翠星石「また来るです!」

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2009/05/18(月)
1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 11:34:34.32 ID:U1icvn3d0
翠星石「まだ手の傷が治ってないんだから大人しく寝とくですぅ」

JUM「いやもう大体治ったから」

翠星石「何言ってるですか…全っ然未完治です だから大人しく翠星石に世話焼かれるです!」

翠星石「それに元はと言えばその傷は翠星石のせいです…だから余計ほっとく訳にはいかんです」

JUM「いいよ別に 自分の世話ぐらい自」

翠星石「じゃあ手始めに紅茶でも淹れてくるです!」

JUM「…はぁ」

がちゃ



…本当は、JUMが怪我をしてくれていて嬉しかった。
機会が出来たからだ。




関連
翠星石「また来たですか・・・人間」
真紅「あら・・・・また来たのね」
真紅「また・・・来てくれるのかしら」
蒼星石「いつか、また来るよ」


3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 11:38:24.73 ID:U1icvn3d0
真紅の様に凄い力が無くて、
真紅の様に賢くも無くて、
真紅の様に…綺麗じゃ無い私でも、
JUMのために何か出来るのかもしれない。



ただ嬉しく思った。
相変わらずそれを言葉で伝えられなかったけど。

勝手ににやける顔を手で覆いながら急いで階段を降りる。
久しぶりに紅茶を淹れるけれど、上手く出来るだろうか。
…不安だ。元から私は紅茶を淹れることが真紅やJUMほど上手じゃない。


でも、
たぶんJUMなら、
私を疎んで今までの人間達の様に捨てない彼なら、
どんな紅茶でも文句一つ言わないで飲んでくれる。

そんな事を、まるでそれが決まっていることかのように思った。




5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 11:42:24.69 ID:U1icvn3d0
翠星石「早く沸けー早く沸くですー」

何気なしにリビングを見てみると、しゅんしゅん、と稼動しているポットをやけに楽しそうに撫でているあの子がいた。
紅茶の準備をしているようだけど、何か良い事でもあったのだろうか。
後で私も紅茶を淹れるつもりをしていたのに。

のり「どうしたの真紅ちゃん?」

真紅「え、あ、何でもな」

雛苺「早くしないとこげちゃうのよー!」

真紅「あああああわわわわわわ」




7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 11:47:54.85 ID:U1icvn3d0
急いでフライ返しを滑り込ませてそれを引っくり返す。
じゅう、と音。
…よし、焦げてない。
決して焦がす訳にはいかない。
これだけは絶対に。
今度はのりに雛苺も手伝ってくれてる。

ふぅ、と息を吐く。
大丈夫だ、大丈夫。
失敗なら今まで未来の分までだってしてきた。
だから今日は、今日だけは絶対に成功するはずだ。

フライパンの上のそれを皿へ移す。
そして生地をすくって、再びゆっくりと上から垂らすようにフライパンへと入れる。
隣では、まるで母親のような笑みでいるのりと雛苺が見守ってくれている。
…恥ずかしいけれど、彼女らは私のために居てくれている。
彼女らの期待を裏切らないためにも、
そして、
彼の笑顔を見るためにも…。


のり「あ」

雛苺「……」

真紅「……」




9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 11:52:36.84 ID:LOxYWwEd0
真紅頑張れ真紅




10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 11:53:04.94 ID:U1icvn3d0
翠星石「JUーM、紅茶が出来たですよー」

JUM「ああ、悪いな ありがとう」

翠星石「えへへ…お礼なら一口飲んでから言えですよ」

ふーふー、と息を吹いて紅茶を冷ます。
両手でカップを包んで揉んで、
そして一口飲んで…よし、これなら大丈夫。

翠星石「ほらJUM、このぐらいなら大丈夫ですよ」

包帯でぐるぐるに巻かれているJUMの手を取って、カップの取っ手を握らせる。

JUM「…おい」




12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 11:58:18.17 ID:U1icvn3d0
翠星石「何ですか?」

JUM「……何でもないよ」

こういう時、JUMはいつも以上に無愛想になる。
全く、相変わらず素直じゃない。

JUM「…何だよ」

翠星石「何でもないですよー」

JUMが何も言わなくても、何もしてくれなくてもいい。
たまにこうやって二人きりになれて、
私のお茶を飲んでくれて、
そしてちょっとだけ笑ってくれるだけでいい。
私はただJUMの傍に、
そして私を好きだと言ってくれた真紅の傍に居れるだけ、ただそれだけでいい。
多くは望まない。

翠星石「何か他にして欲しいことはないですか?」

JUM「…じゃあ本でも読んでくれよ」

翠星石「分かったです!」




13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 12:02:08.30 ID:U1icvn3d0
翠星石「…Kの…が……だった…しかし…」

翠星石「…私が…は……たけし」

JUM「…」

翠星石「ふぅ、どうですJUM?分かりやすかったですか?」

JUM「…分かりやすいも何も読めないところだけ飛ばして読まれても僕は全然分からないぞ」

翠星石「うぅぅ…いーんです!分からないところは勝手に推理して読めです!」

JUM「お前なぁ…はぁ」

…いけると思ったけど、日本語というのはやっぱり難しい。
真紅は日本の本だってもう普通に読めるのに…。
こんな本を読めるなんて、やっぱり真紅は凄い。

JUM「…こっち来いよ」

翠星石「え?」




14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 12:06:36.70 ID:U1icvn3d0
JUM「…しょうがないからな 本を読めないお前の代わりに読んでやるって言ってるんだよ」

翠星石「……翠星石もしょうがないから付き合ってやるです」

JUM「じゃあ最初から…」

JUMの膝に乗って、本を読んでもらう。
…嬉しい。

嬉しいけど、
JUMの役にたつどころか迷惑をかけている自分を、
どこかで見ているもう一人の私がそれを少し疎ましく思った。
自分に向けて悪意を込めた舌打ち。

もし私が真紅ならば、あの本だってスラスラとJUMに読んであげることが出来るのに。
それ以外にも何かお菓子でも作ってあげることが出来るだろうに。
もし真紅だったら、
もし真紅だったら。
意識がどんどん内側へと向いていくのを感じる。
それと同時に、真紅への想いが少しずつ変わっていくのも。




17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 12:09:41.32 ID:U1icvn3d0
JUM「おい、ちゃんと聞いてるのか?」

翠星石「え?あ、ちゃ、ちゃんと聞いてるですよ?いやー面白いですねー」

JUM「…?」

翠星石「……」

何となく気まずい空気が私とJUMの間を流れた。
淹れてから少し経った紅茶の湯気が漂う。
走り抜ける自転車の音が外からする。


しばらくJUMの膝の上で湯気を目で追っていると、
まるでためらうようにドアをノックする音がした。
きぃ、と開く音。

真紅「……は、入るわね」

真紅だった。
ちょこん、と何かを2、3個乗せた小さなお皿を持っている彼女は心なしか
おどおどとしていた。




19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 12:17:27.90 ID:U1icvn3d0
真紅「す、翠星石いたのね…おおお邪魔したわ」

膝の上にいる私を見てすぐに引き返そうとする真紅を呼び止める。

JUM「ちょっと…何か作ってくれたのか?」

真紅「え、ええそうよ…でも…」

真紅「でも…やっぱりいいわ…」

JUM「なんでそんなこと言うんだよ まだ食べてもないのに」」

真紅「だって…こんなにボロボロだし…きっと美味しくないのだわ…」

そんなことをもごもごと言っている真紅の隙をついて、
JUMがお皿からそれをさっと二つ取る。
そして、一瞬の出来事を前に固まっている真紅の前でそれを口に入れる。

JUM「おお、餡子が…どら焼きだな 美味い美味い」




21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 12:24:17.76 ID:U1icvn3d0
JUM「翠星石も食ってみろよ ほんのり甘い生地と粒餡が凄いことになってる」

