤバイ感じだったんだ、本当さ、いやぁ危ない危ない・・・」
寺生まれってスゴイ、改めてそう思った




517 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/14(金) 22:34:25.44 ID:57aDx44sO
Tさんマジ空気読めwwwwwwwww




518 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/14(金) 22:34:26.99 ID:r3RPPTmf0
Tさんテラ適当wwwwwwww




522 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/14(金) 22:52:15.21 ID:CyXLRG0t0
Tさんが妬んでるようにしか見えないw




509 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/14(金) 21:52:43.93 ID:dVcyhToFO
動けないままに取り残された僕は、そのままじっと耐えるしかなかった。

吸血鬼の回復能力が幸いしてか、これだけの深手を負ったにも関わらず、すぐに消滅するようなことはないにせよ、このままではいずれ明日を迎えることなく尽き果ててしまうだろう。

僕は。
僕はここで――死んでしまうのだろうか。

阿良々木「 」

八九寺と、叫んだつもりだった。だが、

戦場ヶ原「何よ阿良々木君。随分とこっぴどくやられたものね」

現れたのは――僕の彼女、戦場ヶ原ひたぎだった。

戦場ヶ原「これなら殺す手間も省けたわ」

本当に殺る気だったのかよ。

戦場ヶ原「そういうことだから、今朝のことはもうチャラにして――今度は阿良々木君の彼女として、阿良々木君を精一杯助けてあげる。
だから阿良々木君、死んじゃ駄目よ」

そこで僕は戦場ヶ原の顔を見た。その表情は明らかに悲哀に満ちていて、今にも泣き崩れそうなほどだった。




545 : ◆j3vp2NYuuE :2009/08/15(土) 01:37:10.49 ID:Vra/Pgq20
戦場ヶ原「どうすればいいのかしら。私が阿良々木君を助けるためには、私は一体どう動けばいいのかしら」

戦場ヶ原は、僕のすぐ傍に行儀良く体育座りをして、どうすれば僕が助かるのか考えていた。
僕のことなどともかく――八九寺や、まだ怪異の後遺症が根強い他の皆も危ないのだから、できればそっちを何とかして欲しい。

戦場ヶ原「死んじゃ駄目よ、阿良々木君」

分かってるよ戦場ヶ原。でも、これじゃあどうあっても助かりようがないぜ。
ここまでの致命傷じゃ、僕が助かる方法なんて都合の良い方法を知ってるのは、それこそ忍野くらいしか――
あ。
忍野――忍野だって?

そうだ、まだ方法は――あるじゃないか。




548 : ◆j3vp2NYuuE :2009/08/15(土) 01:50:04.78 ID:Vra/Pgq20
その僕のひらめきに呼応するようにして。
廃墟の暗がりから寝惚け眼を擦りながら、忍野忍が姿を現した。

戦場ヶ原「あら」

忍「…………」

大方、先ほどの騒ぎと、血の臭いにでも惹かれてやって来たのだろう。
忍は僕と戦場ヶ原のすぐ傍まで近づいてくると、しばらくその場で静止していた。

忍「…………」

そしておもむろに忍は、自らの腕を自身の口元へ持っていくと、鋭い牙で一息に、手首を横一文字に切り裂いた。
血が噴き出る。
吸血鬼の血が。
その血を、忍は淡々と僕の口元に垂らしていくと、やがて血に反応した僕の体が活性化を始め、僕の体は急速に消失箇所を取り戻し始めた。




551 : ◆j3vp2NYuuE :2009/08/15(土) 02:01:26.92 ID:Vra/Pgq20
数分もした頃には、僕の口周りは完全に元通りになっていたし、また腕も脚も、服こそ破れてボロボロになってはいるものの――元の形を取り戻すに至った。

阿良々木「ありがとな忍。お陰で助かったよ」

忍「…………」

忍の手首からはもう血は出ていない。
僕はそっと忍の頭を撫でてやると、忍のためにドーナツを持ってきてやったことを思い出した。

阿良々木「そうだ忍。これやるよ」

僕は鞄の中からドーナツの袋を取り出すと、忍に手渡ししてやった。
忍は黙ってドーナツの袋をぎゅっと抱き締めると、奥の暗がりへたどたどしい足どりで消えていってしまった。

阿良々木「それから、戦場ヶ原」

戦場ヶ原「何、阿良々木君」

阿良々木「何があったのか――話してもいいか」

戦場ヶ原「むしろ話さなかったら殺すわよ」

阿良々木「そりゃそうだよな」

そして僕は、寺生まれのTとの邂逅から消されかけたことまで、その一連の流れを全部戦場ヶ原に話してやった。




552 : ◆j3vp2NYuuE :2009/08/15(土) 02:16:40.39 ID:Vra/Pgq20
そして一応、一通りのことを全て話し終えたところで、

戦場ヶ原「そう、話は大体分かったわ」

と言って、戦場ヶ原は立ち上がった。

戦場ヶ原「それにしても、その人――Tさんだっけ。上等じゃない。私の最愛の阿良々木君に手を出すなんて、本当、良い読経してると思うわ」

阿良々木「別に経は読んでねえ。むしろ断然体育会系だろ」

だって、有無を言わさず武力行使だぞ?

戦場ヶ原「間違えました。読経じゃなくて度胸ね」

阿良々木「字面が一緒で分からねえよ」

戦場ヶ原「責められるものならいくらでも責めて。興奮するわ」

阿良々木「いけない方向に目覚めてしまった!」




554 : ◆j3vp2NYuuE :2009/08/15(土) 02:23:01.41 ID:Vra/Pgq20
戦場ヶ原「あら、何を言っているのかしら阿良々木君。私は生まれてこの方生粋のマゾヒストじゃない」

阿良々木「謝れ。今すぐ全世界のマゾヒストに謝れ」

戦場ヶ原「ごめんなさい。死んでください」

阿良々木「まずその謝り方を謝れ! 謝罪になってねーし」

戦場ヶ原「あら、謝り方を誤ったわ」

阿良々木「上手いこと言ってんじゃねーよ!」




557 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/15(土) 02:30:49.76 ID:ooB30v4gO
このやりとりの光景が浮かぶなwww




558 : ◆j3vp2NYuuE :2009/08/15(土) 02:38:07.19 ID:Vra/Pgq20
戦場ヶ原「でもね阿良々木君、私思うのだけれど」

阿良々木「何だよ」

戦場ヶ原「謝るっていう字、言うに射るって書くじゃない。
つまり、言い射ることが即ち謝ることなのよ。言い射るっていうのはほら、場に即した空気読んでる発言、みたいなニュアンスを感じるでしょう」

阿良々木「まあ、言いたいことは分からんでもないけど」

言い射る。的を射る。的を射た発言。言い射る。
謝罪。
謝罪は確かに、大概空気を読んでいる。

戦場ヶ原「つまり空気さえ読んでいれば、例えどんな罵倒発言をしたところで、それは謝罪とも取れてしまうのよ」

阿良々木「ちょっと待て、確かに謝罪は空気を読んだ発言なのかもしれないが、けどだからといって、空気を読んだ発言が全て謝罪だっていう理屈はおかしいぞ!」

場にそぐう発言全部謝罪とか、カオス過ぎる。

戦場ヶ原「それもそうね」

阿良々木「もっと早く気付け!」




561 : ◆j3vp2NYuuE :2009/08/15(土) 02:59:50.51 ID:Vra/Pgq20
戦場ヶ原「さて、それじゃいい加減行きましょうか」

