佐々木「・・・。ペラッ」長門「・・・。ペラッ」キョン「・・・。」その1

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2009/07/13(月)
3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/24(水) 20:27:31.47 ID:7slR7lpa0
それは秋もいよいよ深まりを見せ始めた11月のある日の事だった。

パタン。

長門が本を閉じる。それが何を意味するのか分からないメンバーは最早いない。
その証拠に朝比奈さんはお茶道具をいそいそと片付け始め、
俺の対面に座る古泉はボードゲームをしまう。もちろん今日も俺の勝利に終わったのだが・・・。

そんないつも通り過ぎる放課後。
しかしハルヒの放った一言はいつもとは180度違うものだった。




4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/24(水) 20:28:12.33 ID:7slR7lpa0
「そういえば、今週末の不思議探索はないから」

朝比奈さんがきょとんとした顔でハルヒの方に振り向く。
俺もしかり。長門はちらりと我らの団長様を見ている。

「ほう、何かご用事でもおありですか?」
「そうなのよ。両親とちょっと出かけなくちゃいけないのよね」

それは、また珍しいな。




5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/24(水) 20:28:55.41 ID:7slR7lpa0
「まあね。あ、ちなみに金曜の学校が終わったら団活出ないで帰るから、古泉くん、鍵閉めよろしくね」
「かしこまりました。その任務、謹んでお受けします」

古泉よ、お前はいつもなんでそう大仰に物事を言うのかね。

「おっと、僕らがいては朝比奈さんが着替えられませんね」
「そうだな。さっさと退室するか」

すいません、と頭を下げ、申し訳なさそうに言う朝比奈さんに
いえいえと手を振りながら部室を後にし、廊下で待機する。




6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/24(水) 20:30:23.95 ID:7slR7lpa0
「古泉」
「なんでしょう?」
「さっきのハルヒの用事とやらは――」

ええ、といつもの営業スマイルを振りまきながら

「特に問題はなさそうです。閉鎖空間が出るような事はないでしょう」

さらっと言ってのける。涼宮家のプライバシーもプライベートもあったもんじゃないな。
その辺は軽く同情しないでもない。

などと話していると部室から女性陣のお出ましだ。

「さっ、帰るわよ」




7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/24(水) 20:31:04.87 ID:7slR7lpa0
そして金曜夜。

さて、明日はなにをするか・・・。
というか週末に何も予定がないって久しぶりじゃないのか?
うーむ。せっかくだし最も贅沢な時間の使い方をしようか。
そう、寝て過ごす。これに限る。




8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/24(水) 20:31:46.66 ID:7slR7lpa0
しかしそんな俺の願いを文字通り容易く蹴破ったのは妹だ。

「キョンくーーん! 朝だよ! 起きてー!」

ああ、うるさい。今日は起きる必要がないんだ。ほっといてくれ。

「おかーさんが、朝ごはん食べちゃいなさいって言ってるよー?かたづけるからーって」

それはちと困る。仕方ないな。
ところでお前は今日、何も予定がないのか?

「んーん、今日はミヨキチとミヨキチのおかーさんと一緒にお出かけだよー」
「そうか、気をつけて行ってこい。あちらのお母さんを困らせるんじゃないぞ」
「はぁい」




9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/24(水) 20:32:32.50 ID:7slR7lpa0
つまりこれで俺の惰眠を妨げるものは何1つないという事か。
などと考えながら味噌汁をすする。はぁ。日本人の朝はこれに限るな。

「じゃあいってきまぁす!」
「おう、いってらっしゃい」

さて、うるさいのがいなくなったところで部屋に戻るかね。

窓の向こうに気持ちいいくらいの青空が広がっている。秋晴れってやつだ。
つい誘われてカラカラと窓を開けてみる。

さぁっ。

おお、風がなんとも心地よいじゃないか。
そして部屋に入る日差しの暖かさ。
布団はまだ俺のぬくもりを保っていた。うむ、大儀であった。

あー、最高だ。こりゃ素晴らしい2度寝が期待できそうだ。

目を閉じると俺の意識はあっという間に深い闇の底に落ち熔けていった。




10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/24(水) 20:33:54.26 ID:7slR7lpa0
さぁっ。

布団の中より少し冷たい風が頬をくすぐる。
俺としてはこれ以上の組み合わせはないのだ。
雪が降りしきる中で入る露天風呂のようなもの、と言えばご理解頂けるだろうか。
単に暖かい部屋で温かい布団の中にいるのは、サウナの中で煎茶を飲むようなものさ。

と、なんの脈絡もなく思考が働くこと自体、意識の浮上を意味する。
風のせいだろうか、と深く考える間もなく、あー寝よ寝よ、などと意識をまた落とそうとした時であった。

ペラッ




11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/24(水) 20:34:41.88 ID:7slR7lpa0
・・・ん? なんだ、今の紙がめくれるような音は?
カレンダーか?それとも机の上の教科書が風に吹かれてページをめくっているのか?

ペラッ

何かおかしい。それに人の気配がするような気がしなくもない。

「――ん、ん?」
「おや、ようやくお目覚めかい、キョン」

くつくつと喉を鳴らして笑う声。って、おい!

「佐々木――それに、長門まで!? な、なにしてんだ!」
「ご挨拶だね、キョン。見て分からないかな、読書だよ」
「確かにそれは見れば分かるな。愚問だった。質問を変えよう、2人ともどうしたんだ?」
「君はつれないな。女の子2人が部屋にいるのにそんな事を聞くのかい?」
「ええい、はぐらかすな」

また佐々木は、くつくつと笑う。寝ぼけていた頭が一気に覚醒した。




12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/24(水) 20:35:26.01 ID:7slR7lpa0
「僕は長門さんに誘われて来ただけだよ。ねえ、長門さん?」
「そう」

長門が?一体なんでまた――。

「今日は団活がない。貴方は家にいると確信していた」

いや、俺が聞いているのはそういう事じゃないんだ、長門よ。

「?」

そこで首を傾げられても困る。
この超高性能ヒューマノイドインターフェイスは時々ニュアンスを汲み取ってくれないのが難点だ。

「邪魔だった?」

だから、違う。そういう事じゃないんだ。

「ではなぜ?」




13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/24(水) 20:36:16.23 ID:7slR7lpa0
ああもう、なんて説明したら良いんだと言葉を選んでいたが、
そこでとうとう佐々木が我慢しきれなかったように吹き出して笑った。

「佐々木、お前この状況を楽しんでやしないか?」
「うむ、その通りだ。よくわかったね、キョン」

わからいでか。

「僕から経緯を説明しようか?」
「是非そう願いたいね」




14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/24(水) 20:37:00.04 ID:7slR7lpa0
佐々木の説明はこのようなものだった。

昨夜、長門からメールにて明日――つまり今日だ――の団活がない事を知らされた。
メールの中で長門は、高確率で俺が自宅にいるであろう事が予想される旨を通告。
佐々木は速やかに我が家の急襲作戦を立案。二の句もなく長門もそれに同意。
そして今朝、長門は俺が自宅にいる事を感知。
連絡を受けた佐々木はただちに作戦の実行にうつった。という次第らしい。

「で、それは分かったが、なぜ俺の家を急襲しようなどと思ったんだ?」
「ちょっと驚かせてみようかと思ったのさ。それとも、本当に邪魔だったかな?」
「ったく、意地の悪いヤツだ。そんな訳はなかろう。単に不思議に思っただけさ」
「くっくっ、それを聞く君こそ意地が悪いと僕は言うね」

ん、そういえば母親がいなかったか?

「ああ、いたとも。この部屋まで通してくれたのは他ならぬ君の母君だからね。」




15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/24(水) 20:37:41.17 ID:7slR7lpa0
そりゃそうだ。いくらなんでもこの2人が知った仲とはいえ他人の家に忍び込むような真似を
するとは考えられない。そんな常識も良識も欠如してるのはどこぞの団長様くらいだ。

「しかし、悪いが何も俺はもてなしができんぞ?」
「良いんだよ。そのためにこうして2人とも本を持ってきたんだ」

確かに2人の手には凶器にできそうなハードカバーの分厚い書籍がのっている。
あんなに重そうなのに小さな手でよくも持てるものだ。

「じゃあ、何か? 本当に読書をするためだけに、わざわざウチに来たってのか?」
「ああ、そうだよ」
「そう」
「じゃあつまり俺は―――」

特に何もすることがないのか。

「ってなんじゃそりゃ!」
「くっくっ、君も何か本を読んでみてはどうだい?読書の秋と言うじゃないか」
「ふむ」




16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/24(水) 20:38:47.46 ID:7slR7lpa0
それも悪くはない。

「っと、来客なのに俺がパジャマのままというのはどうにも落ち着かんな」
「そうかい? 僕は初めて見るからなかなか新鮮だよ」

いや、そういう訳にはいかんだろう。

「・・・で、着替えようと思うんだが」
「うん、どうぞ」
「そう」
「待て待て。花も恥らうとは言わないがさすがにそれはなかろう」
「それは君が恥じるという事かい?それとも僕たちの事を考慮しての発言かい?」

両方に決まっている。




19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/24(水) 20:39:32.32 ID:7slR7lpa0
「長門さん、彼はこう言っているが構うかな?」
「構わない」

即答ですか。いや、だから俺が気にすると言うに。

「見られて恥ずかしいような体つきには見えないが?」
「同感」

だからそういう問題じゃないだろう。
さっきから朧気ながら分かりかけていたのだが

この2人、相手にまわすとかなり手強い。ハルヒとはまた違う意味でだ。
三国志で言うならハルヒが呂布、この2人は諸葛亮孔明と司馬懿と言って良いだろう。
それに比べて俺の凡庸なことと言ったら・・・。




20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/24(水) 20:40:48.50 ID:7slR7lpa0
「で、着替えないのかい?」
「早くするべき」

どうしても部屋から出て行かないってんなら俺にも考えがあるぞ。佐々木、長門。

「おや? 怒らせてしまった、か・・・」
「覚えてろよおおぉぉぉ」
「な・・・え?」

言うやいなや俺は着替えを片手に部屋から脱兎の如く飛び出した。
ああ畜生。なんで部屋の主が着替えをするのに部屋から出ねばならんのだ。
半ば乱暴に、半ば捨て鉢にドアを閉める。

部屋の中から佐々木の笑い声が聞こえてきたような気がするがここは徹底無視だ。
俺は足早に1階の風呂場の洗面所兼更衣室へと駆け込み、服に着替えた。




23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/24(水) 20:41:33.76 ID:7slR7lpa0
「ふう」

着替えを済ませてトイレから出ると、ふと気づく。母親が、いない?
かわりにテーブルの上の置き手紙と壱万円札が目に入った。

『キョンへ 二股はダメよ 夜まで出かけます ご飯はこれで 母より』

・・・母上、あなたは何か著しく勘違いをしておられるようです・・・。
しかしまあ、この厚意はありがたく頂戴しておこう。感謝感謝。

さて、さすがに何も出さない訳にはいくまい。
冷蔵庫を開けるといかにも無難にりんごジュースがあった。
特にお菓子は見当たらないが、まあ仕方ない。
予告しておいてくれればポテトチップスなりなんなり準備しておくものを。

ジュースを3人分、コップに注いで盆に載せ、自分の部屋へと戻る。




24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/24(水) 20:42:38.37 ID:7slR7lpa0
「ただいま―――」

「―――って、何してんだ!」
「やあおかえり、キョン」
「おかえり」

俺のベッドの上に長門と佐々木がいる。
長門はちょこんとベッドの端に座っているのだが、問題は佐々木だ。

「・・・俺が言うのもなんだが、汗臭いだろうし、あまり清潔でもないぞ?」
「くっくっ・・・いや、なかなかどうして、悪くない寝心地だよ。」

完全にリラックスしている。俺のベッドの上でうつ伏せになって肘を立てて本を読んでいる。
それもスカートで、だ。佐々木はこちらを向いているからその中身が見える事は万が一にもないと思うが
にしたっていささか無防備すぎやしないか?