もう一つのそれを私に、真紅のどら焼きを少しずつ食べながら渡す。
…食べるまでもないだろう。

真紅「ほ…本当に美味しい?」

JUM「ああ、美味いよ 真紅は本当に料理が上手いんだな」

真紅「う、嬉しいわ…」

俯いて頬をぽっと染めている真紅の隣をすり抜けて、
そっと部屋を出た。
どら焼きの柔らかい温もりを右手に、
そしてまた同時に、胸の中の冷凍庫の様な冷ややかさを感じながら。




23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 12:27:36.36 ID:LOxYWwEd0
JUMもてすぎだよJUM




24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 12:35:16.56 ID:U1icvn3d0
やけに甘いどら焼きを頬張りながら考える。
頭の賢さや容姿、そして料理。
完璧過ぎる彼女に少しでも敵う見込みのあるもの、
それは恐らく料理だろう。

翠星石「あわよくば…このどら焼きみたいなのを作れるようになれればいいんですけどね」

ああ、悔しいけど本当に美味しい。
どうしたらこんなに美味しいものが作れるのだろう。

無才の私は結局誰かに教えてもらわないと出来ないだろう。
のりや雛苺はどうだろう。
…彼女たちは真紅の側だ。
別に敵とは言わないが、まるで敵に塩を送ってもらっているようでそれは嫌だった。
……。




26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 12:40:22.54 ID:U1icvn3d0
ぶらぶらと表を歩いていると、ある和菓子屋が目に入った。
ここは…。

翠星石「ここは前にJUMと来たお店です…」

そういえば、ここでもどら焼きが売られていた。
そしてJUMはここのどら焼きを大層美味しそうに食べていた。

翠星石「…決まりです」

ここの人間がJUMの様に優しい人間か分からないが、背に腹は代えられない。
…JUMのため。
そう、見た目にも小さな胸の中で思うと、
何だかどんなことでも頑張れるように思った。

翠星石「た、たのも」

「うわあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

翠星石「!?」




27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 12:46:16.45 ID:U1icvn3d0
表のドアの取っ手に手をかけたと同時に、中から人間の女が飛び出した。
気配を感じてすんでのところで飛びのいたお陰でぶつかられなかった。
未だに叫びながら走って行く女の後姿を見る。

翠星石「な、何ですか今のは…?」

「あーすっきりした…あ?」

また中から人間が出てきた。
JUMよりもとても背が高い男だ。
少し…怖い。

「なんだお前は?」

翠星石「そ、それよりも…お前はここの人間ですか?」

「ああ、そうだけど何?」




30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 12:53:08.03 ID:U1icvn3d0
翠星石「お前…どら焼きが作れるですか?」

「…作れるけど何?教えて欲しいの?」

翠星石「そ、そうです!どら焼きの作り方を教えて欲しいです!」

しばらく男は私を舐めるように見る。
…まるで獲物を見つけた猫のようだ。

「…なんでどら焼きなんだ?」

翠星石「あ、ある人間がどら焼きが好きなんです…で、そいつに食わせてやりたいんです…」

言い終えて、顔を伏せる。
どうなんだろう…これ以上何か言うべきことが思いつかない…。
何かこの人間の気を引くものでも持って来れば良かったのに。

「ああ、それならいいよ」

翠星石「え?」

「教えてやるよ、どら焼きの作り方」

「でも、条件がある」




31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 13:05:12.92 ID:U1icvn3d0
真紅「あら、遅かったわね」

日が暮れてしばらくした頃に家に帰ると、やけに笑っている真紅が出迎えてくれた。
私が部屋を出た後に何かあったのだろう。
…綺麗な笑顔だ。

翠星石「ふぁぁ…すまんです」

半日みっちりとどら焼き作りのいろはを叩き込まれたお陰で
満身創痍…とまではいかなくても、
ここ最近感じたことの無い疲労感が全身を支配していた。
それだけ身体がなまっていたのだ。
でもそんな疲れも、全てはJUMのためだと思うだけで、
それすらもどこか愛しく思えた。

JUM「どこ行ってたんだ?何かドレスが乱れてるし」

急に出てきたJUMに思わず驚いてしまう。

翠星石「ななな何でもないです!JUMには言えないです!今日はもう寝るです!」

JUM「あ、翠せ」

雛苺「……?」




33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 13:11:26.83 ID:U1icvn3d0
翌朝、お弁当を作っているのりに頼んでみた。

翠星石「のりー、一緒にお弁当作るの手伝って欲しいです」

のり「あら、珍しいわねぇ でも何で?」

翠星石「そ、それは内緒です!」

のり「…ふふふ、分かったわぁ」

翠星石「?」

何か誤解をしているのだろう、
妙に機嫌良く頼まれてくれたのりと一緒に二人分のお弁当を作り始めた。

雛苺「……?」

真紅「ふあぁ…おはよう雛苺」




35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 13:19:10.34 ID:U1icvn3d0
翠星石「じゃあ行ってくるですー」

階下から翠星石の声が聞こえた。
あいつ…こんな朝早くからどこ行くんだ…?

雛苺「JUーM…あれ?JUMはお家に居るの?」

JUM「居たら悪いのか雛苺ー?」

寝起きの軽い運動代わりに雛苺の頭をわしわしと、
少し乱暴に撫でてやる。

雛苺「うー髪が乱れるのー!違うのよー!」

雛苺「翠星石がお弁当をのりと一緒に作っていたからJUMとどこかに行くのかと思ったのー!」

ピタ、と頭を撫でる手を止める。

JUM「じゃあ他の誰かと…誰かって誰だ?」

雛苺「ヒ、ヒナと真紅とJUMの知らない誰かよ…たぶんね」




37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 13:26:39.99 ID:U1icvn3d0
昨日の店の勝手口から入って、男を見つける。

翠星石「ほーら、約束通り作ってきてやったですよー」

部屋の中心にある小さなテーブルの上にお弁当箱を置く。
それを見て男は言う。

「ああ、家の他の連中は何か聞いてきたか?」

翠星石「ちょっとだけ聞かれたですけど、言われた通り適当に誤魔化したですけど…」

翠星石「何でわざわざ誤魔化す必要があるんですか?」

「…気にするなよそんなこと 今はそのJUMって奴のことだけ考えとけよ」

翠星石「そ、そんなこと考える必要ねーです!さっさと作るです!」

「ククク…分かった分かった」




39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 13:29:34.45 ID:Oc1tafwHO
これは…




41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 13:34:39.64 ID:U1icvn3d0
翠星石「混ぜて混ぜて…蜂蜜も入れるんですか?」

「ああ、親父は確かやってたな」

翠星石「そう言えば何で前居た人間は居ないですか?」

「今GWだろ どこかに旅行だとよ」

「でその間俺は店番しつつ昨日みたいに何人か女を…ってこれは言う必要無いな」

翠星石「?」

「まぁそんなその辺にいるくだらない女共より…面白い物見つけたからな」

翠星石「何ですそれ?今ここにあるですか?」

「ああ…たぶんもうすぐ俺の物になるぜ」

翠星石「ふぅん…そうですか」

「ああ、今からそれが楽しみだぜ」

…また翠星石を見て変に笑ってるです。
たまにこの人間が怖いですけど…
JUMのためです。
JUMのためなら幾らでも頑張るですよ、翠星石は。




44 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 13:45:12.26 ID:U1icvn3d0
「じゃあそろそろ休憩だな」