阿良々木「行くって、行くってどこにだよ、戦場ヶ原」

戦場ヶ原「決まってるじゃない。八九寺ちゃんや他の人を助けに行くんでしょう?」

阿良々木「……それなんだがな戦場ヶ原。僕はやっぱり、一人で行こうと思うんだ」

忍野がいない以上、交渉による和解はほぼ不可能と考えていい。
それはつまり、武力に訴えざるを得ないということだ。

戦場ヶ原「……聞き間違いじゃなければ阿良々木君、今、一人で行くって、言ったのかしら」

阿良々木「ああ。助けには僕一人で行く。戦場ヶ原は家に帰っててくれ」

戦場ヶ原「ふざけないで」

――と、戦場ヶ原はどこからともなく取り出したクラフギア1500のシャープペンシルを僕の喉元にあてながら、凄まじい剣幕で、されど凍るように静かな表情で囁きかけた。

戦場ヶ原「阿良々木君、たった今負けたばかりじゃないの。それも惨敗といっていい、一方的な敗残の様相を呈していたくせに。よくもそんな馬鹿げた妄言が紡げるわね」




563 : ◆j3vp2NYuuE :2009/08/15(土) 03:13:23.58 ID:Vra/Pgq20
阿良々木「確かに僕は一度負けた。けど――次はもう負けない。決着を着ける」

言いながら。
僕は喉元に向けられたシャープペンシルを掴み、軽く力を入れてやった。
すると、シャープペンシルは僕の握力に耐え切れずに針金細工のようにひしゃげ、使い物にならなくなってしまった。

戦場ヶ原「な――」

阿良々木「戦場ヶ原の言い分も聞き入れてやりたいところだけど、僕も僕でいい加減、そろそろ限界なんだよ――こんなに怒ってるのは結構、久し振りかも知れない」

そう言って、僕は壊してしまったシャープペンシルを壁に向かって投げると、シャープペンシルは小さく煙を上げ、壁にめり込んでしまった。
よし、問題ない。
問題なく、僕の力は上がっている。
これはまさしく、忍の血のお陰だった。




566 : ◆j3vp2NYuuE :2009/08/15(土) 03:33:09.83 ID:Vra/Pgq20
吸血鬼としての僕の力は、忍に血を与えてやることで幾分活性化するものであるが、今回の場合、わざわざ忍から血を分けてもらったのだ――しかも、四肢の欠損分である。
四肢の欠損。どこかで昔、似たような話があったっけ。
それにしても、血を与えるだけでも活性化するのに、分けてもらえば一体、全盛期の僕にどれほど近づくのか。

阿良々木「今の僕は確実に常軌を逸脱してる。到底、人間とは呼べない。さっきまでよりももっと怪異そのものなんだよ、戦場ヶ原。だから」

だから。

戦場ヶ原「分かった。分かりました、阿良々木君」

阿良々木「……素直に聞き入れてもらってよかったよ、戦場ヶ原」

戦場ヶ原「阿良々木君の言う通り、家で静かに待ってるわ。でも」

阿良々木「でも、何だよ」

そこで、唐突に戦場ヶ原が僕の胸元にそっと顔をうずめてきた。
……えーと。
マジですか。

戦場ヶ原「――絶対無茶しないでね阿良々木君。私、阿良々木君が帰ってくるの、ずっと大人しく待ってるから」

その時だけは、もう死んでも構わないと、少しだけ思った。




567 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/15(土) 03:38:09.74 ID:Ck8r5doz0
デレきたwwwww




571 : ◆j3vp2NYuuE :2009/08/15(土) 03:52:09.44 ID:Vra/Pgq20
阿良々木「それじゃ行ってくるぜ」

戦場ヶ原「ええ、気をつけてね」

阿良々木「ああ」

僕は廃墟の前で戦場ヶ原と別れると、しばらく自転車を漕いでいたが、やがてすぐに自分があてもなく廃墟を飛び出してきたことに思い至った。
何というか。
僕ってやっぱり、ちょっと馬鹿だよな。

阿良々木「あー、どうしよう」

虱潰しに当たるしかないか。
僕はひとまず、今後予想される闘争行為に備えるため、鋭気を研ぎ澄ませようと思い至った。

それは、僕が今朝珍しく早起きした理由に直結する。

阿良々木「……エロ本でも買うか」

何というか。
僕ってやっぱり、めちゃくちゃ馬鹿だと思った。




574 : ◆j3vp2NYuuE :2009/08/15(土) 04:10:07.92 ID:Vra/Pgq20
こんな下賎な理由で朝早起きをし、購入のために朝の公園で準備運動を入念におこなっていたなど――とてもじゃないが、八九寺に言えるわけがない。
挙句、結局のところ色々あって買えなかったし。途中コンビニに立ち寄ったにもかかわらず、その頃にはすっかり当初の目的を失念していた。

ともあれ、そんな後悔を反芻してみたところで仕方のないことだ。今は決然と前を向き、来たるべき戦いに備えるべきだ。
そのための、エロ本である。

……いや。
どれほどの大義名分をかざしてみたところで――所詮エロ本。買う行為自体に、そしてその中身に代わりはない。
結局のところ、エロはエロなのだ。
シモヘイヘ。

なんだかんだで、コンビニまで来てしまった。

阿良々木「……ええい、ままよ!」

僕は意を決すと、一目散にコンビニの内部へ飛び込んだ。身体能力の上がった今の僕に隙はない。一目で内部構造を確認すると、本棚のコーナーへ突進。
ラインナップをスローのコマ送りのごとく把握できる僕は一瞬で自分の今の精神状態、従来からの興味関心、好みなどから最適のエロ本をチョイスした。今日の気分はメガミマガジンだった。




577 : ◆j3vp2NYuuE :2009/08/15(土) 04:19:21.42 ID:Vra/Pgq20
僕がエロ本を手に取ろうとしたところで――脇から手が伸びてきた。野郎、僕の邪魔立てをするつもりか。上等だ。
僕からエロ本を取り上げようなんざ不逞な輩は一体どんな奴なのだか、その面、拝ませてもらおうじゃない――そう思い顔を上げると、

阿良々木「あ」

駿河「おっと」

軽くデジャヴだった。

駿河「阿良々木先輩、奇遇だな!」

さっきとはまた違う意味で、僕はもう死んでも構わない。そう思った。




579 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/15(土) 04:31:03.47 ID:bwNDi8zWO
モンキーさん今日も絶好調っすねwwwwwww




580 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/15(土) 04:35:26.03 ID:AosCgPtB0
アホスwwwwwwwwww




582 : ◆j3vp2NYuuE :2009/08/15(土) 04:44:25.36 ID:Vra/Pgq20
駿河「うむ、阿良々木先輩、メガミマガジンか……さすがと言わざるを得ない、核心を突いた選択だな!
改めて阿良々木先輩のセンスの良さに、ただただ関心させられるぞ」

エロ本のセンスを褒められてどうなるというのか。

駿河「私も大概、BLと百合ものだけでは飽きが来るからな。飽食過多すぎるのだ。故にこうして、たびたび青年向けエロ雑誌コーナーに脚を運んでは、適当なものを漁っているというわけだ」

阿良々木「そうかい、そうですか」

駿河「うむ、そうなのだ。まあ今日はメガストアとメガミマガジンとで迷ったのだが、結局こっちを選んでしまった。だが阿良々木先輩と同じエロ本を持っているというのは、何だか不思議な共鳴感があるな。
まるで淡い恋心を抱きし乙女が、自分と同じ小説を好きな相手が持っているという理由だけで心が温まるような心境だ」

阿良々木「小説じゃなくてエロ本だけどな」

メガミマガジンで引き合わせられた二人。
ねえよ。

駿河「しかし、阿良々木先輩がメガマガを買うというのなら」

阿良々木「略すな」

駿河「私はむしろ、メガストアを買ったほうがいいのかもな。そうすれば阿良々木先輩、今度お互いのエロ本を貸し借りできるだろう?」

阿良々木「したくねえよ!」




584 : ◆j3vp2NYuuE :2009/08/15(土) 04:58:37.86 ID:Vra/Pgq20
駿河「メガストアはメガストアで、比較的むっちりめで好みなのだ。私はどちらかというと運動ばかりしているから筋肉質な体付きだしな……
阿良々木先輩は女子が青年向けエロ雑誌を読むとき、どういう風に読んでいるか知ってるか?」