25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/24(水) 20:43:19.50 ID:7slR7lpa0
「ベッドの上にはジュースは置けないから、俺の机の上に置いてお・・・おい、ちょっとまて!」
「ん?どうかしたかい?」
「なに」

俺のマル秘印の書籍がなぜここに!ベッドの下などという定番過ぎる場所には隠していない。
母親にも妹にも見られたらマズイからだ。しかしそれが今ココにある。

「一応、聞くぞ」
「なんだい?」
「なに」

佐々木は案の定ニヤニヤしてやがる。長門は・・・心なしか楽しそうだ。




26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/24(水) 20:44:08.90 ID:7slR7lpa0
「これはどうやって掘り出した」
「貴方の部屋の情報分析はすでに完了している。造作もないこと」
「だそうだよ、キョン。くっくっ」

あーなんか頭痛くなってきたぞ。

「読書の秋だからと言ってそのような本をここで読むような真似はしないだろうね?」

くつくつと笑いながら、そして実に楽しそうに訊ねてくる。
する訳あるか。誰が好き好んでこの状況でそんな真似を・・・。

しかし長門にはこの部屋の全てを把握されてしまったのか。
今ならハルヒの置かれた状況を心底可哀想だと思えるね。




27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/24(水) 20:44:54.47 ID:7slR7lpa0
「とは言え、何を読もうかな。家にある本は大方読みつくしてしまったからな」
「ほう、そうなのかい?」
「ああ。もともと俺はインドア派だ」
「―――なら」

と長門はベッドから降りると自分のカバンに手をかけた。

「これを読んでみて」

そう言って手渡されたのはやはりこちらも鈍器として通用しそうなハードカバーの本だった。
タイトルから察するにSFファンタジー系のようだ。

「おう、ありがとな。ありがたく読ませてもらうよ」

長門は小さく頷くとまたベッドにちょこんと座る。
さて、とここで困ったのが俺の座るべき位置だ。




30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/24(水) 20:47:00.90 ID:7slR7lpa0
前述のようにベッドは長門と佐々木に占領されている。
となると勉強机の椅子が無難ではあるか・・・。

「キョン、そんなところでどうしたんだい?」
「いや、どこに座ったものかと決めかねていてな。」
「ああそうか・・・ベッドは僕たちが占領してしまっているからね」
「そういうことだ」

まあ床でも構わないか。背もたれがないのは少々厳しいが、この際贅沢は言ってられんだろう。




31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/24(水) 20:47:42.83 ID:7slR7lpa0
「キョン」
「ん?」
「はい、どうぞ。」
「え?」

そう言って佐々木はその細い身体をベッドの奥へとずらした。

「佐々木、すまん。どういうことだ?」
「確かに僕はベッドの上にいるが、君のベッドの全ての面積を覆うほどではない。
 これなら君も横になって読書にいそしむ事ができるだろう?」




32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/24(水) 20:48:54.43 ID:7slR7lpa0
確かにそれはそうかもしれんが・・・。
と、長門がこちらを向く。

「どうした、長門?」
「どうぞ」

そういってベッドをぽふぽふと叩いている。え?催促されてる?

「長門さんもこう言っているんだ。女性に恥をかかせるのはあまり感心しないな」

その日本語の使い方は少し間違ってやしないか? などという疑問があるが
どうやら断れる雰囲気ではなさそうだ。




33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/24(水) 20:50:02.94 ID:7slR7lpa0
「じゃあすまないな、失礼するぞ」
「くっくっ、元々ここは君のベッドなのだがね」
「今の主人は佐々木と長門さ」

ギシッと音をたててベッドに乗る。

「いらっしゃい」
「なんだそれは」
「さあね、なんだろう」

そう言うと佐々木は視線を本に戻す。
他人、しかも異性と同じ布団の上にいるのは当たり前ではあるが経験がない。

だからしてここで変にあたふたしたり、挙動不審な真似を取ってみろ。
長門からすぐにSOS団の面々に言いふらされてしまうやもしれん。
最近は口数も増えてきたからな・・・。いや、それは良い傾向なのだが。

少なくとも表面上は冷静を装い、長門に渡された本を読み始める事にした。




34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/24(水) 20:51:05.33 ID:7slR7lpa0
暖かい日差し、爽やかな風、そして居心地の良いこの部屋。
そう、俺はこの部屋にこの上ない居心地の良さを感じていたのだ。

もちろん自分の部屋なのだから、最もリラックスできて当たり前ではある。

しかし、こうして客人が2人、それも同年代の異性がいるという状況で
こんなにリラックスできるものだろうか?その事に俺は少々驚いていた。

この2人だから、なのだろうか?ハルヒと朝比奈さんだったら?
考えてもわからないから考えないけどな。

そうしてどのくらい時間がたっていたのか。

ぐう。

静寂に急ブレーキをかけたのは他ならぬ俺の腹の虫だ。




35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/24(水) 20:51:47.08 ID:7slR7lpa0
「くっ・・・くっくっくっ」
「あー・・・」

いかにも罰が悪い。ふと時計に目をやるともう12時も30分も回っていた。

「もうこんな時間か」
「早いものだね」

読書は休憩にして昼飯でも食べるか。
うちの母親がお金をおいてったから何か頼むか?それとも外食するか?

「いや、それには及ばないよ、キョン。お金があるのは良いことだが、あるもの全て使う事はない」
「ん、じゃあどうする?悪いが俺はあまり料理が得意では―――」
「くっくっ、キョン、僕のカバンを見たまえ。読書するだけにしてはやや大きすぎやしないかな?」

言われてみると確かに大きい。




36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/24(水) 20:52:27.91 ID:7slR7lpa0
「君の先輩である朝比奈さんには遠く及ばないだろうが、準備してきたんだ」

なんと。佐々木はベッドからゆっくり降りてカバンを開けた。
出てきたのはバスケットだ。

「このテーブルの上に広げても構わないかな?」
「ああ、それは問題ないが―――」
「では失礼するよ」

バスケットの中に入っていたのはサンドイッチとから揚げ、それに厚焼きたまごだ。




38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/24(水) 20:53:09.25 ID:7slR7lpa0
「こりゃまたずいぶんなご馳走じゃないか。佐々木が作ってきたのか?」
「ああ、そうだよ。驚いたかい?」
「まあな。お前の手料理なんて初めてだ」
「そういえばそうだったね。君の口に合うと良いんだが」

そう言う佐々木の頬に少し朱が走っていたように見えたのは目の錯覚だったであろうか。
と、長門は興味深そうにじっとバスケットの中身を見ている。

「なんだ長門、腹減ってるのか?」
「おいしそう」
「そうだな、ありがたく頂くことにしようか」




39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/24(水) 20:54:19.90 ID:7slR7lpa0
サンドイッチの具はバリエーション豊かだった。たまご、ポテトサラダ、ハムとトマトとレタスなどなど。
長門は、佐々木に美味しいかなと聞かれると、サンドイッチを咀嚼したままこくりとうなずいた。

「どうだい?」
「ああ、うまいな。このから揚げは・・・なんか良い香りがする」
「分かるかい? 鶏肉の下味をつける時に柚子胡椒を入れてみたんだ」
「柚子か、なるほど。爽やかな香りがしてなかなか良いもんだな」
「何よりだよ」

などと昼食に舌鼓をうっていると瞬く間にバスケットの中身が減っていく。




40 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/24(水) 20:55:01.46 ID:7slR7lpa0
「―――長門よ」
「はひ」
「・・・飲み込め」

こくんと口の中に詰め込んだサンドイッチを胃へと押しやると長門が

「なに」

と真面目な声と顔で言い返してきた事につい吹き出してしまう。佐々木も同様だ。




41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/24(水) 20:55:47.02 ID:7slR7lpa0
「あまり食べ過ぎるなよ? 俺だって食べたいんだ」
「そう」

しかし長門は止まらない。もぐもぐと頬張り続ける。そして厚焼き玉子を飲み込んで一言。

「早い者勝ち」

そう言って次はから揚げに手をのばす。
よろしい。ならば戦争だ。




43 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/24(水) 20:56:42.16 ID:7slR7lpa0
俺は長門に負けじとサンドイッチとから揚げを取り、あまり噛む事もないまま
りんごジュースで流し込む。

「くっくっ、まるで子どもだね、2人とも」

ため息混じりの声だったが、その視線はどこか柔らかく、温かく思わずその笑顔に見ほれてしまった。

「隙あり」
「ぬあっ! 最後の玉子焼き!」

長門の表情が――目が、口元が――なにか楽しそうに見えたのはきっと間違いではあるまい。
それに免じてその玉子焼きは、まぁ、ゆるしてやるとするか。




45 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/24(水) 20:57:41.99 ID:7slR7lpa0
ランチタイムはかくして和やかに終わり、各自位置に戻って読書を再開、するかと思ったのだが
なぜかベッドの横には長門がつっ立ってこちらを見ていた。

「どうしたんだ、長門?」

しかし長門は沈黙を守ったままだ。別に俺や佐々木のどちらかを注視している訳ではない。
単純にこちらを見ているようだ。なんだと言うのだろう。

「長門さん、もしかして、一緒に横になりたいのかい?」

耳は佐々木の言葉を疑ったが、目は長門の頷きを疑った。




46 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/24(水) 20:58:26.77 ID:7slR7lpa0
「佐々木、何を言ってるんだ」
「いや、なんとなくそうなのではないかと思っただけだったんだが、僕の勘も捨てたものではないようだね」

それはおいといて、だ。

「長門、横になりたいのか?」
「そう」
「そう、か・・・。」

読書中の長門といえば、椅子に姿勢良く座り、
ページをめくる手以外は不動で何時間も、という姿しか思いつかない。
その長門が寝っ転がって読書・・・だと・・・?




47 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/24(水) 20:59:09.57 ID:7slR7lpa0
うーむ、しかしこのシングルベッドに佐々木と俺だけでも相当つらいんだが・・・。

「よし、そういう事なら仕方ないな」

ここはやはりレディーファースト、俺がベッドから退くべきだろう。
ギシッと音をたててベッドから降りる。

すると長門はベッドに横になろうとはせず、俺の方へ視線を向けてきた。
佐々木も今ひとつその真意を汲み取れていないようだ。




50 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/24(水) 20:59:54.16 ID:7slR7lpa0
「長門、俺は良いからベッド使ってくれ。あまり良いものではないがな」
「そうではない」
「ん? どういうことだ?」
「―――3人一緒」

この一言には長門と時間を共有して1年半以上経った俺ですら度肝を抜かれたのだ。
いわんや佐々木をや、だ。まるでこの部屋はいつぞやのTHE 七夕時間旅行よろしく
『空間ごと時間凍結』したかのような空気になった。




53 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/24(水) 21:00:35.36 ID:7slR7lpa0
どれくらいの時間が流れたのか、状況を理解した俺はひとまず考えた。

「長門、お前の言いたい事は分かった。だが現実問題としてこのベッドを見てくれ、これをどう思う」
「―――小さい。3人で横になるには不十分な面積」

それが分かっているなら話が早い。いやそんな事は長門も分かっていたはずだ。

「でも、したい」




54 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/24(水) 21:01:16.57 ID:7slR7lpa0
あの長門がこうまで何かやりたいと言った事がかつてあったか?いや、ないね。
それなら何とかしてやりたいと思うだろう?