何回も何回も同じ生地を焼いていると、そう言って布団を敷いてくれた。

「同じことばかりやっててもすぐ飽きるからな…こうやって休憩を入れた方が効率がいい」

翠星石「翠星石は休憩なんか別にいいですよ 早くJUMに翠星石のどら焼きを…」

「ククク…お前は本当にそのJUMってやつのことが好きなんだな」

翠星石「だーかーらー!翠星石はそんなことねーです!」

否定してみせても男はまた笑っている。

「まぁいい…俺が片付けておくから寝とけよ」

そう言って男はどこか別の部屋へと姿を消した。

一人になって緊張の糸が切れると、急に眠気がやって来た。
朝からずっと同じ作業を繰り返したせいだろう…。

ふっとJUMのことを思い出すが、ここは寝て体力を回復するべきなんだろうと思った。

翠星石「ちょっとの間、翠星石は休むですよ、JUM」



「ククク…」




46 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 13:49:32.50 ID:t7psHmcS0
ゴクリ




47 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 13:54:15.50 ID://K6O+QnO
ざわざわ……




48 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 13:56:55.85 ID:U1icvn3d0
駄目だ、カイジ思い出した
本当はカイジみたいじゃなくて嫌らしく笑ってる感じを出したいのに

翠星石「ふぁぁ…あれ?」

起きてみると、寝る前はちゃんと被っていた布団がめくれていて、男が私に被さる様に何かをしていた。
私が起きたのに気付くとすぐに離れる。

翠星石「何してたですか…?」

「ああ悪い、ちょっと転んでな 起こして悪かったな」

翠星石「…?」

物音なんて全くしなかったと思うけど…。
もう一回聞いてみようと口を開くと同時に男が。

「おいそれより、もう真っ暗だけど帰らなくていいのか?」

翠星石「げ…それを早く言うです!」

急いで起き上がる。

「ああそれより、明日は今日よりももっと早く来てくれ やっぱり時間がかかる」

翠星石「…わ、分かったです」

JUMと話す時間がどんどん減っていく。
だけど、断る訳にはいかなかった。
だって…JUMのためだから。




49 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 14:02:45.72 ID:vQr9evR+0
ああ、欝展開の予感…




50 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 14:05:04.12 ID:U1icvn3d0
翠星石「た、ただいま…です…」

急いで帰って時計を見る。
…午後八時。遅すぎる。
リビングへ入ると、昨日と同じ様に真紅が出迎えてくれた。
また、あの綺麗な笑顔で。
きっと今日も、私が家に居ない間にJUMと何かあったんだろう。
…思わず歯軋りする。
でもきっと、もうすぐ私もJUMに真紅と同じようなどら焼きを作ってあげられる。
それまでの我慢だ。

真紅「おかえりなさい 貴女今日も一体どこへ行っていたの?」

真紅「それにスカートに何か染みみたいのがあるわ…どうしたの?」

真紅に言われて見てみると、確かにスカートに何かの染みみたいなものが出来ていた。
でも恐らく、これはどら焼きの生地の跡なのだろう。

翠星石「あー、内緒です 言えんです」

JUM「どうした真紅?」

真紅「ああJUM、翠星石のスカートに何か染みみたいなものがあっただけよ」




51 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 14:11:10.39 ID:Oc1tafwHO
………まさか




53 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 14:15:06.49 ID:U1icvn3d0
JUMの視線を感じて、思わず染みの部分を隠す。

JUM「……」

真紅「翠星石に聞いてみたのだけど『内緒です』って 別に大した話じゃ」

JUM「僕にも内緒か?」

翠星石「ととっ当然です!JUMにはもーっと内緒です!今日ももう寝るです!」

急いで二階へ駆け上がる。
途中で擦れ違った雛苺に何か言われた気がしたけど、気にしない。
これ以上聞かれたら言ってしまうかもしれない。
駄目だ駄目だ…JUMにだけは何があっても内緒にしないと。

雛苺「…どうだったJUM?何か分かった?」

JUM「…全然」

JUM「でも、どこか苦しそうにしてた」

真紅「確かに、私から見てもちょっとあの子はおかしかったのだわ 何だかJUMに隠し事しているようね」




57 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 14:21:09.18 ID:Oc1tafwHO
染みって何だよ…




58 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 14:21:45.11 ID:U1icvn3d0
次の日、昨日雛苺に起こされたぐらいの時間に目を覚ます。
鞄を見てみると、既に一つの鞄が隅へ置かれていた。
開けて見るまでもなく、恐らくもう中には居ないのだろう。

雛苺「おお…おはようなの…」

真紅「ふぁぁ…今日は早起きなのね…」

のっそりと鞄から出てくる真紅たちにおはよう、と返す。

真紅「もう居ないの?」

JUM「みたいだな」

雛苺「ま、まだ一階にいるかもしれないのよー!」

JUM「…そうだな」

真紅「……」




60 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 14:28:56.35 ID:U1icvn3d0
真紅「結局一階にもいないわ」

雛苺「何か料理した跡だけはあるの…」

JUM「…新聞でも取ってくるか」

真紅「じゃあ私はパンでも焼いているわね」

JUM「ああ、頼む」

真紅「その…JUM?」

JUM「ん?」

真紅「貴方…翠星石が居なくて寂しいの?」

JUM「……」

JUM「…そんなことないだろ?お前らがいるのに」

真紅「ふふ、そうよねJUM 塗るのはマーマレードでいい?」

JUM「ああ、それでいいよ」

雛苺「……」




64 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 14:37:41.02 ID:U1icvn3d0
ばたん

5月の午前7時の空気に身体を包まれる。
昼間の暑さを思わず疑うような冷たさに震える。

まず息を全て出す。
そして肺一杯にすぅっと吸い込み、また思いっきり吐き出す。
けど、少しも気分が良くならない。

何で僕はあいつのことを気にしてるんだろう。
居候の一人が挙動不審なのは前からだ。
違うのは…どこに行ってるかを聞いた時にあいつがしてみせたどこか辛そうな顔だ。
…分からない。何でだろう。
もし行ってるそこが何か辛いのなら行かなければいいのに。

ポストを開くと、朝刊と一緒に茶色い封筒が一枚入れられていた。
手にとって見ると、表に僕の名前が書いていた。
裏を見ても送り主が書かれていない。
切手も無いところを見ると、これは送り主が直接投函したのだろう。
それもわざわざ僕のために。

ご苦労なことだろ思いながら開く。

JUM「…翠星石の写真だ」




65 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 14:39:38.21 ID:Oc1tafwHO
なんだと…




69 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 14:45:08.94 ID:U1icvn3d0
鬱しか待ってないぞ

何枚か入っていた翠星石の写真。
全部の写真の中で翠星石は眠っていた。
けれども、どの翠星石もみんな、
とても幸せそうに眠っていた。

全てを見終わる前にそれを封筒に戻す。

そして考える。
翠星石の辛そうにしていた意味。
この封筒の送り主の意図する所。
翠星石が今日も早朝から姿を消している理由。


リビングへ戻ると、真紅にマーマレードをべったりと塗ったパンを薦められた。
何だか僕と対照的にどこか嬉しそうな真紅を見ていると、
翠星石のことをゆっくりと忘れていった。
たぶん、それを翠星石も望んでいるのだろうから。