阿良々木「いや、分からねえけど」

駿河「確かに男性と同じで興奮を覚えるのは勿論なのだが、後は描かれている女性の体つきに魅入ってしまったりする。綺麗な体つきだなぁとか、そんな感じだ。
私はちょっとむっちりしている女性のえっちが好きだ。私には足りないからな、むっちりが」




585 : ◆j3vp2NYuuE :2009/08/15(土) 05:07:44.40 ID:Vra/Pgq20
駿河「こんな人と貝合わせなんてした日には――なんて想像した日には、もう手を伸ばさずにはいられないのだ!」

阿良々木「一応どの部位にかは聞かないでおくぞ神原。後そういうことを臆面もなく、爽やかな笑顔で言い切るな」

駿河「なんだ、阿良々木先輩はむっちりよりは引き締まった女豹のようなタイプの、デンジャラスな女性の方が好きなのか? 女優的には黒●メイサとか」

阿良々木「そういうことを言ってるんじゃねえ」

駿河「はっ! まさか阿良々木先輩はロリコンだったのか!? ロリータコンプレックスか!? いや失礼、阿良々木先輩は年上の方が好みとばかり……」

阿良々木「僕の話を聞け!」




586 : ◆j3vp2NYuuE :2009/08/15(土) 05:13:56.53 ID:Vra/Pgq20
駿河「体位の話をしよう阿良々木先輩!」

阿良々木「絶対嫌だ!」

駿河「失礼。く、が抜けていた。体育の話だ阿良々木先輩」

阿良々木「明らかに不自然すぎるんだよネタ振りが! 確信犯だなそうなんだな!?」

駿河「人を無闇に疑うものではないぞ阿良々木先輩。誰にだって言い間違いはあるものだ」

阿良々木「お前は言い間違い一つとっても卑猥なのか?」

駿河「ふっ、すまないな阿良々木先輩、生存本能が疼くのだ」

阿良々木「格好良いこと言ったつもりか!」




590 : ◆j3vp2NYuuE :2009/08/15(土) 05:23:26.05 ID:Vra/Pgq20
しまった。
こんなところでいつまでも油を売っている暇はないのである。

駿河「あっ、阿良々木先輩!」

僕はメガミマガジンを高速で棚から引き抜くと、瞬歩でレジまで運んでいき、最速で会計を済ませ、脇目もふらずコンビニを飛び出した。
悪いな駿河、貸し借りはまた今度だ。

僕は颯爽と自転車に跨ると、勢いよくペダルを漕ぎ出した。勢いが良すぎて危うくペダルが壊れそうだったが、何とか無事だったようだ。
僕は一旦近くの公園まで自転車を飛ばすと、すぐにベンチに座り、エロ本を読み始めた。吸血鬼の能力を存分に行使し内容を三十秒足らずで読破すると、僕は再び自転車に跨って八九寺の捜索を開始した。




602 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/15(土) 06:38:47.03 ID:bZ1VBio/0
ヒント:
確信犯 ×
故意犯 ○

ドララ木さんはやっぱり血を吸わせた方が強くなると思う




609 : ◆j3vp2NYuuE :2009/08/15(土) 08:45:48.07 ID:FRh8rdy3O
>>602mjdk
…もう色々と脳内補完してくれ…すまん




615 : ◆j3vp2NYuuE :2009/08/15(土) 09:12:08.51 ID:FRh8rdy3O
ブチャラ木さんの四肢回復に忍の血を使用→復活した阿良々木がおもくそ血を吸わせた
でおk
てか、そういうことで


八九寺がいそうな場所って、どこだろうか。僕は自転車を飛ばしながら考える。

阿良々木「……やっぱ、あそこかなぁ」

僕はUターンして、真っ直ぐに浪白公園に向かった。時刻は既に夕方。日も沈みかけている。

阿良々木「八九寺、いるかー?」

浪白公園に辿り着いた僕は公園の至るところを捜索したが、ついに八九寺の姿を見つけることはできなかった。

阿良々木「どこにいるんだよ、あの野郎」




653 : ◆j3vp2NYuuE :2009/08/15(土) 13:44:00.41 ID:FRh8rdy3O
メメ「おやおや阿良々木君じゃないか。こんなところで何してるんだい?」

阿良々木「忍野! お前今まで何やってたんだよ」

メメ「いや、そりゃ色々とさ。バランスを取るのも楽じゃないよ、まったく」

突然僕の前方から忍野が現れ、すかした笑いを浮かべながらこちらに歩いてきた。

阿良々木「良かった……忍野、聞いてくれ、緊急事態なんだ」

メメ「ああ、迷子ちゃんが危ないんだろう?
――そこにいる彼のせいでさ」

言われて。
そこで初めて、僕は、忍野の後ろに、不機嫌そうな表情で立っているTがいるのに気が付いた。

T「……なんだ、まだ生きてたのか。驚いたな」

Tはまったく驚いた様子もなく、平然と呟いた。

T「大体、最近イライラすることが多すぎんだよ――リストラでバンバン人がくたばりやがる。お陰で霊が増える。溢れ出す。片端から仕事が増えてく。片端から処理していく。そりゃ――ストレス解消に、仕事外でなんのしがらみもなく、除霊の一つや二つ、したくもなる」

何だ――こいつは。




655 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/15(土) 13:47:48.82 ID:LIB2SQeS0
やつあたりかよwwww




658 : ◆j3vp2NYuuE :2009/08/15(土) 13:54:13.43 ID:FRh8rdy3O
メメ「まあまあ、そう怒るなよむっつり君」

T「その呼称はよせと、約三時間前に遭遇して以来、十七回以上通達してきた筈だが」

メメ「やれやれ、むっつり君は顔だけじゃなくて、心までむっつりしているんだねぇ」

T「黙れ」

むっつり君て。
忍野、そりゃ誰だって怒るよ普通。

メメ「とにかく、君の言い分はよく分かったからさ――そろそろ帰りなよ。これ以上この街に留まって除霊しようとすれば、そこにいる彼が黙ってないよ?」

言って、忍野は僕を指差した。

T「ふん。そこの小僧は一度俺に殺された身だ――今度は容赦なく消せばいい」

メメ「そう簡単にいけば良いけどね。あんまり彼を甘く見てると、大怪我しちゃうよ? むっつり君」

T「黙れ。その呼称をやめろ」





660 : ◆j3vp2NYuuE :2009/08/15(土) 14:05:01.35 ID:FRh8rdy3O
阿良々木「そうだ。あまり僕をなめないほうが良いぜ」

僕はニヒルを気取って口端を吊り上げながら、馬鹿にするように肩を竦めてやった。

阿良々木「今の僕は全盛期のトキに匹敵する戦闘力を誇る。だから――」

T「だから何だ、小僧。静かにしろ。これ以上俺をイライラさせるな」

その物凄い剣幕に押され、僕は思わずぴしゃりと姿勢を正してしまった。

T「どいつもこいつも――ふざけた奴らばかりで頭に来る。もういい。まずは貴様だ。然るのち、本来の目的を滅すとしよう」

阿良々木「ふざけてるのは――どっちだよ」

僕は姿勢を構え直すと、改めて目の前の男を睨みつけた。

阿良々木「勝手な都合で僕の友達を消そうとしやがって――僕はお前みたいな、人の事情を省みないで、我を押し通そうとする奴が、一番嫌いなんだよ」




670 : ◆j3vp2NYuuE :2009/08/15(土) 14:13:49.47 ID:FRh8rdy3O
阿良々木「自分のことしか考えてないような奴は――どっかの誰かさんを見てるみたいで、すげえ不快なんだよ」