ただでさえ長門には日ごろから助けられているし、大変な恩義があるのだ。
その長門の、ハルヒの泣き顔よりも珍しい、ワガママなんだ。

「よし、長門。ちょっと待ってろ」

俺は部屋を飛び出し掃除機を引っつかみ、返す刀で部屋に戻る。




56 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/24(水) 21:01:58.12 ID:7slR7lpa0
「佐々木、ちょっとベッドから降りてくれるか」
「あ、ああ、うん。」
「悪いな。よっ、こい、せっ、と」

ベッドの片側を持ち上げて壁に立てかける。

「あー予想通りきったねえなあ」

掃除機のコンセントを電源に差しスイッチオン。
長門は微動だにしない。佐々木は俺の考えが読めたのかニヤニヤしている。




57 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/24(水) 21:02:40.52 ID:7slR7lpa0
長年ベッドの下に溜まっていたホコリやらなんやらをあらかた綺麗にする。
このままカーペットの上に雑魚寝という訳にもいかんからな。
俺の敷布団と、来客時に使う敷布団を持ってきて床に広げる。

「これで3人で横になれるだろ。急ごしらえではあるが、長門、これで良いか?」

長門はうんともすんとも言わない。ただ少し頷いて、俯いたまま

「ありがとう」

そう言った。

「ふっ、気にするな。俺がやりたかったから、こうしただけさ」

こうして午後の読書タイムが始まった。ちなみに並びは右に長門、左に佐々木。
なんというか、コレ、端から見たらかなりおかしな光景なんではなかろうか。




58 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/24(水) 21:03:40.32 ID:7slR7lpa0
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気がつくと横から寝息が聞こえた。視線を本から移すと横にはキョンの寝顔があった。
長門さんも彼を見ると、こちらを向いた。『どうする?』とでも言いたそうな視線だ。

「ふふ、私たちみたいな女の子を両隣に置いといて寝ちゃうなんて、キョンらしいね、長門さん」
「そう」

私は彼を起こさないようにゆっくりと身体を起こし、隅に寄せられていたタオルケットを手に取った。

「おやすみ、キョン」

彼にタオルケットをかけ、また横になる。するとどうしたことか。自分まで眠気がしてきた。
あまり普段は昼寝なんてしないんだけどな。そんな私ですら眠気を感じるんだ。
きっとこの部屋は何か特別な空気で満ち満ちているのかもしれない。




60 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/24(水) 21:04:24.92 ID:7slR7lpa0
「私も、寝ようかな」
「そう」
「長門さんは?寝ないの?」

一瞬の間。

「寝る」
「そうこなくっちゃ」

本を置き、布団に顔をうずめる。キョンの匂いがする。
程なくして長門さんからも小さい寝息が聞こえてきた。さすがに無駄な時間がない。
そういうところはちょっと羨ましいかな。
おやすみ、キョン。心の中でもう一度そうつぶやいて目を閉じた。
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63 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/24(水) 21:05:08.34 ID:7slR7lpa0
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パチ

彼女と共に睡眠を開始してから1時間30分が経過した。
いまだ彼も彼女もまだ目を覚ましそうにない。

本来私は必要以上の睡眠を必要としていない。
しかし先ほど彼女からの問いかけに反応する際、タイムラグが生じた。

原因はすでに解明済み。
対有機生命体コンタクト用ヒューマノイド・インターフェースとしての回答はNO。
しかし、個である『長門有希』という存在はYESと判断し、私は後者を選択した。

私の横で彼と彼女が寝ている。自分もそれに加わってみたかった。
そしてその考えは、きっと、正しかった。
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64 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/24(水) 21:06:04.38 ID:7slR7lpa0

「んん・・・あれ?いつの間にか寝ちまってたのか・・・?」
「おはよう」
「おお、長門、おはよう。って佐々木も寝てるのか。随分気持ち良さそうだな」
「貴方も」
「ん?」
「気持ち良さそうに寝ていた」

なんだかそういう事を指摘されると妙に恥ずかしい。

それもそうだ。本来なら寝姿や寝顔など家族である身内か
はたまた修学旅行で同室になったクラスメイトくらいにしか見せるものではないものだからな。




65 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/24(水) 21:06:45.20 ID:7slR7lpa0
「ん、おやキョン、起きていたのかい?」
「ああ、ついさっきな。おはよう、佐々木」
「おはよう。くくっ」
「どうした?」
「いや、目を覚ました時に誰かいるというのは思っていたものとはだいぶ違うと認識を改めたのさ」

などとよく分からないことをのたまう佐々木は長門にも目覚めの挨拶をした。
―――と、やけに外が暗い。




66 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/24(水) 21:07:30.74 ID:7slR7lpa0
「って、もう18時じゃないか!」
「おやおや、もうそんな時間なのかい?」
「つー事はなにか?俺たちは午後をほとんど寝て過ごしたって事か?」
「正確には貴方達2人だけ。私は1時間半で覚醒し、読書を続けていた」

うーん、それなら途中で起こしてくれても良かったんだぞ?

「・・・気持ち良さそうだった」

それを言われると何も言い返せない。横ではくつくつと佐々木が笑っている。




68 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/24(水) 21:08:17.58 ID:7slR7lpa0
「さて、さすがに夕食の準備はしていないし、ご母堂も帰ってこられるだろう。そろそろ帰ろうか」
「この際、ウチで食べていっても良いんだぞ?」
「いや、そこまで甘える訳にはいかないよ、キョン」

妙なところで遠慮をするやつである。

ちなみにまだ母親も妹も帰ってきてはいない。もしかしたら妹は夕飯をご馳走になってくるかもな。
佐々木と違って、あれは全くもって遠慮というものを知らない。




70 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/24(水) 21:08:58.83 ID:7slR7lpa0
「送っていこうか?」
「いや、玄関までで大丈夫さ。暗くなったとは言え2人だし、時間もまだ早い。それに―――」
「ん?」
「長門さんと一緒なら大丈夫さ」

それもそうだ。佐々木と長門の信頼関係に心の中で軽く感嘆しつつ階段を降りる。




71 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/24(水) 21:09:40.72 ID:7slR7lpa0
「そういえばキョン」
「なんだ?」
「ウチはもうそろそろ期末試験なのだが、君たちの北高はどうなんだい?」

「あーそういえばそんなものもあった気がするようなしないような・・・。」
「来月、12月の第1週の木曜からスタート」
「・・・この調子では全く準備していなさそうだね?」

ご明察。さすが佐々木だな。付き合いが長いだけの事はある。




72 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/24(水) 21:10:22.30 ID:7slR7lpa0
「キョン、そろそろ卒業後の事を真剣に考えたまえ。ご母堂が心配する」
「自慢ではないが、テストの成績はだいぶ良くないからな。
 さぞかし頭を痛めているだろうよ。申し訳ない限りさ」
「そう思うならもう少しだね―――」
「勉強会」

長門が意外な発言をする。勉強会?




73 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/24(水) 21:11:03.38 ID:7slR7lpa0
「そう。明日もSOS団の活動はない。有意義に使うべき」
「それは名案だね。僕も一枚乗る事にしよう」
「では明日の朝9時に集合」
「ということだ。ちゃんと起きて、明日は顔くらい洗って出迎えてくれたまえ」

なんてこった。しかし長門は言うに及ばず、佐々木も成績優秀だ。
確かに俺のあまりに心許ない学力をこのままにしておくのも不憫だしな。
せっかくだしご厚意に甘えよう。




74 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/24(水) 21:11:44.13 ID:7slR7lpa0
「ああ。じゃあ今夜はしっかり寝ることにする」
「あんなに寝たのに、かい?」
「佐々木もな」

くつくつと喉をならして笑う。長門は靴を履き終わり佐々木を待っている。




75 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/24(水) 21:12:32.99 ID:7slR7lpa0
「それじゃあキョン、また明日」
「また明日」
「ああ、また明日な」

勉強会、か。あまり良いイメージはないが、あの2人となら楽しく勉強できるかもしれん。
などとお気楽に俺は考えていた。なぜなら―――

―――今日の昼寝は今まで最高に気持ちが良かったのだからな。

~fin~




76 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/24(水) 21:13:09.13 ID:rj1+7gC9O
まだ続きありそうだな




80 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/24(水) 21:15:24.36 ID:3IeqvAfK0
終わりか
なんというかほのぼのでもなく・・・いい雰囲気のSSだった乙
また書いてくれ




125 : ◆7MiYo0fRys :2009/06/25(木) 00:31:46.94 ID:FnUBxb/+0
翌日。今日の天気は曇り、か。
昨日のような秋晴れには恵まれなかったのが些か残念ではあるが・・・。

しかし過ごしやすい気温ではあるし、湿度も高くなく、すっきりとした朝だ。

この俺が真面目に勉強すると聞いて神様が良い環境づくりをしてくれたのだろうか。

あ、神様ってハルヒだっけ。まぁいいか。

「あれー? キョンくんめずらしー。もう起きてたの?」
「ああ。今日も佐々木と長門が来るんだ」
「えー! ゆきちゃんとささにゃん? どうしたのー?」
「勉強だよ、勉強。もうすぐテストがあるからそのためだ」

妹は遊びたいーと駄々をこね始めたが、まぁこれは予想の範疇内だ。




126 : ◆7MiYo0fRys :2009/06/25(木) 00:32:30.81 ID:FnUBxb/+0
「ほれ、腰にしがみつくと歩きにくい。朝飯食べに行くぞ」
「はぁーい。今日は何してあそぼっかなー?」

コイツはまだどうにも良く分かってないらしい。
将来が多少不安だ。大丈夫なのだろうか、こんなので。
ああ、せめてミヨキチなみの深慮があればと切に祈るね。




127 : ◆7MiYo0fRys :2009/06/25(木) 00:33:17.65 ID:FnUBxb/+0
「おかーさーん、今日ねー ゆきちゃんとささにゃんが来るんだってー!」
「あらまあ、2日連続で? どうしたの?」
「昨日は単に読書会だったんだけどさ、今日は期末試験が近いからって勉強見てくれるんだ」
「ホント!? たすかるわ~。佐々木さんは進学校行ってるのよね?」

ああ。学校の外で勉強のために勉強しているとか言ってたしなあ。

「それに長門さんも頭良いのよねえ。そんな良くしてもらっちゃってなんだか悪いわ~」
「そこで相談なんだけど―――」




128 : ◆7MiYo0fRys :2009/06/25(木) 00:33:58.28 ID:FnUBxb/+0
ピンポーン

「はーいよっと」
「やあキョン、おはよう」
「ああ、おはよう」

ちょうど9時きっかり。外でちょっと待って時間調節でもしていたのだろうか。
まあそんな事を詮索するのは無粋だよな。

「長門も、おはようさん」

コクリと小さくうなずいて

「おはよう」

と短く挨拶。最近ではこういう挨拶を口頭で返してくれるようになった。
小さい事かもしれないが、俺にとっては1つの、確かな長門の成長だと感じる。




130 : ◆7MiYo0fRys :2009/06/25(木) 00:34:44.00 ID:FnUBxb/+0
「お邪魔します」
「あら、佐々木さんに長門さん、今日はうちのバカ息子が勉強を見て頂けるとか」
「ええ、出過ぎた真似かとも思ったのですが」
「とんでもない。放っておくと全然勉強しない子で・・・」