76 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 14:56:33.67 ID:U1icvn3d0
ドールにまんまんはありません
あったらただのダッチ
それからお前ら俺よりレベル高すぎ


翠星石「ふんふーん…駄目です すぐ焦げるです 餡子も上手い事いかないです…」

「なぁ翠星石、最近JUMって奴とはどうなんだ?」

翠星石「…JUMと全然話せてないから知らんです」

「ククク…そうかそうか それは可哀相だな」

翠星石「…でもきっともうすぐJUMとまた前みたいに話せるはずです」

翠星石「それまでの辛抱です」

「ああ、そうだな…ククク」

…何だろう。
何でこの男は楽しそうに笑ってるのだろう。
私は…辛い。
JUMとどこか…擦れ違っているようで辛いのに。

「さて、じゃ今日もそろそろ休憩だな」

翠星石「…はいです」

理由が全く分からない。私はJUMのためにしているはずなのに。
分からないならいっそ、昨日の様に夢の中でだけでもJUMといつまでも話していよう。




80 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 15:09:34.58 ID:U1icvn3d0
翠星石『JUーM、今日のお菓子は何が良いですか?』

JUM『翠星石のどら…あー、やっぱり何でもいい』

翠星石『もう、言いかけて止めるのは気になるから止めろと前にも言った筈です!』

JUM『いやでも…昨日もだったしな』

翠星石『だーかーらー!はっきり言いやがれです!』

JUM『…じゃあ昨日に引き続き今日も翠星石のどら焼きを頼むよ』

昔感じた、あの気まずい空気が流れる。
だけどあの時と違って、今度のそれはとても優しい感じがする。
優しい優しい、間を作る。

翠星石『…またですかぁ?』

JUM『…だから言いたく無かったんだよ はぁ…』

翠星石『じょーだんですよ冗談!JUMが喜んでくれるならあんなの幾らでも作ってやるです!』

だって、
JUMといつかこうなることを望んで、
あの頃の私は何日も何日もかけて覚えたんだから。




82 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 15:27:33.85 ID:U1icvn3d0
JUM『おぉ、相変わらず生地と餡子の風味というか何と言うか…とにかく美味いなぁ』

翠星石『JUMはどら焼きのことが好き好きってうるさいくせに味の評論は適当ですよねぇ』

JUM『お前こそうるさいな…どら焼きの味なんかどら焼きって時点で大体一緒なんだから』

翠星石『むきーっ!JUMは自分で作ったことが無いからそんなことが言えるです!』

JUM『そりゃあそうだけど…』

翠星石『今日はちょっと頭に来たです!今日の残りはご飯までずーっと翠星石のどら焼きの講釈を聞きやがれです!』

JUM『あーはいはい…』

翠星石『ほーら分かったならさっさと翠星石を膝に乗せろです!』

JUM『…ちょっと機嫌損ねるとこれだからな 扱いが難しいったら無いぞ全く』

翠星石『何ぶつぶつ言ってるですか!』

JUM『はいはい…』



目を覚ます。
上半身だけ起こして、
しばらく現実というものをさっきまで浮ついていた自分の心に馴染ませる。
…広すぎる現実とのギャップに、何だか泣きそうなぐらいに、
胸が痛い。




86 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 15:37:28.79 ID:U1icvn3d0
翠星石「ただいまです」

真紅「おかえりなさい 遅かったわね」

今日も笑顔で出迎えてくれた真紅。
そんな笑顔が、
この上なく、
憎い。
こんなに綺麗な笑顔が、
いつの間にか持つ者の余裕にしか見えない自分がいた。
疲れが溜まってるのだろうか。

翠星石「真紅には…関係ねーです」

真紅「…そうね」

また間が出来る。
今度のは酷く居心地の悪い間だ。
すると。

雛苺「そ、それよりも翠星石!今日もちょっと汚れてるのよ!」

真紅「…そうね また何か染みみたいなのがあるわ」




91 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 15:45:17.80 ID:U1icvn3d0
雛苺「JUMにお風呂に入れてもらえば」

翠星石「そんなことしてたら寝れないです…」

雛苺「うゅ…」

翠星石「明日も早いです…もう寝るです」

JUMが出てこないことが少し…悲しかったが、
もう寝ないといけないのは本当だった。
でも…もしかしたら。



真紅「…分からないわ、あの子のことが」




96 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 15:55:21.06 ID:U1icvn3d0
ドアノブに手をかけるのを何度も躊躇う。
寝たいという思い以上に、
この中に居るであろう彼に会うのが例えようも無いくらいに怖かった。
もし居たのなら、ここ数日彼に対して取っていた態度を怒るのだろうか。
例え怒られたところで、その理由を決して言えない私はどうするのだろう。

…そう考えると、どうしてもドアノブに触れることが出来なかった。

あと少し、指とドアノブの間隔が一センチもない位のところで止まっていると、
れてもいないドアノブがきゅっと動いて、勝手に開かれる。
そして。

JUM「…どうしたんだ?」

翠星石「いいい居たですかJUM」

JUM「…?入るんだろ?」




101 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 16:08:36.13 ID:U1icvn3d0
部屋に入ると、明かりが点いてないので真っ暗だった。
唯一の照明はカーテンの引かれた窓から入る月明かりだけだった。

促されて、ベッドに座っているJUMの隣に座る。
JUMにもたれたかったけど、それで一体どんな反応が返ってくるのか分からない。
けど…。
けれども今日、この時を逃すと当分JUMにこうしてもらえない。
そんな気が、私にそうさせた。

JUMの腕から伝わる久しぶりに感じる人の温もりをゆっくりと、
まるで身体に染み込ませるように、味わう。
ふんわりとする、JUMの匂いも一緒に。

そんな私を疎まずに、
どこか慈しむ様に撫でてくれるJUM。

JUM「明日も…早いのか?」




103 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 16:17:17.96 ID:U1icvn3d0
翠星石「ちょっとだけです…気にしなくていいです」

そうか、と言ってJUMはゆっくりと撫でる手を離す。
顔を見てみようとするけど、暗がりで良く見えない。

JUM「…良い人か?」

翠星石「え?」

JUM「その…誰か…知らないけどさ、お前が会いに行ってるのってたぶん僕なんかよりずっと良い人なんだろ?」

翠星石「……何が言いたいのですか?」

JUMは立ち上がると、机の引き出しの中から本を一冊取り出す。

JUM「これを…その人に渡してくれよ」




106 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 16:23:10.21 ID:U1icvn3d0
タイトルを見てみるけど、やっぱり全然読めない。
やけに綺麗なその本は、
まるで封を切ったばかりの様に大切にされていた。
きっと、誰かこの本を読むべき人を待っている間だからだ。
そういう綺麗さを持っていた、その小さな本を抱えてJUMに聞く。

翠星石「何故です?」

JUMは言う。
その時一瞬見えたJUMは、何だかしょうがないように笑っていた。

JUM「僕の代わりに、と思ってな」

翠星石「?」

それだけ言うとJUMは私の鞄を持ってきて開く。

JUM「ほら、もうそろそろ寝るんだろ?」




107 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 16:24:21.45 ID:Oc1tafwHO
翠星石の同人誌…ゴクリ




108 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 16:33:45.04 ID:U1icvn3d0
確かに寝ないといけないだろう。
明日も今朝と同じ時間に起きたいならもうとっくに寝ていないといけない。