春休み。
僕は、自分のことしか考えていなかった。

T「ふん。その姿勢も自分勝手なもんだとは思わないのか」

阿良々木「違う。僕は自分の為に我を通すんじゃない――友達の為に、我を通すんだ」

T「これまでだな。おい、そこの」

メメ「何だいむっつり君?」

T「その呼称をやめろ。さっきの交渉の話だが――無しだ。こいつを消したら、後はさっさと帰る。それでいいな」

メメ「仕方がないなあ。分かったよ。それにしても、随分と元気の良い選択だね。何か良いことでもあったのかい?」

T「ああ――最高に不愉快だ」

Tは数珠と髑盧を握り締め、吐き捨てた。




671 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/15(土) 14:17:16.80 ID:1zuuvrO10
Tさんの個性を生かしつつ、うまく悪役にしてるなw




672 : ◆j3vp2NYuuE :2009/08/15(土) 14:25:52.93 ID:FRh8rdy3O
T「小僧、さっきは手を抜いてやったが、今度は事情が違う。容赦はしないからな」

阿良々木「ご託はどうでも良い。さっさと来いよ」

T「言われなくても行ってやる」

しかしTはあくまでゆっくりと、一歩ずつ確実に、僕との距離を縮めてくる。

阿良々木「ちっ、結構面倒くさいんだな、お前!」

待ちきれず、僕は地面を抉る勢いで蹴り出すと、空気を裂きながらTに突進していった。

T「――それはお互い様だろうが」

Tが手をかざす。と、突然僕は何もないはずの中空で、突如見えない壁のようなものに衝突し、弾かれるようにして地面に倒れ込んだ。

阿良々木「ぐうっ……」




716 : ◆j3vp2NYuuE :2009/08/15(土) 21:10:31.67 ID:FRh8rdy3O
したたかに体を打ち付けたものの、僕はすぐに起き上がり、Tを睨みつけた。

T「どうだ。便利なものだろう、法力とは。我が宗に古くから伝わる秘術の一つだ。
扱いこなせば――矛にも盾にもなる」

阿良々木「無茶苦茶だな、おい」

T「お前ほどではない」

Tは再び手をかざす。僕がその場を飛び退くと、僕がいたところの地面が抉れた。
いや、正直これは卑怯すぎる。










八九寺「あ、スメラ木さん!」
101 : ◆j3vp2NYuuE :2009/08/19(水) 20:53:54.53 ID:Rb3MGaCM0
T「諦めろ。お前は俺に近寄れないし、万が一近寄れたところで、昼間のように肢体を吹き飛ばす。そして仮に近寄らずとも、俺がお前に近づいていく。勝算はない」

阿良々木「くそっ……」

馬鹿げた――話だ。僕からの手の出しようがない。

T「怪異であるところのお前では――俺は絶対に殺せんぞ」

言いながら、また一歩一歩、確実にTは僕との距離を縮めてくる。

阿良々木「くそ――」

本当に――勝てないのだろうか。
僕は。
ここで――死ぬのか。




112 : ◆j3vp2NYuuE :2009/08/19(水) 21:09:45.21 ID:Rb3MGaCM0
だが。

メメ「ま、怪異であるところの妖怪人間ラギくんじゃ、確かにむっつり君に勝つのは難しいだろうねぇ」

阿良々木「だれが妖怪人間だ!」

T「その呼び方をやめろ」

メメ「まあまあ二人とも、そんなに怒らないでくれ」

唐突に、忍野が口を割って入ってきた。

メメ「見たところ――阿良々木君、やっぱり大変そうだねぇ」

阿良々木「そう思うんだったら忍野、何とかしてくれ」

メメ「だからさ――僕は助けないって。いっつも言ってるじゃない」

忍野は煙草を口に咥えると、

メメ「でも、ま、気分が良いんで特別にタダで一つ教えちゃうとね――阿良々木君、むっつり君のその法力っていうのはさ、あくまで対象が怪異の場合にしか働かないんだ。
それ以外の存在には、まるで微塵の効力も持たない。見えないし、聞こえないし、触れないし、障らない。
対怪異の力であるからこそ――力自体が怪異じみてるっていうのは、何だか皮肉めいてるよね」

怪異以外には――障らない?

T「余計なことを。どうせこの小僧は死ぬぞ」




116 : ◆j3vp2NYuuE :2009/08/19(水) 21:24:33.54 ID:Rb3MGaCM0
メメ「確かに、こんな指摘を一つしたところで、阿良々木君が何か天啓を得て逆転勝利――なんて、やっぱり考えづらいんだけどさ」

ひどい言われようだった。
お前は一体どっちの味方だ。

あ、そもそも中立なのか?

メメ「ま、この指摘は、阿良々木君には意味を持たないよ」

じゃあ、全然意味ないじゃん……。

メメ「阿良々木君には、ね」

阿良々木「え?」

その言葉の真意を掴み損ねた僕だったが――、一瞬後、僕はすぐに、忍野の指摘が誰にとって意味を持つものだったのか、すぐに理解した。

戦場ヶ原「動かないで」

Tのすぐ後ろ――Tの首筋にカッターナイフの刃を添える、戦場ヶ原の姿を見たことによって。




117 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/19(水) 21:33:24.18 ID:IHriFPYnO
ガハラさんw




118 : ◆j3vp2NYuuE :2009/08/19(水) 21:35:02.54 ID:Rb3MGaCM0
阿良々木「戦場ヶ原!」

戦場ヶ原「あら、出来損ないのベムがいると思ったら――阿良々木君じゃない」

阿良々木「そのネタを引っ張るな」

T「――なるほど、こいつは迂闊だったな。完全に意識を小僧に向けていた。油断したぜ」

首筋にカッターの刃を当てられていながら――Tはさも平然と、感想じみたを状況確認を漏らした。

戦場ヶ原「私の阿良々木君に、あなた一体、何をしようとしていたのかしら――弁明、弁解は勿論のこと、贖罪、謝罪も含め、一切の発言は徹底して許さないわ」

言い訳の余地無し、ということか。
マジで容赦ない通告だった。

阿良々木「戦場ヶ原」

戦場ヶ原「あなたも後で切り落としてあげるわ、阿良々木君」

阿良々木「どの部位をですか!?」





121 : ◆j3vp2NYuuE :2009/08/19(水) 21:45:40.72 ID:Rb3MGaCM0
戦場ヶ原「何よ、切られるのが嫌なの? だったら潰してあげるわ」

阿良々木「だからどの部位を!?」

戦場ヶ原「それも嫌なら――焼くわ」

阿良々木「焼く!? 焼かれちゃうのか、僕は!」

思わず――縮み上がった。どの部位かは、伏せさせていただくが。

戦場ヶ原「まあ阿良々木君の然るべき処置は後にして――あなたの処遇はどうしようかしらね」

T「…………」

そして、Tは。

T「あー、厭になったぜ。心底お前らの茶番劇と狂言回しにゃ、愛想が尽きた」

言って、Tは苛立たしげに頭をぼりぼりと掻いた。

T「帰る。やはり遊びは、俺の性分に合わんらしい」

阿良々木「は……?」

今こいつは――何と言ったか。
帰る、そう言ったか?
帰る、帰るって。
そんな……

阿良々木「何だ――それ」




122 : ◆j3vp2NYuuE :2009/08/19(水) 21:55:20.05 ID:Rb3MGaCM0
T「やはり遊びは苦手だ。俺はもう金輪際、遊びで街へ降り、鬱憤を晴らさないことにしよう。
いや、晴らさない、というよりも――晴らせんからな。余計に苛立ちが溜まる。ということだ、俺は帰る。邪魔したな」