その辺にしてくれ。同級生に勉強のことで泣きつく親というのはかなり切ないものがある。

「わーい、ささにゃんとゆきちゃんだー!」
「おはよう。今日も可愛らしいね」
「ありがとー♪」




131 : ◆7MiYo0fRys :2009/06/25(木) 00:35:25.71 ID:FnUBxb/+0
じゃあ、母さん、あとはよろしく。

「ええ。しっかり勉強するのよ。佐々木さんと長門さんに失礼のないようにね」

あなたの息子はそこまで信頼できませんか、母上。

「じゃあいってきまーす」
「おう、気をつけてな」
「いってらっしゃい。お母様もお気をつけて」
「いってらっしゃい」

ふう、一陣の嵐だな、さながら。




132 : ◆7MiYo0fRys :2009/06/25(木) 00:36:07.34 ID:FnUBxb/+0
「ところでキョン、ご母堂と妹さんはどうしたんだい?」
「ああ、今朝だけどな、頼んだんだよ」
「・・・なるほど、確かに必要な措置だったかもしれないね」

つまりこういう事だ。妹が家にいれば、佐々木と長門の2人にじゃれつかない訳がない。
勉強会を行う旨を母親に伝えるとともに、妹がいては確実に勉強の邪魔になり、
忙しい時間をぬって来てくれる2人にも申し訳がないと直訴したのだ。

妹に勉強会を邪魔されるのも気に入らなかったが、もっと嫌だったのは―――

―――嫌だったのは、そう、この『3人きり』を俺は今、大変気に入っているのだ。

母親は一も二もなく、妹を連れて一両日中出かけることを決めてくれた。
我が母親ながらあの決断力には頭が下がるね。

いや、それはつまり母親の俺の学力に対する心配の裏返しに繋がる訳だが・・・。




133 : ◆7MiYo0fRys :2009/06/25(木) 00:36:49.40 ID:FnUBxb/+0
それはさておき勉強会だ。
2人の厚意を仇で返すような真似はすまい。

「さて、さすがに今日一日で全科目をカバーする事は難しい」
「そうだな、さすがにそこまでは頼めん」
「で、だ。君の苦手な科目からやろうと思うんだがどうかな?」

苦手科目、か・・・苦手科目、ね・・・。

「まさかとは思うが、キョン」
「みなまで言うな」
「ふむ・・・」

さすがに佐々木も黙り込んでしまった。だがムリもない。
苦手科目というより『得意科目がない』のだ。




134 : ◆7MiYo0fRys :2009/06/25(木) 00:37:30.92 ID:FnUBxb/+0
佐々木が思案顔になる、が、ふとひらめいた様に

「長門さん、貴方はどう思う?彼の学力について」
「貴方の言う『学力』が、この1年半あまりの彼の高校生活における
 定期試験の結果のみが当てはまると仮定して場合、
 彼の弱点となるのは英語、数学ⅡB、物理、化学が現在の彼の問題として挙げられる」
「なるほど、つまり理数が主に苦手という事だね」
「そう」

・・・いつのまにそんな事を調べられていたのだろう。
いや、長門なら造作もないことか。




135 : ◆7MiYo0fRys :2009/06/25(木) 00:38:11.35 ID:FnUBxb/+0
「でも長門さん。貴方の分析を疑うつもりはないけれど、彼は全部苦手と言っているよ?
 この点についてはどう思う?」
「彼は数多くの書籍を読んできている。現代国語、古文はまず問題がない」

確かにそれは言えている。現国と古文では大体平均点は取れているしな。

「また世界史、日本史についても本から知識を得ている」
「うん、確かにキョンは中学の頃も国語と社会はある程度得意としてたね」
「まあ、そうだな。」
「なるほど、そうなると残るは理数と英語、か。うん、ありがとう、長門さん」

理数は鬼門だ。それこそアホの谷口といつも底辺の争いをしているくらいだからな。




165 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/25(木) 06:48:17.44 ID:FnUBxb/+0
「英語は私に案がある。任せてほしい」
「うん、わかった。お願いね、長門さん」

長門はコクリと小さく頷くと

「問題は、理数」
「そうだね。キョン、この参考書の後ろの方に小テストがあるんだ。ちょっとやってみてくれないかな?」
「ん、わかった」

まずは数学Ⅱからだ。うーむさっぱりわからん。微分?積分?三角関数?なんのこっちゃ。
お、これなら分かるぞ、確かここをこうして・・・。




166 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/25(木) 06:49:12.66 ID:FnUBxb/+0

――20分後――

「「「・・・。」」」

「ぐうの音も出ないよ、キョン」

お恥ずかしい限りだ。

「どうやら君には根本的に公式や定理などが欠落しているようだ。
 この分だと物理や化学も似たような理由からなんだろうね。」

なるほどそうか。俺はそういう類の暗記がからっきしなのか。




167 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/25(木) 06:50:33.60 ID:FnUBxb/+0
「とりあえず詰め込めるだけ詰め込もう。それ以外の選択肢はなさそうだね」

とはいえ、始めなければどうにもならん。
佐々木が使用している参考書と北高の教科書を使い、説明を受けながら
普段はあまり使ってない脳みそに公式やら何やらを叩き込んでいく。

基本的には佐々木が説明役だ。
しかし佐々木が上手く説明できなくなると長門に振る。
すると長門はいつものあの調子でそれについて説明してくれる。

俺にはかえって分かり辛くなったようにしか聞こえないのだが、そこはさすがは佐々木だ。
それにヒントを得たように再度説明し直してくれる。




168 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/25(木) 06:51:28.85 ID:FnUBxb/+0
「ふむ、数学はこんなもので良いかもしれないね」

三角関数、指数関数、対数関数・・・昨日まではまるで俺とは無関係だった単語だが
少なくとも今はしっかり頭の中で理解できている。

「・・・お昼」
「おっと、もうそんな時間か」

時計を見ればもうすぐ13時になろうとしていた。

「長門、腹へったか?」
「へった」

佐々木がぷっと吹き出して笑う。つられて俺も笑ってしまった。




169 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/25(木) 06:52:11.26 ID:FnUBxb/+0
「なに?」
「なんでもねーよ。さ、昼飯食べよう。」

今日は母親が家を出る前に準備しておいたカレーが昼食だ。
いかにも急いで作ったようなメニューだが、
長門の目は心なしか、いや確実にきらきら輝いているように見える。
1.5倍(当社比)ってところか。

「やあ、良い香りだね」
「おいしそう」
「んじゃ頂きますか」
「うん、いただきます」
「いただきます」




171 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/25(木) 06:52:57.17 ID:FnUBxb/+0
俺にしてみれば取り立てていつもと変わらないカレーだ。
しかし2人にとっては違ったらしい。

佐々木はちょっと驚いたような、それでいて何やら納得するような表情だし
長門は目をきらきらさせたまま、また昨日のように猛然とぱくぱく食べている。

「長門、そんなに急がなくてもカレーは逃げやしないぞ」

ごくんと飲み込むと

「でも、他人に食べられたら、減る」
「大丈夫だって。まだ十分残ってるし俺も佐々木もそんな大食いじゃないしな」
「くっくっ、その通りだよ、長門さん」
「・・・そう」




172 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/25(木) 06:53:39.57 ID:FnUBxb/+0
納得したのか長門の食べるペースは少し遅くなったようだ。
それでも十分俺より早いのだが。

「どうだ、佐々木。口にあうか?」
「うん、非常に美味しいよ。君の家ではいつもこのカレーが出てくるのかい?」
「ああ、そうだよ。多少の違いはあるだろうが、だいたいこんなものだと思う」
「そうか。考えてみたら君の家庭の味を知るのはこれが初めてだね」

そう言われてみればそうか。
付き合いは2年以上になるのに我が家で佐々木がご飯を食べる光景を見た事はなかったな。




173 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/25(木) 06:54:20.38 ID:FnUBxb/+0
「くっくっ」
「なんだよ?」
「いや、涼宮さんは、ご母堂のカレーを食べた事はあるのかな?」
「んー・・・俺の知る範囲では、ないと思うが?」
「そうか。くっくっ」

なにが嬉しいのか佐々木は妙にご機嫌だ。

「どうしたんだ?」
「いや―――1歩リードかなと。ね、長門さん」

急に話を振られた長門だが、コクリと頷くとこちらをじっと見つめて言った。

「おかわり」




174 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/25(木) 07:10:10.24 ID:FnUBxb/+0
昼食も終わり午後の部スタートとなった勉強会だが、はっきり言おう

「かなり眠い」
「堂々と言われても困るよ」
「困るといわれても睡魔が遠慮なく俺のまぶたを下にひっぱるんだよ・・・」

働き者で困るね、どうも。




177 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/25(木) 08:10:14.51 ID:FnUBxb/+0
「長門さん」
「わかった」

「えっなにそれこわい」

「痛くしない」
「痛いのか?」

「大丈夫」
「ヤバイのか?」

「えい」
「ガッー!!」




178 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/25(木) 08:10:57.74 ID:FnUBxb/+0
その時、俺に電撃走る・・・!
ってレベルじゃねーぞ、これは・・・。

「・・・気分はどうだい?キョン」
「すこぶる痛い」

しかしおかげで眠気は覚めた、というか飛んで逃げた。

「・・・午後はどうする?」
「うん、午前に覚えた事を忘れないうちにテストをしようと思う。
 一夜漬けだけではテストまで覚えておけないだろう?」
「よしわかった。いっちょやってやるか!」




179 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/25(木) 08:11:39.47 ID:FnUBxb/+0
とにかく数学のみを集中していくつかのテストを反復して消化する。
朝、最初にやった時よりするするとシャーペンが動く。
なるほど、これは楽しいな。できなかった事ができるようになるというのは。

「よっし、できたぞ」
「あ、ああ。お疲れ様。じゃあ答え合わせをしよう」

佐々木が解答をチェックしていく。今回はさっきより手ごたえがあるんだ。




180 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/25(木) 08:12:20.92 ID:FnUBxb/+0
「うん!50点中43点!上出来だろう」
「おっし!」

思わずガッツポーズだ。

「おめでとう」
「佐々木と長門のおかげさ、本当に感謝してるよ。」
「くっくっ、願わくば感謝の言葉は君の期末試験が終わってから聞きたいね」
「ああ、俺もそうできる事を願わずにはいられないね」

心底そう願うね。これで明日になったら頭からすっぽり抜け落ちてた日には
俺は自分を殴ってしまうやもしれんぞ。




181 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/25(木) 08:13:01.58 ID:FnUBxb/+0
「長門さんから見てどう思う?」
「上出来。物理と化学の問題こそあるものの本日のノルマは達成されたと考えるべき」

長門にこれだけ言ってもらえれば及第点なのだろう。ん?『本日の』?

「そういえば、英語に関しては案があると言っていたよね」
「これ」

そう言って長門が差し出したのは1冊のノートだ。

「開けてみて」
「こ、れ、は・・・・・・」
「ん、なんだい・・・こ、これは・・・」




182 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/25(木) 08:13:42.38 ID:FnUBxb/+0
佐々木も驚くほどの内容だ。
ノートにびっしりと書き詰められた英単語やら熟語、例文、和訳などなど。

「まずはそれだけ覚えて」
「これを全部、か」
「そう。来週の日曜、テストする」
「なん・・・だと・・・」

そうは言ってもこれ、かなりの量だぞ?

「貴方の能力に合わせた内容。大丈夫」

どうやら弱音は許されないらしい。たまには俺も頑張ってみるのも良いだろうさ。

「わかった。長門の信頼に応えられるよう最善を尽くすよ」




183 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/25(木) 08:14:24.27 ID:FnUBxb/+0
さて、もう19時か。今日は外で夕飯食べないか?