けど。

翠星石「翠星石は…もっと…」

もっと、JUMと話していたい。
JUMは何か誤解をしている。
それだけは確実だ。
JUMともっと話してその誤解を解きたい。
そしてもっともっと…。
そうすればきっと真紅のことだってまた好きになれるかもしれない。

でも、今まで私がどこに行っていたかの話になると何も言えない。
…それはあの男を裏切ることになる。
そして、事あるごとに真紅にどの点でも劣っている私をその都度また嫌いになるだろう。


…どうすればいいのか、結局分からない。

翠星石「…寝るです」

その時だ。

真紅「ちょっと翠星石!貴女JUMにどれだけ心配を」

JUM「いいんだよ真紅」

真紅「?」




110 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 16:42:27.20 ID:U1icvn3d0
私を廊下に連れ出して、彼は言う。
今まで見たことのない、少しおかしな笑い方をして。

JUM「いいんだよ あいつが毎日毎日会いに行ってるんだ きっと僕なんかよりよっぽど素晴らしい人間なんだ」

JUM「だからその人といた方が、きっとあいつも楽しいんだ 嬉しいんだ 幸せなんだ」

真紅「JUM…」

自分のことを間接的に否定する彼を見ているのは、
とても辛い。
だから臑を蹴り上げて無理やりそれを止める。
案の定、すぐ止まる。

真紅「止めて…JUM 自分のことをそんな風に言わないで」

痛みに悶えてしゃがみ込む彼にそっと抱きつく。

JUM「真紅…」

真紅「あの子にはきっと何かあるのよ 明日、帰ってきたら聞いてみましょう」




113 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 16:50:43.08 ID:U1icvn3d0
「で、JUMって奴はどうだ?」

翠星石「…知らんです」

「ククク…そうかそうか 悪かった」

翌日、誰も起きてない内にそっと抜け出して来たけど、
やる気が全く起きなかった。
私はこんな嫌な気持ちになるためにどら焼きを作りたかったんだろうか。
いや違う。
JUMに喜んで食べてもらって、
そして真紅を驚かせて、
そして私も真紅と同じ様にJUMの役にたつことを示したかっただけだ。

ただ、どら焼きを作りたかっただけ。
それがどういう訳で、こんな嫌な気持ちになるんだろう。

翠星石「…最近、というか昨日JUMがおかしなことを翠星石に言ったです」

「へぇ…何て言ってた?」

この男は、私の話を聞いてくれる。
どんな先入観もフィルターも通さずに。

気付くと、この男に夢中になって最近のことを話していた。




116 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 16:58:11.06 ID:U1icvn3d0
翠星石「それでですね…真紅の野郎が翠星石が居ない間にJUMにベタベタと…」

「ああ、それは嫌な奴だな」

翠星石「全くです!翠星石はここでこんなになって頑張ってるっていうのに…」

「でもそのJUMって奴のこと好きなんだろ?」

翠星石「ばばっ……」

「どうなんだ?」

一瞬立ち上がって否定しようとするが、また座り直す。
しばらく何もない空間をぼーっと見て。

翠星石「…何だか…分からなくなってきたです」

「へぇ、何で?」

翠星石「…分からないです でも…」

「…ククク」

何だか、本当に良く分からなくなってきた。
外で失敗作をついばんでいる鳥たちの鳴き声が、やけに耳障りだった。




118 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 17:07:26.47 ID:U1icvn3d0
翠星石「…そうです 確かJUMからお前に本を預かってきたです」

「…俺に?」

いぶかしみながら昨日と同じ様に綺麗な本を受け取る。
男が逆さにしてぺらぺらとページを捲ると、間からメモ用紙のような物がハラリ、と落ちる。
それを読むと男はすぐニヤリ、とまたあの嫌な笑い方をしてみせて。

「おい翠星石…お前最近風呂入ってないんだって?」

翠星石「え、あ…ええ、そうですよ」

急に何を言い出すのだろう、この人間は。

「洗ってやるよ、俺がそのJUMって奴の代わりに」

翠星石「…え?」




123 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 17:18:03.88 ID:U1icvn3d0
「前はJUMって奴に洗ってもらってたんだろ?代わってやるって言ってるんだよ」

男はそう言いながらじり、と歩み寄る。

翠星石「な、何が書いてあったですか…?」

「お前、もうJUMって奴のこと好きじゃないんだろ?じゃあいいだろ別に」

翠星石「そ…そんなことは…」

「ならいい加減はっきりしろよ お前、まだあいつのこと好きなのか?」

また一歩、一歩と近付く。

翠星石「だから…分からないです…」

「なら嫌いになれよ 今すぐに」

男が一歩寄るごとに後ろへ逃げる。
が、背中に壁がぶつかるのを感じて動きを止める。

「そして俺を好きになれよ 今すぐに」

翠星石「な…何を言ってるですかお前は…」

「…まだみたいだな」

首元を捻り上げられて、頬を張り飛ばされる。
張り飛ばされた頬を手で押さえて起き上がると、
目の前に例のメモ用紙が落ちていた。




130 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 17:28:54.10 ID:U1icvn3d0
その小さなメモ用紙には私の知らないJUMがいた。

私を想って、私を知らない人間へと私のことを一つでも多く知ってもらおうという思い。
私の好きな食べ物。
私の好きな番組。
私の好きなこと。
そして私に関するその他諸々。

インクの一滴にまで込めて書かれたそれの最後は、翠星石のことを宜しく頼む、
と書かれて締められていた。
それだけ簡素な文字に、一体どれだけの思いが込められてるのか。

翠星石「……」

何度も何度も、それを読み返す。
何度も何度も。
そこにいる、今までのどの人間よりも私を想ってくれていたJUMという人間。
それを感じるために、
何度も何度も、
何度も何度も、また読み返す。

「お前は本当にそのJUMって奴に好かれてたんだな」

後ろで、男が言った。




133 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 17:40:54.49 ID:U1icvn3d0
「で、お前はそんな純粋にお前のことを想ってくれていた野郎を一方的に嫌いになろうとしてた訳か」

その小さなメモ用紙を両手で握りしめて、
抱くように、泣く。

「自分で分かるぐらいに腐ってる俺でも泣けるぜこれ お前はとんでもないやつだな全く」

「今更泣いたって遅いぜ もうこんな手紙までお前は書かせたんだからな」

「でもな、そんなどうしようもないお前でも俺は受け入れてやるよ」

「人間には無い完璧な美しさ、それを人形のお前は持っている」

「人間の女は駄目だ ちょっと殴ればすぐピーピー喚くし、何より人間というだけでしがらみが多い」

「その点人形のお前は違う 全てから自由だ」

「お前は一人の人間の所に居るべきじゃなかったんだよ こうやって俺と居るべきだ」

「もうすぐ親父が帰ってくるんだけどな、俺と一緒にどこか遠くの街に行かないか?」

「こんなしみったれたJUMって奴の居る町なんかじゃなくて、何でも揃ってるぴっかぴかの都会でもいいぜ」

「さ、そうと決まったらさっさと」



翠星石「…帰るです」

「あ?」




136 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 17:47:09.03 ID:U1icvn3d0
翠星石「翠星石が今すべきことはお前と一緒に都会に行くことでも」

涙を袖で乱暴に拭って、
自分に言い聞かせるように言う。

翠星石「ましてやここで泣いてることでもねーです」

翠星石「今すぐ帰ってJUMに謝」

ばしっ。
言い終える前に、今度は反対の頬を叩かれる。
勢いで壁にぶつかる。

「…これだけ言っても諦めないか」

「これだけ色々手を回してやっても折れなかったのはお前が初めてだな」

翠星石「手を…回す…?」

そう、と言って男は何かの入った四角いケースをヒラヒラ、としてみせる。

「もっとすべきだったみたいだな」




140 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 17:56:23.46 ID:U1icvn3d0
翠星石「何か…したですか?」