戦場ヶ原「ふざけないで」

戦場ヶ原は表情こそ変えなかったものの――明らかに語勢と、カッターを握る手に籠める力を強め、

戦場ヶ原「阿良々木君やその他関係者、私を含め、大多数の人々に迷惑をかけておいて――そんな勝手な振る舞いが、本当に許されると、思っているのかしら」

T「知るか。悪かったなら悪かったんだろう。謝るぜ――すまなかった」

そう言って、Tは素直に頭を下げた。

阿良々木「…………」

戦場ヶ原「…………」

T「申し訳ありませんでした。世間知らずの堅物が、他人様に余計なちょっかいをかけてしまいました。本当に申し訳もありません」

本当に徹頭徹尾――自分勝手な奴だ。
僕は心の底からそう思った。
思って――気がついたときには、僕はTの顔面を、力任せに殴りつけていた。

戦場ヶ原「阿良々木君!」

阿良々木「ふざけんなよお前! あぁ、ふざけんな!」




123 : ◆j3vp2NYuuE :2009/08/19(水) 22:05:23.59 ID:Rb3MGaCM0
Tの体が宙を舞う。そのまま優に数メートルは吹き飛ぶと、何度か地面をバウンドし、そのままおざなりに地面に転がった。
弾かれるとも思ったが、Tは法力の使用を解除していたようだった。
もっともそんな法力など、本気の僕には、あってないようなものだ。そして今僕は、本気で――激怒していた。俗な言い方で言えば、ブチ切れていた。
僕はそのまま怒りに身を任せ――Tに追い討ちをかけようと地面を蹴り出した。

戦場ヶ原「阿良々木君!」

阿良々木「うるせえ、黙ってろ!」

そしてTの眼球を抉り出そうと手刀を繰り出したところで――

メメ「おっと、もう彼は幕を引いたんだぜ、阿良々木君。これ以上は――野暮ってもんさ」

忍野メメに、行く手を遮られた。
たったの右足一本で、僕の手刀は受け止められ、僕の体は空中で静止していた。

阿良々木「どけよ忍野。こいつ殴るんだから」

メメ「殴る? 殺すの間違いだろ、阿良々木君。今の阿良々木君の力で本気で殴ったら――死んじゃうぜ? 人間はさ」




124 : ◆j3vp2NYuuE :2009/08/19(水) 22:13:47.47 ID:Rb3MGaCM0
メメ「それにほら、それ、拳じゃなくて、手刀じゃないか」

阿良々木「こいつ――マジで僕が今まで会ってきた人間の中で、一番ムカつくタイプの奴なんだよ」

メメ「だからって、殺すのかい? それじゃいつぞやの時みたいに、人間捨てちゃうのかい?」

阿良々木「うるさい、僕は――」

メメ「何でむっつり君に対して、阿良々木君がそこまで腹を立てちゃってるのかってさ、勿論、同属嫌悪とか、お友達のためってところもあるんだろうけど――
結局のところ、自分が人間じゃないって、自覚させられるからじゃないの?」

法力は――障らない。人間には。
人間には。

メメ「人間でありたい阿良々木君には、それがひどく気に入らない――ひどくね」

自分の存在を、否定されるから。

阿良々木「知った風なことを――」

メメ「知ってるからね。言わせて貰うさ。それとも、違うとでも?」

阿良々木「…………」

何も言えなかった。
だって、その言葉は決して、見当違いではなかったからだ。




127 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/19(水) 22:17:53.65 ID:IHriFPYnO
Tさん思いっきりやられたけど大丈夫かw




131 : ◆j3vp2NYuuE :2009/08/19(水) 22:22:43.32 ID:Rb3MGaCM0
阿良々木「でも……なら、どうすりゃいいんだよ」

僕を。八九寺を。戦場ヶ原を。忍野を。皆を。
皆を巻き込んで、皆に迷惑をかけた。

阿良々木「僕は――この苛立ちを、どうすればいいんだよ?」

メメ「僕はね、阿良々木君。殺すのは間違ってるんじゃないか、って言いたいのさ。それこそお門違いさ。今回は相手が退いてくれるって言うんだし――ひとまずは丸く治めようぜ?」

T「……そういうことだ」

Tはよろよろと立ち上がり、法衣についた埃を払うと、身を翻した。

T「迷惑掛けたな。いずれ侘びの贈り物を送る。それで本当、勘弁してくれ」

それだけ言い残して、Tは本当にあっさりと公園を去っていった。

阿良々木「…………」




138 : ◆j3vp2NYuuE :2009/08/19(水) 22:33:26.29 ID:Rb3MGaCM0
戦場ヶ原「大丈夫? 阿良々木君」

呆然と立ち尽くす僕の元へ、戦場ヶ原が駆け寄ってきた。

阿良々木「……見りゃ分かるだろ」

吸血鬼の力で活性化している僕の体に、外傷は存在しない。

戦場ヶ原「見て分からないところを聞いてるのよ」

阿良々木「…………」

上手いこと言うじゃん。

阿良々木「平気だよ、僕は」

戦場ヶ原「嘘吐き。顔が歪んでるわ」

阿良々木「平気だって」

戦場ヶ原「…………」





139 : ◆j3vp2NYuuE :2009/08/19(水) 22:40:19.60 ID:Rb3MGaCM0
戦場ヶ原は僕の目を見たまま黙って歩いてくると、僕の数センチ手前で立ち止まった。

阿良々木「……顔、近いんですけど」

戦場ヶ原「真後ろを向きなさい」

阿良々木「はい。申し訳ございません」

何故か謝ってしまった。ともかくとして、僕は後ろを向いた。

阿良々木「これでいいのか? なあ、一体何するん――」

ふわっとした感覚が、僕の背中を包み込んだ。

気がつけば、僕の体は戦場ヶ原に後ろから抱きしめられていた。

阿良々木「戦場ヶ原……」

戦場ヶ原「きっと疲れてるのよ阿良々木君――私が少し、癒してあげるわ。感謝しなさい」

感触から、戦場ヶ原が背中に顔を埋めているのが分かった。

阿良々木「――ありがとな、戦場ヶ原」

戦場ヶ原「礼には及ばないわ。造作もないことだもの。
だって私達――恋人同士じゃない」

僕は赤面し、倒れかけたが、何とかその場で踏みとどまった。まったく、警戒していないところからいきなり直球を投げるのは本当に勘弁して欲しい。




141 : ◆j3vp2NYuuE :2009/08/19(水) 22:48:18.08 ID:Rb3MGaCM0
メメ「いや、青春してるねぇ、お二人さん」

阿良々木「やめろ。茶化すな忍野」

忍野はにやにや笑いながら僕達の様子を見ていたが、

メメ「それじゃ――これ以上二人の邪魔をするのも悪いから、僕はさっさと帰らせてもらうよ。あ、安心してくれ。事後処理は僕が済ませておくからさ。じゃ」

ひらひらと手を振り――忍野も公園を出て行った。
残ったのは、僕と戦場ヶ原の二人だけだ。
二人きり。
夜の公園で。

阿良々木「……何だろう、この状況演出は」

まるであつらえたようである。

阿良々木「あ、そうだ戦場ヶ原、お前、家で待ってろって言っただろ? 何ちゃっかり約束破ってるんだよ」

戦場ヶ原「何よ、それにかこつけて私を責める気ね? いいわ、責められるものならいくらでも責めて。さあ、早く責めなさい」

阿良々木「悪化している!?」




143 : ◆j3vp2NYuuE :2009/08/19(水) 22:57:52.86 ID:Rb3MGaCM0
戦場ヶ原「私にだって、虐げられて苛められて責められ抜きたい日はあるわ」