「そうだね。どこにしようか」
「駅前に新しい店ができていたな。」
「ああ、あそこか。良いね、行ってみよう」

「ところで、今日は俺の勉強をずっと見てもらった訳だが・・・」
「うん、なんだい?」
「いや、2人とも自分の勉強は良かったのか?」
「キョン、1つ教えておこう。」

というと、佐々木は2,3歩スキップするように前へと進み、くるりとこちらを向いた。

「日ごろから備えている人間はこんな長い時間をかけずとも十分なのだよ」

返す言葉が見つからないね。なるほど。お前の言うとおりだよ、佐々木。




184 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/25(木) 08:15:06.95 ID:FnUBxb/+0
駅前

さて、何を食べようかねえ。長門は即決でオムライス大盛りだ。
佐々木は・・・エビのリゾットとコンソメスープか。身体が温まりそうだな。

「じゃあ、俺はペペロンチーノを1つ」
「かしこまりました」

「しかしキョン、今日は本当によく頑張ったね。なかなかどうして、大したものだよ」
「そうか?まあ確かにいつもより断然勉強した気はするが」
「朝の小テストを見た時は・・・ねえ、長門さん」
「暗澹たる気持ち」

そこまで言われるとキツイな。




185 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/25(木) 08:15:47.99 ID:FnUBxb/+0
「だが、最後にはあそこまで点数を伸ばせたんだ。今日はしっかり集中できてたようだね」
「ああ、母親にもあとで礼を言っておくさ。それにしても―――」
「ん?」
「佐々木って教え方うまいよな」

首を少し左に傾げ、目線は右上。ふむ。と考え中のスタイルだ。




186 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/25(木) 08:16:39.91 ID:FnUBxb/+0
「キョンにそう言われるって事は、いつもより分かりやすかったかい?」
「ああ。いつもなら数学の授業なんて始まって3分で寝るからな」
「もうちょっと頑張りたまえ。でもまあ君にそう言われて嫌な気はしないな。
 それに長門さんのおかげでもある。彼女がわかりやすく説明してくれたおかげさ」

俺にはあんなたくさん漢字のつまった長々とした説明は理解できないが
長門とはそういった面でも気が合うのだろう。良いことだ。




188 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/25(木) 09:09:45.26 ID:FnUBxb/+0
ご飯も食べ終え、店を出る。

「さて、解散しようかね」
「ああ。今日は―――」

「あれ?キョン?それに・・・」

「は、ハルヒ。どうしてこんなとこに」
「親と出かけるって言ったでしょ。今帰ってきたのよ」
「そ、そうか。お疲れさん」
「うん、ありがと。で、なんで佐々木さんと有希と3人一緒にいるの?」
「・・・内緒」
「えっ!?」

な、長門っ!何を言ってるんだ!下手に誤解を招くような事を言うな!
勉強会だよ!俺の成績はお前も知っているだろ?




189 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/25(木) 09:10:26.44 ID:FnUBxb/+0
「そりゃまあね。でもそれなら有希がいれば済む事じゃない。
 佐々木さんは頭が良いって聞いたけど、学校が違うんだし
 いろいろ大変なんじゃないの?」
「涼宮さん、お気遣いありがとう。でもま、おかげさまで数学はだいぶマシになってると思います。
 その目でしっかり見てやってください」
「え、ええ、そりゃ、まあ・・・」
「それじゃキョン、僕らはこの辺で」
「また来週」
「あ、ああ・・・じゃあな」

・・・さて、この場をどうしたもんかね。




190 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/25(木) 09:11:10.57 ID:FnUBxb/+0
「ホントは何してたのよ」
「だーかーらー、勉強会だと言ってるだろう!」
「あやしい・・・」
「お前が心配しているような事は一切ねーよ。んじゃまた明日な!」
「え、あ、ちょっと!待ちなさい!キョン!キョンったら!」

~今度こそ終わり~




191 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/25(木) 09:13:01.95 ID:FnUBxb/+0
という事でキョンと佐々木長門同盟の週末の過ごし方でした。
なんとなく空気が描写できてれば良いなーと思ってまふ。

こんな朝から支援くだすった皆さんありがとうありがとう。




194 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/25(木) 09:27:41.45 ID:VgkqOs8NO


俺も勉強するわ




198 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/25(木) 12:09:44.99 ID:FnUBxb/+0
なんか安価で話を考えてみようかな。

>>210 誰が (ただしキョン・長門・佐々木の3人から選ぶ)

>>220 どこで

>>230 どうした

※注
・非エロ限定
・安価を1つ取ったら他の安価は自重する
・書き溜めるから早く投下しろとか言わない

あと面白いのかどうかは分かりません。




↓結果

236 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/25(木) 14:12:52.76 ID:FnUBxb/+0
>>210 佐々木さんが

>>220 北高で

>>230 キョンが朝倉と付き合ってるのを目撃した

最後の最後に鬼畜安価ktkr

じゃあ話を考えて書き溜めてきます。のちほど。




254 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/25(木) 16:16:37.07 ID:FnUBxb/+0
HRも終わり、惰性によって部室に行こうとしていた俺とハルヒを止めたのは
他ならぬクラス委員長こと、朝倉涼子だ。

「涼宮さん、今日の放課後なんだけど、キョンくんをちょっとお借りできないかしら?」
「あん?」

ちょっと待て、なんだそりゃ。俺は何も聞かされちゃいないぞ。
それになぜ俺に予定や都合を尋ねたりせず、ハルヒに許可を求めるんだ?
俺はレンタルDVDじゃないんだ。
まあ、確かに部室で朝比奈さんが手ずから淹れてくださるお茶を飲む事以外の
用事などありはしないのだが。




256 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/25(木) 16:17:17.70 ID:FnUBxb/+0
「別に、構わないけど。何か用?」
「彼、今日日直なのよね。それでさっき集めたプリントを先生の所へ持っていくんだけど
 その前に、内容ごとに分けなくちゃいけないの。それを手伝ってほしいなぁって」
「ふーん。ま、そゆ事ならガシガシ使ってやって。大して役に立たないだろうけど」

大変な言われようだ。

こうして、俺の人権や発言権などはかるーくなかった物にされ、俺は今
朝倉と俺以外、誰もいない教室で地味ーな作業を行っている。

「はあ、しかしこりゃ面倒な作業だな。なんで担任がやらないんだ?」
「それは、岡部先生だって面倒だからやりたくないのよ」
「・・・ズバリと言い切ったな、お前」




257 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/25(木) 16:17:58.29 ID:FnUBxb/+0
そもそもコイツには浅からぬ因縁がある。
そう、1年の初夏に起きた俺殺人未遂事件だ。
我ながら寒気がするような事件名だね、くわばらくわばら。

朝倉は、俺を殺してハルヒの反応を見る、とか言いながら
谷口あたりが非常に興奮して恋に落ちそうな笑顔のまま俺にナイフを刺そうとした。
のだが、長門のおかげで幸い俺は今日も生きている。ありがたいね。

「ねえ」

今のコイツには長門のような、いわゆる宇宙的パワーはほぼないらしい。
長門は朝倉の存在そのものを危険と判断し、消滅させようとしたが
上司である情報思念統合体とやらが、その能力を減らして存在を維持する事にしたらしい。

「ねえったら!」

長門はあの後、だいぶ不満があったようだ。




258 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/25(木) 16:18:41.98 ID:FnUBxb/+0
俺としてもあんな事は御免こうむりたいが、何、万が一の時は長門がなんとかしてくれるだろう。
それに―――。

「ちょっと、キョンくん、聞いてる!?」
「おわっ、ななななんだ?」
「今、全然聞いてなかったでしょ」
「あー悪い、ちと考え事でな」
「もー・・・ちゃんと聞いててよね」

とほっぺたを膨らませつつ怒ったような表情をしている。
―――それに、もうあんな事はしてこないだろう。きっと。
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259 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/25(木) 16:19:22.64 ID:FnUBxb/+0
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「やっほー」
「あ、涼宮さん、おはようございます。今、お茶淹れますね」

みくるちゃんは今日も可愛い、いつものメイド服で出迎えてくれた。
我ながら良い買い物したわね。

「ありがとー。」
「あれ?キョンくんはご一緒じゃないんですか?」

あ、やっぱり気づくわよね。

「うん、なんかクラス委員の手伝いだって。日直なんて嫌なもんよねえ」

前半は事実。そして後半はアタシの素直な感想。
実際日直なんてものは一月に一回回ってくるかどうかだけど
ホントにその日だけは休みたくなるわ。




260 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/25(木) 16:20:18.00 ID:FnUBxb/+0
「はい、どうぞ」

そう言ってみくるちゃんがアタシの湯飲みを丁寧に机の上においてくれる。

「ありがと、今日も美味しいわ」
「ふふっ、ありがとうございます」

と、ここで部室の中の違和感に気がついた。

「あれ?そう言えば有希は?」
「長門さんでしたら、何か御用があるとかで。先に帰られましたよ」

打てば返るように古泉くんが説明してくれる。それにしても。

「へー、あの有希がね。珍しい事もあるもんねぇ」

最近は有希も昔に比べて社交的になった―――気がする。
ちょっと寂しくもあるけど、団員一人一人の事を大切に思いやる器が
SOS団の団長として必要な素養なのよ。

あ、雑用係その1の事は、また別なんだけど。
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262 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/25(木) 16:21:01.75 ID:FnUBxb/+0
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「お待たせ」
「ううん、ちっとも待ってないよ、長門さん」

長門さんはいつも時間に生真面目だし、何より自分が相手を待たせる事をよく思っていない。
それが美徳である事に違いはないが、それも過ぎるとあまり良くない。

「じゃあ行きましょ」

今日、こうして長門さんに呼び出されて駅前に来たのは他でもない。
ある重大な計画の実行のため。バレでもしたら末代まで恥を残す事になるかもしれない。

でも、それでも、ちょっと楽しそうだったんだ。
ましてそれを、『あの』長門さんが提案してくれたという事も含めて、ね。

「着いた」

連れてこられたのは長門さんの住むマンション。




263 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/25(木) 16:21:46.06 ID:FnUBxb/+0
「上がって」
「お邪魔します・・・」
「邪魔じゃない」

・・・時々こうして長門さんに常套句が通じないのは困るけれど、そんな長門さんはとても可愛らしい。
のであくまで秘密にしている。私ながら悪趣味かな?

「これ」

おぉ、と小さく感嘆の声を漏らしながら『それ』を見た。

「サイズはピッタリのはず」

うん、見た目はちょうど私のサイズにあいそうだ。
ん?私のサイズ?