「疑念の種をちょっと撒いただけだ 本当にちょっとだけだけどな」

大抵の女はこうやってぐちゃぐちゃに壊してやるとな、簡単に俺だけを見るようになるんだよ。
実に簡単な独占の仕方だろ?
こうすることでどんな女も浮気なんか考えなくなる。
俺しか頼れなくなると、他の男なんかどうでも良くなるわけだ。
そして今回もそれをやってみた訳だけど、
人形相手だからか、お前じゃなくて人間の方が先に折れたな。
まぁ想像してた折れ方と全然違うけどな。

翠星石「…一体…何をさっきから…」

「でもな、もういちいち細かいことするのは飽きたから今日からしばらくお前は監禁な」

翠星石「…は?」

「監禁」

外で喚く鳥たちの声、
飛行機の音、
きらきらと輝く日差しの全てが、
まるで別の世界の出来事のようだった。
ブラウン管を通してみる、そんな世界。




146 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 18:12:49.45 ID:U1icvn3d0
JUM「帰って…来ないな」

時刻は午後12時。
彼はリビングでいつまでも彼女が帰ってくるのを待っていた。
そしてそんな彼に、
私は思いをたっぷり込めて紅茶を淹れてあげることしか出来なかった。

私の淹れた紅茶をゆっくりと飲む彼の隣に座って、私も待っていた。

真紅「ねぇJUM…私が代わりに待っているから貴方はもう寝るべきだわ」

JUM「あのな…そういうのは僕の台詞だろ?あんまり僕の良い所取るなよ」

そう言って彼は私の肩を抱いて寄せて、ぽんぽん、と叩いてくれる。
…彼女が居ないだけで、彼にこうしてもらえることが最近多い。
それを喜んでいる私が居る訳だけど、
それと同時に、
そんな現在と引き換えにどこかに消えていく、
私の愛する姉妹を想う自分がいた。

一方でそれを喜び、また一方でそれを違うと言う。
そんな私の実に醜いこと。

彼の純粋な翠星石への想いを想うと、どうしても自分を情けなく思った。

JUM「どうした真紅?」

真紅「…戻ってくるといいわね」

JUM「…そうだな」




158 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 19:12:25.38 ID:U1icvn3d0
それから何度も何度も、同じ夢を見た。
コップ一杯の水とJUMへの想いで紡がれて生まれる、
JUMと私の、
二人の夢。

夢の中でのJUMは前の夢みたいにただ優しいだけじゃなかった。
いつもいつも、私がJUMに本を読んであげようとしてお菓子を作ってあげようとして、
そして結局いつもそれに失敗して、
そしてJUMにそれをしてもらって、
そして真紅はあの甘い甘いどら焼きを振舞って私達を笑顔にして、
そして雛苺はそれを人一倍優しい笑顔で見守っていて…。

そんな夢から目を覚ますと、またあの部屋。
暗くて静かで冷たくて、何もかもがモノトーンのそこは私の鳥かごだった。
両手に感じる冷たい輪の感触と空腹感が、
そこが私の現実だと強く、
またじっくり言い聞かせるように語る。

そしてまた、眠りと眠りの間に男から差し出される水を飲んで、
そこへ戻る。
そして、目を覚ます。

それを十何回か繰り返したころ、男は私に言った。

「まだ帰りたいか?」




160 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 19:19:08.29 ID:U1icvn3d0
翠星石「……」

言葉を発する力も無い私は、ただこくん、と頷くだけだった。

「へぇ、見上げた根性だ」

何か言い返そうかと思ったけど、いい加減頭も回らなくなってきた。
男は、そんな私をしばらく見下ろしているとこう言った。

「帰してやろうか、JUMって奴のところに」

翠星石「……え?」

数日振りに出した声は、以前と随分違った、
まるで他人の声のようだった。
喉がかすれて痛い。
それでも、聞き返す。

翠星石「…え…え?」




163 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 19:25:17.25 ID:U1icvn3d0
「帰してやるよ 別れの言葉ぐらい、言ってやりたいだろ?」

別れの…言葉?
どこかで二回垂れて落ちた水の音が、
まるでそれをもう一度聞けと言っているようだった。

翠星石「な…なんですか…それは」

「一週間頑張った翠星石にご褒美だよ 明日、この町をお前は俺と一緒に出るからな」

出る…?この町を…?

「そう、だから最後のお別れに、そしてJUMって奴に未練なんか残さないようにな」

翠星石「でも…翠星石はがっ…翠星石は…」

翠星石「そのまま…JUMの所から…帰ってこないかも知れないですよ…」

「ああ、だろうな だからお前が日付が変わるまでに帰って来なかったらお前を迎えに行く」

「そして、JUMを殺す」




166 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 19:33:08.29 ID:U1icvn3d0
「殺す お前の目の前で四肢をバラバラにして埋める」

「これなら絶対に未練なんか残らないだろ それにこの町にまた来たいなんて絶対に思わない」

「どうだ?完璧だと思わないか?」

そう言いながら、目を見開いて固まっている私の両手に嵌められた輪を外す。
そして何かを目の前に置く。

「この町最後の思い出だからな、ちゃんと言って来いよ」

置かれたコップに注がれている透明な液体。
それを一気に飲み干すと、目の前の開かれた扉を飛び出す。

扉の外の階段を駆け上がってみると、
あの鳥かごと同じくらい真っ暗な空間がそこにあった。
周囲を見渡してそこがあの部屋だと分かると、時計を確認する。

翠星石「十一時…四十五分…」




168 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 19:38:24.41 ID://K6O+QnO
あと15分て
どんだけサディスティック星人なんだよ




169 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 19:39:23.09 ID:U1icvn3d0
そんなことだろうとは思っていたけど、
やっぱり、辛い。
さっさと言って戻って来いってことなんだろう。

勝手口から外に出ると、空には満天の星空が広がっていた。
星星星。
まるであの時、JUMと二人で真紅を迎えに行ったあの空を見ているようだった。

右手をきゅっと締めるけれど、そこには何も無い。
あったのは、しわくちゃになってしまったあのメモ用紙だけ。
一週間、だったっけ。
その間、手にあると分かっていても読むことの出来なかったそれを忘れかけていた。
もう一度読み返したかったけど、そんな時間も余裕も無かった。

痛む喉、足、そしてあらゆる関節。
それら全てに鞭を打って、五月の十二時前の暗がりを走り出した。




172 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 19:50:40.04 ID:U1icvn3d0
あの店は家から十五分はかかったっけ。
走ってもせいぜいニ、三分それが短くなるだけ。
つまり、行ったらそれで自動的にアウトだ。
最後の別れを言わせてくれる、つまりそれは嘘だった。
でもだとするなら、
JUMに元から会いに行けないなら、
JUMは絶対に殺されることは無かったのだ。

そんなことを、あの公園、
二人して何をするでもなく、
ただぼーっとしていたあの屋根付きの休憩所で、
十一時五十八分に振れる時計の針を見ながら考えた。

結局私は、JUMに不幸しかあげることが出来なかった。
それだけの、JUMにとって私はそれだけの存在に過ぎなかった。

JUMはやっぱり真紅と居るべきだった。
そして私は二人の間には不要だった。
それを、今頃になってようやく理解できた。

少し笑う。
私の情けなさに、そしてどれだけみんなに迷惑をかけてきたか。

…もうしばらく、JUMの座っていたベンチに座っていたかったけど、
きっともうそうもいかない。

立ち上がる。
そして。

JUM「一週間振りだな」




176 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 19:57:35.71 ID:U1icvn3d0
後ろから聞こえたその声は、
しばらく私の全身の動きを止めた。
そして。