阿良々木「お前、どっちもいけるのな」

戦場ヶ原「もっとも、後で累乗返しするけれど」

阿良々木「累乗!? 倍返しじゃなくてか!?」

鬼だ。やっぱり鬼畜だ。生粋のド鬼畜様だ。そう思った。

戦場ヶ原「大体、あんな状況で待ってろって言われて――私が大人しく待っているとでも?」

阿良々木「まあ、気持ちは、分からないでもないけど」

戦場ヶ原「分からないでもない、だなんて、そんな四分の一みたいな納得の仕方、気に入らないわね」

阿良々木「何もそんな言い方は、ないと思うんだが」




147 : ◆j3vp2NYuuE :2009/08/19(水) 23:04:10.11 ID:Rb3MGaCM0
戦場ヶ原「ていうか、もっと感謝しなさいよ。私のお陰で阿良々木君は助かったようなものなのだから」

う。それを言われると、確かにそうだ。

阿良々木「……ありがとう」

戦場ヶ原「誠意がまるで足りないわ」

阿良々木「少しは嬉しがれよ!」

戦場ヶ原「ならもっと気持ちを込めなさいよ」

阿良々木「……ありがとうございました」

戦場ヶ原「死んでもらえるかしら、阿良々木君」

阿良々木「何でだよ! いくら何でも評価が不当過ぎるだろ!」




148 : ◆j3vp2NYuuE :2009/08/19(水) 23:13:27.14 ID:Rb3MGaCM0
戦場ヶ原「何言ってるのよ阿良々木君。ちゃんと贔屓目に見た評価じゃないの」

阿良々木「どうせならプラスの方向に贔屓しろよ」

戦場ヶ原「私は阿良々木君のスキルアップのためを思ってやっているのよ。例え、社会不適合でどうしようもないくらい非の打ちどころだらけの阿良々木君でも、今から少しずつ頑張れば少しはマシに暮らせるようになるかもしれないわ。望み薄だけれど」

阿良々木「そういうの、マジでへこむからやめてくれ」

戦場ヶ原「何言ってるの。冗談よ」

阿良々木「…………」

僕、完全にもてあそばれていないか?

戦場ヶ原「本当に阿良々木君は面白いわね。ここまで飽きが来なくてバリエーションに富んでいると、それはもう一種の才能なのかもね」

阿良々木「僕がまるで駄目みたいな言い方をした直後に、よくそんなことが平気で言えるな」

戦場ヶ原「公正な評価をしただけよ。だって恋人だもの」




151 : ◆j3vp2NYuuE :2009/08/19(水) 23:22:55.23 ID:Rb3MGaCM0
阿良々木「……お前、その言葉を文の最後に付けりゃ、事前にどんな罵倒を述べたところでチャラにされるとか、思ってないだろうな?」

戦場ヶ原「あら、分かる?」

阿良々木「分かるよ! ていうか、本当にそう思ってたのかよ!」

戦場ヶ原「むごたらしく死んで欲しいわ。恋人だもの」

阿良々木「それは色々まずいだろ……」

戦場ヶ原「殺して裂いて食べてあげる。恋人だもの」

阿良々木「それは病気だ!」

戦場ヶ原「ちなみに上記二つは本当に私が常日頃から抱いている願望よ」

阿良々木「病院、紹介しようか?」

戦場ヶ原「勘弁してくださいと、三件ともに泣きつかれたわ」

阿良々木「レベル高ぇー!」




154 : ◆j3vp2NYuuE :2009/08/19(水) 23:33:28.93 ID:fWurcoz0O
病院に泣きつかれる患者なんて見たことねえよ。

戦場ヶ原「そのうち一件はあまりにも可哀想だったから、主治医だった方に良い病院を紹介してあげたわ」

阿良々木「立場が逆転したのかよ……」

戦場ヶ原「医者の不養生とはこのことね」

阿良々木「原因はお前だ」

戦場ヶ原「向こうのメンタルが弱すぎたのよ。彼、精神科医を務める資格はないわね」

阿良々木「お前のハードルが高すぎんだよ!」




159 : ◆j3vp2NYuuE :2009/08/19(水) 23:47:48.16 ID:fWurcoz0O
戦場ヶ原「何よ。私は何も悪いことはしていないわ。ただ小一時間ばかり、キチガイ地獄外道祭文と胎児の夢を語っていただけなのに」

阿良々木「それは耐えがたいものがあるよ、戦場ヶ原」

戦場ヶ原「さて、そろそろ帰りましょうか、阿良々木君」

阿良々木「……八九寺、大丈夫かな。本当に何もされてなきゃいいんだけど」

戦場ヶ原「大丈夫じゃないの?」

阿良々木「何でそう思うんだよ」

戦場ヶ原「少なくとも、あの人には何もされてないと思うわよ。あの人、阿良々木君に似てるから」

阿良々木「…………」

その言葉通り。

翌朝、僕が昨日の朝いたのと同じ公園に佇んでいると、向こうのほうから見慣れたツインテールが飛び跳ねてきた。

阿良々木「八九寺!」




163 : ◆j3vp2NYuuE :2009/08/19(水) 23:55:01.59 ID:fWurcoz0O
八九寺「あ……ぷぎゃら木さんじゃないですか」

阿良々木「人を某匿名掲示板の定型返信文みたいに言うな。僕の名前は阿良々木だ」

八九寺「失礼、噛みました」

阿良々木「違う、わざとだ」

八九寺「噛みまみた」

阿良々木「わざとじゃない!?」

八九寺「あばばばば」

阿良々木「遂に発狂したか……」




165 : ◆j3vp2NYuuE :2009/08/20(木) 00:03:53.99 ID:vEhUXVfAO
阿良々木「仕方ないな。胸でも揉んで正気に戻してやるから、ちょっと胸貸せよ八九寺」

八九寺「セクハラですか。堂々とセクハラですか。死んでくださいアッラー木さん」

阿良々木「人をどこかの宗教の唯一神みたいに言うな。僕の名前は阿良々木だ」

八九寺「失礼、噛みました」

阿良々木「違う、わざとだ……」

八九寺「そうですが?」

阿良々木「平然と返された!」

八九寺「えへへ、噛んだんですよ阿良々木さん。
ところで阿良々木さん、何かあったのですか? あ、あれから恋人にこってりと絞られましたか」

阿良々木「いや……うん、まあ、そんなところだ」

八九寺「やはりそうでしたか。いや、阿良々木さんは本当、罪深いお方ですねー」

阿良々木「罪深い……うん、確かにそうだな」

八九寺「いいじゃないですか、別に」

阿良々木「八九寺?」

八九寺「まったり生きましょうよ。どうせ、私たちに出来ることなんて、限られてるんですから」




166 : ◆j3vp2NYuuE :2009/08/20(木) 00:06:33.66 ID:vEhUXVfAO
八九寺は、僕に向かってにっと笑ってみせた。

その笑顔に、僕は幾分、救われたような気がしたのだった。





――了




167 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/20(木) 00:07:35.45 ID:DXKQsmjZ0
お…乙!!
素直に「乙!!」といえる自分を褒めてやりたい




168 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/20(木) 00:09:11.33 ID:H91Q3azN0
おちゅかれさまです




169 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/20(木) 00:09:40.35 ID:yMa0fmJjO
これで楽に成仏できるありがとう




170 : ◆j3vp2NYuuE :2009/08/20(木) 00:10:51.56 ID:vEhUXVfAO
あっさり終わり杉ワロタwww
構成力ねぇwwwww

てなわけで終わりです。応援してくれた皆様方ならびに、たくさんのROMってる人たち、ありがとうございました。
もしこの中で、これを機に化物語に興味を持ってもらえたり、もっと好きになったりしてくれた方々がいるんでしたら、SS書き冥利に尽きます

重ねて申しますが、本当にありがとうございました!