267 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/25(木) 17:13:31.98 ID:FnUBxb/+0
「えっとさ、長門さん?」
「なに」
「・・・私のスリーサイズとか・・・知ってる、の、かな・・・?」
「・・・」
「・・・」
「内緒」

絶対知ってる!うわぁぁぁ!最近ちょっとウエストが・・・とか、もう少し胸が・・・とか
そういうのも全部知られちゃってるよぉ。うぅ。

「大丈夫。秘密」

秘密にしてくれるのはありがたいけど、でも何が大丈夫なんだろう・・・。

「着てみて」

その長門さんの発言ではたと我にかえる。そうだ。これが今日の目的だった。
奥の和室を借り、私は着替えを始めた。
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268 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/25(木) 17:14:19.38 ID:FnUBxb/+0
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「「失礼しましたー」」

やっと地味な作業から解放され首をぐるりと回してみる。

「あー疲れた」
「ふふ、お疲れ様。ありがとう、おかげで助かっちゃった」
「感謝しているならジュースの1つでも奢れ」
「良いわよっ、じゃあ中庭行きましょうか」

あれ?冗談半分だったんだが・・・ま、良いか。
せっかく奢ってくれるというんだ。ありがたく頂こう。

「これでよかった?」
「ああ、サンキュな」
「ううん、お礼の印だから、気にしないで」

笑顔でそんな風に言われるとまるであの時、俺を殺すと言った事が嘘みたいだね。




269 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/25(木) 17:15:15.20 ID:FnUBxb/+0
「ねぇねぇ、それ美味しい?」
「ん、まぁ、それなりかな。人に強く勧めはしないが、なんとなく自分はコレみたいな」
「ふーん、そうなんだ。ちょっと味見ちょうだいっ」
「あっ、てめ!」

しかし言うが速いか、さすがは元(?)宇宙人だからなのか
アッサリと俺のジュース缶は奪い取られてしまった。

「ふうん、まあ、不味くはないけど・・・キョンくんってこういうの好きなんだ?」
「ん、ああ、まあ・・・。」

というかこれ、間接キスってヤツじゃないのか?
いや、そんなもん気にしないやつは気にしないしな。
ここで俺1人がアタフタしてもかえって厄介だ。

だが俺はこの時、アタフタしてでも缶を死守すべきだったんだ。

しかし、未来の事なんて俺にはわからん。そうだろう?
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270 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/25(木) 17:15:57.19 ID:FnUBxb/+0
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「これが北高かぁ・・・」
「そう」
「なるほど、キョンが嘆くのもムリないわね、坂道が長いし大変じゃない?」
「慣れれば問題ない」

北高に来るのは、実は初めてじゃない。
でもあれは中学の時だし、『多分自分は入らないであろう高校』だったから
特に気にして何かを見る、というような事はしなかった。

ましてや―――。

「・・・バレたりしないかな?」
「大丈夫。似合っている」

いや、そういう事じゃないんだけど・・・ね。
あろうことか私は今、北高の制服を着ている。
長門さんが準備してくれたのだ。

私がぽろっと漏らした一言がきっかけだった。




271 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/25(木) 17:17:47.50 ID:FnUBxb/+0
「長門さんやキョン、SOS団のみなさんの日常を見てみたいな」

すると長門さんは即行動にうつしてしまった。あれからわずか2日。
北高の先生たちは月に一回の大きな職員会議があるとかでほとんど部活などにもいない。
長門さんはリスクを最低限に抑えるためにこの日を選んだのだった。

「自然体でいれば怪しまれない。平気」
「そうね。ふふっ」

なんとなく楽しい気持ちになる。いつもと違う日常。とりたてて何かが面白い訳じゃない。
なのになぜか心がスキップしている。そんな気持ち。

「校舎の向こうに、中庭を挟んでSOS団の部室がある旧校舎がある」
「ふふっ、緊張するなぁ」
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272 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/25(木) 17:18:28.74 ID:FnUBxb/+0
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「全く味見って・・・しかもあんまり美味しくないって言ったわりに随分減ってるぞ、これ」
「もうー、キョンくんって結構細かいことを気にするタイプ?」
「うるさい。なんでお礼にもらったジュースをガッツリ味見されなきゃならんのだ」
「分かったわよ。悪かったから、これあげる。ね?許して?」

そう言って朝倉は自分用に買った紅茶の缶をよこした。
・・・これもお前が口をつけた缶じゃないか、などと言える訳はない。

「はあ、わーったよ。これでチャラな」

平静を装ってコクリと紅茶を飲む。




273 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/25(木) 17:20:46.33 ID:FnUBxb/+0
「ふふっ」
「?」
「これって、『間接キス』よね?」

         ___
        /⌒  ⌒\         ━━┓┃┃
       /(  ̄)  (_)\         ┃   ━━━━━━━━
     /::::::⌒(__人__)⌒:::: \         ┃               ┃┃┃
    |    ゝ'゚     ≦ 三 ゚。 ゚                       ┛
    \   。≧       三 ==-
        -ァ,        ≧=- 。
          イレ,、       >三  。゚ ・ ゚
        ≦`Vヾ       ヾ ≧
        。゚ /。・イハ 、、    `ミ 。 ゚ 。

「きゃっ!汚い!」
「お前がおかしな事を言うからだろうが!あーもう・・・ったく」
「だ、だってそんなに反応するとは思わなかったから・・・。ごめんごめん」
「謝ってる割に、顔が笑ってるぞ」
「だって、キョンくん、おかしいんだもの」

・・・やれやれだ・・・。




274 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/25(木) 17:22:49.23 ID:FnUBxb/+0
「はい、拭いてあげる」
「いや、それくらい自分で・・・」
「良いから良いから」

くっ、拭かれるのが困るんじゃなくて、朝倉の顔が近いのが困るんだよっ・・・!

「ねえ、キョンくん」
「な、なんだ・・・?」

「間接じゃなくて、直接キスしてみても、良い?」

な―――


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275 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/25(木) 17:23:42.73 ID:BdvK24Be0
らば戦争だ




276 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/25(木) 17:26:32.89 ID:FnUBxb/+0
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私を案内している長門さんの足が、止まった。

「長門さん、どうしたの?」
「―――」

彼女が無言になるなんて珍しい。
長門さんは口数が少ない。しかしこちらの問いかけには何かしらの反応を見せていた。
なのに、今はその反応が、表情にも、言葉にも、仕草にも、見えない。

「長門さん?」

近寄ってみる。

「どうしたの?」

長門さんは中庭の一点を凝視していた。その先を辿ると―――。
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277 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/25(木) 17:28:18.88 ID:FnUBxb/+0
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朝倉の口唇は柔らかかった。

朝倉は良い匂いがした。

朝倉の髪がふわっと俺の頬をなでた、その髪の向こうには ありえない 人影 が―――

「なが、と・・・」

1人じゃない、その横には、

「さ、さき・・・?」

俺の言葉に 朝倉が 振り返る

長門が 駆けてくる

そして佐々木は―――反対方向に、駆け出していた。
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285 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/25(木) 18:06:06.36 ID:FnUBxb/+0
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理解できない。状況が分からない。自分の心が把握できない。

彼の気持ちはもっと把握できなかった。

でも今はなにも考える事ができなかった。

ただ走った。北高なんてどこに何があるのかなんてわからない。

「佐々木!!」

身体が一瞬こわばる。この声は―――
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287 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/25(木) 18:07:41.53 ID:FnUBxb/+0
---------------------------------------------------------------
「佐々木!!」

呼び止めてどうするんだ、俺は。
だがこのまま行かせる訳にはいかない。そんな事はしたくない。

しかし佐々木は一瞬こちらを見たかと思うとまた走り出してしまった。

「くそっ!」

悪態をついた。

自分の不甲斐なさに。
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288 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/25(木) 18:08:50.41 ID:FnUBxb/+0
-----------------------------------------------------
ただ走った。ひたすら走った。まっすぐ走ったら
追っ手を撒けないって昔ドラマでやってた。

見える角、見える角、全力で右、左、右・・・めちゃめちゃに走った。

速く早く、ただどこか

どこか1人になれる場所へ―――。
-----------------------------------------------------




289 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/25(木) 18:09:38.51 ID:FnUBxb/+0
-----------------------------------------------
佐々木め、さすが才色兼備、じゃなかった。
いや、それもそうだが、文武両道を地で行くやつだ。

こんな時に引き合いにだすのは気が引けるが
ハルヒ並みの人間が鶴屋さん以外にまだいるなんてな。

ハッ ハッ

息が、切れる。

なさけねぇっ、男の俺が先にバテてたまるかよ!

「佐々木ぃっ!!」
-----------------------------------------------




290 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/25(木) 18:10:28.04 ID:FnUBxb/+0
-----------------------------------------------
まだ、彼が追ってくる。

まだ、キョンが追ってくる。

まだ、キョンが追ってくれている。

どうしよう。自分はどうしたら良いんだろう。

「はい、そこまでですよ」

突然、自分の真後ろから声がする。

「誰・・・」

・・・誰も、いない?

「後ろですよ、佐々木さん」

えっ―――。
-----------------------------------------------




291 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/25(木) 18:11:36.81 ID:FnUBxb/+0
----------------------------------------------
俺は肩で息をしながら、目の前を見ていた。

「・・・喜緑さん」
「こんにちは」

喜緑さんの表情は変わらない。

「いったい・・・?」
「それは私のセリフですよ。全く、こんな事になるなんて」

イマイチ、状況がつかめない俺は視線で説明をお願いした。

「・・・もし先ほどの、朝倉とのキス、見たのが涼宮さんだったらどうするんです?」
「―――!」
「そして佐々木さんも涼宮さんと同様の可能性を持つ方。気をつけてくださいね」

そりゃ気をつけるさ。ハルヒ云々をおいといても、だ。




292 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/25(木) 18:12:27.25 ID:FnUBxb/+0
「もっとも、今回はこちらの不手際でもあります。」
「え?」
「まさか朝倉があんな行動に出るとは・・・迂闊でした」

はたと気づく。

「そういえば、長門は朝倉のところへ・・・」
「ええ。すでに朝倉は長門に捕縛され、マンションへ移送中です。
 私も行かねばなりませんが・・・」
「佐々木は・・・?」
「そうですね、一緒に連れていきましょうか。このままでは話もしづらいですから」
-------------------------------------------------




293 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/25(木) 18:13:20.31 ID:FnUBxb/+0
-------------------------------------------------
「朝倉涼子。説明を要求する」
「そうよ、あれはいくらなんでも軽率過ぎる行動よ」
「別に、そんなに深い意味はないけど?」
「それでは済まされない。彼女もいまや我々の重要な観察および保護の対象」

朝倉も苦しみながら言い返す。

「それは分かってるけど・・・まさか北高に佐々木さんがいるとは思わなかったもの」

それはまぁ、言えているな。




294 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/25(木) 18:14:10.51 ID:FnUBxb/+0
「あのね、キスは好きな人同士で行うものよ。
 貴方、もしかしてキョンくんが好きなんですか?」
「違うけど?ただキスって行為に興味があっただけよ。どんなものかなって」

つまり、あのキスは俺への好意~なんてものからではなく、
純粋に行為に対する興味からって事で良いんだな?

「ええ、そうよ」
「わかった、佐々木には俺から説明する」
「お願いします。それでは起こしますね」
「はい、お願いします」




295 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/25(木) 18:15:22.24 ID:FnUBxb/+0
―――。

―――――。

「と、いう訳なんだ」
「はぁ、そ、そうか・・・」
「納得いかないって顔してるな」
「いや、確かに彼女たちは実際年齢は4歳だものね。
 他意なくキ、きき、キスもできるのかも、しれないね」
「ああ。まあ、された方は全く困るだけなんだけどな」

「・・・あんな美人にキスされて困る?それはいくらなんでもないだろう?」

佐々木は調子を取り戻したのか、いつものようにくつくつと喉を鳴らしている。




298 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/25(木) 19:07:07.01 ID:FnUBxb/+0
「ということでな、あれはノーカウントだ」
「そ、そうか・・・いや、あんなに取り乱してすまなかったね」
「あー、それなんだけどな」
「ん?」

と、佐々木が俯いていた顔を上げる。そこに

―――――。

「な、なななな!」
「あー。なんだ。これでおあいこだ。良いか?」
「ばっ・・・バカだ、な・・・君は・・・っ」

佐々木の服に雫がはたりと落ちる。

「え、な、泣くほど嫌だったか・・・?」

佐々木は北高の制服の袖で顔をぬぐうと

「ホントに、君はバカだな」
「なっ」

そう言って、笑顔でキスをした。

~fin~




300 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/25(木) 19:10:46.97 ID:G4dv69aQO
乙!
ハッピーエンド




301 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/25(木) 19:11:36.55 ID:IrRZ92Jh0
乙!!