JUM「…どうした?声なんかかけない方が良かったか?」

しばらくの沈黙を残して去ろうとするJUM。
急いで振り向いて、そして駆け寄って。

翠星石「……」

JUM「お、おい…翠星石…動けないぞ」

後ろから背中に寄り添うように抱きしめる。
何も言えない。
今の私の声を聞かせたくなかった。
でも、
この一言だけは、
精一杯の想いを込めて、
彼に言った。



翠星石「…また、会いたかったです」




179 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 20:04:04.89 ID:U1icvn3d0
それだけ言って泣き崩れる私を離して、
もう一度正面から抱きしめてくれるJUM。

JUM「…そうだな 僕も会いたかった」

まるでその一言で全てを語ったみたいに、
それから後は私もJUMも、何も言わなかった。
私はただ泣くだけ。
JUMは私をただ優しく、そして柔らかく抱きしめる。

流れる夜風に頬を撫でられ、髪を揺らす。

いつまでもいつまでも、
この風のように、
ずっとずっと、
誰よりも優しいJUMに抱かれて、
そして誰よりも不器用な私はこのまま何も言わずに抱かれていたい。

そう、ただ祈った。




182 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 20:13:06.21 ID:U1icvn3d0
翠星石「本当は…ただ…JUMに翠星石のどら焼きを…食べて欲しかっただけです」

喉の痛みは相変わらずだったけど、そこからゆっくりと出てくる言葉。
JUMはそれを、抱きしめながら聞いてくれた。

翠星石「バカみたいですけど…本当に…最初はそれだけでした…」

翠星石「それから…だんだん…真紅のことが嫌いになって…JUMのことも…」

今までのことをぼろぼろと零すように話す。
メモ用紙が手の中でくしゃ、と鳴る。

翠星石「全部全部…翠星石が悪かったんです」

翠星石「今だって…」

はっと振り向くと、時計の針は十二時十分を示していた。
つまり。

JUM「僕は殺されるってか はは」

翠星石「わ…笑い事じゃあ…」

JUM「じゃあ僕が殺される前に、一度僕を思いっきり殴ってくれよ」




185 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 20:25:33.50 ID:U1icvn3d0
自分が殺されると聞いて笑って、
それでいてなおそんなことを言うJUMの顔を見ると、
いつの間にか笑いは消えていた。

JUM「僕はまたとんでもないことをして真紅の次は翠星石、お前を泣かせてしまったんだよ」

真上から射す月明かりが、JUMの顔を明るく照らす。

JUM「どれだけ思っても僕が駄目なのは治りそうに」

こつん。
全て言い終える前に、JUMの額を軽く小突く。
そして目をぱちくりさせているJUMにもう一度、
腕を直してぎゅっと抱きしめる。

翠星石「…これでいいですか?」

JUM「い、いやこんなんじゃ僕の気持ちが」

そう言うJUMの目の前に、くしゃくしゃになったそれを見せる。

翠星石「JUMが翠星石のことを、ほんっとうに想ってくれていることは十分分かってるです」

翠星石「翠星石は…どんなに駄目でもJUMと一緒に居れたら…もうそれでいいです」

もともと、私は真紅じゃない。
なら無理をして真紅の真似をするよりももっと別に、
きっと何か出来ることがあるはずだ。
例えばそう、こうやって、
JUMに有無を言わせずに抱きしめることとか。




187 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 20:27:51.16 ID:LOxYWwEd0
このまま行って欲しいが・・・




188 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 20:32:22.09 ID:U1icvn3d0
遠くから響いてくるサイレンを聞きながら言う。

翠星石「でもJUM…あいつはたぶん本当にJUMを…殺しにくるですよ…?」

出来るなら言いたくない、
否定したいけど、
あの男は確実に、来る。
そう思わせるに十分な人間だと私は知っていた。

JUM「なーに大丈夫 何とかなるだろ」

翠星石「何とか…ってうわっ」

JUMがポケットから抜き出したそれを見て驚く。
どうしてもJUMには似合わないそれのことを一応は知っている。
だから聞いた。

翠星石「ど、どうしてスタンガンなんか…」

JUM「前に色々あっただろ あれからこういうものを持ち歩く様になった」

暗闇の中で光るそれの放つ毒々しさは、
何とも恐ろしいものだった。




189 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 20:33:38.76 ID:nCQqwUk30
サイ……レン……?




196 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 20:41:29.00 ID:U1icvn3d0
とりあえず帰ろう、というJUMに従って、
おそらくあの男が今も向かっているであろう家に帰ることになった。
やけに大きくなってくるサイレンに呼ばれるように。

最初は家の方角からするそれに震えていたけど、
赤いライトが点滅しているのは以前二人で行ったコンビニの辺りだということに気付く。

JUM「何か…あったみたいだな」

翠星石「たぶんあいつです…」

嫌でも、そして誰でも気付くような死臭が漂っているそこは深夜近くに関わらず、
まるでお祭りの様に賑わっていた。

あいつなら通りすがりの一般人くらい気紛れでやってしまうのだろうか。
狂っているけど、どこか理性も持ち合わせていたあの男はそういう人間なのかどうか。

周囲に群がる野次馬から聞こえてくる。

「…でその死体には大きな刺し傷が…」

「まるで大きな剣で突かれたみたいな…」

「まるで前の通り魔…」

「被害者は物凄い女垂らしで有名…」

JUM「…どうやらこいつは必要無くなったかもな」

そう言って、近くのポリバケツの中にそれを放り込むJUM。




200 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 20:47:02.30 ID:tyAnpJUpO
流石でごさる




201 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 20:48:14.36 ID:zSMXOFWRO
や、やったのか?




203 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 20:54:29.32 ID:U1icvn3d0
翠星石「どういう…ことです?」

JUM「さぁな…誰か一人がこの町に戻ってきて、そしてまた誰か一人が居なくなった」

JUM「そういうことなんじゃないのか?」

何となくだけど、
人が一人死んだのに嬉しそうに笑うJUMと一緒に私も笑う。
誰が誰を殺して、誰が誰に殺されたのか、そんなことは全く分からない。
でも、何か私達二人ともが同じことが起こったと思っているようだった。

JUM「それじゃあ」

二人並んで手を繋いで、
そしてまた空には満天の星空で、
どこまでも前と同じ私達は今度は一体何所へ向かうのだろう。

いや、前と同じでは少し困る。
少しでも、前よりは別の意味で変わっていたい。
そして今度こそ、いつまでもJUMを、
そしてもっと素直に真紅を。


JUM「こんな駄目な僕だけど、また家に来てくれるのか?」

翠星石「…また来るです!」

何か変な言い方だけど、それでも良いと。
むしろ少しばかり変な方がいいと、サイレンを背中で聞きながら、不思議と思った。
メモをきゅっと握りながら。




204 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 20:58:37.73 ID:U1icvn3d0
終わり




206 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 20:59:12.83 ID:1s7MrJmUP
お疲れ様




207 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 21:00:34.97 ID:50oUlGoQ0





208 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 21:00:59.16 ID:j2uDpH2HO
乙!!