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コメント
この記事へのコメント
  1. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/08/31(月) 17:36: :edit
    1ゲット
  2. 名前: 通常のナナシ #BRQ74Xqg: 2009/08/31(月) 17:39: :edit
    ひとけた
  3. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/08/31(月) 17:46: :edit
    いいーひっひ
  4. 名前: 通常の名無し #- #-: 2009/08/31(月) 18:07: :edit
    初めての一桁
  5. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/08/31(月) 18:15: :edit
    5かな?
  6. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/08/31(月) 18:16: :edit
    hitoketaaaaaaaaあ
  7. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/08/31(月) 18:46: :edit
    こいつ・・・上手いぞ!?
  8. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/08/31(月) 18:46: :edit
    撫子でおっきした
  9. 名前: VIPPERな名無しさん #-: 2009/08/31(月) 18:46: :edit
    元ネタわからん
  10. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/08/31(月) 18:48: :edit
    西尾本人だろwwwww
    うめー
  11. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/08/31(月) 19:15: :edit
    すげぇや作者、容易に場面が頭に浮かんだ。乙。
    戦場ヶ原ちゃん可愛ぇなぁチクショウ(*´∀`)

  12. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/08/31(月) 19:47: :edit
    元ネタ分からんが・・・
    本編よりTさんのコピペにわろてしまったw
  13. 名前: VIPPERな名無しさん #-: 2009/08/31(月) 19:52: :edit
    維新本人なら、もっと地の文がくどくどと付くはず。
    つまり…アニメ化物語の脚本家だ!
  14. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/08/31(月) 20:26: :edit
    嬉しいな。
    これからもっと「化物語」のSSが出て来ることを希望。
  15. 名前: VIPPERな名無しさん #-: 2009/08/31(月) 20:32: :edit
    確信犯の誤用だけど、西尾さんも「足元すくわれる」とか「すべからく」の使い方とか、結構誤用してるからまあ、良いんじゃねw

    面白かったけどtさんのキャラがイマイチつかめんかったw
    やっぱtさんは出オチに限るな。
  16. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/08/31(月) 21:06: :edit
    夢野久作ワロタwwwww
  17. 名前: VIPPERな名無しさん #-: 2009/08/31(月) 21:24: :edit
    Tさんって原作でも出てくるの?
    傷物語までしか読んでないからわからん
    つかあのコピペも原作?
  18. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/08/31(月) 21:47: :edit
    ※17
    これは酷い
  19. 名前: ななし #-: 2009/08/31(月) 21:51: :edit
    セリフのセンスがもう維新さんレベルだろ
    キャラをよく理解できてないとこれは書けん
  20. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/08/31(月) 21:51: :edit
    セリフとか上手いな。テンポも良いし西尾の変わりに書いて欲しいくらいww
  21. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/08/31(月) 22:05: :edit
    これからも「化物語」ssよろしく、ぷんたさん
  22. 名前: VIPPERな名無しさん #-: 2009/08/31(月) 22:14: :edit
    肝心のスメラギさんがいないんだが
  23. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/08/31(月) 22:16: :edit
    原作をほとんど崩されていないし、これからイヒのssが増えて欲しい。
  24. 名前: VIPPERな名無しさん #jbOxzxoA: 2009/08/31(月) 22:57: :edit
    本人の言うように構成力にイマイチな部分はあるが、その分会話のセンスが飛びぬけてすげえな。キャラも全く違和感ないし、特に八九寺との会話が秀逸過ぎて素直に嫉妬及び尊敬する。
    アレは真似しようとしてもなかなか出来るもんじゃない。

    まさかのTさんと言い、普通に面白かったw
  25. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/08/31(月) 22:59: :edit
    ながして読んだけどおもしろかったよ
    また書いてねー
  26. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/08/31(月) 22:59: :edit
    アニメから入って原作読むか迷ってたけど読むわ
    ぷん太も化物語SS増やしてくれると嬉しい
  27. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/08/31(月) 23:00: :edit
    化物語……噂には聞いていたが、なんと回りくどい言い回し
  28. 名前: VIPPERな名無しさん #-: 2009/08/31(月) 23:14: :edit
    Tさんのキャラが何か貝木に似てるのが気になるが…
    面白かったぜ
  29. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/08/31(月) 23:28: :edit
    これはレベル高いなw会話だけなら西尾本人だろ。
    これからもたくさんSS投下して欲しいわ。特に原作ガハラさんが空気になりつつあるし、もっとガハラ成分が欲しいとこだぜ。
  30. 名前: deleted #-: 2009/08/31(月) 23:29: :edit
    結局、時系列はどのへんだ? 撫子でたのに忍野がいるからおそらく初デート前後だと思うが・・・   なんかアニメ化してから一気にこういうレベルの高いSSが増えるとなんか寂しい気分になる 
  31. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/08/31(月) 23:51: :edit
    良かった。すごく良かった。
  32. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/08/31(月) 23:54: :edit
    キャラ壊れて無いからなのか、びっくりするほど違和感無く読めた。

    化物語SS増えてほしいけど難易度高いから難しいだろうなぁ…。
    この>>1には期待してる
  33. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/09/01(火) 00:04: :edit
    Tさん見てたらエウレカセブンの僧侶を思い出した
  34. 名前: 通常のナナシ #RVo/8X32: 2009/09/01(火) 00:34: :edit
    あれ、思ってたより絶賛されてて驚いた
    そんなもんか
  35. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/09/01(火) 00:57: :edit
    化物語って一件長々とどーでもいいような会話が続くけどその会話してるキャラクターといい作風といい全く嫌らしく感じられないのがいいな。テンポもいいし。まぁ人によってはただ面倒くさいだけに感じる人もいるかもしれんが。
    ぷん太にはぜひもっと化物語SSを拾ってきていただきたい。
  36. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/09/01(火) 01:03: :edit
    猿イラネ
  37. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/09/01(火) 01:11: :edit
    クビキリ初版からずっと愛読し続けてきた僕をしてここまで唸らせるとは…。

    いや普通に上手だよね?
  38. 名前: VIPPERな名無しさん #-: 2009/09/01(火) 01:16: :edit
    ――了
    って終わり方、まさかあの人か?
  39. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/09/01(火) 01:17: :edit
    マゾに死んでくださいに思わずワロタ
  40. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/09/01(火) 01:22: :edit
    面白いな!
  41. 名前: V #-: 2009/09/01(火) 02:04: :edit
    ハルヒの時代は終わった。
    これからは化物語だな。