304 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/25(木) 19:18:38.74 ID:FnUBxb/+0
みんなありがとうよー。安価でSSなんて初めてだったがなんとかまとめられた、気がする。
朝倉とのラブあま展開を期待してた人、すまんな。

こ こ は 佐 々 木 と 長 門 が ヒ ロ イ ン だ




442 : ◆7MiYo0fRys :2009/06/26(金) 12:05:33.48 ID:RKYYf3AZ0
ネタ募集!
12時15分までについたレスの中から書きやすそうなの選びます。




↓結果

448 : ◆7MiYo0fRys :2009/06/26(金) 12:21:20.20 ID:RKYYf3AZ0
・長門と文化祭デート
・長門が佐々木と尻相撲
・佐々木と長門の熱烈アタック

この豪華3本立てでお送りします。




455 : ◆7MiYo0fRys :2009/06/26(金) 13:07:41.51 ID:RKYYf3AZ0
SSS長門と文化祭デート

今回で2回目となる北高文化祭。
今年も『去年同様』つつがなく涼宮ハルヒ超監督のもと新作映画の制作を終えた。
もちろん俺は雑用全般であるからして、またも徹夜での編集作業を行い
これまた去年同様なんとか完成にこぎつけ、映研にフィルムを渡した。

ちなみに今回は去年より勝手が分かっていたのか
ハルヒの考えたストーリーは少なくとも破綻はしていなかったし
そこそこ見れるものが仕上がっていた。
大した超監督ぶりであった事はここで言い添えておこうと思う。




456 : ◆7MiYo0fRys :2009/06/26(金) 13:08:41.01 ID:RKYYf3AZ0
もっとも、生徒会長からはなぜ文芸部が映画を制作し、文化祭で発表するのかと
抗議にこそきたものの、ハルヒにとってはそれはただの燃料にしかならなったようだ。

さて、今日は天気にも恵まれ、見事な秋晴れだ。
ハルヒは朝比奈さんと共に校門で映画と、そしてまさかのバンドライブの宣伝に回っている。

俺のクラスは今年も大したことをやっておらず、特に任された役割もないので
校内をぶらぶらとあてもなくうろついていた時に

「よう、長門」

長門と出くわした。
今年は魔法使いの格好はしていない。いつもの制服姿だ。




457 : ◆7MiYo0fRys :2009/06/26(金) 13:09:52.20 ID:RKYYf3AZ0
「長門のクラスは今年、何してるんだ?」
「おばけ屋敷」

ほう。これまた定番だが・・・お前は何か役割分担はないのか?

「小道具。もう特にする事はない」

へえ、具体的にはどんなものを作ったんだ?

「衣装とマスク」

そりゃ相当凝ったものが出来上がっただろう。さぞかし怖いんだろうな。




458 : ◆7MiYo0fRys :2009/06/26(金) 13:10:58.44 ID:RKYYf3AZ0
「それで、今日はどうするんだ?」
「演奏まで特に予定はない」

そっか、リハは一応早朝のうちに終わらせたしな。

「良かったら」

ん?

「文化祭、一緒に」




459 : ◆7MiYo0fRys :2009/06/26(金) 13:11:41.41 ID:RKYYf3AZ0
かくして長門と一緒に俺たちの演奏までの間、校内を回る事になったのだが

「なあ、長門」
「なに」
「・・・食べすぎじゃないか?」
「そのような事はない。ありえない」

と長門は言うがすでにアイス、焼きそば、お好み焼き、りんご飴、チョコバナナ・・・
今は片手に焼き鳥を持ったまま俺の横を歩いている。




460 : ◆7MiYo0fRys :2009/06/26(金) 13:12:24.09 ID:RKYYf3AZ0
「・・・うまいか?」
「とても」

相変わらず表情こそ変わらないが、だいぶ満足しているようだ。何よりだ。
さて、どこか行きたいところはあるか?

「特にはない」
「そうか」
「貴方と」
「ん?」

やや間をおいて、少しうつむいた様子で長門はつぶやくように言った。

「一緒ならどこでも良い」




461 : ◆7MiYo0fRys :2009/06/26(金) 13:13:12.22 ID:RKYYf3AZ0
一瞬言葉に詰まってしまった。なんて真っ直ぐ言いやがるんだ、コイツは。
まだ顔はうつむいたままだ。どんな表情をしているんだろうね、今。

「ああ、そうだな」

そう言って俺は長門の手を取った。

優しく、長門は俺の手を握り返してくれた。

~fin~




463 : ◆7MiYo0fRys :2009/06/26(金) 13:14:18.08 ID:RKYYf3AZ0
という事でだいぶ短いけど1本目終了。

SSならぬSSS。スーパーショートショート。
うん、長門と文化祭でってシチュは結構難しかったんです。すみません。

さて2本目いってきます。




469 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/26(金) 13:46:25.13 ID:0WpVX7d2O
いいよーいいよー




471 : ◆7MiYo0fRys :2009/06/26(金) 14:38:25.86 ID:RKYYf3AZ0
長門と佐々木の尻相撲

「くっ・・・んんっ!」
「・・・っ」

なんでこんな事になってしまったんだろうね。
今、俺の眼前では佐々木と長門による尻相撲が行われている。

ところで尻相撲、という競技を知っておられるだろうか?
その形式は至ってシンプルなものだ。
「お互いの臀部だけを相手にぶつけ、相手を倒した方の勝ち」
ただ、それだけ。もちろん手を使ったり、足をひっかけたりしてはいかん。

上半身のバランス感覚、下半身の強靭な土台が必要とされるのだが・・・。




472 : ◆7MiYo0fRys :2009/06/26(金) 14:39:25.53 ID:RKYYf3AZ0
「長門さん・・・なかなか、手強い、ね・・・」
「貴方こそ・・・」

2人とも軽く息を切らしている。相当本気だ、この2人。
長門は恐らく背格好から予想されうる平均的な肉体的パラメータに改変しているのだろう。
そうでなければ佐々木など尻どころか全身が吹っ飛んでしまうに違いないからな。

さて、ここでシーンを少しばかり巻き戻したいと思う。


―――――。




473 : ◆7MiYo0fRys :2009/06/26(金) 14:40:09.27 ID:RKYYf3AZ0
「お、佐々木じゃないか」
「やあキョン、それに長門さんも」

佐々木は北高に来た事はなかったからな。
もし暇なら来てみてはどうかと誘ってあったのだ。

「なかなか賑やかで良い雰囲気だね。やはり祭りはこうでないと」

そうだな。せっかくだから楽しまなければ損というものだろう。

「ところで」
「ん?」
「なぜ2人して仲良さそうに手を繋いでいるのかな?」

はっと手を引っ込めた。長門の手が少し名残惜しそうだったのは気のせいだったか。




474 : ◆7MiYo0fRys :2009/06/26(金) 14:40:53.94 ID:RKYYf3AZ0
「ほう。僕の事を誘っておきながら文化祭は2人きりで楽しむつもりだったのかい?」
「い、いや、佐々木、誤解だ。決してそのような・・・」
「くっくっ・・・良い度胸だ、キョン。まさか君が女性に恥をかかせるような甲斐性を持っていたとはね」
「待て、誤解だ、佐々木」

「勝負あり!おめでとうございます!」

俺たちがいた廊下に面するクラスからだろうか。歓声と共に男の声が聞こえた。
目を向けるとそこには

【3-2 尻相撲 日ごろの鬱憤を晴らしましょう】

「尻・・・」
「相撲・・・?」
「ほう、面白そうじゃないか・・・」

佐々木の目が光っている。




475 : ◆7MiYo0fRys :2009/06/26(金) 14:41:34.96 ID:RKYYf3AZ0
「長門さん、どうかな。尻相撲で勝った方が、明日一日、キョンと2人で文化祭を回る、というのは」
「お、おいおい佐々木。そんな」
「私に勝負を申し込むとは良い度胸。今のうちに湿布とハンカチを用意すべき」
「くっくっ・・・言うね、長門さん」

まさしく竜と虎。2人の間に火花が見えるのは果たして俺の幻覚なんだろうか?

「それでは申し込みをしてこようか、行こう長門さん」

長門はコクリと頷き佐々木の後を追って3年2組へと入っていく。

「・・・やれやれ・・・なんでこんな事に・・・」




476 : ◆7MiYo0fRys :2009/06/26(金) 14:42:22.12 ID:RKYYf3AZ0
俺も2人の後を追ってクラスへと入った。中は驚くほど人がいる。
まさに『盛況』の2文字がふさわしい。現代人はストレスを持て余しているからなのだろうか。
などと、軽く現実逃避をしたのは、佐々木と長門のことだ。

特に長門はあれで負けず嫌いなところがある。
向きになって宇宙的なパワーと使うほどお子様ではないと願いたいのだが・・・。

「キョン、申し込みをしてきたよ。今やっている組を含めて4組目に僕たちのようだ」
「そうか・・・。しかしなんでこんな事を言い出したんだ?」
「それは・・・」

佐々木が急に視線をそらす。




477 : ◆7MiYo0fRys :2009/06/26(金) 14:43:14.17 ID:RKYYf3AZ0
「説明の必要はない。この後、勝者と敗者がわかる。それだけ」
「結構。ところでルールはご存知かな?」
「見ていてわかった。勝負が楽しみ」
「くっくっ、僕もこのように血が滾るなんて初めてだよ。フェアに頼むよ」
「当然。フェアに勝ってこそその勝敗に意味がある」

・・・すでにこの一角で勝負は始まっているようだ。正直頭が痛い。




478 : ◆7MiYo0fRys :2009/06/26(金) 14:43:58.62 ID:RKYYf3AZ0
「それにしても」

リングらしきものに目をやると今まさに闘っているのは女性2人だ。

「意外と女性の方がこういうの好きなのか?」
「いや、冷静に分析するなら、いわゆる国技たる相撲では耐えがたい姿を衆目に晒しかねない。
 これなら倒れるくらいで女性的大惨事には至らないだろう」
「・・・なるほどね」

そこで冷静になれるなら、なんでもっと先に冷静にならないんだ、佐々木よ。

「キョン」
「うん?」
「いや、なんでもない。そこもまた君の魅力の1つかもしれないからね」
「む?」

わっと声があがる。どうやら勝負が決まったらしい。





479 : ◆7MiYo0fRys :2009/06/26(金) 14:44:43.10 ID:RKYYf3AZ0
「それでは次の試合を始めます!赤コーナー、佐々木さん!」

がんばれーなどと見知らぬ人から歓声が上がっている。
いや、このクラスの人だろうか?

「そして青コーナー、長門さん!」

うーむ、気が気でないぞ。なんだこの焦燥感は。

「それではお尻を合わせて・・・はっけよい、のこった!」

試合が始まった。




480 : ◆7MiYo0fRys :2009/06/26(金) 14:45:28.31 ID:RKYYf3AZ0
「いくわよ、長門さん!」

先に動いたのは佐々木だ。先手を取る気か。

「お見通し」

しかし佐々木の尻ツッパリを予測していたかのように長門はさっと尻を引く。

「うっ・・・!?」
「もらった」

たまらず佐々木がバランスを崩すとそこに長門がカウンターで尻ツッパリ。これは決まったか!?