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コメント
この記事へのコメント
  1. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/05/18(月) 01:59: :edit
  2. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/05/18(月) 02:01: :edit
  3. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/05/18(月) 02:08: :edit
    男は・・・鬼作か?
  4. 名前: 通常のナナシ #JXoSs/ZU: 2009/05/18(月) 02:13: :edit
    ぷん太乙、就寝前に良かったよ。
  5. 名前: 通常のナナシ #0gBi3fAo: 2009/05/18(月) 02:20: :edit
    amazon自重しろww
  6. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/05/18(月) 02:23: :edit
    この人の作品好きだな
    基本的に甘い話なんだけど、甘すぎずに適度にスパイスが効いている
    何よりドールズが一人として悲しんでいない
    もっとも裏を返せばこれが一番残酷かもしれないが

    あと蒼の子が仕事人にしか思えないww
  7. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/05/18(月) 02:32: :edit
    ぶっかけうどんやめろwwwww
  8. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/05/18(月) 02:35: :edit
    蒼い子よくやったww
  9. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/05/18(月) 02:36: :edit
    真紅も翠星石もいい子かわいい子
  10. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/05/18(月) 02:39: :edit
    もうこのシリーズつまんないから採り上げなくていいよ
    作者のオナニー見せられてたまったもんじゃない

    他のまとめなよ
  11. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/05/18(月) 02:43: :edit
    ※10
    お前の好みは訊いてない。
  12. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/05/18(月) 02:44: :edit
    ※11
    コラ!!相手しちゃ駄目でしょ!!
  13. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/05/18(月) 02:55: :edit
    またこいつか… もういいよ、コレ
  14. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/05/18(月) 02:57: :edit
    蒼い子次で帰ってくるのかのう
    作者&ぷん太乙
  15. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/05/18(月) 03:21: :edit
    作者もぷんたも乙
  16. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/05/18(月) 06:47: :edit
    鬱話じゃなくて本当によかった・・・良かったよ・・・

    次回は蒼い子登場ですか?
  17. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/05/18(月) 07:16: :edit
    ん?
    蒼い子が殺ったってこと?
  18. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/05/18(月) 07:35: :edit
    蒼い子GJってとこだな
  19. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/05/18(月) 09:35: :edit
    amazonがww
  20. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/05/18(月) 10:01: :edit
    そろそろ飽きた
  21. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/05/18(月) 10:16: :edit
    amazonで余韻ぶち壊しwwwww
  22. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/05/18(月) 11:13: :edit
    蒼星石愛してる
  23. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/05/18(月) 11:32: :edit
    amazonの広告出すの誰?
    自重して欲しい
    あと鬱展開はいらない
  24. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/05/18(月) 11:44: :edit
    jum「計画通り」


    蒼い子の立ち位置が良いね。
  25. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/05/18(月) 13:02: :edit
    なんか奇妙な物語だな、理解し難い
    前作読まなきゃだめかね
  26. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/05/18(月) 13:30: :edit
    刺したのは水銀燈だと思ったけどなあ 
  27. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/05/18(月) 13:46: :edit
    ぶっかけうどんw
    このシリーズ好きよ。
    是非に全ドール走破してほしいなぁ。
  28. 名前:   #-: 2009/05/18(月) 14:23: :edit
    もういいよ、コレ
  29. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/05/18(月) 14:29: :edit
    だんだん方向性を見失ってるような気がする。最初の方のまったりとした話は悪くないんだけどなー
  30. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/05/18(月) 15:32: :edit
    好きだなーこのシリーズ
  31. 名前: 蒸発した名無し #-: 2009/05/18(月) 16:13: :edit
    さすが蒼い子www優しいなぁwwww
  32. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/05/18(月) 16:32: :edit
    ○○とキョンの子供が××だったら並にいらないな
    どんなに面白い作品でも長々と続けられたら飽きてくるわ
  33. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/05/18(月) 17:09: :edit
    もうこの人は別のシリーズ書けばいい 30行程で読む気失せた。真紅は可愛いが。
  34. 名前: 通行人α #-: 2009/05/18(月) 17:24: :edit
    蒼星石が、どうやってこの一件の事を知ったのか…という大きな疑問があるのですが、何はともあれ一件落着で良かったです。
  35. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/05/18(月) 17:50: :edit
    前回の時も思ったが期待してたのとは違う方向性にいってしまったようだ
  36. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/05/18(月) 18:26: :edit
    この人の作品はもう駄目だな
    次作はもう読まない
  37. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/05/18(月) 18:29: :edit
    やっぱシリーズ化はよくないと思うんだ
  38. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/05/18(月) 19:03: :edit
    最初は良かったが
    シリーズ化した時点でダメ。
    長々とやらなくてもいいと思う。





    てか蒼星石いい仕事するなwwww
  39. 名前:   #-: 2009/05/18(月) 19:51: :edit
    最後の部分しか読んでないけど
    蒼星石の鋏は刀と違ってちゃんと挟んで切る物だと何百回言えば分かるんだよ屑
    内容もつまんなそうだしもういいよこの作者
  40. 名前: 通常のナナシ #Z6Y2eIvk: 2009/05/18(月) 20:29: :edit
    つまらないとか他の書けとかは思わないが
    明るくも欝にも振り切れない半端さはあるかもしれん。
  41. 名前: VIPPERな名無しさん #-: 2009/05/18(月) 21:04: :edit
    ※39
    最後しか読んでないのに何言ってんの?
    パラレルなんだから鋏の形状が違ってもおかしくないってのが分かんない?

    てかamazonのこれって前作の言いたがり馬鹿の※からきてんじゃね?w
  42. 名前: VIPPERな名無しさん #-: 2009/05/18(月) 23:20: :edit
    文句言ってる輩も居るようだが俺は好きだがな。
    頑張って欲しい。
  43. 名前: VIPPERな名無しさん #-: 2009/05/18(月) 23:20: :edit
    蒼星石が帰ってきた!!!!
  44. 名前: 通常のナナシ #ckxEKKXo: 2009/05/19(火) 00:05: :edit
    読者様が多数ご光臨されているようです
    ありがたやありがたやw
  45. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/05/19(火) 01:13: :edit
    確かに、もういいな
  46. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/05/19(火) 03:31: :edit
    楽しめたよ。

    作者&ぷん太乙!
  47. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/05/19(火) 12:23: :edit
    文自体は面白いのにな…
    作者が方向性を間違ってるとしか思えん
    これ以上鬱が続くならもう読まない
  48. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/05/19(火) 23:56: :edit
    嫌なら読まなければいいだけのことなのに気持ち悪い連中だな。
    あれ?釣られた?
  49. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/05/20(水) 06:06: :edit
    三作目で終りでよかったな
  50. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/07/04(土) 03:47: :edit
    もうこなくなったな・・・・残念だ
  51. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/09/23(水) 11:11: :edit
    このシリーズもう来ないのか
    雛苺編と真紅編をもっと読みたかったのだが
  52. 名前: 通常のナナシ #-: 2009/11/14(土) 19:53: :edit
    このシリーズ続きがあるなら載せてくれ管理人さん
  53. 名前: チェシャ猫 #-: 2010/06/05(土) 03:00: :edit
    途中糞男のせいで心が不安定になったけど死んでくれてスッキリ・・・良かった良かった。
  54. 名前: 通常のナナシ #-: 2013/02/27(水) 13:12: :edit
    良かったですぅ!!!
  55. 名前: #: 2014/08/16(土) 11:42: :edit
    このコメントは管理者の承認待ちです
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