    ってか冗談じゃなく、ハルヒ2期全然おもしろくない。
  42. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/09/01(火) 02:16: :edit
    ※41
    同意。
    ハルヒSSはもういいかなって感じ。
    ていうか他にももっといろんなSS載せて欲しいんだぜ
  43. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/09/01(火) 02:21: :edit
    最初の方で脱落したわ。
    大体西尾がスメラギって名前使うなら
    元ネタは東京バビロン一択だろjk
  44. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/09/01(火) 02:22: :edit
    上手いなー
    だいぶ前にどっかのサイトで見たやつも異様に面白かったけど、それ思い出した。
  45. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/09/01(火) 02:39: :edit
    Tさん投石であっさり殺せるな
  46. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/09/01(火) 02:40: :edit
    忍野の「なにかいい事でもあったのかな?」って、調子にのるなよ?的な意味じゃなかったのか・・・。
  47. 名前: VIPPERな名無しさん #-: 2009/09/01(火) 02:44: :edit
    完成度高いな!!
  48. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/09/01(火) 03:07: :edit
    構成力は比ではないが、よくコピーしてるなあ
    おじさんまた原作読みたくなっちゃったよ
  49. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/09/01(火) 04:46: :edit
    ※41
    同意
    正直今ハルヒは右肩下がりだろう。アニメもといSSも。
    アニメは∞8やら溜息やらで勢い無いしSSも昔に比べたらネタ切れなのかわからないが良作減ったし。それでも良い作品はあるにはあるけど、原作で驚愕が出るかアニメで消失やるかしないと昔みたいな勢いは出なさそう。
    それに比べたら化物語は今が旬だし勢いもある気がする。個人的に化物語が好きってのもあるけども。
    今回のSSも良い作品だと思うし、ぷん太にはもっといろんな作品を拾って欲しいな。もちろん化物語に限らず。ぷん太頑張ってくれ~
  50. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/09/01(火) 05:27: :edit
    めちゃくちゃ長いなー
  51. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/09/01(火) 05:50: :edit
    VIPの現状的に見てもまだハルヒが多いからメインをハルヒ以外にってのは無理だろうし
    ハルヒ載せつつ良いのあれば載せてくれ
    あまりむちゃ言ってぷん太を困らせるなよ
  52. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/09/01(火) 06:03: :edit
    もしよかったら化ssを増やして欲しいです
  53. 名前: VIPPERな名無しさん #-: 2009/09/01(火) 06:56: :edit
    >>41
    ため息はシリーズの中でももっとも面白くない話だし仕方ない。
    映画自体は1期ですでにやっちゃってるし、何話もかけて内容を追い掛けても、グダグダ感が余計に強まるだけ。
    まあエンドレス8(笑)の暴挙のあとにアレが続けばそりゃあ人気も落ちるわw

    ハルヒss自体が面白くなくなってるわけじゃないから終わった、とまではまったく思わないけど。
  54. 名前:   #-: 2009/09/01(火) 08:03: :edit
    今原作手元にないから確認できないけど、アリャリャ木さんは神原も千石も苗字で呼んでなかったっけ?
  55. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/09/01(火) 10:40: :edit
    スゲーうまい。
    うらやましいぞ阿良々木君。
  56. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/09/01(火) 13:32: :edit
    時系列だけ訳分からんが面白かった
    この前の百物語もまとめて欲しいな
  57. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/09/01(火) 14:11: :edit
    鯖がいかれた時の奴か
    ちゃんと完結してたのね。よかった
  58. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/09/01(火) 14:27: :edit
    なんだろう・・・
    原作持ってるだけに、言葉遊びで原作の真似をしようとしてgdgに失敗してるのがはっきり分かって
    痛々しくて最後まで読めない。
    話の内容がおもしろくても、こういう独特の文体を無理にまねようとすると読み物として厳しくなるね・・・

  59. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/09/01(火) 15:47: :edit
    序盤はまあまあだったけど後半になるにつれてキャラ崩壊してたね。
  60. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/09/01(火) 16:21: :edit
    百物語での委員長さんの優遇っぷりは異常
    嫁ヶ原さん半分空気
  61. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/09/01(火) 17:22: :edit
    崖のツンデレの漫画版が
    yahoo!で検索したらでた
  62. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/09/01(火) 17:22: :edit
    ※58
    (キイイイイイ結構会話文が西尾に似ていて許せない認められない!!)
  63. 名前: ななしのmini #-: 2009/09/01(火) 17:53: :edit
    うまいよ。原作ファンでも楽しく読める。
    偽物下より好きだ
  64. 名前: ななしのmini #-: 2009/09/01(火) 17:55: :edit
    つか原作がすでにキャラ崩壊だから全く問題ない
  65. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/09/01(火) 17:58: :edit
    駿河一番可愛い
  66. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/09/01(火) 18:01: :edit
    西尾本人だろwwwww
  67. 名前: 名無し #-: 2009/09/01(火) 18:54: :edit
    最後まで止まらずに読めたわ
    しかし長いなw
  68. 名前: VIPPERな名無しさん #-: 2009/09/01(火) 18:54: :edit
    色々細かい部分が残念ではあったが、

    原作の雰囲気も出てるし、大作だったな♪
    良かったよ。
  69. 名前: VIPPERな名無しさん #-: 2009/09/01(火) 20:39: :edit
    米41
    でもパンツマンの作者には帰ってきて欲しいよな
  70. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/09/01(火) 20:53: :edit
    神原のエロトークだけあれば満足の俺がいる
  71. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/09/02(水) 02:45: :edit
    猿出す必要なかっただろこれ
  72. 名前: 通常のナナシ #RVo/8X32: 2009/09/02(水) 03:18: :edit
    なんかというか、色々と端的だなコレ。
    大雑把には雰囲気出せてるけど、微に入り細を穿ってはいないというか。

    個人的にゃ、ガハラさんの暴走が短絡的すぎるのと
    ガサラキさんのツッコミが陳腐というか、普通すぎるのが難点だった。
    前者はシチュエーションというか展開重視でそうしたのかもしれないけど
    いくらなんでもイメージダウンだなぁ。
  73. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/09/02(水) 08:30: :edit
    とりあえず駿河がいる時点でマウンテンバイクは壊れてるわけだがw
    でも、結構面白かった!ただ、ガハラさんと阿良々木の会話のレパートリーが少ない気がする…
  74. 名前: VIPPERな名無しさん #-: 2009/09/02(水) 14:05: :edit
    まぁ諸所「あれ?」って思う所はあるけどおおむね面白かった。
    おっと、おおむねと言っても羽川の(ry

    だがガハラさんの言い回しと被せが陳腐過ぎるのとか千石が露骨過ぎるのはなんかなぁ、と思わなくもない。

    とりあえず作者&ぷん太乙。
    もっと増えねーかな。西尾SS。
    酷過ぎるキャラ崩壊は嫌だが。
  75. 名前: iiiiiii #-: 2009/09/03(木) 10:06: :edit
    Tさんって、うしおととらの僧侶じゃないのか?
  76. 名前: VIPPERな名無しさん #-: 2009/09/03(木) 17:14: :edit
    化のSSはかなり難しいと思うのによくやった。
    ガハラのキャラが特にむずいだろうが、これからも頼む。
  77. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/09/19(土) 21:24: :edit
    最近イヒを観始めたのでスゴくタイムリーで面白かった!
    この調子でイヒSSがプエルト良いな~
  78. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/05(月) 17:09: :edit
    八九寺「あ、スメラ木さん!」
    阿良々木「違う。それは僕の上司の名前だ」
    八九寺「ん?」
    阿良々木「ん?」
    ティエリア「ん?」

    みたいなのを想像したら全然違った
    面白かった。乙!
  79. 名前:   #-: 2009/10/08(木) 21:22: :edit
    放置プレイのなでこちゃんのその後を思うと下腹部が熱くなるな
  80. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/11(日) 17:47: :edit
    誰か少しは妹達の安否を心配してやれよ
  81. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/11/01(日) 03:44: :edit
    ※80
    月火ちゃんは元がアレだし、火憐ちゃんも歯磨きでもしたら治るんじゃないかなぁ、きっとそうだよ。
  82. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/11/03(火) 16:03: :edit
    なんだ、普通に上手いじゃないか。
  83. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/12/07(月) 14:18: :edit
    揉みしごくってなんだよ
    揉みしだくだろうが
  84. 名前: 通常のナナシ #-: 2010/04/10(土) 12:28: :edit
    ガンダムネタじゃないのかよ
  85. 名前: 通常のナナシ #-: 2011/02/18(金) 04:04: :edit
    このTさんは確実にCV杉田智和だな
  86. 名前: 通常のナナシ #-: 2012/10/21(日) 00:19: :edit
    凄いな。
    SSで初めて本人降臨したと感じてしまった。
    真意なんて勿論解らんが、過去の偉作に乙。
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c o m m e n t
p a s s
 
俺の妹がこんなに可愛いわけがない 黒猫 白猫Ver.
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