「・・・っ!」
「あまいっ!」

それすらも佐々木の仕掛けた罠だったのか、長門の強烈な攻撃を華麗にかわし
長門の突き出た小さい尻を横から押しやる。

「・・・っ」

「そこまで!佐々木さんの勝利!」




482 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/26(金) 15:00:51.55 ID:mu2170mN0
誰がここまでフェアな展開を予想できただろうかwww




483 : ◆7MiYo0fRys :2009/06/26(金) 15:01:27.96 ID:RKYYf3AZ0
わーきゃーなどとクラスに一際大きな歓声が上がる。
なんてヤツだ。長門と駆け引きで、まさしくフェアに勝つとは・・・佐々木、恐ろしい子・・・!

「長門さん、これで明日は私が―――」
「―――3回勝負。」
「は?」
「へ?」

俺まで素っ頓狂な声を上げてしまった。

「3回勝負の申し込みをしておいた。万事ぬかりはない」

な、何てヤツ・・・そこまでするか!

「まさかそこまで石橋を叩くとは・・・良いわよ、私が2連勝する!」
「貴方の攻撃パターンは見切った。残りの2つは私がもらう」




484 : ◆7MiYo0fRys :2009/06/26(金) 15:02:51.85 ID:RKYYf3AZ0
もはや俺は空気と化している。
だがしかし、長門は吸収が早いからな・・・これは、どうなるか展開が分からん。

「それでは第2試合はじめます!はっけよーい・・・のこっとぅあ!」

試合が始まった。佐々木は長門を警戒したか動かない。
長門も真剣な面持ちで背後の佐々木の気配を読もうとしている。
先ほどとは打って変わって静かな戦いになった。
いつしかクラスの中は生唾を飲む音さえ聞こえそうなくらい静寂に包まれていた。

しかしここで先手を取ったのは長門だ。
その尻を右へ―――。




485 : ◆7MiYo0fRys :2009/06/26(金) 15:04:08.86 ID:RKYYf3AZ0
気がついた佐々木は『左からの攻撃』に備えるために『右半身』に力を込める。弾き返す気か。

しかし長門はまさしく目にも留まらない速さで尻を右から左に切り返すと、
佐々木の右から尻を弾いた。『右半身から左半身方向に』荷重移動していた佐々木は
その急激な動きの変化についていかず、倒れた。

それこそ『どっ』という効果音が似合いそうな歓声がクラスに響いた。

「つつ・・・まさかフェイントとはね・・・」
「あと1つ。私がもらう」

またもリング上で火花を散らす2人に会場のテンションは最高潮だ。まさにガチンコ。これぞセメント。
いつしか俺までその2人の勝負に見入っていた。
いや、決して尻に魅入っていた訳ではない事は明言しておくべきだろうか。

「それではファイナル!はっけよーい・・・・・・のこっとぅは!」




486 : ◆7MiYo0fRys :2009/06/26(金) 15:04:51.97 ID:RKYYf3AZ0
お互い最初の2戦で手を見せている。佐々木は縦方向のフェイントなのに対し、長門は横だ。
どちらもムリせず、そしてそれゆえに決めの一手を欠いていた。

という事でこの第3試合はすでに5分を過ぎていた。会場はいつの間にか超満員だ。
外にも観客がいるようだ。考えてみれば長門は谷口いわくAAランクとか何とか言うほどの
美少女であることについては俺も疑いがないし、佐々木もまた古泉曰く、魅力的な美少女、だ。
その2人がなりふり構わず尻相撲で戦っている様は確かに絵になる・・・。

絵に・・・?

「しまった!2人とも、その試合、ストップだ!」
「えっ!?」
「隙あり」

ドシン。

「っ!やっちまったか!」

俺は慌ててリングに上がって佐々木をかばうような位置をとり、座り込んだ。




487 : ◆7MiYo0fRys :2009/06/26(金) 15:07:14.21 ID:RKYYf3AZ0
「キョン、なんで真剣勝負の最中に声をかけるような・・・」

「え、えー、ファイナルは長門さんが取りましたので、2勝1敗、長門さんの勝利です!」

多少戸惑いを残しつつも美少女2人が見せた試合に惜しみない歓声が送られていた。

「ふう・・・とりあえず出るぞ、良いな、2人とも」

途中ジュースを買って屋上に出る。

「で、なんであそこで声を上げたのか、説明してくれるかい?」
「真剣勝負・・・」

長門も佐々木もおかんむりだ。とは言え俺は後悔なぞ微塵も感じていない。




488 : ◆7MiYo0fRys :2009/06/26(金) 15:09:03.59 ID:RKYYf3AZ0
「あのな、確かに2人の勝負に水をさした事は謝る。だがな、2人とも自分の格好を良く見てみろ」

「え?」
「・・・」

長門と佐々木が揃って自分の格好を見る。佐々木は赤くなったし、長門も気まずそうだ。

「わかったか?」

そう、長門は制服で佐々木は私服。しかして2人の共通点はと言うと

「長くもないスカートをあんなに揺らしてちゃ・・・ダメだろ?」
「迂闊」

佐々木はぐうの音も出ない。佐々木の方がスカートが短いしな。
どうやら納得してくれたようだ。




489 : ◆7MiYo0fRys :2009/06/26(金) 15:10:45.43 ID:RKYYf3AZ0
「で、でも・・・」
「ん?」
「キョンと北高を一緒に回りたかったんだ・・・」

・・・そんな事を涙目で上目がちに言われたら男として何か言い返せる訳がない。

「明日は貴方に譲る。」

と長門が譲歩した。

「だって、勝ったのは長門さんだし・・・」
「私は平日毎日北高にくる。しかし貴方は別。この時点でフェアではなかった」
「・・・」
「だからあの勝負も無効。明日はゆっくり回ると良い」

と佐々木に優しい表情で譲られた佐々木は長門を聖母か何かを見るようなまなざしで見上げている。




490 : ◆7MiYo0fRys :2009/06/26(金) 15:12:24.95 ID:RKYYf3AZ0
やれやれ、なんとか丸く収まったようで何よりだ。

「おっと、もうすぐ講堂にいかにゃならんな」
「ああ、そういえばSOS団のライブがあるんだったね」

良かった。佐々木はもう調子を取り戻したようだ。

「おう。俺と朝比奈さんはともかく、ハルヒと長門、それに古泉の演奏はなかなかのもんだ。
 よかったら聞きに来てくれ」
「もちろんさ。今日の一番の目的だったのだからね」
「よし、じゃあ行くか」




491 : ◆7MiYo0fRys :2009/06/26(金) 15:13:07.52 ID:RKYYf3AZ0
「キョンはどんな楽器を担当するんだい?」
「ベースだよ。ギターは長門とハルヒ、ドラムが古泉。朝比奈さんはなんちゃってキーボードだ」

「なんちゃって?どういう意味だい?」
「・・・あの人に音感とリズム感を求めるのは間違いなんだ・・・。だからなんとなく弾いてるような格好はする」

「後ろでキーボードの録音された音源を流す手はず」
「くっくっ・・・なるほど、確かにそれなら問題は起きなさそうだ」

去年はなんとも意外な形でSOS団から2人が軽音部に飛び入り参加したが
今年はあくまでSOS団としての参加だ。
もっとも、去年の事を知っている人間は3分の2が残っている訳で。

「結構人が入ってるじゃないの!SOS団の面目躍如ね!」
「そうですね。さらに名を知らしめる良い機会になるでしょう」
「分かってるわねぇ、古泉くん!さすがは副団長ね!」
「お褒めに預かり光栄の至りです」




492 : ◆7MiYo0fRys :2009/06/26(金) 15:15:14.94 ID:RKYYf3AZ0
朝比奈さんはかなり緊張しているが、まぁなんとかなるだろう。
佐々木は・・・おっ、いたいた。結構前の方に席が取れたようだ。

「じゃっ、いくわよ、みんな!」

ステージに出ると、わっと会場が沸くと同時にえっと戸惑いの声も広がる。それはそうだ。
ハルヒはチャイナ、朝比奈さんはメイド服、長門は看護服というコスチュームだからな。
ちなみに男2人はなぜか学ランだ。ハルヒ曰く「男は女の引き立て役よ!」だそうだ。

「それじゃ一曲目、『止マレ』。聞いてください!」




大歓声が上がった。

~つづく~




501 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/26(金) 16:31:57.12 ID:KxFvPqSTO
これはいい佐々木だな







その2へ




涼宮ハルヒの記憶
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コメント
この記事へのコメント
  1. 名前: rvp #xz7qMuUk: 2009/07/13(月) 14:10: :edit
    ほう
  2. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/07/13(月) 14:10: :edit

    リアル見てたやつだとなんか嬉しいな
  3. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/07/13(月) 14:37: :edit
    どれも好みだが、尻相撲が何か良かったなw
  4. 名前: 通常のナナシ #tTYmAbMw: 2009/07/13(月) 15:19: :edit
    必要以上の睡眠を必要としないのは万人に共通だとおもうんだ。
  5. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/07/13(月) 15:23: :edit
    佐々長同盟シリーズ化
  6. 名前:       #-: 2009/07/13(月) 16:12: :edit
    ゴットゥザ様なら、ピアノは弾けなくても歯ギターなら出来るはず…。

    これが佐朝同盟ならどうなるだろう。
    空気化が進むのかな…
  7. 名前:   #-: 2009/07/13(月) 16:33: :edit
    >>尻相撲
    ええい、絵師はまだか!?
  8. 名前: 名無しさん@お腹いっぱい。 #-: 2009/07/13(月) 16:54: :edit
    489は長門に優しい表情で譲られた佐々木は、だな。
  9. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/07/13(月) 18:03: :edit
    なんかキョンの周りの女達って性格悪いのばっかな気がしてきた
    キョンが優しすぎるからそう見えるのかもしれないけど
  10. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/07/13(月) 19:00: :edit
    10げと
  11. 名前: VIPPERな名無しさん #-: 2009/07/13(月) 19:57: :edit
    イイ・・・イイよ・・・凄くイイ・・・
  12. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/07/13(月) 20:21: :edit
    空気を楽しむものなんだろうけど、途中で飽きてしまった
    俺には合わなかったみたい
  13. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/07/13(月) 20:33: :edit
    長門の尻ツッパリと言うことは
    お尻を突き出した格好で
    長門が飛んでいくんだよな・・・
  14. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/07/13(月) 21:04: :edit
    >>※9
    性格がいい奴はSSじゃ空気になるのがオチだ…
  15. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/07/13(月) 22:11: :edit
    ※12
    俺もだ
  16. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/07/13(月) 22:21: :edit
    アタックがファッ○に見えた俺は死んでいい
  17. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/07/14(火) 00:04: :edit
    タイトルが  
    ・・・。ヘフッ
    に見えたせいでお茶こぼした(´;ω;`)ウッ…
  18. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/07/14(火) 00:48: :edit
    佐々木ってだれ?
  19. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/07/14(火) 00:58: :edit
    長×佐の組み合わせってすごくイイね
  20. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/07/14(火) 02:05: :edit
    >>9
    朝比奈さんマジエンジェル
  21. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/07/14(火) 03:06: :edit
    ※17
    俺の方で二次災害が発生したじゃねぇか
  22. 名前: VIPPERな名無しさん #-: 2009/07/14(火) 03:41: :edit
    尻相撲の部分でふいたw
    テーマ的には浮いてるというのになんと言う…
  23. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/07/14(火) 09:32: :edit
    1話終わりみたいな
    粋な演出だな
    最後のyotu
  24. 名前: 通常のナナシ #yLw.vZHI: 2009/07/16(木) 14:55: :edit
    ※21
    同じく・・・orz
    ヘフッってなんだよwww

    長門×佐々木は初めて見たかも
    ほのぼの感がたまんないなぁ
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c o m m e n t
p a s s
 
俺の妹がこんなに可愛いわけがない 黒猫 白猫Ver.
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